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九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 作物の群落構造と物質生産 : 受光および CO_2 拡散 : Ⅴ. グレインソルガムの草高が群落光合成に及ぼす影響 広田, 修九州大学農学部栽培学教室 武田, 友四郎九州大学農学部栽培学

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

作物の群落構造と物質生産 : 受光およびCO_2拡散 :

Ⅴ.グレインソルガムの草高が群落光合成に及ぼす影

広田, 修

九州大学農学部栽培学教室

武田, 友四郎

九州大学農学部栽培学教室

Hirota, Osamu

Laboratory of Crop Husbandry, Faculty of Agriculture, Kyushu University

Takeda, Tomoshiro

Laboratory of Crop Husbandry, Faculty of Agriculture, Kyushu University

https://doi.org/10.15017/22258

出版情報:九州大學農學部學藝雜誌. 42 (3/4), pp.137-151, 1988-03. 九州大學農學部

バージョン:published

(2)

j~k,&F$$$$ (Sci. Bull. Fat. Agr., Kywhu Univ.) %42% 43.4% 137-151 (1988)

Relationship between Canopy Architecture and Crop Production

with Reference to Light and CO2 Environments

V. Effect of the Canopy Height on Foliage Photosynthesis

of Grain Sorghum Stands

OSAMU HIROTA

and

TO M O S H I R O TA K E D A

Laboratory of Crop Husbandry, Faculty of Agriculture,

(3)

valve

air bag

recorder

1

-

-

一一

J

IRGA

humidi ty sensor

bubbl ing system

co...lnix circulater leaf chamber レ / 、 quantum sensor Fig.1.Leaf photosynthesis measuring system used at the field condition. タケダ理研)に収録した.なお,赤外線分析計および 湿度計と同化箱のあいだは10mのビニールパイプで つないだ.同化箱に送った空気の流量は 4~51/min で,同化箱の葉面積は 0.4~0.7dm' であった.同化箱 に葉をセッ卜して計器の指示が安定した値を示すまで に要した時間は約2分で,測定終了までに要した時間 は約3分であった. 2. C02プロファイル,地面からの CO,放出および 風速の測定 群落内の CO,濃度の測定は短得系統の個体群では 高さ 100,80, 60, 40, 20, 0 cmから,長手早系統では 210, 150, 120, 30, 0 cmの高さから空気を採集してビー チボールに詰めた.風速は熱線風速計(KANOMAX) を短稗系統の個体群では100cmに,長稗系統では200 cmの高さにセッ卜して,30秒間隔で10分間の測定を おこない,これらの平均値とした.地面からの CO2の 放出は前報(武田・広回 ,1983)と同じ方法を用いて 測定した. 3. 群落光合成のシミュレーション 前報(広田・武田, 1988)に基づいて「ねらい打ち 法」を使ってシミュレーションをおこなった.

結果および考察

1 . 生 育 経 過 全乾物重はFig目2に示すように,長稗系統では播種 後30日以後に急速に増加し, CGRの最高値は45

g

/

m2dayとなった.これに対して短稗系統では30g/m' dayにすぎなかった.8月 20日に来た台風によって被 害を受け,特に長稗系統は完全に倒伏した.長稗系統 の一部分は個葉光合成の測定を継続するため,支柱を 立てて保持した.台風のあとの生育は低下し,特に長 稗型で著しかった.生育盛期の生産構造をFig.3に示 した.葉面積密度は長稗系統では短稗系統の約1/2で あった.葉面積指数は長稗系統の方が少し大きかった. 葉の大きさ(葉幅)は Fig.4に示すように,短稗系統 で少し大きい傾向があった. 2. 個葉光合成 個葉光合成の測定は8月 10,17, 28日におこなっ た.本研究では光合成測定中の同化箱の温度制御をお こなっていないので,最初に葉温の検討をする.Fig.5 に日陰部の温度と葉温の関係を示した.8/10日の最も 葉気温差が大きくなると思われる1l ~14 時の測定例 を掲げた.なお, Fig.5には短稗系統と長稗系統の両 者を込みにして示している.以後においても,個葉光

(4)

139 X102 h 帽 咽 N 巨¥国

,50 ,40

o

100 20 10 グレインソルガムの草高と群落光合成 N E 15

叫 -1-' £ 国 ~ 10

"

L ω -1-' -1-' <1l E >, L 甘 5

o

days 8 0 60 40

20

6/21 1984

o

Fig. 2. Changes in dry matter weight and crop growth rate of grain sorghum (var.Plainsman)

tall type h + I ν a e o n S F A a e

-- ム + m e f 吋 a e s t L 1 1 4 short type 200 E u ~ 100 ol 、 <1> ..c:: y

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01 20 10 L.A. density

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C庁)U 10 10 20 10

x

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4 glcm3 Fig. 3. Productive structure of grain sorghum (var.Plainsman) plant population(1984 8 6)

5

12: ハ } A

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C

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.

