• 検索結果がありません。

専 門 職 学 位 論 文

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "専 門 職 学 位 論 文"

Copied!
111
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)2 0 1 0 年 度 ( 3 月 修 了 ). 早稲田大学大学院商学研究科. 専. 門. 職. 学 題. 位. 論. 文. 目. B to B 企業のブランディングにおけるデザイン性の影響. ~人材市場に対する効果からのアプローチ~. プ ロ ジ ェ ク ト 研 究. マ ー ケ テ ィ ン グ 戦 略 研 究. 指 導 教 員. 恩 蔵. 35092752-3. 学 籍 番 号 氏. 直 人. 名. 山 崎 奈 保. 1.

(2) 概要書 問題の所在と本研究の意義 本論文は 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響 」 について 、 実験式 の調査を 用いた仮説検証型の実証研究を 通じ 分析を 行っ てい る 。 本論文では B to B 企業の ブ ラ ンデ ィ ン グの中で も 特に 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性 」 の関 係に注目し 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が高い企業 の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではないか 。 」 と い う 課題に取組む こ と で 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し よ う と 試みてい る 。 本論文で 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影響 」 について研究を 行 お う と 考え たのは 、 1 つには私自身が段ボール と い う 生産財の象徴の よ う な製品を 製造す る B to B の企業に勤めてい る こ と 、 そ し て も う 1 つは美術大学でデザ イ ン を 学んだ と い う 経験を 生かす こ と がで き ないか と 考え た こ と が理由であ る 。 こ の 2 つの特徴を 生か し 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グ 」 について 「 デザ イ ン 」 の視点か ら 研究を 行 う こ と で 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの研究に新し い切 り 口を 提供で き る のではないか と 考え た 。 こ れま でに も 、 B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究 、 B to C ( 消費 財 ) 市場のブ ラ ン ド 要素に関する 研究 、 人材獲得におけ る ブ ラ ン ド の効果に関する 研究 、 では様々な も のが行われてい る 。 し か し 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではない か 。 」 と い う こ と については 、 ケ ン ウ ッ ド のCI再編や B to B の企業であ る 村田製作所のブ ラ ンデ ィ ン グの事例の よ う に 、 事例と し ては存在し て も 研究に よ っ て明ら かに さ れた こ と はなかっ た 。 そ こ で 、 本論文では B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効 果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性 」 の関係に注目し て研究を 行 う こ と で 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの研究に新し い切 り 口を 提供する 。 本論文は 5 つの章か ら 構成さ れてい る 。 序章では 、 本研究をする に至っ た問題意識や本 論文の構成を 紹介し てい る 。 第 1 章では 、 B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究 、 B to C ( 消費財 ) 市場のブ ラ ン ド 要素に関する 研究 、 人材獲得におけ る ブ ラ ン ド. 2.

(3) の効果に関する 研究 、 人材市場へ企業のブ ラ ンデ ィ ン グが好影響を 与え た事例 、 について 先行研究の調査を 行い本論文の位置づけの確認を 行っ てい る 。 第 2 章では 、 先行研究を も と に本研究の調査仮説の設定及び調査方法の設計を 行っ てい る 。 第 3 章では 、 調査票作成 のための予備調査及び調査票の設計について紹介し てい る 。 第 4 章では 、 調査の実施概要 及び仮説の検証結果を 紹介し てい る 。 終章では 、 本研究か ら 得ら れ る 実務への イ ンプ リ ケ ーシ ョ ン 及び本研究の限界 、 さ ら に今後の課題について考察を 行っ てい る 。. 調査概要と実務へのインプリケーション 本調査は2010年の 7 月16日に 、 私立の 4 年制大学でマーケテ ィ ン グ を 専攻する 学生を 対 象に実施し た 。 調査対象の学生は就職活動を こ れか ら 行 う 、 ま たは現在行っ てい る 、 も し く は行っ ていた大学 2 年生か ら 4 年生学生 195 名で 、 178 の有効回答を 得た 。 調査は 「 人材市場に対する 効果 」 の具体的なシーン と し て企業の採用活動に焦点を 当 て 、 企業を 象徴する ブ ラ ン ド 要素 と し て 「 ロ ゴマー ク 」 を 設定し 、 「 企業の ロ ゴマー ク の デザ イ ン 性 」 を 説明変数に 、 学生の企業に対する 就職活動の意向や意欲の評価を 被説明変 数に設定し て調査を 行 う こ と で 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ るデザ イ ン 性の影 響 」 を 明ら かに し よ う と 試みてい る 。 本論文では 「 ロ ゴマー ク の有無 」 や 「 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の高低 」 が学生の評価に 影響を 与え る のではないかな ど 合計で11個の仮説を 設定し てい る 。 仮説検証の結果 、 ロ ゴ マー ク を 有し ていない企業よ り も 有し てい る 企業の方が 、 学生か ら 就職活動の意向や意欲 について 総じ て高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら に 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性 が低い企業よ り も 高い企業の方が 、 ロ ゴマー ク が企業の特性を 表現し ていない企業よ り も 表現し てい る 企業の方が 、 同様に学生か ら 高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら に ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と 就職活動の意向や意欲の間には 、 強い正の相関がみ ら れた 。 ま た ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が学生の就職活動の意向や意欲の評価に与え る 影響は 、 男性よ り も 女性の方が強い こ と も 明ら か と な っ た 。 本研究の結果 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの人材市場への効果では 、 ブ ラ ン ド の 「 デ ザ イ ン 」 が重要な影響を 与え てい る こ と が明ら か と な っ た 。 つま り 本研究の結果は 、 B to B の企業であ っ て も ブ ラ ン ド を 構築する 際には 、 ロ ゴマー ク をは じ め と する ブ ラ ン ド の 「 デザ イ ン 」 について 、 慎重に検討する 必要があ る こ と を 示唆し てい る 。 一方で本研究の限界と し ては 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効. 3.

(4) 果 」 のみに注目し てお り 、 「 営業活動に対する 効果 」 については取 り 上げていない点や 、 ブ ラ ン ド 要素を 「 ロ ゴマー ク 」 のみに限定し てい る 点 、 ま たプ ロ モーシ ョ ンや広告活動な ど のブ ラ ン ド ・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン と 組み合わせた場合の影響については検証し ていない 点 、 デザ イ ン 性の影響を 同業種 ・ 同規模の企業で比較し てい る 点 、 な ど を 挙げ る こ と がで き る 。 今後の課題と し ては 、 上記の限界を 踏ま え てブ ラ ン ド のデザ イ ン 性の営業活動に対 する 効果や 、 ロ ゴマー ク 以外のブ ラ ン ド 要素での検証 、 ブ ラ ン ド ・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ン を 組合せた場合の効果 、 な ど についての研究の可能性が考え ら れ る 。 上記の よ う な限界はあ る も のの 、 本研究の結果 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ンの重要性について明ら かにで き た こ と は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの研究に 「 デザ イ ン 」 と い う 新し い切 り 口を 与え る も の と し て 、 研究の発展に貢献で き た と 考え る。. 4.

(5) 目次 序章 第 1 節 本研究の背景と 目的 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 7 第 1 項 問題の所在 第 2 項 研究の概要と 意義 第 3 項 論文の構成 第 2 節 用語の整理 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 10 第 1 項 企業間取引に関する 用語 第 2 項 略称の表記方法 第 3 項 ブ ラ ン ド 要素に関する 用語. 第 1 章 研究の背景と 本論文の位置づけ 第 1 節 先行文献の調査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 15 第1 項. B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究. 第2 項. B to C ( 消費財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究. 第 3 項 人材獲得におけ る ブ ラ ン ド の効果に関する 研究 第 2 節 企業のブ ラ ンデ ィ ン グが人材市場へ好影響を 与え た事例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 28 第1 項. ケ ン ウ ッ ド のCI再編. 第 2 項 村田製作所のブ ラ ンデ ィ ン グ. 第 2 章 仮説と 調査方法の設計 第 1 節 仮説の設定 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 34 第1 項. ロ ゴマー ク の性質の違いに よ る 影響. 第 2 項 企業の性質の違いに よ る 影響 第 3 項 調査対象の属性の違いに よ る 影響 第 2 節 調査方法の設計 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 39 第 1 項 調査の目的と 調査方法 第 2 項 調査対象と 調査に使用する 業界の設定 第 3 項 ブ ラ ン ド を 象徴する 要素の設定. 5.

