• 検索結果がありません。

大学生の英語学習と動機づけ : リスニング指導からの研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "大学生の英語学習と動機づけ : リスニング指導からの研究"

Copied!
131
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)A Study of Motivation as a Factor.    in Listening Achievement. among University EFL Students. 2004. Joint Graduate School in the Science ef Educatien. Hyogo University of Teacher Education. Yuko Oguri.

(2) 大学生の英語学習と動機づけ 一リスニング指導からの研究一. 2004年 兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科      学校教育実践学専攻       兵庫教育大学        小栗裕子.

(3) 目次. 1. 序論.  第1節 本論文の構成    2.  第2節本研究の位置づけ  3   2.1 本研究の発想     3   2,2 本研究の目的     4.  第3節 本論文の主な用語の説明. 6.   3.1 リスニング     6   3.2   動1幾づけ         6.   3.3  理系学生      7. 9. 第1部 リスニング力向上に効果のあるいくつかの要素 第!章 著しい伸びを示した学生とそのクラスにみる特質と指導法. 10.  第1節 本研究の背景  10.  第2節 目的  11  第3節 方法  11   3.1被験者  11   3.2 手順   11.   3.3JACET事前テスト及び事後テストの結果 14  第4節 アンケート結果と考察  16.  第5節教育的示唆  23  第6節 この章のまとめ25 第2章 効果的なリスニング指導法:学習者の視点.  第1節 本研究の背景 27. 27.

(4) 第2節 本研究   27  2.1 目的 27  2.2 方法 28.    2.2.1 被験者及び教材 28    2.2.2 調査方法    28. 第3節アンケート結果の分析と考察  32  3.1各指導法の平均値 32  3.2 分析結果     34  3.3 考察       34. 第4節 この章のまとめ  37 第3章 著しい伸びを示した学習者にみられる動機づけ. 38.  第1節 本研究の背景 38.  第2節 目的   40  第3節 方法   40.   3.1被験者  40   3.2 手順    41.   3.3JACET事前テスト及び事後テストの結果  42  第4節 アンケート結果と考察   43.  第5節 この章のまとめ     47 第4章 向上度別にみた動機づけの違い ..........  第1節本研究の背景 . 48.  第2節 目的  48  第3節 方法  48   3.1 被験者  48.   3.2.手順  48.   3.3 JACET事前テスト及び事後テストの結果  49.  第4節アンケート結果の分析と考察  51   41項目別平均値と標準偏差  51 iii. . 48.

(5) 42 3群の因子分析  53 4.3 因子分析の考察  59. 第5節この章のまとめ60. 6  3 6. 第2部. 2. 大学生の英語学習と動機づけ. 第1章 理系学生のリスニング能力にみる動機づけの違い  第1節  本研究の背景  63  第2節  本研究  64   2.1. 目的  64.   2.2. 方法  65. 87 07 37 47 5 6.  第3節  アンケート結果の分析と考察  68   3.1 項目別平均値と標準偏差.   3.2 3群の因子分析.   3β 因子得点の分散分析   3.4 分析結果と考察.  第4節 この章のまとめ 第2章 入学時と!年後を比較して.  第1節本研究の背景  77. 77.  第2節本研究    78   2.1 目的  78   2.2 方法  78.  第3節アンケート結果の分析と考察. 81.   3.1 各動機づけの平均値  81.   3.2 3群の分析結果   85   3.3 考察        89.  第4節 この章のまとめ   90. 第3章 2年次の初めと終わりを比較して.  第1節本研究の目的 . 92 V. 92.

(6) 第2節 方法  92  2.1被験者  92  2.2 手順   93. 第3節アンケート結果の分析と考察  95  3.1各動機づけの平均値  95  3.2 3群の分析結果    100.  3.3 考察        101. 第4節 この章のまとめ  102 iO4. 第4章 1年生と2年生を比較して  第1節 本研究の目的  104  第2節 方法  104   2.1 被験者  1◎4.   2.2 手順   104.  第3節アンケート結果の分析と考察. 106.   3.1 各動機づけの平均値   106   3.2 アンケート結果の分析  111   3β 考察          !!2.  第4節 この章のまとめ. 1!3. 総括. .114.  第1節. 全体のまとめ  115.  第2節. 英語教授法カリキュラムへの応用  117.   2.1. 1年次  117.   2.2. 2年次  118. 引用文献. .I19. 謝辞. .125. v.

(7) 序論. 1.

(8) 1. 本論文の構成.  第1部「リスニング力向上に効果のあるいくつかの要素」は、リスニング カの伸長した学習者を対象にした一連の研究からなる。第1章は、リスニング カにおいて伸びの著しい学習者とそのクラスの特質をアンケート結果から分析、. 伸びなかった学習者と対比し、その結果に基づいた有効な指導法についての提 案をする。第2章では、教師が効果的だと考え用いているリスニング指導法を、. 学習者はどのように感じているのかアンケート結果から数量的に解析し、リス. ニング指導法に与える示唆について論じる。第3章では、リスニングカの顕著 に伸びた学習者の動機づけとは何か、また伸びた理由は何かを、該当の学習者 に焦点を当て、記述式で得た動機づけの回答を基に分析考察する。第4章では、. リスニングカの普通に伸びた学習者、顕著に伸びた学習者、そして伸びなかっ た学習者の動機づけをそれぞれの群別に因子分析し、各集団がどのような動機 づけの特徴を有しているのかを比較し、考察する。.  第2部は、この論文の中核をなす部分で、リスニングカを中心とした大学 生の英語習得への動機づけを集約する。第1章では、日本人学生の実情に合っ た英語学習の動機づけ尺度を作成し、どのような学習者がリスニングカで上位. に達するのか、中・下位レベルの学習者の特質は何かを明らかにする。第2章 では、第1章で作成した動機づけの尺度を用い、大学入学時と1年後の動機づ けをリスニングの能力別に比較検討する。さらに、第3章では、第1章で作成. した動機づけの尺度を再度使用し、2年次の学生を対象にして4月と1年後の 動機づけをリスニングの能力別に比較検討する。最後の第4章では、1年次と 2年次における学生の動機づけを1年を通して総合的に比較検討する。.  総括では、全体のまとめと、第1・2部の調査分析から得た動機づけとリ スニング力向上に関する知見を基に、大学の英語教育、特に英語を専門として いない学習者に対するカリキュラムへの応用を提案をする。. 2.

(9) 2. 本研究の位置づけ. 2. 1 本研究の発想.  本研究は、大学生に英語を指導する際、リーディングのみでは=ミュニケ ーシsン能力は養成されないと考え、リスニングを導入した時点(1993)に始 まる。英語を必修で学んでいる学生に、週!回90分授業の中でその1/3をリ スニングに費やして、果たして効果があるのかという疑問が絶えず筆者の頭を. 離れなかった。そこで実際に学生のリスニングカを測定し、1年間でどれ程上 達するのかを探ることにした。どのようなテストがこの目的に適しているのか. を検討したところ、大学英語教育学会(JACET)によって開発された、日本 の大学生や短大生の基礎的な英語の聴解力を試すための『英語基礎聴解力標準. テスト』(以下JACETテストと略記)が、40分という比較的短い時間で実施 でき、またレベル的にも最適だと判断し、それを事前・事後テストとして採用 することに決定した。.  1年次の始めと終わりにJACETテストを実施し、学生のリスニングカが どれ程伸長したのか調査することを2年間継続した。結果として、1年間でも 毎週続ければ、ある程度有意差のある向上が認められるという数字を得ること ができた。しかしながら、その中で同じ指導を行っているにもかかわらず、得 点の全く伸びない学習者と普通に伸びる学習者、さらには顕著に伸びる学習者 がいることに、改めて疑問が沸いてきた。いったいこの得点差はどこから生じ るものなのかという疑問である。言語習得を支える学習者要因として、語学に 対する適性、それを学ぶための方略、性格、年齢、そして動機づけなどが考え られるが、英語を専攻していない学習者ということで、最初に思い当たったの が彼らの英語に対する動機づけであった。.  この一連の研究は、このような疑問を契機として、大学生の英語リスニン グ力向上と動機づけとの関係を中心に解き明かし、その結果を基に日本の大学 英語教育におけるカリキュラム作成及び教授法への応用を目指した。. 3.

