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第3章 焼却灰溶融システムの現状、焼却灰溶融スラグのリサイクルの動向・問題点

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第3章 焼却灰溶融システムの現状、焼却灰溶融スラグのリサイクルの動向・問題点 3―1 焼却灰溶融炉の方式 現在導入されている焼却灰およびごみ直接溶融設備の主要な方式を分類す図3―1−の ようにうになる。ただし、溶融炉メーカーにより多少名称が異なる。 アーク方式 電気加熱 プラズマ方式 電気抵抗方式 誘導加熱方式 焼却灰溶融方式 回転型 表面溶融方式 固定型 溶融システム 燃料加熱 旋回流方式 内部溶融方式 コークスベッド方式 ごみ直接溶融方式 燃料加熱 コークスベッド方式 熱分解方式 図3−1−1 ごみ・焼却灰溶融炉の概要 18) 焼却灰を溶融する方式は、焼却灰溶融方式とごみ直接溶融方式がある。焼却灰溶融方式で は、電気加熱によって溶融する方式と燃料によって加熱する方式に分けられる。電気加熱溶 融方式なかで、さらに使用する電気エネルギーの違いによって4つに分けられる。燃料加熱 方式による溶融システムは5 つに分けられる。 3−1−1 焼却灰溶融方式 1).電気加熱方式 ①アーク式 焼却灰を電極によるアーク放電を起こし加熱するものである。 ②プラズマ式 プラズマトーチを用い気体に電圧をかけて電離させ高温を得て溶融する。 ③電気抵抗式 焼却灰を溶融し電気抵抗を持った導体にし、この電気抵抗熱によって溶融する。 ④誘導加熱式 これは炉の周囲に巻かれた誘導コイルに低周波(交流)電流を流しこれにより発生した ジュール熱によって溶融を行う。 2).燃料加熱方式 ①−1回転型表面溶融方式

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この方式は燃料、灯油や重油、ガスによって灰の内側表面を溶融する。溶融炉が回転 するもの ①−2固定型表面溶融方式 燃料、灯油や重油、ガスによって灰の内側表面を溶融する。溶融炉が固定されているもので ある。 ②旋回流方式 炉に灰と燃料が供給され、溶融空気により旋回流が生じ溶融される。 ③内部溶融方式 これは焼却炉(回転式ストーカ炉)と一体となっており、ごみ直接溶融炉に分類されること もある。焼却炉から排出された灰を同一のプラント内で焼却灰中の未燃分として含まれる残 留炭素を使い溶融される。補助的に電気ヒーター等を使用する。 ④コークスベッド方式 コークスを燃料とし、焼却灰と石灰と共に炉上部から供給され炉下部からの熱風で燃焼し溶 融される。 3−1−2 ごみ直接溶融方式 1).コークスベッド方式直接溶融方式 上部からごみ、燃料としてコークスと石灰を投入し、炉の下部から燃焼用空気を送り込み、 灰とごみの中の金属類も溶かす。 2).熱分解式直接溶融方式 ごみを 450 度Cの熱分解ドラムのなかで熱分解し、発生ガスと熱分解カーボンを溶融炉に 送り、灰分を溶融温度より約100~150 度C高い 1300 度Cで高温燃焼 させ灰分を溶融し、その後水砕し取り出すものである。 3−2 焼却灰溶融施設の導入状況 このような分類をふまえて 1998 年 10 月現在の施設の導入状況を表3−2−1に示す。 大都市周辺を中心に近年相次いで導入されている。現在稼働中の施設は 25、試運転は 1、 予定1 の計 27 施設である。ダイオキシン対策なども行われているものも多く技術的にも進 歩してきている。東京都八王子市の戸吹清掃工場に併設されている溶融施設、横浜市に予定 されている金沢工場では,溶融スラグの搬出おいて空冷式が導入されている。その他の施設 では、溶融スラグの搬出には水冷式が採用されており、水砕スラグが発生するしくみになっ ている。 表3−2−1 ごみ溶融施設の設置状況 18)19) 施設名 稼動年月 焼却炉規模 溶融炉規模 形式 埼玉県東部清掃組合 第2 工場 昭和60 年 3 月 300t/日 28.8t/日 固定表面溶融式 長崎県諫早市 環境センター 昭和62 年4月 118t/16h 12.3t/16h フィルム回転型 表面溶融式

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徳島県阿南市外二町 衛生組合阿南クリーンセンター 平成3 年 4 月 120t/日 9.6t/24h 固定表面溶融式 施設名 稼動年月 焼却炉規模 溶融炉規模 形式 埼玉県狭山市 清掃センター 平成3 年 4 月 100t/24h 15t/24h 回転表面溶融式 東京都大田清掃工 場第二工場 平成3 年 4 月 600t/24h 500t/24h アーク式溶融式 埼玉県大宮市 西部環境センター 平成5 年 2 月 300t/24h 75t/24h アーク式溶融式 埼玉県坂戸市 西清掃センター 平成6 年 8 月 80t/24h 9.6t/24h 固定表面溶融式 愛媛県松山市 南クリーンセンター 平成6年4 月 300t/24h 52t/24h プラズマ溶融式 新潟県白根衛生セ ンター組合 グリーンタワー 平成6年11 月 100t/16h 7t/16h 回転表面溶融式 千葉県我孫子市 クリーンセンター 平成7 年 4 月 120t (70t/16h, 50t/8h) 15t/24h 固定表面溶融式 愛知県衣浦衛生組 合クリーンセンタ ー衣浦 平成7 年 9 月 190t/24h 30t/24h 内部溶融式 埼玉県東部清掃組 合第一工場 平成7 年 10 月 800t/24h 160t/24h アーク式溶融式 愛知県東海市 清掃センター 平成7 年 11 月 160t/24h 30t/24h コークスベッド溶融式 愛知県小牧岩倉衛 生組合 平成8 年 4 月 300t/24h 9.6t/24h 電気抵抗式 埼玉県狭山市 第二クリーンセンター 平成8 年 11 月 165t/24h 7t/24h 固定表面溶融式 徳島県美馬環境整 備組合 (清掃工場) 平成9年3月 72t/16h 5t/16h プラズマ溶融式 東京都多摩川 衛生組合 (清掃工場) 平成10 年 4 月 450t/24h 50t/24h アーク溶融方式 東京都八王子市戸 吹清掃工場 平成10 年 4 月 240t/日 36t/日 電気抵抗式 東金市外三町 清掃組合 清掃工場 平成10 年 4 月 210t/24h 26t/24h 固定表面溶融式 岐阜県加茂衛生施 設利用組合 (グリーンパーク ごみ処理施設) 平成11 年 4 月 予定 240t/24h 60t/24h プラズマ溶融式 神奈川県横浜市 (金沢工場) 平成13 年 4 月 予定 400t/日 60t/日 電気抵抗式

