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博 士 ( 理 学 ) 石 橋 康 彦

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 石 橋 康 彦

    学 位 論 文 題 名

Mechanism of Carrier Recombination in     Boron Implanted and Doped Silicon

( シ リ コ ン に お け る 輻 射 再 結 合 メ カ ニ ズ ム に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  シリコン は地球に 最も多 く含まれる元素のーっで,常温,常圧ではダイアモンH冓造を と る物質で,ダイオードやトランジスタなど半導体マイクロエレクトロニクスの大部分を 占 めている。しかし,間接遷移形の半導体であるため,ガリウムヒ素などの直接遷移形半 導体と比べて発光強度が弱い。しかもバンドギャップが室温で1. 11  eVであり,発光スペ ク トルは近赤外域に現れる。そのため,検出器などの実験的困難から,室温付近でのシリ コ ンの間 接励起子 の緩和 過程あま り明らかにされていなぃ。ポロンをn形シリコン基板に イオン打ち込みすることで表面を改質することで発光効率が高くなるシリコン材料を用い,

発 光スペクトルの温度依存性,励起波長依存性,圧力依存性からシリコンの間接励起子の 緩 和過程を実験的に明らかにしようとしたものである。また,ボロンをドープしたシリコ ン の発光強度における不純物濃度依存性から,このボロン打ち込みシリコン材料が室温で 高効率に発光する原因を明らかにしようとしたものである。

  ボロン打 ち込みシ リコン 材料では イオン 注入に伴 い表面 から約200 nmまでボロンが高 濃度(l019―l020 cm−3)で分布し,同時に転位ループも存在している。発光スペクトルはピ ー クエネルギーが1. 11 eVの近赤外領域に現れる。30Kから300Kの温度範囲で,このボロ ン 打ち込みシリコンから得られる発光を測定した。励起子の分布は状態密度とボルツマン 分 布の積で表されるので,これを用いて発光スペクトルをフイッティングし,発光の立ち 上 がルエ ネルギー ,励起 子温度, 積分強 度を求め ,それら の温度変化について調べた。

  Macfarlaneらによ ってシリ コンの フオノン が関与す る光吸収スペクトルにおける立ち 上 がルエネルギーの温度変化が調べられているが,発光の立ち上がルエネルギーについて の 研究はなされていない。さらに,Macfarlaneらにより実験が行われた頃には,間接遷移 に よるフオノンの吸収,放出などの同定がなされていなかった。本研究では,発光の立ち 上 がルエネルギーの温度変化を求め,それらが吸収の立ち上がルエネルギーと一致するこ と から,ボロン打ち込みシリコン材料の間接励起子の緩和過程を発光により解明した。ま た 発光スペクトルから得られた励起子温度は格子の温度より高くなっている。言い換える と,励起子一格子系で準熱平衡状態になっていることを示している。シリコンから発光スペ ク 卜ルは,励起子―格子系で準熱平衡状態にある励起子がフオノンと関与して再結合した ものと結論づけられる。

    ―142−

(2)

  

ボロン打ち込みシリコン材料を4っの異なる波長の光で励起したとき発光スベクトルの 立ち上がルエネルギーや励起子温度は励起波長によらないものの,積分強度の温度変化が 励起波長に依存していることが実験的に示された。これは,波長が違うと光の侵入長が異 なるため,転位ループが多く存在する主に表面近傍を励起した場合と,転位が少ないもと の シ リ コ ン 基 板 部 分 を 主 に 励 起 し た 場 合 と の 違 い を 反 映 し て い る 。

  

本研究ではポロン打ち込みシリコン材料が高効率に発光する原因を明らかにするため,

ボロンをドープしたシリコンを用いて発光強度の不純物濃度依存性ついて調べた。また,

ボロン打ち込みシリコン材料でも発光強度とボロンの濃度との関係を比較した。ボロンド ープシリコンと比べると,発光効率はポロン打ち込みシリコン材料が小さいものの,ボロ ン打ち込みシリコン材料,ボロンドープシリコンともに,発光強度が濃度に対して増加し ている。っまり,ボロン打ち込みシリコン材料の表面近傍に高濃度に存在するボロンが発 光効率の増大に寄与していることを示している。

  

以上のようにボロン打ち込みシリコン材料の発光スベクトルから,シリコンの間接励起 子の緩和過程が明らかになり,発光効率が悪いとされたシリコンがポロン打ち込みによっ て比較的高効率に発光する原因を実験的に示した。

