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一般論文 医療薬学 38(9) (2012) ICU におけるニカルジピン注射液による血管障害の危険因子の解析 *2, 3 1 成重友莉, 尾川理恵, 辰島瑶子, 福井史織, 江頭伸昭, 光安正平 , 3 坂井真樹, 桑城貴弘, 井無田麻衣子, 大石了三

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緒  言

ニカルジピン注射液は,本邦において手術時の 異常高血圧,高血圧性緊急症および急性心不全に 適応を有し,静脈投与が唯一可能なジヒドロピリ ジン系 Ca 拮抗薬であるため,経口投与が不可な 患者や緊急の高血圧に対して広く用いられてい る. 九州大学病院(以下,当院)の集中治療室 (intensive care unit: ICU)においても,厳密な血 圧管理の必要な脳卒中(脳出血,クモ膜下出血, 脳梗塞)患者などにニカルジピン注射液が使用さ れている.しかしながら,本薬剤を末梢静脈より 投与した場合にほかの薬剤と比較して高頻度に静 脈炎が発現することがある.静脈炎や漏出などの 血管障害は,紅斑,疼痛,硬結といった症状を呈 し,患者の quality of life の低下や治療継続の困難, 入院期間の延長につながる可能性があるため,そ の対応は重要である. 海外ではニカルジピン注射液の投与 14 時間以 降に血管障害が発現しやすいことが報告されてお り,1)添付文書では 12 時間毎のカテーテルの差し 福岡県福岡市東区馬出3-1-1 38(9) 541―546 (2012)

ICUにおけるニカルジピン注射液による血管障害の危険因子の解析

成重友莉1,尾川理恵2,辰島瑶子3,福井史織1,江頭伸昭*2, 3,光安正平1 坂井真樹2,桑城貴弘4,井無田麻衣子2,大石了三2, 3 九州大学薬学部1,九州大学病院薬剤部*2,九州大学大学院薬学府3,九州大学病院救命救急センター4

Risk Factors of Venous Irritation Induced by Infusion of Nicardipine in ICU Patients

Yuri Narishige1, Riye Ogawa2, Yoko Tatsushima3, Shiori Fukui1, Nobuaki Egashira*2, 3, Shohei Mitsuyasu1, Maki Sakai 2, Takahiro Kuwashiro4, Maiko Imuta2 and Ryozo Oishi 2, 3

Faculty of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University 1, Department of Pharmacy, Kyushu University Hospital 2, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyushu University 3, Department of Emergency and Critical Care Center, Kyushu University Hospital 4

Received March 22, 2012 Accepted June 10, 2012

 Nicardipine hydrochloride injection, a dihydropyridine calcium channel blocker, is an acidic drug. The package insert recommends that nicardipine injection should be administered at the concentrations of 0.01-0.02%. However, the drug often induces venous irritation despite infusion at the recommended concentrations in the intensive care unit (ICU) at Kyushu University Hospital. Therefore, we retrospectively investigated the incidence and risk factors of venous irritation in ICU patients. Univariate and multivariate analyses revealed that the administration time and infusion rate of the drug were significantly related to venous irritation (P<0.05). Patients who were infused with nicardipine injection (administration time: more than 24 h, infusion rate: more than 45 mL/h) developed the venous irritation frequently (7 of 9, 77.8% ). In the case of infusion of nicardipine injection for more than 96 h, the patients experience severe vascular damage and needed for treatment with medicine such as topical steroids. These results suggest that the administration time and infusion rate are involved in nicardipine injection-induced venous irritation, and it is necessary to pay attention to these factors as well as observing the instructions in the package insert.

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替えが推奨されている.一方,本邦では,ニカル ジピン注射液の添付文書の重要な基本的注意の欄 に「本剤を長時間投与し,注射部位に痛みや発赤 等がみられた場合には,注入部位を変更すること」 と記載されているが,静脈炎の発現頻度は不明で ある.さらに,ニカルジピン注射液の血管障害に 関する論文報告もなく,その対応や予防策が確立 していないのが現状である. 本研究では,投与状況が詳細に記録されている ICU病棟におけるニカルジピン注射液による血管 障害の発現頻度とその危険因子について後ろ向き 臨床調査研究を行った.

