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博 士 ( 農 学 ) 張 絶 職 学 位 論文 題 名 ● Studies on factors causlngoutbreakSOfpeStnliteS inbambOOforeStSinFujian, China

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Academic year: 2021

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博 士 ( 農 学 ) 張    絶 職      学 位 論文 題 名

     ●

Studies on factors causlngoutbreakSOfpeStnliteS     inbambOOforeStSinFujian , China

(中国福建省竹林における害虫ダニ類の大発生要因の解析)

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  中国福建省は、モウソウチクの原産地であり、夕ケノコおよび竹稈の生産は同省の農 業生産に大きな比重をしめている。このモウソウチクの栽培林において、1989年以来、

ダ二類、特に2種のハダ二(Schizotetranych甜Jnanjingensis Ma et Yuanおよびイトマキ ハダ二Aponychus corpuzae Rimando)とフシダニAculus bambusae.Kuangが大発生を起こ し、夕ケ生産に重大な被害を与えるとともに、被害甚大の地域では竹林崩壊までひきお こしている。そこで、本論文では、これらのダ二類および天敵類の野外における発生動 態を精査し、大発生の原因を追求した。また実験室において、害虫および天敵ダ二類の 生活史、行 動を解析し 、えられた結果をもとに、有効な害虫制御方法を考案した。

  まず、2年周期で落葉‐展葉をくり返すモウソウチクにおいて、1996年から1998年に わたって個体群調査を行い、季節別、地域別に害虫発生要因を降雨量、温度、相対湿度、

および天敵にわけ、それぞれの重要性をキ―ファク夕一分析法で解析した。その結果、

年、季節によって、害虫個体群を制御しているファク夕―は複雑で多様であったが、天 敵であるタケカプリダ二Typhlodromus bambusae Eharaが全体を通じて最も重要である ことをあきらかにした。しかも、最も被害が大きい大年(2年に1度のタケノコの多収 穫年)の春におこるS. nanjingensiJの発生が、何らかの原因でタケカプリダニによって 制御しきれないことが、この害虫の被害を大きくしている主因であることをあきらかに した。

  S. nanjingensisがモウソウチク新稈の新葉でどのようなプロセスで早期に発生するの か、およびイトマキハダニと天敵夕ケカブリダニの落葉一新葉間の分散方法を知るため に、夕ケの新葉が展葉する時期に竹稈に粘着剤(夕ングルフット@)を施用した野外実 験をおこなった。2年にわたる月ごとの個体数調査から、S. nanjingensiJおよびイトマ キハダニが、冬季に落葉した葉から地表を移動し、歩行によって新葉に侵入することを っきとめた。さらに、S. nanjingensi5がタケノコから育った1年目の稈の新葉に、また イトマキハダニが3年および5年目の稈に展葉する新葉に選択的に寄生することも同時 にあきらかにした。どのように、これらのハダニが数十メートルの稈を選んで寄生する のか、そのメカニズムはあきらかではないが、個体群動態調査でみられたこれら2種の

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ハダ ニの 発生 パ夕 一ン と、 この 分散 調査の結果は良く一致していた。さらに、天敵であ るタ ケカ ブリ ダニ は、 粘着 剤に よっ て新葉への分散が阻害されないということがあきら かに なっ た。 以上 のこ とか ら、 落葉 後に竹林の林床に適切な地表移動阻害剤を施用する ことで、S. nanjingensiJとイトマキハダニの被害を軽減する方法を確立することができ た。

  モ ウソ ウチ クに 発生 がみ とめ られ る4種 のハ ダニ 類の 生活 史を 様々な温度条件下で実 験的 に精 査し 、こ れら のハ ダニ がい ずれも、いわゆる農業害虫として短期的に被害が甚 大な 種と は異 なり 、相 対的 に低 い増 殖率 をもっ てい るこ とが 判明 した。同時に、2種の 天敵 カブ リダ ニの 生活 史を 、モ ウソ ウチクに発生する4種の害虫ダニ(S. nanjingensis, S. tenuinidus,S.bambusaピおよびA.corpuzae〉を餌として、様々な温度条件下で検討し、

個 体 群 の 増 殖 バ ラ メ 一 夕 を 算 出 し 比 較 し た 。 そ の 結 果 、 夕 ケ カ プ リ ダ ニ がS. nanjingensisの、 また 輸入 天敵 であ るAmblyseiuscucumeris (Oudemans)カブリダニがイ トマ キハ ダニ の天 敵と して 有効 であ ることをあきらかにした。また、行動の観察から、

