ルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 1
目次
2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 ... 5 2.7.1.1 背景及び概観 ... 5 2.7.1.1.1 生体試料を用いた分析法(血漿中濃度) ... 6 2.7.1.2 個々の試験結果の要約 ... 9 2.7.1.2.1 ルパタジン錠10 mg のin vitro 溶出試験 ... 9 2.7.1.2.2 健康被験者にルパタジン10 mg の経口液剤及び経口錠剤を投与したと きのバイオアベイラビリティ試験(試験番号UR/FC /I-02、2.7.6.1、参 考資料) ... 9 2.7.1.3 全試験を通しての結果の比較と解析 ... 11 2.7.1.4 付録 ... 12 xxルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 2
化学構造式一覧
ルパタジン (1) 一般名(JAN):ルパタジンフマル酸塩(Rupatadine Fumarate) (2) 化学名: 8-Chloro-6,11-dihydro-11-{1-[(5-methylpyridin-3-yl)methyl]piperidin-4-ylidene}-5H- benzo[5,6]cyclohepta[1,2-b]pyridine monofumarate(3) 分子式:C26H26ClN3・C4H4O4 (4) 分子量:532.03 (5) 化学構造式: デスロラタジン(BCP) (1) 一般名(JAN):デスロラタジン(Desloratadine) (2) 化学名: 8-Chloro-11-(piperidin-4-ylidene)-6,11-dihydro-5H-benzo[5,6]cyclohepta[1,2-b]pyridine (3) 分子式:C19H19C1N2 (4) 分子量:310.82 (5) 化学構造式:
ルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 3 3-ヒドロキシデスロラタジン(BCP-OH) (1) 一般名:3-ヒドロキシデスロラタジン(3-Hydroxydesloratadine) (2) 化学名(IUPAC): 8-Chloro-11-(piperidin-4-ylidene)-5,6-dihydro-benzo[1,2]cyclohepta[2,4-b]pyridin-3-ol (3) 分子式:C19H19ClN2O (4) 分子量:326.82 (5) 化学構造式:
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用語及び略語一覧
略語 定義 定義(日本語)
ANOVA Analysis of variance 分散分析
AUC Area under the concentration-time curve
血漿中濃度-時間曲線下面積
AUC0-t Area under concentration-time curve up to t (last determination) 投与開始から最後の定量可能 濃度までの血漿中濃度-時間 曲線下面積 BCP Desloratadine デスロラタジン BCP-OH 3-Hydroxydesloratadine 3-ヒドロキシデスロラタジン
Cmax Maximum concentration 最高血漿中濃度
CV Coefficient of variation 変動係数 -
FDA US Food Drug Administration 米国食品医薬品局
HPLC High-performance liquid chromatography
高速液体クロマトグラフィー
LC/MS/MS Liquid chromatography tandem mass spectrometry
液体クロマトグラフィー/ タンデムマススペクトロメト リー
LLOQ Lower limit of quantification 定量下限
PAF Platelet-Activating Factor 血小板活性化因子 QT QT interval. Time interval time
between Q and T wave in the heart's electrical cycle
QT 間隔。心臓の電気周期に おけるQ 波から T 波までの時 間
QTc QT Corrected (corrected QT interval) 補正QT 間隔
QTcI - 個体別の補正式を用いて補正
したQT 間隔
t1/2 Terminal half-life 消失半減期
tmax Time to maximum plasma concentration 最高血漿中濃度到達時間 - XXXXXXXXXX
XXXXXXXXXX
XXXXXXXXXX XXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXXXXXXXXXXX
XXXXXXXXX XXXXXXXXXXXXXXXXXX
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2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要
2.7.1.1 背景及び概観
ルパタジンは強力なPAF 抑制作用及び抗ヒスタミン作用を有する化合物であり、アレルギー性 鼻炎及び蕁麻疹の治療に対し、世界的に広く使用されている。 ルパタジンは、2001 年 7 月にスペインで初めて承認され、これまでにイギリス、フランス、イ タリア等の欧州を中心とした世界80 箇国以上で承認され、アレルギー性鼻炎及び蕁麻疹の治療薬 として広く使用されている。本申請における対象製剤であるルパタジン錠10 mg(フマル酸塩と して12.8 mg。以下特段の記載のない限り、含量はルパタジン遊離塩基を示す)の組成を表 2.7.1.1-1 に示す。 表 2.7.1.1-1 ルパタジン錠 10 mg の組成 原料 1 錠中の含量(mg) 用途 有効成分 ルパタジンフマル酸塩 12.8注) 有効成分 添加物 アルファー化デンプン 結晶セルロース 三二酸化鉄 着色剤 黄色三二酸化鉄 着色剤 乳糖水和物 ステアリン酸マグネシウム 注)ルパタジンとして10mg ルパタジンとして 10 mg を含有する錠剤開発において、目標とする有効成分の溶出性を有し、 良好な安定性を示す最終製剤が調製された。 臨床試験では、含量比率は異なるが、同一の組成成分によって構成された複数のルパタジン製 剤を使用した。 ただし、評価資料である国内で実施した第III 相試験(2.7.6.28、2.7.6.50、2.7.6.45及び2.7.6.51) 及びQT/QTcI に対する潜在的影響に加え薬物動態を検討した試験(2.7.6.53)、並びに海外在住日 本人の薬物動態試験(2.7.6.12)及び海外で実施した第III 相試験における治験薬は表 2.7.1.1-1に 示した組成と同様である。 これら試験に加え、バイオアベイラビリティ試験で使用した製剤のロット番号を表 2.7.1.1-2に 示す。 XXXXXXXXX XXXXXXXXX XXXXXXXXX XXXXXXXXXルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 6 表 2.7.1.1-2 評価資料、海外在住日本人の薬物動態試験、海外での主な第 III 相試験及びバイオア ベイラビリティ試験で使用したルパタジン製剤のロット番号 製剤ロット番号(製造場所) 試験番号(試験のPhase、目的) 国内試験 1401( ) TK-041-0101(Phase III、安全性/有効性) 1501( ) TK-041-0102(Phase III、安全性/有効性) 1401( ) TK-041-0201(Phase III、安全性/有効性) 1401 及び 1501( ) TK-041-0202(Phase III、安全性/有効性) 海外試験
G027( ) DC05RUP/I/ [Phase I、薬物動態(海外在住日本人)] 0904( ) IC012RUP/1/ (Phase I、QT/QTcI、薬物動態)
L06( ) UR/FC /III-01(Phase III、安全性/有効性) M01( ) UR/FC /III-03(Phase III、安全性/有効性) M01( ) UR/FC /III-04(Phase III、安全性/有効性) M02( ) UR/FC /III-01(Phase III、安全性/有効性) M02( ) UR/FC /III-02(Phase III、安全性/有効性) M02( ) UR/FC /III-03(Phase III、安全性/有効性) M02( ) UR/FC /III-04(Phase III、安全性/有効性)
M02( ) UR/FC /I-02(バイオアベイラビリティ)
0104( ) IC06RUP/3/ (Phase III、安全性/有効性) 0804( ) IC10RUP/3/ (Phase III、安全性/有効性) 2.7.1.1.1 生体試料を用いた分析法(血漿中濃度)
ルパタジンの未変化体及びその代謝物の濃度測定に用いた分析法は、Consensus Conference of Washington による勧告(Consensus Conference of Washington, 1992)1)及びFDA のガイドライン
(Guidance for Industry. Bioanalytical Method Validation, FDA, 2001)2)に従ってバリデーションを行
った(バリデーション試験成績は5.3.1.4 参照)。 ルパタジンの薬物動態試験に用いた分析法を表 2.7.1.1-3に示す。 ヒト血漿中ルパタジン及び代謝物の安定性試験において、それらは検討した保存条件下で安定 であった。 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX
ルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 7 表 2.7.1.1-3 ルパタジンの薬物動態試験に用いた分析法 Validation 試験番号 (分析法番号) 分析法 分析施設 (バリデーションの時期) LLOQ 分析項目 CIN/T/008 ( 19 ) 0.1 ng/mL ルパタジン 該当試験:RD 477/20680、RD 477/209 、RD 477/209 CIN/T/012 HPLC/ ( 19 ) 0.5 ng/mL BCP 該当試験:RD 477/20680、RD 477/209 、RD 477/209 FC-RUPA-IV- 01-01 LC/MS/MS ( 19 0.2ng/mL ルパタジン、BCP、 総BCP-OHa
該当試験:UR/FC /I-02、UR/FC /I-03、UR/FC /I-04、UR/FC /I-01
FC/ /009 LC/MS/MS ( 19 0.1ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体
BCP-OHb
該当試験:IC03RUP/I/ 、UR/FC /1-01、UR/FC /I-02
CIN/351/ LC/MS/MS ( 20 ) 0.1ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体 BCP-OHb 該当試験:IC08RUP/I/ 、IC09RUP/I/ CIN/357/ LC/MS/MS ( 20 ) 0.1ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体 BCP-OHb 該当試験:IC012RUP/1/ FC/ /006 LC/MS/MS ( 20 ) 0.1ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体 BCP-OHb 該当試験:DC05/RUP/I/ 、DC01/RUP/I/ PBC257-006 LC/MS/MS ( 20 ) 0.1 ng/mL ルパタジン、BCP 該当試験:TK-041-0202(国内試験)
a:総 BCP-OH:フリー体 BCP-OH + グルクロン酸抱合体 b:グルクロン酸非抱合体 BCP-OH (1) 海外試験 海外での開発初期段階に実施された用量漸増単回投与試験(2.7.6.24)、単回投与試験(2.7.6.13) 及び反復投与試験(2.7.6.14)では、分析法CIN/T/008 を用い、ルパタジンの血漿中濃度を にて測定した。これらの試験では、ルパタジンの代謝物であるBCP 濃度は、ルパタジン濃度測定 用検体とは別の検体及び分析法CIN/T/012 を用い、 によるプレカラム誘導体化後、HPLC により測定した。LLOQ は、ルパタジンが 0.1 ng/mL、BCP が 0.5 ng/mL であった。 その後の臨床試験では、LC/MS/MS に分析法が変更され、ルパタジンと BCP 濃度は、同一検体 を用いて測定可能となった。また、ルパタジンの代謝物であるBCP-OH 濃度についても、同一検 体を用いて測定した。 海外の臨床推奨用量である 10 mg を超える用量を用いた薬物動態試験(2.7.6.17、2.7.6.21、 2.7.6.19、及び2.7.6.27)では、ルパタジン及びBCP に加え、酵素加水分解後に BCP-OH 総濃度を
測定した。BCP-OH 総濃度はフリー体 BCP-OH 及び UR-12335(BCP-OH のグルクロン酸抱合体)
の合計である。ルパタジン、BCP 及び BCP-OH 総濃度は、 社で開発された 分析法FC-RUPA-IV-01 を用いて測定した。LLOQ は 0.2 ng/mL であった。 そ の 後 の 臨 床 試 験 で は 、 測 定 技 術 の 発 展 よ り 、BCP-OH の 分 離 測 定 が 可 能 と な り 、 FC-RUPA-IV-01 法を変更してフリー体 BCP-OH のみを測定した(2.7.6.18、2.7.6.16 、2.7.6.1、 XXXXXXXXXX X X XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX
XXXXXXXXXX
XXXXXXXXXルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 8 2.7.6.20、2.7.6.22、2.7.6.53、2.7.6.12及び2.7.6.23)。なお、グルクロン酸抱合体については薬理活 性を有しないため、測定しないこととした。 この変更により、各化合物に関して、定量範囲は0.1~10 ng/mL、LLOQ は 0.1 ng/mL まで向上 した。 グレープフルーツとの相互作用を検討した試験(2.7.6.18)、高齢者での薬物動態を検討した試 験(2.7.6.16)、ルパタジン錠 10 mg の相対的バイオアベイラビリティを検討した試験(2.7.6.1) では、分析法 FC/ /009 を用いて、ルパタジン、BCP 及びフリー体 BCP-OH 濃度を測定した (LLOQ:0.1 ng/mL)。 FC/ /009 法での分析単位内及び分析単位間における精度の CV は、ルパタジンで 14.79%以下、 BCP で 11.97%以下、フリー体 BCP-OH で 12.10%以下であった。また、分析単位内及び分析単位 間における真度の相対誤差は、ルパタジンで± 14.85%、BCP で± 10.80%、フリー体 BCP-OH で ± 12.35%以内であり、判定基準を満たし、真度及び精度が確認された。 アジスロマイシン及びフルオキセチンとの相互作用を検討した試験(2.7.6.20及び2.7.6.22)で は、分析法CIN/351/ を用いて、ルパタジン、BCP 及びフリー体 BCP-OH を測定した(LLOQ: 0.1 ng/mL)。
ルパタジン10 mg 及び 100 mg につき、単回及び反復投与後に QT/QTcI に対する潜在的影響を 検討すると共に、薬物動態を評価した試験(2.7.6.53)では、分析法 CIN/351/ を応用した分析 法 CIN/357/ を用いて、ルパタジン、BCP 及びフリー体 BCP-OH 濃度を測定した(LLOQ: 0.1 ng/mL)。その結果、それぞれの CV は、ルパタジンで 10.29%以下、BCP で 4.45%以下及びフ リー体BCP-OH で 6.65%以下であった。真度の相対誤差は、ルパタジンで± 3.25%、BCP で± 12.64% 及びフリー体BCP-OH で± 8.38%以内であり、判定基準を満たし、真度が確認された。 海外在住日本人の薬物動態を検討した試験(2.7.6.12)及びミダゾラムとの相互作用を検討した 試験(2.7.6.23)では、分析法FC/ /006 を用いて、ルパタジン、BCP 及びフリー体 BCP-OH を測 定した(LLOQ:0.1 ng/mL)。 分析法FC/ /006 での分析単位内及び分析単位間における精度の CV は、ルパタジンで 12.71% 以下、BCP で 14.66%以下、BCP-OH で 14.90%以下であった。また、分析単位内及び分析単位間 における真度の相対誤差は、ルパタジンで± 12.83%、BCP で± 11.77%、フリー体 BCP-OH で ± 10.55%以内であり、判定基準を満たし、真度及び精度が確認された。 なお、マスバランス試験(2.7.6.15)においては、健康被験者を対象とし、放射性標識化合物投 与後のルパタジン及びその代謝物を評価したが、これらの測定はLC/MS/MS(バリデーション済) により実施した。 (2) 国内試験 皮膚疾患に伴うそう痒を有する日本人患者206 例を対象とし、ルパタジンの長期投与試験にお ける安全性を検討すると共に、成人と小児(12~17 歳)の薬物動態プロファイルについて比較し た国内試験(2.7.6.51)では、分析法 PBC257-006 を用いて、ルパタジン及び BCP を測定した (LLOQ:0.1 ng/mL)。 分析法 PBC257-006 での真度及び精度(分関単位内及び分析単位間再現性)の結果は、いずれ も判定基準を満たし、真度及び精度が確認された。
分間で約 86%、 分間で約 95%が溶出した(3.2.P.2.2.3 参照)。 ルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 9
2.7.1.2 個々の試験結果の要約
2.7.1.2.1 ルパタジン錠 10 mg の in vitro 溶出試験 ルパタジン錠のバイオアベイラビリティを経口液剤と比較検討する試験(2.7.6.1)で使用する ルパタジン錠10 mg(ロット番号:M02)のin vitro での溶出プロファイルを検討した3)。試験液 には0.1 mol/L 塩酸を用いた。ルパタジン錠 10 mg の 0.1 mol/L 塩酸中のルパタジン溶出率の推移 を表 2.7.1.2-1に示す。 表 2.7.1.2-1 ルパタジン錠 10 mg の溶出率の推移(in vitro) 回数 溶出率(%) 分後 分後 分後 分後 1 97.63 95.01 97.75 98.58 2 97.86 98.64 98.57 99.25 3 97.24 100.95 100.98 101.38 4 99.40 99.89 99.75 100.14 5 98.17 99.64 99.58 100.13 6 94.47 101.38 101.34 101.59 7 100.33 100.59 100.47 100.71 8 102.18 102.08 102.12 102.38 9 101.64 101.38 101.18 101.59 10 98.40 99.11 98.89 99.03 11 100.33 100.21 100.23 100.47 12 100.87 100.99 101.09 101.19 平均値 99.04 99.99 100.16 100.54 標準偏差 2.176 1.860 1.292 1.161 ルパタジン錠10 mg は有効成分のほぼ 100%が 分以内に溶出したことから、溶出過程が有効 成分の吸収に及ぼす影響は少ないことが示された。また、上記ロットと同製造方法にて製造され たルパタジン錠10 mg(ロット番号:G001)における溶出試験の検討結果から、pH において、 一方、pH 下で 分間の溶出率は約78%であり、85%に達しないことから、FDA の Bioavailability Classification System4)の基準における速溶性製剤には該当しない。以上のように、pH 以上ではルパタジン錠10 mg の溶出性は pH に依存するが、胃内 pH 域で ルパタジンは 分以内にほぼ完全に溶出する。このため、本剤の胃内pH 下での溶出性には問題 ないことが示された。 2.7.1.2.2 健康被験者にルパタジン 10 mg の経口液剤及び経口錠剤を投与したときのバイオア ベイラビリティ試験(試験番号UR/FC /I-02、2.7.6.1、参考資料) 本試験は、第I 相、単施設、無作為化、非盲検、クロスオーバー比較試験で、健康被験者 12 例 を対象とし、ルパタジン10 mg 錠、ルパタジン 10 mg 液(1 mg/mL)及びルパタジン 10 mg 用時 調製液(1 mg/mL)を投与(それぞれフマル酸塩として、12.8 mg、以下特段の記載がない限りル パタジン遊離塩基としての含量を示す)し、薬剤の相対的バイオアベイラビリティを評価した。 ルパタジンの錠剤及び用時調製液投与後の血漿中薬物濃度推移を図 2.7.1.2-1に示す。 #新薬承認情報提供時に置き換え #a #b #c #d #A #b #d #B #d #A #a #a
ルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 10 図 2.7.1.2-1 ルパタジンの錠剤及び用時調製液投与後の血漿中薬物濃度推移 [5.3.1.2.1 p.9-11 Fig を改変] なお、液剤は、成人用として開発を行わなかったため、本項では、選択した開発剤型(錠剤) 及び用時調製液の成績のみを記載した。 ルパタジン10 mg 用時調製液経口投与後のルパタジンの Cmax(平均値、以下同じ)は3.40 ng/mL、 AUC0-t は 12.21 ng·h/mL、ルパタジンの代謝物である BCP の Cmaxは 1.37 ng/mL、AUC0-t は 17.46 ng·h/mL、BCP-OH の Cmaxは0.67 ng/mL、AUC0-tは12.88 ng·h/mL であった。
一方、ルパタジン10 mg 錠投与後のルパタジンの Cmax(平均値、以下同じ)は2.23 ng/mL、AUC0-t は4.70 ng·h/mL、ルパタジンの代謝物である BCP の Cmaxは1.33 ng/mL、AUC0-tは16.67 ng·h/mL、 BCP-OH の Cmaxは0.69 ng/mL、AUC0-tは13.51 ng·h/mL であった(主要な薬物動態パラメーターは
2.7.1.4参照)。
投与順序及び時期効果を検討するため、AUC 及び Cmaxについて ANOVA を実施した。また、 AUC 及び Cmaxの製剤間比(10 mg 錠/10 mg 用時調製液)の信頼区間を算出し、p 値が 0.05 以下で あるとき、有意と判定した。 ルパタジン10 mg 錠の用時調製液に対する相対的バイオアベイラビリティの結果を表 2.7.1.2-2 に示す。 用時調製液投与後のルパタジン濃度は、錠剤投与後に比較し、有意に高く、錠剤の液剤に対す るルパタジンの相対的バイオアベイラビリティは45.2%であった。
ルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 11 表 2.7.1.2-2 ルパタジン 10 mg 錠の用時調製液に対する相対的バイオアベイラビリティ ルパタジン BCP BCP-OH 例数 12 12 12 平均値 0.4516 1.0351 1.2096 標準偏差 0.2350 0.2722 0.3752 中央値 0.4244 1.0580 1.1193 最小値 0.2386 0.6480 0.6918 最大値 1.0772 1.4963 1.9682 [5.3.1.2.1 p.53-57 Table を改変] 一方、ルパタジンの代謝物は錠剤と用時調製液で同様のプロファイルを示し、製剤間において 有意差はなかった。AUC 及び Cmaxに関する製剤間比の90%信頼区間は、それぞれ、BCP が 85.1 ~110.0 及び 86.6~111.9、BCP-OH が 98.9~121.9 及び 96.8~112.2 であった。 ルパタジンの吸収はいずれの製剤でも非常に早く、多くの被験者においてtmaxは1 時間以内で #新薬承認情報提供時に置き換え あった。
2.7.1.3 全試験を通しての結果の比較と解析
ルパタジン錠10 mg を用いた in vitro 溶出試験3)において、pH 以下では、ルパタジンは5 分 以内にほぼ完全に溶出した。0.1 mol/L塩酸、pH 緩衝液及びpH 緩衝液を試験液としたとき、 ルパタジンの 分後の溶出率はそれぞれ約100、約 95 及び約 78%であった。 pH 以上ではルパタジン錠10 mg の溶出性は pH に依存するが、胃内 pH 域でルパタジンは 5 分以内にほぼ完全に溶出する。このため、本剤の胃内 pH 下での溶出性には問題ないことが示さ れた。さらに、ヒトにおけるオメプラゾール20 mg 投与後の胃内 pH は 2.6~4.3 と報告5)されて おり、当該in vitro 溶出試験で検討した pH よりも低い。このため、オメプラゾール併用時で もルパタジンの投与後 及び 分の溶出率は85 及び 95%を上回ると推察される。このように、 標準用量のプロトンポンプ阻害剤の併用がルパタジンの溶出性又は吸収に臨床的に意義のある影 響を与える可能性は低いことが示唆された。 また、健康被験者を対象とし、ルパタジン錠剤のバイオアベイラビリティを検討することを目 的とした試験(2.7.6.1)において、ルパタジンが速やかに吸収されることが示唆された。 #A #A #A #A #B #d #d #bルパタジンフマル酸塩 2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要 Page 12
2.7.1.4 付録
表 2.7.1.4-1 バイオアベイラビリティ試験(試験番号 UR/FC /I-02)の概略 試験番号 (実施国) 主な目的 デザイン 投与法 (経口) 例数(男性/女性) 対象 平均年齢(範囲) 薬物動態パラメーター[平均値(標準偏差)] 資料番号 (参照先) 資料 区分Cmax(ng/mL) tmax(h) AUC0-t(ng·h/mL)
UR/FC /I-02 (スペイン) 相対的バイオ アベイラビリ ティ 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 錠剤 10 mg 単回 12(7/5) 健康成人 25(20-37) RU:2.23(1.40) BCP:1.33(0.52) BCP-OH:0.69(0.29) RU:0.79(0.28) BCP:2.59(1.49) BCP-OH:5.00(1.04) RU:4.70(2.22) BCP:16.67(7.28) BCP-OH:13.51(5.07) 5.3.1.2.1 (2.7.6.1) 参考 被験液剤 10 mg 単回 RU:2.33(0.77) BCP:1.49(0.76) BCP-OH:0.69(0.25) RU:0.79(0.42) BCP:1.50(0.94) BCP-OH:4.92(1.17) RU:8.81(3.47) BCP: 18.40(10.04) BCP-OH:14.00(7.19) 用時調製液 10 mg 単回 RU:3.40(2.11) BCP:1.37(0.51) BCP-OH:0.67(0.29) RU:0.90(0.70) BCP:2.25(1.57) BCP-OH:5.17(1.34) RU:12.21(5.56) BCP:17.46(7.56) BCP-OH:12.88(6.45) RU = ルパタジン 表 2.7.1.4-2 in vitro 溶出試験3)の概略 薬剤 (ロット番号) 剤型 Condition 数量 経過時間 溶出率[平均値(範囲)] 資料 番号 資料 区分 ルパタジン錠 10 mg (M02)
錠剤 Equipment:ERWEKA DT6 device with 6 wells and paddles
溶媒:0.1 N 塩酸 温度:37 ± 0.5ºC 回転速度:50 rpm 12 錠 分 分 分 分 5.4.21 参考 99.04 (94.47–102.18) 99.99 (95.01–102.08) 100.16 (97.75–102.12) 100.54 (98.58–102.38) #新薬承認情報提供時に置き換え #a #b #c #d
目次
2.7.2.1 背景及び概観 ... 10 2.7.2.1.1 ヒト生体試料を用いたin vitro 試験 ... 10 2.7.2.1.2 臨床薬理試験及び臨床薬力学試験 ... 11 2.7.2.1.2.1 臨床薬理試験 ... 11 2.7.2.1.2.2 臨床薬力学試験 ... 16 2.7.2.2 個々の試験結果の要約 ... 19 2.7.2.2.1 ヒト生体試料を用いたin vitro 試験 ... 19 2.7.2.2.1.1 血漿タンパク結合試験 ... 19 2.7.2.2.1.2 ヒト生体試料を用いた肝代謝及び薬物相互作用 ... 19 2.7.2.2.2 薬物動態 ... 24 2.7.2.2.2.1 日本人での薬物動態 ... 24 2.7.2.2.2.2 外国人での薬物動態 ... 31 2.7.2.2.3 内因性要因の検討 ... 39 2.7.2.2.3.1 健康高齢被験者及び健康若年被験者にルパタジン10 mg を反復経 口投与したときの薬物動態を評価する第I 相、非盲検試験(試験番 号UR/FC /I-01、2.7.6.16、参考資料) ... 39 2.7.2.2.3.2 皮膚疾患に伴うそう痒を対象とした長期投与試験(試験番号 TK-041-0202、2.7.6.51、評価資料) ... 41 2.7.2.2.4 外因性要因の検討 ... 42 2.7.2.2.4.1 健康被験者に空腹時又は非空腹時にルパタジン20 mg を単回経口 投与したときの薬物動態を評価する試験(試験番号UR/FC /I-02、 2.7.6.17、参考資料) ... 42 2.7.2.2.5 相互作用 ... 43 2.7.2.2.5.1 健康被験者にルパタジン10 mg を投与したときの薬物動態とグレ ープフルーツジュースとの相互作用を検討する、非盲検、無作為、 2 群 2 期クロスオーバー試験(試験番号 IC03RUP/I/ 、2.7.6.18、 参考資料) ... 43 2.7.2.2.5.2 健康被験者にルパタジン及びエリスロマイシンを反復経口投与し たときの薬物相互作用を評価する試験(試験番号UR/FC /I-04、 2.7.6.19、参考資料) ... 44 2.7.2.2.5.3 健康被験者にルパタジン10 mg 及びアジスロマイシンを併用投与 したときの薬物動態及び安全性を評価する試験(試験番号 IC08RUP/1/ 、2.7.6.20、参考資料) ... 