ポ ス タ ー<実 践 報 告>周 産 期 ケ ア
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精神疾患合併妊産褥婦 の看護支援
東京医科歯科大学医学部附属病院B棟8階 病棟 ○ 太 田 厚 子山
岸 由紀子
藤
木 佳代子
1諸 言 女性 は妊娠 ・出産 ・育 児 を とお して母 親役 割 とい う新 しい行 動 を獲得 し、母 と して成 長発 達 して い くもので あ る。 当院 で は、精神 科 での フォ ロー ア ップ を受 けな が ら妊 娠 ・出産 ・産褥 期 を過 ごす 女性 が い る。 精神 疾 患 を合併 した妊 産 褥婦 が 、精 神 的安 定 を保 ちな が ら母 親 役割 とい う新 しい行 動 を よ りス ムー ズ に獲得 し、 母 として成 長 して い く過 程 を助 け るに は、 家族 や 医療者 に よ って提 供 され る保護 的環 境 が 重要 と考 え る。 今 回、 精神 疾患 合併 妊 産褥 婦3名 の看護 実践 を振 り返 り、保 護 的環 境 下 つ ま り適 切 なサ ポ ー ト体 制確 立の た め、看 護 ス タ ッフの役割 につ いて 得 られ た知 見 を報 告 す る。 II 実 践 内容及 び結 果 対 象 は 、妊娠 中か ら当院精 神 科及 び産 婦 人科 に通 院 してお り、研 究 同意 の得 られ た3名 で あ る。 信頼 関係 の確 立 の為 、 受 け持 ち看護 師 を決 め看 護 を提供 す る。 対 象 の背 景 と看護 実践 状況 は(表1)参 照 III 考 察 保護 的環 境 の調 整 ・保 持 のた め、早期 か らの看護 介 入 を持 って① 家 族 の サ ポー ト体制 の確 認 と確 立 の支援 ② 医 師 ・看護 ス タ ッフ との治療 的信 頼 関係 の確 立③ 産 後 の 身体 的負 担 の軽減 ④入 院 中 の心 的負 担 の軽 減⑤ 退 院後 の継 続 的 な育 児支援 の確 立 とい う条件 を作 り出す こ とが 重 要で あ る。 そ のた め に も、看護 ス タ ッフが マネ ー ジ メン ト ・コー デ ィネ ー ター役 と して の 役割 を担 い、 早期 か ら看護 介 入 してい く事 が最 も重要 で あ る と言 え る。 IV 今後 の課 題 精神 疾 患 合併 妊 婦 に早期 か ら看護 介 入 して い くた め、 まず看護 ス タ ッ フー 人ひ と りが看護 の必 要 性 を認 識 し、症 例 に対 して 関心 を持 つ こ とが重 要 で ある。 その た めは 、勉 強会 や ケー ス カ ン フ ァ レンス な どでス タ ッフ全員 の意識 を 高 め、 精神 疾 患 妊 婦 が産 婦 人科 外来 を受診 時 、 丁寧 に情 報収 集 を行 い、 問題 を早期 に キ ャ ッチ ・対応 で きる 環 境 を整 えて い く必要 が あ る。 また 、外 来 ・病棟 ・地域 にお い て継 続 した看 護 支援 を提 供 し連携 した 保護 的 環 境 を作 って い きた い。 174 日本 助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)表1
対 象 の 背 景 と 看 護 実 践 状 況
ポ ス タ ー<研 究>周 産 期 ケ ア
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妊 産 婦 に お け る健 康 学 習 プ ロ グ ラ ム の
臨 床 的 適 用 とそ の 効 果
―行動指標による検討か ら―
京都府立医科大学医学部看護学科 ○眞 鍋 えみ 子 松 田 か お り I 緒 言 女 性 に とっ て妊 娠 ・出産期 は,生 理 的な 過 程 で あ る一 方,母 親 と して の ア イ デ ンテ ィテ ィ の再形 成 を余 儀 な く され る.こ の変 化 に 適 応 す る に は,自 己 管 理 能 力 の 向 上 と適 切 な セ ル フケ ア行 動 の 遂 行 が 必 要 で あ る.我 々 は,「妊 婦 セ ル フ ケ ア行 動 モ デ ル 」 を提 唱 し,妊 娠 の 受 容,肯 定 的 な胎 児 感 情,胎 児 の健康 を母 親 自身 に原 因帰 属 す る信 念 傾 向 が セ ル フ ケ ア行 動 の 動機 づ け に影 響 を与 え,そ れ らと健康 に関 す る 自己 管 理 能 力 が セ ル フケ ア行 動 の意 図 を形 成 し,遂 行 され る こ とを 明 らか に した(2002,眞 鍋 他).