(6) 第 3 章 予備調査及び調査票の作成 第 1 節 予備調査 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 44 第 1 項 予備調査 ( 1 ). 学生が就職活動時に重視する 企業情報. 第 2 項 予備調査 ( 2 ). 就職活動で重視する 企業イ メ ージ. 第 3 項 予備調査 ( 3 ). ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性の確認. 第 2 節 調査票の作成 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 47 第 1 項 調査票の作成及び調査実施時におけ る 配慮点 第 2 項 質問項目 第 3 項 調査票の構成 第4 項. ロ ゴマー ク の作成におけ る 色や形の設定. 第 4 章 本調査の実施と 分析結果 第 1 節 本調査の実施 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 54 第 1 項 本調査の実施概要 第 2 節 分析結果 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 55 第 1 項 母集団の当分散性の確認 第 2 項 分析に使用する 説明変数と 被説明変数 第 3 項 仮説の検証結果. 終章 第 1 節 研究のむすび ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 76 第 1 項 本研究か ら 得ら れ る イ ンプ リ ケーシ ョ ン 第 2 項 本研究の限界 第 3 項 今後の課題 謝辞 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 82 参考文献 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 83 付録 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 88. 6.

(7) 序章 第1 節 本研究の背景と目的 第1 項 問題の所在 本論文は 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド のデ ザ イ ン 性 」 の関係に注目する こ と で 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではないか 。 」 と い う 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 を 明ら かに し よ う と 試 みてい る 。 私が今回こ のテーマについて研究し よ う と 考え たのは 、 「 B to B 企業のブ ラ ン デ ィ ン グ 」 と 「 デザ イ ン 」 の 2 つについて実務や経験を 通じ 興味を 持つ よ う にな っ たか ら だ。 1 つ目の 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グ 」 について興味を 持つよ う にな っ たのは 、 私自 身が B to B の 、 それ も 段ボール と い う 生産財の象徴の よ う な製品を 製造する 企業に勤めて お り 、 段ボールをは じ め と する 包装資材の よ う に コ モデ ィ テ ィ 化し た製品を 扱 う 生産財 メ ーカーが陥っ てい る 「 低利益率の業界体質 」 に危機感を 感じ る よ う にな っ たか ら であ る 。 特に 、 私が勤務する 大手包装資材 メ ーカーの主幹製品であ る 段ボールは 、 品質の差がほ と んど な く 、 各社の品ぞろ え も 拮抗し 、 供給量が飽和状態に達し てい る な ど 、 ま さ に 「 企 業間の技術的水準が次第に同質と な り 、 供給さ れ る 製品やサービ ス の本質的部分での差別 化が困難で 、 顧客側か ら はほ と んど 違いを 見出す こ と がで き ない 。 」 ( 恩藏 2007 ) が示 す よ う な 、 コ モデ ィ テ ィ と し ての特徴を 備え た製品であ る 。 結果と し て段ボール業界は常 に熾烈な価格競争に さ ら さ れ る 厳し い業界と な り 、 業界全体が低利益率の体質と な っ てい る 。 さ ら に最近では環境意識の高ま り や容器包装 リ サ イ ク ル法の改正の影響等を 受け 、 段 ボールな ど の包装資材の使用を で き る 限 り 削減し よ う と する 風潮が益々強ま っ てお り 、 包 装資材市場の縮小も 避けては通れない道と な り つつあ る 。 上記の よ う な厳し い環境の中で も 、 コ モデ ィ テ ィ 化し た製品を 扱 う 生産財 メ ーカーが生 き 残っ てい く ためには 、 何ら かの方法に よ っ て他社と の差別化を 図 り 、 顧客か ら 選ばれ る 企業にな っ ていかな く てはな ら ない 。 Bendixen, Bukasa and Bendixen ( 2004 ) は企業が生産 財を 購入する 際に重視し てい る 項目と し て 「 価格 」 「 デ リ バ リ ー 」 「 製品性能 」 「 サポー. 7.

(8) ト ・ サービ ス 」 「 ブ ラ ン ド 」 の 5 つの項目を 挙げてい る 。 こ の中で 「 価格 」 での競争を 避 け よ う と し た場合 、 「 価格 」 以外で大き く 差別化で き る 可能性が残っ てい る 項目と し て は 、 「 ブ ラ ン ド 」 し かないのではないか と 考え る よ う にな っ た 。 2 つ目の 「 デザ イ ン 」 について 興味を 持っ たのは 、 私が美術大学でデザ イ ン を 学んでい た こ と が最大の理由であ る 。 私自身が大学でデザ イ ン を 学んだ と い う 経験を 生かす こ と に よ っ て 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グ を 「 デザ イ ン 」 と い う 新し い切 り 口で研究で き る の ではないか と 考え た 。 以上の よ う に 、 私は実務や経験を 通じ 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グ 」 と 「 デザ イ ン 」 について特に興味を 持つよ う にな っ た こ と か ら 、 本論文で 「 B to B 企 業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 について研究を 行っ た 。 本論文では B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 に注目し 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し よ う と 試みてい る。. 図表 序-1. 本 研究 の ア プ ロ ー チ イ メ ー ジ. こ こ で人材市場に注目し たのは大島 ( 2007 ) の村田製作所の事例に も あ る よ う に 、 日本 の B to B 企業でブ ラ ンデ ィ ン グに力を 入れ る 場合 、 人材市場に対する 効果を 目的と する こ と が多いか ら であ る 。 近年では B to B 企業において も ブ ラ ンデ ィ ン グの重要性は十分に認 識さ れつつあ る 。 し か し 現場レベルにおいては 「 一般消費者がお客ではないので 、 コーポ. 8.

(9) レー ト ・ ブ ラ ン ド に力を 入れて も 意味が無い 」 や 「 広告な ど を し てい る と 顧客か ら 値下げ 要求を さ れ る 」 な ど 、 ブ ラ ンデ ィ ン グの重要性は も ち ろん 、 ま し てやデザ イ ン 性の善し 悪 し な ど についてはほ と んど 考慮さ れていないのが現状であ る 。 そ こ で本研究を 通じ て B to B 企業におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グ 、 さ ら にはそのデザ イ ン 性の影響を 明ら かにす る こ と に よ っ て 、 B to B 企業におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グの新し い価値の発見に貢献し たい 。. 第2 項 本研究の概要と意義 本論文では B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 に注目し 、 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 の一端を 明ら かに し よ う と 試みてい る 。 本論文は実験式の調査を 用いた仮説検証型の実証論文であ る 。 本調査は2010年の 7 月 16日に 、 私立の 4 年制大学でマーケテ ィ ン グ を 専攻する 学生を 対象に 、 質問紙法を 用いて 実施し た 。 調査対象の学生は就職活動を こ れか ら 行 う 、 ま たは現在行っ てい る 、 も し く は 行っ ていた大学 2 年生か ら 4 年生学生 195 名で 、 178 の有効回答を 得た 。 仮説の検証は 「 企業の ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性 」 を 説明変数と し 、 学生の 「 興味を 感じ る 企業の順位 」 及び 「 印象 」 「 会社に対する 興味 」 「 会社について調べてみたいか 」 「 会 社説明会に参加し てみたいか 」 「 エ ン ト リ ーを し てみたいか 」 の評価を 被説明変数と し て 統計的分析を 用いて行っ た 。 分析の結果 、 ロ ゴマー ク を 有し ていない企業よ り も 有し てい る 企業の方が 、 学生か ら 就職活動の意向や意欲について 総じ て高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら に 、 ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が低い企業よ り も 高い企業の方が 、 ロ ゴマ ー ク が企業の特性を 表現し ていない企業よ り も 表現し てい る 企業の方が 、 同様に学生か ら 高い評価を 得る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら に ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性と 就職活動の意向 や意欲の間には 、 強い正の相関がみ ら れた 。 ま た ロ ゴマー ク のデザ イ ン 性が学生の就職活 動の意向や意欲の評価に与え る 影響は 、 男性よ り も 女性の方が強い こ と も 明ら か と な っ た。 本研究を 行っ た結果 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの人材市場に対する 効果では 、 ブ ラ ン ド の 「 デザ イ ン 」 が重要な影響を 与え てい る こ と が明ら か と な っ た 。 つま り 本研究の結 果は 、 B to B の企業であ っ て も ブ ラ ン ド を 構築する 際には 、 ロ ゴマー ク をは じ め と する ブ ラ ン ド の 「 デザ イ ン 」 について 、 慎重に検討する 必要があ る こ と を 示唆し てい る 。. 9.