夕ケ カブ リダニがS. nanjirP恥fjの巣を手がかりに餌を探索し、効率良くそれを捕食で きるのに対して、A.cHcMmビrむは、造巣性のS.門ロ彫f愕ピ恥fsの巣に侵入できないために、

その捕食者としての効果が期待.できないことなど、これまで知られていない複雑な天敵 と害 虫の 相互 作用 をあ きら かに した 。これらのデ―夕は、害虫と天敵それぞれの基礎的 な生 態的 知見 を与 える とと もに 、今 後開発が計画されているモウソウチク林における害 虫天 敵相 互作 用系 シミ ュレ ーシ ョン モデルの基礎デ―夕としても有用であると考える。

  個 体群 調査 およ び実 験デ 一夕 から 、モウソウチクの害虫大発生の主な原因が、害虫ダ 二類 とそ れら に特 化し た天 敵類 との 相互作用系を人為的攪乱したことによるという仮説 がえられた。そこで、福建省のモウソウチク林を、大きく、粗放栽培竹林@olyculture) と単 作竹 林(Monoculmre) とに 分け て、そこでの害虫と天敵の発生状態を調査した。そ の結 果、 全体 とし てみ ると 、粗 放栽 培竹林において有意に天敵類の発生が多く、また害 虫が 有意 に低 密度 であ るこ とが あき らかになった。その理由として、複雑な植生には、

天敵 類の 代替 餌で ある 別の 種の ハダ ニやフシダニが存在すること、またタケの落葉で地 上 に 降 り た 害 虫 の 寄 主植 物 探 索 を 複 雑 な 植 生 が 阻 害 す る と い う 効 果 が考 えら れた 。   本 研究 で得 られ た成 果か ら、 福建 省における害虫ダ二類の大発生は、ほぼ時期を同じ くし て国 家的 規模 で行 われ た多 肥・ 単作竹林への転換にともない、生態系が大きく攪乱 さ れ た こ と に よ る と 結 論 さ れ た 。 ま た 、 本 研 究 の 過 程 で 、 最 も 重 要 な 害 虫 種S. nロルf惱ピ門5fsの主要な天敵であるタケカブルダニが、ススキに寄生する別の造巣性ハダ 二(ススキスゴモリハダ二駈んセD地0ロ刪cんMsmfぷcロnmfSむto)を代替餌として、野外に 広く 生息 して いる こと が判 明し た。 ススキスゴモリハダニはモウソウチクには寄生でき ない 。し たが って 、以 前の 粗放 栽培 竹林に戻すのではなく、例えばススキのようにタケ 落葉 期に 天敵 を保 持し てく れる 植生 のみを選んで単作竹林に再導入することで、大発生 の沈静化を図れる可能性が強く示唆された。

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学位論文審査の要旨

主査   教授   齋藤   裕 副査   教授   諏訪正明 副査   教授   綿貫   豊

副 査    教 授    後 藤 哲 雄 ( 茨 城 大 学 農 学 部 ) 副査   助教授   大崎直太(京都大学農学研究科)

副 査    教 授    黄    建 ( 中 国 福 建 農 林 大 学 )

     学位論文題名

Studies on factors causlngoutbreakSOfpeStnliteS     inbambOOforeStSinFujian ,China

     (中国福建省竹林における害虫ダニ類の大発生要因の解析)

  本 論 文 は 、 図 表 を 含め212ペ ー ジ か ら な り、 引用 文献 を98を含 み、 英文 で書 かれ て いる。他に参考論文20編が添えられている。

  モ ウソ ウチ クの 原産 地中 国福 建省 では 、夕ケノコおよび竹稈の生産が農業生産に大き な比 重を しめ てい る。 この モウ ソウ チク 栽培林 にお いて 、1989年 以来 、ダニ類、特に2 種のハダ二(エSchizotetnmychus nanjingensis Ma. et Yuanおよびイトマキハダ二Aponychus corpuzae Rimando)とフシダニAc甜lus bamb釘sae Kuangが大発生を起こし、生産に甚大な 影響 を与 えて いる 。本 論文 では 、こ れら のダ二類および天敵類の野外における発生動態 を精 査し 、大 発生 の原 因を 追求 する と同 時に、実験室における害虫および天敵ダ二類の 生活史、行動解析結果を併せて、有効な害虫制御方法を考案した。