そ こで 本研 究 で は,妊 婦 セ ル フ ケア 行 動モ デ ル を参 考 に,妊 娠 初 期 の 初妊 婦 を対 象 にセ ル フモ ニ タ リ ン グ法 を 中心 とす る健康 学 習 指 導 を行 いそ の 効 果 を検 討す る. II 方 法 対 象 K市 内 の 産 婦 人科 医院 を受 診 中の妊 婦 の 中 か ら妊 娠13∼15週 の 初妊 婦(平 成13年 7∼11月 分娩 予 定 日)を 対 象 と し,研 究 へ 参加 の要 請 お よ びセ ル フケ ア行 動 動 機 づ け の程度 を把握 す る ため にセ ル フケ ア行 動 動 機 づ け評 定 尺 度(眞 鍋 他,2001)に よ る予 備 調 査 を実施 した.そ の際 の倫 理 的 配 慮 は,文 書 に よ り研 究 目的 を説 明 し質 問紙 の返 送 に よ りそ の意 思 の 確 認 と した.次 に,予 備調 査 に参 加 した88名 に研 究 の 目的 ・具体 的 な方 法 を文 書 及 び 口頭 に て 説 明 し,研 究 へ の参 加 に同意 を得 た83名 を対 象 と した. 群 構 成 (1)セル フ モ ニ タ リン グ によ る記 録 に加 え,助 産 師 に よ るセ ル フケ ア行 動 の維 持 や レベル を高 め る た め の面 接 によ る指 導 を行 っ た20名(平 均 年 齢28.3±3.0歳);以 下 面接 指 導群 とす る.② セ ル フモ ニ タ リン グのみ の29名(27.8±4.7歳);以 下 記録 群 とす る.な お, この2群 へ の 割 り付 け は,調 査 用 紙 の返 送 順 に系統 的 に割 り付 けた.ま た③ 統 制群 は 分娩 予 定 日が7∼9月 の妊 婦34名(28.82±3.8歳)を 選定 した. 介 入 プ ロ グ ラ ム の 内 容 プ ログ ラム は,妊 娠15週 か ら34週 まで の20週 間 実 施 した.面 接 指 導群 に は,1)セ ル フモ ニ タ リング:妊 娠15週,22週,32週 前後 に1週 間,胎 動,腹 部 の 緊 満 や 出血 の有 無,体 重,食 事,運 動,生 活,気 持 ち,母 親 イ メー ジ,胎 児 との コ ミュ ニ ケー シ ョン の9項 目 につ い て3∼4段 階で 自己 評価 す る.2)同 一 の 助産 師 に よ る面 接:妊 娠17週 , 24週,34週 前後 に15∼20分 行 った.そ の 内容 は セル フモ ニ タ リ ング の結 果 を も と に,セ ル フケ ア行 動 の必 要 性 を指 導,妊 婦 に望 ま し くな い行 動 に気 づ か せ,改 善 方 法 に つ い て考 え さ せ る,セ ル フケ ア行 動 の 効果 を 自覚 させ るな ど妊 婦 自身 が 自己 強化 で き る よ うに促 した.記 録群 に は,面 接 指 導 群 と 同時 期 にセ ル フモ ニ タ リン グの み行 っ た. 176 日本 助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)調 査 内 容 プ ログ ラム の効果 を検 討す るため に,セ ル フ ケ ア行 動 の 遂行 状 況 を妊 婦 セ ル フケ ア行 動意 図尺 度(異 常 予 防,食 生活,母 親 役 割 準 備,日 常 生活 動 作 の4下 位 尺 度,32項 目か らな る; 眞鍋,2001)を 用 いて,妊 娠 中期(26週;ベ ー ス ライ ン),末 期(36週)に 測 定 した. なお,調 査 用 紙 に記 入 ミス の な か っ た者 を分 析 の 対 象 と した. III 結 果 (1)ド ロ ッ プ ア ウ トした 人 数 につ い て プ ログ ラム によ る介 入期 間 に ドロ ッ プア ウ トした 妊 婦 は,面 接 指導 群1名,記 録 群7名 で あ った.両 群 と も1名 は,中 期 妊 娠 中絶 に よ り参 加 が不 可 能 とな った.介 入 時 期 別 にみ る と 記 録群 で は,1回 目終 了後3名,2回 目終 了後4名 と約20%が2回 目まで の間 に ドロ ップア ウ トした. (2)プ ロ グ ラ ム の効 果 介入 の効果 を検 討 す る ため に,セ ル フケ ア行 動 の遂 行 状況 につ い て,3群(面 接:N=17;記 録:N=20;統 制:N=18)と 時期(妊 娠 中期;末 期)の 分 散分 析 を行 った.