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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 小 川 恵 理

     学位論文題名

    Characterization of Electronic Levels and Chemical Properties of GaN 一Based SemiCOnduCtorSurf ・aCeS      (窒 化物 半 導体 表面 の電子準 位および化学的特性 の評価)

学位論文内容の要旨

  工ネルギー問題が深刻化しつっある今日、低損失・高効率の電力変換システム(インバータ)の開 発は問題解決のーつの 鍵とをっている。現在はシリ コン(Si)パワートランジス タがインバータの 中心素子であるが、Siの物性限界のためインバータの更をる損失低減は非常に難しい。この限界を 打ち 破る 材 料と して 窒化 物半 導 体が 注目 され てい る 。窒 化ガ リウ ム(GaN)はSiよりも10倍の絶 縁破 壊電 界 を持 ち、 さら に、AIGaNとGaNとの へテ ロ 構造 を形 成す る ことによ って、AIGaN/GaN 界面には高い電子密度(l.2xl013CrTl.―3)、高い電子移動度(1000−2000CrTl,2/Vめを持つ二次元電子ガ スが形成される。この 特性を利用することにより、 電カスイッチ用トランジス タのオン抵抗をSi と比較して1/100以下に 減少させることが可能であ り、高耐圧・高効率の次世代パワーデバイスと して応用が期待されている。

  半導体デバイスは半導体/半導体、金属/半導体および絶縁体/半導体界面の集合体である。半導体 表面には未結合手(ダ ングリングボンド)が存在したり、バルクの周期的化学結合と異をる終端結 合をとるため、特異を 電子状態とをる場合が多い。このため、半導体表面では禁制帯中に高密度の 状態密度を有する電子捕獲準位(表面準位)が形成され、キャリアの捕獲・放出に伴う荷電状態変化 や準位を介した再結合 が半導体デバイスの動作制御・安定性を大きく左右する。しかし、窒化物半 導体の表面準位や界面 準位の性質は明らかにされておらず、表面・界面の化学結合状態と電子準位 との相関についての報 告は多くはをい。このような背景から、本論文では窒化物半導体表面の化学 結 合 状 態 を 調 ベ 、 表 面 準 位 形 成 と の 相 関 を 調 べ る こ と を 第 一 の 目 的 と し た 。   ま た 、Mgド ー プGaNはp型 伝 導 層 と し て 用 い ら れ て おり 、 レー ザー ダイ オー ド(LD)、発 光 ダイ オー ド(LED)、ヘ テ ロ接 合バ イポ ー ラト ラン ジスタ(HBT)をどのバイポー ラ素子における重 要極デバイス要素であ る。また、金属/半導体/絶 縁体型電界効果トランジスタ(MOS FET)の反転 チャネル層として研究 が開始されている。これらのデバイスでは不純物ドーピング制御が鍵とをる が、MgはGaN中で 表面 偏 析し やす く、 設 計通 りの ドー ピン グ 密度 分布 を得る ことは容易ではを い。また、Mgのアクセ プタ準位が深く(活性化エネ ルギー:160 meV)、p型伝導層を得るためには 高密 度のMgドー ピン グが 不可 欠 であ るが 、こ の高 密 度ド ーピ ング に よりGaN結晶中に深い準位 を 誘 起 す る と い う 報 告 も 多 い 。 そこ で、Mgド ープGaNの結 晶 欠陥 形成 とMgドー ピ ング 密度 や 高 温 プ ロ セ ス と の 相 関 を 詳 細 に 検 討 す る こ と を 、 本 論 文 の 第 二 の 目 的 と し た 。   本論文は6章から構成されている。以下に各章の要旨を示す。

  第 1章 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 を 述 べ る と 共 に 、 各 章 の 概 要 を 記 し た 。

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  第2章 で は 、GaNお よ びAIGaNの 物 性 的 特 徴 を 要 約 し 、Mgド ー プGaNのp型 伝 導 が 得 ら れ るま での歴史、p型伝導層の基本 特性、各種p型ドーパントの アクセプタ準位に関して概 説した。