C

Fig. 5. Temperature of the leaf and air in leaf chamber during measurement of leaf photosynthesis.

0

, leaf;ム,air

b

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4 7

8

C庁7 Fig. 4. Leaf width of grain sorghum (var. Plainsman). 6

w

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h

5

l

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a

f

(5)

広 田 合成速度に関しては,短稗型と長得型の聞には明瞭な 差が見られなかったので,今回は両者を区別せずに議 論を進める. さて, C4 植物の葉温は周囲温度よりも 2~50C ほど 高くなる例(坪木・藤井,

1

9

7

8

)が知られているが,

本研究において葉一気温差は最大

TC

に達した.しか しながら,光合成測定に要する時間は約3分であった ので,当初はこの間,葉温が光合成に与える影響は大 きくないと判断した.この点に関しては,あらためて 後で議論する. まず,

8

1

7

日の測定例について,

F

i

g

.

6

に光強度 と個葉光合成速度および蒸散速度の関係を示し,

F

i

g

.

7には葉温と個葉光合成速度および蒸散速度の関係を

200

J

eロE

150

O

、 、 Q) O N 巳3

O

同 E

100

O

且4

50

'

厚見

O

修 ・ 武 田 友 四 郎 示した.

1

3

時台には個葉光合成速度は

1

0

0mg/dm2

h

以上のものが見られた.葉温と光合成速度の関係は

1

3

時 台 に 葉 温 も 高 く 光 合 成 速 度 も 大 き く な っ て い る

(

F

i

g

.

8

)

.

さて,

F

i

g

.

6

および

7

で示すように本研究で得られ た個葉光合成速度は

1

0

0mg

C02/dm'h

以上の値がか なりみられる.個葉光合成が高い例として,

N

o

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l

(

1

9

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6

)

はHilraliarigida

(

C

4植物)が115

mgC02

/

dm

2

h

に達していることを報告している.本研究にお いて個葉光合成速度が高い値が得られたのは次のよう な理由によるものであろう.まず園場条件下で測定さ れたことが挙げられる.根圏の大きさ,葉の表裏面で の受光などの他に,さらに葉温がかなり高くなったこ

10

8

O

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1

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7

(6)

141 100 口 C02]ω . LnL

ー(バ+バ

)/2+rM グレインソルガムの草高と群落光合成 ) 唱E A (

80

日 U¥O 曲目 -(2) ただし.[C02],0. 同化箱の出口のC02濃度 で表わされている .r占+八二1.68(ra+ハ)とすると, (1)式と (2)式より,葉肉抵抗rMは, 川 ご

1

0 2 2 1 H

I i r

+

! 11 ﹄ a

o

y

F

-H

E

60

A IC021co 均 二 企 常 世 (r

計八

, )/2 ...(3) となる.今回測定した8月 10. 17. 28日のデータより rMを求めると.Fig.8に示したように負の値が多く得 られた.これは如何なる理由によるものであろうか. c.光合成においてはPEPカルボキシラーゼの働きに より Bundlesheath内のC02濃度を高く保つことが 知られている (Hatchand Osmond, 1976).C.植物に おけるこの作用を含めて,葉でのC02拡散を電気アナ ログモデルで表わすと Fig.l0で示すことができる. すなわち.C4植物では mesophyllcellにおいて光照 射 に よ っ てPEPカルボキシラーゼの活性が高まり C02が固定され.C4化合物として bundlesheath内 に運ばれ,そこで脱炭酸される.Fig.9に示したよう に.mesophyll cellにおける PEPカルボキシラーゼの 働きを負の抵抗r;,{<0)とすると.(3)式によって求め ら れ た 向 はr;,{<0)とbundlesheath内でおこなわ れる Calvin回路での抵抗れとの和で表わされ, F 2 0 1 2 b -200 1.5 Fig. 8.乱1esophyllresistances of grain sor -ghum (var. Plainsman), obtained at fi.eld condition. 口,short type;...., tall type 8/10, 17, 28 0.5 1.0

ly(SWR)/min

rMニ γ

(<O)+rc …・・・・ ...・H・.(4) となる.したがって.Fig.l0に示したように ωが負 となるのは

J

r

>γcのときに生じる.このことを考慮 して(1)式を書きなおすと, とが挙げられる.Bjorkman and Berry (1973)によ ると .Tidestromia ablongグ'olia(C4植物)のC02固定 速度は

40T

以上の葉温で最大になっている.本研究 においても,葉温が高くなったために.

