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説明的文章の学習指導過程研究 : 読者の立場での読みと筆者と同じ立場での読みを相互交流させる学習活動を組織化した場合

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(1)30. 説明的文章の学習指導過程研究 一読者の立場での読みと筆者と同じ立場での読みを 相互交流させる学習活動を組織化した場合吉川芳則 1.はじめに 説明的文章指導の指導論,授業論は, 1960年代以降,筆者概念を導入することに よって広がりを見せた。小田(1996)は,戦後における説明的文章の読解指導研究 の到達点と改革課題を評価する論考1)において,説明的文章指導が筆者概念を導入 するに至った経緯について触れ,倉滞栄吉の「筆者想定法」,小田辿夫の「表現の ロジックの認知力とレトリックの感知力を含めた読解力」,西郷竹彦の「説得の論 法」,森田信義の「筆者の工夫を評価する読み」などを代表的な読みの理論として あげ,それらを踏まえたものとして,小田自身の次のような考え方を提示している。 読むことの指導は,結局,書き手の認識の視点と読み手学習者の認識の素地 (先行経験・先行知識や思考力レベルのありよう)を両極として,教材を学習 者につなぐ作業である。情報を読むことも,論理を読むことも,レトリックを 読むことも,それらのために構成をとらえ要点・要旨を把握することも,すべ てこの二極をつなぐ作業の過程に組み込まれるべきものである。 すなわち,読み手(読者)と書き手(筆者)の認識のあり方をかかわらせる読み をどう組織化するかが,実践課題になるということである。小田は,この点につい て「現在の読解指導は,筆者の認識に学習者の認識の素地をいかにかかわらせ耕す かという問題意識の視野の中で,実践の工夫がさまざまになされつつある。」と指 摘している2)0 さて,こうした読みの組織化を実践的に機能させるには,適切な学習指導過程の 構築が不可欠である。なぜなら,説明的文章の授業でめざすべき能力としての論理 的思考力・認識力は,単元の進み行きの過程で試行錯誤的な読みを繰り返しながら 培われ学習者に内面化されていくと捉えたとき, 1時間の授業のあり方にとどまら ず,単元全体の学習指導過程(以下,単元レベルのものを指して学習指導過程とい う用語を使用することにする)のありようこそが重要だと考えるからである。 ところが説明的文章領域においては,学習指導過程を巡っての実践・研究の積み 上げは,必ずしも十分であるとはいえない状況である。先の森田や小田らの研究に しても,具体的,実践的に,どのような学習指導過程によって,どのような読みが 展開され,深化・拡充されていくのかについては詳しく言及されておらず,蔑者と 筆者の認識のあり方をかかわらせる読みを授業において展開するといっても,実践 的に機能する段階までには至っていない3)0 そこで本研究では,上記の問題意識にもとづき,読者と筆者の認識のあり方をか かわらせた読み,具体的には,読者の立場での読みと筆者と同じ立場での読みを相.

(2) 31. 互交流させることを中心にした説明的文章(単数教材)の学習指導過程の設定の仕 方について,実践事例をもとに考察する。 2.研究の目的 学習指導過程において,読者の立場での読みと,筆者と同じ立場での読みをどの ように関連させて,学習者(-読者)の認識を深化・拡充させていくかを考える前 提作業として,単元全体における基本的な学習過程4)を仮説的に設定することにし た。これは,どういう読み(学習)をめざす学習指導過程にするのかを考える際の 指標にするものである。 本実践では,三読法的な読み方に依拠することとし,基本的な学習過程を第1次 から第4次まで「(既有知識とのズレを)知る- (筆者の発想・考え方を)探る(筆者の発想・考え方を)つきつめる- (自己の発想・考え方を)ひろげる」とし た。こうした流れを想定したのは以下のような考えによる。 まずテクストと出会った学習者は,情報内容や展開構造についての自己の既有知 識・スキーマとにもとづいて読みを進める。その過程で,既知の事柄やよく理解で きなかったこと,逆に納得したり触発されたことを確認する作業を行う。中でも, 既有知識とズレ-不協和が生じた事柄は,読み深めのための基軸となり,次の段階 で筆者の発想や考え方を問題として探り,つきつめることによって批判的に解決さ れることになる。