(10) 第3 項 本論文の構成 本論文は大き く 5 つの章か ら 構成さ れてい る 。 序章では 、 本研究をする に至っ た問題意 識や本論文の構成を 紹介し てい る 。 第 1 章では 、 B to B ( 生産財 ) 市場のブ ラ ンデ ィ ン グ に関する 研究 、 B to C ( 消費財 ) 市場のブ ラ ン ド 要素に関する 研究 、 人材獲得におけ る ブ ラ ン ド の効果に関する 研究 、 人材市場へ企業のブ ラ ンデ ィ ン グが好影響を 与え た事例 、 に ついて先行研究の調査を 行い本論文の位置づけの確認を 行っ てい る 。 第 2 章では 、 先行研 究を も と に本研究の調査仮説の設定及び調査方法の設計を 行っ てい る 。 第 3 章では 、 調査 票作成のための予備調査及び調査票の設計について紹介し てい る 。 第 4 章では 、 調査の実 施概要及び仮説の検証結果を 紹介し てい る 。 終章では 、 本研究か ら 得ら れ る 実務への イ ン プ リ ケーシ ョ ン及び本研究の限界 、 さ ら に今後の課題について考察を 行っ てい る 。. 第2 節 用語の整理 第1 項 企業間取引に関する用語 は じ めに本論文で使用し てい る 用語について 整理を 行っ た 。 本論文では 「 マーケテ ィ ン グ 」 「 ブ ラ ン ド 」 「 ブ ラ ンデ ィ ン グ 」 と いっ た用語の前に 、 「 生産財 」 や 「 B to B 」 と い う 用語を 合わせて使用する 場合があ る 。 高嶋 、 南 ( 2006 ) は企業間取引すなわち 、 売 り 手 企業が消費者個人ではな く 企業 ・ 組織を 対象に製品 ( サービ ス を 含む ) を 販売する 場合 、 取引の目的が 「 ( 1 ) 顧客の生産活動目的 」 「 ( 2 ) オ フ ィ ス な ど での組織的利用 」 「 ( 3 ) 流通業者に よ る 再販売目的 」 と い う 3 つに分かれ る 事を 指摘し てい る 。 さ ら に こ の 3 つの目的の う ち ( 1 ) と ( 2 ) に当た る 、 生産活動目的と 組織利用の製品需要に対す る 企業 ・ 組織向けのマーケ テ ィ ン グの こ と を 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 と 定義し てい る 。 一方で 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 ではな く 「 B to B マーケテ ィ ン グ 」 と 呼ぶ場合は 、 生 産活動目的以外に使用さ れ る 製品やサービ ス のマーケ テ ィ ン グ も 含まれ る 。 つま り 「 B to B マーケテ ィ ン グ 」 の方が 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 よ り も よ り 広義の意味を 持つ も の と し て 2 つの用語を 使い分けてい る 。 ま た 、 個人や家庭ではな く 営利企業 ・ 政府機関 ・ 公益機関な ど の組織を 対象と し たマー ケ テ ィ ン グについて研究を 行っ た Hutt and Speh ( 2004 ) も 、 こ の分野の呼び方には 、 提供 さ れ る 財の特性に注目し た 「 生産財マーケテ ィ ン グ 」 、 顧客の組織性に注目し た 「 ビ ジネ. 10.

(11) ス ・ マーケテ ィ ン グ ( 事業者向けマーケテ ィ ン グ ) 」 、 売 り 手と 買い手が両方と も 事業者 であ る こ と に注目し た 「 ビ ジネ ス ・ ト ゥ ・ ビ ジネ ス ( B to B /B2B ) マーケ テ ィ ン グ 」 、 Hutt and Speh ( 2004 ) が採用し てい る 「 Industrial Markets ( 産業向け用途市場 ) 」 と い う 副題付き の 「 Business Marketing ( ビ ジネ ス ・ マーケ テ ィ ン グ ) 」 と い う よ う に 、 複数の方 法が存在する こ と を 指摘し てい る 。 し か し Hutt and Speh ( 2004 ) の翻訳を 行っ た笠原は 、 こ れ ら の呼び方に多尐の語感の違いはあ る も のの 、 企業をは じ め と する 組織が顧客と な る マーケテ ィ ン グ と い う 点で共通し てお り 、 ニ ュ ア ン ス の違いを 細か く 議論する 特別な意味 はない と の考え を 示し てい る 。 そ し て Hutt and Speh ( 2004 ) の翻訳においては 「 産業財マ ーケ テ ィ ン グ 」 と い う 訳を 適用し てい る 。 そ こ で本論文においては 、 企業をは じ め と する 組織が顧客と な る こ と を 表わす表現と し ては 、 基本的には 「 B to B 」 と い う 用語を 用いてい る 。 その中で も 特に生産に使用さ れ る 財を 示す場合には 「 生産財 」 と い う 用語を 用い る こ と と し た 。 こ れ ら の用語間の意味の違 いについては Hutt and Speh ( 2004 ) の翻訳を 行っ た笠原の意見を 参考に し 、 ほ と んど 違い はない も の と みなす こ と と し た 。. 第2 項 略称の表記方法 ま た企業間取引を 表わす表記方法は 「 B to B 」 「 B2B 」 「 Business to Business 」 な ど 、 幾 つかのパ ターンが存在する が 、 本論文では表記は全て 「 B to B 」 に統一し て用いてい る 。 ただ し 文献を 引用し た際に 、 引用元の文献で 「 B to B 」 以外の表記方法が使用さ れてい る 場合は 、 文献で使用さ れてい る 表記方法を 踏襲する 。 ま た企業間取引を 「 B to B 」 と 表記 する こ と か ら 、 企業対一般消費者間の取引を 「 B to C 」 と 表記する 。 文献での使用方法が 異な る 場合は 、 「 B to B 」 の場合と 同様に対処する 。. 第3 項 ブランド要素に関する用語 本論文では 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響に注目し てい る 。 そ こ でブ ラ ン ド 要素の中で も 特に 「 ロ ゴマー ク 」 について 用語の整理を 行っ た 。 ロ ゴマー ク をは じ め と する 企業 ・ 製品が も つマー ク の分類や呼び方は研究者に よ っ て異. 11.

(12) な っ てお り 、 統一さ れていないのが現状であ る 。 例えば Keller ( 2008 ) は 、 ロ ゴには独特 の書体で書かれた企業名や商標 ( 文字だけで作っ た ワー ド ・ マー ク ) か ら 、 企業名 ・ 企業 活動と 関係ない抽象的デザ イ ンの 「 シ ンボル 」 に至る ま で 、 様々な タ イ プが存在し 、 多 く の ロ ゴが ワー ド ・ マー ク と シ ンボルの両極の中間に位置する と 指摘し てい る 。 一方で小川 ( 2009 ) は 、 ロ ゴマー ク は日本の法律では 「 表章 」 と 呼ばれてい る も のを 指 し 、 ロ ゴマー ク には 「 ワー ド マー ク 」 と 「 シ ンボルマー ク 」 の 2 つがあ る と し てい る 。. 図表 序-2. ロ ゴ マ ー ク と 商標 の分 類. ( 出所 ) 小川 ( 2009 ) 641 ペ ー ジ よ り 作成. ワー ド マー ク は文字表章と も 呼ばれ 、 企業名や団体名をデザ イ ン し た も のであ る 。 一方 でシ ンボルマー ク は記号表章と も 呼ばれ 、 人物 、 団体組織な ど の表示対象を 記号化し た も のであ る 。 さ ら に こ の ロ ゴマー ク の う ち 、 商業的に使用さ れてい る も のを 「 商標 」 と い い 、 商標の種類と し て文字商標 ・ 図形商標 ・ 記号商標 ・ 総合商標の 4 つを 挙げてい る 。 文 字商標は企業名やブ ラ ン ド 名をデザ イ ン し た も のであ る 。 図形商標は名前や商品内容を 図 形化し た も のであ る 。 記号商標は表示対象を 記号化し た も ので文字商標と 記号商標の中間 的な形態であ る 。 総合商標は文字商標 ・ 図形商標 ・ 記号商標を 組み合わせた商標であ る 。 さ ら に芳賀 、 八つ橋 ( 2002 ) は 、 ロ ゴの タ イ プを 大き く 企業ロ ゴ と 商品ロ ゴに分けそれ. 12.