(10) 2.2 本研究の目的  第二言語習得における動機づけの研究は、80年代後半まで習得背景(例え ば、カナダにおけるフランス語学習やインドにおける英語学習)にかかわらず、. カナダの社会心理学者Gardnerらの影響を多大に受け、道具的(実利目的)vs 統合的(目標言語社会に対する同化志向)動機づけという二元的捉え方が主流 であった。そして、どちらの動機づけが言語習得に有利なのかを追究する研究 が盛んに行われ、英語学習における動機づけもこの範疇で説明しようと試みら れてきた。.  しかしながら、日本のように教室以外で目標言語(この場合は英語)とほ とんど接触のない環境では、道具性・統合性のみで動機づけの実体を捉えよう とするには幾分無理がある。むしろ、学習者が教室内でどのように英語と取り 組んでいるのかや、学習者個人の英語やそれを使用している国、例えば英国や 米国に対する見方が重要な役割をもっていることが推測される。また、英語に 対する社会一般の捉え方やその評価も、学習者を動機づける大切な要因になる であろう。そして、時代の流れの中で、そのような捉え方や評価も当然変化す るであろう。さらに、学習者の動機づけは、習熟度によってその強弱も少しず つ変わることが予想される。.  ところで、近年コミュニケーション重視の社会や学校において、リスニン グカは英語を話すための不可欠な能力であると考えられている。これは、若林 (2000)が「聞けなければ話せない」と指摘しているように、コミュニケーシ. ョンをするにあたり、まず話し手の言った言葉を理解しなければ会話は始まら ないからである。宮原ら(1997)によれば、リスニングカと文法力・語彙力・ 読解力との相関は非常に高く、各’々r ・O.80を上回ると言われている。このた. め、リスニングカを向上させるには、文法、語彙、読解のそれぞれの能力を伸 ばす必要があると推論ができ、リスニングカの上達過程を動機づけの側面から 明らかにすることにより、その結果は英語教育全般における教授法への応用が 可能だと言える。.  本研究では、英語を必修として学んでいる大学生に焦点を当て、そのリス ニングカと動機づけとの関係を、以下の視点から解明する。. 4.

(11) (1)リスニングカが著しく伸びた学習者には、どのような学習法やリス.   ニングのストラテジーが見られるのか。また、これらの学習者が好   む指導法とは何かを明らかにする。 (2)教師が有効だと考え、用いているリスニング指導法を学習者はどの.   ように感じているのか。リスニングカの上位群と下位群の学習者が   それぞれ効果的だと考える指導法を明らかにする。 (3)リスニングカが著しく伸びた学習者の動機づけは、どのような特徴   があるかを明らかにする。. (4)リスニングカの伸びた学習者と普通に伸びた学習者、さらには顕著.   に伸びた学習者の動機づけの違いを比較し、これらの3群にはどの   ような差異があるのかを明らかにする。. (5)L記(3)、(4)で得た動機づけに関する知見を考慮しながら、日.   本の実情に合った英語学習の動機づけを測定するための尺度を作成   し、どのような目的を持つ学習者がリスニングカで上位レベルに到   達するのか、中・下位レベルの学習者にはどのような動機づけの特   徴が見られるのかを明らかにする。. (6)学習者の動機づけは、大学入学以前とそれ以後では大きく変化する   ことが予想される。そこで、(5)で作成した動機づけの尺度を用い、.   入学時と1年後を比較し、リスニングの習熟度により学習者の動機   づけがどのように異なっていくのかを明らかにする。. (7)大学に入学して新しい環境にも慣れ、就職準備にも余裕のある2年   次の学習者の英語学習の目的はどのように変化しているのか。(5).   で作成した動機づけの尺度を再度用い、2年次の1年間を比較し、   どのような動機づけの変化が見られるのかを明らかにする。. (8)大学1年次と2年次の1年間には、動機づけにおいていかなる特徴   が見いだせるのか。この2つの集団の1年間における動機づけの違   いを明らかにする。 (9)(6)、(7)、(8)で得た動機づけの結果を基にして、大学の英語教.   育は実際どのような点を考慮すべきか、カリキュラム及び教授法に   関するいくつかの提案をする。 5.

(12) 3. 本論文の主な用語の説明. 本研究で使用している用語のうち、中核的役割を持つ3語について、どのよ うな意味で使用しているのか、それぞれの概念を定義する。. 3.1 リスニング  この論文を通して用いている「リスニング」とは、吉田一一ag(1999)が“listening. comprehension”として使用している用語で、「伝達内容を聞いてつかみとる」. (p.8)ことを意味し、単に欄く」という行為よりも使用範囲が広い。そし て、リスニングがけっして受動的でなく、能動的な行為だという意味で使用し ている。例えば、会話において聞き手は、相手の発した言葉をただ聞き取れる だけでは不充分で、話し手がどのような意図で発話しているのか、常に考えな. がら会話のやり取りを行っている。そういった個々の場面での談話能力 (discourse competence)を含めた、能動的な聞き取り能力という意味で「リス ニング」を用いている。.  それゆえ、特に第二言語で相手の言ったことが分かり返答できるためには、. 話されている状況を文化的にも社会的にもある程度理解できなければならない ことになる。そして、そのような文化的・社会的背景と密接に結びついた、そ の言語独特の言い回しやイントネーションの微妙な違い等をある程度聞きなが ら適宜判断する力が必要になってくる。本論文の「リスニング」という言葉は、 そういった伝達能力(communicative competence)の受容面を含む意味で使用し ている。. 3.2 動機づけ  普段、教育の現場で教師は、「あの学生は全く意欲がない」とか「Aさんは とてもやる気がある」というような言い方をしながら、学習者の動機づけを評 価している。この日頃用いている「やる気」とか「意欲」を心理学の世界では 「動機づけjという専門用語で表す。桜井(1997:3)によれば、この「動機づ け」とは、「目的達成のための推進力」であり、さらに厳密に言えば「ある目. 的を達成するために行動を起こし、それを持続し、目標達成へとみちびく内的 6.

