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航空機座席環境における下肢の血行動態の測定 MeasurementofB1ood Circu1ationinthe LowerLimbs

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Academic year: 2022

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(1)人間科学研究. Vo1,I8,Supp1ement(2005). 博士論文要旨. 航空機座席環境における下肢の血行動態の測定 MeasurementofB1ood duringPro1onged. Circu1ationinthe. Sittingina 小山. Mock−up. LowerLimbs. ofanAircra血Cabin. 秀紀(Hideki. 指導:野呂. Oyama). 影勇教授. 本研究ではDVTのリスク予防を視野にいれた航空機座席. 1.本研究の主旨. 本研究は、航空機座席環境を実験モデルとして、着座中. について、人間工学的観点から、実際の応用場面を想定し. の下肢の血行動態についてより良い理解を得るために行わ. た評価を行うことを目的とした。評価にあたっては、下肢. れた。その背景には、長時間の着座姿勢の継続は下肢静脈. の血行動態、とくに静脈血流の停滞と姿勢の不動化に着目. に血栓ができることが指摘されている点にある。この病態. し、着座中に軽運動を行った場合の影響について検討した。. は、深部静脈血栓症(deep. vein. thrombosis:以下DVT)と. 称され、致命的な肺動脈塞栓症を併発することが指摘され. 2.研究の成果. ている。近年、航空機内でのDVTの症例が、多数報告された. 2.1実験環境の整備. ことから、エコノミークラス症候群あるいは旅行者血栓症. 実験環境を図1に示す。実際の客室環境を模したモック. とも呼ばれ、杜会的な問題となっている。血栓形成の危険. アップを製作して、実験に用いた。また、先行研究ならび. 因子は、①血液凝固能の充進、②血流の停滞、③血管壁の. に事前調査の結果に基づき、①足の低屈・背屈運動により. 損傷、が知られている。これを客室環境にあてはめた場合、. 下肢の筋ポンプ作用を得るフットレスト、②背中の後屈運. 低い湿度や不十分な水分摂取により、血液粘度が増加して. 動により呼吸ポンプ作用を得るために、腰部と胸部間が中. 血液凝固能が尤進する。これに加え、狭い座席に同じ姿勢で. 折れする背もたれを有するDVT対応座席を製作して、実験. 座り続けることにより、静脈血流の停滞が生じて、血栓形. に用いた。. 成のリスクが高まると考えられている。一般に、静脈血流. 2.2測定手法 非侵襲的な血液循環測定手法として、①近赤外線分光法. の停滞を改善するためには、下肢の運動(筋ポンプ作用) や深呼吸(呼吸ポンプ作用)を行うことによって、静脈還流. (near−infrared. spectroscopy:NIRS)に基づく組織血. を促進させること望ましいと言われている。ところが、こ. 液量の測定、②超音波Dopp1er法による静脈血流の測定、. れらの推奨事項は経験則に基づいたものがほとんどで、実. ③下肢の膨張率の測定を行った。. NIRS測定器は、3波長(780nm,810nm,830nm)の. 際の航空機座席における軽運動の有用性を明らかにした研 究は少なかった。また、比較的リスクが高いとされる中高年. 2受光式レーザ組織血液酸素モニタ(BOM−L皿RWオメ. 層に関する知見が見当たらなかった。このような背景から、. ガウェーブ社)を用いて、酸素化ヘモグロビン(oxy−Hb)、 翻〃伽榊榊〃小ε・。加∫〃・〃伽・. PC. ⑧〃ε伽陀椛〃ψρεゆ加〃あ10・〃肥〃O〃・・. NlRS. 12g目rn昔5uebIood. ox}9艘n. BOM. mo舳or. Ll. TRW. Omeg副W舳直Co. 鰯肋ω〃肥〃刎榊α∫胱. 図1. 実験環境と測定項目 一121一. 伽9. PC.