そ の結 果,「 異 常予 防」で は,群 の主効 果 が認 め られ(F(2,52)=4.95,p<.01),多 重 比較 を行 った と ころ面 接 指 導群 が 他 の2群 に比 べ有 意(p<.05)に 高 得 点 で あ った(MSe=9.53,5%水 準).「 食 生 活 」 につ いて は,時 期 の主効 果 が 認 め られ(F(1,52)=10.28,P<.01),妊 娠 末 期 にか けて 行 動遂 行 が有 意 に増加 した(p<.01).「 母 親 役割 準 備 」 と 「日常 生活 動 作 」 で は ベ ース ライ ンで条 件 間 の有 意 傾 向 がみ られ た め,変 化 率 を算 出 して2要 因 の分散 分 析 を行 った と ころ,有 意 差 は認 め られ な か っ た. IV 考 察 ・今 後 の課 題 本 研 究 で はセ ル フケ ア学習 指 導 プ ログ ラム の効 果 をセ ル フケ ア行 動 の 遂行 状 況 か ら検 討 し た結 果,一 部 の セ ル フケ ア行 動 にお い て 面接 指 導群 で は他群 に比 べ セル フケ ア行 動 をよ く遂 行 して いた.こ れ は,① セル フモ ニ タ リ ング によ る 自己 評価 に加 え,面 接 に よ る情 報 の分 析 か ら改 善 を要す る行 動 や 問題 行 動 を と りあ げた,② 妊 婦 自身 の個 人 的 な背 景 や 環 境 の特 徴,生 理 ・身体 的面 を考 慮 した 上で 援 助 を行 っ た,③ 妊 婦 が もって い るス キル を考 慮 して,具 体 的 な行 動 計 画 や 目標 の 立 案 を援 助 し た,④ 実行 され た行 動や そ の 結果 に対 して承 認 や 賞 賛 の フ ィー ドバ ッ ク を行 い,行 動 実践 の維 持 を 図 った,⑤ 毎回 同 じ助産 師 が 面 接 し,継 続 的 な 指 導 を行 った,⑥ 妊 婦 が 体 験 を 定期 的 に話 す こ とで,自 己 の気 持 ちや 行 動 を確 認 で きた こ とや 継 続 的な 面 接 によ り体 験 が 共 有 で き た,な どに よる面 接 指 導 の効 果 と考 え られ る. セル フモ ニ タ リン グは,時 間 と経 済 的 な 面か ら考 え る と効 率的 な 効果 が期 待 され る方 法 で あ る(眞 鍋,2003).し か し,セ ル フモ ニ タ リング のみで は,20%の 者 が ドロップ アウ トして お り,1週 間 の継 続 した セル フモ ニ タ リ ングが で き な い妊 婦 は プ ログ ラム に よ る指 導 の対 象 外 とな る こ とが 明 らか にされ た.セ ル フモ ニ タ リ ング を持 続 させ るた め に は,電 話 や 電 子 メー ル によ る妊 婦 へ の フ ォ ロー な どが 必 要 と考 え られ た.そ して,本 プ ログ ラム で は,同 じ指 導 者 によ る継 続 した 面 接や 転 院 後 の フォ ロー が 難 しい こ とな ど限 界 もあ る.さ らに,プ ログ ラ ム の 内容 ・時 期 や 回 数 の検 討,複 数 の 指 導者 に よ るプ ロ グ ラム の展 開 は 今 後 の 課 題 で あ る. 日本 助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3) 177
ポ ス ター 〈研 究 〉 周 産 期 ケ ア
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異 文化 圏 か らの 人 々 の 出産 にお け る
文 化 を考 慮 した ケ アへ の文 献 的 考 察