(13) ぞれに 、 主に文字を 用いた ワー ド ・ マー ク と 、 主に図形を 用いたシ ンボル ・ マー ク があ る と し てい る 。 ワー ド ・ マー ク は独特の書体で書かれた企業名や商標の こ と で 、 シ ンボル ・ マー ク は ワー ド ・ マー ク 以外の図形を 中心と し て表現さ れた ロ ゴ の こ と であ る 。. 図表 序-3. ロ ゴ の種類 と タ イ プ 企業ロゴと商品ロゴ. 商品のユニークさを伝達するために商品ブランドが、商品間の共有情報を伝達したり、企業ブランドとの相乗効果を発揮させるため に、企業ブランドが必要であることから、企業ブランドと商品ブランドはその両方が一緒に用いられることが一般的である。. 分類. ロゴの種類. ロゴの役割・機能. ロゴの選択基準とデザイン. 企業ロゴ. 商品との結び つけを目的とするなら ば、ワー ド・マー クを選択 企業ロゴの役割は、商品に企業ロゴ するべきである。しかし5文字以上の連なりは認識されにくいの を付けることで起業と商品を結び付 で、シンボル性を持たせると効果的である。企業ロゴ にシ ンボ けること、企業名に結び付いた様〄 ル・マークを用いる場合は、そのシ ンボル・マー クが特定の企 な連想の想起、等である。 業を表わすという認識が予め確立されている必要がある。. 商品ロゴ. 商品ロゴ では商品名を認知させるため 、多くの場合ワー ド・ 特定のター ゲ ット に当該 商品 のユ マークが用いられる。しかしワード・マークであっ ても 商品の特 ニー ク な特徴、機能、ベネフ ィッ トな 徴を素早く伝えられるように、より独自性を持たせる工夫が必 どを視覚的に伝達。 要である。しかしサービスなど無形の商品においてはシ ンボ ル・マークも有効である。. 種類. ブランドネームをそのまま文字で表現したもの。(ルイ・ヴィトン等のように文字の一部を用いて図案 化したものはシンボル・マークの一種とする)ワード・マークの基本的な役割は、無ラ ンド・ネーム を素 ワード・マーク 早く正確に伝達することにある。したがって視認性や可読性が高いこ とがまず 重要になる。また視覚 的訴求力に弱いが、ユニークな書体を用いたり、色を工夫することによって、ブ ランドのイメ ージ や意 味を伝達できることもある。. タイプ. シンボル・ マーク. ブランド・ネームのイニシャルや人物、動物、風景など をモ チー フにした具体的なものから 抽象的な 図案まで幅広い種類が存在する。シンボル・マークはブランドを象徴する図形であり、企業の理念や アイデンティティ、商品の特徴、機能、ベネフィット、コンセプトなど、何ら かの意味を伝達す る役割を 果たす。. ( 出所 ) 芳賀 、 八 つ 橋 ( 2002 ) 44 ペ ー ジ か ら 48 ペ ー ジ よ り 作成. し たがっ て芳賀 、 八つ橋 ( 2002 ) は 、 ロ ゴには ワー ド ・ マー ク が有し てい る 言語的な も の ( ソ ニーやエル メ ス ) か ら 、 抽象的で非言語的な も の ( 花王の月マー ク やナ イ キの ス ウ ォ ッ シ ュ ) ま で 、 様々な タ イ プがあ る と 指摘し てい る 。 ま た原田 ( 1989 ) は 、 シ ンボルは 「 シ ンボルマー ク 」 と 「 ロ ゴマー ク 」 の 2 つの種類に わけ る こ と がで き る と し てい る 。 シ ンボルマー ク と は単純な図形で表わせる シ ンボルの こ と で 、 文字な ら ば 1 文字か 2 文字 、 あ る いは他の形を モチーフ と し た比較的ま と ま り のあ る シ ンボルの こ と だ と し てい る 。 一方で ロ ゴマー ク は社名やブ ラ ン ド 名な ど 、 その名称を. 13.

(14) 表わす一連の文字全体をデザ イ ン し てシ ンボル化し た も のであ る と し てい る 。 以上の よ う に 、 ロ ゴマー ク をは じ め と する 企業 ・ 製品が も つマー ク の分類や呼び方は 、 研究者に よ っ て異な っ てい る 。 そ こ で本研究においては 、 先行研究を も と 下図の様に改め て用語の整理を 行っ た 。 本研究では 、 まず こ れ ら の最も 大き な く く り を 「 シ ンボル 」 と し 、 ブ ラ ン ド を 象徴する あ ら ゆ る 要素を 表わす広義の意味で用いてい る 。 さ ら にシ ン ボ ル ・ マー ク やワー ド ・ マー ク 、 その他の各表章を 代表する 用語と し て 「 ロ ゴマー ク 」 を 用 いてい る 。 上記の整理を 反映し 、 本論文の中でブ ラ ン ド のマー ク について記載する 場合は 「 ロ ゴマー ク 」 に統一し て表記する こ と と し た 。. 図表 序-4. ロ ゴ に 関 す る 用語 の 位 置 づ け. 14.

(15) 第 1 章 研究の背景と本論文の位置づけ 第1 節. 先行研究の調査. 第1 項 B to B ( 生産財 ) 市場のブランディングに関する研究 本論文では 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グの 「 人材市場に対する 効果 」 と 「 ブ ラ ン ド の デザ イ ン 性 」 の関係に注目す る こ と で 、 「 B to B 企業が採用活動を 行 う 際に 、 企業ブ ラ ン ド のデザ イ ン 性が高い企業の方が 、 就職活動を 行 う 学生か ら 選ばれやすいのではない か 。 」 と い う 「 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る デザ イ ン 性の影響 」 を 明ら かに し よ う と 試みてい る 。 は じ めに関連する 分野の先行研究及び事例の調査を 行っ た 。 本研究で は 、 先行研究を 大き く 3 つの視点か ら 調査し てい る 。 それは 「 B to B 市場のブ ラ ンデ ィ ン グに関す る 研究 」 「 B to C 市場ブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る 、 ブ ラ ン ド 要素の研究 」 「 人材獲 得におけ る ブ ラ ン ド の効果に関する 研究 」 の 3 つであ る 。 生産財取引には 、 高嶋 、 南 ( 2006 ) が言 う よ う に 「 合目的性 」 「 継続性 」 「 総合依存 性 」 「 組織性 」 の 4 つの特徴があ る 。 そのため 「 バ イ ヤーの意思決定は合理的な理由に よ る 判断に基づいて行われ る ので 、 非合理的なブ ラ ン ド はほんど 重要性を 持たない 。 」 ( Rosenbroijer 2001 ) と い う 考え方が根強 く 残っ てお り 、 ブ ラ ン ド の効果については懐疑的 な見方も 多かっ た 。 崔 ( 2008 ) に も あ る よ う に 、 こ れ ま でブ ラ ン ド の研究のほ と んどは消 費者を 対象に行われ 、 生産財にはあ ま り 関心が向け ら れて こ なかっ た 。 し か し 最近では Tybout and Calkins ( 2005 ) や余田 ( 2006 ) に も あ る よ う に 、 B to B 企業 も ブ ラ ンデ ィ ン グ を 重視すべき だ と い う 意見が強ま っ てい る 。 Kotler and Pfoertsch ( 2006 ) はその理由と し て次の 3 つを 挙げてい る 。. ( 1 ) 似通っ た商品 ・ サービ ス の増殖に よ っ て差別化が難し く な っ てい る こ と ( 2 ) 商品と サービ ス を 組合せた ソ リ ュ ーシ ョ ン 型の複雑な商品の台頭 。 ( 3 ) 価格引下げ圧力の一層の強ま り 。. さ ら に Keller ( 2008 ) は生産財及び B to B 製品のマーケテ ィ ン グにおいては 、 消費財と 異な る ブ ラ ンデ ィ ン グ活動が必要な場合があ る と 指摘し 、 「 戦略的ブ ラ ン ド マネジ メ ン ト. 15.

(16) 第 3 版 」 の中で 、 生産財及び B to B 製品のブ ラ ンデ ィ ン グに対する 以下の よ う な 5 つの追 加的なガ イ ド ラ イ ン を 提示し てい る 。. ( 1 ) 生産財企業は製品ラ イ ンの数が多 く 製品バ リ エーシ ョ ンが複雑であ る 。 そのた め論理的で明快なブ ラ ン ド 階層を 構築する 必要があ る 。 そ こ で有名で一目置か れてい る 企業名と 製品モデ ィ フ ァ イ アーを 組み合わせたサブ ・ ブ ラ ン ド の構築 な ど 、 コ ーポ レー ト ・ ブ ラ ンデ ィ ン グやフ ァ ミ リ ー ・ ブ ラ ンデ ィ ン グ を 採用し た明確なブ ラ ン ド 階層の構築が有効であ る 。 ( 2 ) そ も そ も 生産財は機能性や費用対効果の製品関連連想が強い製品であ る 。 し か し 消費財の よ う にパフ ォーマ ン ス 非関連連想に結びつけ る こ と も 、 新し いブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の構築につなが る 方法であ る 。 ( 3 ) 生産財のマーケテ ィ ン グは顧客と 直接 、 も し く は対面での コ ミ ュ ニケーシ ョ ン が多 く な る 傾向があ る 。 し か し 広告な ど の間接的な コ ミ ュ ニケーシ ョ ン手段を 適度に組み合わせる こ と で 、 認知やブ ラ ン ド 連想の強化につなが り 、 よ り 効果 的な コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ンに発展さ せ る こ と がで き る 。 ( 4 ) 自社の製品やサービ ス の顧客であ る 企業を 明ら かにする こ と で 、 顧客であ る 他 社のエ ク イ テ ィ を 活用し 、 二次的連想の強化につなげ る 。 ( 5 ) 生産財の顧客は 1 つの企業であ っ て も 、 エン ジニアや経理担当者 、 購買責任者 な ど 複数のセグ メ ン ト の顧客が同時に存在する 。 そのためそれぞれのセグ メ ン ト に共通する ポ イ ン ト を し っ か り と 押さ え 、 さ ら にその上に よ り 細かな顧客セ グ メ ン ト に合わせた コ ミ ュ ニケーシ ョ ン を 行 う 必要があ る 。. 上記の よ う に 、 最近では B to B 企業において も ブ ラ ンデ ィ ン グの重要性が高ま っ てい る 。 こ の よ う な中で 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおいて も 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ を 構成する 要素に注目し た研究がな さ れ る よ う にな っ てい る 。 B to B において ど の よ う な要 素がブ ラ ン ド 価値の構築につなが る のか 、 と い う ブ ラ ン ド の価値を 構成する 要素に関する 研究と し ては 、 まず Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) の生産財商品の購入におけ る ブ ラ ン ド 価値構成モデルに関する 研究を 挙げ る こ と がで き る 。 Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) は生産財の購入プ ロ セ ス のモデルか ら 「 製品性能 」 「 デ リ バ リ ー 」 「 サポー ト ・ サービ ス 」 「 企業業績 」 の 4 つの要素を 基本的な柱と する 、. 16.