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ごみ直接溶融炉 施設名 稼動年月 溶融炉規模(t) 形式 岩手県釜石市清掃工場 昭和54 年 9 月 100t/24h ガス化・高温溶融一 体コークスベッド方式 大阪府茨木市環境衛生セ ンター 昭和55 年 8 月 150t/日 高温溶融コークスベッド 処理方式 大阪府茨木市環境衛生セ ンター 平成8 年 3 月 300t/日 高温溶融コークスベッド 処理方式 香川県東部清掃 施設組合(清掃工場) 平成9年6月 28.8t/日 高温溶融コークスベッド 処理方式 兵庫県龍保健衛生施設事 務組合(清掃工場) 平成9 年 4 月 12.3t/16h 高温溶融コークスベッド 処理方式 福岡県飯塚市 クリーンセンター 平成10 年 4 月 9.6t/24h 高温溶融コークスベッド 処理方式 施設規模も様々でそれに伴い建設費や運転・管理費も変わってくる。表3−2−2に溶融 施設の規模と費用の関係を示す。これは各自治体から提供して頂いたものである。ただし施 設によって費用の試算方法が異なる。そのため同じ条件での比較は困難である。 表3−2−2 溶融施設の経費 19) 施設名 運転・管理費 建設費(億円) 溶融炉規模 (t) 炉形式 a施設 約137,000,000 約2,600,000 円/t 約442.2 50t/24h アーク式溶融 b施設 市のごみ処理経費 6,116,486,000 総事業費173 75t アーク式溶融 c施設 347,191,000 2,169,937 円/t 44.9904 160t/24h アーク式溶融 d施設 約2億6千万 約520,000 円/t 325 溶融設備 約57.7 500t アーク式溶融 e施設 運転管理費 約9千万円 整備、補修費 約9千万円 約3,460,000 円/t 約35 52t プラズマ式溶融 f施設 20,692,000 約2,150,000 円/t 15.347 9.6t/24h 電気抵抗式溶融 g施設 227.218 36t/24h 電気抵抗式溶融 h施設 7,780,762 (重油、電力、プロパ ンガス使用量) 1,111,400 円/t 全体 44.8127443 溶融設備 4.85223 7t 回転式表面溶融 i施設 197,132,000 16,026,000 円/t 5.8 12.3t 回転型表面溶融

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j施設 委託管理費含む 676,312,000 45,080,000 円/t 36.8 15t 回転式表面溶融 k施設 委託管理費含む 49,058,000 7,000,000 円/t 9.579 7t/24h 固定式表面溶融 l施設 174,649,000 (灯油代、補修費) 18,190,000 円/t 36.11605 溶融設備 2.56 9.6t 固定式表面溶融 m施設 194,361,455 平成8 年度 12,950,000 円/t 15t/24h 固定式表面溶融 n施設 約16 26t/24h 固定式表面溶融 o施設 水道、電気使用量 122,386,297 4,080,000 円/t ごみ焼却施設建設費 77.82939 30t/24h 内部表面溶融 p施設 全体 571,884,000 溶融施設 173,523,000 5,780,000 円/t 全体 123.394 溶融施設 26.78 30t/24h コークスベッド式溶融 t当たりの運転費用は100 万~4500 万円となっている。 ごみ直接溶融施設 施設名 溶融施設の運転・管理費 (億円) 溶融施設の建設費 (億円) 溶 融 炉 規 模 (t) 形式 A施設 41.3022367(燃料費、電気 費等) 10.72549 工事費 9.5 100t/24h コークスベッド式 B施設 総事業費 106.4179 120t/24h コークスベッド式 C施設 約4.6 約100 130t/24h コークスベッド式 D施設 18.65864937 総工費210 450t/24h コークスベッド式 ごみ直接溶融炉に関しては、炉の形式がコークスベッド式と基本的に同型のため比較してみ る。運転及び管理費は、1t当たり4百万円前後ということである。 以下に「廃棄物の溶融処理技術とスラグの有効利用」20)から溶融炉のイニシャルコストと ランニングコストの調査例を表3−2−3に示す。ただし人件費、補修・修繕費等は含まれ ていないこのデータより、ごみ直接溶融炉を除く溶融炉におけるイニシャルコストの平均は 86,463 千円/灰t、ランニングコストの平均は 12.55 千円/灰tとなる。溶融炉の耐用年 数を 15 年 21)と設定すると溶融スラグを 1t発生するのにかかるコストは、イニシャルコ ストを15 で割った金額、すなわち年間のイニシャルコスト 5,764,200 円/灰t、1 日当た りの灰処理量、現在稼動中の25 施設の平均値(25t×0.9×365 日)で割った値は、701.88 円/灰tとなる。以上から灰1t処理するのにかかる費用は、702+12,550=13,252 円/ 灰tとなる。表3―2―2、表3―2―3からもわかるようにスケールメリットが大きく、 コストダウンと安定したリサイクル先が確保できれば焼却灰溶融スラグのリサイクルは可

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能になるだろう。現段階は試験的にリサイクルに向けてのスラグの製品化、および業者への 譲渡、売却を行っていると幾つかの自治体がある。具体的に次の3節で見ていく。 表3−2−3 溶融炉のイニシャルコストおよびランニングコスト 20) 溶融炉方式 イニシャルコスト ランニングコスト コークスベッド式ごみ溶融炉 70,000 千円/ごみt 5.5~6.5 千円/ごみt アーク式電気炉 55,000~90,000 千円/灰t 4.5~5 千円/灰t 80,000~100,000 千円/灰t 15~20 千円/灰t 130,000~150,000 千円/灰 t 14 千円/灰t プラズマ式電気炉 65,000~100,000 千円/灰t 13~20 千円/灰t 130,000~150,000 千円/灰 t 15 千円/灰t 電気抵抗式溶融炉 50,000~80,000 千円/灰t 17~22 千円/灰t 高周波誘導式溶融炉 100,000 千円/灰t 17~22 千円/灰t 回転表面溶融炉 60,000~105,000 千円/灰t 11.5 千円/灰t 85,000~120,000 千円/灰t 10 千円/灰t 固定表面溶融炉 55,000~80,000 千円/灰t 12~17 千円/灰t 100,000~120,000 千円/灰 t 8.5~11 千円/灰t コークスベッド式灰溶融炉 90,000~100,000 千円/灰t 11~13 千円/灰t 内部溶融炉 50,000~80,000 千円/灰t 6~10 千円/灰t 旋回流式溶融炉 50,000~80,000 千円/灰t 11~15 千円/灰t 3−3 焼却灰溶融スラグのリサイクルの現状 まず溶融炉を持つ自治体に対して行った、溶融スラグのリサイクルについての質問の回答3 −3−1に示す 表3−3−1 焼却灰溶融スラグのリサイクルの現状(空欄は解答なし)19) 施設名 スラグリサイクル量 再利用に伴う処理・費用 スラグのリサイクル先 施設1(アーク 式、固定式表面 溶融) 平 成 8 年 度 8264.66t インターロッキングの費用: 2,500 円/m3目標 アスファルト骨材、フラワーポット 管内:無料 管外:2,500 円/m3 施設2 (回転式表面) 民間業者による製品化 透水性ブロック 施設3 (アーク式) 42,000t インターロッキングブロック、舗装材 等は、摩砕、磁選。 費用:業者 新海面処分場の集水帯用 ストック 埋戻材、アスファルト骨材等 施設4 (アーク式) 497,580 埼玉 県 環 境 整 備 センター 2,384,790 資 源化 U字溝、平板、アスファ ルト骨材、フラワーポッ ト、セラミック平板等 施設5 (プラズマ式) 金属含有のため売却 10 月 で完了 必要なくなってきている H6~8 年度 最終処分場の覆土 H9~: 中央公園の埋立アスファルト

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施設6 ( 回 転 式 表 面 溶融) 573.5t 路盤材等 453.5t インターロッキング 120t 売却 インターロッキングブロック 施設7 (固 定式表面溶融) 1,063t 路盤材、埋戻材、コンクリート 骨材、土地改良材等 施設8(内部) 全量埋立 施設9 (コークスベッド式 灰溶融) 全量売却 イ ン タ ー ロ ッ キ ン ク ゙ ブロック 売却先で 2~3 ヵ月養生期 間 市内砕石会社に 10 円/ tで売却 施設10 (電気抵抗式) なし 施設11 (固 定式表面溶融) なし 施設12 (アーク式) H10.4~9 月 建材業者61t 建築業者18t 建材業者:ブロック壁骨材 建築業者:路盤材 2,300 円/tで売却 施設13 (電気抵抗式) 工場で積込み渡し 売却 施設14 (固 定式表面溶融) 試 験 施 工 を 計画中 試験的にふるい選別機で 粒度調整 施設15 (プラズマ式) 加工・無加工 で そ れ ぞ れ 計画 実績なし 施設16 (電気抵抗式) 土 木 資 材 等 に利用予定 実績なし ごみ直接溶融施設 施設名 スラグリサイクル量 再利用に伴う処理・ 費用 スラグのリサイクル先 施設17 (コークスベッド式) 3167t 水砕スラグ:アスフ ァルト舗装骨材 50 円/t 施設18 (コークスベッド式) 下層路盤材、インターロッキングブロック 300 円/t 施設19 (コークスベッド式) 2040t(全量) なし 有価で売却 施設20 (コークスベッド式) 一部 建設資材として売却 施設21 (コークスベッド式) H10 年 4~9 月 約1440t 売却先で行う 日本磁力選鉱に売却 このようにまだ全量リサイクルしているところは少なく、スラグ化して減容化して全量また は大部分を埋立処分しているところが多い。溶融スラグのリサイクルが進まない理由として 幾つかの回答をあげる。