しかし,最終的に説明的文章を読む(学習する)ことは,自己の 認識を更新し,より新たな自己を開拓していく認識主体を形成することにつながら なければならないと考えるため,最終段階では,筆者の発想や考え方を自己の生活 や考え方と対比させ,認識力を高めようとした5)0 上述した基本的な学習過程に対応させ,読者の立場での読みと筆者と同じ立場で の読みの相互交流の様相(表1)は,第1次から順に「読者-筆者」 - 「読者-筆 者」 - 「筆者-読者」 - 「読者」とした。基本的な学習過程設定の意図からすると, 第1次「(既有知識とのズレを)知る」段階では,読者としてテクスト-筆者と対 時することになるため,筆者を読みの意識に入れた読者の立場に立たせることにな る。続く第2次「(筆者の発想・考え方を)探る」段階では,読者の立場から筆者 の認識のあり方を問うていくことになるが,第3次「(筆者の発想・考え方を)つ 表1.基本的な学習過程と,読者ならびに筆者と同じ立場での 読みの相互交流の様相との対応 学 習段 階. 第 1次 (既 有 知 識 と. 基 本 的 な 学 習 過程 読 みの 立場 の相 互 交 流 の 様相. 第 2次 (筆 者 の 発想. 第 3次. 第 4次 ( 自己 の発 想 . 考 え方 を) ひろげる. . 考 え方 を). (筆 者 の発 想 . 考 え方 を). 知る. 探る. つ きつ め る. 読者→筆者. 読 者 → 筆者. 筆 者 → 読者. のズ レ を). 読. 者.

(3) 32. きつめる」段階では,立場を逆転させ,筆者と同じ立場から読者を意識させる読み を展開させようとした。視点の転換を図り筆者と同じ立場に立たせることで,それ まで読者の立場から,いわば間接的に筆者の認識のあり方を読もうとしていたのを, 直接的に筆者の認識のあり方に触れる読みへと移行させようとしたのである。まず は読者の立場から筆者の認識のあり方にアプローチし,それを受けて筆者と同じ立 場から認識のあり方に迫るという順序性は学習者に抵抗が少く,また視点転換によ る新たな見方,考え方の発見に寄与することが期待できると考えた。最終第4次 「(自己の発想・考え方を)ひろげる」段階は,認識主体としての自己確立をめざ すものとし,テクスト-筆者に直接向き合うという行為を離れ,一読者として筆者 の認識のあり方を相対化,対象化することをめざす段階として位置づけた。 本研究は,上述した意Egによって設定された学習指導過程が,どのように読み (学習)を深化・拡充させるかについて考察することを目的とする。 3.実践の方法 3. 1対象兵庫教育大学附属小学校第5学年3組33名(男子17名,女子16名) 3. 2教材「竹とともに生きる」(上田弘一郎, 1997年度版大阪書籍5年上所収) 3.3実践期間1997年4月下旬∼5月中旬 3.4一日標 ○竹の特性と,生活や文化への役立てられ方がわかり,自己の生活における竹へ の認識,身近にありながら忘れられがちなものへの認識を深めることができる0 ○普通の木と対比したり,生長する順序に対応させて竹の特性とその生かし方を 述べたりしている筆者の認識方法,表現方法を読むことができる。 O 「序論一本論一括論」の構成・論の展開がわかる。 3. 5学習指導過程本実践における学習指導過程は,図1に示すとおりである。 3. 6授業の実際的展開 く第1次「(既有知識とのズレを)知る」段階: 【読者-筆者】〉 単元のオリエンテーションとして位置づけ,題名読みの後,指導者の音読によっ て通読させた。読後の感想は,この段階から筆者の存在を意識させることを意図し て「筆者への手紙」の形で書かせた。なお,この「筆者への手紙」形式による読み のまとめは続く第2次でも継続して採用した。 く第2次「(筆者の発想・考え方を)採る」段階: 【読者-筆者】) 読者の立場で筆者の発想や考え方を読ませることをねらって,本テクストを初め て読む同学年の学習者を助けられる存在としての「読者お助けマン」を設定した。 そして「読者お助けマンになって筆者の思いや願いを探ろう」の共通課題のもと, まずテクストを読んでの質問事項を書かせた。各自で精選させた質問事項は指導者 側で学級全員分を一覧表にし,形式段落ごとに,質問内容に対する答えを考える形 で学級全体による検討を行い,筆者の発想や考え方を探らせた。学級の全体学習に よる検討(計4時間)の1時間ごとのまとめは「筆者への手紙」の形で書かせた。 く第3次「(筆者の発想・考え方を)つきつめる」段階: 【筆者一読者】).

