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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 理 学 ) 冨 永 徳 雄

学 位 論 文 題 名

Analysis of Families of Strongly Commuting Self‑adjoint Operators         with Applications to Perturbed

     d'Alembertians and Dirac Operators

( 強 可 換 自 己 共 役 作 用 素 の 族 の 解 析 と 摂 動 を 受 け た ダ ラ ン ベ ー ル シ ャ ン 及 び デ ィ ラ ッ ク 作 用 素 へ の 応 用 )

学位論文内容の要旨

  2っ の 線 形 作 用 素 イ 及 び ぢ に 対 し て こ の2っ が 互 い に 可 換 で あ る と は 、 通 常 は ィ ぢ ー B月 に よ っ て 定 義 さ れ る 。 行 列 を は じ め と す る い わ ゆ る 有 界 線 形 作 用 素 の 場 合 は 、 そ の 定 義 域 が 与 え ら れ た 空 間 全 体 で あ る の で こ の 定 義 で 問 題 ない が、 この 論文 で取 り扱 う微 分 作 用 素 や 掛 け 算 作 用 素 は 一 般 に は 非 有 界 で あ り 、 定 義 域 は空 間全 体と はな らな いの で、 通 常 の 可 換 の 定 義 で は 意 味 を な さ な い 。 し か し 、 非 有 界 で あっ ても 自己 共役 な作 用素 であ れ ぱ 、 別 の 意 味 で 可 換 を 定 義 す る こ と が で き る 。 そ れ は 強 可換 とい われ るも ので 、各 々の 自 己 共 役 作 用 素 の も つ ス ペ ク ト ル 測 度 ( こ れ は 射 影 作 用 素 なの で有 界) が可 換で ある こと を も っ て 定 義 さ れ る 概 念 で あ る 。 有 界 自 己 共 役 作 用 素 の 場 合は 強可 換な らば 普通 の意 味で も 可 換 で あ る 。

  こ の 論 文 で は ま ず ガ 次 元 ミ ン コ フ ス キ 一 空 間 ( 膨 と 記す )に おい て互 いに 強可 換で あ る よ う な3っ の 自 己 共 役 作 用 素 を 定 義 す る 。 こ れ は 微 分 作 用 素 、 掛 け 算 作 用 素 及 び 角運 動 量 作 用 素 とM の あ る 元 と の ミ ン コ フ ス キ ー 内 積 に よ っ て 定 義 さ れ る も の で 、 こ れ らの 作 用 素 を 用 い る こ と に よ り 、 共 変 微 分 ( 微 分 作 用 素 に べ ク トル ポテ ンシ ャル の摂 動を 与え た 作 用 素 ) は 普 通 の 微 分 作 用 素 に あ る ユ ニ タ リ 作 用 素 で 変 換し た作 用素 と口 一レ ンツ 変換 に よ り 結 ば れ る と い う こ と を 示 す 。 さ ら に 、 こ の 共 変 微 分 から っく られ る 摂動 を受 けた ク ラ イ ン ― ゴ ル ド ン 作 用 素 ( ダ ラ ン ベ ー ル シ ャ ン に 定 数 作用 素を 加え たも の) と自 由な ク ラ イ ン ― ゴ ル ド ン 作 用 素 と の 間 に ユ 二 夕 リ 同 値 性 が 成 立 す る こ と も 示 す 。   一 方 、 自 己 共 役 作 用 素Hに 対 し て は 、1パ ラ メ ー タ ー の ユ ニ タ リ 作 用 素eisH(sE三 々 ) が 定 義 さ れ る が 、 自 由 な ダ ラ ン ベ ー ル シ ャ ン か ら っ く ら れる ユニ タリ 作用 素に 対し ては 、 積 分作 用素 で表 現す るこ とが でき るこ とが よく 知 られ てい る。 (こ の積 分作 用素 の核 にあ た る 関 数 は 自 由 伝 播 関 数 と い わ れ る 。 ) と こ ろ が こ こ ま で で得 られ た結 果を 用い ると 、摂 動

(2)

を受けたダランベールシャンから生成されるユニタリ作用素に対しても、その積分作用素 としての表現が得られることがわかる。

   これまでの結果は場の量子論におけるスカラー量子場の外場問題へ応用することができ る。すべての自由粒子の波動関数はクライン―ゴルドンの方程式を満足する。このクライ ンーゴルドンの作用素に対するグリーン関数はさきの自由なダランベールシャンからっく られるユミタリ作用素から得られるが、同様にして摂動を受けたクライン―ゴルドン作用 素(微分作用素を共変微分に置き換えたもので、この共変微分は物理的にはゲージ場と呼 ばれる摂動を与えたゲージ共変運動量作用素に当たる)に対するグリーン関数はこれから 生成されるユニタリ作用素を用いて求められる。このようにして、外場におけるスピン0 の荷電粒子に対するグリーン関数が求められる。このグリーン関数は数学的には摂動を受 けた超関数クライン―ゴルドン方程式に対する基本解である。