44 2.7.2.2.5.4 健康被験者にルパタジン及びケトコナゾールを反復経口投与した ときの薬物動態相互作用を評価する試験(試験番号UR/FC /I-03、 2.7.6.21、参考資料) ... 452.7.2.2.5.5 健康被験者にルパタジン10 mg 及びフルオキセチンを併用投与し たときの薬物動態及び安全性を評価する試験(試験番号 IC09RUP/1/ 、2.7.6.22、参考資料) ... 45 2.7.2.2.5.6 健康被験者にルパタジン10 mg 及びミダゾラムを併用投与したと きの薬物動態及び安全性を評価する、非盲検試験(試験番号 DC01/RUP/I/ 、2.7.6.23、参考資料) ... 46 2.7.2.2.5.7 健康被験者に2 用量のルパタジンを単回経口投与したときのアル コールの中枢作用に及ぼす影響を評価する、無作為化、二重盲検、 ダブルダミー、プラセボ及び実薬対照、クロスオーバー比較試験(試 験番号UR/FC /I-01、2.7.6.27、参考資料) ... 47 2.7.2.2.6 薬力学 ... 48 2.7.2.2.6.1 健康男性被験者にルパタジンを単回投与したときの薬物動態試験 (試験番号RD 477/209 、2.7.6.13、参考資料) ... 48 2.7.2.2.6.2 健康男性被験者にルパタジンを反復投与したときの薬物動態試験 (試験番号RD 477/209 、2.7.6.14、参考資料) ... 48 2.7.2.2.6.3 健康成人被験者に新規のH1及び血小板活性化因子(PAF)拮抗薬 であるルパタジンを単回投与したときの用量漸増、忍容性試験(試 験番号RD 477/20680、2.7.6.24、参考資料) ... 49 2.7.2.2.6.4 ルパタジンによるPAF 誘発性血小板凝集抑制を評価する試験(試 験番号RD 477/21289、2.7.6.25、参考資料) ... 50 2.7.2.2.6.5 健康被験者にルパタジンフマル酸塩(10、20、40、80 mg)を単回 経口投与したときの中枢及び末梢作用並びに忍容性を評価する、無 作為化、二重盲検、ダブルダミー、プラセボ及び実薬(ヒドロキシ ジン25 mg)対照、クロスオーバー比較試験(試験番号 UR/FC / I-01、 2.7.6.26、参考資料) ... 50 2.7.2.2.6.6 健康被験者にルパタジン10 mg を単回経口投与したときのベンゾ ジアゼピン系薬(ロラゼパム)の中枢神経抑制作用への影響を評価 する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー試験(試 験番号IC014RUP/1/ 、2.7.6.57、参考資料) ... 51 2.7.2.2.6.7 健康被験者にルパタジン10 mg を単回経口投与したときの運転能 力への影響を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロ スオーバー比較試験(試験番号DM02RUP/IV/ 、2.7.6.56、参考資 料) ... 52 2.7.2.2.6.8 アレルギー性鼻炎患者にルパタジン10 mg を反復投与したときの アレルゲン曝露装置における鼻閉及び鼻汁に対する効果を評価す る、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー比較試験 (試験番号IC04RUP/II/ 、2.7.6.36、参考資料) ... 52 2.7.2.2.6.9 アレルゲン経鼻負荷試験によるルパタジンフマル酸塩の有効性を 評価した試験(試験番号UR/FC /IB-02、2.7.6.37、参考資料) ... 53
2.7.2.2.6.10 アレルギー性鼻炎患者にルパタジン20 mg を単回経口投与したと きの血小板活性化因子(PAF)経鼻投与効果に対する阻害作用を評 価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、クロスオーバー比較 試験(試験番号DC/03/RUP/I/ 、2.7.6.38、参考資料) ... 53 2.7.2.2.6.11 健康被験者にルパタジンを投与したときのQT/QTc 間隔への影響 を評価する、無作為化、プラセボ及び陽性対照、並行群間比較試験 (試験番号IC012/RUP/1/ 、2.7.6.53、評価資料) ... 54 2.7.2.2.6.12 海外在住日本人健康被験者を対象としたルパタジンを初回及び反 復経口投与したときの薬物動態試験(試験番号DC05/RUP/I/ 、 2.7.6.12、参考資料) ... 55 2.7.2.3 全試験を通しての結果の比較と解析 ... 56 2.7.2.3.1 薬物動態プロファイル(吸収速度及び吸収量) ... 56 2.7.2.3.1.1 日本人における薬物動態プロファイル(吸収速度及び吸収量) ... 56 2.7.2.3.1.2 外国人における薬物動態プロファイル(吸収速度及び吸収量) ... 57 2.7.2.3.1.3 日本人及び外国人における薬物動態の比較 ... 65 2.7.2.3.2 分布 ... 73 2.7.2.3.3 代謝及び排泄 ... 74 2.7.2.3.4 内因性要因を検討した薬物動態試験 ... 78 2.7.2.3.4.1 高齢者での薬物動態 ... 78 2.7.2.3.4.2 小児(12~17 歳)での薬物動態 ... 80 2.7.2.3.5 外因性要因を検討した薬物動態試験 ... 81 2.7.2.3.5.1 食事の影響 ... 81 2.7.2.3.5.2 UR/FC /I-02 試験成績を日本人被験者に外挿できると判断した根 拠 ... 81 2.7.2.3.5.3 グレープフルーツジュースの影響 ... 82 2.7.2.3.5.4 薬物相互作用 ... 83 2.7.2.3.5.5 腎機能及び肝機能障害を有する患者における薬物動態... 89 2.7.2.3.6 薬力学試験 ... 90 2.7.2.3.6.1 ルパタジンの抗ヒスタミン作用 ... 90 2.7.2.3.6.2 ルパタジンのPAF 拮抗作用 ... 93 2.7.2.3.6.3 ルパタジンの中枢神経抑制作用 ... 94 2.7.2.3.6.4 ルパタジンの運転能力への影響 ... 94 2.7.2.3.6.5 ルパタジンの薬力学特性 ... 94 2.7.2.3.6.6 ルパタジンのQT/QTc 間隔への影響 ... 95 2.7.2.3.6.7 ルパタジンの認知機能への影響 ... 95 2.7.2.4 特別な試験 ... 95 2.7.2.5 付録 ... 95 2.7.2.5.1 ヒト生体試料を用いた試験の要約 ... 96 2.7.2.5.2 臨床薬理試験の要約 ... 98
化学構造式一覧
ルパタジン (1) 一般名(JAN):ルパタジンフマル酸塩(Rupatadine Fumarate) (2) 化学名:8-Chloro-6,11-dihydro-11-{1-[(5-methylpyridin-3-yl)methyl]piperidin-4-ylidene}-5H-benzo[5,6]cyclohepta[1,2-b]pyridine monofumarate (3) 分子式:C26H26ClN3・C4H4O4 (4) 分子量:532.03 (5) 化学構造式: デスロラタジン(BCP)<UR-12790> (1) 一般名(JAN):デスロラタジン(Desloratadine) (2) 化学名: 8-Chloro-11-(piperidin-4-ylidene)-6,11-dihydro-5H-benzo[5,6]cyclohepta[1,2-b]pyridine (3) 分子式:C19H19C1N2 (4) 分子量:310.82 (5) 化学構造式: 3-ヒドロキシデスロラタジン(BCP-OH)<UR-12788> (1) 一般名:3-ヒドロキシデスロラタジン(3-Hydroxydesloratadine) (2) 化学名(IUPAC): 8-Chloro-11-(piperidin-4-ylidene)-5,6-dihydro-benzo[1,2]cyclohepta[2,4-b]pyridin-3-ol (3) 分子式:C19H19ClN2O (4) 分子量:326.82 (5) 化学構造式:
用語及び略語一覧
略語 定義 定義(日本語)
ANOVA Analysis of variance 分散分析
AMP Adenosine monophosphate アデノシン一リン酸 ATP Adenosine triphosphate アデノシン三リン酸 AUC0-∞ Area under the concentration-time
curve extrapolated to infinity
無限大時間までの血漿中濃度‐時間曲 線下面積
AUC0-t Area under the concentration-time curve from time zero to the last quantifiable concentration
0 時間から最終測定時点までの血漿中 濃度‐時間曲線下面積
AUC0-τ Area under the concentration-time curve over a time interval
一定時間間隔における血漿中濃度‐時 間曲線下面積
BA Bioavailability バイオアベイラビリティ
BCP Desloratadine デスロラタジン
BCP-OH Hydroxydesloratadine 3-ヒドロキシデスロラタジン BCRP Breast cancer resistance protein 乳癌耐性タンパク質
BLQ Below the lower limit of quantification 定量下限未満
BROD Benzyloxyresorufin O-debenzylase ベンジルオキシレゾルフィン-O-デベ ンジラーゼ
BRT Brake response time ブレーキ反応時間
BW Body weight 体重
Cavg Average concentration 平均濃度 Cmax Maximum plasma level 最高血漿中濃度 Cmin Minimum concentration level 最低濃度 Cmin ss Minimum concentration level at steady
state
定常状態における最小血漿中濃度
CL Clearance クリアランス
CL/F Oral plasma clearance 経口血漿クリアランス