神奈川県立保健福祉大学 ○藤 原 ゆ か り 〃 片 桐 麻 州 美 I.緒 言 近 年 、 日本 に お い て も グ ロ ー バ リゼ ー シ ョ ン が 進 み 、 異 文 化 圏 か ら の 人 々 との 共 生 は 特 別 の こ と で は な く な っ て き て い る。 異 文 化 圏 か ら の 人 々 の 日本 に お け る 出 生 数 は 年 々 増 加 し、 2001年 に お け る 片 親 が 外 国 籍 の ケ ー ス は 年 間22,176と 全 体 の 約1.9%、 母 親 が 外 国 籍 の ケ ー ス で 年 間13,177と 全 体 の 約1.1%を 占 め て お り、近 い 将 来 、50人 に1人 は 異 文 化 か らの 人 々 の 出 産 が 予 想 さ れ る 。 特 に 出 産 は ど の 文 化 で も普 遍 的 に 存 在 して い る が 、 認 識 や ケ ア 方 法 が 多 様 で あ る 。 そ の 多 く は 文 化 の 中 で ケ ア が 確 立 し て お り 、 そ の ケ ア に し た が っ て 出 産 す る こ と は 、 そ の 人 や 子 供 、 家 族 に と っ て 大 き な 意 味 が あ り、 精 神 的 安 寧 に つ な が る。 こ の よ うな 考 え は 、Transcultural Nursingと い う研 究 分 野 の 本 質 で あ り、 普 及 し つ つ あ る。 し か し 日 本 の 多 く の 臨 床 場 面 で は 、異 文 化 を 理 解 し よ う とす る 意 識 が 不 足 し、 い わ ゆ る 「日本 の お 産 」 を 強 要 して い る 場 合が あ る。 異 文 化 を 理 解 す る た め に は 自 己 の 文 化 を 振 り 返 る 必 要 が あ る と い う視 点 か ら 、 今 回 、 日本 の 文 化 の 特 徴 と文 化 の 影 響 が 強 い 「出 産 」 と い う事 象 に つ い て 文 献 的 に 考 察 した 。 II.方 法文 化 人 類 学 ・社 会 学 ・看 護 学 の 視 点 を網 羅 し 、transcultural nursing, cultural care,
Japanese childbirth, Japanese delivery, Japanese labor, cultural diversity, cultural
sensitivity, Japanese culture, Japanese society, emigrationを キ ー ワ ー ズ と した 。 デ
ー タ ベ ー スSOCIOLOGICAL ABSTRACTS 、MEDLINE、CINAHLと シ ドニ ー 大 学(Australia)の 図 書
館 よ り 検 索 し 、1992∼2002年 の 入 手 可 能 な48英 文 文 献 を レ ビ ュ ー した 。 III.結 果 日本 の 特 徴 と し て 多 い も の か ら 順 に 以 下 の 点 が 指 摘 され て い た 。 ① 歴 史 の 中 で 他 国 か らの 移 住 が 少 な か っ た た め 、異 文 化 か ら の 人 々 と の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に慣 れ て い な い(Clammer, 1995;Yoshino,1996;他40文 献)。 こ れ は 国 内 に 異 文 化 集 団 が 少 な く異 文 化 圏 の 人 々 と の 接 触 が 少 な い た め 、 ど の よ う に 接 した ら よ い か 不 慣 れ で トラ ブ ル を生 じや す く 、 不 快 な 感 情 を持 つ こ とが 多 い 。 例 え ば 、 あ る 外 国 人 が 罪 を 犯 す と他 の 移 住 者 に ま で 「犯 罪 者 」 扱 い し た り、 他 の 文 化 に 対 して ス テ レ オ タ イ プ な 見 方 を す る傾 向 に あ る 。 特 に ア ジ ア 圏 の 人 々 に 対 して の 場 合 が 多 い 。 ② 日本 人 は 自 民 族 中 心 主 義 が 強 い 傾 向 に あ る 。 他 国 に 比 べ 貧 富 の 差 も少 な く経 178 日本 助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)