   スカラー量子場の外場問題にっいてはシュヴィンガーによる固有時の方法といわれる手 法 が あ る が 、 こ の 論 文 で は そ の 作 用 素 論 的 な 本 質 が 明 ら か に さ れ る 。    以上はガ次元二乗可積分関数の空間L2 (々 )において議論されているが、同様の議論は そ の 直 和 空 間 に お い て も 成 立 す る 。 そ れ を 第 2 部 で 述 べ る こ と に す る 。    直和空間における結果もまた外場問題へ応用される。スピン 1/2 の荷電粒子の波動関数 はディラック方程式を満足する。ディラック方程式は自動的にクライン―ゴルドン方程式 をも満足することが要求されるため、作用素はL2 (Rd) の直和からなる空間におけるもの として定義する必要がある。このディラック作用素に対するグリーン関数を求めるにはま ずクライン―ゴルドン作用素のグリーン関数を求めてからこれにディラック作用素を施せ ば得られる。この手法を摂動を受けたディラック作用素にも利用する。摂動を受けたディ ラック作用素から摂動を受けたクラインーゴルドン作用素をっくり、これのグリーン関数 を計算したのちに求めるグリーン関数を求める。

   最後に正準交換関係の表現という立場からの注意を述べる。運動量作用素(微分作用素)

と位置作用素が正準交換関係を満足することは周知のことである(この組はシュレーディ

ンガ一表現と呼ばれる)が、ゲージ共変運動量作用素と位置作用素とではこの正準交換関

係は部分的に崩れてしまう。しかしゲージ場の条件次第ではゲージ共変運動量作用素にあ

るローレンツ変換を施せばもとの運動量作用素とユ二夕リ同値になることがいままでの作

用素の解析からわかる。一方、正準交換関係を満たす作用素の組は多数存在するがそれら

とシュレーディンガー表現との間にはユニタリ同値がいえる。(フエン・ノイマンの一意性

定理。より正確に言えばヮイル形の正準交換関係を満たす作用素の組に対してシュレーディ

ンガ一表現とのュニタリ同値性が成立する。)ここで問題になるのは、ゲージ場であるべ

クトルポテンシャルにどれくらいの条件を与えれば、その口ーレンツ変換が正準交換関係

の 1 っの表 現となりう るかという ことである 。これは今 後の研究課 題の 1 つである。

(3)

学 位論文審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 助教授 助教授 助教授

新井 井上 岩田 佐藤

学 位 論 文 題 名

朝 雄 昭 彦 耕 一郎 錬 太郎

Analysis of Families of Strongly Commuting Self‑adjoint Operators          with Applications to Perturbed

     d'Alembertians and Dirac Operators

( 強 可 換 自 己 共 役 作 用 素 の 族 の 解 析 と 摂 動 を 受 け た ダ ラ ン ベ ー ル シ ャ ン 及 び デ ィ ラ ッ ク 作 用 素 へ の 応 用 )

    著 者 は , 本 論文 にお いて ,d次 元ミ ンコ フス キー 空間 のあ る種 の条 件を みた すべ クト ル と 反 対 称 テ ン ソ ル に 付 随 す る ,L2(Rd)上 の 自己 共役 作用 素で 強可 換な もの を導 入し ,こ れ らの 作用 素と 正準 運 動量 作用 素に 関し て, 作用 素解 析を 展開 する .正 準運 動 量作用素のある 種 の 摂 動 に 対 し て, これ をあ る作 用素 値Lorentz変換 によ って 変換 した もの は, もと の正 準 運動 量作 用素 とユ 二 夕リ 同値 にな るこ とが 示さ れる .こ の結 果を 用い て, あ る種の摂動を受 けた ダラ ンベ ール シ ャン およ びデ ィラ ック 作用 素に つい て, それ らが 生成 す るユ二夕リ群の 積分 核表 示が 導か れ る. 物理 学へ の応 用と して ,あ るク ラス の電 磁ボ テン シ ャルに対して,

クラ イン ーゴ ルド ン 作用 素や ディ ラッ ク作 用素 のGreen関数に対する積分核表示が得られる.

これ らは すべ て新 し い興 味あ る結 果で ある ・

    本 論 文 の 方 法は ,場 の量 子諭 の外 場問 題に おけ るSchwingerの 固有 時の 方法 に対 する 作 用 論 的 に 明 解 で 厳密 な認 識を あた える とと もに ,Schwingerの 方法 では 論じ られ なか った ク ラス の電 磁ボ テン シ ャル をも 統一 的に 扱う こと を可 能す る. この 意味 でも 重 要な寄与がなさ れて いる .

    本論 文で 展開 さ れた 理論 は以 前に は議 論さ れた こと がな い真 に新 しい 開 拓的なものであ り, 作用 素論 に対 し て, 新し い領 域と 知見 をも たら した .ま た, 場の 量子 論 の数学的研究に 貢献 する とこ ろも 大 きい ・

    よ っ て , 著 者 は 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 )の 学位 を授 与さ れる 資格 ある もの と認 める .     ‑ 51一

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