(13) な力」のことである(1997:3)。しかしながら、「動機づけ」と「意欲」は使用. 範囲に違いがあり、前者が「広い範囲で何かを達成しようとする行動」である のに対し、後者は「勉強や仕事といった、どちらかと言えば知的なことを達成 しようとする行動として使用することが多いと、桜井は指摘する。塩見(1994). は、「意欲」の前に学習をつけ、「学習意欲」を「やる気」または「モチベーシ ョン」として交互に使用している。また市川(1995)によれば、動機づけとは、. 学習に限らず、行動を方向づける基本的な欲求を指して用いられる用語でもあ る。本論文では、上述の心理学的用法に従い、大学生の英語学習の意欲や目標 達成のための推進力を指して「動機づけ」という用語を使用している。. 3.3 理系学生  「理系学生」とは、文系・理系という分類における理科系の分野を専攻して いる学生のことを言う。本論文の場合は、工学や環境科学を専攻している学生 のことを指す。この論文の結論が、大学生一般に応用ができるのかという問題 については、専攻以外は後述の一般学生とあまり変わらないようである。例え ば、彼らの性格について、下田式性格検査(SPI性格検査)を実施し、一般学 生の性格と比較をすると表1のような結果になる。  この検査は、精神論学者下田光造氏の人格理論に基づいて標準化された性格. 検査であり、70項目6スケールから成り立っている。その解説書(塩見ら、 1987)によれば、自閉性格とは、自己の内に閉じこもる性格のことで、ここに はf感じやすい」、「口数が少ない」が含まれる。神経過敏性格とは、刺激に対 して普通以上に敏感に反応する性格で、「異常に潔癖」などがこの範躊に入る。. 自己不全性格は、自信がなく控えめな性格のことを、また執着性格は、感情興 奮の持続が長く、なかなか冷めない性格を言う。さらに同調性格とは、融通性 に富み、環境にうまく適合する性格で、自己顕示性格とは、感情の表現が大袈 裟で、些細なことで大騒ぎをする性格のことを言う。ここで言う「一般学生」 とは、上出の解説書の被験者である大学新入生1,496名のことであり、「理系. 学生jとは2003年度の英語を必修として受講している被験者80名のことを指 す。.  自己顕示性格を除く他5つの性格特性は、平均値及び標準偏差共一般学生と 7.

(14) ほとんど差が見られない。理系学生の自己顕示性格における平均値が、一般学. 生よりやや高めになっているが、これは、一般学生の調査が15年ほど前に実 施されたもので、「自己顕示」には「未熟で幼稚な性格jや「自己中心的でわ がままである」が含まれることから判断すると、理系学生の問題の値は、今日 の若者の性格を正しく反映していると考えられよう。. 表1 SPI性格検査の平均値と標準偏差値 一般学生 m鷹1496 自閉性格 神経過敏性格 自己不完金性格 執着性格 同調蘇我 自己顕示性格. @M. 一般学生. @SD. 6.15. 422. 6.12. 10.43. 理系学生 m麗80. @M. 理系学生. @SD. 6.91. 451. 3.90. 6.79. 3.60. 556. i1,09. 5.12. 7.92. 4.33. 8.33. 4.31. 12.17. 396. 11.91. 493. 8.71. 4.69. ii.06. 4.64.  さらに「理系」の説明を補うと、被験者が在学する大学の理系専攻の個別学. 力検査には、数学及び理科が各200点で課せられているが、文系専攻には、総 合問題または国語が課せられており、数学や理科の学力検査はない。.  言い換えれば、性格的には理系・文系を分ける際だった特徴には結びつかな いが、理系というどちらかといえば理系科目に強く、英語学習に対してはやや 消極的な学生のことを指す。本稿はそうした学生に英語指導をしていく上での 1つの方法をまとめた研究ということになる。. 8.

(15)          第1部 リスニング力向上に効果のあるいくつかの要素. 9.

(16) 第1章 著しい伸びを示した学生とそのクラスにみる特質と指導法. 1.本研究の背景  コミュニケーシsン重視の英語教育の普及に伴い、従来あまり重視されな かったリスニング指導にも近年やっと焦点が当てられるようになってきた。竹 蓋(1989)はこの遅れを、 「ヒアリングの科学が遅れていること」と「指導の方 策について、これならばといえるものが皆無の状態」(p.13)だからだと指摘し ている。Mendelsohn(1994)もまた、リスニングはESL(E簸glsih as a Seco簸d. Language)でも徐々に受け入れられるようになってきてはいるが、疎かにされ. た、充分教えられていない分野だと述べ、その理由を次のように説明してい る。それは、まず学習者が毎日教師の話す目標言語(target Ianguage)を聞いて. おり、 「リスニングは、敢えて教えなくても身につくものだという考えがある. こと」、次に「教師がリスニング指導に充分な自信を感じていないこと」、そ して最後に「従来のリスニング教材がリスニング指導には適切でないこと」 (p.エ0)の3点をあげている。.  理論面では、リスニングのプロセスやメカニズム、他の技能との関係、母国 語を聞くこととの比較などの点についてDunkel(1991)、小池編(1993)、 Rost (1994)、吉田(1995)、岡(!996)がかなり具体的な解説を行うに至っている。し. かしながら指導論とその研究に関しては、一般的な教材論、教室内での指導論 (例えば、プリリスニング(pre−listening)の必要性)、教育機器の活用法、そ. して評価論などが主体で、学習者の視点に立った指導論については、ほとんど 明らかにされていない。.  そこで本研究では、大学生に1年闇市販の副教材およびポピュラーソングの 空所補充練習問題を使用し、リスニング指導を行った後、その中から他の者と 比べて顕著に伸びた学生を抽出し、このような学生が意識的に、あるいは無意 識のうちにどのような学習法やリスニングのストラテジーを用い、どういつだ 指導法を好むのかその共通点を考察した。. 10.

(17) 2.目的 (1)4月から12月までの間にリスニング能力が顕著に伸びた学生の特質を知  る.    i.他の学生と比べて特別な学習を行ったか.   ii.どのような学習法を用いたか   iii.どの学習法で向上したか. (2)上記の学生にとって教材はどのような役割を果たしていたか    i.教材のレベルについて(適切であったか).   ii.内容について(興味を引くものであったか)   iii。その教材の指導法について. (3)クラスの雰囲気(緊張感の有無あるいはリラックス度)はリスニング向 上とどのような関係にあるのか (4)教室風土の特徴. (5)学生の立場からみて効果的だと考えられる指導法. 3,方法. 3.1被験者  公立大学の英語を必修として受講している1年生2クラス計85名。これら の学生は、基礎科目としてこの英語を週1回受講し、さらにもう!時間英語を 母国語とする講師による英会話のクラスを受講。このクラス編成は、種目別や 習熟度別でなく単に学籍簿順に割り当てられたものである。.    Aクラス(理系):47名     Bクラス(文系):38名. 3.2手順  (1) r教材」.  副教材はLIFESTYLES∫ひ5. aηd Jaρan. Vance鷺. J ohnsoR.(Macmillan. Language House)を使用した。この教材は、日本と米国の学生生活や余暇の過 ごし均等、身近な話題から社会問題まで広範囲に渡り比較した20章から構成さ れている。最初のページには内容についての理解力を問う問題、次のページに はその比較を数字(パーセント)で聞き取る練習から成り立っており、毎回提出. するのに便利なように切り取り線が付いている。1994年発行のこの教材は、新 しい情報が期待できること、筆者自身聞いてみて大変興味を持ったこと(例え. ll.