方  法

1.対象 2009年 1 月 1 日~2011 年 12 月 31 日の期間中, 当院救命救急センターICU 病棟において脳卒中に 対してニカルジピン注射液(ニカルピン 注射液ま たはペルジピン®注射液)の投与歴のある患者を抽 出した.当院では,先発品であるペルジピン 注射 液は 2009 年 8 月 10 日まで使用されており,その 後,後発品であるニカルピン 注射液に変更と なっていた. 患者の選択基準は,末梢よりニカルジピン注射 液が持続投与された成人患者とし,小児や中心静 脈使用患者は除外した.また,本薬剤を ICU 入 室以前から使用していた患者など,投与時間・投 与量の詳細な調査ができない患者は除外し,合計 41名の患者の診療録を後ろ向きに調査した. 調査は,対象患者の背景(年齢,性別,体重, 救急搬送時疾患および使用薬剤),ニカルジピン 注射液の使用状況(投与時間,総投与量,平均濃 度および投与速度)および血管障害の有無につい て行った.投与時間は,ニカルジピン注射液投与 開始から投与に使用したカテーテルが抜去される までの時間とした.また,投与速度は同じルート に投与されている 1 時間あたりのニカルジピン注 射液と輸液の量とした.血管障害の有無は,診療 録並びに看護記録を参照し,「発赤,紅斑,硬結, 熱感,腫脹,漏れ」のいずれかの記載があり,か つ,それらが原因でカテーテル差し替えや抜去に 至ったものを血管障害ありと判断した. なお本研究は,九州大学医学系地区部局臨床研 究倫理委員会の承認を得て実施した(許可番号: 23-45). 2.統計解析 1)単変量解析 患者背景の比較には,Mann-Whitney U-検定ま たは対応のない t-検定(年齢,体重,投与時間, 総投与量,平均濃度および投与速度),χ2検定(性 別,救急搬送時疾患,血管障害の有無および使用 薬剤)を用いた.危険率が 5%未満(P<0.05) の場合を有意差ありとした. 2)多変量解析 単変量解析において,P<0.2 の因子として検 出された因子を説明変数,血管障害の有無を従属 変数とし,多重ロジスティック回帰分析により血 管障害発症のオッズ比(OR)および 95%信頼区 間(95% CI)を算出した.

3)ROC解析(Receiver Operating Characteristic Analysis) 多変量解析の結果 , 血管障害発現と有意な関連 が認められた因子について ROC 解析を行い,至 適 cut-off 値を決定した.

結  果

1.ニカルジピンの先発品と後発品間の比較 当院において,調査期間中にペルジピン (n= 16)からニカルピン®(n=25)に採用薬が変更 となっていたため,両薬剤の患者背景と使用状況 を比較した.単変量解析の結果,両薬剤間におい て有意な差は認められなかった(表 1).そこで, ペルジピン とニカルピン をニカルジピンとし て,以下の解析を行った. 2.血管障害に影響する因子の検討 全ニカルジピン使用患者(n=41)を血管障害 発現群(n=14)と血管障害非発現群(n=27)に 分け,血管障害に影響する因子を調査した.表 2 に単変量解析の結果を示す. 総投与量は,血管障害発現群で 271.57 mg であ り,血管障害非発現群(36.67 mg)と比較して有

