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営業譲渡における譲渡会社債権者の保護について~ 旧琉球バスの事例を1つの手がかりとして~: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

営業譲渡における譲渡会社債権者の保護について∼ 旧琉

球バスの事例を1つの手がかりとして∼

Author(s)

仲宗根, 京子

Citation

沖縄大学法経学部紀要 = Okinawa University JOURNAL

OF LAW & ECONOMICS(13): 25-36

Issue Date

2009-11-30

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/5999

(2)

【論文】

営業譲渡における譲渡会社債権者の保護 について

旧琉球バスの事例を 1つの手がか りとして∼

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仲宗根 京 子

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キー ワー ド :事業再生、事業譲渡、商法 における債権者保護 は じめ に 1994年、鉄道のない沖縄 においてバス大手の旧琉球バスが,負債総額100億 円を超 える規模で事実 上の破産状態 となった。 内部では組合員や退職者 らの訴訟提起 と、内憂外患の状態が続 き、民事再 生法

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日施行) の適用下で行われた、琉球バ ス交通 (樵) への営業譲渡

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月 5日正式契約締結) の行方が注 目された。結局、営業譲渡 を して破産手続へ移行 し42年の幕 を閉 じ たのである。 本稿は、その旧琉球バスによる営業譲渡 を題材 に教科書用 として書 いた拙稿 (注1) にお いて、 法学概論 という教科の性質や紙 面の都合 によ り浅い検 討 しか述べ られなか った 「商号続用譲受会社 の弁済責任」 について、筆者が従来よ り疑問 を持 っていた営業譲渡 における債権 者保護手続 の不十 分性 (注2) という問題意識 も併せて、若干の検討を試みようとするものである。 このテーマは、破産法制および労働法制 とも連動す る複雑な問題 を多分 に含んでいるが、筆者の 能力不足か ら、本稿 にお いては、商法およびその一般法である民法 までを射程範囲 として、基礎的 な検討をめざ した。な を 「営業譲渡」 を、改正会社法は 「事業譲渡」 と表現 しているが、周知のよ うに内容の大きな変更はな いもの とされて いるので、従前か らの営業譲渡 につ いての議論 を、 旧法 の条文 のまま引用 させて頂 いた (注3)。 また、商法総則17粂∼18条 につ いて も、基本的 に会社法

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3

条 と同様 の議論が妥 当す るもの と考 え られるが、本稿では、会社法の規定のみ表記 して検 討する ことにす る。 手法 としては、 まず現行法の解釈適用 を知 るため、営業譲渡 に関す る前提問題 を述べた後 (-)、 商号続用譲受会社の弁済責任の根拠 を巡 る学説 を概観 ・検討 し (二)、判例 を概観 してその傾向を探 る (三)と共 に、 日本商法の沿革および若干の比較法的紹介 (四)を通 じて

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項 の根拠 につい て若干の考察 をす る (五)。次 に、国内法の他 の諸規定 との比較 という意味で会社分割な どにおける 債権者保護手続 を概観 し、営業譲渡ではそ のよ うな保護手続が存在せず、他方で第三者 に法定の弁 済責任 を認める会社法22条 という保護規定が用意 されていることの評価及び営業譲渡 における譲渡

(3)

営業譲渡における譲渡会社債権者の保護について 会社債権者保護 の今後 の展望 について、若干 の考察 を試みたい (六)0 -、前提問題の検討 1、 まず、営業譲渡契約 において、債務は譲渡財産 に含 まれ得 るか、逆 に契約で除外す ることは可 能か (「営業」概念お よび 「営業譲渡」概念 につ いての議論) につ いて依拠す る立場 を明 らか にす る。 譲渡の対象 としての 「営業財産」は、積極財産 のみな らず消極財産 をも含み、一定の営業 日的に よ り組織化 された有機的一体 としての機能財産 として、 いわ ゆる暖簾な どの事実関係 をも含む もの と捉える (営業財産説、通説)。従 って債務 も譲渡財産 に含 まれ ると解す る。 また、「営業譲渡」とは、もの ・権利 ・事実関係 を包含 した有機的一体 としての組織的 ・機能的財産 の譲渡である (営業財産譲渡説、多数説、注