CYP Cytochrome P450 チトクロームP450
EMA European Medicines Agency 欧州医薬品庁
EROD Ethoxyresorufin O-deethylase エトキシレゾルフィン-O-デエチラー ゼ
FDA Food and Drug Administration 米国食品医薬品局
HEK Human embryonic kidney ヒト胚腎 XXXXXXXXXX
略語 定義 定義(日本語) HPLC High-performance liquid
chromatography
高速液体クロマトグラフィー
IC50 Half maximal inhibitory concentration 50%阻害濃度
Ki Inhibition constant 阻害定数
Km Michaelis constant ミカエリス定数
LC/MS/MS Liquid chromatography tandem mass spectrometry
液体クロマトグラフィー・タンデム質 量分析
LLOQ Lower limit of quantitation 定量下限値
LSC Liquid scintillation counter 液体シンチレーションカウンター MDR1 Multidrug resistance protein 1 多剤耐性タンパク質1
MRT Mean residence time 平均滞留時間 NADPH Nicotinamide adenine dinucleotide
phosphate
ニコチンアミドアデニンジヌクレオチ ドリン酸
NMR Nuclear magnetic resonance 核磁気共鳴 NOAEL No observed adverse effect level 無毒性量 NSB Non-specific binding 非特異的結合 NSS Nasal symptom score 鼻症状スコア OATP1B1 Organic anion transporting polypeptide
1B1
有機アニオン輸送ポリペプチド1B1
OATP1B3 Organic anion transporting polypeptide 1B3
有機アニオン輸送ポリペプチド1B3
PAF Platelet aggregation factor 血小板活性化因子 PBS Phosphate Buffered Saline リン酸緩衝生理食塩水
Pgp P-glycoprotein P 糖タンパク
PTF Peak through fluctuation over one dosing interval at steady state
定常状態における単一投与期間にわた る変動を通したピーク
QT QT interval. Time interval time between Q and T wave in the heart's electrical cycle QT 間隔。心臓の電気周期における Q 波からT 波までの時間 QTc Corrected QT 補正QT QTcI - 個体別の補正式を用いて補正したQT 間隔 r Correlation factor 相関係数 XXXXXXXXX
略語 定義 定義(日本語)
R Accumulation factor 蓄積率
RTI Reaction time 反応時間
SSRI Selective serotonin reuptake inhibitors 選択的セロトニン再取り込み阻害剤 SWM Spatial working memory 空間作動記憶
t1/2 terminal half-life 消失半減期 tmax Time to reach the observed maximum
concentration
最高血漿中濃度到達時間
TNSS Total nasal symptom score 総鼻症状総合スコア
UGT UDP-glucuronosyl transferase UDP-グルクロノシルトランスフェラ ーゼ
V Volume of distribution 分布容積
VAS Visual analog scale 視覚的アナログスケール
VCC Vienna Challenge Chamber ウィーン抗原曝露装置 Vd Volume of distribution 分布容積
Vmax Maximum reaction rate 最大反応速度 Vz/F, Vd/F Apparent volume of distribution 見かけの分布容積
2.7.2.1 背景及び概観
ルパタジンは、PAF 拮抗作用及び抗ヒスタミン作用を有する化合物であり、アレルギー性鼻炎 及び蕁麻疹の治療に対し、世界的に広く使用されている。 本項では、ルパタジンの薬物動態及び薬力学的プロファイルを目的として実施した試験成績の 要約を記載した。 薬物動態試験では、臨床推奨用量として選択した錠剤10 mg 及び 20 mg 投与に関する成績を主 に記載した。参考として、異なる用量及び剤型を使用したその他の補助的な試験及びヒト生体試 料を用いたin vitro 試験も含めた。また、薬力学データは、本申請に係る「効能又は効果」に関連 した成績に加え、安全性に関連する成績も含めた。 なお、本邦においては、20 年よりルパタジン錠 10 mg(フマル酸塩として 12.8 mg。以下特 段の記載のない限り、含量はルパタジン遊離塩基を示す)を含有する経口錠剤(以下、「ルパタジ ン錠」という)の臨床開発を開始したが、その時点において海外での外国人及び海外在住日本人 を対象としたルパタジンの薬物動態試験、薬力学的試験及びヒト生体試料を用いたin vitro 試験が 実施されていた。 これを踏まえ、ルパタジンの薬物動態プロファイルについて海外在住日本人と外国人の比較か ら、民族間の類似性を確認した。さらに、本邦において実施した皮膚疾患に伴うそう痒を有する 日本人患者を対象とした臨床試験において、既知の知見が存在しなかった日本人小児(12 歳から 17 歳)の薬物動態に係る情報を含めて情報を収集し、日本人の成人及び小児の薬物動態を比較し た。 以上から、本項では海外で実施された薬物動態試験及び薬力学的試験成績を含め必要なデータ を構成した。 2.7.2.1.1 ヒト生体試料を用いたin vitro 試験 ヒト生体試料を用いたin vitro 試験一覧を表 2.7.2.1-1に示す。 CIN/185/ 及びCIN/280/ 試験では、ルパタジンの血漿タンパク結合率を検討した。 X- -6079 及び URI/RUP/ 002 試験では代謝に関与する CYP アイソザイムを特定するため、そ れぞれヒト CYP 分子種発現系ミクロソームでの代謝及びルパタジンのヒト肝代謝に対する作用 を、URI/RUP/ 001 及び S47893 試験では異なる CYP アイソザイムに対するルパタジンの阻害作 用を、S47915 試験では、CYP アイソザイムに対するルパタジンの誘導作用を検討した。 また、S47904 試験ではルパタジンの 7-HMC-グルクロノシルトランスフェラーゼに対する影響 を遺伝子組み換えヒトcDNA 発現 UGT1A1 及び UGT2B7 により検討した。さらに、 -02- 20 試験では、ルパタジンとヒトOATP1B1 及び OATP1B3 を介した相 互作用、S47882 試験ではルパタジンと MDR1 及び BCRP との相互作用を検討した。
表 2.7.2.1-1 ヒト生体試料を用いた in vitro 試験一覧 試験番号 (実施国) 試験内容 ヒト組織 方法 資料番号 (参照先) 資料 区分 CIN/185/ (スペイン) 血漿タンパク結合 血漿 平衡透析法 5.3.2.1.1 (2.7.6.2) 参考 CIN/280/ (スペイン) 血漿タンパク結合 血漿 平衡透析法 5.3.2.1.2 (2.7.6.3) 参考 X- -6079 (スペイン) CYP 代謝活性及び 阻害作用 ヒトCYP 分子種発 現系ミクロソーム インキュベーション 5.3.2.2.1 (2.7.6.4) 参考 URI/RUP/ 002 (フランス) CYP 代謝活性及び 阻害作用 肝ミクロソーム インキュベーション 5.3.2.2.2 (2.7.6.5) 参考 URI/RUP/ 001 (フランス) CYP 阻害作用 肝ミクロソーム インキュベーション 5.3.2.2.3 (2.7.6.6) 参考 S47893 (スペイン) CYP 阻害作用 肝ミクロソーム インキュベーション 5.3.2.2.4 (2.7.6.7) 参考 S47915 (スペイン) CYP 誘導作用 肝ミクロソーム インキュベーション 5.3.2.2.5 (2.7.6.8) 参考 S47904 (スペイン) UGT 阻害作用 ヒトUGT1A1 及び UGT2B7 スーパー ソーム インキュベーション 5.3.2.2.6 (2.7.6.9) 参考 -02- 20 (ハンガリー) OATP との相互作 用 HEK293 細胞 インキュベーション 5.3.2.2.7 (2.7.6.10) 参考 S47882 (スペイン) MDR1 及び BCRP 阻害 MDR1 又は BCRP 小胞 インキュベーション 5.3.2.2.8 (2.7.6.11) 参考 2.7.2.1.2 臨床薬理試験及び臨床薬力学試験 2.7.2.1.2.1 臨床薬理試験 ルパタジンの臨床薬理試験一覧を表 2.7.2.1-2に示す。
表 2.7.2.1-2 ルパタジンの臨床薬理試験一覧(1/2) 試験番号 (実施国) 主要な目的 デザイン 投与量(mg) 投与方法 (投与経路:経口) 資料番号 (参照先) 資料 区分 薬物動態 [日本人における薬物動態] DC05/RUP/I/ (イギリス) 薬物動態 (海外在住日本人) 無作為化、二重盲 検、プラセボ対 照、並行群間 10、20、40 反復(5 日間) 5.3.3.1.1 (2.7.6.12) 参考 [外国人における薬物動態] UR/FC /I-02 (スペイン) 相対的バイオアベイラビ ィリティ(錠剤と液剤の 比較) 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 10 単回 5.3.1.2.1 (2.7.6.1) 参考 IC012RUP/1/ (スペイン) 治療用量及び治療用量を 超える用量での薬物動態 無作為化、単盲 検、プロセボ及び 陽性対照、並行群 間 10、100 反復(5 日間) 5.3.5.4.1 (2.7.6.53) 評価 RD 477/209 (イギリス) 薬物動態 無作為化、二重盲 検、クロスオーバ ー 10、20、40 単回 5.3.3.1.2 (2.7.6.13) 参考 RD 477/209 (イギリス) 薬物動態 無作為化、二重盲 検、プラセボ対 照、用量漸増 20、40 反復(7 日間) 5.3.3.1.3 (2.7.6.14) 参考 URC 023/993407 (イギリス) 吸収、代謝、排泄及び薬 物動態パラメーター(マ スバランス試験) 非盲検 40 単回 5.3.3.1.4 (2.7.6.15) 参考 RD 477/20680 (イギリス) 薬物動態 無作為化、二重盲 検、プラセボ対 照、クロスオーバ ー、用量漸増 2、5、10、20、40、 80 単回 5.3.4.1.1 (2.7.6.24) 参考 RD 477/209 、RD 477/209 及びRD 477/20680 試験:ルパタジンフマル酸塩としての投与量
