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2.7.1 生物薬剤学及び関連する分析法の概要

2.7.2.2 個々の試験結果の要約

2.7.2.2.1 ヒト生体試料を用いたin vitro試験 2.7.2.2.1.1 血漿タンパク結合試験

(1) ヒト、ラット及びイヌにおけるルパタジンの血漿タンパク結合に関するin vitro試験(試 験番号CIN/185/ 、2.7.6.2、参考資料)

ヒト、ラット及びイヌにおけるルパタジンの血漿タンパク結合に関するin vitro試験を平衡透析 法により実施した。ヒトにおける血漿タンパク結合率は、ルパタジンフマル酸塩の 1~25 ng/mL の濃度範囲において98.3~99.1%、ルパタジンフマル酸塩濃度100~2500 ng/mLのラット血漿にお いて 97.8~98.6%及びルパタジンフマル酸塩濃度 100~2500 ng/mL のイヌ血漿において 97.9~

98.1%であった。

(2) ルパタジンのヒト血漿タンパク結合に関するin vitro 及びex vivo試験(試験番号 CIN/280/ 、2.7.6.3、参考資料)

ヒトにおけるルパタジンの血漿タンパク結合に関するin vitro及びex vivo試験を、平衡透析法 により実施した。

In vitro 試験におけるヒトの血漿タンパク結合率は、ルパタジンフマル酸塩濃度 1~500 ng/mL

において98.4~98.8%であった。PBS 40 g/Lに希釈したヒト血清アルブミンに対する血漿タンパク

結合率は、ルパタジンフマル酸塩濃度1~500 ng/mLにおいて97.6~98.3%であった。また、ex vivo サンプルから得られた血漿タンパク結合率98.0~99.1%で、in vitro試験から得られた血漿タンパ ク結合率と同様であることから、代謝物がルパタジンのタンパク結合に置換効果を示さないこと が確認された。

2.7.2.2.1.2 ヒト生体試料を用いた肝代謝及び薬物相互作用

(1) ヒトCYP分子種発現系ミクロソームにおけるルパタジンの代謝試験(試験番号X- -6079、 2.7.6.4、参考資料)

ヒト CYP 分子種発現系ミクロソームにおけるルパタジンの代謝及びルパタジンによる基質の 阻害を検討した。

異なる濃度のルパタジンを各ミクロソームとNADPH存在下でインキュベートし、各アイソザ イム活性に関してVmax及びKmを算出した。また、ルパタジンを阻害剤として使用し、特定の基 質に関する各アイソザイム活性を測定した。

その結果、ルパタジンはCYP3A4、CYP2C19及びCYP2D6により代謝された。

ルパタジンの代謝のVmax及びKmの推定値について、CYP3A4、CYP2C19及びCYP2D6に関し て算出した。Vmax(平均値 ± 標準偏差。以下同じ)は各CYPに関してそれぞれ52.6 ± 1.55、34.2 ± 2.27 及 び 47.1 ± 1.25 pmol/min/mg protein で あ り 、Km は そ れ ぞ れ 2.64 ± 0.22、0.75 ± 0.14 及 び 3.21 ± 0.24 μMであった。

これら3種類のCYPのIC50及びKiの値は、CYP3A4、CYP2C19及びCYP2D6に関して、IC50

がそれぞれ0.655 ± 0.092、2.727 ± 0.607及び4.678 ± 1.694 μMであり、Kiがそれぞれ0.267 ± 0.007、

1.374 ± 0.935及び3.413 ± 1.252 μMであった。

(2) ルパタジンのin vitro代謝に関与するCYPの研究(試験番号URI/RUP/ 002、参照番号 2.7.6.5、参考資料)

ヒト肝ミクロソームを使用したin vitro代謝試験を実施した。ルパタジンの代謝に関与するCYP 遺伝子ファミリーの特定を目的とし、15例のヒト肝ミクロソームサンプルにおいて、様々なCYP 特異的モノオキシゲナーゼ活性の相対量に関する表現型の解析を実施した。

ヒト肝ミクロソームのサンプルを使用し、ルパタジンのin vitro代謝を検討した。様々なレベル のアイソザイム活性及びルパタジン代謝速度の間の重回帰分析を行った。

ミダゾラムヒドロキシラーゼ活性とルパタジンの代謝活性において、最も良好な相関(r = 0.88、

p<0.00002)が得られ、また、CYP2C9 及び CYP2C19 活性との相関も認められた。しかし、各

CYP分子種特異的阻害剤を用いた阻害実験の結果においては、CYP3A4阻害剤の影響のみが確認 されたため、生体におけるルパタジン代謝は、主にCYP3A4に関連することが示された。