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。従 って、有機的一体性 を有す る、すなわち営業の 同一性が害 されな い程度であれば、 ある債務 を営業譲渡契約か ら除外す ることも可能 と解 される。 2、更に、営業譲渡契約の法的性質か ら、譲渡会社の事業によって生 じた債務 について譲受会社は、 本来直接 の弁済責任 を負 うものか、 また どのよ うな条件の下で負 うのか について確認す る。 事業譲渡 という取引行為は債権契約、すなわ ち譲渡 当事者間のみ に法的強制力が働 く法律行為な ので、譲渡会社債権 者 に対 して直接、弁済責任 を負 うのは債務者本人である譲渡会社のみであって、 譲受会社は直接 の弁済責任 を負わないのが原則である。 また、契約 自由の原則か ら、契約 当事者が 債務 の承継 を約すれば当事者間にお いては承継 されるが、譲渡会社債権者 との関係では、債務 引受 行為が別途必要 と解 されている (注5)。 3、次 に、 2でのべたような譲渡当事者の合意 (特約)がな されなか った場合 には、譲受会社 に直 接 の弁済責任が生 じる場合はないのか、 につ いて検討す る。 この点、通説は、特約が無 い場合 にも、原則 として債務は譲渡契約 当事者間 にお いて承継 される と解 して いる (注6)が、債権者に対 して譲受会社は当然に弁済責任 を負 うのであろうか ? 営業譲渡 当事者間で債務の承継が行われて も、当然 には債権者 と譲受人の間に直接の債権債務関 係は成立せず、譲受会社が債権者 に対 し直接の責任 を負 うには、債務 引受契約な どの法律行為を別 途要す る、とされて いる (多数説)。 もっ とも、民法の近時 の通説的見解 は、債権の担保 力を減縮す る危険 をもつ ものでな い債務 引受の場合 には、債権者 の意思 を厳格 に要求す る必要はないとして、 債務者 ・引受人間で債務 引受 を認め、債権者 の承認 (しか も黙示の追認で もよ く、弁済請求は これ に該たるとされて いるようである) は効 力発生要件 とすれば足 りる ことにな る。 従 って、通説 を前提 とす る と、少な くとも譲渡 当事者間に債務 引受の合意がなければ、商号続用 がな いため会社法22粂 1項の適用がない場合には、譲受会社は直接の弁済責任 を負 うことはないと い う結論 になるであろ う。 他方、営業譲渡 当事者間にお いて債務承継 の特約 も債務 引受の合意 も無いが,商号続用があ り、 22条 1項が適用 される場合には、譲受会社は債権者に対 して譲渡会社 と重畳的に弁済責任 を負 うこ とにな る (判例通説)。 もっとも、この場合で も、事業譲受け後遅滞な く、債務 を弁済する責任 を負

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わない旨を登記 した り,譲受会社及び譲渡会社が当該債権者 にその旨を通知 した場合 には、譲受会 社は責任 を負わない ことになる (同条2項)。 4、22条 1項適用の結果について 譲渡会社は従 前か らの債権契約 に基 づき、他方、譲受会社は、会社法22条 1項 に基づき、譲渡会 社の債権者 に対 して重畳的に責任 を負 う、という不信性連帯債務 の関係 にな る。 また、「譲渡会社 の 事業によって生 じた債務」 には、取 引上の もののみな らず、不法行為 による損害賠償債務 な ども含 まれ ると解 されている (最判昭和29年10月7日)0 その他、両債務の具体的な関係 について詳 しく述べた文献 は少ないよ うであるが、譲受人が弁済 責任 を果た した場合 には譲渡人へ求償できるとす る記述や、譲渡会社が有 して いた抗弁 を譲受会社 も主張できるとす る記述 (注 7) はある。 5、22条 2項 3項及び23条について もっとも、事業譲受け後、遅滞な く、譲受会社が譲渡会社の債務 を弁済す る責任 を負わな い旨を 萱記 した場合や、譲受会社及び譲渡会社か ら第三者 に対 してその旨の通知 を した場合 にお いては, 譲受会社は商号 を続用 していて も、債権者 に対 して弁済責任 を負わな くて いい (会22条 2項)。 更 に、譲受会社が同条1項 の責任 を負 う場合、事業譲渡か ら二年以内に請求 または請求の予告 を しない債権者 との関係では、譲渡会社 の債務 は消滅する (除斥期間、 同条3項)。 また、商号の続用がない場合であって も、譲受け会社が譲渡会社 の債務 を引き受ける旨の広告 を 行 った場合 には、弁済責任 を負 うことがある (23条 1項)。 これ は禁反言則 に基づ くと解 されて い る。 この場合 も、商号続用の とき と同 じよ うに除斥期間が定め られている (同条3項)。 二、商号続用譲受会社の弁済責任 (会社法22条1項、改正前商法26条1項)の根拠 1、外観法理説 (伝統的通説、判例の多 くもこれ を前提 として いるよ うである) 譲受会社 による譲渡会社 の商号の続用があると、その外観か ら事業譲渡の事実がない と信頼す る (事業主体 の混同)か、又は知っていて も、債務 引受 もあった と考 える (債務 引受の誤信)債権 者 を、保護すべきであるか ら、 とされ る (注8)。 2、企業財産担保説 事業上の債務 は企業財産が担保 となって いると認め られ る ことか ら、債権者 を保護す るために、 企業財産の現在の所有 者である譲受会社 に債務 引受 を義務付 けた、 とされ る (注9)。 3、譲受人意思説 この間題 については債権者の側か らではな く、譲受人 (譲受会社) の側か ら説明す るはかないと の認識のもとに、譲受人の意思が22条 1項の根拠であるとす る。すなわち、商号 を続用する譲受人 には、営業上の債務 をも承継す る意思があるのが通常であ り、商号 を続用 しない譲受人 には、その 意思が通常はないものとして同条項が定め られた と解す るO承継す る意思がない場合 には、登記や