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・溶融システムはもともと埋立処分、処分場の延命化の目的で採用したから。 ・焼却灰のすべてを溶融できない(30 ㎜以下の焼却灰のみ)ため、溶融炉の稼働日数が少 ないため。 ・溶融スラグの有効利用がすすまないため。 ・溶融炉が高温になるために耐火物等が短期間で浸食され、こまめな点検を要するため。 このように現場において、溶融スラグのリサイクルルートの開拓・整備を指摘するところ もあった。一方でリサイクルに向けての動きも出てきており、これらのデータを参考に今後 リサイクルを検討しているという解答も多かった。そこで次の節では、リサイクル先として 規模の大きい路盤材への利用について考えてみる。 3−4 焼却灰溶融スラグの道路路盤材へのリサイクルにおいての条件 第2章でも述べたように道路路盤材として現在は天然素材(クラッシャラン、粒度調整砕 石)が非常に多く使われている。徐々にではあるが鉄鋼スラグや石炭灰、廃棄ビニールシー ト、アスファルトがらなど再生品の利用が盛んに進められるようになってきている。焼却灰 溶融スラグも道路路盤材へのリサイクルには大きな可能性を持っており、幾つかの研究事例 4)、5)がある。その研究事例を参考に全国規模、地域規模での可能性を探る。 焼却灰溶融スラグを道路路盤材にリサイクルする際に幾つかの問題点が生じてくる。一つ 目は、第2章で触れた品質規格に適合しなければならないという問題がある。二つ目に、価 格の問題がある。この点については5節で触れることとする。さらに三つ目は、安全性の問 題がある。スラグに含まれる重金属などは焼却する廃棄物にもよるが、その重金属による土 壌汚染の心配がある。この点についてはこの節の後半で述べる。 品質規格の問題については、先に触れたように幾つかの研究事例を参考に考えていく。 前節で見たように現在道路路盤材として焼却灰溶融スラグをリサイクルしている自治体 がある。東京都をはじめ、横浜市などが道路路盤材へのリサイクルに向けて研究事例 23) マニュアル 22)として発表している。横浜市による試験施工(「都市清掃」より、ごみ焼却 灰溶融スラグの道路路盤材等への試験施工)、横浜市とNKKの試験例(「第9回廃棄物学会 研究発表会講演論文集1998」より、灰溶融スラグの道路路盤材適性評価)は、空冷スラグ を用いた試験施工例である。道路路盤材として焼却灰溶融スラグを単独で利用するには、空 冷スラグの方が粒度が大きく、用途にあわせて粒度調整が可能である。また下層路盤材にお いては、品質規格にもほぼ適合する。第 3 章1節で触れたように、現在全国で導入されて いる溶融炉でのスラグの搬出方法は大部分が水冷式によるもので、水砕スラグとして再利用 されている。 そこで本研究では「焼却灰溶融スラグの有効利用マニュアル」(東京都清掃局 平成9年3 月 東京都清掃局ごみ減量総合対策室)の 63~70 ページに掲載されている廃棄物研究財団 によるスリムウェイスト推進研究の施工例を参考とする。この施工例は、表面溶融炉による 水砕スラグ(以下Sスラグ)を使用しており、第2章で触れた品質規格に適合するように水 砕スラグとクラッシャーランC-40 を下層路盤材では、Sスラグ:C-40=50:50、上層路

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盤材では、Sスラグ:C-40=25:75 で混合し施工した試験例である。この試験施工例で採 用されている混合材をリサイクルに用いるとして以下のリサイクル可能性を検討していく。 表3―4―1にスリムウェイスト推進研究の施工例での配合比を示す。表3−4−2にこの 試験施工に用いたスラグの性状を示す。 表3―4―1 施工路盤材の性状 22) 採用工種 下層路盤 上層路盤 下層路盤 アスファルト舗装要綱基準 クラッシャーラン (C-40) 100 75 50 配 合 比 (%) Sスラグ 0 25 50 下層路盤 (C-30) 基準 上層路盤 (M-30) 基準 53(㎜) (%) (%) (%) 37.5 97.5 100 100 100 100 31.5 87.8 97.7 97.7 95~100 95~100 19 64.1 73.2 86.0 55~85 60~90 4.75 36.5 38.5 62.5 15~45 30~65 2.36 27.6 28.8 47.8 5~30 20~50 0.425 10.8 8.9 11.8 10~30 成 粒 度 0.075 6.7 5.0 6.0 2~10 修正CBR(%) 142 135 128 20 以上 80 以上 表3―4―2 スラグの性状 22) 材料の名称 表面溶融炉による水砕スラグ 品質規格 見掛比重 2.816 表乾比重 2.738 比重 かさ比重 2.694 吸水率(%) 1.60 3.0 以下(道路用砕石 JIS A 5001) すりへり減量(%) 79.1 35 または 40 以下(JIS A 5001) 修正CBR(%) 20 20 以上(下層)80 以上(上層) 標準 1.546 (JIS A 1104) 単位容積質量 (g/cm3 軽装 1.437 (JIS A 1104) 次にこの試験施工での追跡調査の結果であるが、路面性状評価、支持力評価共に3年経過後 もほぼ変化のないものである。ここでは詳しい資料は省略する。この試験施工の報告では、 この試験施工は大型交通量の多くない区間(アスファルト舗装要綱のL交通とA交通の中 間)のところでおこなったものであり、大型交通量の多い所での検証が必要と指摘している。 また、スラグの大半が針状結晶を呈しており取り扱いの注意を指摘している。 この論文では、道路路盤材でのリサイクル可能性の検討には、水砕スラグとクラッシャラ ンC−40 を混合した材料を使用する、具体的には上層路盤材にはスラグ:C−40=25:75、 下層路盤材にはスラグ:C−40=50:50 という配合比で使用した場合を想定して仮説をた てていく。 二つ目の問題点である価格については、前に述べたようにイニシャルコストが平均 86,463 千円/灰t、ランニングコストが 12.55 千円/灰tかかる。 三つ目の問題点である安全性について考えていく。この点については、千葉県が「千葉県 溶融スラグ利用促進指針」のなかで溶融スラグに係る溶出基準を定めているのでこれを参考