C

4光合成に関 与する酵素 (Pyruvate Pi dikinase, PEP carbox -ylase)の活性が高まったことが考えられる.この点に 関連して,つぎにGaastra(1959)の方法を用いて個 葉光合成に関与する全抵抗を気孔抵抗と葉肉抵抗に分 けて個葉光合成に果たしている其れぞれの役割を以下 で評価する.Gaastra (1959)の式では光合成速度PnL と蒸散速度Eは, H H U υ 立 { 円 V 伺

ω

ぷ 凶 由片目u

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PEP

r

m

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ー」│

r M (= rM

+ c Fig. 9. Electric circuit as possible model for concentrating of CO2 in bundle sheath cell of(,-plant. E

r

s

B r

a

A

(7)

口 [CO,]cu-Y,~Pnl 1 .nL - (r;;十八)/2

+

Y c -・・・(5) ただし ,Y,~< 0;Yc, Calvin回路における抵抗 となる.(5)式はPEPカルボキシラーゼの働きにより bundle sheath内 で 一 山Pnlだ けCO,濃度の高まり を示す.したがって, (5)式は外気のCO,濃度と bun -dle sheath内のCO,濃度の和が全CO,濃度差となっ て,境界層抵抗rム 気 孔 抵 抗 八 と Calvin回路におけ る抵抗Y.の和としての全抵抗に対することになる.通, 常は,実験室などでは IY~I くれの場合が多く, (4)式 より YM>OとなっているのでPEPカルボキシラーゼ

P

n

l

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0

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.

1

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Pn.rM ppm

に よ る 負 の 抵 抗 は マ ス ク さ れ て い る も の と 考 え ら れる.なお,葉肉抵抗仰が負の値をとるという報告例

は Louwerseand Zweerde (1977)とCatskyand Ticha (1982)にみられる. さて,個葉光合成を全抵抗と CO,ポテンシャルの二 つの項にわけで, C4光合成の活性を評価するには (5) 式を用いる必要があるが, Calvin回路における抵抗を 独立に評価することは今のところ出来ないので, (4) 式と (5)式より得られる (6)式, 二寸壬市甘可(巾[比Cω02]凶 r

品M4 ( 什Ya汁

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2

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H

2

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H

2

0]ouf 9

1

m 3 Fig. 10. Relation of leaf photosynthesis and transpiration with their component factors [conductance (C -1), (C-2) and potential (P-l), (P-2)J of grains sorghum, obtained at field condition. (var.Plainsman). Pf=2.6,口,8: 00;・,10: 00;企,12 : 00 8/10

(8)

グレインソルガムの草高と群落光合成 143 を用いて ,

P

nLを気相におけるコンダクタンス [1/{(九

+

r~)/2)] と CO ,濃度のポテンシャル ([CO ,],,, rMPnc)に分けて,光合成特性の解析をおとなう.同 時に,蒸散速度についても, (2)式によってコンダク タンスと葉面飽差に分けて解析をおこなう. さて,8/10, 8/17, 8/28日の測定結果をそれぞれFig. 10, 11および 12に示した.まず, 8/1日の例である が,この日は数日前からの乾燥が続き p,値 は テ ン ションメーターの測定限界以下に低下し九=2.6であ った.したがって, 17, 28日の両日にくらべて葉面か らの蒸散速度は低い.また 8時台を除いて気孔コン

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ダクタンスは低下していた.しかしながら, CO,ポテ ンシャルは10時台と 12時台には大きくなった.これ は高渦・強日射下でのPEPカルボキシラーゼの働き が強まった結果と考えられる.また 8時台にはPnl は気孔コンダクタンスと関係をもち ,10, 12時台には PEPカルボキシラーゼの活性と関係があると思われ るCO,ポテンシャルと関係をもった.CO,ポテンシャ ルは最大で1,700ppmに達している.同化箱内のC02 濃度を300ppmとすると,両者の差は1.400ppmに なるが,この値はさきに述べたように bundlesheath 内のCO,濃度と見なすことができ, Hatch and Os.