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営業譲渡における譲渡会社債権者の保鞍について 通知 によって意思 を表示すれば責任 を負わな いことを定めたのが同条2項である、とされる (注10)。 4、営業活動参加説 営業譲受人が商号 を続用す る場合 には、その者は、対外的 に譲渡人の営業活動 に参加す るものと して取 り扱 うとして、商法82条 を援用す る (注11)。

5

、各説の検討 (∋外観法理説 に対 して もし、外観法理 を根拠 としているな らば、条文上債権者の主観的保護要件が規定 されているはず であるが、22条1項 には規定 されていない。 また、法理論 の面か らも、外観法理 とは 虚偽 の概観 を前提 として法律上の利害関係 を有す るに 至 った者 を保護す る法理であるところ、本条が想定 している譲渡会社債権者 とは、商号続用 という 虚偽 の概観が現れ るよ り以前に、譲渡会社 に対 して債権 を有す るに至 っているので、外観法理が予 定す る前提 を欠 く、 と考 える。すなわち、 旧事業主体 (譲渡会社) に対す る過去の債務 を問題 にし て いるのだか ら事業主体 の同一性 についての概観の信頼 を譲受会社の弁済責任の根拠 とするのは正 当でな く、概観への信頼が問題 になるとすれば、事業主体 の交代 を知 らなか ったために権利保全の 措置 (例えば、営業譲渡 によ り譲渡会社が無視 力になるのであれば民法4& 条 による取消、譲渡時点 で債務超過状態 になければ担保権 の設定な どが考 え られ る) を失念 した ことぐらいであろう、 と解 されている。 また、実際上、営業譲渡が債務超過会社 によって行われ ることが多 い、 という現状の ニーズ に鑑み ると、知 っていたあるいは容易 に知 り得た ことをもって、そのよ うな譲渡会社債権者 を保護か ら外す ことは、妥 当な結論 とは言 い難 い (注

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。 (む企業財産担保説 につ いて この説 によると(丑で述べたよ うな批判はク リアーで きる し、22粂 3項で譲渡会社 の債務が消滅す ることも、財産 の処分 とともに説明 し易 いであろう。 しか し, この説 について も、商号続用 の場合 にだけ同条1項の責任が生 じる ことや,同条2項で 登記 または通知す る ことによって債務 を免れ る ことの理 由が上手 く説明できない し、企業財産が引 き当て になる ことを理 由にす るのであれば、譲受 けた積極財産の限度で弁済責任 を負 うとす るのが 筋であろうが、一般 に無限責任 を負 うと解 されている こととの整合性が とれない、 との批判 もある (注

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。 また、譲受人の同意 も充分な法的根拠 もないのに、財産 の移転 とともに当然 に債務引受が生 じる のでは、抵 当権が設定 され対抗要件 (登記) も具備 しているような場合の追及効 と同列 に扱 うのと 等 しい結果 とな り、取 引の安全が著 しく害 され るとの批判 もある (注14)0 ③譲受意思説につ いて 確か に この説 による と登記や通知 によ り意思 を表示すれば22条 1項の責任 を負わないとする同条 2項の説明もスムーズにできる。 しか しなが ら、詐害性 の強い場合に同条項が適用されやすい、 と いう判例の傾向 (後述三、 4参照)か らすると、そのような場合にはむ しろ譲受人の真意 としては か け離れた ものであろうか ら、意思の擬制 にす ぎるのではないだろうか (注