(4) 33. 基本的 な 学習 過程. 学. mmm. 習 活. 動. 読者-筆者 ョン. オリエンテーシ. 既有知識とのズ レを知る. 1.. 0題名読みの後,通読するo O感想を「筆者への手紙」の形 で書く。感想を交流する。 2.. 0音読練習する。 ○漢字・ことばの学習をする。 く2時間). 読者-筆者 1.. 読者お助けマンになって筆者の思いや願 いを探ろう. 筆者の発想・考え方を探る. 0筆者の結論を確認するた桝こ 「序論一本論一結論」の構成 を確認する。 筆者(上田さん)にたずね てみたいことを見つけよう. ○筆者の思いや願いを探るため に,筆者にたずねてみたいこ とを個人学習で調べる。 2-6.. 0おたずねの内容を絞り,その 解答を考える。 ○全体検討(①∼@段落) ○全体検討(⑨∼⑫段落) ○全体検討(⑬∼⑲段落) ○全体検討(⑳段落と全体). <6時間. 筆者一読者 つや筆 き考者 つえの め方発 るA-'P.. をんて筆 flf4'二昌 こへ組に う手のな 紙みつ. 1.筆者の上田さんになって, 「竹とともに生きる」の文章 を検討してくれた5年3組の みんなに「筆者への手紙」に 対する返事を書く。. <1時間. え物直がが身 よにさちら近 うつれな忘に いて物れあ てよやらり 考い見れな. 1.身近にありながら忘れ られがちな物や改めて 見直されてよいものに ついて自分の考えを書 く。. <1時間. 教師の働きかけ. 既有知識を喚起させるよう働きか ける。通読は,指導者の音読によ る。難語句は適宜補足する。 筆者への質問や,叙述内容につい て自己の考えを書く手紙とするO 本文の内容に関連する感想発表に ついては,該当個所を確認するこ とで,叙述内容をつかませる。. 「読者お助けマン」という立場で 筆者への質問を中心に書かせる。 その際「筆者の思いを探るために 」という点を意識させ,質問内容 を絞らせるO適宜,ペアやグルー プで相互交流させるo 質問内容を一覧表にし,形式段落 ごとにその答えを全員で検討させ ながら,筆者の発想・考え方に気 づかせるようにする。 検討対象の観点としては,普通の 木との対比的な見方/大きさや長 さなど数字を示しての具体性/ 「 冬休み」等の比喰・擬人化表現/ 特性との対応による役立て方の例 の提示/竹の生長順に役立て方を 述べていること等があげられる。 全体検討各時間ごとのまとめは「 筆者への手紙」形式とする。. 書きためてきた「読者お助けマン 」から筆者への手紙の内容などを 振り返らせながら書かせる と同じ立場に転換させて,筆者の 発想や考え方を確認・再構成させ る。. 筆者は竹だけを見直そうというの ではなく,その他の物にも同様の 考え方を持っていることを確かめ た上で,自己の考えを書かせる。 竹に代替する物を想定させても, 一般的に捉えて書かせてもよいO. 図1. 「竹とともに生きる」 (大阪書籍5年上)の単元計画<全10時間>.