表 2.7.2.1-2 ルパタジンの臨床薬理試験一覧(2/2) 試験番号 (実施国) 主要な目的 デザイン 投与量(mg) 投与方法 (投与経路:経口) 資料番号 (参照先) 資料 区分 内因性要因 UR/FC /I-01 (フランス) 高齢者(65 歳以上)及び 若年者での薬物動態 非盲検 10 反復(7 日間) 5.3.3.3.1 (2.7.6.16) 参考 TK-041-0202 (日本) 12 歳以上の小児と成人 の薬物動態の比較(日本 人) 非盲検 10 反復 (14 ± 2 日間) 5.3.5.2.2 (2.7.6.51) 評価 外因性要因 UR/FC /I-02 (フランス) 空腹時又は非空腹時の薬 物動態 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 20 単回 5.3.3.4.1 (2.7.6.17) 参考 相互作用 IC03RUP/I/ (スペイン) グレープフルーツジュー スとの相互作用 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 10 単回 5.3.3.4.2 (2.7.6.18) 参考 UR/FC /I-04 (フランス) エリスロマイシンとの相 互作用 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 20 反復(7 日間) 5.3.3.4.3 (2.7.6.19) 参考 IC08RUP/1/ (スペイン) アジスロマイシンとの相 互作用 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 10 反復(6 日間) 5.3.3.4.4 (2.7.6.20) 参考 UR/FC /I-03 (フランス) ケトコナゾールとの相互 作用 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 20 反復(7 日間) 5.3.3.4.5 (2.7.6.21) 参考 IC09RUP/1/ (スペイン) フルオキセチンとの相互 作用 無作為化、非盲 検、クロスオーバ ー 10 反復(4 日間) 5.3.3.4.6 (2.7.6.22) 参考 DC01/RUP/I/ (スペイン) ミダゾラムとの相互作用 非盲検、クロスオ ーバー 10 反復(5 日間) 5.3.3.4.7 (2.7.6.23) 参考 UR/FC /I-01 (スペイン) アルコールの中枢作用に 及ぼす影響 無作為化、二重盲 検、プラセボ及び 実薬対照、クロス オーバー 10、20 単回 5.3.4.1.4 (2.7.6.27) 参考
(1) 薬物動態試験 1) 日本人における薬物動態 日本人(海外在住)健康被験者21 例を対象とし、ルパタジン 1 日 1 回(10、20 又は 40 mg)5 日間反復経口投与したときのルパタジン及びその代謝物である BCP 及び BCP-OH の薬物動態を 評価した(2.7.6.12参照)。 2) 外国人における薬物動態 健康被験者を対象とし、ルパタジン 1 日 100 mg までの用量で単回及び反復経口投与したとき のルパタジン及びその代謝物であるBCP 及び BCP-OH の薬物動態を 6 試験(2.7.6.1、2.7.6.53、 2.7.6.13、2.7.6.14、2.7.6.15及び2.7.6.24)で評価した。 薬物動態プロファイルは、相対的BA 試験(2.7.6.1)、臨床推奨用量を超える用量(100 mg)投 与における並行群間試験(2.7.6.53)、10、20 及び 40 mg 投与における 2 試験(2.7.6.13及び2.7.6.14) 及び40 mg 投与におけるマスバランス試験(2.7.6.15)に基づき評価した。 また、最大臨床推奨用量(1 日投与量)は 20 mg であるが、100 mg までの高用量での薬物動態 及び安全性についても検討した(2.7.6.53参照)。 さらに、評価にあたってはプラセボ対照としてデザインされた薬物動態/薬力学試験(2.7.6.24) からのデータを活用した。 3) 内因性要因 65 歳以上の高齢者における BA を UR/FC /I-01 試験において評価した(2.7.6.16参照)。 また、皮膚疾患に伴うそう痒を有する日本人患者を対象とする試験において、成人と小児(12 ~17 歳)の薬物動態特性についても比較検討した(2.7.6.51参照)。 4) 外因性要因 ルパタジンの薬物動態に対する食事の影響をUR/FC /I-02 試験において評価した(2.7.6.17参 照)。 5) 相互作用 ルパタジンはCYP3A4 の基質であることから、CYP3A4 の基質及びその阻害又は誘導薬剤と併 用した場合、薬物動態プロファイルに影響する可能性がある。このため、特定の薬物間相互作用 に関する試験を実施し、臨床使用上考慮すべき相互作用について検討した。 併用した薬剤等としては、CYP3A4 を阻害することが広く知られているグレープフルーツジュ ース(2.7.6.18)、臨床診療において広く使用されCYP3A4 阻害が確認されているマクロライド系 薬剤[エリスロマイシン(2.7.6.19)]、比較的相互作用の弱いマクロライド系薬剤[アジスロマイ シン(2.7.6.20)]、抗真菌剤[ケトコナゾール(経口剤としては本邦未承認薬)(2.7.6.21)]、SSRI [フルオキセチン(本邦未承認)(2.7.6.22)]及びCYP3A4 の基質として知られているミダゾラム (2.7.6.23)を選択した。
これらの試験では、ミダゾラムとの相互作用試験以外は、無作為化、非盲検、クロスオーバー デザインを選択した。用量及び投与期間は、過去の薬物動態データ等に従って選択した。 ミダゾラムとの相互作用試験は、非無作為化、非盲検、クロスオーバーを選択した。 グレープフルーツジュースとの相互作用は、過去の同様の試験 1)において実施された単回投与 を選択した。 エリスロマイシン、アジスロマイシン、ケトコナゾール、フルオキセチン及びミダゾラムとの 相互作用に関しては反復投与デザインを選択した。 また、ルパタジンとアルコール併用時の中枢作用に及ぼす影響を単回投与試験(2.7.6.27)によ り評価した。 (2) ルパタジン及びその代謝物の濃度測定に用いた分析法 海外での開発初期段階(2.7.6.24、2.7.6.13及び2.7.6.14)では、ルパタジンの血漿中濃度は、バ リデートされた を用いて測定した。 これらの試験では、ルパタジンの代謝物であるBCP 濃度は、ルパタジン濃度測定用検体とは別 の検体及び分析法CIN/T/012 を用い、 によるプレカラム誘導体化後、HPLC により測定し た。LLOQ は、ルパタジンが 0.1 ng/mL、BCP が 0.5 ng/mL であった。 その後の臨床試験では、バリデートされたLC/MS/MS に分析法が変更され、ルパタジンと BCP 濃度は、同一検体を用いて測定可能となった。また、ルパタジンの代謝物であるBCP-OH 濃度に ついても、同一検体を用いて測定した。 海外での開発初期に実施された試験(2.7.6.17、2.7.6.21、2.7.6.19及び2.7.6.27)では、BCP-OH 総濃度はフリー体及びグルクロン酸抱合体の合計とした。これは、UR-12335(図 2.7.2.3-4)が酵 素加水分解を受けることにより、BCP-OH と分離定量不可能なためである。各化合物の測定範囲 は0.2~10 ng/mL であり、定量下限は 0.2 ng/mL である。 その後、測定技術の発展より、BCP-OH の単離測定が可能となり、本法を変更して BCP-OH の みを測定した(2.7.6.18、2.7.6.1、2.7.6.16、2.7.6.20、2.7.6.22、2.7.6.53、2.7.6.12及び2.7.6.23)。な お、グルクロン酸抱合体については薬理活性を有しないため、測定しないこととした。 この変更により、各化合物に関して、測定範囲は 0.1~10 ng/mL へと拡大され、定量下限は 0.1 ng/mL まで向上した。 なお、マスバランス試験(2.7.6.15)においては、健康被験者を対象とし、放射性標識化合物投 与後のルパタジン及びその代謝物を評価したが、これらの測定はLC/MS/MS(バリデーション済) により実施した。 薬物動態試験で用いた分析法を表 2.7.2.1-3に示す。 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX
表 2.7.2.1-3 ルパタジンの薬物動態試験に用いた分析法 Validation 試験番号 分析法 分析施設 (バリデージョンの時期) LLOQ 分析項目 CIN/T/008 ( 19 ) 0.1 ng/mL ルパタジン 該当試験:RD 477/20680、RD 477/209 、RD 477/209 CIN/T/012 HPLC/ ( 19 ) 0.5 ng/mL BCP 該当試験:RD 477/20680、RD 477/209 、RD 477/209 FC-RUPA-IV- 01-01 LC/MS/MS ( 19 9 0.2 ng/mL ルパタジン、BCP、 総BCP-OHa
該当試験:UR/FC /I-02、UR/FC /I-03、UR/FC /I-04、UR/FC /I-01
FC/ /009 LC/MS/MS ( 19 ) 0.1 ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体BCP-OH 該当試験:IC03RUP/I/ 、UR/FC /1-01、UR/FC /I-02