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④営業活動参加説 について 商法82条 と22条 1項 とでは、その利害状況は大 いに異なる。商法28粂によ り合名会社の新入社員 が対外関係 にお いて加入前の会社債務 について責任 を負 うのは、合名会社が対外関係 において法人 であることの当然の帰結 と考 え られてお り、そ の責任 の根拠は営業活動に参加す るか らではないか らである。従 って この立場は根拠 としては妥 当でないと考える。 三、判例の概観 1、22粂 1項の根拠,及び書かれざる要件 として譲渡会社債権者の善意 を要求すべきか、 について 悪意の債権者への適用 を否定 した判例 (昭和49年12月9日、東京地判) もあるが、東京地判昭和 54年7月19E]判決 (下民集30巻 5- 8号、363頁)は、以下のように判示 している. 「・-商法26条 1項 (改正会社法22粂 1項)が譲受人に譲渡人の営業上の債務の弁済義務負わせたゆ えんは、商号が続用 される場合は、営業主 の交代 を債権者が認識す るのは容易でな く、交代があっ た ことを知 らないために譲渡人に対 して債権保全の措置 を講ず る機会 を失す るおそれが大 きいこと に鑑みて、個 々の具体的な知、不知を問わず、商号の続用 を要件 として、法定の責任 として譲渡 人 と同一の義務 を負担 させ る こととした もの と理解 され る (も し、一般的 に営業譲渡があれば譲受 人による債務 引受があった もの と考 えるのが債権者の常であるとか、ただ単 に営業上の債務は営業 財産 を担保 として いる とかの理 由によるものであるな らば、商号続用の有無 と係 りな く営業 の譲受 人全部 について同様 の法定責任 を負担 させて然るべきであ り、商法訪粂 1項 (改正会社法22粂 1項) が とくに商号の続用 を要件 に掲げた ことは無意味な ことになる。) そ うだ とすれば,商法26条 1項 にいう 「譲渡人 ノ商号 ヲ続用スル場合」 とは、譲渡人の商号 を譲 受人が商号 として続用する場合だけでな く、譲渡人が 自己の商号 を同時 に営業 自体 の名称 (この意 味で 「屋号」 と呼ぶ ことにす る) と して も使用 していた ものであるときは、譲渡人の 「商号」 を譲 受人が 「屋号」 として続用す る場合 をも包含す るもの と解釈す るのが相 当である。 けだ し後者の場 合にも、商号続用のゆえに、営業主体 の交代 を債権者が容易に知 り得な いことは、前者の場合 と大 きな差異はないと考え られ るか らである-・。」 2、22条 1項は 「商号」そのものの続用がある場合 に しか適用 されないか について 商号そのものでな くて も、営業上使用 され る名称が営業の主体 を表示す る機能 を果た している場 令 (平成16年 1月15日、東京地判、金法1729号、76頁)や、屋号 について (昭和60年 5月30日、東 京高判、判例時報11EB弓、146頁) も適用 を認めた判例がある。 また、商号続用はな くて も実質的 に譲渡会社の同族が企業体 を承継 した と認め られ る場合 に適用 を肯定 し、商号続用 した場合 との均衡 に照 らし (続用な くて も)別人格 を主張 してその債務 の承継 のみを否定す る ことは信義則に反 し許 されないとした判例 (平成12年7月28日、大阪高判、金融商 事判例、1113号,35頁)がある。 3、22粂 1項の根拠、および 2項の免責登記に関 して 東京地判平成12年12月21日 (金融法学1621号、54頁)は、同条1項の根拠 につき外観法理説 と企

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営業譲渡における譲渡会社債権者の保預について 業財産担保説 を併用 して示 した上で、商号続用はあるが免責登記 をしている場合 の規律 につき、対 外的に同一主体 であるかの様 に振 る舞 う等 して同一主体であると誤信 させた ものであ り,免責登記 を理 由に支払 い拒絶す る ことは信義則違反であ り許 されないと判示 した0

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、検 討 22条 1項の根拠 について 1の判例は外観法理説を採用 していると解 されるが、譲渡会社債権者の 主観的保護要件 については、条文 を前提 に不 問 とし、結論 の妥 当性 を重視 した と思われ る。そ して、 3の判例 にみ られ るよ うに、根拠 につ いては外観法理説だけの硬直的な考 えか ら、次第 に企業財産 担保説のよ うな他 の説 をも併用す る方向にあるといえよ う。 また、 同条 1項 の 「商号続用」 という要件 について も、営業主体 を表す名称 について広 く適用の 余地 を認めている し、営業承継の実体があれば不要 とさえ解す る判例がある。他方で、商号続用の 要件 を満た している場合で も、信義則 によって不 当な結果 となる ことを回避 している。 四、比較法的考察 1、 ドイツの場合 日本法が参考 とした ドイ ツにお いては、商号続用 による法的責任構成 (HGB25条以下)に、1994 年 の商法改正 (ドイツ株式法)後 も固執 している。 また、同国の民法419条は、譲渡 された営業が事実上譲渡人の財産の全部または大部分を占める場 合、譲受人 も無条件 に営業上の債務 につ き、債権者 に対 して一定限度 の責任 を直接負 い、 この責任 は特約で排除できないこととす る。 しか し、わが国の民法は この規定 を倣 っていない点 に留意する 必要があろう。 2、オース トリアの場合 従前、 ドイ ツの影響 の濃か った隣国オース トリアでは、HGB25粂以下の規定を削除 し、 この間 題 を 「商号続用」 か ら切 り離 し、新た にUGB38条か ら40条で規定 し直 している。UGBは、 ドイ ツにおいて も導入 されて いないいわゆる 「連続性 の理論」 (Kontinuitastheorie) (注 :K.Schmid

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Handelsrecht,5.Aufl.1999,S.222ff.;ders.ZGR 1992,621ff.) を果敢 にも導入 し、企業の取得 者 に、商号 の続用 とは関係な しに、企業 に関連す る法律関係 に参加 させよ うとしている (注16)。