(17) 生産財商品の購入におけ る ブ ラ ン ド 価値構成モデルを 構築し てい る 。 さ ら にそのモデルを イ ギ リ ス のベア リ ン グ精密機器を 扱 う メ ーカー 、 卸売業者 、 購入者15名に対し 詳細な イ ン タ ビ ューを 行っ た結果と 照ら し 合わせて 、 構築し たモデルについて検証を 行っ てい る 。. 図表 1-1. ブ ラ ンデ ィ ング ・ システム. ( 出所 ) Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) 439 ペ ー ジ よ り 作成. 図表 1-2. カ ス タ マ ー ・ ブ ラ ン ド ・ バ リ ュ ー の 風 車 を 構成 す る 要素 の例. ( 出所 ) Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) 435 ペ ー ジ よ り 作成. 17.

(18) その結果 、 今回作成し た生産財商品の購入におけ る ブ ラ ン ド 価値構成モデルでは 、 全て の現象を 説明し き る こ と はで き なかっ た 。 し か し こ の研究を 通じ て 、 生産財と 消費財のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る 相違点が明ら か と な っ た 。 例えば生産財商品の購入の意思決定で重 視さ れ る 項目が製品や業界の特性に よ っ て異な る 点や 、 意思決定が組織的に行われてい る 点 、 ま た買い手と 供給業者の間に リ レーシ ョ ン シ ッ プが形成さ れてい る 場合があ る こ と な ど が挙げ ら れ る 。 以上よ り 、 Mudambi, Doyle, and Wong ( 1997 ) は生産財ブ ラ ンデ ィ ン グに 消費財ブ ラ ンデ ィ ン グの方法論を その ま ま 水平展開さ せる こ と は難し い と い う 示唆を 与え てい る 。 他には Bendixen, Bukasa and Bendixen ( 2004 ) が行っ た 、 B to B ブ ラ ン ド のブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の源泉と な る 要因に関する 研究を 挙げ る こ と がで き る 。 Bendixen, Bukasa and Bendixen ( 2004 ) は B to B で取扱われ る 製品におけ る ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の存在の確認 する ために 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の源泉と な る 要因及び 、 効果的な コ ミ ュ ニケーシ ョ ン ・ チ ャ ンネル 、 さ ら にブ ラ ン ド 重要性について研究を 行っ てい る 。 Bendixen, Bukasa and Bendixen ( 2004 ) は成熟市場と し て中型の屋内のブ レーカーパネル市場を 設定し 、 中型の 屋内のブ レーカーパネルの購入を 検討し てい る 南ア フ リ カの生産財 メ ーカーの DMU ( 意 思決定部門 ) で働 く 54人に対し て ア ン ケー ト 調査を 行っ てい る 。. 図 表 1-3 ブラ ンド によ る価 格 プレ ミア ムの 効果. ( 出所 ) Bendixen, Kalala, and Abrattb ( 2004 ) 377 ペ ー ジ よ り 作成. 18.

(19) そのデー タ と 購買プ ロ セ ス において重要な要因であ る 「 ブ ラ ン ド 」 「 価格 」 「 納期 」 「 技術 」 「 保守整備 」 の 4 つの要因を 用いて分析を 行っ てい る 。 その結果 、 名前が有名な ブ ラ ン ド 力のあ る 企業の方が 、 よ り 高い価格プ レ ミ ア ムが得ら れ る こ と が明ら か と な っ た 。 さ ら にブ ラ ン ド 力のあ る 企業の方が 「 ハ ロ ー効果 」 が得ら れ る こ と 、 ま たブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の源泉と な る 要因と し て 、 デ リ バ リ ーな ど の 「 知覚品質 」 が重要であ る こ と 、 さ ら に効果的な コ ミ ュ ニケーシ ョ ン方法と し てバ イ ヤーの主な情報源と な っ てい る 展示会 等が有効であ る こ と 、 な ど を 指摘し てい る 。 最近ではKuhu, Alpert, and Pope ( 2008 ) が行っ た 、 Keller の顧客ベース のブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ ・ ピ ラ ミ ッ ド を 、 B to B ブ ラ ン ド に応用する 試みを 挙げ る こ と がで き る 。 下図の右 側のピ ラ ミ ッ ド は Keller の顧客ベース のブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ ・ ピ ラ ミ ッ ド を B to B に応 用し た も のであ る 。 Kuhu, Alpert, and Pope ( 2008 ) の図に よ れば B to B ブ ラ ン ド の構築の最 も ベース と な る も のは 、 個別商品のブ ラ ン ド ではな く コーポ レー ト ・ ブ ラ ン ド の認知と な っ てい る 。 次の段階では 、 企業の レ ピ ュ テーシ ョ ン ( 評判 ) が B to C におけ る イ メ ージに 取っ て代わっ てい る 。. 図表 1-4. B to Bに 応用 し た ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ ・ ピ ラ ミ ッ ド. ( 出所 ) Kuhu, Alpert, and Pope ( 2008 ). 42 ペ ー ジ 及 び 50 ペ ー ジ よ り 作成. 19.

(20) さ ら にその次の段階であ る レ ス ポ ン ス においては 、 B to C のフ ィ ー リ ン グの代わ り に営 業担当者と の関係があ てはめ ら れてい る 。 そ し て最後の B to C の リ レーシ ョ ン シ ッ プの段 階では 、 B to C と はやや異な り 、 自社に と っ て最適な ソ リ ューシ ョ ンの提案であ る と か 、 ビ ジネ ス 上のパー ト ナーシ ッ プが感じ ら れ る か と い う 「 パー ト ナーシ ッ プ ・ ソ リ ュ ーシ ョ ン 」 が置かれてい る 。 以上の よ う に B to B において も ブ ラ ン ド 価値を 構成する 要素についての研究はな さ れて い る 。 し か し B to B においては 「 合目的性 」 と い う よ う な取引の特徴や 、 価格や性能な ど の製品関連連想が強い と い う よ う な影響で 、 Keller ( 2008 ) が代表的なブ ラ ン ド 要素し て 挙げてい る よ う な 、 「 ブ ラ ン ド ・ ネーム 」 「 URL 」 「 ロ ゴ 」 「 シ ンボル 」 「 キ ャ ラ ク タ ー 」 「 ス ポー ク スパー ソ ン 」 「 ス ロ ーガ ン 」 「 ジ ン グル 」 「 パ ッ ケージ 」 「 サ イ ネージ ( 記号 ) 」 と いっ た 、 製品非関連連想についての研究は 、 ま だあ ま り な さ れていない 。. 第2 項 B to C ( 消費財 ) 市場のブランディングに関する研究 一方で B to C 市場においては 「 ブ ラ ン ド ・ ネーム 」 「 URL 」 「 ロ ゴ 」 「 シ ンボル 」 「 キ ャ ラ ク タ ー 」 「 ス ポー ク スパー ソ ン 」 「 ス ロ ーガン 」 「 ジ ン グル 」 「 パ ッ ケージ 」 「 サ イ ネージ ( 記号 ) 」 と いっ た製品非関連連想のブ ラ ン ド 要素に関する 研究も 盛んであ る 。 例 えば Aaker ( 1991 ) がブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の中心的な要素と し て挙げてい る 「 ブ ラ ン ド のシ ンボル 」 と し て最も よ く 用い ら れ る 「 ロ ゴマー ク 」 につて も 、 様々な研究がな さ れて いる 。 ロ ゴマー ク に関する 最も 代表的な研究と し ては 、 Henderson and Cote ( 1998 ) の ロ ゴマー ク 作成 ・ 修正時のガ イ ド ラ イ ンに関する 研究を 挙げ る こ と がで き る 。 Henderson and Cote ( 1998 ) は ロ ゴマー ク の重要なデザ イ ン 特性と し て 「 ナチ ュ ラ ル ( 具象性 ・ 有機性 ) 」 「 ハーモニー ( 対称性 ・ バ ラ ン ス ) 」 「 精密 ( 複雑さ ・ 動的さ ・ 深さ ) 」 「 平行 」 「 円 」 「 プ ロ ポーシ ョ ン ( 縦横比 ) 」 「 繰 り 返し 」 と い う 7 つの要素を 識別し てい る 。 加え て よ いシ ンボル ・ マー ク の条件と し て 「 正確に認知さ れ る 」 「 誤っ て認知さ れ る ( 見た こ と が ないシ ンボルを 見た こ と があ る と 錯覚する ) 」 「 ポジテ ィ ブな感情を 生む 」 「 共有さ れた 意味を 持つ 」 の 4 つを 識別し てい る 。 そ し てデザ イ ン 特性がシ ンボル ・ マー ク の よ さ に下 図の よ う な影響を 与え る こ と を 明ら かに し てい る 。. 20.