(5) 34. ここまで一貫して読者の立場から筆者の発想や考え方に対略してきた読みのスタ ンスをこの段階では反転させ,筆者と同じ立場から,テクストの読者を意識した読 みを展開させた。具体的には,筆者になって,これまでテクストを検討してくれた 5年3組のみんなに,書き続けてくれた「筆者への手紙」に対する返事を書くとい う活動を行った。実際に筆者と同じ立場に立たせることで,これまで読者の立場で 読んできた筆者の認識のあり方を確認させ,再構成させようとした。 く第4次「(自己の発想・考え方を)ひろげる」段階: 【読者】) テクストの結論部が「身近にありながらわすれられがちな竹の力は,今,あらた めて見直されてよい時に来ている。」となっていることや,説明的文章の学習では, 得られた認識内容・方法はテクスト内に閉塞されず自己認識,生活認識を更新する ものだと捉えていることから,共通課題を「身近にありながら忘れられがちな物や 見直されてよい物について考えよう」と設定し,自己の考えを書かせた。その際, 竹に代替する物を想定して書いても,一般的に捉えて書いてもよいこととした。 4.学習指導過程における読みの様相・特徴ならびに考察 表2は,設定した学習指導過程における各学習活動段階における読みの立場,共 通課題ならびにM・ S男の読みを示したものである。以下ではM・ S男の読みを中 心に,適宜他の学習者の読みの内容も合わせて検討しながら学習指導過程のありよ うを考察することにする。なおM・ S男を考察の対象の中心としたのは,この学習 者が,設定した学習指導過程において比較的順調に読みを深化させていった標準的 な水準の学習者であること,したがって設定した学習指導過程の特徴や課題を把握 しやすいと判断したことによる。 表2によると, M-S男はまず第1次(オリエンテーション)における通読後の 感想として位置づけた「筆者への手紙」で,説明対象である竹について,自己の既 有知識との対応を中心に書いている。 「初めて知ったこと,驚いたこと等を中心に」 という指示にもとづいて,生活経験で生じた疑問の解決,説明対象に対する新たな 発見を率直に記しており,テクストの読みの導入として機能したといえる。また感 想文的な書きぶりではあるが, 「筆者への手紙」形式によって最後の部分には筆者 像を意識している記述が認められる。他にも「一つ気になることは,なぜ,竹につ いて書いたのかということです。」 「竹のいいところを,もっとたくさんの人に知っ てほしかったのかなと,私は思いながら,気にしてます。」 (T・R子)のように, 書きぶりに着目し筆者の発想へ意識を向けている例もあり,テクストそして筆者へ の出会わせ方の一つとしての「筆者への手紙」形式の可能性がうかがわれたO 続く第2次は, 「主体的読者」としての立場である「読者お助けマン」になって, 筆者の発想や考え方を探っていく段階であった。個人学習で見つけた筆者への質問 事項(「筆者の上田さんにたずねてみたいこと」)について形式段落ごとに検討する 全体学習(計4時間)を行い, 1時間ごとの学習(読み)のまとめとして「筆者へ の手紙」を書かせた。表2の例では,筆者の述べ方の順序性について学習したこと のまとめが記述されている。.

(6) 35. 表2.各学習段階における読みの立場,共通課題ならびにM ・ S男の読み 第 1 次 = オ リエ ン テ ー シ ョ ン 読. … く前 略 〉 ... まず , 竹 が な ぜ 一 年 じ ゅ う枯 れ ず に緑 の 葉 が つ い て い る の か. 者. が 不 満 に思 っ て い た 0 だ け ど こ れ を読 ん だ とき に, 竹 は枯 れ る 前 に 新 しい. ↓ 筆 者. 葉 が 出 て き て , 一 年 じ ゅ う竹 本 体 は枯 れ な い こ とが わ か っ た 。 ‥. く中 略 〉 … 日本 人 は , 竹 の 特 性 を使 っ て い ろ い ろ な 道 具 を作 っ た り し て , 竹 を便 利 に 使 っ て い る こ とが わ か っ た 。 / 上 田 さ ん は, こ れ らの こ と を い ろ い ろ調 べ て , そ れ を全 国 に教 え よ う とす る0 上 田 さ ん は, や さ しい ん だ 0 l第 2 次 ‥読 者 お 助 け マ ン に な っ て 筆 墨 の 畢 TL 、 や 願 しく 首 藤 右.t l. =ア 己 冗 者 ↓ 筆 者. ⑲ ∼⑲ 段 落. … く前 略 〉 … 最 初 に, ⑭ 段 落 の 竹 の 子 の こ とを 卑 ザ し箪 二 に∼ に した の か とい う こ と で し た 。 そ れ は, 竹 の 子 を食 用 に す る こ とが 竹 と竹 の 子 の 中 で 二 重 活 用 され て い る か ら だ と い う こ とだ っ た 0 そ れ に 第 二 に建 築 材 と して 使 う と い う の は , 竹 の 子 が 生 長 した か ら こ う な っ た か ら生 長 順 に並 べ て い る の で は な い か とい う こ と に 決 ま っ た 0 次 に道 具 に使 う とい う と こ ろ で を ぜ 竹 と ん ぼ な ど の 道 具 に し た か , も つ とい ろ い ろ な 道 具 が あ る の に とい う 問 題 で , 竹 の 特 性 に合 う の を書 い た の で は な い か とい う こ とに 決 ま っ た 0 t第 3 次 ‥筆 者 に な っ て 3 組 の み ん な へ 手 紙 を書 こ う 1 5 年 3 組 の み な さ ん , ぼ くの 書 い た 「 竹 と と もに 生 き る 」 に つ い て い ろ い ろ と考 え て き た こ と を , 教 え て くれ て あ りが と う0 / み ん な が わ た し の 気 持 ち な ど を 考 えた と い う こ と は, わ た し の 思 い や願 い な どが 伝 わ っ た と. 筆 者 ↓ 三 士 i5冗 者. 思 う 0 で も, 人 の 気 持 ち を 考 え る の は, む ず か し か った で し ょ う 0 特 に竹 を ど うや っ て使 っ て い る か は, わ た し もす ご く考 え た ん だ 0 で も, そ 車 旦 み ん な は 1 時 間 で わ た しの 気 持 ちが わ か っ て くれ て , う れ しい 0 / 話 はか わ つ て , ⑳ 段 落 の 結 論 で は , わ た しの 気 持 ち が す ご くわ か っ て くれ て , た の も し い お 助 け マ ン に な れ そ うだ 0 み ん な は , わ た しが 他 の 物 も見 直 し て ほ し い ん じ ゃ な い か と い う こ とや 考 え を い ろ い ろ 出 し て考 え た 結 果 , ロ ー ソ ク や わ ら な ど を い っ し ょ に見 直 して ほ し い と な っ た 0 み ん な の 考 え は あ つ て い る 0 わ た しの 書 い た 作 品 で こん な に理 解 し て くれ た の は ,. 5年 3組. の 君 た ち だ け だ 0 / あ との (丑∼ ⑲ の 考 え の 様 々 な こ とが , 思 い な どが 伝 わ つ て , わ た し は感 動 し て い る0 mm 身 近 に あ り な が ら忘 れ られ が ち な 物 や 見 直 して よ い 物 に つ い て 考 え よ う 日本 で は, 今 も使 わ れ て い る もの や 昔 は よ く使 わ れ て い た の に 今 は も う 読. 必 要 じ ゃ な くな っ た 物 な ど が い ろ い ろ と あ る 0 そ の い ろ い ろ な 物 な どの 中 に も, 使 い 方 な ど に よ っ て す ご い力 を も っ て い る の が あ る0 そ れ は, 今 す ご く科 学 が 発 展 し て い て も, い ろ ん な使 い 道 が あ る0 そ の よ う な も の は,. 者. 人 間 の い ろ ん な役 に 立 つ か ら, 人 は , そ う い う の を失 わ ず これ か ら も い ろ い ろ と使 っ て い く方 が い い と 思 う。 / 例 え ば 牛 乳 パ ック な どは , リ サ イ ク ル の 他 に も い ろ ん な 使 い 方 が あ る と思 う0 / 結 論 は , 人 間 は , 見 直 さ れ て い い 物 な ど は , 科 学 が 発 展 し て も使 っ て い く方 が い い。.