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にする。以下表3―4―3に溶出基準を示す。この基準は「千葉県溶融スラグ利用促進指針」 のなかにあるように、環境基本法に基づく土壌環境基準を適用しており、本論文でテーマと している道路路盤材へのリサイクルにおいての安全面、溶融スラグの溶出基準に適用してい く。 表3−4−3 溶融スラグに係る溶出基準 24) 対象物質 溶出基準 対象物質 溶出基準 カドミウム(Cd) 0.01mg/l以下 砒素(As) 0.01mg/l以下 鉛(Pb) 0.01mg/l以下 総水銀(T−Hg) 0,0005mg/l以下 六価クロム(Cr6+ 0.05mg/l以下 セレン(Se) 0.01mg/l以下 この基準をもとに既存の溶融炉から搬出される溶融スラグの成状を比較してみる。溶融施設 への成状に関しての回答を表3―4―4に溶融スラグの成状を示す。いずれも水砕スラグの 形で搬出している施設である。 表3―4―4 溶融スラグの成状(空欄は回答なし)19)24) 溶出基準 A施設 B施設 C施設 溶融炉の形式 プラズマ式溶融 コークスベッド式ご み溶融 コークスベッド式ご み溶融 カドミウム(mg/l) 0.01 以下 0.001 以下 0.001 以下 0.005 以下 鉛(mg/l) 0.01 以下 0.002 0.005 以下 六価クロム(mg/l) 0.05 以下 0.005 以下 0.04 以下 0.04 以下 砒素(mg/l) 0.01 以下 0.001 以下 0.005 以下 0.005 以下 総水銀(mg/l) 0.0005 以下 0.0005 以下 0.0005 以下 0.0005 以下 セレン(mg/l) 0.01 以下 0.001 以下 0.002 以下 回答のあった施設については溶出基準を満たしており、現在の溶融技術では十分に安全面 に配慮した溶融スラグを生産できるものといえる。ただし、溶融スラグの性状はごみの成分 や溶融炉のしくみによって左右される。したがって、ごみの徹底した分別、前処理などの取 り組みが不可欠である。 3―5 道路路盤材としての焼却灰溶融スラグと既存の道路路盤材との比較 まず、焼却灰溶融スラグ(以下、溶融スラグとする)が道路路盤材にリサイクルされる方 法を考える。 一つ目は、現在使用されている道路路盤材のうち、原料が天然素材のものの代替品として 最大限溶融スラグが利用された場合。 二つ目は、第3章4節で仮定したように、現在道路路盤材のとして使用されているクラッ シャランのうち50%(下層路盤材)が溶融スラグに替わった場合。 三つ目は、二つ目と同様にクラッシャランのうち 25%(上層路盤材)が溶融スラグに替 わった場合。 この3つの場合についてどのような量になるか全国レベルと地域レベルで検討する。 まず、現在のごみの排出量からどのくらいの溶融スラグが発生するのか検討する。、1993 年度の時点での全国のごみ焼却量は、3664 万 3 千t25)にのぼる。ここでこのごみがすべて

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溶融スラグに変わったとするとどのくらいの量になるか計算してみたい。表3―5―1ごみ 処理のフロー 19)に示す通り、ごみ処理の方法に違いがあるが、焼却量の約8%~15%に当 たる量が溶融スラグの量に相当する。 表3―5―1 ごみ処理のフロー 19) 搬入量 (t/年) 焼却量 (t/年) 灰発生量 (t/年) 灰 受 入 量 (t/年) 溶融 処理量 (t/年) 溶融スラグ 発生量 (t/年) w施設 (固定式 表面溶融) 33,269 32,932 4,333 2,566 2,309 1,365 x施設 (コークスベッド 式灰溶融) 29,176.9 27,979.1 3,133.0 3,133+ 560.7 (砕砕不燃 物) 3,693.7 3663.4 1074.7 (石灰等 含まず) y施設 (電気 抵抗式) 69,438.03 60,481.64 11,592.25 (最終処分) +610.88 610.88+ 411.06 (カレット) 1021.94 857.58 z施設 (ごみ溶融) 19,472 19,284 19,284 3,526 そこで全国のごみ焼却量の 15%が溶融スラグに変化すると仮定する。全国で1年間に発 生する溶融スラグの量は、549 万 6450t(=3,664.3 万t×0.15)と推定できる。そこで先 程の三つの場合を仮定にあてはめて、リサイクル量を算出する。 一つ目の天然素材にすべてとって替わった場合は、第2章の4節で述べたように、道路路 盤材のほとんどが溶融スラグに替わったことになる。量は年間の道路路盤材出荷量2億 1169 万千tのうちクラッシャランの出荷量 1 億 1948 万 5 千t26)となる。ここでは具体的 にクラッシャランC−40 のみの需要量がわからなかったので平成 9 年のクラッシャラン全 体の出荷量をクラッシャランC―40 の需要量として検討をし、以下も同様に進めていく。 二つ目の場合には、クラッシャランの需要量1億1948 万 5 千tの 50%、すなわち 5974 万2500tとなる。 三つ目の場合には、クラッシャランの需要量の25%分、つまり 2987 万 1250tとなる。 この三つの場合、日本全国の発生量が 550 万t弱であるから、全国レベルでのクラッシ ャランの三つのどの場合の需要量よりも溶融スラグの発生量が下回るため、溶融スラグの受 入先としては十分といえる。 次に地域レベルでの溶融スラグの道路路盤材へのリサイクルについて考えてみる。北海道、 東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州・沖縄に分けてみる。 まず北海道であるが、年間のごみ焼却処理量は125 万 5 千t(1993 年度)25)である。 これを先ほどの仮定によってすべて溶融処理によりスラグ化したとする。発生する溶融スラ グの量は 18 万 8250tとなる。一方現在北海道での道路路盤材、クラッシャランの需要量 は、922 万t26)となっている。その需要量の25%の値、すなわち 230 万5千tでも溶融ス

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ラグ量12 倍近くの量なっており、クラッシャランの代替品としての可能性は十分ある。 東北地方に移る。青森、秋田、岩手、宮城、福島、山形の6県の年間ごみ焼却処理量は、 計250 万t(1993 年度)25)になる。仮定にしたがって溶融スラグの発生量は、37 万 5 千 tとなる。一方クラッシャランの需要量は、2747 万 9 千t26)である。その需要量の25%、 686 万 9750tとなり、溶融スラグ量の 18 倍となり、代替品としの需要性は十分ある。 次に関東地方を考えてみる。茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の7県の年間 ごみ焼却処理量は1229 万 8 千t(1993 年度)25)になる。仮定にしたがって溶融スラグの 発生量を計算してやると、184 万 4700tになる。一方クラッシャランの需要量は、2469 万 7 千t26)となっている。その需要量の25%、617 万 4250tは、溶融スラグ量の約 3 倍とな りクラッシャランの代替品としての可能性は十分ある。 中部地方について考えてみる。新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知 の9県の年間のごみ焼却処理量は、572 万6千t(1993 年度)25)となる。仮定にしたがっ て溶融スラグの発生量を計算してやると、85 万 8900tになる。一方クラッシャランの需要 量は、2052 万 2 千t26)となっている。その需要量の25%、513 万 500tは、溶融スラグ 量の約6倍にあたり、クラッシャランの代替品としての可能性が十分ある。 近畿地方について考えてみる。三重、滋賀、京都、大阪、奈良、和歌山、兵庫の7県の年 間ごみ焼却処理量は、798 万 6 千t(1993 年度)25)となる。仮定にしたがって溶融スラグ の発生量を決めてやると、119 万 7900tになる。一方クラッシャランの需要量は、1398 万 t26)となっている。その需要量の25%、349 万 5000tスラグ量の約3倍の値であり、リ サイクルの可能性が十分ある。 中国地方について考えてみる。鳥取、島根、岡山、広島、山口の 5 県のごみ焼却処理量 は、191 万 6 千t(1993 年度)25)となる。仮定にしたがって溶融スラグの発生量を計算し てやると、28 万 7400tになる。一方クラッシャランの需要量は、320 万 9 千t26)である。 その需要量の 25%、80 万 2250tは、溶融スラグ量の約3倍であり、リサイクルの可能性 が十分ある。 四国地方について考える。香川、徳島、愛媛、高知の4 県の年間ごみ焼却処理量は、104 万5 千t(1993 年度)25)となる。仮定にしたがって溶融スラグの発生量を計算してやると、 15 万 6750tになる。一方クラッシャランの需要量は、122 万 7 千t26)である。その需要 量の25%、30 万 6750tは、溶融スラグ量の約2倍になり、クラッシャランの代替品とし ての可能性がある。 九州・沖縄地方について考えてみる。福岡、佐賀、長崎、大分、熊本、宮崎、鹿児島、沖 縄の8県の年間ごみ焼却処理量は、390 万 6 千t(1993 年度)25)となっている。仮定によ り溶融スラグの発生量をもとめてやると、58 万 5900tになる。一方クラッシャランの需要 量は、494 万 1 千t26)となっている。その需要量の25%、123 万 5250tは溶融スラグ量 の約2倍となり、クラッシャランの代替品の可能性がある。 次にさらに溶融スラグを導入している自治体、具体的に14 府県について都道府県レベル