済 力 が あ るた め 、他 文化 よ り優 れ て い る と感 じ、 そ の 経 済水 準 で物 事 を判 断 して しま う傾 向 に あ る(Maher & Macdonald, 1995; Kreinr & Olschleger, 1996; 他31文 献)。 ま た 、 「日本 人 の 血 」 を 大 切 に し、 そ れ が 文 化 や 言 葉 を 伝 え る 力 が あ る と信 じ ら れ て い る(Asquith & Kalland, 1997; 他3文 献)。 これ らが 差 別的 な感 情 を導 く と述 べ られ て い る。 ③ 日本 人 に とっ て学歴 が 重 要 な判 断 基 準 で あ る と説 明 され てお り、高学 歴 は洗 練 され た 人物 の証 と信 じられ 、 教育 水 準 が 低 い と され て い る 国 に 対 して 偏 見 を持 っ て い る こ とが 多 い と指 摘 され て い る (McVeign, 1998, Sugimoto, 1997; 他28文 献)。 ま た 、 日本 の 出 産 の特 徴 と して は 、④ 産痛 は 自然 な もの と考 え ら れ て お り、 出 産 は 静 か に行 うこ とが よ い と され て い る こ とや(Priya, 1992; 他9文 献)、 ⑤ 輪 廻 転 生 とい う考え 方 や 子 供が 「授か る」 とい う表 現 方 法 につ い て も指 摘 され てい る(Rice & Mangerson 1996; 他5文 献)。
IV.考 察 文 献 検 討 の結 果 よ り、まず 他 文 化 へ の理 解 が 乏 しく受 け入れ が 困難 で あ る とい う指 摘 か ら、 日本 の文 化 を再 確 認 し、 さ らに他 文化 の 価 値観 ・信 念 ・認 識 な どの 多様 性 や 普 遍 性 を学ぶ 機 会 を もつ こ とが必 要 で あ る と考 え る。 自分 の 文化 を振 り返 る こ とは異 文化 との違 い に気 付 く こ とがで き 、 ま た それ を受 け入 れ るき っか けに もな りえ る。 特 に出 産 にお け る文 化 は 多様 に 存在す るた め 、 日本 の 出産 に 関 す る文化 を再確 認 す る こ とが 必 要 で あ る。 そ して 日本 で 当然 と思 って い る事 象 の 中で 、 世 界 に お いて は慣 習 に過 ぎな い こ とを明 らか にす る こ と も重 要 で あ る。 そ の 上で 、TransculturalNursingと い う研 究分 野 を知 り、学 ぶ こ とが 必要 で あ る と い え る。こ の考 え方 を学 ぶ こ とを通 して 、文 化 を考 慮 した ケ ア の必 要性 、つ ま り異 文化 の人 々 も 日本 人 と同 じよ うに 自国 の 中で大 切 に してい る文化 や 文 化 ケ ア が あ る こ とを確 認 し、 さ ら に 出産 に お いて 、文 化 を考 慮 した ケ アが 特 に必 要 で あ る こ とい うこ とを考 える こ とへ もつ な が る とい え る。 V.結 論 異 文化 を尊 重 ・肯 定 し、 人 々 と共 生 す る こ とを意 識 して 関 わ り、 また 文化 の 中 で確 立 して い るケ ア の重 要 性 を理解 す る こ とが 、文 化 を考 慮 したケ ア を 考 え る こ とに つ なが る。 VI.文 献
•E Asquith, P.J. & Kalland, A. 1997. Japanese Image of Nature: Cultural Perspectives, Curzon press, Richmond. •E
Clammer, J. 1995. Difference and Modernity: Social theory and Contemporary Japanese Society, Columbia University Press, New York
•EKreiner, J & Olschleger, H.D. 1996. Japanese Culture and Society: Model of interpretation, M.chen, ludicium. •E
Okano, K & Tsuchiya, M. 1999. Education in Contemporary Japan: Inequality and Diversity, Cambridge University press, Cambridge. •E Maher, J.C. & Macdonald, G 1995. Diversit in Japanese Culture and Language, Columbia University Press, New York.
•E McVeigh, B.J. 1998. The Nature of the Japanese State: Rationality and Rituality, Routlege, New York.