(7) 36. 作文の対象である⑬∼⑩段落は,竹の特性に合わせた役立て方を論述した部分で あるが,授業ではその述べ方の順序に学習者の意識が向いた。すなわち特性に合わ せた役立て方として,なぜ筆者は「竹の子を食用にする-建築材にする-竹薮を防 災に活用する-様々な道具に使う」という述べ方の順序をとったのかということが 授業の中心となったのである。ここでの授業記録の一部は以下のようである. 修⑭段落の「なぜ『たけのこを食用にする』ことを最初に出したのか」とい うのは,竹の子を,竹と竹の子を日本人がいっしょに使うのは,竹の子を食 用にするのを一番よく使うから,だから最初に出してきたと思う。 T18 「第一にが」食用?これは絶対一番でないと,修君は,いけないんじゃな. いかっていうんやな。筆者は,日本人は一番よく食べるから,それを一番は じめに出してくるのがいいんじゃないかと考えたっていうんやね。 直子あたしも,竹のやつでは,竹の子を食用にするのが一番有名だと思うから, 一番にしたと思います。. T19有名? /裕士竹とんぼも有名やで。 純愛私はちょっと違うねんけどな,題名が「竹とともに生きる」やろ,だから 人が生きるってことは,やっぱり食べるのが一番やから。 T20えーつと,共に生きる(板書する)0 裕士だから第二に建築材にしたんちゃうの? T21だから,こういうことを直接的につながりがあるのは,やっぱり食べるっ ていうことだからっていう意味?それも,一番にした願いかなあo 理紗最初に建築材ってのをしたら,食べるのってな,竹の子って,あの食べる のって竹で食べへんやろ。竹の子,小さいときに食べるやんか。だから建築 材として使うの,竹になってからやろ。だから,竹になってからのことを書 いて,それからまた竹の子のときのことを書いたらわか T22言いたいこと,わかる? /Cわかる,わかる。 遥おもしろいなあ。 T23あとの⑯段落のことやけど,どういう意味?ちょっと言える子? すみれあの,竹の生長する順番に,だから竹の子は一番小さい時で,それから建 築材とか防災になってきたら,だんだん普通の竹になってくるときだから, だから生長する順番に書いたから,だから竹の子のことを一番初めに書いた。 T24竹の子から建築材になった。 遥それって3, 4年たってからのことやな。 T25こっちは建築材ですが,これは大きくなってからのこと。それ,おもしろ いなあ。そういう考え方。 遥防災に活用するときって,思いっきりでかくなかったらあかんやろ。 T26また防災の方も関係ある? /C関係ある。 遥地下茎で思いっきし大きくなっとかなあかんから。 修の「竹の子の食用にするのを一番よく使う」,直子の「食用にするのが一番有 名」という意見を受けて,純愛は題名「竹とともに生きる」との関連で,生きるこ.

(8) 37. とと食との関係に考えを巡らせている。引き続きT20後の裕士は,第2に建築材が 述べられているのは,生きることと食-住の順序性との関連があると類推し,さら に理紗は,竹の生長順序に即すると役立てられ方も「竹の子-建築材」と述べるの が自然であり,読者にわかりやすいことを指摘した。これは筆者の認識の仕方,棉 成面の工夫に対する発見であり,適の「おもしろいなあ。」というつぶやきを生む ことにつながったT23後のすみれは,前の大段落(⑧∼⑪)で竹の生長を述べて いたことと対応させて役立て方の述べ方の順序を捉え,続く通の二つの発言も,チ クスト前半で竹の地下茎のことを述べたのは,後半で竹薮・防災のことに説得性を 持たせるための意図的記述であることに気づいたものと解せられる。こうした授業 記録や「筆者への手紙」例を見ると,読者の立場から筆者と同じ立場(筆者の発想 や考え方)を探る学習活動は,学習指導過程の中で効果的に機能したと考えられた。 表2の第3次の作文例は,これまでと立場を逆転させ,第2次で学んだ筆者の認 識・表現方法を自覚的に読ませることを意図して文章表現させたものである。 M・ S男の場合,具体的内容を再構成した記述は⑳段落に限定され,やや概念的な面が 見られるが, 「みんなの知らなかった地下茎や竹の役立て方。ちゃんとした順番。 この『竹とともに生きる』は,全部の部分がつながりを持っている。」 (S・Y男) 等も合わせて考察すると,これまで第2次で,考え,話し合い, 「筆者への手紙」 という形で書きためてきたものを総合的にまとめ,筆者の発想や願い,認識方法を 再認識,メタ化することに培う要素を有していることがうかがわれた。 最終第4次,読者の視点で筆者の認識内容・方法を生活へと広げることを意図し て記述させた文章では,牛乳パックを具体例に,リサイクルについて触れ,さらに 科学の発展との関係で「見直されていい物」を捉えようとしたM- S男の他には 「炭は,おいておくと空気をきれいにしたり,ごはんといっしょにしてたくと米が おいしくたけると聞く。今では,木や炭で物や食べ物を焼くのも少ないし,炭はあ まり利用されていない。けれども炭はいろいろな力をもっていると思う。」 (S・R 千)のように,聞いた情報との関係で捉えようとしているもの, 「一つだけ炭を使っ ているものがある。それは,バーベキューです。 (家で食べたとき)」 (H・M子) のように自己の生活体験をもとに捉えようとしているものも見られた。これらのこ とから筆者の主張を自分なりに受けとめ,自分の生活を捉え直し見つめ直す(自己 の生活を再認識し,陶冶する)ことに開かれた読み,テクストを超えていく読みを 形成する機能を有していると解することができた。 以上,学習者の読みに見られる学習指導過程の特徴を考察したが,次には単元終 了後に書かせた学習を振り返っての作文の内容から,設定した学習指導過程につい て検討してみたいM・S男は「上田さんは,竹のいろいろなことが読者にわか るように書いて,竹をもう一度,昔みたいにもっと使ってほしいと思っていると 思う。」 「上田さんの思いや願いなどがよく伝わって上田さんの竹への思いがすごく 伝わった。」等,筆者の発想や願いについてまとめて記した。またM・ S男以外に は「上田さんは,さりげなく使っている言葉に,きちんと意味をこめていました。-・ <中略>-この5の3のみんなで上田さんの気持ちをさぐっていく時が,私として.