(21) さ ら にHenderson and Cote ( 1998 ) は こ の結果か ら 、 高い認知を 目的と する 場合には 「 正 確な認知 」 「 ポジテ ィ ブな感情 」 「 共有さ れた意味 」 を 、 省投資を 目的と す る 場には 「 誤 っ た認知 」 と 「 ポジテ ィ ブな感情 」 を 、 ハ イ ・ イ メ ージ を 目的と する 場合には 「 ポジテ ィ ブな感情 」 を 、 つ く り だす よ う にデザ イ ン 特性を 組み合わせる こ と を 提案し てい る 。 そ し てそれ ら の効果を も つデザ イ ン を 作成する ために 、 ロ ゴマー ク の重要な 7 つのデザ イ ン 特 性を ど の よ う に組み合わせる べき かの示唆を 与え てい る 。. 図表 1-5. ロ ゴ マ ー ク 作成 ・ 修正 時の ガ イ ド ラ イ ン 目的. ロゴの特性. 正確な認知. デザインのガイドライン. 誤って 認知される ポジティブな (見たことがあ 感情を生む ると錯覚する). 共有された 意味を持つ. ナチュラル. ハーモニー. 精密 (洗練). 平行. プロポーション. 繰り返し. 正確な認知の ロゴ. 非常に 望ましい ◎. 望ましくない ×. 望ましい ○. 望ましい ◎. 適度に高い. 適度に高い. 適度に高い. -. -. 少し含む. 省投資のロゴ. 不可能 ×. 非常に 望ましい ◎. 非常に 望ましい ◎. 有効だが 必然ではない △. 適度に. 高い. 適度に高い. 適度に高い. 黄金比に近く. -. 非常に 望ましい ◎. 有効だが必然 ではない △. 高い. 高い. 高い. -. -. -. 非常に低い. 低い. 凄く高い もしくは 凄く低い. -. -. -. ハイ・イメージ 両立できない 両立できない の × × ロゴ. 貧相なデザイ 達成できない 達成できない 達成できない 達成できない ンのロゴ × × × ×. ( 出所 ) Henderson and Cote ( 1998 ) 25 ペ ー ジ よ り 作成. ま たHenderson and Cote ( 2004 ) は 、 タ イ プフ ェ イ スデザ イ ンの選択をサポー ト する ガ イ ド ラ イ ンについて も 研究を 行っ てい る 。 Henderson and Cote ( 2004 ) は企業の印象構築へタ イ プ フ ェ イ ス の選択が影響を 与え る こ と 、 タ イ プフ ェ イ ス の種類に よ っ て与え る 印象が違 う こ と を 明ら かに し 、 逆に タ イ プ フ ェ イ ス の持つデザ イ ン 的な特性か ら 、 企業側が意図す る 印象を 顧客の中に構築する ためには 、 ど の よ う なデザ イ ン 的特徴を 持つタ イ プフ ェ イ ス を 選択する のが好ま し いのかを 示唆する ガ イ ド ラ イ を 提示し てい る 。 し か し なが ら 、 タ イ プフ ェ イ ス で伝え る こ と ので き る 印象の量には限界があ る ため 、 企業側は伝え たい印象の 取捨選択 ( ト レー ド ・ オ フ ) を し な く てはな ら ない と も 指摘し てい る 。 Henderson and Cote ( 2004 ) は 、 タ イ プフ ェ イ ス のデザ イ ンの主要な要因 4 個 ( Pleasing ・ Engaging ・ Reassuring ・ Prominent ) を 抽出し 、 こ れ ら の要因を 用いて 、 大. 21.

(22) 学生 3 3 6 人に収集し た タ イ プフ ェ イ ス のサンプルに対する 印象の調査を 実施し てい る 。 上記で抽出し た要因及び調査結果を 用いて ク ラ ス タ ー分析を 行い 、 最終的に 6 個の ク ラ ス タ ーを 抽出 。 それぞれの印象 ・ デザ イ ンに関する 評価及び 、 それ ら に適合する タ イ プフ ェ イ ス のサンプルを 提示し てい る 。. 図表 1-6. タ イ プ フ ェ イ ス デ ザ イ ン の 選択 を サ ポ ー ト す る ガ イ ド ラ イ ン. ( 出所 ) Henderson and Cote ( 2004 ) 68 ペ ー ジ よ り 作成. 22.

(23) さ ら に ロ ゴマー ク の形に関する 研究と し ては 、 Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) の ロ ゴ マー ク と 黄金比の関係に関する 研究が挙げ ら れ る 。 Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) は ロ ゴデザ イ ンにおけ る 黄金比の文化を 越え た反応を 調査し てい る 。 オース ト ラ リ ア 、 シ ンガ ポール 、 南ア フ リ カの 3 国で調査を 実施し た結果 、 文化の違いを 越え て黄金比を 取 り 入れ た ロ ゴマー ク を 好む傾向があ る こ と を 明ら かに し てい る 。. 図表 1-7. 調 査 に 使用 し た ロ ゴ マ ー ク. ( 出所 ) Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) 462 ペ ー ジ よ り 作成. 図表 1-8. 黄 金比 の影 響. ( 出所 ) Narelle, Ewing, and Jevons ( 2007 ) 464 ペ ー ジ よ り 作成. 23.

(24) 自然を モチーフ に し た ロ ゴでは黄金比をベース に作ら れた ロ ゴが最も 好まれ 、 人工的に 作ら れた ロ ゴでは 1 : 1 の比率が好まれた 。 その こ と か ら 当論文は次の 3 つの示唆を 与え てい る 。 1 つ目は 、 人々は黄金比に対し て普遍的な魅力を 感じ る と い う こ と 。 2 つ目は 、 こ の調査結果は一般的に黄金比に対し て信じ ら れてい る 美学的な優位性を 支持する こ と 。 そ し て 3 つ目は 、 ロ ゴデザ イ ンにおけ る 黄金比の審美的な優位性が自然を モチーフ に し た ロ ゴデザ イ ンに限定さ れ る ( 人工的に構築さ れた ロ ゴでは 1 : 1 の比率を 用いた も のが最 も 好まれ る 傾向があ っ た ) こ と であ る 。 また消費財市場におけるブランド要素の研究では、ブランド要素間の関係性に注目した ものもなされている。例えば Klink ( 2003 )は、ブランドネームとブランドマーク (色・形・サイズ)間の関係に関する研究を行っている。 Klink( 2003 )はこの研究で 2 つの調査を行っている。 1 つ目は、ブランドネームとブランドマーク(色・形・サイ ズ)の関係についての調査である。調査方法は Mid-Atlantic university の 134 人の平均 19.7歳の学生を対象に、ブランドマークとそれにふさわしいと思われるブランドネームを 選択させるものである。 2 つ目は、ブランドネームとブランドマーク間のデザインの一貫 性が本当に意図されたブランド意味を強化することができるかについて、 Mid-Atlantic university の大学院生 82 人に対し、新しい黒ビールブランドのブランド・ネームとブラ ンドマークの形を見せた後で質問に答えてもらう方法で調査を行っている。. 2 つの調査を 通じ 、 Klink ( 2003 ) はブ ラ ン ド の構築においては商品特性に対し て 、 ブ ラ ン ド ネーム と ブ ラ ン ド マー ク ( 色 ・ 形 ・ サ イ ズ ) の一貫性があ る ほど よ り 効果的なブ ラ ン ド の構築につなが る こ と を 明ら かに し てい る 。 さ ら に Hynes ( 2009 ) は 、 ロ ゴの色 ・ デザ イ ン ・ 想起さ せる 意味の 3 者の関係が企業イ メ ージの構築にど の よ う な影響を 与え てい る かについて研究を 行っ てい る 。 デー タ は ス コ ッ ト ラ ン ド で行っ た路上調査及び 、 MBA の学生に対し て行っ た イ ン タ ーネ ッ ト 調査に よ っ て収集さ れてい る 。 調査は 、 は じ めにモ ノ ク ロ で表現さ れた架空も し く はほ と んど 知ら れていない企業の ロ ゴ を 企業を 説明と 文章を 一緒に見せ 、 その ロ ゴの イ メ ージに最も 当て はま る と 思われ る 言葉を リ ス ト の中か ら 3 つ選択し て も ら う 。 次に青 ・ 赤 ・ 黄色 ・ 緑 ・ 紫 ・ オ レ ン ジ ・ ピ ン ク ・ 茶色の 8 色でそれぞれ色付け し た ロ ゴ を 見せ 、 どの色が最も ロ ゴ に合っ てい る か選択し て も ら い 、 最後に 8 つの色に対し て10個の言葉を 用いて想起さ れ る イ メ ージ を 説明し て も ら う 方法であ る 。. 24.

