10 Library Annual Report
早稲田大学リポジトリ
(DSpace@Waseda University)の進捗
2 0 0 5 年 5 月 に 正 式 公 開 し た 「 早 稲 田 大 学 リ ポ ジ ト リ
(DSpace@Waseda University)」(以下、リポジトリ)は、そ の後、各学術院(学部・大学院)を代表する紀要掲載論文を 中心に登録コンテンツを拡充し、2006年度末までの公開可能 な登録文献数は4,114件となった。そのうち紀要掲載論文は 3,399件にのぼるが、これら論文をリポジトリに登録するにあ たっては、論文執筆者に対し書面によるリポジトリ登録の許 諾依頼を論文1点ずつについておこなっている。その際、で きるかぎり紀要の初号に遡り、加えてフルテキストのみを登 録することをポリシーとしたため、学内研究者執筆論文等の 調査、論文執筆者の連絡先の確認作業に始まる知的財産権の 処理と紙媒体の電子化に膨大な事務量と時間を要することと なった。
2006年度も前年度に引き続き、国立情報学研究所最先端学 術情報基盤(CSI)次世代学術コンテンツ共同構築事業を受託 した。今年度の委託内容は、領域1「機関リポジトリの構築」
と領域2「機関リポジトリ運用に関する先端的研究開発」の2 つの領域に分けての公募制となり、応募の結果、両領域とも 採択された。(2007年度まで2カ年間の採択)
領域1における委託業務の実施概要としては、前述の知的 財産権の処理により各学術院等から1誌以上の紀要類掲載論 文の登録を進めたほか、21世紀COEの全拠点に対して説明を おこなった結果、報告書・成果物の知的財産権の処理につい ても着手することができた。また、アイヌ語音声教材(テキ ストおよび音声データ)など特色あるコンテンツの登録を進 めた。ほかにもリポジトリシステム(DSpace)のバージョン アップ、メタデータの見直しなどシステムの基盤となる部分 について開発をおこなった。その結果、コンテンツ調査、知 的財産権処理の実施およびアイヌ語音声教材,大学創設者で ある大隈重信資料の登録が評価され、「平成18年度CSI委託事 業の優良事例」の1つに選出された。
領域2では「電子出版システム(編集査読システム)の開発」
と「業績データベースとの連携」の2つのプロジェクトの担 当大学となった。前者においては主担当大学として、連携す る広島大学、長崎大学とともに紀要などの学内刊行物の各論 文をリポジトリへ継続的かつ簡便に登録可能とすることを目 的に、オープンソースの電子投稿査読システムのプロトタイ プ を 開 発 し た 。 2 0 0 6 年 度 の 到 達 点 と し て は 、 P u b l i c Knowledge Project(PKP)が作成したオープンソースの編 集査読出版システムであるOpen Journal Systemsの日本語化
(翻訳)をおこない、ヘルプ表示など日本語に対応していな い機能を開発し、研究開発プロジェクトのホームページ
(http://www.wul.waseda.ac.jp/ir/epubs/)よりその成果を公 開した。
同じく領域2の「業績データベースとの連携」においては、
本学の「研究者データベース」から学内研究者が論文等の研
究成果をリポジトリに登録できるシステムを開発することを 目的とした。このプロジェクトでは金沢大学、九州大学とと もに開発を進めることとなり、テスト環境において「研究者 データベース」とリポジトリとの連携に成功している。
2007年2月8日〜9日の2日間にわたり開催されたリポジトリ 関連のワークショップ(第2回DRFワークショップ「機関リ ポジトリをデザインする−設計とコンテンツ」 )の会場校と して運営の一端を担った。このワークショップでは全国の大 学よりリポジトリの構築に携わる教職員が多数参加し、活発 な意見交換がおこなわれた。
2月末、エルゼビア社が提供する総合的な科学専用インタ ーネット検索エンジンScirus(サイラス)からリポジトリに 登録されている論文等学術情報資料がフルテキストで検索で きるようになった。日本の機関リポジトリでは2番目(千葉 大学に続き、北海道大学の機関リポジトリとともに)の事例 である。
あらためて振り返れば、2006年度はリポジトリに登録する コンテンツの収集に多くの時間を費やした。その主な理由は 前述のとおり紙媒体の資料を遡及的に電子化したことによる ものである。一方、学内で新たに作成される電子的学術情報 資料の継続的登録という課題が残った。とりわけ時限的なプ ロジェクトであるCOE, プロジェクト研究所等の学術的成果 全般を永続的に保存していくことが急務の課題である。また、
自然科学系の分野における学術情報の収集・保存についても 電子的にのみ存在する資料が多いと思われる点でリポジトリ が有効に活用されればよいと考えている。ついては学内研究 者が自らの学術情報資料をリポジトリに簡便に登録するた め、開発中の「電子出版(編集査読)システム」および「研 究者データベース」とリポジトリとの連携について実用化さ せることが1つの課題である。
2007年度はまたCSI委託事業の最後の1年にあたり、これま での集大成として結果が求められる一方で、委託事業終了後 のリポジトリの運用体制を確立していかなければならない年 でもある。リポジトリの円滑な運用体制をその運用主体であ る図書館内に構築していくことがもう1つの課題となる。
1 概 況
2 最先端学術情報基盤(CSI)次世代学術コンテンツ共同構築事業
3 最近のトピック
4 2007年度の課題
学術雑誌論文 19 学位論文 599 紀要論文 3,399
計 4,114 会議発表論文 48 教材 27 会議予稿 1 COE Working Paper 21
■ 2006年度までに公開した登録コンテンツ数(件)
82%
15%