  2年周 期で 落葉‐ 展葉 をく り返 すモ ウソ ウチ クに おい て、1996年か ら1998年にわたっ て個 体群 調査 を行 い、 季節 別、 地域 別に 害虫発生要因をキーファクター分析法で解析し た。 その 結果 、年 、季 節に よっ て、 害虫 個体群を制御しているファクターは複雑多様で あっ たが 、天 敵であるタケカブリダニTyphlodromus bambusae Eharaが全体を通じて最も 重 要 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。 し か も 、 夕 ケ ノ コ の 多 収 穫 年 の 春に お 、 こ る ふ nanjinge′1sisの発生が、何らかの原因でタケカブリダこによって制御しきれないことが、

この害虫の被害を大きくしている要因であることをっきとめた。

  & nanjingensis'がモウソウチク新稈の新葉でどのようなプロセスで早期に発生するの か、 およ びイ トマ キハ ダこ と天 敵夕 ケカ ブリダニの落葉一新葉間の分散方法を知るため に、 夕ケ の新 葉展 葉期 に竹 稈に 粘着 剤を 施用し た野 外実 験を おこ ぬっ た。2年にわたる

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月 ごとの個 体数調査 から、S nanjingensisお よびイト マキハダニ が、冬季 に落葉し た葉 か ら 地 表 を 移 動 し 、 歩 行 に よ っ て 新 葉 に 侵 入 す る こ と を っ き と め た 。 さ ら に 、S nan啣靜 戚 ゞ がタ ケ ノコ か ら 育っ た1年 目の 稈 の 新葉 に 、ま た イ トマ キ ハダ ニ が3年 お よ び5年 目 の稈 に 展葉 す る 新葉 に選択的 に寄生する ことを明 らかにし た。この 結果は、

こ れ ら2種 のハ ダ ニの 個 体 群動 態調をよ く説明する ものであ った。さ らに、天 敵である タ ケカブリ ダこは、 粘着剤に よって新 葉への分散 が阻害さ れないと いうこと も明らか に な った。以 上のこと から、落 葉後に竹 林の林床に 適切な地 表移動阻 害剤を施 用するこ と で 、ふMづf′ 聾y恥むと イトマキ ハダニの 被害を軽減 する方法を確立することができた。

  モ ウソ ウ チ クに 発 生が み とめ られる4種 のハダニ類 の生活史 を様々な 温度条件 下で実 験 的 に 精査 し た。 ま た 、2種の 天 敵カ プ リ ダニ の 生 活史 を、 モウソウ チクに発 生する4 種 の害虫ダ ニを餌と して、様 々な温度条件下で検討し、個体群の増殖バラメ一夕を算出・

比 較 し た 。 そ の 結 果 、 夕 ケ カ ブ リ ダ ニ がSMづ め 〆mむ の 、 ま た 輸 入 天 敵 で あ る イ朋ろり粥f甜c甜c甜聊Pm(Oudemans)カブリダニがイトマキハダニの天敵として有効である こ とを明ら かにした 。また、 行動の観 察から、造 巣性ハダ ニとそれ らの専門 的天敵の 間 に 、これま で知られ ていない 複雑な相互作用が存在することを明らかにした。これらは、

害 虫防除に おいて必 要不可欠 の、天敵 および害虫 の基礎生 態に関す る知見を 与えるも の である。

  さ らに、モ ウソウチ クの害虫 大発生の 主な原因が 、害虫ダ 二類とそ れらに特 化した天 敵 類との相 互作用系 を人為的 攪乱した ためである という仮 説の下で 、福建省 のモウソ ウ チ ク 林 を、 大 きく 粗 放 栽培 竹 林 と単 作 竹林 と に 分け て 、そ こでの害 虫と天敵 の発生状 態 を調査し 、粗放栽 培竹林に おいて有 意に天敵類 の発生が 多く、ま た害虫が 有意に低 密 度であることを明らかにした。

  本 研究の結 果は、福 建省にお ける害虫 ダニ類の大 発生が、 ほぽ時期 を同じく して国家 的 規模で行 われた多 肥・単作 竹林への 転換にとも ない、生 態系が大 きく攪乱 されたこ と に よって起 きたこと を強く示 唆してい る。また、 天敵と害 虫相互作 用に関し て得られ た 多 くの知見 は、今後 どのよう にこの農 林生態系を 修復すべ きかにつ いて、多 くの重要 な ヒントを与えており、応用生態学上、高く評価される。

  よ って 、 審 査員 一 同は , 張 籀競 が 博士 ( 農 学) の 学位 を受 けるのに 十分な資 格を有 するものと認めた.

参照

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