(2) 人問科学研究. Vo1.18,Supp1ement(2005). 脱酸素化ヘモグロビン(deoxγHb)、総ヘモグロビン. の血行動態を理解するための基礎的知見を与えることがで. (tota1−Hb)、組織酸素飽和度(St02)を計測した。Dopp1er. きた。DVT予防という今日的な課題に対しては、これまで. 測定器は、超音波双方向血流計(Smartdop50EX、林電 気杜)と8MHzのプローブにて、血流速度を計測した。下. 経験的に推奨されていた軽運動の有用性について、実験. 肢の膨張率は、水槽に足を入れ、溢れ出る水量を計測する. 席機能について、計測・評価するための手法を示すことが. 容積の計測と、巻尺を用いて、下腿最大囲、甲囲、前足囲. 可能となった。. データとして提供したとともに、軽運動に協調して動く座. を計測した。. 2.3検討課題 本研究の目的を達成するために、次の3つの実験を行っ ∠ow−Hb. {x一δ㌔o㎜〕皿㎜茗〕. た。. I.o. はじめに、長時問着座が下肢の大伏在静脈(表在静脈). 十 o,5. に与える影響にっいて、NIRS法、Dopp1er法、下肢の周 径囲・容積計測より検討した。被験者は若年者8名とした。. e■erc…昌e. 一ロー. qu呈8t. condition. S辻ting. COnditヨOn. o,o. 実験条件は、従来座席に60分間安静着座した条件と、DVT ・o.5. 対応座席に座り、20分間隔で足と上体運動を挿入した条件 ∠d僅OW・Hb. を比較した。. 茸王o. loou趾)皿n一畠〕. o,5. 次に、着座中に上体の後屈運動を行った場合の腓腹筋内 o,o. の血行動態について、NIRS法と周径囲・容積測定より検 討した。被験者は、中高年女性10名とした。実験条件は、. DVT対応座席に60分間安静着座した条件と、20分間隔で上 体の後屈運動を挿入した条件を比較した。. O.5. 1.o. ・1.5. 1〕且昌e. 最後に、着座条件と呼吸が大腿静脈血流(深部静脈)に 与える影響について、Dopp1er法にて検討した。被験者は. l0. 20. 30. 40. 50. 60. tim偉{血in.〕. 図2. 上体運動の有無による下肢末梢循環の経時変化. 男性5名とした。測定部位は、右大腿付け根の鼠径部にあ る大腿静脈とした。実験条件は、アップライト条件(背95 度)、リクライニング条件(105度)、背中を後屈して背もた. venou昌bIood f1owΨe1ooity (mrmali鵬d昌oore). れの上部を可動させた後屈条件とした。また、3っの着座. 一一norm刮1br餉thing 一岨一de島p. 条件にて、通常の呼吸と深呼吸を行ない、3x2の6条件. breathing. とした。. 2.4本研究で得られた知見の概要 着座中に下肢と上体の軽運動が表在静脈に与える影響を 検討した結果からは、運動により、oxy−Hbの増加と血流. 速度の増加が認められ、下肢の膨張率が改善されることが. 一2.o. upright. ㌔. わかった。次に、上体の後屈運動が下肢腓腹筋内の血行動. 態に与える影響を調べた結果からは、oxy−HbとSt02が有. 意に増加し、動脈血の流入増加を示唆した。また、上体運 動によりdeoxy−Hbは減少ならびに下肢の膨張率は抑制さ. れ、静脈血の流出増加、すなわち静脈還流量の増加を示唆 した(図2)。最後に、上体の後屈運動が下肢の深部静脈に. 与える影響について検討した結果からは、運動により大腿 静脈の血流速度が有意に増加し、下肢から心臓への静脈還 流量が増進することが示唆された。また。深呼吸を併用す ることにより、さらに血流速度が増加し、上体の後屈運動 と深呼吸の相乗効果を期待できることがわかった(図3)。. 以上の検討結果から、本研究で用いた計測法により、航 空機座席着座中の下肢の深部静脈、表在静脈、末梢レベル 一122一. redヨHing. exerd昌e. ㌔. 、. oonditio皿. 図3. 着座条件と呼吸による大腿静脈血流速度の変化.

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