いわば、法定の契約 引受 (gesetzlicheVertragsubernahme)という法律構成を採用 した と解 さ れ る。

3、アメ リカの場合

アメ リカ法では、債務 は、合併 の場合にはその種類 に関係な く自動的に承継 され るが、営業財産 の全部 あるいは実質的全部 の譲渡の場合 には 自動的 には承継 されな い、 とされて いるよ うである (A.B.A Model.Bus.Corロ.Act76(e);Cal.Gen.Cor°.Law &1107(a);Ⅲ.Bus.Corp.Act &157-69な ど)C判例は、実質上、合併 と同視できる限 りは債務 を免れないとしているようである

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的な企業結合についてはそれに応 じた規制 を している といえよ う. また、債務 を承継す るかの判断規準 としては、場所 ・従業員 ・資産 ・活動 の連続性 の他、譲渡会 社が譲渡後 に解散 していることを要す る、とす る説がある (

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4、検討 周知のように、 日本商法は、 ドイツ商法 における 「商号続用」理論 をそのまま輸入 した と言われ ているが、 ドイツ民法のよ うな規定が存在せず、全額 につ いて法定責任 を認める規定であることか らすると、その解釈適用 にお いては、 ドイ ツ法 と必ず しも同様 に解 しなければな らな いわけではな いと思われ る。 また、オース トリーや アメ リカ にお いては、 「商号の続用」 という形式的な メルク マールではな く、法主体 の連続性や合併 と同視 し得 るか否か、 という実質的な判断規準 を用 いてい ることが伺えるO 五

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条1項の根拠および 「商号続用」要件、 同条 2項の根拠および1項 との関係 に関する試論 以上の国内の諸学説や判例 の傾向、諸外 国の立法例 をふ まえ

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条1項 の根拠や商号続用要件が 果たすべき機能、更に同条2項で免責される根拠及び 1項 との関係について検討する。 1

、2

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条1項の根拠について ① 既に見てきたように根拠 をめ ぐってはいずれの説で も説明困難な点があ り、判例 ・学説 とも企 業財産担保説 に外観法理説 を加味 して複合的 に捉 える傾向がある (最判例昭和29年

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日 ・参考 文献4の154頁)。 (参 企業財産担保説を拡張 した考えをベース としなが ら外観法理説的な利益調和の観点 も加味する 立場 についての私見 思 うに、企業 (とりわけ株主有限責任 制度 を有す る株式会社) との取 引にお いては、企業財産が 大 きな信用力 となっている。そ して、その事業譲渡の対象 になる営業財産 とは、個 々の営業財産 の 総和以上の価値 を有す るところの 「もの ・権利 ・事実関係 を包含 した有機的一体 としての組織的 ・ 機能的財産」で経済的価値が高いため、事業譲渡 され る と譲渡会社債権者は、実質的 に引き当て財 産のあてを失 いかねない。 この点、債務者の交代 もな く譲渡対価 を得た譲渡会社の総資産 の収支は増減 しないので、譲渡会 社債権者の保護 に欠けるところはない、 と一般的 には説明されて いる。 しか し、会社債権者 としては、有機的一体 となって機能す る会社財産 の生み出す将来 の稼働利益 をも見込んで引き当て財産の価値 を評価す ることも少なか らず あ り、将来の稼働利益 (継続企業価 値) まで評価 していない対価で事業譲渡 され生産手段が流出 して しまうと、将来の稼働利益への期 待が害 され るのではないだろ うか。 また、金銭 という対価 には散逸費消 されやす いという不安 も生 じ得 る。す なわ ち、債務 の引き当て とな る会社財産が実質的 には変動す る もの と解 され るので あ る. とするな らば、そのような譲渡会社債権者 を保護す る必要性があるので、保護規定 を設けたのが、