(25) Hynes ( 2009 ) は研究の結果 、 企業の ミ ッ シ ョ ン ス テー ト メ ン ト の言葉と ロ ゴか ら 想起 する 言葉の間には非常に強い関係性があ る こ と 、 さ ら に ロ ゴ と ロ ゴか ら 想起する 意味 、 ロ ゴ と ロ ゴにふ さ わ し い と 思われ る 色の間には 、 強い関係性があ る こ と を 明ら かに し てい る 。 し か し 想起する 意味と ロ ゴにふ さ わ し い と 感じ る 色の間にはほ と んど 関係がなかっ た。. 図表 1-9 ロゴ. ロ ゴ の色 ・ デ ザ イ ン ・ 想起 さ せ る 意 味 の調 査結 果 連想する言葉. 回答者が選んだ色 (ブラケット理論による 色). ミッションステートメント からの言葉. ミッションステートメント から連想する色. カラー・ミーニング協会が 選んだ正しい色. 家庭的な 頼りになる ぬくもりのある. 青/茶 (青). 頼もしい 信頼性のある 頼りになる. 青. 緑・赤. 保護的な 安定的な 信頼のある. 青/茶 (青もしくは茶). 保護的な 家庭的な 集団力. 茶/青. 黄・ピンク. 楽しい 想像力に富んだ 元気な. 黄 (黄もしくはピンク). 楽しい 元気な 健康的な. ピンク/黄. 緑. 幸せな 陽気な. 黄 (黄). 元気な 陽気な フレンドリー. 黄. 黄. 情熱的な 陽気な わくわくするような. 紫 (赤). 情熱的な ダイナミックな わくわくするような. 赤. 紫・茶. 楽しい 陽気な 幸せな. 赤 (オレンジ). 楽しい 陽気な 幸福. オレンジ. なし. 安定性のある 静止した. 緑/紫 (緑/紫). ビジョンのある 正直な 正義. 紫. ピンク・赤. 一流な 安心感のある ダイナミックな. 青 (緑/赤). 一流な 堅固な 成長. 緑. 黄・オレンジ・茶・青. ( 出 所 ) Hynes (2009) 553 ペ ー ジ よ り 作成. 第3 項 人材獲得におけるブランドの効果に関する研究 さ ら に本研究で注目し てい る 、 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る 「 人材市場に対す る 効果 」 について も 先行研究の調査を 行っ た 。 B to B 企業のブ ラ ンデ ィ ン グにおけ る 「 人 材市場に対する 効果 」 については 、 余田 、 首藤 ( 2006 ) が言及し てい る 。 余田 、 首藤 ( 2006 ) は B to B におけ る ブ ラ ンデ ィ ン グの効果について 、 顧客企業に対す る 効果と 社会全般にわた る 様々な ス テー ク ホルダー ( 従業員 ・ 投資家 ・ 人材市場な ど ) に. 25.

(26) 対する 効果の 、 大き く 2 つ視点か ら 考察を 行っ てい る 。 人材市場に対する 効果について は 、 B to B 企業は製品やサービ ス が一般層の目に全 く 触れない こ と も あ る ので 、 B to C 企 業に比べて業界関係者以外での知名度が低 く 、 事業内容を イ メ ージ し に く い場合が多い 。 こ う し た状況は人材獲得競争において B to B 企業を 不利な立場に置 く と 指摘し てい る 。 さ ら に本書の中で余田 、 首藤 ( 2006 ) は B to B 企業の人材市場に対する ブ ラ ンデ ィ ン グ の効果と し て主に 2 つの効果を あげてい る 。 1 つ目は企業と 人材の ミ ス マ ッ チを 最小限に と ど め る 効果であ る 。 企業風土や事業内容への理解が増せば 、 その企業に合っ た人材が積 極的に応募する よ う にな る か ら であ る 。 2 つ目は企業への応募者層の拡大と 質的向上であ る 。 こ れは就社タ ーゲ ッ ト 層での認知と 事業内容理解の向上に よ っ て 、 こ れま でその会社 に就職する 意向が無かっ た層を も 取 り 込む効果があ る 。 余田 ・ 首藤 ( 2006 ) は こ の よ う に B to B 企業に と っ て 、 ブ ラ ン ド 強化に よ る 人材市場へのアプ ロ ーチが重要であ る こ と の例 と し て 、 村田製作所の事例を 取 り 上げてい る 。 ま た海外では 、 B to B 企業に限定さ れてはいないが Collins and Stevens ( 2002 ) が 、 パブ リ ィ シテ ィ ・ ス ポ ンサーシ ッ プ ・ 口コ ミ ・ 広告の 4 つの早期採用関連活動が 、 工学部の学 生の応募意思決定にど の よ う な影響を 及ぼすのかについて 、 顧客ベース のブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の理論を 応用し た研究を 行っ てい る 。 Collins and Stevens ( 2002 ) は採用活動と 親和性の高いマーケテ ィ ン グ ・ ミ ッ ク ス の手法 と し て 、 パブ リ ィ シテ ィ ・ ス ポ ンサーシ ッ プ ・ 口コ ミ に よ る 裏付け ・ ブ ラ ン ド 関連の広告 の 4 つを 抽出し てい る 。 こ れ ら の 4 つのマーケテ ィ ン グ ・ ミ ッ ク ス の手法と ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の構成要素であ る ブ ラ ン ド ・ イ メ ージの関連性を 調査する こ と に よ り 、 応募意思 決定におけ る ブ ラ ン ド ・ イ メ ージの影響を 明ら かに し よ う と し てい る 。 調査は 3 校の工学 大学院の就職課のサポー ト を 得て 、 就職活動を 行っ てい る 学生に対し 調査票を 郵送する こ と で実施し 、 133 の有効回答を 得てい る 。 調査の結果 、 早期採用関連活動と ブ ラ ン ド ・ イ メ ージの間には間接的な影響があ る こ と が明ら かに さ れてい る 。 特に口コ ミ に よ る 裏付け と ブ ラ ン ド ・ イ メ ージの関連が強い事も 判明し た 。 Cable and Tueban ( 2003 ) は 、 会社の評判が求職者に与え る 影響と 、 その理由について調 査を 行っ てい る 。 Cable and Tueban ( 2003 ) は採用活動のシーン を 用いて実施し た実験結果 を も と に分析を 行っ てい る 。 調査はフ ォーチ ュ ンの ラ ン キ ン グ を 参考に 、 評判が良い企 業 ・ 悪い企業 、 評判広告が十分な企業 ・ 不足し てい る 企業 、 給与が多い企業 ・ 尐ない企業 の 2 × 2 × 2 の組み合わせて操作し て作成し た架空の企業の採用活動の資料を 被験者に配. 26.

(27) 布し 、 その評価を 回答し て も ら う も のであ る 。 さ ら に 1 週間後に メ ールで与え ら れた資料 の記憶に関する 調査を 行い 、 最終的に 339 の有効回答を 得てい る 。 分析の結果以下の事を 明ら かに し てい る 。. ( 1 ) 求職者は仕事の特徴について評判を シ グナル と し て参考に し てい る 。 ( 2 ) 評判は個人が組織の メ ンバーシ ッ プに期待する こ と に誇 り を 感じ さ せ る 。 ( 3 ) 求職者は会社の評判を よ り 肯定的な も のに結びつけ る ためには 、 賃金が低 く な る 形で価格プ レ ミ ア ム を 支払 う こ と をい と わなかっ た 。 ( 4 ) 組織への親し みやす さ は 、 求職者が人材公募について 1 週間後に思い出す こ と がで き た情報量と 影響し ていた 。 ( 5 ) 架空の企業ではあ っ たが 、 評判は主に口コ ミ に よ っ て伝播さ れ 、 広告では効 果が全 く ない 。. Cable and Tueban ( 2003 ). は 、 こ れ ま で採用活動と マーケテ ィ ン グの間にはほ と んど 架. け橋と な る 研究が無かっ たが 、 イ メ ージ と 評判を 通じ た コ ミ ュ ニケーシ ョ ンに よ っ て 、 個 人の限ら れた市場を 惹きつけ る のを 助け る と い う 機能は両方に共通し た も のであ り 、 採用 活動と マーケテ ィ ン グには類似し た点があ る と いえ る と し 、 採用活動におけ る マーケテ ィ ン グ的な視点の有用性を 指摘し てい る 。 DelVecchio, Jarvis, Klink and Dineen ( 2007 ) は 、 学生に対する 2 つの実験結果を も と に 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ が求職者の求人案内に対する 認識に影響を 与え る 事がで き る こ と を 明 ら かに し てい る 。 1 つ目の実験はフ ァ イ ナン ス ・ 会計学 ・ コ ン ピ ュータ ー情報シ ス テ ム を 専攻する 学生 385 人に対し 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の高い企業の仕事の求人案内と 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の低い企業の仕事の求人案内の 2 種類を 提示し 、 給与条件と 仕事の魅力 に関し て質問を 行 う も のであ る 。 2 つ目の実験は在学中のビ ジネ ス ・ スチ ューデン ト 147 人に対し 、 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の高い企業の仕事の採用通知と ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の 低い企業の仕事の採用通知で 、 給与金額をわずかに変更し た も のを 提示し て 、 職業選択に 関する 質問を 行 う も のであ る 。 調査の結果 、 求職者がブ ラ ン ド 力のあ る 企業の仕事に就き たい と い う 強力な願望を 持っ てい る こ と が明ら かに さ れてい る 。 こ の願望の根底には 、 ブ ラ ン ド 力のあ る 企業の仕事が 概し て訓練と 技術を 従業員に提供し 、 彼ら に能力を 発揮する 場を 提供する こ と で 、 労働意. 27.