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で溶融スラグの道路路盤材へのリサイクルを考えてみる。この都府県レベルでの検討におい ては、より現実的なリサイクル可能性として、その都府県におけるクラッシャラン供給量の うち他都府県からのクラッシャランに対する代替品として溶融スラグを考える。 まず岩手県をみてみる。岩手県の年間ごみ焼却処理量は、31 万 1 千t(1993 年度)25) である。このすべてが溶融スラグに替わったとすると、4 万 6650tとなる。クラッシャラ ンの需要量は、651 万 8 千t26)である。その需要量の25%、すなわち 162 万 9500tは溶 融スラグ量の約35 倍になり、溶融スラグの需要先として十分である。また表3−5−2に 出荷量を示す。 表3−5−2 岩手県の砕石出荷先別受入量 (平成9年計)26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に対する割合(%) 出荷計 11,624 100 県内出荷 11,058 95.1 県外出荷 566 4.9 供給計 11,248 100 岩手県内 11,058 98.3 岩手県外 191 1.7 青森 116 1.0 岩手 11,058 98.3 宮城 54 0.5 秋田 21 0.2 表3−5−3 岩手県の道路路盤材品種別出荷量(平成9年計)26) 道路用計 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 8,703 6,518 653 935 35 562 割合(%) 100 74.9 7.5 10.7 0.4 6.5 クラッシャランの県外受入量をもとめてやると、31 万 9382(=6,198,618×0.049÷0.951) となる。この量の25%、7 万 9846tは、溶融スラグの発生量、4 万 6650tの約 1.7 倍の値 であるから、県外からのクラッシャランの代替品としての役割を十分果たせるものといえる。 埼玉県について考える。埼玉県の年間ごみ焼却処理量は180 万 8 千t(1993 年度)25) であり、仮定にしたがって全量が溶融スラグに替わったとすると、溶融スラグ発生量は 27 万1200tになる。埼玉県のクラッシャランの需要量は、表3―5―5に示すように 329 万 3 千t26)であり、この量の25%、82 万 3250tは溶融スラグ量の 3 倍にあたる。よって溶 融スラグの需要先としての可能性がある。また岩手県と場合と同様に県外受入のクラッシャ ランの代替品としての可能性を考える。クラッシャランの県外受入量は表3−5−4に示す ように受入量全体の39.6%、6,914tになっている。 表3−5−4 埼玉県の砕石出荷先別受入量(平成9年計)26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 12,719 100 県内出荷 10,545 82.9 県外出荷 2,175 17.1

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供給計 17,459 100 埼玉県内 10,545 60.4 埼玉県外 6,914 39.6 栃木 5,337 30.56 群馬 0 0 埼玉 10,545 60.4 東京 1,566 8.97 山梨 12 0.07 表3−5−5 埼玉県の道路路盤材品種別出荷量(平成9年計)26) 道路用計 クラッシャラン 単粒度砕石 粒度調整砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 5,550 3,293 1,341 240 513 163 割合(%) 100 59.3 24.2 4.3 9.3 2.9 したがって埼玉県のクラッシャランの県外受入量を県外からの砕石全体受入量を同様に仮 定すると、178 万 9800t(=3293 千t×0.829×0.396÷0.604)となる。この量の 25%、44 万7450tは、埼玉県内の溶融スラグ発生量、27 万 1200tの約 1.6 倍の量にあたる。ゆえ にクラッシャランの県外受入量が溶融スラグの発生量を上回り、需要量が供給量を超えるの で可能性がある。。 千葉県について考える。千葉県の年間ごみ焼却処理量は155 万 7 千t(1993 年度)25) であり、仮定にしたがい全量溶融スラグに替わったとすると発生量は23 万 3550tになる。 クラッシャランの需要量は表3−5−6に示すように30 万 8 千t26)である。この量の25%、 7 万 7 千tは溶融スラグの発生量の 0.3 倍であり、溶融スラグの需要先としては改善点があ る。 またクラッシャランの県外受入の代替品としての可能性をみてみる。表3−5−7に千葉 県の道路路盤材の受入量を示す。県外の受入量は742 万 2 千t、全体の 89.6%になる。ク ラッシャランの県外受入量を同様に仮定し、計算すると243 万 5948t(=308 千t×0.918 ×0.896÷0.104)となる。このクラッシャランの量の 25%、60 万 8987tは千葉県での溶融 スラグ発生量の約2.6 倍にあたる。千葉県外から受け入れているクラッシャランの量が溶融 スラグの発生量を上回るため、クラッシャランの代替品として十分な可能性がある。 表3−5−6 千葉県の道路路盤材品種別出荷量(平成9年計)26) 道路用計 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 429 308 20 41 − 59 割合(%) 100 71.8 4.7 9.6 − 13.8 表3−5−7 千葉県の砕石出荷先別受入量(平成9年計)26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 938 100 県内出荷 861 91.8 県外出荷 77 8.2 供給計 8,284 100

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千葉県内 861 10.4 千葉県外 7,422 89.6 北海道 268 3.235 青森 564 6.808 宮城 105 1.2678 茨城 1,679 20.268 栃木 2,171 26.207 千葉 861 10.4 東京 47 0.567 神奈川 54 0.652 静岡 466 5.625 三重 202 2.439 兵庫 1 0.012 山口 1274 15.379 高知 560 6.76 大分 28 0.34 東京都について考える。東京都の年間ごみ焼却処理量は、413 万 2 千t(1993 年度)25) である。仮定にしたがって溶融スラグの発生量をもとめてやると、61 万 9800t(=413 万 2 千t×0.15)になる。東京都のクラッシャランの需要量は、表3−5−8の東京都の道路 路盤材種類別出荷量に示すように240 万 8 千t26)である。クラッシャランの需要量の25%、 すなわち60 万 2 千tは溶融スラグの量の約 0.97 倍にあたる。東京都のクラッシャランの 需要量を溶融スラグの発生量がわずかに上回っているため、溶融スラグの需要先としては十 分とはいえないが可能性はどちらともいえない。次の節で価格面での対抗策を考えていくこ ととする。 次に東京都において東京都以外から受け入れているクラッシャランの代替品として溶融ス ラグの可能性をみてみる。表3−5−9に東京都の砕石受入量を示す。全体の40.7%、240 万 8 千tがクラッシャランである。同様に東京都のクラッシャランの東京都以外からの受 入量を仮定すると、159 万 0854t(=240 万 8 千t×0.674×0.495÷0.505)となる。この量 の25%、39 万 7714tは東京都の溶融スラグ発生量が 61 万 8900tの 0.64 倍にあたる。需 要量が供給量を上回るため、都以外からクラッシャランの代替品としての可能性がある。 表3−5−8 東京都の道路路盤材品種別出荷量(平成9年計)26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 5,919 2,408 726 2,254 176 355 割合(%) 100 40.7 12.3 38..0 3.0 6.0 表3−5−9 東京都の砕石出荷先別受入量(平成9年計)26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 13,868 100 東京都内出荷 9,345 67.4 東京都外出荷 4,523 32.6

