Title
成牛ウイルス性下痢症の疫学および迅速診断に関する研究(
内容と審査の要旨(Summary) )
Author(s)
福田, 昌治
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(獣医学) 甲第372号
Issue Date
2012-09-18
Type
博士論文
Version
none
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/47998
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氏名(本(国)籍) 主 指 導
教員
名 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月 日 学位授与の要件 研究科及び専攻研究指導を受けた大学
学 位 論 文 題 目審
査 委 貞 福 田 昌 治(埼玉県) 岐阜大学 教授 恒 光 裕 博士(獣医) 獣医博甲第372号 平成24年9月18日学位規則第3条第1項該当
連合獣医学研究科 獣医学専攻 岐阜大学 成牛ウイルス性下痢症の疫学および迅速診断に関する 研究、 主査 岐 阜 大 学 副査帯広畜産大学
副査 岩 手大学 副査東京農工大学
副査 岐 阜 大 学 副査 岐 阜 大 学 副査藤田保健衛生大学
嗣 郎 亮 也 誠裕
喜 正 和 哲孝
木 原 澤 谷 山 光 口 鈴 宮 原 水 杉 恒 谷 授 授 授 授 授 授 授 教 教 教 教 教 教 教 論 文 の 内 容 の要
旨 成牛のウイルス性下痢症は高い頻度で集団発生するため,乳用牛の乳l-t減少など,大きな 生産性阻苫要因となっている。原因としてウシコロナウイルス(BCV)の他,ウシA推ロタ ウイルス(GAR),ウシB辟ロタウイルス(GBR),ウシC膵ロタウイルス(GCR),ウシト ロウイルス(BlもⅤ)などが近年報告されているが,臨床現喝では成牛のウイルス性下痢症は BCV病を除いて殆ど知られていないことから,BCV病以外の疫学実態は不明な点が多い。ま た,これらウイルスの多くは,増席細胞での増師が困難なため,検査を実施する場合には通 甘,標的ウイルス毎のRTせCR法が用いられており∴多くのコストと労力を要する。そこで, 本研究では,成牛ウイルス性下痢症の発生予防および.捌非法のi;-J;庶化にさJfするため,原因ウ イルス毎の疫学的特徴の解析および低コストかつ迅辿な.診断法の聞発を行った。 第一・一声では,成牛下痢綻の疫学的q■即攻を明らかする目的で,全国都道冊j.し家缶保腱仇生所 で2004年2月∼2009年6月に尖施した成牛下摘症の刷生鑑定J戎紬こついて,診晰名,発生 時期などに関する情裡を収状し,解析した。18県からj十200件の成牛下輌娠の発生情報が得 られた。診断内.沢は,BCV柄がほぼ半枚(49.5%)であり,その他,GBR舶用.0%,サルモ ネラ症7・0%,GAR病4.5%,GCR嫡2.5%,BTbV病2.0%,ウシウイルス性下痢ウイルス (BVDV)感埴症1.0%のML'iに認められた。なお.BVDV感染症の症例放は2作で,いずれも牛伴内で1戯だけの■ji.L独発生であった。他に有′昔なウイルスは碓㍊されなかった。200件に おける各病帰休の検査実施率(失脚′卜牧)は,BCV88.0%(176作),サルモネラ69・5%(139 件),GAR60.5%(121件),BVDV58.0%(116件),GBR49・0%(98件)・GCR41・5% (83件),BTbV21.5%(43作)であった。これを基に症例中位の陽性ヰ(検査リミ施件数中 の槻性件牧の割合)を求めたところ・,BCV58.0%,サルモネラ10・1%,GAR9・1%,BVDV 2.6%,GBR16.3%,GCR6.0%,BToV9.3%であった。発生時期では,ウイルス性の下油症 はIl∼2月の無料g=こ半枚以上を占めた。臨床症状では,血址がみられたのはBCV帆 サル モネラ症およびBVDV感染症に限られた。一方,血恍がみられない症例では下痢班の性状か ら原因を持足するのは凶難であった。死亡例はBCV病の99件中5件(5・1%)およぴサルモ ネラ症の1J件中5件(35.7%)で認められた。また,呼吸器症状はBCV嫡およびBTbV病 でみられた。乳用牛の産乳瑞減少は,診断内訳の上位6疾病でみられた。以上の成結から, 成牛下痢症に偶適するウイルスとして,BCV.GAR,GBR,GCRおよびBTbVの5抑類が特 に重要であり,BCVは成牛下痢症の約半数に関与していることが明らかとなった。一方で GBR,GCR,およびBrIbVは検査実施率が低い現状であることが確認された。 第二章では,第一草で成牛下痢症の原因ウイルスであることが確認された5種ウイルス (BCV,GAR,GBR,GCRおよびBTbV)の低コストかつ迅速な検査法として,これらの同 時検出が可能なワンステップのマルチプレックスKトPCR法の開発を試みた。GBRはW7迫 伝子,BCVおよびBTbVはヌクレオカブシド辿伝子をそれぞれ標的とする既報のRrPCR法 のプライマーを使用した。GARはVP6遺伝子を標的とする既報のRTIPCR法のフォワードプ ライマーと新たに設計したリバースプライマーを使用し,GCRはVP6遺伝子を排的として新 たにプライマーを設計した。ワンステップの市販RトpCRキットを用いて5稚プライマーペ