(18) ば日本と米国の大学生は一日をどのように過ごすのか、その行動の比較)、最 初に絵や図が多く掲載されているので、ある程度内容の予測が可能なこと、そ して話す速度が自然であることで選択した。 (2) 「授業内容」.  毎回30分から40分上記の副教材や、筆者作成によるポピュラーソングの空所 補充練習のワー・一・一クシートを用いて、リスニングの授業を1年間行った。後半の. 50から60分はリーディングに当て、両クラスとも教科書は違うが、主に異文化 理解の内容を要約することに重点をおいて指導した。最初の計画では、毎回副 教材を使用しようとしたが、学生のレベルよりかなり難しい教材だとわかり、. ポピュラーソングのワークシートを隔週導入することにした。これは、英語の. 歌を聴きながら、空所を埋める練習のことで、1つの歌に学生の聞き取りやす い、文脈からある程度推測できそうな単語を15前後選び、その単語を空所にし た。副教材は、できるだけ学生の身近な、そして興味のある章を適宜選び、す. べての章を順に終えたわけではない。また2つのクラスの専攻が全く違うの で、このことも考慮に入れ、時には別々の章を選択した。今回は内容の性格 上、また時間の関係でプリリスニングよりもポストリスニング(post−listening). に重点を置き、内容からまたは数字から何が読み取れるのか、日本と米国との 違いは何か等答え合わせの後話し合う機会を設けた。そして、学生が何かコメ ントを発表すれば加点することにし、学生の積極性に期待した。.  副教材は、毎回!◎0から!50語程度の日米を比較した説明文、及びそれに対. する質問を3回聞かせた。1回目はおおよその内容を掴み、どんな質問に答え るのかに注意をはらうこと、2回目には質悶に答えること、そして3回目は答 の見直しができるようにと指示を与えた。パーセントを聞き取る問題は数字を. 書き込むだけなので、ここでは内容を2回だけ聞かせた。この手順をできるだ け守ったが、時には学生の様子をみて、難しいと思われる章では1回余分に聞. かせた。この後答え合わせを行ったが、答は学生が自主的に発表する形態を 取った。最後にもう1度全体を聞かせ、この時「どうして間違えたのか、どこ を見落としていたのか注意して聞くように」と指示した。そして学生が答えら れなかった質問に対しては、テープを止めて解答の説明をした。ポストリスニ ングでは、上記に述べたような内容に対するコメントや、本文に関する質問と は特に関係ないことで気がついたことなど、自由に発言させた。これが点数に. 12.

(19) つながるからか、あるいは学生の身近な話題であるためか、時には10名近くの 学生が様々な意見を述べた。内容によってはあまり反応のない場合もあった。 毎回20∼25点を満点とし提出する形をとったが、これが学生達の出席点となる ことを最初の授業で詳しく説明した。  (3) f調査方法」. 1.聴解力テスト.  大学英語教育学会(JACET)作成の 「英語基礎聴解力標準テスト」を使用 した。これは、日本の大学生の基礎的な英語の聴解力を試すために開発された もので、今日の大学生の実態を踏まえた上で難易度が設定されている。時令的. にも約40分で終了できるし、年2回春と秋に実施されているので、学生の習熟. 度が測定できることが選択理由である。テストはTOEICのように4つの部分か ら構成されており(各part!0問ずつ)、全問4肢選択となっている。以下に具 体的なテスト内容を示した。尚、このテストの信頼性係数(Cronbach Alpha) は、JACETのマニュアルによればαmO.880であり、標準測定誤差は2.654であ る。.  Part 1:絵や写真を見ながら、内容の一致するものを選ぶ問題  Part・2:質問を聞いて、その答を選ぶ問題.  Part・3:2人の対話を聞いて、それに関する質問に答える問題  Part 4:少し長めの説明文を聞いて、その内容に関する質問に答える問題 ii.実施. 事前テスト:Form Aを1995年4月中旬 (学期が始まって2回目の授業中) 事後テスト:Form Bを1995年12月初旬 (4.月から数えて22回目の授業中) iii.アンケート調査.  1年終了時(1996年2月)全員に上記目的に照らしたアンケートを実施し、そ の中で顕著に伸びた学生がクラス全体、または伸びなかった学生(事後テスト が事前テストより悪かったもの)と比較して、どのような学習法やリスニング のストラテジー一、または指導法で効果をあげたのかその共通点を分析した。. 13.

(20) 3 3JACET事前テスト及び事後テストの結果 (1) 全体での平均点及び標準偏差.        表1−1全体の平均点及び標準偏差(n=85) 平均値. 標準偏差. 最小値. 最大値. 4月. 4652. 7.71. 31.00. 66.00. 12月. 51.35. 7.96. 35.00. 71.00. 平均差. 平均差のp値(t検定). 4.83. p<0.001. 表1−1は、全体の平均点とその標準偏差である。得点は、開拓社JACET係 より返送されてきた標準点を使用した。顕著に伸びた学生とは、度数分布グラ. フ(図1−1)により11点以上の伸びを示した学生と定義し、17名を抽出し た。. (なお、4月の標準点のヒストグラムはほぼ正規分布を示していた). Fo 5 2 2O1 (人). 10. ﹁O. 0 ・10  −6.4  −2.9  0.7  47  7.8  11.3  14・9  18・4  (点). 図1−1 4月から12月までの得点の伸びを示す. 上記学生の4月のJACET評定によるSABCDの内訳は次の通りである。   A(上位24%)1名 B(上位38%)2名 C(下位24%)11名              D(下位7%)3名. 14.

(21) (2)クラス別にみたJACET事前テスト及び事後テストの結果. 表1−2 JACETテスト Aクラス 理系(n謹47) 平均値. 標準偏差. 4月. 46.21. 7。78   31.00   …. 12月. 52.47. 7.47. 最大値. 最小値. 平均差i平均差のp値α検定). 66.00. 40.00. 71.00. p〈0.001. 6.26. 表1−3 JACETテストBクラス文系(n篇38) 平均値. 標準偏差. 最小値. 最大値. 4月. 46.89. 750. 32.00. 64.00. 12月. 49.97. 8.23. 45.00. 66.00. 平均差. 3.08. 平均差のp値(鹸定). p<0.014. Aクラス、Bクラスというクラス別の平均値等は当初計画されていなかった が、分析をしているうちに全く同じ指導法で、同じ教材を使用したにもかかわ らず、4月の平均点(t検定の結果p値は0.69)はほとんど変わらなかったにもか かわらず、事後テストの平均差(t検定の結果p値はO.15)に有意差はなかったも. ののあまりに開きがあったので、このようにクラス別に分け、クラス内での特 質についても考察することにした。尚、Aクラスのピアソンの相関は0.64、 Bク ラスのそれはO.77であった。. 15.

(22) 4.. アンケート結果と考察. る. (1)  4月から12月までの間にリスニング能力が顕著に伸びた学生の特質を知. 顕著に伸びた(n・ 13) 伸びなかった(n・・ 6). 全体(nm38) 顕著に伸びた(n ・4). 伸びなかった(n=11). いいえ. ︵∠ 2 ︵∠. Bクラス. ヘ. 全体(n竺47). ク5 5 今﹂. Aクラス. レ% %% %3 %%657 ま 1 4. i.授業以外に特別な勉強をしましたか. 4990 46% 6790 74% 75 90. 7390. ii.特別な勉強とは具体的に何ですか。(記述のない場合はそれぞれ1名を表す). ・ラジオの英会話講座を毎日(20分)聴いたし、時々市販の英語のテープも聴  いた。. ・テレビやラジオの英会話講座を毎日ではないが、見たり聴いたりした。. ・自分が持っている英会話テープを繰り返し何度も聴いたし、授業中に聴いた  歌のテープを家で何度も聴いた。. ・不定期だができるだけ時間を取って、英語の曲のCDを聴いた。 ・週3回ラジオの英会話講座を聴いた。 ・特に決まっていないが、英語の歌を聴くようになった。 (2名) ・ゆっくりとした発音の英語の歌を集中して聴いた。. iii.あなたの伸びた理由は何だと思いますか。(記述のない場合はそれぞれ1名を 表す). a。毎週リスニングのテストがあったからだと思うし、歌のリスニングが楽し  かったのでやる気が出たのだと思う。 b.今まで聴かなかった洋楽を聴くようになり、その歌詞があればそれを見なが  ら聴いたから。. c.英語の雑誌を読んだり、英語の歌を頻繁に聴くようになり、英語に対しての  苦手意識を薄めていこうとしたから。 d.英語の歌が好きになった。英語に慣れた。英語に抵抗がなくなった。. 16.