(28) 欲の発露を 与え て く れ る こ と があげ ら れ る 。 さ ら にその結果と し てブ ラ ン ド 力のあ る 企業 の仕事に就 く こ と で 、 その後の履歴書に箔が付 く こ と も 理由の一つ と な っ てい る こ と が明 ら か と な っ た 。 以上の こ と か ら 、 企業と 求職者の関係が企業と 消費者の関係に非常に似て い る こ と 、 ま た求職者が認識する 会社の評判その も のが 、 消費者に向けたブ ラ ン ド ・ コ ミ ュ ニケーシ ョ ンに よ っ て築かれてい る こ と か ら 、 求職者に対する コ ミ ュ ニケーシ ョ ンにお いて も ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ の考え方が応用で き る のではないか と 指摘し てい る 。 以上の よ う に 、 コ ミ ュ ニ ケーシ ョ ンに よ っ て個人の限ら れた市場を 惹きつけ る のを 助け る と い う 機能は採用活動と マーケテ ィ ン グの両方に共通し た も のであ り 、 両者には似通っ た点が多い 。 こ のため採用活動において も マーケ テ ィ ン グで研究さ れてい る よ う な 「 ブ ラ ン ド ・ エ ク イ テ ィ 」 の考え方は 、 有効であ る と 言え る 。. 第2 節 企業のブランディングが人材市場へ好影響を与えた事例 第1 項 ケンウッドのCI 再編 実際に企業のブ ラ ンデ ィ ン グが人材市場へ好影響を 与え た事例と し ては 、 山本 ( 1989 ) 及び中西 ( 2010 ) で取 り 上げ ら れてい る 、 1980年初めご ろに行われた 「 ケ ン ウ ッ ド 」 のCI 再編の事例と 、 大島 ( 2006 ) 、 大島 ( 2007 ) 及び余田 、 首藤 ( 2006 ) で取 り 上げ ら れてい る 、 1990年ご ろか ら 始ま っ た 「 村田製作所 」 のブ ラ ンデ ィ ン グの事例を 挙げ る こ と がで き る。 1 つ目のケ ン ウ ッ ド は主に消費財を 取扱 う 企業であ り 、 ま たCI ( コーポ レー ト ・ ア イ デ ン テ ィ テ ィ ) 再編に取組んだの も 前身であ る ト リ オの経営が行き 詰ま っ ていた こ と が理由 であ る が 、 CI再編後の人材市場への効果には著し い も のがあ る 。 当社は1980年代初めご ろ 、 それ ま で市場に よ っ て使い分けていた 「 ト リ オ ( TORIO ) 」 と 「 ケ ン ウ ッ ド ( KENWOOD ) 」 と い う 2 つのブ ラ ン ド の 1 本化をは じ め と し た 、 CIの再編に取 り 組ん でい る 。 こ の際に新し く 取 り 入れ ら れた 「 KENWOOD 」 と い う 社名及びデザ イ ンは 、 そ の ス テ ッ カーを 車に貼る こ と が若者の間で流行する ほど 高い評価を 受け成功を 収めた 。 さ ら に こ のCI再編は人材市場対し て も 効果を 発揮する こ と と な っ た 。 まず 「 工場採用 」 への効果については 、 当時山形県にあ っ た東北 ト リ ノ の工場を こ の新 し いCIを 元に リ ニ ューアル し た と こ ろ 、 ス マー ト な イ メ ージでカ ッ コ イ イ 工場だ と 人気に. 28.

(29) な り 、 女子従業員の応募が増え 、 東北 ト リ ノ は地域内で女子就業者の人気ナンバーワ ン と な っ た こ と が挙げ ら れ る 。 さ ら に 、 同時に全社的な就職人気ラ ン キ ン グで も ケ ン ウ ッ ド が上位に躍進する よ う にな っ た 。 こ の全社的な就職人気ラ ン キ ン グの向上は特に 「 新卒の文科系学生 」 と 「 技術系の 中途採用 」 の面で顕著な効果が表れてい る 。 「 新卒の文科系学生 」 への効果については 、 若者の間で 「 KENWOOD 」 ブ ラ ン ド は イ メ ージがカ ッ コ イ イ と し て人気が高ま り 、 技術 系学生のみな ら ず文科系学生の応募が増加し た こ と が挙げ ら れ る 。 昭和58年か ら 昭和62年 ま での 5 年間の応募状況を 見る と 、 会社訪問学生の中には地方大学 ( 旧帝大 ) や 、 4 年制 の女子学生も ま じ る よ う にな り 、 4 年制女子の10名採用予定に 150 名程度が会社説明会に 参加する よ う な年も あ っ た 。 文科系の内定後の定着性も 良 く な り 、 以前は20%程あ っ たキ ャ ンセル率がCI再編後には10%程度に ま で低下し てい る 。. 図表 1-10. ケ ン ウ ッ ド の CI 再 編後の 採 用活 動状 況. 採用数(大卒). 会社説明会参加. ハガキの資料請求. 昭和58年(1983). 0人. 0人. (未集計). 昭和59年(1984). 0人. 0人. (未集計). 昭和60年(1985). 44人. 500人. 5500通. 昭和61年(1986). 87人. 7000人. 6500通. 昭和62年(1987). 68人. 1,200人. (未集計). ( 出所 ) 山本 ( 1989 ) 59 ペ ー ジ よ り 作成. さ ら に 「 技術系の中途採用 」 については 、 も と も と ケ ン ウ ッ ド に対する 評価が高い こ と に加え 、 TORIOか ら KENWOOD に改めた背景には総合エ レ ク ト ロ ニ ク ス メ ーカー志向が あ る こ と が理解さ れて 、 信頼感を 一段と 高め る 効果があ っ た 。 リ ク ルー ト の営業マ ン 達に聞いて も 、 TORIO-KENWOOD は 、 AIWA 、 TEAC に比べて 上位であ る と の認識が定着し た 。 実際 、 応募の問合せは AIWA が 300 名程度に対し て 、 KENWOOD は 5,000 名と 約17倍以上の人気であ り 、 ラ ン キ ン グ も 上がっ た 。 若い人たち に KENWOOD を 何で知っ たか 、 と 聞 く と オーデ ィ オの ス テ ッ カーでな どの回答が返っ て き た 。 文科系では昭和61年には 236 位と な り 、 住友電気工業や日本道路公団が同順位 、 ポ ッ カ 、 松坂屋 、 兼松江商 ( 全て 228 位 ) な ど に次ぐ 上位進出を 果た し た 。 理科系の ラ ン ク は文科系以上で昭和61年には 111 位ま で上昇し た 。 野村証券 ( 109 位 ) 、 キ リ ン ( 110. 29.

(30) 位 ) に次ぐ 位置であ る 。 いずれに し ろ 、 CI再編前は ラ ン キ ン グ外にあ っ た企業が一躍人気 企業の仲間入 り を し たのであ る 。. 図表 1-11. リ ク ルー ト の ラ ン キ ン グ. 昭和57年 (1982). 昭和58年 (1983). ランキング外. ランキング外. 昭和59年 (1984). 昭和60年 (1985). 昭和61年 (1986). 文系 880位. 文系 332位. 文系 236位. 理系 252位. 理系 193位. 理系 111位. ( 出所 ) 山本 ( 1989 ) 60 ペ ー ジ よ り 作成. 図表 1-12. ケンウ ッ ド のブ ラ ン ド イ メ ージ. ( 出所 ) 山本 ( 1989 ) ペ ー ジ 58 及 び 75 ペ ー ジ よ り 引用. 30.

参照

関連したドキュメント

本研究の調査結果ではあくまでも傾向でしかないが、

・企業は事業部単位やプロジェクト単位のような比較的広義の領域(Field)毎において、

財務担当者の多くが普段から慣れ親しんでいる WACC

Kaspersky Endpoint Security for Business Advanced Kaspersky EDR-Optimum Bundle. Kaspersky Embedded Systems

In program management, especially in the scheme model type project, it is essential to design business models with considering business ecosystem, then the methodology/process

学位授与番号 学位授与年月日 氏名 学位論文題目. 医博甲第1367号

(1)

• The Business Succession Guidelines (formulated by the Study Group for Revitalization of Business Focusing on Business Succession in March 2015) will be revised during FY2019 to