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意に大量であった(P=0.0004).さらに,血管障 害発現群における投与時間は 40.99 時間と血管障 害非発現群(9.58 時間)に比べて有意に長かっ た(P=0.0006).また,投与速度についても血管 障害発現群において有意に速かった(P=0.0157). 一方,患者背景やその他の項目については差がみ られなかった.表 2 に示していないが,ニカル ジピン以外の薬剤投与の症例はあったものの両群 間で差は認められなかった(P>0.99). 図 1 に縦軸を投与時間,横軸を平均濃度とし た時の血管障害発現状況を示す. 図 1 からわかるように,添付文書の推奨投与 濃度である 0.01~0.02%の範囲においても血管障 害が高頻度に発生していた. ニカルジピン (n=41) ペルジピン ® (n=16) ニカルピン ® (n=25) P値 性別 男性/女性 10/6 14/11 0.6803 1) 年齢 中央値(範囲) (46-90)63 (41-88)64 0.8289 3) 体重 中央値(範囲) (33.70-98.05)55.95 (40.45-90.88)60.69 0.2116 3) 救急搬送時疾患 脳出血/クモ膜下出血/脳梗塞/その他 11/4/0/1 10/5/8/2 0.0770 1) 投与時間(h) 中央値(範囲) (2.55-64.73)14.92 (0.33-143.00)25.00 0.6496 2) 総投与量(mg) 中央値(範囲) (3.50-408.23)84.81 (0.50-1165.48)114.68 0.8516 2) 平均濃度(%) 中央値(範囲) (0.00359-0.03802)0.01035 (0.00083-0.05777)0.00874 0.8864 3) 投与速度(mL/h) 中央値(範囲) (21.00-62.14)37.62 (7.15-81.83)44.91 0.2679 3) 血管障害 あり/なし 3/13 11/14 0.0963 1) 1)χ2検定,2)Mann-Whitney U-検定,3)対応のない t-検定 表 1 ニカルジピンの先発品と後発品の患者背景と使用状況 ニカルジピン (n=41) 血管障害発現群(n=14) 血管障害非発現群(n=27) P値 性別 男性/女性 9/5 15/12 0.5905 1) 年齢 中央値(範囲) (43-90)65.5 (41-88)61 0.3250 3) 体重 中央値(範囲) (33.70-78.77)64.08 (37.30-98.05)58.86 0.8104 3) 救急搬送時疾患 脳出血/クモ膜下出血/脳梗塞/その他 10/1/2/1 11/8/6/2 0.2491 1) 投与時間(h) 中央値(範囲) (7.00-143.00)40.99 (0.33-67.23)9.58 0.0006 * 2) 総投与量(mg) 中央値(範囲) (17.37-1165.48)271.57 (0.50-408.23)36.67 0.0004 * 2) 平均濃度(%) 中央値(範囲) (0.00315-0.03134)0.01106 (0.00083-0.05777)0.00947 0.9208 3) 投与速度(mL/h) 中央値(範囲) (20.46-81.83)50.52 (7.15-66.56)40.00 0.0157*3) 使用薬剤 ペルジピン®/ニカルピン® 3/11 13/14 0.0963 1) *P<0.05 1)χ2検定,2)Mann-Whitney U-検定,3)対応のない t-検定 表 2 血管障害発現群と血管障害非発現群の患者背景と使用状況