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9

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1

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Fig. 11. Relation of leaf photosynthesis and transpiration with their component factors [conductance (C 1), (C-2) and potential (P-1), (P-2)J of grain sorghum, obtained at field condition. (var.Plainsman). Pf=2, 口.4 ,10: 00;・, 11 : 00 ;

0

, 13: 00;・,18:008/17

(9)

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.

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0]ouf

9

1

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Fig. 12. Relation of leaf photosynthesis and transpiration with their component factors [conductance(C 1), (C-2) and potential (P-l), (P-2) of grain sorghum, obtained at field condition. (var.Plainsman) Pf二1.25,口,9:00;・, 11 : 00;・, 14・008/28 mond (1976)が指摘している値に近い値である. つぎに17日の例 (Fig.ll)であるが,九二2.4であ り蒸散速度も大きく 5gH,O/dm旬以上のものがかな りみられる.気孔コンダクタンスは日射の強い11時と 13時台で大きくなった.C02ポテンシャルは13時台 の強日射と高温下で大きくなった.28日は(Fig.12) は九二1.25であるにもかかわらず,全体に蒸散速度お よび光合成速度は低下した.これは10,17日にくらべ て,気孔コンダクタンスと CO,ポテンシャルがともに 低下したことによると考えられる. さて,ここで Fig. 1O~12 を用いて,光一光合成曲 線を求める.Fig.13(A)は光強度に対して,光合成速 度をプロットしたものであるが,強光条件下で光合成 速度が小さい集団がある.これらは8/28日に測定した ものであり,上に述べたように生育の進行と台風の影 響が考えられるので,この部分を除いた.また Fig. 13(B)に示した光合成速度は純光合成速度であるので, これを呼吸(構成呼吸と維持呼吸)を考慮して導いた 前報(広田・武田, 1988)の(13)式を用いて,粗光 合成速度に変換した.得られた光一光合成曲線は (7) 式で示される.

(10)

145 グレインソノレガムの草高と群落光合成 I/Pnx103

.

0

4

Pn mgC02ノ'dm2h 200

(C)

-• -•

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l

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口 仁 什 吋

e

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.

100 2 Fig. 13. Relation between light intensity on leaf surface and single leaf photosynthetic rate at the grain sorghum plant population. (var.Plainsman)

short type;

e

tall type 2 x103 pE/m2Sec

o

2 3 815 口

J 且 、口¥』、百七al

dン~---2 信1 町 、、 E -40 3-2 向 一E 28δ N Z h 24 h 20 -~ E 3 4ご 40 36 temperature 口ー一一日 一 、 8

5

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J 36 (t 色 、 コ 』 32 ~ @ 且 28 ~ 』

M

24 12 a u 凋 -T q a D o t e E λ 主 的 ) 与 、 ﹁ 古 川 C 旦亡、主町、 08 ‘ー、百 且、 Fig. 14. Diurnal changes of incident radia -tion, temperature and humidity_ 10 12 14 16 18 20 fime 8 6

o

Fig. 15. Diurnal changes of wind speed above grain sorghum plant populations. (var. Painsman) これらの高さは,いずれも植被面より 20cm上の高き である.風速は早朝は弱く,しだいに強くなり日中に 最大に達し,午後再び低下した.長稗型個体群では短 稗型よりも風速は大きい傾向があった.つぎに,植被 面のCO2濃度の日変化をFig.16でみると,午前6時 にもっとも高く,日中に極小に達し夕刻再び上昇した. 3.949X 10-61 二 一 一 一 一 一 一 一 - 一 ... .... ... .... '(7) 1 +7.891 ただし ,PgL,個棄の組光合成速度

1

,光合成有効放射, μ

E/cm

2sec 3. 群落光合成のシミュレーション まず 8月 5日の日射,気温および湿度の日変化を Fig.14に示す. 5日の日射量は最大l.251y(SW)/ ffiln,気温は36"Cに達した.9日は日射が弱く経過し た.風速の日変化を Fig.15に示す.測定した高さは, 短稗型個体群で1m,長稗型個体群では2mである. gCOz/cm' sec ;

(11)

民 ¥ 8/5 8/5 100 E E 且 short type 300 c

よ600 b 」 』 C

.