‑ 143

(3)

学位論 文審査の要旨 主査

副査 副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授 講師

中原 石橋 小野寺 三品 近藤

純一郎     晃     彰 具文 憲治

    学 位 論 文 題 名

Mechanism of Carrier Recombination in     Boron Implanted and Doped Silicon

( シ リ コ ン に お け る 輻 射 再 結 合 メ カ ニ ズ ム に 関 す る 研 究 )

  2001年 に 珪 素 ウ ェ ハ ー に 硼 素 イ オ ン 打 ち 込 み を し 、 熱 処 理 を 施 し , 表 面 近 傍 を 改 質 す る こ と に よ り 室 温 で 動 作 す るLED材 料 が 開 発 さ れ た 。 こ の 硼 素 イ オ ン 打 ち 込 み 熱 処 理 さ れ た 珪 素 の 特 徴 は , 表 面 近 傍 に 非 常 に 高濃 度 の ボロ ン が 存 在す る こ と, 硼 素 打 ち 込 み に よ り 生 じ た 転 位 ル ー プ が 存 在 す る と い う2点 で あ る 。 こ の 硼 素 イ オン 打 ち 込 み 珪 素 の 発 光 機 構 や 室 温 で の 高 効 率 発 光 の 原 因に は 不 明な 点 が 多 い。 ま た 珪素 に お い て 多 く の 低 温 で の 研 究 が あ り 、 低 温 で は 発 光 機構 が 明 確で あ る に もか か わ らず 、 室 温 付 近 で は 発 光 が 弱 い こ と や 良 い 検 出 器 が 無 か った こ と から 、 現 在 まで 発 光 の起 源 が 明 ら か に さ れ て い な ぃ 。 ま た イ オ ン 打 ち 込 み を した 珪 素 にお い て 異 常な 室 温 付近 で の 発 光 の 増 強 が 報 告 さ れ て い る 。 こ の 様 な こ と か ら室 温 付 近の 発 光 機 構を 明 ら かに す る た め に室 温 付 近の 発 光 を 系統 的 に 調べ る 必 要が あ る 。

  本 研 究 で は 室 温 で の 超 高 圧 下 の 発 光 、 発 光 の 温 度 依 存 性、 イ オ ン 打ち 込 み 珪素 の 表 面 近 傍 の 発 光 、 異 な る 硼 素 濃 度 の 珪 素 の 発 光 を 系 統的 に 調 べて い る 。 これ ら に より 珪 素 の 室 温 で 観 測 さ れ る 発 光 は ほ ば 試 料 に よ ら ず 、 格子 振 動 量子 を 放 出 し、 電 子 ・正 孔 対 で あ る 励 起 子 の 再 結 合 に よ る 発 光 す る 過 程 で あ ると 明 ら かに し た 。 また こ の 間接 励 起 子 発 光 が 硼 素 濃 度 に 依 存 し て 増 加 す る こ と も 明 らか に し た。 表 面 近 傍の 発 光 の温 度 依 存 性 を 調 べ る 目 的 で 硼 素 イ オ ン 打 ち 込 み 試 料 に つい て 励 起波 長 を 変 え発 光 を 測定 し 表 面 か ら 励 起 領 域 を 変 え 発 光 を 測 定 し た 。 こ の こ と に よ り 今 ま で 未 知 で あ っ た50K 以 上 室 温 ま で 発 光 強 度 が 増 加 す る 原 因 と し て 、 イ オン 打 ち 込み の 試 料 の表 面 近 傍の 高 濃 度 硼 素 と 表 面 近 傍 に イ オ ン 打 ち 込 み に よ り 形 成 され た 格 子欠 陥 や そ の集 合 で ある 格 子 欠 陥 ルー プ な どと 関 係 し てい る こ とを 明 ら かに し た 。

  本 論 文 で 解 明 さ れ た 珪 素 の 室 温 発 光 の 機 構 は 発 光 の 本 質 を 明 ら か に し た だ け で な く 、 不 純 物 濃 度 依 存 性 に つ い て も 新 知 見 を 得 た も ので あ り 、電 子 素 子 開発 を 効 果的 に 行 う 基 礎と し て 重要 で あ り 、そ の 発 展に 大 き い貢 献 を する 。

  よ って 、 著 者は 北 海 道 大学 博士( 理学)の 学位を 授与され る資格 のあるも のと認 める。

    ―144ー

参照

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