(23) e.授業で自分のリスニング能力の弱さを感じたので、洋楽を聴く時単語を意識  して聴いたり、映画も必ず字幕を見て英語の理解に努めたから。 £少しずつリスニングのこつがわかってきたため。. g.授業中のリスニングに興味を持って聴いていたから力がついたのだと思う。 h.高校時代はリスニングに縁がなかったが、大学の授業でリスニングをするよ  うになったので、伸びたのだと思う。 (2名). i.今まで見なかった洋画を英語で見るようになったし、聞き流していた洋楽  は、歌詞カードを見て意味を考えたりした。 (3名). 1.授業中の歌などで英会話そのものに興味を持ち、英語を話せ聞けるようにな  りたいと思うようになったこと。 (2名).  リスニングは「浴びる」ように聞く必要があるのに、わが国の学校教育で は、その指導のための時閥があまりに少な過ぎると竹蓋(1984:106)は述べて. いるが、この結果からみる限り、顕著に伸びた学生や得点を伸ばしたAクラス にも、時間と伸びとの有意な相関関係は認められなかった。それよりもむしろ 吉田研作(1989:5)が指摘しているように、英語の「洪水」に浸るだけではダ メで、認知的にも情緒的にも最も「適切なインプット」 (p.7)、つまり、自分. のレベルにあった、興味を持てる内容に出会って初めて「やる気」が出、 「向. 上」がみられるのではないだろうか。これは特別な学習をし、ひたすら「聞い た」学生があまりいないにもかかわらず、伸びた理由の最も多いのが「興味を 持った」や「楽しかったから」 (!4野中5名一a.d.gJ,)であるのをみても明ら かである。.  また、伸びた学生は楽しみながら自分の勉強法を見つけ(例えばb.やi.の聞. き流していた洋楽は、歌詞カードを見て意味を考えるようになったや、c.のよ うに映画は字幕を見て理解できるように努めた)、それが向上につながったと いうこともできる。これらb.i.やe.の学習法は、0)rford(1990)のストラテ ジー分類法に従えば、認知的ストラテジー(cognitive strategies)に属し、リス. ニングのfこつがわかってきた」を理由にあげた学生は、具体的な記述がない. ので断定できないが、学び方を発見したという点でメタ認知的ストラテジー (matacognltive strategies)の範型に入るといえよう。.  ここで言えることは、リスニングは量を聞くことも大切であろうが、それ以. 17.

(24) 上に情意面を考慮する必要があるということである。そのためには、毎回教材 を使用し、リスニング練習を行うよりも、むしろ時には学習者が興味を持ち、. 楽しみながらリスニングのできるポピュラーソングの空所補充練習などが、有 用であろう。. (2)教材は顕著に伸びた学生にとってどのような役割を果たしているか  1.レベルについて(「易しかった」及び「非常に易しかった」項を選んだ者は いなったので省略).              表1−4 教材のレベル        i. 嘱榾難しかった  難しかった. 丁度よかった. 4%      53%. 43%. 54%. 46%. O%      67%. 33%. Aクラス全体(n=47). 顕著に伸びた. 0%.     {. 伸びなかった Bクラス全体(n =38). 13%. 47%. 40%. 顕著に伸びた. 0%. 50%. 50%. 伸びなかった. 18%. 64%      18%. ii.内容について. (「全く興味を持たなかった」を選んだ者はいなかったので省略).           表!−5 教材の内容 非常に興味を興味を持った. 揩チた i. どちらでもな あまり興味を持 い @     たなかった. Aクラス全体(R= 47). 11%. 76%. 11%. 2%. 顕著に伸びた. 8%. 76%. 16%. 0%. 伸びなかった. 17%. 83%. ◎%. 0%. Bクラス全体(n篇38). 19%. 76%. 5%. 0%. 顕著に伸びた. 25%. 75%. 0%. 0%. 伸びなかった. 27%. 73%. 0%. 0%. 18.

(25) iii.指導法について. (「全く効果的ではなかった」を選んだ者はいなかったので省略).             表1−6 指導法 非常に効果的. 効果的だった. 「. セった Aクラ栓体侮47) 顕著に伸びた 伸びなかった Bクラス全体(n灘38). 21%. どちらでもな …あまり効果的. ではなかった. 15%  1  0%. 64%.     ヨ. Q3%    54%. 23%. 0%. 17%    66%    ヨ. 17%. 0%. 5%          82%          11%. 2%. 顕著に伸びた.     i n%     100%. 0%. 0%. 伸びなかった. 9%    ;. 82%. 9%. 0%. 竹蓋(1984)は、教材の精選の項で「教材の作成、提示にあたって最も大切な ことのひとつは、あまり難しくもなく、またあまり易しすぎもしないことであ る」 (p.148)と言っているが、伸びなかった学生の「非常に難しかった」「難. しかった」を選んだ率が一一as多かったこと、著しい伸びを示した学生の「ちょ. うど良かった」が最も多かったことから考えても、これは的を射た指摘であろ う。しかし、教材の内容についてのアンケート結果をみると、伸びなかった学 生の「非常に興味を持った」、「興味を持った」の率が一番高いことや、顕著 に伸びた学生の中に「どちらでもない」が16%いることから判断すると、ある 程度内容に興味や関心があれば教材としては適切とみて良いのかもしれない。 言い…換えれば、教材を選ぶ場合、まず学生のレベルを重視し、現在の彼らの実. 力より少し難しいものを考えながら、次に内容についてできるだけ学生の興味 や関心のあるものを選択すると良い、といえるのではないだろうか。もちろん 我々が母国語で話しを聞く場合でも、興味のない話題は聞きたくないことを考 えた場合、教材の内容選びには充分慎重を期する必要がある。 指導法に関しては、大半(85%)が効果的だったと感じていることから、総括 の部分にあたる教育的示唆の項で、改めて述べたい。 19.

(26) (3)クラスの雰囲気について.             表1−7授業中の緊張度 非常にリラッ. Nスしていた. リラックスして. どちらでも. 緊張して. 「た. ネい. 「た. Aクラ栓体(n :47). 4%. 顕著に伸びた. 0%. 伸びなかった. 17%. 0%. Bクラ錐体(・・37). 0%. 34%. 19%. 非常に緊張 オていた. 41%. 2%. 46%. 8%. 17%. 66%. 0%. 16%    35%. 43%. 6%. 顕著に伸びた. 0% ・%{25%. 50%. 25%. 伸びなかった. 0%. 27%. 9%.     115%    3隻%. 27%. 37%. 一般的に、語学の教室での緊張感(tension)や不安感(language anxiety)は他. の教科より高いと言われ、これが大き過ぎると学習の妨げになるといわれてい る(Horwitz et aL,1991;Price,1991;Maclntyre&Gardner,1991)。 Price(1991). は、米国で自分の教えているフランス語の学生にインタビューを行った結果、. 受講者が最も不安に感じることは、クラスメイトの前でL2(この場合はフラン ス語)を話すこと、次に発音で間違いをすること、そして効果的にL2で話すこ とができないことだと報告しているが、この場合すべてがスピーキングに関す る不安感である。このアンケート結果から見ると、リスニングのようにあまり 「できばえ」(performance)を披露する作業でないにもかかわらず、ある程度 の緊張感が伴っていることがわかる。.  しかしながら、学生のアンケート結果をみると、顕著に伸びた学生に「緊張 していた」、 「非常に緊張していた」が多く、伸びなかったグループに「非常 にリラックスしていた」、 「リラックスしていた」が多いことにも気づく。. Scovel(1991)によれば、不安感にも2種類あり、1つは意欲を抑制する抑制的 不安  (debilitating anxiety)と、もう1つは意欲を高揚させる促進的不安 (facilitating anxiety)で、不安感が助けになるのか妨害となるかは、その個人の. 資質によることが多いということである。リチャード・アマト(1993)が指摘し 20.