ア混合下での反応条件を検討した結果,プライマー献度0.叫M,アニーリング温度52℃,サ
イクル数35回が,感度および特異性において姑も適した条件と考えられた。各ウイルスから 抽出したRNAを階段希釈して既報のRトPCR法と検出限界を比較した結果,GARとGCRで はマルチプレックスRrpCR法がより高感度であった。対象5椰ウイルス以外のウシRNAウイルス10帥および対象5帥ウイルス陰性成牛償便80検体を用いた相異性の検討において,
本法での非持異反応はみられなかった。対乍とウイルスのいずれかに起因する下痢25症例の隅 性.乾性60検体を用いて本法を尖施した紡果,25症例全てが陽性となり,診断上利用可能と 考えられた。5椰ウイルスを検出した喝合の1検体あたりの.椎葉コストは,マルチプレック スRトPCR法では従来法と比岐して約5分のlにi恥入・はれ,必要な輪作の肱 PCR反応時閃 も5分の1に低減された。これらの成約から,今回開発したマルチプレックスⅣトPCR法は 感度および竹光性において問題は認められず,成牛ウイルス性下痢症の低コストで迅速な診 断法として有効であると考えられた。 第三・t;†では∴紆二草で削発したマルチプレックスⅣトPCR法を理外症例に応用した。まず, GBR,GCRおよびBTbVにI・lリして未検鷹である成牛下嫡症15症例の・唯班を使用した。その結果,症例中位のウイルス隅性率は,BCV53.3%,GBR6.7%,GCR6.7%となり,第一章で
価認された各ウイルスの槻性率とほぼ一致した。また,2010年12月以附こう己生した成牛下 痢症12症例の病性躍定に本法を応用したところ,BCVが16.7%,GCRが25.0%の症例で検 出された。以上の成拭から,成牛下病症の帰因ウイルスとして,BCVの他にGBRやGCRが軸鮒こ朋与していることが再碓認された。また,成牛下痢症の病性鑑定にマルチプレックス RTぜCR法を利用することにより,下痢購辿ウイルスの検査を迅速に実施することが可咄にな ると判断した。 本研究により,成年下痢症におけるBCVなどのウイルス関与のプ雅や原因別の疫学的特徴 を明らかにすることができた。また,ウイルス性下痢症に関与するBCV,GAR,.GBR,GCR およびB恥Ⅴを同時検出可値なマルチプレックスRrPCR法を開発し,その有効性を碓認で きた。これらの成約は成牛のウイルス性下痢症の予防法榊発および診断技術の向上において 有益な・ll用1であると考えられた。 審
査
結 果 の 要 旨成牛のウイルス性下痢症は,主に冬季において高頻度で集団発生して乳冊克少などの経
済的被害を与えている。原因としてウシコロナウイルス(BCV)の他に幾つかのウイルス
が報告されているが,臨床現場ではBCV病以外は殆ど知られていないことから,原因朋 査や原因別の疫学実態は不明な点が多い。本研究では,成牛ウイルス性下痢症の発生予防および診断法の高度化に汚するため,成牛下痢症の原因別での疫学的特徴の解析ウイル
ス性下痢症の迅速な鑑別診断法の開発およびその方法による野外応用を実施している。 第一章では,成牛下痢症の原因および疫学的特徴を明らかにする目的で,2004年∼2009年に18県の家畜保健衛生所で実施した成牛下痢症の病性鑑定成績計200件の情報を
収集して解析した。症例単位の陽性率(検査実施件数中の陽性件数の割合)は,BCV
58.0%,ウシB群ロタウイルス(GBR)16.3%,サルモネラ10.1%,ウシトロウイルス (BTbV)9,3%,ウシA群ロタウイルス(GAR)9.1%,ウシC群ロタウイルス(GCR)6.0%,ウシウイルス性下痢ウイルス2.6%であった。また,これらの疫学的特徴を病原別
に明らかにし,成牛のウイルス性下痢症の鑑別検査としてBCV,GAR,GBR,GCRおよ びBToVの5種ウイルスが特に重要であることを示した。 第二葦では,第一章で成牛下痢症の原因ウイルスであることが確認された5稚ウイルス (BCV,GAR,GBR,GCRおよびBToV)の低コストで迅速な検査法として,これらの同 時検出が可能なワンネテップのマルチプレックスRTIPCR法を開発した。GARとGCRで はマルチプレックスRTPCR法が既報の個別RIPCR法より高感度であった。また,対象5椰ウイルス以外のウシRNAウイルス10現ウイルス陰性糞便80検体を用いた特異性の検
討において,非特異反応は全くみられなかった。さらに,対象ウイルスのいずれかに起因す る下痢25症例の防性糞便60検体を用いて本法を実施した結果,25症例全てで陽性となっ た。これらの結果から,今回開発したマルチプレックスRrPCR法は,成牛ウイルス性下 痢症の低コストで迅速な診断法として有効であると考えられた。 第三葦では,第二草で捌発したマルチプレックスRTLPCR法を野外症例に応用した。最 初に,GBR,GCRおよびBToVに関して未検査である成牛下痢症15症例の糞便を使用し た。その結兄,症例単位のウイルス防性率は,BCV53,3%,GBR6.7%,GCR6.7%となり,第一草で確認された各ウイルスの陽性率とほぼ一致した。次に,2010年12月以降に発生
した成牛下剤症12症例の病性鑑定に本法を応用した結果,BCVが・16.7%,GCRが25.0%の症例で検出された。以上の結果から,成牛下痢症の原因ウイルスとしてBCVの他にGBR
やGCRが頻弊に関与していることを再碓認し,また,成牛下痢症の病性鑑定にマルチプレ ックスRrPCR法を用いることにより下痢閲辿ウイルスの迅速検査が可能になると判断し た。