u 1 5500 υ 8/9 NOU 400 一一口 22 300 6 tlme Fig. 16. Diurnal changes of CO2 concentra -tion of the air above grain sorghum plant populations_ (var目Plainsman) 植被面のCO,濃度は短稗型と長手早型で差がないよう であった.CO2プロファイルは Fig.17で示したよう に,両者の聞で差がみられた.短稗型個体群では日射 が強い13時には,植被内でのCO2濃度の急激な減少 を示した.長稗型では植被内でのC02濃度の減少はゆ るやかであった.日射の強い5日でこの傾向は特に著 しかった. 次に,地面からのCO,の放出について,Fig.18で説 明する.地面からのCO,放出速度と温度の関係は, P

P.",υQlJNM))/刊…...・H ・...・H ・"'(8) ただし,九州 30"Cにおける地面からのC02放出速 度, gCO,/m'h: Q,川温度係数, 3.0:Ts,土壌面 温度 "C となった.温度係数

Q

lOs=3.0は Monteith(1964)の 報告と一致する. 群落光合成のシミュレーションの方法は,前報(広 田・武田, 1988)で述べた方法とほぼ同じであるが以 下の点については変更した. まず, CO,濃度の基準高度CHをそれぞれの群落に おいてCO,濃度を測定した最高たかさ(短得型個体群 では100cm,長得型では210cm)とした.風速も同様 に風速を測定した高さ(短稗型で100cm,長稗型で 200 cm)を基準高度 UHとし,ここでの風速の実測値 E : 0 ιJ n u

o

内 4 主 回 、 。 ε 8/国 100

300 ppm Fig. 17. Observed CO2 profiles of grain sorghum plant populations. (var.Plains -man) ぷ

.50

40

れ』 O

.

3

0

5.20

.j...l Z百 L 'rl 0. m

~

.10

Q.~

=3.0

108 H 刊

o

m

.05

20

30

temperature

oC

Fig. 18. Relation between temperature and CO

ftux from soil below the grain sorghum plant populations. (var.Plains -man)

口,1982 Kyushu Univ目,・,1984 Saga Pref

をもとに摩擦速度

U

.

(

9

)

式より算出した.これを 用いて,植被面風速仏と植被内の風速U(z)をそれ ぞれ (9)式と前報(広田・武田, 1987)(1)式から求

(12)

147 めた. 8/5 ロ f A M i - l ム V i h y 口 D G グレインソルガムの草高と群落光合成 200 E υ -・ ・ (9) 呼吸速度は McCree(1974)がグレインソルガムで得 た(10)式, 仏 l

士川乍互)

九 主 ~ 100 @ -c 500 Fig. 19. Simulated CO

profile of grain sorghum plant populations, using leaf photosynthesis obtained at the laboratory LAI is 5.21 in short type and 6.27 in ta11 type 300

-・・・(10) ただし ,

Np

, 30Tにおける,夜間12時間当りの呼 吸量gCO';plant12h ;

D

p川 日 中12時間あたりの CO,吸収量, gCO';plant 12h ;

Nc

p

,乾物重のCO, 当量, gCO

z

!

plant 12h を参考にした.すなわち,昼夜間の呼吸が等しいとす れば,一日当りの呼吸 R~ は,

Np

=

O

.

1

4

Dp

n

+

0.0054

Wc

P

8/5 20 ~ N E ¥ ¥ C¥J O u bO , ) ハU 唱 E A ( となる. つぎに,植被の最下層の拡散係数〔前報(広田・武 田, 1988) (26)式のD(l))は, Monteith (1973, p. 81) による地表面の摩擦を考慮した境界層抵抗九sを導く (11)式, Rト=

2

N

p

=

0

.

2

8

Dp

n

+

0.0108

Wc

p

short type tall

~ 10 回 J 門田由戸白川 V h 由 O 判 O 戸 山 a H F ω ロ -・・・・・・(11) ただし, γ同地表面での境界層抵抗, sec/cm; ds, 地面の土塊の代表長5cm ; U(1), 植被の最下層の 風速, cm/sec;ν,空気の動粘性係数0.160(30'C) を用いて, (12)式から求めた. rasニ1.