(3) 数種類のCYPモデル基質に対するルパタジンの阻害活性の可能性に関する検討(試験番 号URI/RUP/ 001、2.7.6.6、参考資料)

本試験では、9 種類の CYP 基質の代謝に及ぼすルパタジンの影響を評価した。該当する CYP 関連活性(EROD、BROD、クマリン、トルブタミド、S-メフェニトイン、クロルゾキサゾン、ミ ダゾラム及びラウリン酸のヒドロキシル化及びデキストロメトルファン-O脱メチル化)を、ルパ タジンの非存在下及び2種類の異なる濃度のルパタジン存在下(0.5及び5 μM)において、ヒト 肝ミクロソーム中(3 名のプール)において測定した。なお、CYP2D6 活性においては、0.1 μM の濃度に関しても試験を実施した。

CYP酵素活性に対して、以下のとおりルパタジンの影響が確認された。

a) 全ての濃度において、ルパタジンはBROD(CYP2B6)、ラウリン酸ヒドロキシル化

(CYP4A)、トルブタミドのヒドロキシル化(CYP2C9)及びクマリンのヒドロキシル化

(CYP2A6)の活性に影響を与えなかった。

b) EROD(CYP1A1/2)及びクロルゾキサゾンのヒドロキシル化(CYP2E1)及びS-メフェ

ニトインのヒドロキシル化(CYP2C19)活性は、ルパタジンの最高濃度においてのみ、

中等度に阻害された(20~25%の阻害)。

c) ミダゾラムのヒドロキシル化(CYP3A4)は、試験が行われたすべてのルパタジン濃度 において、顕著に阻害され、最低濃度においては約50%、最高濃度においては90~100%

の阻害が観察された。

d) デキストロメトルファンのO脱メチル化活性(CYP2D6)は、試験が行われた全てのル パタジン濃度において阻害され、最高濃度においては約100%、中間濃度においては50%、

最低濃度(試験が行われた最低濃度は、日本人にルパタジン20 mg投与後のCmaxの約5 倍に相当)においては38%の阻害が観察された。

これらの結果は、X- -6079及びURI/RUP/ 002試験の結果と一致していた。それまでの試験 においては、CYP2D6はCYP3A4と比較してルパタジンの代謝への関与が低いとの知見が得られ ており、今回の試験においても同様に、ルパタジンはCYP2D6酵素活性に対して、少なくとも日 本人にルパタジン20 mg投与後のCmaxよりも約5倍高い濃度においてのみ影響が見られた。

(4) ヒト肝ミクロソームにおけるルパタジンのCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8及びCYP2C19 阻害能を検討するin vitro試験(試験番号S47893、2.7.6.7、参考資料)

本試験では、NADPH添加におけるプレインキュベーション(30分)の有無別でのヒト肝ミク ロソームにおけるルパタジンの代謝を検討した。

代謝物濃度、タンパク濃度及びインキュベーション時間から酵素活性を算出すると共に、IC50

を算出した。また、CYP2C8及びCYP2C19については、Kiに加え、ルパタジン併用の有無別種々 濃度による検討においての固有クリアランスの比率(R)を算出し、生体内でのルパタジンの

CYP2C8及びCYP2C19阻害能を評価した。

ルパタジンは、プレインキュベーションの有無にかかわらずCYP1A2、CYP2B6、CYP2C8及び

CYP2C19の酵素活性を濃度依存的に阻害した。NADPHによるプレインキュベーションの有無別

で違いはなく、時間依存的な阻害は除外された。

ルパタジンのIC50は、プレインキュベーションの有無別で、それぞれ、CYP1A2に対して30.4 μM 及び 36.7 μM、CYP2B6 に対して 9.0 μM 及び 12.3 μM、CYP2C8 に対して10 μM 及び 5.1 μM、

CYP2C19に対して1.9 μM及び1.1 μMであった。

ルパタジンの肝ミクロソームタンパク結合率(平均値)は、63.71%であった。

ルパタジンによるCYP2C8の阻害機構は、競合阻害と考えられ、総ルパタジン濃度から算出し た推定Kiは2.53 μM、タンパク結合を考慮した非結合Kiは0.92 μMであった。

ルパタジンによる CYP2C19 の阻害機構は、非競合阻害モデルが最も一致すると考えられ、総 ルパタジン濃度から算出した推定Kiは1.73 μM、タンパク結合を考慮した非結合Kiは0.63 μMで あった。