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供給計 18,523 100 供給元東京都内 9,345 50.5 供給元東京都外 9,178 49.5 北海道 1,319 7.1 青森 669 3.6 岩手 55 0.3 栃木 2,701 14.6 埼玉 1,060 5.7 千葉 18 0.1 東京都 9,345 50.5 神奈川 131 0.7 新潟 35 0.2 山梨 423 2.3 静岡 61 0.3 三重 974 5.3 高知 1,339 7.2 福岡 153 0.8 大分 239 1.3 新潟県について考える。新潟県の年間ごみ焼却処理量は、79 万 2 千t(1993 年度)25) である。仮定にしたがって溶融スラグの発生量をもとめてやると、11 万 8800tとなる。 新潟県のクラッシャランの需要量は表3−5−11 に示すように、155 万 6 千t26)である。 この量の25%、38 万 9 千tは、溶融スラグの発生量の約 3.4 倍にあたる。溶融スラグの発 生量をクラッシャランの量が上回り、溶融スラグの需要先として可能性を持っている。 次に新潟県外から受け入れているクラッシャランの代替品としての溶融スラグの可能性に ついて考えてみる。表3−5−11 に新潟県の砕石出荷先別受入量を示す。 表3−5−10 新潟県の砕石出荷先別受入量(平成9年計)26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 4,642 100 県内出荷 4,357 93.9 県外出荷 285 6.1 供給計 4,373 100 新潟県内 4,357 99.63 新潟県外 16 0.37 青森 11 0.25 岩手 1 0.02 新潟 4,357 99.63 三重 5 0.11 表3−5−11 新潟県の道路路盤材種類別出荷量(平成9年計)26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 2,594 1,556 240 562 53 183 割合(%) 100 60.0 9.3 21.7 2.0 7.0 クラッシャランの新潟県外からの受入量を仮定してみる。砕石の県内産の占める割合が

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99.63%であるから、クラッシャランの全出荷量のうち新潟県外からの受入量量をもとめて みると57 万 5720t(=1,556,000×0.939×0..37÷0.9963)となる。この量の 25%、14 万 3930tは、新潟県内の溶融スラグの発生量、11 万 8800tの 4.81.2 倍となる。したがって 溶融スラグの需要先として、県外からのクラッシャランの代替品として可能性がある。 愛知県について考える。愛知県の年間ごみ焼却処理量は188 万 8 千t(1993 年度)25) である。これを仮定どうりに全量溶融スラグに替わったとすると28 万 3200t(=188000 ×0.15)となる。愛知県のクラッシャランの需要量は表3−5−13 に示すように 319 万1 千t26)である。この量の25%、79 万 7750tは溶融スラグの約 2.8 倍にあたり、需要先と してクラッシャランが十分な可能性をもっているといえる。 次に愛知県外からのクラッシャランの代替品としての可能性を同様に考える。表3−5− 12 に愛知県の砕石出荷先別受入量を示す。 表3−5−12 愛知県の砕石出荷先別受入量(平成9年計)26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 10,084 100 愛知県内出荷 9,083 90.1 愛知県外出荷 1,001 9.9 供給計 13,140 100 愛知県内 9,083 69.1 愛知県外 4,057 30.9 岐阜 2,561 19.5 愛知 9,083 69.1 三重 1,495 11.4 岡山 0 0 表3−5−13 愛知県の道路路盤材種類別出荷(平成9年計)26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 6,217 3,191 585 1,404 361 676 割合(%) 100 51.3 9.4 22.6 5.8 10.9 クラッシャランの愛知県外からの受入量を仮定してみる。計算すると128 万 5677t(= 3,191,000×0.901×0.309÷0.691)となる。この量の 25%、32 万 1420tは溶融スラグの発 生量、28 万 3200tの 1.1 倍にあたり、愛知県外から供給されているクラッシャランの代替 品としての可能性はある。 岐阜県について考える。岐阜県の年間ごみ焼却処理量は50 万 5 千t(1993 年度)25) ある。これが仮定にしたがい全量溶融スラグに替わったとすると7 万 5750tになる。岐阜 県のクラッシャランの需要量は表3−5−15 に示すように 301 万 6 千t26)である。この量 の25%、75 万 4 千tは溶融スラグの発生量の約 10 倍であり、溶融スラグの需要先として クラッシャランは十分可能性がある。 次に岐阜県外から供給されているクラッシャランの代替品の可能性を考える。表3−5− 14 に岐阜県の砕石出荷先別受入量を示す。岐阜県への県外からのクラッシャランの受入量

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を仮定する。計算してやると 24 万 6181t(=3,191,000×0.576×0.118÷0.881)になる。 この量の25%、6 万 1545tは溶融スラグ発生量の 0.8 倍にあたり、県外からのクラッシャ ランの量が溶融スラグの量を下回っている。したがって岐阜県外から供給されているクラッ シャランの代替品として溶融スラグは可能とは必ずしもいえない。 表3−5−14 岐阜県の砕石出荷先別受入量(平成9年計)26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷量計 7,691 100 岐阜県内出荷 4,429 57.6 岐阜県外出荷 3,262 42.4 供給計 5,026 100 供給元岐阜県内 4,429 88.1 供給元岐阜県外 597 11.8 静岡 149 3.0 岐阜 4,429 88.1 愛知 359 7.1 三重 90 1.8 表3−5−15 岐阜県の道路路盤材種類別出荷量(平成9年計)26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 5,581 3,016 516 1,512 225 312 割合(%) 100 54.0 9.2 27.1 4.0 5.6 大阪府について考える。大阪府のごみ焼却処理量は年間395 万 5 千t(1993 年度)25) である。これを全量仮定にしたがって溶融スラグに替わったとすると溶融スラグ発生量は 59 万 3250t(=395 万 5 千t×0.15)になる。大阪府のクラッシャランの需要量は表3− 5−17 に示すように 154 万 1 千t26)である。この量の25%、38 万 5250tは溶融スラグ 発生量の約0.65 倍にあたる。溶融スラグが大阪府のクラッシャランの需要の代替品として は改善点がある。 次に大阪府で大阪府以外から供給されているクラッシャランの代替品としての溶融スラ グの可能性を考える。表3−5−16 に大阪府の道路路盤材品種別出荷量を示す。 まず大阪府のクラッシャランの大阪府以外からの受入量を仮定によりもとめてみる。クラ ッシャランの大阪府内への出荷量を出荷先データ、表3−5−14 から全出荷量の 80.1%と 仮定してやると 92 万 5956t(=1,156,000×0.801)となる。すなわちこの大阪府内から 大阪府内に供給されたクラッシャランの量と大阪府外から供給されたクラッシャランの量 との比は、40.7:59.3 であるからこの比より大阪府外から供給されているクラッシャラン の量を推定してみる。計算すると、134 万 9120t(=925,956×0.593÷0.407)となる。こ のクラッシャランの量の25%、すなわち 33 万 7280tは溶融スラグの発生量の約 0.56 倍に あたる。よって大阪府以外から供給されているクラッシャランの代替品として有効であると はいえない。 表3−5−16 大阪府の砕石出荷先別受入量 26)