5

(

r

1.5 Fig. 20. Simulated canopy photosynthesis of grain sorghum plant populations, using leaf phottosynthesis obtained at the labo. ratory. LAI is 5.21 in short type and 6.27 in ta11 type目 1.0 0.5 ly(S.W)/min

o

t

.

o

よりも短稗型および長稗型でともに小さい.また,群 落光合成速度も小さく (Fig.20),両個体群の聞で差は ほとんど見られなかった. つぎに,圃場条件下で測定した個葉光合成をもちい て,シミュレーションを行って得られたCO,プロファ イルを Fig.21に示す.CO,プロファイルは強光下で はかなり実測に近い値になっている.また,群落光合 成速度も高い(Fig目22).群落光合成速度の最大値は短 稗型で15.4gCO,/m'hで,長稗型で17.2gCO,/cm'h であった.長稗型の群落光合成速度は短稗型に比べ約 12%ほど大きい.なお,群落光合成でこれに近い値と ただし ,dz,シミュレーションを行うために分割し た植被の層の最小単位.短稗型個体群で10cm,長稗 型で20cm なお,群落光合成のシミュレーションにはFig.3に 示した葉面積および乾物重の垂直分布を用いた.葉の 大きさ(幅)はFig.4より,短稗型は6.63cm,長稗 型は6.13cmとした. 光の消散係数 (EXEF) と風速の減衰係数 (β)は, EXEF

s

短稗型 0.478 2.7 長稗型 0.450 2.2 とした(武田・広田, 1983). シミュレーション結果は以下のとおりである.まず 最初に,実験室で得た個葉光合成の値〔前報(広田・ 武田, 1988)の Fig.4,グレインソノレガム〕を用いて シミュレーションを行った結果について説明する. Fig.19にCO,プロファイルを示した.強光条件下(13 時台)でのCO,濃度の低下がFig.17(8/5)の実測値 ...一 (12) ~ dz/2

D

(

l)

7

(13)

8/5 • short type ロ tall "

20 10 ω 什 ω む 戸 { 門 戸 口 h ω 0 # o z a # ω ロ ぶ れl E 、 ¥ れJ O

o

tlO 8/5 200 E U 100 4こ 白 @ ε 1.5 ム 0.5 1.0 ly(S.W)/min

o

o

Fig. 21.Simulated

CO

profile of grain sorghum plant populations, using leaf photosynthesis obtained at the field condi. tion. LAI is 5.21 in short type and 6.27 in tall type Fig. 23. Simulated canopy photosynthesis of grain sorghum plant populations, using leaf photosynthesis obtained at the field condition. LAI is 6.0 for both short and tall types.

日 ・ .

8/5

short type

tall " 20

z

C¥J E 、 ¥ C¥J O 仁J tlO 長稗型の群落光合成速度の違いは純粋に両者の群落構 造の違いによるものではない.この点を考慮して,両 個体群でともにLAIを6とした場合の群落光合成を シミュレートした.シミュレートにあたっては,Fig.3 の葉面積および乾物重の垂直分布をLAI=6として それぞれ換算した.光の消散係数および風の減衰係数 などは変えなかった. 結果は Fig.23に示すように,群落光合成速度は長 稗型のほうが短稗型よりも最大で約

8%

の増大を示し た. 以上の議論は群落光合成について行ったものである が,乾物重の実測値との対応、を見るために,つぎに乾 物重の面から検討する.個葉光合成を測定した時期に 対応する8月6日から8月23日までの日射,風速,

CO

,等の時間単位のデータが必要であるが,これらの 長期測定データがないために以下のように単純化して 検討する.Fig. 20,22において純光合成速度の日射に 対する直線近似を行い,この回帰係数とその期間中の 日平均日射量から日中の純光合成速度を求め,さらに (10)式より夜間呼吸量を求める. Table 1に上記の計算を行うために必要なデータを まとめた.8月 6日から8月 23日までの日平均日射量 Sは平均日照時数れをもちいて,(13)式(岸田,1978) によって求めた. 1.5 斗 1.0 Fig. 22. Simulated canopy photosynthesis of grain sorghum plant populations, using leaf photosynthesis obtained at the field condition. LAI is 5.21 in short type and 6.27 in tall type目 ロ 型 ・ ly(S.W)/min 4 0.5

10 τ n v n u ω ﹂ 門 ω ω £ リ F c h ω O H F O F { Q μ 山 口 5 = (33.20

T

h

+

200.65)X 104…...・H ・..……(13) しては Lemon(1960)がトウモロコシ群落で空力法を 用いて測定した例として, 14

gCO

,/m'hというのがあ る.以上のことから, C02プロファイルおよび群落光 合成の向面から判断して,群落光合成のシミュレー ションに用いる個葉光合成速度は圃場で測定した高い 値が必要であることがわかった. 以上の結論は, LAIをFig.3に示したように短得型 で5.21,長稗型で6.27の群落としてシミュレートし たものである.したがって, Fig.22で示した短稗型と

(14)

グレインソルガムの草高と群落光合成 149 Table 1. Estimated canopy photosynthesis and crop growth rate of grain sorghum plant population

