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弔辞 (河野稔教授追悼号)

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Academic year: 2021

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88 彦根論叢 第233号

生補導施設の充実に対する熱意は格別のもので,これに対する精力的な御奔走は,今にそ の成果を生みつづけていますが,その一方において,ついに先生のお命を縮めたかも知れ ないと考えられるほどであります。  さらに社会的には,社会政策学会幹事として,社会政策学の発展に尽力され,また滋賀 県総合開発審議会特別委員として地方社会の発展に寄与されました。  以上述べましたことは,先生の全貌のほんの一端にふれただけかと思いますが,これに よりましても,先生が如何に滋賀大学,わけても経済学部に尽されたか,特にこれらの精 神的支柱として重きをなされたか,その御功績は絶大なものがあることを知ります。それ にしても停年御野宮を直前にしての御他界には,先生はもちろん御家族の皆様も断腸の思 いをされていることでありましょう。われわれとても同じ思いであります。  この上は,どうか先生の御霊が天上に昇り,紫の雲にだかれて安らかに眠られることを 祈りまして,御別れの言葉と致します。    昭和60年3月16日        滋賀大学長  森   主 一

 最近の新しい国際化する労働問題とこれを規制する社会政策が重要な学界の課題と考え られ,「国際化する労働問題と社会政策」を共通テーマにして,1983年秋社会政策学会第 67回研究大会が河野稔先生主宰で当大学に於いて開催されました。其時のお元:気な御様子 に,参加した会員の誰が今日を想像出来たでしょう。それから2年も経過していない今,こ のような形でお会いするとは残念で仕方ありません。先生は大会を心よく引受けて頂き, 問題4)究明のため,報告も多方面に求められ,それらを組織しまとめる努力を惜しまれま せんでした。その成果は既に刊行され,社会政策学会叢書第8集として会員の書架に収め られています。今日,社会政策の主体が国家論にふれて検討されつつありますが,先生は 夙に社会政策の主体論拉びにその成立過程,実施過程を問題にされていました。  先生は戦中,戦後にまたがる社会政策学者の数少い一人として,後につづく私達の先達 の師として,絶えずやさしい眼差しのうちにも,本質に迫る学問のきびしさを注がれてお られました。今先生を失い,行先の灯,足許の明かりが消えた思いが致します。而し,手 許にある先生の著作を通じ,つながりの切れることはありません。  先生の御霊前にあって温厚なお人柄,真理を求めるきびしい姿勢を偲び,あらためて社 会政策復権に努める決意を申し述べ先生への御弔辞と致します。  河野先生どうか安らかにお眠り下さい。    1985年3月16日          社会政策学会関西部会委員 京都大学教授  前 川 嘉 一

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