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出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷量計 8,923 100 大阪府内出荷 7,144 80.1 大阪府外出荷 1,779 19.9 供給計 17,540 100 供給元大阪府内 7,144 40.7 供給元大阪府外 10,396 59.3 静岡 63 0.36 愛知 0 0 三重 0 0 京都 2,407 13.72 大阪 7,144 40.73 兵庫 4,083 23.28 和歌山 1,672 9.53 岡山 0 0 広島 253 1.44 徳島 114 0.65 香川 58 0.33 愛媛 224 1.28 高知 540 3.08 福岡 248 1.41 大分 733 4.46 表3−5−17 大阪府の道路路盤材種類別出荷量 26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 3,251 1,156 632 820 467 176 割合(%) 100 35.6 19.4 25.2 14.4 5.4 兵庫県について考える。兵庫県の年間ごみ焼却処理量は169 万 9 千t(1993 年度)25) である。この量の全量が仮定にしたがい溶融スラグに替わったとすると発生量は25 万 4850 t(=1,699,000×0.15)となる。兵庫県のクラッシャランの需要量は表3−5−18 より、 490 万 7 千t26)である。この量の25%、122 万 6750tは溶融スラグの量の 4.8 倍にあたる。 溶融スラグの需要先としては十分な量であり、クラッシャランの代替品としての可能性が十 分ある。 次に兵庫県以外から供給されるクラッシャランの代替品としての溶融スラグの可能性を 考えてみる。表3−5−19 に兵庫県の砕石出荷先別受入量を示す。 表3―5―18 兵庫県の道路路盤材種類別出荷量 26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 8,638 4,907 929 1,195 1,276 331 割合(%) 100 56.8 10.8 13.8 14.8 3.8 表3―5―19 兵庫県の砕石出荷先別受入量 26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 21,576 100 兵庫県内出荷 16,681 77.3

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兵庫県外出荷 4,895 22.7 供給計 18,482 100 供給元兵庫県内 16,681 90.3 供給元兵庫県外 1,801 9.7 新潟 2 0.01 愛知 0 0 京都 324 1.8 大阪 751 4.1 兵庫 16,681 90.3 鳥取 43 0.23 島根 16 0.09 岡山 27 0.15 広島 3 0.02 徳島 73 0.4 香川 58 0.3 愛媛 8 0.04 高知 45 0.24 福岡 11 0.06 兵庫県のクラッシャランの兵庫県外からの受入量を仮定にしたがいもとめてみる。計算する と40 万 7455t(=4,907,000×0.773×0.097÷0.903)となる。この量の 25%、10 万 1864 tは兵庫県での溶融スラグの発生量、25 万 8450tの約 0.4 倍にあたる。以上より溶融スラ グの需要先としては改善点がある。 徳島県について考える。徳島県の年間ごみ焼却処理量は18 万 8 千t(1993 年度)25) ある。これを全量仮定にしたがい溶融スラグに替わったとすると、発生量は2 万 8200tに なる。徳島県のクラッシャランの需要量は、表3―5―20 に示すように 69 万 6 千t26) ある。この量の25%、17 万 4 千tは溶融スラグの発生量の約 6.2 倍にあたり、クラッシャ ランの需要先として可能性を持っているといえる。 次に徳島県で徳島県以外から受け入れているクラッシャランの代替品としての溶融スラ グの可能性を考えてみる。表3―5―21 に徳島県の砕石出荷先別受入量を示す。徳島県の クラッシャランの県外産受入量を仮定にしたがいもとめる。計算すると 23 万 1542t(= 696,000×0.864×0.278÷0.722)となる。この量の 25%、5 万 7886tは溶融スラグの量の 2 倍にあたる。したがって溶融スラグは県外産の代替品としての可能性を持っている。 表3―5―20 徳島県の道路路盤材種類別出荷量 26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 1,363 696 270 358 10 29 割合(%) 100 51.05 19.8 26.3 0.73 2.12 表3―5―21 徳島県の砕石出荷先別受入量 26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 3,452 100

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徳島県内出荷 2,983 86.4 徳島県外出荷 469 13.6 供給計 4,132 100 供給元県内 2,983 72.2 供給元県外 1,149 27.8 兵庫 301 7.28 岡山 5 0.12 徳島 2983 72.2 香川 843 20.4 香川県について考えてみる。香川県の年間ごみ焼却処理量は25 万 8 千t(1993 年度) 25)である。全量を仮定にしたがい溶融スラグ化したとする。発生量は3 万 8700tになる。 クラッシャランの需要量は表3―5―22 の香川県道路路盤材種類別出荷量に示すように 105 万t26)である。この量の25%、すなわち 26 万 2500tは溶融スラグの量の約 6.8 倍と なる。よってクラッシャランの量を溶融スラグの野量が下回るため、クラッシャランの代替 品として溶融スラグは可能性を持っている。 次に香川県で香川県以外から受入れているクラッシャランの代替品としての溶融スラグ の可能性について考える。表3−5−23 に香川県の砕石出荷先別受入量を示す。 香川県での県外からのクラッシャランの受入量をもとめる。計算すると7 万 5471t(= 1,050,000×0.701×0.093÷0.907)となる。この量の 25%、1 万 8868tは溶融スラグ発生 量の約0.49 倍であり、需要先としては、県外産のクラッシャランは改善点を有する。 表3―5―22 香川県の道路路盤材種類別出荷量 26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 2,342 1,050 328 861 104 ― 割合(%) 100 44.8 14.0 36.8 4.4 ― 表3―5―23 香川県の砕石出荷先別受入量 26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 5,600 100 香川県内出荷 3,928 70.1 香川県外出荷 1,672 29.9 供給計 4,330 100 出荷先香川県内 3,928 90.7 出荷先香川県外 402 9.3 兵庫 83 1.92 岡山 4 0.09 徳島 283 6.54 香川 3,928 90.7 愛媛 31 0.72 愛媛県について考える。愛媛県の年間ごみ焼却量は39 万 6 千t(1993 年度)25)である。 この全量が仮定の通り溶融スラグに替わったとすると5 万 9400 となる。愛媛県のクラッシ ャランの需要量は、表3―5―24 に示すように 113 万 8 千t26)である。この量の25%、

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すなわち28 万 4500tは溶融スラグの発生量の約 4.8 倍にあたる。よってクラッシャランの 量が溶融スラグの発生量を上回り、溶融スラグの需要先として十分可能性を持っている。 次に愛媛県での愛媛県以外から受入れているクラッシャランの代替品として、溶融スラ グの可能性を同様な仮定で考える。表3―5―25 に愛媛県の砕石出荷先別受入量を示す。 愛媛県の県外からのクラッシャラン受入量を同様に仮定よりもとめる。計算すると13 万 8597t(=1,138,000×0.956×0.113÷0.887)となる。この量の 25%、3 万 4649tは溶融 スラグの発生量の0.58 倍である。したがって溶融スラグの発生量が愛媛県外から受け入れ ているクラッシャランの量を上回っているため、溶融スラグの需要先としての県外産クラッ シャランは改善点がある。 表3―5―24 愛媛県の道路路盤材種類別出荷量 26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 2,702 1,138 476 868 19 202 割合(%) 100 42.1 17.6 32.1 0.7 7.5 表3―5―25 愛媛県の砕石出荷先別受入量 26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 8,147 100 愛媛県内出荷 7,789 95.6 愛媛県外出荷 358 4.4 供給計 8,779 100 供給元愛媛県内 7,789 88.7 供給元愛媛県外 990 11.3 広島 185 2.1 香川 193 2.2 愛媛 7,789 88.7 大分 611 7.0 福岡県について考える。福岡県の年間ごみ焼却処理量は159 万 2 千t(1993)25)である。 この量の全量が仮定にしたがい溶融スラグに替わったとすると発生量は 23 万 8800tとな る。福岡県のクラッシャランの需要量は表3―5―26 に福岡県の道路路盤材種類別出荷量 に示すように212 万 1 千t26)である。この量の25%、53 万 250tは溶融スラグの量の約 2.2 倍にあたる。よって溶融スラグの需要先としてクラッシャランは可能性がある。 次に福岡県での福岡県以外から受入れているクラッシャランの代替品としての溶融スラ グの可能性について考える。表3―5―27 に福岡県の砕石出荷先別受入量を示す。 表3―5―26 福岡県の道路路盤材種類別出荷量 26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 6,510 2,121 849 2,148 322 1,071 割合(%) 100 32.6 13.0 33.0 4.9 16.5 表3―5―27 福岡県の砕石出荷先別受入量 26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 15,793 100