Dry matter w ralndiciatdeionnt prf) Pnr"5) ECGR l) Single Ieaf ncd

Strain LAI g(D.W) caI(S.W)

photosyn gC02 gC02 g(D.W) m2 m2 day caI (S.W) m2 day m2 day Short type 434目7xl0' L') 5.39 x (60XlO')-1 39.05 18.5 5.21 450

p)

11.88 11 86.07 43.6 TaU type 6.27 522 434.7XI0' L 5.71 11 4l.36 19.2 F 13.44 11 97.37 49.1 N ote, 1) CaIculated from Eq. 14

2) Fig. 4, (ー1Ieaf) in Hirota and Takeda (1988) 3) Fig. 13 (B)

4) Net photosynthesis of a canopy (gC02m2h)/incident radiation(ly(S.明T)/min),in Fig. 20. and Fig. 22 5) N et photosynthesis of a canopy in daytime. 6) Estimated value of CGR (Eq. 15). ただし, 5,日平均日射量cal/m2day ; Th,日照時 数hour また,日射量Sと純光合成速度Fncの聞の回帰係数 F"をFig.20と22より求め (Table1),

5

とFr'よ り1日当りの日中の純光合成速度Pncdを (14)式を用 いて計算した. FnCd= Frt5 …-………...・H・..(14) た だ し , 丸 山 日 中 の 純 光 合 成 速 度 , gC02/ m'daytime ; F", 5に 対 す るFncの回帰係数, gCO

z

!

cal(SW) 1日当りの乾物増加量の推定は McCree(1974)が グレインソルガムを用いて得た夜間の呼吸量を求める (10)式を使い,乾物換算率を0.62(=C6H)

o

5/6C02) とすると, (15)式によって行うことができる. E C G叩R二(仰0.8鉛

6P

ただし ,ECGH,乾物増加量の推定値,g(DW)/m2day (15)式を使って得られた結果をTable1で検討す る.実験室で測定した個葉光合成をシミュレーション にもちいたばあいの日平均乾物増加量ECGRは短稗型 で18.5gDW /m2 day,長稗型で19.2gであり,これら は実測値のそれぞれ30gと43gにおよばない.一方, 圃場での個葉光合成の測定データを用いて得られた, 日平均乾物増加量は短稗型で43.6g,長得型で49.1g であった.このばあいは,短稗型での過大評価がめだ っ.以上の日平均乾物増加量の計算には長期間にわた る風速, C02濃度などの変移を考慮に入れていないの で,問題がないとは言えない.しかしながら,実験室 で、得た個葉光合成を使って得られた最大乾物生産速度

(

E

ωR) は星野ら (1978)の

CGR

の実現u値と比較し 、 ¥ ¥ ても小さすぎると考えられる.なお,個葉光合成をも ちいて群落の乾物生産を推定するばあいに,かなり高 い 個 葉 光 合 成 を も ち い る 必 要 が あ る こ と を lwaki (1975)および堀江 (1981)は指摘している. 本報ではc.植物であるグレインソルガムの個葉光 合成をもちいて群落光合成を推定した.個葉光合成は 圃場で測定したが,かなり高い値を得た.この理由と して,すでに述べたように葉の表・裏面が照射される こと,一部の葉のみが照射されるのではなく全体が照 射されるなどがあげられる.さらに,今回の測定では 葉温が非常に高かった(Fig.8).C.植物の光合成と温 度の関係についてはBjorkmanand Berry(1973)の 報告にみられるように高温で光合成速度は高まる.ま た,今井・村田 (1974)はトウモロコシの乾物生産速 度と C02濃度の関係について,夏期の高温時には高 CO2濃度における乾物生産速度が高まったことを報 告している.このことは本研究の主題であるC02拡散 と群落構造と言う観点からみるならば興味あることで ある. 本研究では圏場で測定した高い個葉光合成をもちい て,群落光合成をシミュレートした際に得られたC02 プロファイルは実測値とよく対応した (Fig.17,21). しかしながら,Fig.22に示すように短稗型と長稗型の 群落光合成の差はFig.2で示した8月上句の

CGR

に みられる両者の差(長稗型は短稗型より

CGR

は40% 大きし,)ほど大きくなっていない.ちなみに,星野ら (1978)によると本研究寸もちいたものと同じ品種で は同様に長稗型は短稗型よりも

CGR

は30%高い.本 研究のシミュレーション結果では Fig.22 お よ び Table 1に示すように両者の差は13%に過ぎない.両

(15)