•E
Rice, P.L. & Mangerson,. L. 1996. Maternity and Reproductive Health in Asian Sociey, Harwood academic publisher, The Netherland. •E Sugimoto, Y. 1997. An Introduction to Japanese Society, Cambridge University Press, Cambridge.
•E
Yoshino, K. 1996.Cultural Nationalism in Contemporary Japan: A Sociological Enquiry, Routledge, London.
ポ ス ター 〈研 究 〉 周 産期 ケ ア
55
分 娩 時の ケ アに対 す る産婦 の評 価
青森県立保健大学
○大
関
信
子
新
道
幸
恵
玉
熊
和
子
益
田
早
苗
大 井
けい子
高 橋 佳
子
田 中 克 枝
I 緒 言 患者 の ケア に対 す る満 足度 は 、病 院 での サー ビスの評 価 のー つ として重要 視 され 、1975 年 にRisserがPSS(Patient Satisfaction Scale)1)を 開発 して か ら、 日本 で もケ ア の評価 の 研 究が進 んで い る。 産婦 の ケアに対す る満 足度 に は、安楽 、情報 提 供 、精神 的 サポ ー ト、継 続 的ケ アな ど多 くの要 因 が寄与 して いる こ とが 明 らかに され て い る2)。しか し、分 娩時 に受 けたケア に対す る産 婦 の気持 ちに焦点 を あて た評価 は少 ない。 そ こで 、本 研究 では産 婦 が分 娩時 に受 けた ケア に対 し 「うれ しい」 と感 じるケ ア、 「辛 い」 「怒 り」 を感 じるケ ア は どの よ うな もの かを 明 らかにす るこ とを 目的 と した。この よ うな産婦 の内面 を明 らか にす るこ とは、 分娩 時のケ アの 質 の向上 に資す る もの であ り意 義が ある。 II 方法 1)調 査 対象:3∼4ヶ 月乳児 健診 の ため受 診 した母親589名 2)調 査方 法:乳 児健 診時 に無記 名の 自記 式質 問調 査票 とプ ライバ シーの保護 等 の倫理 的配慮 を記 した文 書 を 口頭 で説 明 し、同意 を得た 上 で直接配 付 し郵送 に て回収 した。3)調 査期 間:平 成13年11月 ∼平成 14年1月 末 日 4)調 査 内容:分 娩 時に受 け たケ アで 「一番 うれ しか った こ と」 「一 番辛 か っ た こ と」 「一番怒 った こ と」とい う問 いに対 し自由回答 を得 て、その記 述 内容 をスー パー バイ ザー や同 じ領 域 の研 究者 か ら助言 を受 け内容 分析 を行 った。 III 結 果 分析対象 は272名(回 収 率46.2%) 1)対 象の属性:平 均 年齢29.8(±4.5)歳 、初 産婦 155名(57%)、 経 産 婦117名(43%)、 正 常 出産186名(68.6%)、 異常 出産85名(31.4%)、 母 親学級 受講 者数 は175名(64.3%)で あ った。 ケア の提 供者 には 、助産師 、 医師 、看護 師 が含 まれ る。2)「 分 娩 時に受 けたケ アで一 番 うれ しか った こと」(分 析対象 者98名36%) <安 楽><安 心><コ ー ピング>の カテ ゴ リー が抽 出 され た。<安 楽>の2つ の 下位 カテ ゴ リーは、疼痛緩 和(「後 陣痛 に座 薬 をす ぐ入 れ て くれ た」)と生理 的欲 求 の充足(「 分 娩後 、す ぐ毛布 をか けて くれ た」)で あった。<安 心>の5つ の下位 カテ ゴ リー は情報 提供(「 質 問に きちん と答 えて くれ た」)、不 安・孤 独 の除 去(「 そ ばにつ いて くれ た」)、信頼 関 係(「 頻 回 に 声 をか けて くれ た 」 「助 産師 がや さ しか った」)、肯定 ・保証(「 よ く頑張 った」「辛 い時 、手 を 握 り励 ま して くれ た」)、受 容(「 意 見を取 り入 れ て くれ た」)であった。