(27) ているように、あまりリラックスし過ぎるとその個人を不活発な状態にし、 少々の緊張感はむしろその個人を最適に気の張った状態にしているのかもしれ ない(p.62)。いずれにしろ、著しい伸びを示した学生の半数が「緊張してい た」と答えているのは、促進的不安(facilitating anxiety)が、適度な緊張感を学. 習者に与えたと推測してよいだろう。. (4)このクラスで気がついたこと(教室風土の特徴). ・クラスの雰囲気が良かったし、楽しかった ・クラスが積極的で良かった. ・適度な緊張感があり、授業のやり方が良かった ・テキストから色々なことを考えることができた Bクラス  (記述のあった学生のみ). 名名罪名 9 721. Aクラス(記述のあった学生のみ). ・積極的でなかった. 10名. ・和やかなクラスでよかった. 4名. ・緊張感があり過ぎた. 4名. ・いい刺激になった. 3名.  AクラスとBクラスの最も異なるところは、Aクラスが「積極的で良かっ た」、 「雰囲気が良かったし、楽しかった」に対して、Bクラスは、 「積極的. でなかった」、 「緊張感があり過ぎた」と対照的なことを書いているところで ある。Ely(1986)は、スペイン語を受講している大学生75名を被験者にして、 教室内での不安感や緊張感(discomfort)、危険を冒すこと(risk−taking)、打ち 解けた教室内の雰囲気(sociability)、授業への参加(participation)、そしてスペ. イン語の上達度(proficien(のとの関係を調べた。そして、教室内で敢えて危険:. を冒すことが授業への積極的参加を予測し、ひいては上達度につながるという 結果を得た。反対に教室内での不安感は、敢えては危険を冒さず、打ち解けた 教室内の雰囲気を作らず、それが授業への積極的参加に否定的に影響すると述. べている。これは、単に危険を冒せばそれで授業への積極的参加が可能にな り、L2が上達するというのではなく、まず学習者が教室内で安心して危険を 冒すことができる心理的に不安のない環境を作ること、そこで初めて彼らは授. 21.

(28) 業への積極的参加ができるとEly(p.23)は結んでいる。. このアンケート結果をみても、Bクラスは緊張感があり過ぎたために、積極 的になれず語学習得で大切な「危険を冒す」ことも敢えてしなかった(できな. かった)。それが、この結果につながったと推測できる。Aクラスにも緊張感 はあったが、同時に打ち解けた雰囲気もあり、それが学生を積極的にし、上達 に結びついたのであろう。. (5)全員のアンケートによる効果的だと思った指導法 (*印は顕著に伸び た学生の答). Aクラス ・歌の穴埋めは興味も持てるし、友人と相談できるので楽しかった また文の構成も考えるようになった. 12名**. ・教材の内容がおもしろかった.  6名**. ・3回繰り返しテープが聴けるので集中できた.  3名. ・点数にでるので上達するのがわかった.  2名*. ・発言しないといけなかったので自主的でよかった.  2名*. ・どこに注意して聞き取ったら良いのかわかってきた.  2名*. ・毎週テストがあったので、引き締まって勉強できた.  1名*. ・答え合わせの後でもう1度聴けたところ.  1名*. ・時間の配分が非常に良かった.  1名*. ・刺激のある、気持ちの良い雰囲気だった.  1名. Bクラス ・歌の穴埋めは楽しかったし、その選曲も良かった    13名 ・何度も聴くことができたので、大まかなことがわかるようになった3名** ・興味のある題材が多かった. 3名. ・毎回リスニングのテストがあった. 2名*. ・答え合わせの後でもう1度聴けたところ. 2名. ・1回のテストではなく全体評価だった. 2名. ・テキストのレベルがちょうど良くて嫌にならなかった. 1名. ・形にとらわれない授業だった. 1名. 22.

(29) 5.教育的示唆  著しい伸びを示した学生及び大半の学生が効果的だったと答えている(2). のi、そして全体のアンケート結果(5)から効果的だと思われるリスニング 指導法を大きく3点にまとめると次のようになる。 (1)リスニング指導においても学生の中にはかなりの「緊張感」があり、それ を可能な限り少なくすること  Oxford(1993)はリスニングに生じる緊張感は、特に視覚的な学習者(visual. learner)に多く、聞いたことはすべてわからないといけないと考え、これが緊. 張感や不安感の原因になると指摘している。この緊張感を取り除く方法とし て、彼女は一語一語理解しなければリスニングは不可能ではなく、内容を推測 したり、予測することを学習者に教えることが必要だと述べている。Oxfo・rd は、さらに情意的ストラテジー(affective strategies)の使用も助言している。. これは不安や緊張感を軽減することが中心で、例えばリスニング開始時に深呼 吸をすることなどがあげられる。Graham(1997)の上級レベル学習者、特に女 性は、自分自身を励ましたり、自己への前向きな語りかけなどの情意的ストラ テジーを用いて、一時的ではあるが緊張感を和らげていると報告している。  また、教師の役割も見直す必要がある。縫部(1985)は、教室の肯定的風土を. 「暖かい、支持的、信頼的、自由で安全な、非脅威的、許容的、非評価的」 (p.88)だと述べているが、このような教室風土を形成するには、従来の権威的. な教師の役割は学生を萎縮させるだけであろう。D6rnyei(1996)は「学習者を 動機づける10訓」(Ten Commandme嶽ts for Mo伽ating Language Lear簸ers)の. なかでその4項目までを「快適で、友好的な雰囲気を作る」、 「ユーモア、楽 しみやゲームを授業に取り入れる」、 「肯定的なフィードバック(feedback). や励ましによって学習者の自信を育てる」、「学習者との問の信頼関係を培 う」と情意面の動機づけに与える影響力を強調している。.  Price(1991)のインタビューした学生達も、緊張感を少なくするために、次の ような事項を教師に求めている。それは、できるだけペアー(pair)か、小人数 でのタスク(task)がいいこと、クラス内でお互いをよく知ることはそれだけリ. ラックスできること、学習者には多くの励ましが必要なこと、間違いをするこ との大切さを折につけ思い出させてくれること、そして教師は、権威的である. 23.

(30) よりもむしろ学習者を助ける友人のようであって欲しい(p.107)と、特に最後 の教師の役割について強く望んでいる。. (2)ポピュラーソングの空所補充練習は、動機づけや打ち解けた雰囲気作りに は非常に効果のあること.  効果的だと思った指導法のアンケート結果(記述式)で最も多かったのが、 ポピュラーソングの空所補充練習で、両クラスとも30%近くが楽しかったし、. 興味も持てると書いている。聞きやすい、できるだけ学生の知っている最近の 曲を選んだこと、そしてお互いに答を相談できたことが、 「楽しかった」とい. う結果につながったのであろう。この練習を時には10∼15人を一つのグループ とするグループ対抗にし、各グループが答を黒板に書き、その正解により点数 を競う方法を筆者は時々行っている。これは、グループ内でお互いが答を相談 し合い、その中でただ耳から聞くだけでなく、文脈からそして歌の内容から空 所を埋めるという認知的ストラテジー(congnitive strategies)を学ぶことも可. 能となるし(文の構成を考えるようになったというコメントは、学生自身がリ スニングの過程で、自然にこれらのストラテジーを身につけたことを示してい る)、グループで話し合うことにより、交友的雰囲気や協調性も生まれ、緊張 感を軽減する役割も果たすことになるであろう。このグループ活動をできるだ. け早い時期(4月や5月)に多く行い、学生がお互いに知り合う機会になれ ば、打ち解けた雰囲気作りにもなる。. (3)ある程度長い英文を聞かせる場合は、同じ内容を2、3度聞かせると効果 のあること.  この場合、始めの段階で学習者に3回聞くことができることを伝えておけ ば、聞き手は最初に大まかな内容を掴み、2回目にはそれを補い、最後にはよ. り具体的に内容を聞くことができるようになるであろう。TOEICやTOEFLの ようなテストが1回のみのリスニングで評価されるにもかかわらず、何度も内 容を聞かせることに筆者は不安を抱いていたが、学生の反応は、何回も聞くこ とにより彼等自身聞き取りの「こつ」のようなものを習得したようである。ま. た予め3回聞けることを知っていれば、1回しか聞けない時のような過度な緊 張もなくなるであろう。. 24.