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図 2 は,縦軸を投与時間,横軸を投与速度と した時の血管障害発現状況を示しているが,血管 障害は投与時間が 24 時間以上で投与速度が 45 mL/h以上において高頻度に起きていた(9 名中 7名,77.8%). 次に,表 2 に示した単変量解析の結果より,投 与時間,投与速度,使用薬剤が P<0.2 であった ため,これらの因子を説明変数,血管障害の有無 を従属変数として,ステップワイズ変数増加法に よる多重ロジスティック回帰分析を行った.なお, 単変量解析において総投与量も P<0.2 であった が,投与時間との相関が非常に強いこと,ニカル ジ ピ ン 製 剤 の Physicians’Desk Reference(PDR) 収載の添付文書では静脈炎のリスク低減のため 12時間毎の注射部位変更が推奨されていること や静脈炎の危険因子として投与時間を挙げている 論文が多いことを考慮し,説明変数より除外した. その結果,投与時間における血管障害発現群の非 発現群に対するオッズ比は 1.066(95% CI:1.021 -1.113,P=0.004),投与速度における血管障害 発現群の非発現群に対するオッズ比は,1.114 (95 % CI:1.018-1.220,P=0.019) で あ り, 投 与時間と投与速度が有意に血管障害に関係してい た.また,回帰係数から,投与時間が 12 時間長 くなると,血管障害の発現リスクが約 2.2 倍高く な り(95 % CI:1.283-3.614), 投 与 速 度 も 10 mL/h速くなると血管障害の発現リスクが約 2.9 倍高くなる(95% CI:1.195-7.305)ことが明ら かとなった.一方,使用薬剤では有意な関連は認 められなかった. 次に,投与時間と投与速度について cut-off 値 を求めたところ,それぞれ 20.43 時間,44.72 mL/h となった.これらを cut-off 値としたときの,投 与時間の感度は 92.9%,特異度は 70.4%だった. また,投与速度の感度は 78.6%,特異度は 66.7% だった. なお,図 2 でも示した投与時間が 96 時間を越 えた 3 名の患者はいずれも皮膚科コンサルトしな ければいけないほど重篤な血管障害が発現し,差 し替えのみならずクーリングや外用ステロイド剤 などの追加の処置を要していた.

考  察

薬剤や末梢静脈栄養剤による静脈炎に関して は,これまでに様々な危険因子の報告が行われて いる.例えば,カテーテルの差し替えに関しては, 末梢静脈栄養剤による静脈炎が 24 時間毎の定期 的な差し替えによって発現頻度が低下したこと,2) 抗菌薬などの薬剤は 72 時間や 96 時間での定期的 な差し替えを行っても静脈炎の発現頻度は低下し ないことが報告されている.3~5)投与速度に関して は,100 mL/h 以上の輸液投与は静脈炎の発現に 影響せず,むしろ高浸透圧溶液,薬剤投与の頻度, 図 1  血管障害発現における投与時間と平均濃度の関係 矢印で示したグレーの図は推奨濃度 0.01~0.02%内の拡大図. 図 2  血管障害発現における投与時間と投与速度 の関係

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24時間以上のカテーテル挿入時間が危険因子で あることが報告されている.6)一方,90 mL/h 以上 の抗菌薬投与が静脈炎の危険因子であるという報 告もある.7) pHに関しては,一般に pH<4.1 もし くは pH>9 の薬剤で血管障害が起こりやすいと されており,8)ドキシサイクリンやバンコマイシ ンなどの薬剤が該当する.また,抗がん剤も血管 外漏出や血管障害を起こしやすい薬剤である. 我々はこれまでにアントラサイクリン系抗がん剤 (ドキソルビシン,ピラルビシン)の血管外漏出が, 投与時間を 1 時間から 5 分以内に変更することで 予防できることを報告している.9)さらに,ビノ レルビンによる静脈炎の危険因子が 40 mg 以上の 投与量であることやエピルビシンの製剤の違い (既溶解剤と凍結乾燥剤)が静脈炎の発現頻度に 影響することも報告している.10, 11)このように, 薬剤の血管障害の発現には様々な要因が関係して おり,薬剤によってその危険因子が異なっている ことから,対策としてはそれぞれの医薬品につい て検討を行う必要があると考えられる. 本研究において,当院 ICU 病棟においてニカ ルジピン注射液が末梢より持続投与されている患 者 41 名のうち 14 名(34.1%)に血管障害が発現 していた.本研究では投与状況が詳細に記録され ている ICU 病棟の患者を対象としたため症例数 は少ないものの,ニカルジピン注射液による血管 障害が高頻度に発現していることが明らかとなっ た.血管障害がニカルジピンによるものと判断し た根拠として,ほかの薬剤投与時と比較してニカ ルジピン注射液投与時の血管障害の発生頻度が高 いこと,また,本調査において,通常では静脈炎 が起きないような条件で輸液を投与しているにも かかわらず,側管からニカルジピン注射液を投与 した際に静脈炎が起きていたことが挙げられ る. 一般に血管障害のリスク因子として,脳卒中 などによる意識障害のためコミュニケーションが 取れず痛みなどの訴えができない状況や高齢者, 細い血管に持続投与していることなどが挙げられ ている.12, 13)本研究の対象患者は脳卒中の ICU 患 者で十分なコミュニケーションが取れないことか ら,血管障害の発現頻度が高かったことも考えら れる. 血管障害発現の要因についての多重ロジス ティック回帰分析による検討では,血管障害発現 には投与時間と投与速度が関与しており,危険因 子であることが示唆された.特に投与時間が 24 時 間以上で投与速度が 45 mL/h 以上の場合に血管障 害の発現頻度が高く,ROC 解析の結果でも,cut- off値がそれぞれ 20.43 時間,44.72 mL/h であった. 従って,なるべく投与時間が 20 時間以上で投与速 度が 45 mL/h 以上にならないようにすることが血 管障害の発現を予防するものと考えられた.特に 96時間以上の持続投与を行った症例では重篤な血 管障害を発現し,外用ステロイド剤などの処置が 必要であったことや米国疾病予防管理センター (Centers for Disease Control and Prevention:CDC)