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営業譲渡における譲渡会社債権者の保護について 22条1項の根拠の 1つであると解 される。 もっ とも、それが唯一の根拠だ とす ると商号続用 の場合だけに責任が限定 され ること及び公示手 段 によって この責任か ら免れ る こと (2項)の理 由が説明できない。 また、第三者の法定責任 は、私的 自治への法の介入であることか らすれば、それ を許容す る根拠 としては、それ を認めなければ債権者 の権利が不 当に害 され る場合で、他方、 当該第 三者 において 不利益 を甘受 して もいた しかたない相 当な理 由を具備 していることが要請 され、かつ取 引の安全 に 資す る明確な ものでなければな らないであろう。 このよ うに、譲受会社の静的安全 (厳密 には他人の債務の弁済 を強い られない利益) も考慮する 必要があるため、私見 としては動的安全 と静的安全の調和 を志向す る外観法理的な手法 も加味する ことによって、譲渡会社債権者 と譲受会社 の利益調和 を図るべき と解す る。 2、商号続用要件 について ① 商号は企業主体 を表す もので、通常、取 引先や ノウハ ウな どを含んだいわゆる暖簾 と一体 となっ て、企業 の行 う営業への信用 を化体す るものの1つであ り、取 り引きしようとする者 もそれを信用 して取 引す る ことが多 いといえる。従 って、債権担保 における信用 の基礎 となる 「商号続用」 を、 22条1項の法定責任の要件 とした点は妥 当ではないか と思われる。 ②商号続用の判断規準 について 1で述べた根拠か らす ると、22条1項 の 「商号続用」 とは、必ず しも、 同一の商号のみな らず、 同一の営業主体 を表す、「類似商号」及び営業上使用 され る名称や屋号 (前述三2の判例参照)をも 含み得 る、 とい うことにな り、社会通念ない しは取引通念 に従 って判断すべき と解す る。 3、 2項で免責される場合の根拠及び 1項 との関係 1項の根拠 につき、意思責任説では意思の表れ として説明可能であろうが、企業財産担保説に外 観法理的な利益調和 の観点 を加味す る私見か らは、債務不承継の登記や債権 者への通知 を している 場合 には、通常、営業主体 の同一性 を誤信 させ譲渡会社債権者 に不測 の損害 を与える虞が きわめて 少ないか らである、 と説明す る ことになる。 もっ とも、商号 を続用す る場合 にお いて、登記や通知 によって不承継 の意思 を表示 したか らと いって、なぜ 1項 の責任 を免れ得 るのであろ うか ?1項の根拠 についての私見か らすれば、商号続 用 の利益 を享受 して (1項 の要件 を充たす場合)営業の同一性 を維持 したまま同一主体であるかの よ うに振 る舞 って いるにも拘わ らず、不承継 の登記 を して いる

(

2

項 の要件 を充たす)法 に長けた 譲受人 まで保護すべ きかは疑 問である。先に紹介 した三 3の判例 も、このよ うな場合の免責 (2項) 主張 を、信義則で否定 している。 4、付加的メルクマール についての試論 具体的 には、営業譲渡 を行 う目的か ら営業譲渡 を類型化 した上で関係人間の利害状況 をもとに考 察す る。 ア 会社 にとって不要な部門を他社 に譲渡 して退 く イ 事業 に失敗 した会社が再建 を図る手段 として、設立 した新会社 に営業譲渡す る

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ウ 事業統合 して経営 を強化す る (2社以上が各々の営業権や製造 ・研究設備な どを営業譲渡 して 新会社 を設立す ること) エ 債務超過の会社が譲渡 し、対価 を債権者への支払 に充てる な どが考 え られ る。 アは不要部分 としているが、客観的 に価値 の高い営業財産であれば、譲渡会社債権者の保護のた めには弁済責任 を認める必要性が高いが、譲受会社か らすれば、相 当な対価 を支払 っている場合な どは、営業の同一性が極 めて強 く認め られ る場合 にのみ、弁済責任 を負わ され ると解す るべきでは ないだろうか。 イは、営業主体が実質的 に同一の場合であ り、譲受会社 も実質は本来 の債務者であるか ら、弁済 責任 を負 って当然の状況 といえるであろう。22粂 1項は、抜け駆け的な営業譲渡による債権者の犠 牲の下 に、企業の再生を応援す る趣 旨とは解 されないか らであるO ウは、別の営業主体 と合一 しているので、イほ どス トレー トには責任 を認めがたいが、他者 の商 号ない し、営業主体 の同一性 を推認 させ る利用状況があれば、責任 を肯定 しやす くなるo 工は、不況の今 日、最 も22条1項の活用が望 まれるであろう類型である。 旧琉球バスの事例 も、破産法制 との整合性 に配慮 を要す るという特殊性はあるものの、基本的 に この工にあたる。経営破綻 した旧琉球バス にとっては、解体価値で清算す るよ り有利な譲渡対価 に よって債務弁済で きると共 に、譲受け会社 にとって も、事業の基盤 を受け継 いで効率的な事業が可 能 となる、 という利点が譲渡当事者双方 に存 したが、訴訟費用 と手間をかけて差押 えを目論 む球琉 球バスの退職従業員のよ うな譲渡会社債権者か らすれば、必ず しも望 ま しいものではなか った (資 料1).、 そ こで、資力のある譲受会社 に22条 1項 を根拠 として弁済責任 を問うことも、同条項の根拠、要 件の解釈 によっては検討で きたのではな いだろうか ? (拙稿 前掲注 1) 以上の利益状況 をふ まえると、譲受人が弁済責任 を負 うとして も、その要求すべ き帰責性 の程度 を類型化す る必要性があるもの と解す る。帰責性が高い程、債権者の要保護性が相対的 に高 くなる。 A、譲受会社側 に然るべき落ち度が有 る場合 ①営業主体が実質的 に同一の場合 :信義則や法人格否認法理で対処で きる可能性 もあ り、棲み分 けを要する。更 に22条 2項 に当たる場合で も信義則で 2項 を排除 して 1項 を適用 した最近の判 例 (三3)もこの場合 に該たる。 ②詐害性有 る場合 (譲渡 当事者の抜け駆 け的行為な ど):民法424条の適用 も可能であるが、要件 充足が厳 しいため会22条の有用性が高いと言える。 B,譲受会社側の落ち度 としては比較的軽い場合 ①22条 2項の要件を充たさない場合 譲渡会社の商号 を続用 し、事業譲受 け後遅滞な き責任 を負わない旨の登記や債権者への通知 を 怠 った場合 C、譲渡人が債務超過で求償困難な場合 (なを、分類CはAとBのようにいずれかに振 り分け られ る同次元の分類ではな くABいずれ とも重な り得、 とりわけBと重なる場合 に22条 1項の適用の 是否が問題 となるであろう) 22条 1項が債権者保護 として最 も有用な場合 とは、従来の債務者 (譲渡人)か らの債権回収が事