個体群の

CGR

の差とシミュレーションによって推定 された群落光合成の差は何によってもたらされたもの であろうか.この理由の一つに,長稗型個体群では棄 がはためきやすく,境界層抵抗を小さくすることが考 えられる.しかしながら, Oikawa (1978)の報告によ っても明らかなように,葉のはためきによって上記の 差を説明するには不十分である.また,光の消散係数 が関与しているのではないかという疑問に対しでも前 報(広田・武田, 1988)で述べたように, C4型の光合 成曲線をもった群落ではLAIが6では消散係数の違 いは個体群光合成にはほとんど影響を与えない. 以上のことから,短稗型と長稗型の乾物生産速度の 差を説明するには上記の要因に加えて他の要因を考え なくてはならない.本報告では個葉光合成速度は短稗 型と長稗型の聞に差はみられなかったのであるが,実 験室で光および温度条件を制御して測定した結果では 長稗型の光合成速度は高かった(武田・広田, 1983). 圏場においても,もし長稗型の光合成速度が短稗型よ りも高ければ両系統の乾物生産速度の差はある程度説 明がっしこの点を確かめるには圃場において,光条 件・温度条件および葉位などをそろえて両系統の光合 成速度を比較する必要があるであろう. 本研究ではLAIを6とした場合に,長得型は短稗型 よりも約8%の群落光合成の増加をみたわけである. この値は長稗型の乾物重が大きしその分の維持呼吸 によるロスが差し号│かれていることを考慮するならば, この場合のCO,の拡散にともなう群落光合成への影 響は無視できないといえる.

摘 要

群落の草高がCO,拡散および群落光合成に及ぽす 影響について,グレインソルガムの草高の異なる同質 遺伝子系統を用いて調べた.短稗型と長稗型個体群を 各25aずつ育成し,微気象(日射,風速,気温, C02 等)および群落構造等の測定データを用いてCO,プロ ファイルおよび群落光合成をシミュレートした.結果 は以下のとおりである. 1) グレインソルガムの長稗型個体群はCO,拡散 に関与する植被面風速,風の抵抗係数,減衰係数,混 合距離および葉の幅など,すべての要素で短稗型個体 群よりも優れていた. 2) グレインソルガムの個葉光合成速度は圃場で測 定すると高い値 (100mgCO

z

!

dm'以上)が得られた. グレインソルガムの長稗型の最大

CGR

(43 g/m2day) をシミュレー卜するには,個葉光合成速度はこのよう な高い値が必要であることがわかった. 3) 短稗型でLAIが5.21,長稗型で6.27の個体群 の光合成は,シミュレーションの結果,長稗型は短稗 型よりも 13%の増加を示した.しかしながら,この値 は両個体群の CGR の差 (30~40%) にほど遠い値であ った.この理由は明確ではないが,長稗型における個 葉光合成速度が短稗型のそれよりも大きいことが原因 となっているかもしれない. 4) 短稗型と長稗型個体群のLAIを6に揃えて群 落光合成をシミュレートした結果,長稗型は短稗型よ りも8%増であった.

文 献

Bjδrkman,

0

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%$JR 0%~t+%@F. ,&kQ GEP M@j II -4m (2) -2.

pp. 1-27

Summary

The field experiment was carried out to study the effect of canopy height on CO* diffusion

and canopy photosynthesis using the isogenic line of grain sorghum with different canopy

height. Using the data obtained from the field experiment, CO2 profile and canopy

photosyn-thesis of grain sorghum were simulated. The results of the study are summarized as

follow-ing

;

Canopy architecture of tall type grain sorghum was superior to the short type in all the

factors concerning the CO? diffusion (wind speed at canopy surface, drag coefficient,

attenua-tion coefficient of wind speed, mixing length and leaf width).

High leaf photosynthetic rates (more than 100 mg COz/dmzh) were observed under a field

condition. The CO, profiles simulated by using these values of leaf photosynthesis coincided

with COn profiles measured in the canopy.

Crop photosynthesis of tall type grain sorghum which has a LA1 of 6.27 was 12% higher

than that of short type which has a LA1 of 5.21.

Under the condition of a LA1 of 6.0, the crop photosynthesis of tall type was 8% higher

than short type canopy.

参照

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1991 年 10 月  桃山学院大学経営学部専任講師 1997 年  4 月  桃山学院大学経営学部助教授 2003 年  4 月  桃山学院大学経営学部教授(〜現在) 2008 年  4

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