  第3章では半導体の表面準位や 界面準位の特性を概説した 。まず、半導体表面・界面とフウルミ 準位 ピンニングについて簡単に 説明し、続いて、これまでに提案されている表面・界面準位の起源 お よ びフ ウル ミ準 位ピンニン グ機構に関する主要教モデル について紹介した。また、GaNの結晶 欠陥 に起因した発光特性に関し て記述した。

  第4章で はGaN表 面の 化 学結 合状 態をX線 光電 子分 光 (XPS) 法に より 評価 を行 い 、表 面の 表 面 ポ テ ン シ ャ ル と の 相 関 を調 べた 。比 較 を行 った 試料 は、 有 極性 のc面GaN表面 と 無極 性のm 面GaN表 面 、 ア ン ド ー プ とMgド ー プGaN表 面 、 プ ラ ズ マ 処 理 を 行 っ たMgド ー プGaN表 面 で ある 。それぞれの表面において 、化学的結合状態と表面ポテンシャルに違いがあることが示され、

各表 面に特有の電子捕獲準位が 形成されることが明らかにを った。特に、プラズマ処理 を施した GaN表 面で は化 学 結合状態の乱 れを確認し、表面ポテンシ ャルの増加がショットキー障 壁を増加 させ 、オーミック特性劣化の要因にをっている可能性を示した。またSfA′x/AfGIロN界面の化学的 特性 及びバンド曲がりの評価を 行った。A1GaNの成長直後に ざfAkを成長装置内でin―situ堆積を 行っ た場合、A1GaN表面の化学結 合状態に顕著を乱れは観測 されをかった。これに対し、成長後に A1GaNを一 度大 気 に曝 しプ ラズ マ プロ セス によってSfAk膜 をeX一situ堆積したAlGaN表 面では、

酸 化 物の 形成 とAlGaN組成の乱 れが生じていることが分か った。更に、in−situ堆積に よるSfAk 膜 はAlGaN表面 の バンド曲がり を大きく低減することが明 らかにをり、in―situ堆積SfAk膜を表 面 保 護構 造と して 利用するこ とは、GaN系デバイスの安定 性及び信頼性の改善に有望で あること が分 かった。

  第5章で は、 高 温プ ロセ スを 施 したMgド ープGaN表面 の化 学 的結 合状 態と 結晶 欠 陥に 関す る 評 価 を行 った 。Mgドープ密度 が7x1017弸―3(低Mgドープ )と2x1019cm―3(高Mgドー プ)の2種 類 の 試料 を用 意し た。熱処理 を行わない場合、低MgドープGaNのフォトルミネセンス(PL)スベ ク ト ルは バン ド端 発光 が 支配 的で あっ たの に 対し 、高Mgド ー プGaNでは、バンド端発 光ととも に3.2eV近 傍 に ピ ー ク を 持 っ プ ロ ー ド な 発 光 が 観 測 され た。XPS測定 から 高Mgド ープGaNの 内 殻 準位 スペ クト ルの 半 値幅 の増 加が 見ら れ 、高 密度Mgド ー プがGaNの化学結合の乱 れを引き 起 こ して いる こと が示された 。低MgドープGaNに900°C以 上の熱処理を行った場合、1.5‐2.5 eVの エネ ルギ ー領 域の発光が 顕著に増加することが明らか にをった。更にXPSと二次イ オン質量 分 析 (SIMS) 測定 から 、 高温 熱処 理に よっ てGaN表 面 近傍 にGaの外 方拡散が起こるこ とが判明 し、900゜C以上の熱処理によっ て増加した発光はGa空孔を含 む複合欠陥に関連した深い 準位に関 連 す る発 光で ある こと が 示唆 され た。 高MgドープGaNでは 、1000°C以上の高温熱処理 により、