ガイドラインで,成人において感染および静脈炎 のリスクを低下させるために 72~96 時間間隔で末 梢カテーテルの交換が推奨されていることから,14) 血管障害の症状がなくても 96 時間毎の差し替えが 必要であると考えられた.また,これらの結果から, ニカルジピン注射液による血管障害は,投与時間 が長いことや投与速度が速いことにより血管に負 荷がかかり生じていることが推察された.なお, 血管障害に対する末梢カテーテル挿入部位の違い の影響については,カルテを用いたレトロスペク ティブな調査に限界があり,全対象患者の正確な カテーテル挿入部位を特定することができなかっ たが,挿入部位がわかる患者で調査を行ったとこ ろ違いは認められなかった. 添付文書では,ニカルジピン注射液は 0.01~ 0.02%の濃度での投与が推奨されている.しかし, 本研究では血管障害発現患者 14 名のうち 11 名 (78.6%)が推奨濃度を遵守していたにもかかわ らず血管障害を発現していた.ニカルジピン注射 液は酸性薬剤であり,添付文書を遵守した場合, 薬液の pH は 5~7 程度と推測される.一般に pH <4.1 の薬剤で血管障害が起こりやすいと報告さ れていることから,8)ニカルジピン注射液による 血管障害は pH 以外の要因による可能性があり, 添付文書の推奨濃度を遵守するだけでは血管障害 発現の予防には不十分であると考えられる. 以上,本研究の結果から,ニカルジピン注射液 による血管障害を起こさないためには,添付文書

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推奨濃度を遵守したうえで,投与時間を 20 時間 以内かつ投与速度を 45 mL/h 以内に設定すること が望ましいと考えられた.しかしながら,ニカル ジピン注射液の投与は血圧のコントロールができ なければやめることはできない.従って,添付文 書推奨濃度を遵守しつつ投与速度を 45 mL/h 以下 に設定してニカルジピン注射液の投与を行い,投 与時間が 20 時間を超えた場合にはカテーテルモ ニタリングを強化し,血管障害の早期発見に努め るとともに,血管障害の重篤化防止の観点から, 少なくとも 96 時間での差し替えが必要であると 考えられる.

引用文献

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図 2 は,縦軸を投与時間,横軸を投与速度と した時の血管障害発現状況を示しているが,血管 障害は投与時間が 24 時間以上で投与速度が 45  mL/h 以上において高頻度に起きていた(9 名中 7 名,77.8%). 次に,表 2 に示した単変量解析の結果より,投 与時間,投与速度,使用薬剤が P<0.2 であった ため,これらの因子を説明変数,血管障害の有無 を従属変数として,ステップワイズ変数増加法に よる多重ロジスティック回帰分析を行った.なお, 単変量解析において総投与量も P<0.2 であった

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