CIN/351/ LC/MS/MS ( 20 ) 0.1 ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体BCP-OH 該当試験:IC RUP/I/03、IC RUP/I/04
CIN/357/ LC/MS/MS ( 20 ) 0.1 ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体BCP-OH 該当試験:IC012RUP/1/ FC/ /006 LC/MS/MS ( 20 0.1 ng/mL ルパタジン、BCP、 フリー体BCP-OH 該当試験:DC05/RUP/I/ 、DC01/RUP/I/ PBC257-006 LC/MS/MS ( 20 ) 0.1 ng/mL ルパタジン、BCP 該当試験:TK-041-0202(国内試験)
a:総 BCP-OH:フリー体 BCP-OH + グルクロン酸抱合体
2.7.2.1.2.2 臨床薬力学試験 ルパタジンの臨床薬力学試験一覧を表 2.7.2.1-4に示す。 XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXXX XXXXXXXXX
表 2.7.2.1-4 ルパタジンの薬力学試験一覧(1/2) 試験番号 (実施国) 主要な目的 デザイン 投与量(mg) 投与方法 (投与経路:経 口) 資料番号 (参照先) 資 料 区 分 薬力学 RD 477/209 (イギリス) ヒスタミン誘発性発赤 抑制効果 無作為化、二重盲検、クロ スオーバー 10、20、40 単回 5.3.3.1.2 (2.7.6.13) 参 考 RD 477/209 (イギリス) ヒスタミン誘発性発赤 抑制効果 無作為化、二重盲検、プラ セボ対照、用量漸増 20、40 反復(7 日間) 5.3.3.1.3 (2.7.6.14) 参 考 RD 477/20680 (イギリス) 用量漸増時の忍容性 皮内ヒスタミン及び PAF 誘発性皮膚発赤の 抑制効果 無作為化、二重盲検、プラ セボ対照、用量漸増、クロ スオーバー 2、5、10、20、 40、80 単回 5.3.4.1.1 (2.7.6.24) 参 考 RD 477/21289 (イギリス) PAF 誘発性血小板活性 化抑制効果 非盲検、用量漸増 40、80 単回 5.3.4.1.2 (2.7.6.25) 参 考 UR/FC /I-01 (スペイン) 中枢及び末梢神経抑制 作用並びにヒスタミン 誘発性発赤抑制効果 無作為化、二重盲検、実薬 及びプラセボ対照、クロス オーバー 10、20、40、80 単回 5.3.4.1.3 (2.7.6.26) 参 考 IC014RUP/1/ (スペイン) 中枢神経抑制作用への 影響 無作為化、二重盲検、プラ セボ及び陽性対照、クロス オーバー 10 反復(7 日間) 5.3.5.4.5 (2.7.6.57) 参 考 DM02RUP/IV/ (オランダ) 運転能力への影響 無作為化、二重盲検、プラ セボ及び実薬対照、クロス オーバー 10 単回 5.3.5.4.4 (2.7.6.56) 参 考 IC04RUP/II-(オーストリア) アレルゲン曝露装置に おける鼻閉及び鼻汁に 対する効果 無作為化、二重盲検、プラ セボ対照、クロスオーバー 10 反復(8 日間) 5.3.5.1.9ar (2.7.6.36) 参 考 UR/FC /IB-02 (スペイン) アレルゲン鼻腔内チャ レンジテストによるル パタジンの有効性 無作為化、二重盲検、プラ セボ対照、クロスオーバー 10、20、40 単回 5.3.5.1.10ar (2.7.6.37) 参 考 DC03/RUP/I/ (スペイン) PAF 経鼻投与に対する 抑制作用 無作為化、二重盲検、プラ セボ及び実薬対照、クロス オーバー 20 反復(5 日間) 5.3.5.1.11ar (2.7.6.38) 参 考
RD 477/209 、RD 477/209 、RD 477/20680、RD 477/21289、UR/FC I-01 及び UR/FC /IB-02 試験:ルパタジンフマル酸塩としての投与量
表 2.7.2.1-4 ルパタジンの薬力学試験一覧(2/2) 試験番号 (実施国) 主要な目的 デザイン 投与量(mg) 投与方法 (投与経路:経 口) 資料番号 (参照先) 資 料 区 分 IC012RUP/1/ (スペイン) QT/QTc 間隔への影響 無作為化、単盲検、プラセ ボ及び陽性対照、並行群間 10、100 反復(5 日間) 5.3.5.4.1 (2.7.6.53) 評 価 DC05/RUP/I/ (イギリス) 認知機能への影響(海外 在住日本人) 無作為化、二重盲検、プラ セボ対照、並行群間 10、20、40 反復(5 日間) 5.3.3.1.1 (2.7.6.12) 参 考 アレルギー及び炎症の過程は複雑で多因子性であり、複数の異なるメディエータの生成及び放 出が関与している。ヒスタミンは抗原刺激によりマスト細胞及び好塩基球から遊離され、平滑筋 収縮を引き起こし、血管透過性及び血液粘性を増加させる。一方、PAF は気管支収縮及びヒスタ ミンによる血管透過性を亢進させる。さらに、PAF とヒスタミンは in vivo において相互の活性に 関連しており、マスト細胞においてあらかじめ生成され貯蔵されているヒスタミンが初期応答の メディエータとして放出される一方で、遅発性メディエータと考えられるPAF が新たに合成され る。
ルパタジンは、in vitro 及び in vivo の試験において、強力な PAF 拮抗剤であることが示されて いる。このため、ルパタジンの薬力学的作用である抗ヒスタミン作用及びPAF 拮抗作用を評価し た。 ヒスタミン又はPAF の皮内注入により誘発される発赤及び丘疹抑制作用を、プラセボと比較す ることにより、ルパタジンのヒトにおける抗ヒスタミン作用及びPAF 拮抗作用の検討を行った。 ルパタジンとその代謝物の血漿中濃度と発赤抑制率を、単回投与試験(2.7.6.13)、反復投与試 験(2.7.6.14)、用量漸増試験(2.7.6.24)において評価し、さらに2 つの試験(2.7.6.26及び2.7.6.27) における副次解析により補完した。
PAF 特異的阻害は、PAF 誘発性の ex vivo 血小板凝集化試験(2.7.6.25)において評価した。 ルパタジンの運転能力に及ぼす影響及び中枢系機能に及ぼす影響を 2 つの試験(2.7.6.56 及び 2.7.6.57)において評価した。 アレルギー性鼻炎患者を対象としたルパタジンの鼻閉及び鼻汁に対する効果、アレルゲン鼻腔 内チャレンジテストによるルパタジンの有効性を2 つの試験(2.7.6.37及び2.7.6.36)において評 価した。 また、PAF 誘発モデルのバリデーションに加え、ルパタジン投与後の PAF 経鼻投与の効果に対 する阻害効果を、アレルギー性鼻炎患者及び健康被験者を対象とした試験(2.7.6.38)において評 価した。 さらに、ICH E14 ガイドライン2)に従い、QT/QTc 間隔について検討した試験(2.7.6.53)におい て、ルパタジンに心室再分極に対する薬理作用を評価すると共に、臨床推奨用量を超える用量 (100 mg/day)での薬力学的プロファイルについても評価した。 また、海外在住日本人健康被験者を対象とし、認知機能への影響を評価した(2.7.6.12参照)。
2.7.2.2 個々の試験結果の要約
2.7.2.2.1 ヒト生体試料を用いたin vitro 試験 2.7.2.2.1.1 血漿タンパク結合試験 (1) ヒト、ラット及びイヌにおけるルパタジンの血漿タンパク結合に関する in vitro 試験(試 験番号CIN/185/ 、2.7.6.2、参考資料) ヒト、ラット及びイヌにおけるルパタジンの血漿タンパク結合に関するin vitro 試験を平衡透析 法により実施した。ヒトにおける血漿タンパク結合率は、ルパタジンフマル酸塩の 1~25 ng/mL の濃度範囲において98.3~99.1%、ルパタジンフマル酸塩濃度 100~2500 ng/mL のラット血漿にお いて 97.8~98.6%及びルパタジンフマル酸塩濃度 100~2500 ng/mL のイヌ血漿において 97.9~ 98.1%であった。 (2) ルパタジンのヒト血漿タンパク結合に関する in vitro 及び ex vivo 試験(試験番号 CIN/280/ 、2.7.6.3、参考資料) ヒトにおけるルパタジンの血漿タンパク結合に関するin vitro 及び ex vivo 試験を、平衡透析法 により実施した。 In vitro 試験におけるヒトの血漿タンパク結合率は、ルパタジンフマル酸塩濃度 1~500 ng/mL において98.4~98.8%であった。PBS 40 g/L に希釈したヒト血清アルブミンに対する血漿タンパク 結合率は、ルパタジンフマル酸塩濃度1~500 ng/mL において 97.6~98.3%であった。また、ex vivo サンプルから得られた血漿タンパク結合率98.0~99.1%で、in vitro 試験から得られた血漿タンパ ク結合率と同様であることから、代謝物がルパタジンのタンパク結合に置換効果を示さないこと が確認された。 2.7.2.2.1.2 ヒト生体試料を用いた肝代謝及び薬物相互作用 (1) ヒト CYP 分子種発現系ミクロソームにおけるルパタジンの代謝試験(試験番号 X- -6079、 2.7.6.4、参考資料) ヒト CYP 分子種発現系ミクロソームにおけるルパタジンの代謝及びルパタジンによる基質の 阻害を検討した。 異なる濃度のルパタジンを各ミクロソームとNADPH 存在下でインキュベートし、各アイソザ イム活性に関してVmax及びKmを算出した。また、ルパタジンを阻害剤として使用し、特定の基 質に関する各アイソザイム活性を測定した。 その結果、ルパタジンはCYP3A4、CYP2C19 及び CYP2D6 により代謝された。ルパタジンの代謝のVmax及びKmの推定値について、CYP3A4、CYP2C19 及び CYP2D6 に関し て算出した。Vmax(平均値 ± 標準偏差。以下同じ)は各 CYP に関してそれぞれ 52.6 ± 1.55、34.2 ± 2.27 及 び 47.1 ± 1.25 pmol/min/mg protein で あ り 、 Km は そ れ ぞ れ 2.64 ± 0.22 、 0.75 ± 0.14 及 び 3.21 ± 0.24 μM であった。
これら3 種類の CYP の IC50及びKiの値は、CYP3A4、CYP2C19 及び CYP2D6 に関して、IC50 がそれぞれ0.655 ± 0.092、2.727 ± 0.607 及び 4.678 ± 1.694 μM であり、Kiがそれぞれ0.267 ± 0.007、 1.374 ± 0.935 及び 3.413 ± 1.252 μM であった。