<コ ー ピン グ と 自己 180 日本助 産 学 会 誌 第17巻 第3号(2004.3)実現>の2つ の 下位 カテ ゴ リー は分 娩 経過 に伴 う対 処(「 呼吸法 の指導」 「怒 責の誘 導」 「腰 や脚 のマ ッサー ジ」)とバ ース プラ ン(「 自分 で臍 帯 を切 った」)であ った。3)「 分娩 時 に受 けたケアで 一番 辛か った こ と」(分析 対象者83名30.5%)<安 楽><不 安><自 尊感情> <コ ー ピング>の カ テ ゴ リーが抽 出 され た。<安 楽>の4つ の下位 カテ ゴ リーは疼痛(「縫 合 が痛 かった 」 「陣痛促 進剤 が 死ぬほ ど苦 しい 」)、未熟 な技術(「痛 い内診」 「何 時間 も分娩 台の 上 で苦 しい」)、生理 的欲 求の 充足(「 産衣 が 汗 を吸い 取 らな い」)、管理 上の問題(「病 室 にベ ッ ドがない ため分 娩 台で数 時間過 ごした」)であ った。<不 安>の3つ の下位 カテ ゴ リー は孤 独(「水分補 給 もな く分娩 室 に一 人残 され た」)、ケア 能力 の欠如(「助産 師 の手 際が悪 く出産 が順調 にい かな か った」 「剃 毛で傷っ いた」)、説明 不足(「いっ まで我慢す れ ばよいの か不 明」) であった。<自 尊感 情 の低 下>の2つ の下位 カテ ゴ リー は能 力の否定(「呼吸法 が うま くで き ず しか られ た」 「行 った怒 責 が否 定 され ど うして いいか わか らない」)と人 権 浸害(「不愉 快な 言葉」 「性病 扱 い され た」 「きつい言葉 で何 日も悩 ん だ」 「個 人差 を認 めない」)で あ った。< コー ピング>の 下位 カテ ゴ リーは 対応の 悪 さ(「脱 肛で痛 くて歩 けない」 「帝王切 開 になっ た とき」)であった。4)r分 娩 時に受 けた ケアで 一番 怒 った こ と」(分析 対象 者60名22.1%) <安 全><自 尊感情>の カ テ ゴ リー が抽 出 され た。<安 全>の4つ の下位 カテ ゴ リー は未熟 な技術(「研修 医に 点滴 され失敗 し針 穴 が10数 箇所 で 出血班 が3ヶ 所 」 「麻 酔が効 か な く、 痛 い といっ た ら 『我 慢 しろ』 と言 われ た」 「まだ生れ ない と言われた がす ぐ生れ た」)と情 報 不足(「会 陰切 開 した ことを教えて くれ ない」 「質問 して も答 えない」)、ク ア不足(「呼ん で も こない」 「分娩 台 で-人 ぼっ ち」)、信頼関係 の 欠如(「 担 当看 護 師 と言 われ たが、本 人か らの ケ アがない」)で あった。<自 尊 感情>の3つ の下位 カテ ゴ リーは未熟 な ケ ア(「出産 した子 を抱 けなか った(忘 れ られ た)」 「忙 しい が 口癖 で話 しか け られ ない」)と能 力の否定(「『能 力 が ない』 と言 われ た」 「初 め て沐 浴 した時 、『早 くしな さい』 ときつ く言 われ た」)、入権 侵害 (「嘔吐 した 時、助 産 師 が舌打 ち した」 「出産 時の私 語」 「いたわ りのな い言 葉 と態 度」 「助 産 師の不機 嫌 な態 度(夜 間の入 院)」で あった。 IV考 察 ・結 論 産 婦の 内面 に焦点 を あて るこ とに よ り、<安 楽><安 全 ・安心><自 尊感 情><コ ー ピン グ>が 満 た され るケア が提 供 されれ ば 「うれ しい 」 と感 じ、 これ らが満 た されない ケア であ れ ば 「辛 い」 「怒 り」を感 じる ことが 明 らか にな った。 これ らの結果 か ら、産 婦が 「うれ しい」 と感 じるケア 、す なわ ち母 子の安全の保 障 と同時 に、産婦 の 自尊感 情を傷っ け るこ とな く、 心身 ともにス トレスや 危機 に直面す る分 娩 期を産婦 が コー ピングでき るよ うなケア の提供 が 重 要で ある と考 える。本 研 究を も とに産 婦 に よるケア の質評価 に関す る研究 へ と展 開 させ い てい くこ とが今後 の課題 で ある。 VI 文 献