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伝染性単核症

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Academic year: 2021

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mini

No.17

滋賀大学保健管理センター〔 2007 . 7 〕

伝染性単核症

麻疹が流行しているところですが、伝染性 単核症(infectious mononucleosis, 以下 IM) も流行しているようです。IM は思春期に好発 し、そのほとんどが Epstein-Barr ウイルス (EBV)の初感染によっておこります。主な 感染経路は EBV を含む唾液を介した感染で、 乳幼児期では不顕性感染(無症状あるいは軽 い感冒様症状)ですが、思春期以降に感染し た場合 IM を発症することが多く、kissing disease とも呼ばれます。EBV の既感染者の 約 15-20%は唾液中にウイルスを排泄してお り感染源となります 。 我国においては2-3 歳までに 70%位が EBV の感染を受け、20 歳代で人口の 90%以上が抗 体を保有しているとされています。IM の発 症機序は EBV に対する細胞性免疫反応の過 剰反応であるとされ、乳幼児期よりも細胞性 免疫が発達した思春期以降の方が発症頻度が 高いのはこのためと考えられます。

病原体

ほとんどが EBV の初感染によっておこり ますが、一部サイトメガロウイルス(CMV)、 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の初感染によ ります。EBV はヒトヘルペスウイルス科に属 する DNA ウイルスで、一度宿主に感染する と一生その宿主に潜伏感染し、免疫抑制状態 下で再活性化する可能性があります。EBV はまず咽頭上皮細胞に感染し、そこで増えた ウイルスが、主に EBV の標的細胞である B リンパ球(一部、T リンパ球や natural killer (NK)細胞)に感染します。

臨床症状と検査所見

4-6 週間の長い潜伏期を経て発熱、咽頭扁 桃炎、リンパ節腫脹、発疹、末梢リンパ球増 加、異型リンパ球増加、肝機能異常、肝脾腫 などを示す急性感染症です(図1)。時に、中 枢神経症状を呈する症例もあります。発熱は 高頻度で、多くの場合38℃以上の高熱で 1-2 週間持続する場合が多いとされます。扁桃に 偽膜形成を認め、口蓋は発赤が著明で出血斑 を認めることもあり、咽頭痛を伴います。リ ンパ節の腫脹は 1-2 週頃をピークとして、頚 部を主として全身に認められます。発疹は主 に体幹、上肢に出現し、斑状、丘疹状の麻疹 様あるいは風疹様紅斑など多彩です。アンピ シリン(ABPC)を内服すると薬疹を生じて、 鮮明な浸出性紅斑様皮疹を呈します。 検査所見として、高ガンマグロブリン血症、 リウマチ因子、寒冷凝集素、抗核抗体の産生 などが認められることがあります。リンパ球

(2)

増加は診断基準にも含まれ、特徴的な所見で す。増加している異型リンパ球は、感染して 増殖したB リンパ球を排除するために活性化 した細胞障害性T 細胞とされています(図2)。 肝機能異常はほとんどの症例で認められ、 GOT/GPT の増加は第 2 週頃をピークとして 300-500IU/L 程度のことが多く、黄疸をきた すことはまれです。多くは肝/脾腫を伴います。 まれに、中枢神経症状や溶血性貧血、血小板 減少、再生不良性貧血、心筋炎、心膜炎など を合併します。ごく稀ですが、EB ウイルス に対する免疫応答不全のために、慢性活動性 EB ウイルス感染症と呼ばれる病態となるこ とがあり、重症例では命に関わることもあり ます。 なお、サイトメガロウイルスによる IM で は、EBV による IM に比して、咽頭扁桃炎、 巨大脾腫の頻度が少ないとされています。

診 断

臨床症状(発熱、扁桃・咽頭炎、頚部リン パ節腫大、肝腫大、脾腫大)、血液中リンパ 球増加、異型リンパ球出現、EB ウイルスの 成分(VCA、EA、EBNA)に対する抗体の 検査で診断されます。 抗体価の測定を二回 以上行い、その消長により判断されます。ま た最近では、分子生物学的手法を用いた診断 が行われるようになり、定量的 polymerase chain reaction (PCR)法を用いて血漿中の EB ウイルス量を測定し、診断に応用できる ようになっています。

治療・予防

現時点では特異的な治療法がないこと、一 般的には自然治癒する疾患であるため、通常 対症療法が行われます。上記のように、種々 の合併症がおこることがありますので、血液 専門医で経過をみてもらうのが適当です。ま た、アンピシリンを内服すると薬疹を認める ことがあるため、IM が疑われる場合には、 この薬剤の使用は禁忌となります。 0 50 100 (%) 発熱 リンパ節腫大 咽頭・扁桃炎 肝腫大 脾腫大 発疹

図1.伝染性単核症の臨床症状

図2.末梢血中の異型リンパ球

参照

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