(2) ルパタジンの in vitro 代謝に関与する CYP の研究(試験番号 URI/RUP/ 002、参照番号
2.7.6.5、参考資料) ヒト肝ミクロソームを使用したin vitro 代謝試験を実施した。ルパタジンの代謝に関与する CYP 遺伝子ファミリーの特定を目的とし、15 例のヒト肝ミクロソームサンプルにおいて、様々な CYP 特異的モノオキシゲナーゼ活性の相対量に関する表現型の解析を実施した。 ヒト肝ミクロソームのサンプルを使用し、ルパタジンのin vitro 代謝を検討した。様々なレベル のアイソザイム活性及びルパタジン代謝速度の間の重回帰分析を行った。 ミダゾラムヒドロキシラーゼ活性とルパタジンの代謝活性において、最も良好な相関(r = 0.88、 p<0.00002)が得られ、また、CYP2C9 及び CYP2C19 活性との相関も認められた。しかし、各 CYP 分子種特異的阻害剤を用いた阻害実験の結果においては、CYP3A4 阻害剤の影響のみが確認 されたため、生体におけるルパタジン代謝は、主にCYP3A4 に関連することが示された。 (3) 数種類の CYP モデル基質に対するルパタジンの阻害活性の可能性に関する検討(試験番 号URI/RUP/ 001、2.7.6.6、参考資料) 本試験では、9 種類の CYP 基質の代謝に及ぼすルパタジンの影響を評価した。該当する CYP 関連活性(EROD、BROD、クマリン、トルブタミド、S-メフェニトイン、クロルゾキサゾン、ミ ダゾラム及びラウリン酸のヒドロキシル化及びデキストロメトルファン-O 脱メチル化)を、ルパ タジンの非存在下及び2 種類の異なる濃度のルパタジン存在下(0.5 及び 5 μM)において、ヒト 肝ミクロソーム中(3 名のプール)において測定した。なお、CYP2D6 活性においては、0.1 μM の濃度に関しても試験を実施した。 CYP 酵素活性に対して、以下のとおりルパタジンの影響が確認された。 a) 全ての濃度において、ルパタジンはBROD(CYP2B6)、ラウリン酸ヒドロキシル化 (CYP4A)、トルブタミドのヒドロキシル化(CYP2C9)及びクマリンのヒドロキシル化 (CYP2A6)の活性に影響を与えなかった。 b) EROD(CYP1A1/2)及びクロルゾキサゾンのヒドロキシル化(CYP2E1)及び S-メフェ ニトインのヒドロキシル化(CYP2C19)活性は、ルパタジンの最高濃度においてのみ、 中等度に阻害された(20~25%の阻害)。 c) ミダゾラムのヒドロキシル化(CYP3A4)は、試験が行われたすべてのルパタジン濃度 において、顕著に阻害され、最低濃度においては約50%、最高濃度においては 90~100% の阻害が観察された。 d) デキストロメトルファンのO 脱メチル化活性(CYP2D6)は、試験が行われた全てのル パタジン濃度において阻害され、最高濃度においては約100%、中間濃度においては 50%、 最低濃度(試験が行われた最低濃度は、日本人にルパタジン20 mg 投与後の Cmaxの約5 倍に相当)においては38%の阻害が観察された。
これらの結果は、X- -6079 及び URI/RUP/ 002 試験の結果と一致していた。それまでの試験 においては、CYP2D6 は CYP3A4 と比較してルパタジンの代謝への関与が低いとの知見が得られ ており、今回の試験においても同様に、ルパタジンはCYP2D6 酵素活性に対して、少なくとも日 本人にルパタジン20 mg 投与後の Cmaxよりも約5 倍高い濃度においてのみ影響が見られた。 (4) ヒト肝ミクロソームにおけるルパタジンの CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8 及び CYP2C19 阻害能を検討するin vitro 試験(試験番号 S47893、2.7.6.7、参考資料) 本試験では、NADPH 添加におけるプレインキュベーション(30 分)の有無別でのヒト肝ミク ロソームにおけるルパタジンの代謝を検討した。 代謝物濃度、タンパク濃度及びインキュベーション時間から酵素活性を算出すると共に、IC50 を算出した。また、CYP2C8 及び CYP2C19 については、Kiに加え、ルパタジン併用の有無別種々 濃度による検討においての固有クリアランスの比率(R)を算出し、生体内でのルパタジンの CYP2C8 及び CYP2C19 阻害能を評価した。 ルパタジンは、プレインキュベーションの有無にかかわらずCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8 及び CYP2C19 の酵素活性を濃度依存的に阻害した。NADPH によるプレインキュベーションの有無別 で違いはなく、時間依存的な阻害は除外された。 ルパタジンのIC50は、プレインキュベーションの有無別で、それぞれ、CYP1A2 に対して 30.4 μM 及び 36.7 μM、CYP2B6 に対して 9.0 μM 及び 12.3 μM、CYP2C8 に対して 10 μM 及び 5.1 μM、 CYP2C19 に対して 1.9 μM 及び 1.1 μM であった。 ルパタジンの肝ミクロソームタンパク結合率(平均値)は、63.71%であった。 ルパタジンによるCYP2C8 の阻害機構は、競合阻害と考えられ、総ルパタジン濃度から算出し た推定Ki は 2.53 μM、タンパク結合を考慮した非結合 Kiは0.92 μM であった。 ルパタジンによる CYP2C19 の阻害機構は、非競合阻害モデルが最も一致すると考えられ、総 ルパタジン濃度から算出した推定Kiは1.73 μM、タンパク結合を考慮した非結合 Kiは0.63 μM で あった。
EMA ガイドライン(Guideline on the Investigation of Drug Interactions)3)及びFDA ガイダンス
(Guidance for Industry. Drug Interaction Studies – Study Design, Data Analysis, Implications for Dosing and Labeling Recommendations, Draft Guidance. Clinical Pharmacology A)4)に従って、R[5 × 10-5及 び8 × 10-5(結合型及び非結合型の合計Ki)、15 × 10-5及び22 × 10-5(非結合型のKi)]を推定し たが、CYP2C8 及び CYP2C19 についても、ルパタジンによる阻害リスクはほとんどないと考えら れた。 (5) ヒト肝細胞におけるルパタジンの CYP 誘導作用を検討する in vitro 試験(試験番号 S47915、 2.7.6.8、参考資料) 本試験では、ヒト肝細胞におけるルパタジンの CYP1A2、CYP2B6 及び CYP3A4 誘導作用を in vitro で CYP 特異的酵素活性及び CYP 遺伝子発現(mRNA の測定)を測定することにより検討
した。肝細胞はルパタジン(0.01、1 及び 10 μM)存在下で約 72 時間インキュベートし、評価に 用いた。
CYP 特異的酵素活性は、肝細胞を CYP1A2、CYP2B6 及び CYP3A4 の特異的基質(それぞれ、 フェナセチン、ブプロピオン及びテストステロン)とインキュベートし、各CYP 特異的代謝物(そ れぞれ、アセトアミノフェン、ヒドロキシブプロピオン及び 6β-ヒドロキシテストステロン)の 産生を、 ®-MS/MS 法で測定した。
CYP 遺伝子発現(mRNA 量)は、肝細胞から RNA を抽出し、逆転写酵素で cDNA に転写後、 リアルタイム定量PCR により測定した。 その結果、ルパタジンの高濃度(10 μM、CYP3A4 については 1~10 μM)で CYP1A2、CYP2B6 及びCYP3A4 の誘導が認められたが、臨床使用上想定されるルパタジンの日本人にルパタジン 20 mg 投与後の Cmax(約0.02 μM)と比較すると、約 50 倍のマージンがあるため肝臓において CYP1A2、 CYP2B6 誘導リスクは低いと考えられた。一方、CYP3A4 については、ルパタジン 5 日間の反復 投与時に併用投与したミダゾラムの血中濃度に減少が認められなかった(2.7.6.23)ため、CYP3A4 の誘導リスクは低いと考えられた。
(6) 遺伝子組換えヒト UGT1A1 及び UGT2B7 スーパーソームにおけるルパタジンの UGT 阻 害作用を検討するin vitro 試験(試験番号 S47904、2.7.6.9、参考資料)
本試験では、ルパタジンの 7-HMC-グルクロノシルトランスフェラーゼに対するルパタジンの 影響を遺伝子組換えヒトcDNA 発現 UGT1A1 及び UGT2B7 で評価した。
代謝物濃度、タンパク濃度及びインキュベーション時間から酵素活性と共に、対照(溶媒)に 対する酵素活性の割合を算出した。また、ルパタジンの生体内でのルパタジンの UGT1A1 及び UGT2B7 酵素阻害作用を評価するため、ルパタジン存在の有無別での固有クリアランスの比率(R) を算出した。 ルパタジン濃度10 μM 及び 50 μM で、UGT1A1 活性は有意に阻害された(対照と比較して 20% を超える抑制)。また、ルパタジンは、50 μM で UGT2B7 による 7-HMC-グルクロノシストランス フェラーゼ活性を阻害した。 ルパタジンによるUGT1A1 及び UGT2B7 の阻害メカニズム及び Kiを評価した結果、ルパタジ ンによるUGT1A1 及び UGT2B7 活性の阻害は競合阻害と考えられ、Kiは、UGT1A1 で 11.8 μM 及 びUGT2B7 で 39.8 μM であった。 ミクロソームインキュベーション下でのタンパクと結合していないルパタジンの割合を検討す るため、ルパタジンと遺伝子組み換えヒトUGT1A1 及び UGT2B7 スーパーソームタンパクとの結 合を評価した。ルパタジンとミクロソームタンパク結合率(平均値)は、UGT1A1 で 45.8%、UGT2B7 で64.1%であった。この結果より、非結合 Kiは、UGT1A1 で 6.4 μM、UGT2B7 で 14.3 μM と推定 された。 In vivo におけるルパタジン相互作用の潜在リスクを薬物相互作用ガイドライン(EMA ガイドラ イン3)及びFDA ガイダンス4))に基づき、推定R 値を算出して検討した。 XXXXXXXXX