13 春田 川東路における
アオミドロの生育及繁殖状態につし、て
栗 田 芳 雄 (香川県立高松工芸高等学校) 序 香川県の河川は2∼3の例外を除いて次の特徴がある.第1ほ水源地から流下する河水は一たん漕 他に貯水され,第2には渇水動こ貯水池より下流の水路は流水を見ないいわゆる「滑れ川」の多いこ とである. 「滑れ川」には多くの場合河床の砂礫層の問を除ふに流れる伏流水があり,伏流水は地形,砂礫層 の厚薄により再び表流水となって河尉こ預れ更に伏流,表流を繰返えして海にそそぐ。本県に於ては これらの河川を濯漑水,都市の飲料水(高於,丸亀,観普寺等の水道水源)とtして利用されるが,河川 の生物相の研究は等閑に付せられている. 典型的な伏流水表流水のある春日川の淡水産 ̄F等藻類の生育状態を調査せんとし,こゝに接合藻ア オミドロのみについて行?た結果を報告する.この研究は野口講師の御指導の下に行い,′J、野数投,′柴崎助教授の懇篤な御助言を重けた。掛こ深 甚の謝意を表する. 調査鞄及び調査期間 (1)調査率春日川の野沢 、 材)水源地 木田郡菌根田村,西相田村,香川郡慶應村 回 小渓谷の流水が四ケ池(軸内池,橡属地,城池及び公淵池)に溜あちれ,その後藤一水路 、となり春日川と呼ばれる(全長22km),四ケ池より上流は洪積層,下流は沖横層である・ (2)調査地点の設定 下流の潮止癌を阻点としで上流に向い金水路を1km毎に22区を作った. (3こ)調査期間 昭鱒27年6月より同年12月27日に至る205日間 調査事項及調査方法 (1)降水盈及び増水状況
この川の流水量は降雨に支配されもことが多い.調査期間中の降水監及び川の増水状況は第⊥・まの
i漁りである (1)も流速の測定方法 コルク片を流して一億時間 中に通過するその距離を測つ た.「滴れ川.」の溜水も単な る停水でないことを確めるべ く同株にして流速を測定し た. (2)伏流水と溜水 的 表流水が伏流水となる夢 朗の「㌧アオミドロ」の生育 状態を調査した.(第二表 No.3地区)アオミドロの 生育は良好であった. 伺 河中に灘皐せる溜水が流 速測定に.より小新陳代謝を行‘ っている車を知った.この ような場朗でも生育は良好 であった. 一一第・−−褒− 目数l降畑場長謡星1
_ 」27.年..8−9 春EりlI増水状況 ㌫纏一回増水 4.. 10 6. 5 6一.㌢ 6−−22 6.. 23 6一.24−30こ、一二、・・・.− ■二
‡ 7・・1・−3 27.7.4−8 7.9・−−11 7.1.2−29 7. 30 7 31 8. 31= 9. 1 9. 2 11, 3 ‥ ニ 27.11.4・−5 11. 6 12.. 27 (註)高級測候所:香川県気象月報 昭和27年より (3)化学的成因による影響材)6月と12月の二回に・亘り′′厚生省飲料水瞼査指針イ′の方添により14ケ朗の水質試験を行った。
結果は第二義に示す−.一丁・第二表−
水 質 試 験
調 査 年月日 KMno4 消費盈 採 取 個 所 Cl/ 生育状況 ・ 1 潮止嘔附近 春日橋下流50Pm 〝 1000‡n 西川附近 末琴附近業 元山橋下流200Tn 由良叫附近 上佐山附近 稗田全水路合流点 稚内地 核尾池∴・ゴ、●・:
拭池 公淵池 清 酒 準 澹 一一 血 一 潮止嘔附近 春日橋下流50qm 〝 100m 西川附近 来宗附近※ 元山積下流200m 由良山附近 上佐山附近 稗田全水路合流点 紳内池 松尾地 域水路 城池 公淵弛 27ご2⊥18卜‡■: 第 ′ + 回 十十+ 大群落形成 + 仔細に観察して麓かに発見出来きるもの 猿 表流水より伏流水に転ずる所 十十 水面1mから覗き存在を認め得られるもの − 肉眼で発見出来ないもの I l申 No」8(川島町附近)地点ほ四回 の水質試験を行った.この地点は 意水の流れこむところである.そ の結果ほ.第三表の如くである,即 ちこの程庶の無機成分では白然状 感では生育ほ影響されないものと 思はれる. −一欝≡表・−−・ 水質試験に・よるCIJの畳
!・く:て:・−、∴
No..1a/」+∵No.1b l No・1cppm 15341.0 1.41∠払.0
27.6.6 27.12.1.8 第一回 第二恒‡ 一帯四ま− Ml水素イオン濃度 の調査はノノPH樟 一 準管列′′又は東洋 溶紙の水素イオン KMヶ乙04 準費盈 生状 曹況 T 「、、  ̄1 ̄■ 仁耳 /J へt▼、′1 溶紙?水素イカ 渡慶試験紙を用 \ た.実験萄で い も研 究によると水素イ オン濃度はアオミ 19いユ1け・+・+ ド 異は見られなかった. も 4)温度変化に・よる影数/− 水温と肇温ほ∴大体並行している.水温270C以上になると生■育ほ一席減退するが150C■前後でほ旺盛で ある.それ以下でほ詳かでない.調査の末期にほ100C・まで下降したが未だ繁茂しているところがあつ た.(第三表No.3) 5)日照による影響 終日,陽の当る場所と日蔭に・なる場所とにつき観察すると,陽光地文ほ半日蔭によく生育する・日蔭 でほ明かに生育が不良である. 結果及考察 1)四ケ他の漏水が常にこの水路をうるおしNo.3地区(末宗附茹)では伏流水となるが大部分は 常に廣流水となって蛇行しながら流れている.この漏水盈ほ他の水星によつ疋■影穏され従って開塾 をこ深い関係をもつ.この流水申では「アオミドロ」は極めて旺盛な生育をし,水中至るところに大 群落が見られる.しかし大出水があるとその大部分は流糞L,僅かに岩石に固慈して残存したもの が短時日のうちに繁殖する. 2)川の申の区劃された−■見溜り水と思われるものは,コルク片を嘩す簡単な実験によって流水で あるこ.どが謹められキ.かゝる地域でアオミドロは旺盛な生育をする. 3)No.3南部坤区で伏流水となり,外観上行づまりでありながら相当盈の水が流れ,No・3北部 地区の朗々で末流水となり又伏流水 ̄ともなる.この地区の水質は良質で「アオミドロ.」ほよく生育 している.4)潮止堰より上流500m一〕ユ000m地区(No.1a,No.1b)ほ調査期間を通じて「アオミドロ_jの生
育は認められない原因は顕著な塩分の浸透に・よると思われる.水質試験によるCl/の量は第二衣の如 ぐである.No.1c(春日櫓下流100∼200m)ほ距離的に.No.1a,b,地,点に近いがCl′はIio∼鴇0位に 下していて.「アオミドロ.」の生育は10月10日頃に始めて僅かにみられた.この時の水温ほ.220C である.備この地点ほ溜り水で伏流水による新陳代謝が,上流に於ける程活蘭ではない. 5)「サン各エア性窒素」「義満酸性窒素」「緒酸性窒素」等による影響は顕著でなく夫々の影響ほ.白然環境下に於ては認められなかった.KMnO4滑費畳ではNo.1地区が囁に多いが「アオミドロ」 の生育には影響がないようである.