(9) 38. はすごく楽しくておもしろかった。他に,筆者になって私たちに手紙を書いたりし て,すごく楽しかった。」 (S・H子)のように筆者の思いや願いを探る活動のおも しろさについて触れたもの, 「筆者へのおたずねを考えたり,その答えを考えたり するのが,立場が逆になった感じでおもしろかった。」 (K・Y男)のように,読者 の立場の読みと,筆者と同じ立場での読みの相互交流的な展開のおもしろさについ て触れたもの, 「前までは,ただ単に竹が生えているなあとしか思わなかったのに, 今,竹を見ると,ああ竹が生えている。やっぱり上田さんのいったとおり00-0 0だったんだなあ-。すごいなあ-と思うようになりましたOこういうふうに思え るっていうのはすごいなあと思います。」 (U・E子)のように生活認識更新への自 覚について触れたものなどが見られ,設定した学習指導過程における読者の立場で の読みと,筆者と同じ立場での読みを相互交流させる学習活動は,学習に対する好 意的反応を高め,読みを深化・拡充させる要素のあることが示唆された。ただし 上述K ・ Y男には「筆者の上田さんになって書くのが自分は,一番得意じゃなかっ た。」という感想も見られたことから,読者の立場と筆者と同じ立場の両者を転換 する学習の自然な流れと,手引き等を含めた学習環境の設定への配慮は必要である。 5.おわりに 本研究では,説明的文章(単数教材)の読みの指導において,単元の学習指導過 程における読者の立場での読みと,筆者と同じ立場での読みの相互交流的な様相を, 仮説的に第1次から順次「読者-筆者」 - 「読者-筆者」 - 「筆者一読者」 - 「読 者」と設定し,学習者の読みがどのように深化・拡充するかを第5学年「竹ととも に生きる」の教材を用いた実践例をもとに検討した。分析対象とした学習者の読み の事例は一部分にとどまったが,設定した二つの立場の読みの相互交流の様相は, 立場を転換する学習活動の流れへの配慮を適切に行うことで,筆者の認識内容・方 法を批判的に内面化し自己の生活認識を高めることに機能することがうかがわれた。 く5主). 1)小田辿夫(1996) ; 「読解力の読解過程の内実とさらなる研究を」教育科学国 語教育臨時増刊『戦後国語教育研究の到達点と改革課題』 No.528, pp.93-94 2) 1)に同じp.94 3)河野順子『対話による説明的文章セット教材の学習指導』明治図書, 1996では, 筆者と筆者,筆者と読者の立場による相互交流的な読みを展開させた授業の詳細 が報告されているが,複数教材を対象としたものが中心となっている。 4)広岡亮蔵『学習過程の最適化』明治図書1972, p.29,では基本的な学習過 程を「諸変数によってさまざまに最適化しうる可能性をもつ,単純で可変的な学 習過程のモデル」と定義している。 5)こうした一連の学習の流れは,広岡前掲書pp.101-102において,高次目標を 達成するための主体学習の過程段階として提示している「ズレの感知一つきつめ る-新たな立ち向かい」を視野に入れている。 (兵庫教育大学学校教育学部附属小学校).

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