支 配 的蘊PL発 光の エネ ル ギー 値が3.2eVか ら2.8eVに 変化 し た。 また 、熱 処理 後 にMg原子 の 表 面 偏析 が観 測さ れ、2.8eV発光 は、Mgの 格子間原子とGa空孔を含む複合欠陥に起因 した光学 遷移 であることが示された。

  第6章では、本論文の結論を述 べた。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査    教 授    橋 詰    保 副 査    教 授    佐 野 栄 一 副 査    准 教 授    葛 西 誠也

     学位論文題名

    Characterization of Electronic Levels and Chemical Properties of GaN ーBased Semiconductor Surf ・aCeS      (窒化物半導体表面の電子準位および化学的特性の評価)

  工ネルギー問題が深刻化しつっある今日、低損失・高効率の次世代電力変換システム(インバー タ)の 開発は、省エネルギー技術の重要を課題の1つにをっている。現在はシリコン(Si)パワート ランジスタがインバータの中心素子であるが、Siの物性限界のためインパータの更をる損失低滅は 非常に難しい状況である。この限界を打ち破る材料として窒化物半導体が注目されている。窒化ガ リ ウ ム(GaBDはSiよ り も10倍 の 絶 縁 破壊 電 界 を 持ち 、 さ ら に、AIGaNとGaNと の へ テロ 構 造 を形成 するこ とによ って、mGaN/GaN界面 に高い 電子密 度と電 子移動 度を持 つ2次元電子層が形 成でき る。こ の特性 を利用す ることにより、電カスイッチ用トランジスタの損失抵抗をSiと比較 して1/100以下に減少させることが可能であり、高耐圧・高効率の次世代パワーデバイスとして応 用が期待されている。

  半導体表面は、結晶内部の周期的化学結合とは全く異誼り、未結合手(ダングリングボンド)の存 在、特有な欠陥の存在、不純物の化学吸着をどの原因により、特異な電子状態をとる場合が多い。

このため、半導体表面では禁制帯中に高密度の電子捕獲準位(表面準位)が形成され、キャリアの捕 獲・放出に伴う荷電状態変化や準位を介した再結合が半導体デバイスの動作制御・安定性に大き顔 影響を与える場合が多い。しかし、窒化物半導体の表面準位や界面準位の性質は明らかにされてお らず、 表面・ 界面の 化学結合 状態と電子準位との相関についての報告は少をい。また、Mgドープ GaNはp型伝 導層と して用 いられており、バイポーラ素子の重要をデバイス要素であるとともに、

金属/半導体/絶縁体型電界効果トランジスタ(MOSH三T)の反転チャネル層として利用する研究も 最近 開 始 されて いる。 しかしを がら、MgはGaN中 で表面 偏析し やすく、 設計通 りのド ーピン グ 密度分 布を得ることは容易では顔い。さらに、Mgアクセプタ準位が深く(活性化エネルギー:160 meV)、p型 伝導層 を得る ためには高密度のMgドーピングが不可欠であるが、この高密度ドーピン グによりGaN結晶中に深い準位を誘起するという報告も多い。

  以上の 背景か ら、窒 化物半 導体表 面の化学 結合状 態とそ の表面 準位形 成との相関を調ベ、Mg ドー プGaNの 結晶欠 陥形成 とMgドー ピング 密度や 高温プ ロセス との関係 を詳細 に検討 するこ と を、本論文の目的としている。

  本論文は6章から構成されている。以下に各章の概要を示す。

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  第1章 で は 、 本 研 究 の 背 景 と 目 的 を 述 べ る と 共 に 、 各 章 の 概 要 を 記 述 し て い る 。   第2章 で は 、GaNお よ びAIGaNの 物 性 的 特 徴 を 要 約 し 、Mgド ー プGaNのp型 伝 導 特性 、 各 種p型ドーパントのアクセプタ準位に関して概説している。