(31) 岡(1996)は、リスニングの授業はテストの連続という形式が多く、答え合わ. せをすることに生徒は一喜一憂する(p58)と述べ、プロダクトとしての答だけ でなく、そこに至るプロセスを重視すべきだと指摘している。答え合わせが終 りそれで終ったのではなく、最後にどうして間違えたのか、次回聞く時にはど こに注意したらよいのか気をつけながら聞く機会を与えることも、大切な指導 法であろう。. 6.この章のまとめ  リスニング向上に効果のある要因を、著しい伸びを示した学習者とそのクラ スを中心にまとめた。彼らの多くが、毎日ラジオやテレビの英会話講座をひた すら聴いたというよりは、むしろ授業で使用したポピュラーソングの空所補充 練習でリスニングを楽しいと感じたり、毎回のリスニングの授業で英語自体に 興味を持つようになり、それが動機づけとなったと自分の伸びた理由について. 述べている。そして打ち解けた雰囲気のAクラスに、そのように著しい伸びを 示した学生が30%近くいたことは、いかに教室風土が言語習得と関係している かを如実に示している。可能な限り教室内での緊張感を排除し、学生が積極的 に授業に参加できるような雰囲気作りをすることがリスニングを始めるにあた り、まず考慮すべきことであろう。. また今回の研究では、クラスサイズについても人数の多い47名のクラスの方 が、38名のクラスよりはるかに高い伸び率を示しており、リスニングにおいて は、ある程度の人数でも指導法次第で効果が期待できることがわかった。  リスニングに関する本格的研究は、Dunkel(1991)がinfan(ty(p.445)だと表現. しているように、最近始まったばかりである。それは、McDonough(1995)の 著書Strategy and skill in leaming aforeign languageの中で㍉リーディングのストラ. テジーの項は16ページに渡り詳しく説明されているのに対し、リスニングはわ ずか15ページの解説で終わっていることからも明らかである。. 本研究は、同じ指導法でもなぜ顕著に伸びる学生がいるのか、彼等はどのよ. うな指導法を好み、どの学習法で著しい伸びを示したのか、その疑問から始 まった。被験者の少ないこと、教師の持つ指導法に対する「信条! (belief system)と学生の指導法に対する考え方の違い、金谷 編(1995)が指摘するよ. うに教師の「人柄・性格」の影響力、学習者の英語に対する「意欲j等、詳細. 25.

(32) にわたり追究することができなかったので、 この点については、さらなる研究 が必要であろう。. 26.

(33) 第2章 効果的なリスニング指導法 学習者の視点. 1. 本研究の背景.  コミュニケーション能力が重視される昨今、大学におけるリスニング教材も 数多く出版されるようになってきた。多くの教師は、日々それらの教材を使用 しながら、学習者に有効だと思われる様々な指導法を試みていると考えられる。. リチャーズ&ロックハート(2000:55)は、言語の指導は教師の視点から議 論されることが多く、教師がもっている信条、目標、態度、そして決心が指導 方法に影響するが、それと同様に、学習者にも信条や目標、態度そして決心を もって学習に臨み、それが学習結果に影響すると述べている。.  それでは、教師が日頃効果があると思い用いているリスニング指導法を、学. 習者はどのように感じているのであろうか。そして、1年闇でリスニングカが 伸長した者とそうでない者、また習熟度の異なる者は、特定の指導法に対する 見方にどのような違いがあるのであろうか。本研究は、こうした点を学習者の 視点から考察し、それらがリスニング指導法に与える示唆について論じる。. 2. 本研究. 2.1 目的  武井ら(2002)は、リスニングの学習と指導を、「音声の聞き取りに関する研. 究」、「内容理解に関する研究」、そして「その他」のCAI・CALL等に関す る研究という3つの分野に分類している。しかし、その中で事前情報のような プリリスニング活動の研究については述べているが、ポストリスニング活動に. 関しての指導法には何の言及もしていない。また、1章では、リスニング向上 に効果のある要素として、教室内でのいくつかの指導法を提案しているが、こ の中でプリ・ポストリスニング指導についての詳細に渡る調査報告はしていな い。.  そこで、本研究は、このプリ・ポストリスニングを中心とする指導法を学習 者がどのように評価しているのかを、以下の3点から調査分析する。 27.

(34) (1)学習者にとって効果的な指導法とは何か。. (2)どのレベルの学習者にはどのような指導法が効果的か。. (3)1年間で平均点以上の伸長が見られた学習者にはどの指導法が有効か。  そして、その示唆するところをリスニング指導法という観点から検討する。. 2.2 方法 (1)被験者及び教材.  被験者は、大学で英語を必修として学んでいる2000/2001年度理系1年生の 3クラス99名からなる。この学生達のクラスは、種目別や習熟度別でなく、 単に学籍簿順に割り当てられたものである。.  授業は週1回90分で、毎回40分程、市販教材と教師手作りのポピュラーソ ングの穴埋めを交代で用いてリスニング指導を行い、残りの50分は異文化理. 解中心の読解用テキストを使用した。リスニングのテキストは、3クラス共 Cubic Listenlng, Check In, Check Out(Kiggell&Bellars,1999)を用いた。この. 教材は、その解説によればpre−intermediate(TOEIC 300−450)レベルで、日. 常会話的な題材や海外旅行をした時に役立つトピックが多く、設問には絵が多 用されている。この絵が学生の内容理解につながると考えた。さらに、録音さ れたテープは、自然な速度で場面により適度に周囲の騒音も入っており、現実 に近いものになっている。これらの点がこのテキストを選択した理由である。.  ポピュラーソングの穴埋めは、リスニング力伸長という点からすると充分な 効果は期待できないかもしれない(小栗,1996a)。しかしながら、1章の「教 育的示唆」で述べたように、学習者の意欲や情意面を考慮した場合、楽しくリ スニングができ、さらに英語に対する興味が増すと思われ、市販教材と交代で 用いた。. (2)調査方法 i.聴解力テスト.  リスニングカを測定するため、4月の第2回目の授業申に事前テストとして JACET Basic Form Aを、そして12月の2週目に事後テストとして同テスト のForm Bを実施した。結果は開拓社から送られた標準点をそのまま使用した。 28.