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営業譲渡における譲渡会社債権者の保護について 実上困難 にな り、他方、譲受人か らは債権 回収が見込 まれ る場合である。 A+C、Aな ら債権者は悪意で も保護 され るべきであ り、A+C、A、B、B+Cの順 に要保護 性が高い と考 える。 な を、承継 の対象 とな る債務の性質 によって差異 を設けべきかについては、 とりわけ労働債権 に ついては、労働法制 も絡むので、個別 の検討 を要す る と考える (参照資料 1)0 六、企業結合 における他の債権者保護手続 との比較 会社分轄 によ り移転 されず に残 る債務 については債務者の変更はな いが、債権 の引き当て となる 会社財産 は変動す る。従 って、法は、合併 の場合 と同様、債権者異議制度 を設けている (会社法789 条1項 2項、799条 1項 2項、810条1項 2項)0 異議 を述べた債権者 には、弁済 ・担保提供 ・弁済用材産の信託のいずれかを しなければな らない が、会社 を分割 して もその債権 者を害す るおそれが無い場合は、そのよ うな対応は不要 とされてい る (789条 5項、799粂 5項、810条5項)。 事業譲渡 には上記 のよ うな債権 者保護制度が設 け られてお らず ((Dとす る)、他方で第三者である 譲受会社 に22粂 1項のような責任が課 されている ((参とす る) ことをどう解釈すべ きであろうか. (丑について この点、債務者 の交代 もな く譲渡対価 を得て いる譲渡会社 の総資産の収支は増減 しないので、譲 渡会社債権者 の保護 に欠 ける ところはないか らである、 と一般的 には説明されている。 しか し、会社債権者 としては、有機的一体 となって機能す る会社財産 の生み出す将来の稼働利益 をも見込んで 引き当て財産 の価値 を評価す る ことも少なか らずあ り、事業譲渡によ り生産手段が流 出 して しまうと将来 の稼働利益への期待が害 され るのではないだろうか。 また、金銭 という対価 に は費消 されやす い とい う不安 も生 じ得 る。すなわち、債務 の引き当て となる会社財産が実質的には 変動す るもの と解 され る。 そ うであるのな ら、会社財産 の変動 に連動 して要請 され る債権者保護 の点で,企業分割な ど他の 事業再編行為 と変わる ところはないので、立法論的 には、営業譲渡 にお いて も、譲渡会社債権者 に、 会社分割や合併 の場合 におけるよ うな異議 を述べ る機会な どを保障す る ことが望 まれ るのではない だろうか ? (拙稿前掲 (注2))Q (参について (丑のよ うな債権者保護手続 の不十分性 を補 うべ くしてか、22条 1項が存在する。 一般 に、 同条項は、取 引にお ける第三者保護規定 と位置づけ られているが、単純 にそ う言い切れ るであろうか ?a 二

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(∋及び玉で検 討 した様 に、同条項は通常の取引保護規定 とは、その構造 を異に している。そ して四で検討 したアメ リカやオース トリアでの基準 にも照 らし合わせ ると、私見 としては、22条 1 項 は、「商号続用」という要件 を充た しているがために、包括承継 に近 い法律関係が形成 されている 場合 につ いて、包括承継 に類す る関係 を規定 して いる、 とい うよ うな評価が可能なのではないか と 考 える (除斥期間にかかるまでは重畳的な債務承継 とい う点で、厳密には包括承継 とは異なってい