  第3章では 半導体 の表面 準位や 界面準 位の特 性をまとめている。まず、半導体表面・界面準位 と表面フェルミ準位ピンニングの関係について説明し、続いて、これまでに提案されている表面・

界面準位の起源およびフェルミ準位ピンニング機構に関する主要をモデルを記述している。また、

GaNの結晶欠陥に起因したフオトルミネセンス特性をまとめている。

  第4章 で は、X線 光 電 子分 光(XPS)法を用 いて、GaN表面 の化学結 合状態 と表面 ポテン シャ ル との相 関を系 統的に 評価し ている。 比較を 行った 試料は 、有極 性c面および無極性m面のアン ド ー プGaN、Mgド ープGaN、 プ ラ ズマ 処 理 を 行っ たMgド ー プGaNで ある 。 そ れ ぞれ の 試 料 に お いて、 化学的 結合状 態が異なり、各表面に特有の電子捕獲準位が形成される可能性を示してい る 。特に 、プラ ズマ処 理を施 したGaN表 面では 化学結合状態の乱れを確認し、表面ポテンシャル の増加がショットキー障壁を増加させ、オーミック特性劣化の要因にをっている可能性を示した。

次 に、SiN/mGaN界面 の化学 的特性及 びバン ド曲が りの評 価を行 った。pdGaN成長直 後にSiNを 成 長装置 内で「 その場 堆積」 を行った 場合、 心GaN表面の化学結合状態は良好であるが、成長後 に 触GaNを→ 度大気 に曝し 、外部 プラズ マプロ セスに よってS甜膜を堆 積した 心GaN表 面では、

酸 化物の 形成と メdGaN組成 の乱れ が生じ ていることを明らかにした。更に、SiNのその場堆積は mGaN表面のバ ンド曲 がりを 低減す ること を示し 、GaN系デ バイス の安定 性及び 信頼性 の改善に 有望であることを明らかにした。

  第5章 で は、Mgド ープ 密度 が7x1017cm―3(低Mgドープ) と2x1019cm−3(高Mgドープ) の2 種 類の試 料に対 して、 高温プ ロセスに よるGaN表面の化学的結合状態の変化と結晶欠陥生成に関 す る評価 を行っ ている 。熱処 理を行わ ない場 合、低MgドープGaNのフオトルミネセンス(PL)ス ベ クトル はバン ド端発 光が支 配的であ ったの に対し、高Mg.ドープGaNでは、バンド端発光とと も に3.2eV近 傍にピ ークを 持っブ ロード を発光 が観測 される ことを示 した。次に、低Mgドープ GaNに900℃以 上の熱 処理を行った場合、1.5 ̄2.5eVのエネルギー領域の発光が顕著に増加する こ とを示 した。XPS解析と 二次イ オン質 量分析 (SIMS)から高温熱処理によるGaの外方拡散を確 認 し、900℃ 以上の 熟処理 によっ て増加 したPL発 光はGa空 孔を含 む複合 欠陥準 位に関 連する発 光 である ことを 明らか にした 。高Mgド ープGaNで は、1000℃ 以上の 高温熱 処理に より、 支配的 をPL発 光の エ ネ ル ギー 値 が3.2eVか ら2.8eVに変化 するこ とを観測 し、こ の原因 は、Mg原 子 の 表面偏 析によ り誘起 されたMg格子間 原子とGa空孔を 含む複 合欠陥に 起因している可能性を示 した。

  第6章では、本論文の主要な結諭をまとめている。

  これを要するに、本論文は、窒化物半導体表面の化学結合状態とその表面準位形成との相関を調 ベ 、 ま た 、Mgド ー プGaNの 結 晶 欠陥 形 成 とMgド ー ピング 密度や 高温プ ロセス との関 係を詳細 に検討しており、ここで得られた基礎的知見は、窒化物半導体デ′ヾイス研究に貢献するところ大で ある。

  よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る 者 と 認 め る 。

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図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実