EMAガイドライン(Guideline on the Investigation of Drug Interactions)3)及びFDAガイダンス

(Guidance for Industry. Drug Interaction Studies – Study Design, Data Analysis, Implications for Dosing and Labeling Recommendations, Draft Guidance. Clinical Pharmacology A)4)に従って、R[5 × 10-5及 び8 × 10-5(結合型及び非結合型の合計Ki)、15 × 10-5及び22 × 10-5(非結合型のKi)]を推定し

たが、CYP2C8及びCYP2C19についても、ルパタジンによる阻害リスクはほとんどないと考えら

れた。

(5) ヒト肝細胞におけるルパタジンのCYP誘導作用を検討するin vitro試験(試験番号S47915、

2.7.6.8、参考資料)

本試験では、ヒト肝細胞におけるルパタジンの CYP1A2、CYP2B6 及び CYP3A4 誘導作用を

in vitroでCYP特異的酵素活性及びCYP遺伝子発現(mRNAの測定)を測定することにより検討

した。肝細胞はルパタジン(0.01、1及び10 μM)存在下で約72時間インキュベートし、評価に 用いた。

CYP特異的酵素活性は、肝細胞をCYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4の特異的基質(それぞれ、

フェナセチン、ブプロピオン及びテストステロン)とインキュベートし、各CYP特異的代謝物(そ れぞれ、アセトアミノフェン、ヒドロキシブプロピオン及び 6β-ヒドロキシテストステロン)の

産生を、 ®-MS/MS法で測定した。

CYP遺伝子発現(mRNA量)は、肝細胞からRNAを抽出し、逆転写酵素で cDNAに転写後、

リアルタイム定量PCRにより測定した。

その結果、ルパタジンの高濃度(10 μM、CYP3A4については1~10 μM)でCYP1A2、CYP2B6

及びCYP3A4の誘導が認められたが、臨床使用上想定されるルパタジンの日本人にルパタジン20

mg投与後のCmax(約0.02 μM)と比較すると、約50倍のマージンがあるため肝臓においてCYP1A2、

CYP2B6誘導リスクは低いと考えられた。一方、CYP3A4については、ルパタジン5日間の反復

投与時に併用投与したミダゾラムの血中濃度に減少が認められなかった(2.7.6.23)ため、CYP3A4 の誘導リスクは低いと考えられた。

(6) 遺伝子組換えヒトUGT1A1及びUGT2B7スーパーソームにおけるルパタジンのUGT阻 害作用を検討するin vitro試験(試験番号S47904、2.7.6.9、参考資料)

本試験では、ルパタジンの 7-HMC-グルクロノシルトランスフェラーゼに対するルパタジンの 影響を遺伝子組換えヒトcDNA発現UGT1A1及びUGT2B7で評価した。

代謝物濃度、タンパク濃度及びインキュベーション時間から酵素活性と共に、対照(溶媒)に 対する酵素活性の割合を算出した。また、ルパタジンの生体内でのルパタジンの UGT1A1 及び

UGT2B7酵素阻害作用を評価するため、ルパタジン存在の有無別での固有クリアランスの比率(R)

を算出した。

ルパタジン濃度10 μM及び50 μMで、UGT1A1活性は有意に阻害された(対照と比較して20%

を超える抑制)。また、ルパタジンは、50 μMでUGT2B7による7-HMC-グルクロノシストランス フェラーゼ活性を阻害した。

ルパタジンによるUGT1A1及びUGT2B7の阻害メカニズム及びKiを評価した結果、ルパタジ ンによるUGT1A1及びUGT2B7活性の阻害は競合阻害と考えられ、Kiは、UGT1A1で11.8 μM及 びUGT2B7で39.8 μMであった。

ミクロソームインキュベーション下でのタンパクと結合していないルパタジンの割合を検討す るため、ルパタジンと遺伝子組み換えヒトUGT1A1及びUGT2B7スーパーソームタンパクとの結 合を評価した。ルパタジンとミクロソームタンパク結合率(平均値)は、UGT1A1で45.8%、UGT2B7 で64.1%であった。この結果より、非結合Kiは、UGT1A1で6.4 μM、UGT2B7で14.3 μMと推定 された。

In vivoにおけるルパタジン相互作用の潜在リスクを薬物相互作用ガイドライン(EMAガイドラ

イン3及びFDAガイダンス4))に基づき、推定R値を算出して検討した。

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