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福岡県内出荷 13,796 87.4 福岡県外出荷 1,997 12.6 供給計 16,887 100 供給元福岡県内 13,796 81.7 供給元福岡県外 3,091 18.3 東京 3 0.02 静岡 33 0.017 山口 577 3.4 福岡 13,796 81.7 佐賀 5 0.03 熊本 2,225 13.2 大分 247 1.5 福岡県におけるクラッシャランの受入量を同様に仮定しもとめてみる。計算してやると、 クラッシャランの福岡県内への出荷量は全出荷量212 万 1 千tの 87.4%と仮定すると 185 万3754tとなる。その県内出荷量と県外から供給された量との比が、81.7%:18.3%と仮 定すると41 万 5223t(=1,851,754×0.183÷0.817)となる。このクラッシャランの量の 25%すなわち 10 万 3806tは、溶融スラグの発生量の約 0.43 倍にあたる。したがって福岡 県外から供給されているクラッシャランの代替品として溶融スラグを用いるには、需要量 (県外産クラッシャランの量の25%)が供給量(溶融スラグ発生量)を下回っているため、 十分なものとはいえない。 最後に長崎県について考える。長崎県の年間ごみ焼却処理量は44 万 3 千t(1993 年度) 25)である。この量の全量を仮定にしたがい溶融スラグに替わったとすると、溶融スラグの 発生量は6 万 6450tとなる。クラッシャランの需要量は表3―5―28 に長崎県の道路路盤 材種類別出荷量に示すように194 万 7 千t26)である。この量の25%、48 万 6750tは溶融 スラグの発生量の約7.3 倍にあたる。よって溶融スラグの需要先として長崎県のクラッシャ ランは十分な可能性がある。 次に長崎県での長崎県以外から受入れているクラッシャランの代替品としての溶融スラ グの可能性について考える。表3―5―29 に長崎県の砕石出荷先別受入量を示す。長崎県 での長崎県外から受け入れているクラッシャランの量を仮定にしたがいもとめる。計算する と17 万 9560t(=1,947,000×0.944×0.089÷0.911)となる。この量は、溶融スラグの発 生量の約2.7 倍となる。したがって溶融スラグの需要先として長崎県外産のクラッシャラン は可能性がある。 表3−5−28 長崎県の道路路盤材種類別出荷量 26) 道路用 クラッシャラン 粒度調整砕石 単粒度砕石 スクリーニングス その他 出荷量(千t) 2,928 1,947 317 397 60 207 割合(%) 100 66.5 10.8 13.6 2.0 7.1 表3―5―29 長崎県の砕石出荷先別受入量 26) 出荷先 受入量(千t) 全受入量に占める割合(%) 出荷計 6,957 100

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長崎県内出荷 6,566 94.4 長崎県外出荷 391 5.6 供給計 7,207 100 供給元長崎県内 6,566 91.1 供給元長崎県外 642 8.9 福岡 58 0.8 佐賀 196 2.7 長崎 6,566 91.1 熊本 105 1.5 大分 273 3.8 鹿児島 8 0.1 以上のように地域毎に道路路盤材の需給状況が異なるため、溶融スラグのリサイクル先と して受け入れられるところと受け入れられないないところに分かれた。そこでそれぞれにつ いて問題点とその改善点について次の6 節で考える。 3−6 焼却灰溶融スラグの道路路盤材へのリサイクルにおける問題点と改善策 問題点として二つあげられる。 一つ目は前節で述べたように需要量(クラッシャランの量)を供給量(焼却灰溶融スラグ の発生量)が上回ってしまう場合があげられる。 二つ目は第3 章 4 節で述べたように焼却灰溶融スラグの品質の面があげられる。 まず一つ目の問題点について考える。前節では仮定によってクラッシャランの量の 25% という最も少ない量の場合において、焼却灰溶融スラグを代替品として想定した。この場合 では、全国規模でも、地方規模でも焼却灰溶融スラグの発生量がクラッシャランの量を上回 っており、十分可能性はあると判断できた。しかし都道府県規模、すでに溶融施設を導入し ている自治体のある都府県で想定した場合、可能性があるといえないところがでてきた。こ の想定では、さらに県外から受け入れているクラッシャランに限っての可能性についても考 えてみた。この場合にのみ可能性がある、あるいは可能性がないという県もあった。そこで この需給関係が逆転している場合の改善点を考える。 改善策として価格面での他の道路路盤材への対応、二つ目の問題点でもある品質面での対 応がある。 価格面においては、具体的に現在稼動している溶融施設での焼却灰溶融スラグの業者等へ の売却価格は、第3 章 3 節、表3−3−1に示したように、10 円/t~2,300 円/tと幅が ある。さらに焼却灰溶融スラグ1t発生するのにかかるコストは、第 3 章 2 節で述べたよう に1 万 3252 円/灰tから、灰から焼却スラグへの減容率(第 3 章 5 節、表3−5−1)57% をかけてやると2 万 3249 円/焼却灰溶融スラグtとなる。一方焼却灰溶融スラグのリサイ クルにより焼却灰埋立にかかるコストが削減できるため、現在溶融スラグを埋立処分してい る自治体で、処分にかかる費用が2 万 3249 円/焼却灰溶融スラグt以上の自治体であれば、 焼却灰溶融スラグ1tの価格は 0 円/焼却灰溶融スラグtと設定することが可能となる。 第2 章 5 節で述べたように道路路盤材、40 ㎜クラッシャランの平均価格は 2,176 円/m

(25)

~2,881 円/mとなっている。 したがって現状の売却価格、もしくは現状の溶融スラグの発生コストからの大幅なダウン ができれば価格面で対抗できる。 二つ目の問題点について考える。第 3 章で述べたように、品質規格しては鉄鋼スラグ及 び道路砕石に JIS 規格を参考に用いた。また技術基準としてはアスファルト舗装要綱、コ ンクリート舗装要綱に準ずる必要がある。 ただし、焼却灰溶融スラグ独自の問題点としていくつかあげられる。まず性状の問題があ る。水砕スラグの場合、第 3 章で述べたように、針状をしたものが含まれている可能性が ある。そこで道路路盤材として使用する際には前処理として破砕する必要がある。焼却灰溶 融スラグ中には、溶融方式により多少の差はあるが、金属鉄が含まれる。そのため発錆及び 変色を生じるため、溶融スラグを磁選することによって防止できる。 性状に関して一番の問題は、焼却灰の組成、溶融炉の形式等により生じる違いである。そ のため、焼却灰溶融スラグの品質管理は、ごみの収集形態、排出状況及び季節的な変動等を 考慮して行うとともに、前処理、製品化処理などが必要である。性状等を定期的に把握する ためには、環境庁告示第46 号などの溶出試験により、溶出判定基準を設定する必要がある。 本研究では、「千葉県溶融スラグ利用促進指針」の溶出基準を使用した。この基準は土壌環 境基準を基本としており、そのうち高温溶融処理により、問題とならない17 物質を省いた ものである。また、溶出判定基準として関連するものは、埋立処分基準、海洋投入処分基準、 水質基準等があげられる。 以上より品質に関しては、現状では確立された規格がないため、2 段階の自主規制が必要 である。焼却灰溶融スラグ自体の品質基準として基本となるのは、道路路盤材へのリサイク ルという観点では、土壌環境基準となる。またもう一歩踏み込んだ「千葉県溶融スラグ利用 促進指針」も基準として参考となる。この焼却灰溶融スラグの品質のもとに道路路盤材とし ての品質保証の面で、道路用砕石あるいは道路用鉄鋼スラグの品質規格に準ずることが要求 される。 現状ではこの 2 段階での基準を満たしており問題はないが、ごみの状態から状態を把握 し、対応することが前提条件となる。また焼却灰溶融スラグ単体での道路路盤材へのリサイ クルは、水砕スラグでは不可能である。したがって先の規格に沿ったものを混合し作らねば ならない。 この問題点と改善点をふまえて次の第4 章でリサイクルの可能性を総括する。

参照

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