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るが)。なぜな ら,譲受会社 の 「商号続用」 とい う要件は、商号 を引き継 いで営業活動 を継続すれ ば、合併 にみ られるの と同様な人格 の合一 (営業主体 の同一性)が推認 され る ことを示 した もの と 解 されるか らである。 そ して、検討 してきたよ うに、22条が債務 全額 についての法定弁済責任である、 という重 い効果 に照 らす と、落ち度 の少ない営業譲受人 に単に資力があるか らといって硬直的 に同条の適否 を検 討 するのではな く、類型化 によ り、関係 当事者間の利害調整 をよ り密 に行える解釈論が望 まれ る と解 す る。その際、破産法制 との関連 にお いては、債権者間の公平や企業価値の劣化 を防 ぐための迅速 性 にも配慮 しなければな らないのであろう。 また,破産法制の分野 に至 る以前であれば立法論的 に は、前述のような異議 申述権制度 を認めて い くことが望 ま しいのではないだろうか。 脚注 (注 1)仲宗根 「琉球バス と営業譲渡」212-213頁、 「法学 :沖縄法律事情PART2」新城 ・小西 ・ 春田編、202頁∼215頁所収、琉球新報社、2008年 (注2)仲宗根 「企業再行為な どの光 と影」32-33頁、沖縄大撃法経学部紀要9号23-35頁所収、 2CX)7年 (注3)琉球バスが行 った営業譲渡は、平成17年改正前商法器条∼28条か ら、会社法21条∼24条及 び467条1項2項の 「事業譲渡」に、同一の概念 として引き継がれた と考 え られている。本 稿 における判例は、すべて改正前のものであるため、該 当条文 に関 しては、 旧法のまま引 用す るもの とす る。 (注4)参考文献5、312頁 (注 5)我妻柴 「新訂債権総論」、565貢∼、1964年 (注6)参考文献9、295頁 (注 7)参考文献9、319頁 (注8)最判昭和47年3月2日、鴻常夫 「商法総則 (新訂第5版)」149貢、弘文堂、1999年 (注9)服部栄三 「商法総則 (第3版)」418頁、青林書院 (注10)参考文献5、233頁 (注11)小橋一郎 「商号 を続用する営業譲受人の責任 一一商法26条 の法理 一一」上柳勝郎先生還暦 記念 「商事法の解釈 と展望」 1頁、有斐閣、1984年 (注12)浜 田道代 「判例批評」207号、判例時報807号、30頁、1976年 (注13)前掲注10、244頁 (注14)参考文献 1、29頁 (注15)参考文献10、255-256貢 (注16)遠藤喜佳 「商法か ら企業法へ一一一オ-ス トリア企業法典 (UGB)概観一一一」の営業譲渡 に伴 う 営業債権 ・営業債務 の帰属の問題 についての比較法的考察 参考文献 1,落合誠一 「商号続用営業譲受人の責任」法学教室20C4年6月号 (Na285)25-31頁、有斐閣 2, 山下晃弘 「営業譲渡 ・譲受の理論 と実際」信 山出版、2CK)1年

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営業譲渡 における譲渡会社債権者 の保護 について 3,北村雅史、会社法 コンメンタール 1、江頭憲治郎編、210-227日、商事法務2008年 4, 田辺光政 「商法総則商行為法 (第2版)」、新世社、1999年 5, 山下 直弘 「営業譲渡の法理」、信 山社、1997年

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,神作裕之 「株 式会社の営業譲渡等 に係 る規律の構造 と展望」、 「落合誠一先生還暦記念 ・商事法 への提言」 P125- P172収録、商事法務、2(X姓年 7,鈴木千佳子 「営業譲渡 と商号の続用」商法総則商行為判例百選 (第5版)42頁へ 有斐閣、2008年 8,丸山秀平 「会社法 (第9版)」、 中央大学通信教育部、2007年 9,大隅健一郎 「商法総則」、有斐閣、1957年 10,宇 田一明 「営業譲渡法の研究」、 中央経済社、1993年 (資料 1)退職従業員の試み ・止 ま らぬ訴訟 民事再生の申請による保全処分では、これ ら賃金や退職金の 「労働債権」は優先的に弁済 される。 今後、退職者 らの請求が認め られ る判決が確定 した場合、強制執行がなされ る可能性 も十分 にあ り、 会社側 にとって不透明な情勢は続 いている。 琉球新報 2(X6年4月18日 琉球バス (民事再生中) の退職者9人が17日同社管財人を相手 に未払 い退職金総計約9500万円の 支払な どを求める訴 えを、那覇地裁 に起 こした。会社側 との調停が13日に不成立 となった ことを受 け、提訴 に踏み切 った。退職金 をめ ぐる問題では、別 の退職者が起 こした同様 の訴訟で、会社側の 支払が最高裁決定で確定 してお り、新たな退職金請求訴訟で も同様の結果が予想 され る。 琉球新報 2007年 1月27日 第1交通への営業譲渡後、破産手続の開始決定 を受けた琉球バスの第 1回債権者集会では、未払 い退職金な どに充て る総原資が現時点で約11億 円集 ま り、最終的 には、約15億4千万円に上ること、 及 び独立行政法 人労働者健康福祉機構 が3月をめ どに優 先債権 である未払 い給与 の一部 を立て替 え、そ の優先債権 の残金部分は年内に支払 い、それ以外 る総原資が現時点で約11億 円集 ま り、最終 的には、約15億4千万円に上る は財産 を全処分後 に充てる、などが報告 された。 琉球バスの未払 い退職金な どの負債総額は、譲渡で解雇 された現従業員分 も含めて、総額約40億 円∼42億 円。支払 い原資 となる譲渡代金8億 5千万 円や財産処分後 の計約15億 4千万 円か ら税金な どを差 し引いた後、支払 い率は10%程度 になる見通 し。

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