(35) 全体の事前テストの平均点は47.03点、事後テストのそれは51.93点で、ピア ソンの相関はO.63であった。事後テストの結果からリスニングカの伸びた学. 生51名と伸びなかった学生47名の2つのグループに分けた。これらのグルー プは、分散分析の結果、事前テストでは有意差はみられなかったが、事後テス トでは有意差(F(1,.g7)=29.78, p<O.OOI)が認められた。ここで定義した伸び. た学習者とは、事後テストの点51.93から事前テストの点47.03を引いた差4.90. を指し、四捨五入して5点以上上昇した学生のことをいう(表1−8左側)。  さらに、習熟度別にどのような違いがあるのか比較するため、これらのグル. ープとは別に能力別に上位群(平均点の47点以上)と下位群(平均点の47点 以下)に分け、そのグループの中でも1年間で伸びた学習者(5点以上)と、. そうでない学習者に分けて比較分析した(表1−8右側)。各群聚、4月の段 階では群内に有意な差は見られず、それらは同じ能力のグループとみなされる が、12月には上位群(F(1,45)・28.54,p〈0.001)でも、下位群(F〈1,5。)=36.10,. p<O.OOI)でも群内に有意差が認められ、それらは異なったグループとみるこ とができる。. 表1−8 JACET得点 上位群. 下位群. 伸びた. 伸びなかった. 伸びた. m罵47 伸びなかった. 伸びた. m篇52 伸びなかった. m諜51. @N二48. m麗22. @N麗25. m麗29. @ N罵23.   mean S月 SD. 46.12. 48.00. 52.59. 53.44. V.08. U.88. T.12. R.89.   rnea級. 55.71. 47.92. 61.23. V.19. U.84. T.48. P2月SD 分散分析.  12月 eユ97躍29.78P<0.001. 42.◎9. 52.28. R53 5152. 43.17. T.71. T.24. S.37.  12月 e145瓢2854ρ<◎.◎01. 29. 41.21. R.90.  12月 e玉5G=36.10 P〈0.◎01.

(36) ii.指導法に関するアンケート項目の実施.  次に、教師が日頃効果があると考えて、意識的に行っているリスニング指導. 法14項目に関する5段階評価による記名式アンケートを、1年最後の授業中 に実施した。以下に指導内容(学生の視点から述べたもの)とその根拠(教師. の考え)を括弧内に示す。尚、アンケートの5段階評価とは. i. 2. 3. 4. 5. 全く効果がなかった あまりなかった どちらともいえない かなり効果があった  葬常にあった. の基準によるものである。. ①毎回30∼40分りスニングがあった。  (週に1度でも毎回すれば、ある程度効果があるのではと考えた) ②リスニングの教科書と歌の穴埋めがだいたい交代であった。  (2.2教材の章を参照). ③聴く前に教科書の各問題について、どんなことをするのか説明を受けた。  (設問はすべて英語で書かれているので、クラスの中には何をやってよいの  かわからない学生がいることを発見し、1度は英語の設問をそのまま読み、  時には容易な単語に置き換えたり、わからないところがありそうな場合は、  さらにどんなことをするのか日本語でも説明するようにした). ④教科書の難しいと思われる問題は、まず鉛筆を置いて聴いた。  (最初からすぐに問題に入るのではなく、全体の内容を把握した後でもう1  度聴けば、より理解が深まると考えた). ⑤教科書の中の難しい問題は、2、3回聴いた。  (何度も聴くことにより、このレベルの内容はある程度理解できると思われ.  た。この場合、簡単な内容の問いに対しては1回のみとしたが、その時は前  もってこの問題は何回聴くということを英語で説明した。そうすれば、学習.  者は難問に遭遇した場合でも安心して、1度聞き逃しても次に聞き取れるの  ではないかと考えた。また、こうすることにより、少しでも緊張が軽減でき  るというねらいもある). ⑥教科書の中の難しい単語の説明を受けた。 30.

(37)  (全体の問題の中で、難しそうな単語については事前に説明をしたり、わか  っている学生に尋ねたりした。さらに、頻度の高いイディオムなどはその場  で各自辞書を引いて、これから聴く内容についての予備知識を与えた). ⑦リスニングの後、すぐ答え合わせをした。  (すぐ答え合わせをすることにより、自分がどれ程できたのか、またはでき.  なかったかをその時に把握することができるし、記憶の新しいうちに解答  をするのは必要だと考えた). ⑧間違えの多かった(難しい)問題については、答え合わせの後でもう一度  聴き、説明を受けた。.  (教師は学生を指名しながら答え合わせをする中で、彼らの聞違えた問題を  知ることができるので、なぜその間違えに至ったかを再度テープを聴きなが.  ら解説することにより、リスニングのプmセス段階で間違えを回避できるの  ではないかと考えた). ⑨4月置12月にテストをして、自分がどれだけ伸びたのかを知れた。  (学習者が4月の時点でどれ程の習熟度か知ることができれば、各自それぞ.  れのレベルに合った目標が立てられるし、JACET聴解力テストには得点別  にS/AIB/C/Dの評価がついており、それがどのような意味を持つのか説明  をし、12月には今より1つ上の評価を目指すように励ました) ⑩良く知っている歌が多かった。  (できるだけ学習者に馴染みのある歌を選ぶことにより、歌詞の内容にも興  味が持てるし、教室以外で聴く機会も増えるのではと考えた) ⑪歌のリスニングの時お互い相談できた。   (お互い穴埋めの答えを話し合うことにより、リスニングにはある程度推.  測も必要であり、話し合いを通して文法力や文脈から答えを予測する一種  のストラテジーの交換ができると考えた) ⑫歌の穴埋めが難しい時、ヒントがあった。   (単語の穴埋めをするとき、再度聴いてどうしても聞き取りにくい単語に.  ついては、学生の様子を見て最初の文字のみヒントを与えたり、何文字の  単語になるのか教えたりした。これにより、文脈からある程度単語を推測  することができると考えた。これらの指示はすべて英語で行った) 31.

(38) ⑬リスニングの教科書は、実際の役に立ちそうな場面が多かった。   (2.2の教材の章参照). ⑭教科書の内容について、それに関係のある異文化の身近な事柄について説   明を受けた。.   (例えば、レストランで注文する場面でのリスニングの後、実際に英語の.  メニューを準備し、それを読みながら日本での注文の仕方との違い等を解  煙したり、話し合ったりした。それにより少しでも学生の興味を引き、海  外旅行の時に役立つのではないかと考えた). 3. アンケート結果の分析と考察. 3.1 各指導法の平均値  各項目ごとに平均値(上段)を算出し、標準偏差(下段)と共に表1−9に まとめた。この表から学習者が全体的に「あまり効果がなかった」と感じた指 導法はなく、教師が意図して行っている指導法を彼らはある程度評価している ことが窺える。全体として、単語の説明やリスニングの目的を明確にするとい ったプリリスニング活動より、タスク(task)処理の結果の確認や、重要な部分. に焦点を当て再度聴くのようなポストリスニング活動を評価していると言える。 その中で特に効果があると答えた指導法は、「難しい単語の説明」、「本文を数 回聴くこと」、「リスニングの後、すぐ答え合わせをすること」と「再度聴き、. どうして間違えたのかの確認をすること」である。また、ポピュラーソングの 穴埋めの指導法では、「ヒントが役立ったこと」もあげられる。. 一方、伸びた学習者と伸びなかった学習者とを比較すると、伸びた学習者は、. どちらかと言えばアンケート項目7・8のようなポストリスニング指導法を高 く評価しているのに対して、伸びなかった学習者は、項目4のようなプリリス ニングの事前情報が効果的だったと感じている。. 32.

参照

関連したドキュメント

支援級在籍、または学習への支援が必要な中学 1 年〜 3

一貫教育ならではの ビッグブラ ザーシステム 。大学生が学生 コーチとして高等部や中学部の

 英語の関学の伝統を継承するのが「子どもと英 語」です。初等教育における英語教育に対応でき

具体的な取組の 状況とその効果 に対する評価.

 大学図書館では、教育・研究・学習をサポートする図書・資料の提供に加えて、この数年にわ

2011

今年度は 2015

授業は行っていません。このため、井口担当の 3 年生の研究演習は、2022 年度春学期に 2 コマ行います。また、井口担当の 4 年生の研究演習は、 2023 年秋学期に 2