2014年
度
兵庫教育大学大学院学位 論文
説 明的文章教材 の学習 にお ける
イ メー ジ化 のは た らき
教育内容 0方 法開発専攻
文化表現系教育コース
言語系教育分野
(国語
)M13161B岸
岡
聡
子
目 次 序章 研究の目的と方法・・
00・
・00・
・000●
●・・ 0・・ ●●●●●0・01
第1節
研究の 目的 ・・ 0・ 。・000・
・・・・・ ・・ 0。・・・・・ 。・・ 。・ 1 第2節
研究の方法・・・・・・・・・ 0・・・・・・・・・・・・・ 。・・・・ 。2
第1章
説明的文章教材の学習 におけるイメージ化000・
・・00・ 03●
●●●●3 第1節
,説明的文章教材 の学習におけるイメージ化の位置づけ と必要性・00・
0・ 3(1)説
明的文章教材の学習におけるイメージ化の位置づけ00・
・・00。
・3(2)説
明的文章教材 におけるイメージ化の必要性・・・・ 0・・・ 。・ 0・・ 5 第2節
イメージ化に必要な二つの力・ 0・・・ e・・・・ ●●0● ●00・
0・ ・ 6(1)五
感 を使 つて経験を想起す る力・・・・・ 。・・・00・
・・・・・ 。・ 6(2)類
推・想像の力・・・・・・・・・・・・ 。・・・・・ 0。・ 。・・・・ 7(3)創
造す る力・・ 0。・ 。・・・・・ 。・ 。・・・・ 。・ 。・・・・・ 。・8(4)イ
メージ化に必要な二つの力の関係0000。
・・・・・・・・・・・09
(5)授
業実践記録 に見 られ るイメージ化に必要な二つの力の関係・・・・・10
(6)第
1章
のま とめ・・・・000。
・・・・・・・ 。・ 0・・・・・・・14
第2章
イメージ化の観点から見た説明的文章教材の分類・・・・・ ●0● ●●0015
第1節
説明的文章教材における描写表現・ 。00。
・・00・
・・・・ 0。・e15
第2節
説明的文章教材 の描写表現に着 目したイメージ化のはた らき・ 。・・・016
(1)文
章構造 ごとに分類 した説明的文章教材に見 られ る描写表現 。00。
・16
(2)説
明的文章教材 の描写表現に着 日したイメージ化のはた らきの検討 。・20
(3)第
2章
のま とめ・・ 0・ ・・・・・・ ●●●●0・ 。・000・
・e.37
第3章
イメージ化のはた らきを生か した説明的文章教材の授業の構想00000・ 39
(1)イ
メージ化のはた らきを生か した説明的文章教材 の授業づ くりの観点 ● 0● ◆ ● 0● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 0●000● 39
(2)第
3章
のま とめ・・ 。・・・・ 0・ ・・・ 。・ 0。・・ 0・・・・・45
終章 研究の成果 と今後の課題 0・000・
0・・ 第 ■節 研 究の成果・ 。・0000。
・・ 0・・ 0・ ・・・・ ・・・・・・・・ ・ 第2節
今後 の課題・・ ・・ 。●●●●●●0● ●●・ ・・・・ ●●●0●・ ・・ 参考文献46
46
46
序 章 研 究 の 目的 と方法 第 1節 研 究 の 目的 本研 究 の 目的 は 、説 明的 文 章教材 の学 習 にお け るイ メー ジ化 の はた らきにつ い て分析 し、 説 明的 文 章 教材 の指 導過 程 にお い て 、 どの よ うにイ メー ジ化 を位 置 づ け る こ とが で き るか を検 討 す る こ とで あ る。 説 明的 文 章教材 を読 む ときに、論 理 構 造 を読 み とる こ と も重要 で あ るが 、書 い て あ る こ とを 目の前 に あ りあ りと思 い描 きなが ら読 む こ と、つ ま り書 い て あ る こ とをイ メー ジ化 し なが ら読 む こ とは 、 内容 を理解 す る上 で重 要 で あ る。 子 どもた ちは、 イ メー ジ化 しなが ら読 む こ とで書 かれ て い る内容 を よ り実感 を持 って認 識 す る こ とが で き る。 そ して 、抽 象 的 な 内容 の理解 で止 ま って い た もの が 、イ メー ジ化 す る こ とで具 体 的 に提 え られ る よ うにな り、内容 を よ り深 く理 解 す る こ とが で き るの で あ る。 以 前 は 、「イ メー ジ豊 か に読 み とる」 とか 、「イ メー ジ をふ く らませ な が ら読 む 」 とい うこ とは、 主 に文 学 作 品 で扱 われ てお り l、 説 明的 文 章教材 の学 習 で は 、 イ メー ジ化 は 、 ほ とん ど問題 に され る こ とが な か った2。 特 に、説 明的 文 章教材 の読解 指 導 で は、言葉 と実物 とを直接 的 、間接 的 につ き合 わせ て きた の で 、イ メー ジ化 とい うこ とは重 要 視 され て こな か っ たの で あ る。 しか し、1970年代 に入 る と、説 明 的 文 章 教 材 指 導 の研 究者 で あ る渋 谷 孝 が 、 イ メー ジ 化 の はた らきの重 要性 につ い て 主張す る よ うに な った。 渋 谷 は、説 明的 文 章教材 にお け るイ メー ジ化 と同様 の類 推 や想 像 の作用 につ い て、 次 の よ うに指摘 して い る3。 文章 を読 ん で分 か る とい うこ とは文 章 中の もの ご と と実 生活 上 の もの ご と とを対応 さ せ て確 認 す る こ とで は ない。 科 学 読 み物 を読 み とつて分 か る とい うこ とは 、学 習者 が 既 有 の体験 的知 識や 考 え を基盤 と して (文章 中 の こ とば に対 応 す る事 実や 現 象 につ い て知 って い る ものが あ る とい うこ と
)未
知 の こ とを類 推 で き、想 像 で き る とい うこ と で あ る。 渋 谷 が指 摘 して い る よ うに、説 明的 文 章教材 の学 習 にお け るイ メー ジ化 とは 、既 得 の体 験 的 知 見 を基礎 と して 、未 知 の もの ご とを想 像 また は類 推 す る とい うこ とで あ る。そ して 、 渋谷 は 、説 明的 文 章 教材 の学 習 で 、想 像 の はた らきが正 しく取 り上 げ られ なか つた の は誤 りで あ る と主 張 して い る .。 つ ま り、表 現 に着 日し、具体 的 に想 像す る こ とを しない よ う な説 明的 文 章教材 の学 習 を否 定 して い るの で あ る。 したが つて 、説 明的文 章教材 の学 習指 導 にお い て も、イ メー ジ化 は重 要 な要 素 の一 つ な の で あ る。1
深川明子『イメージを育てる読み』明治図書、19872
有定稔雄『 イメージ化の読み』明治図書、19763
渋谷孝『説明的文章の教材本質論』明治図書、1984、 p.1284
渋谷孝『説明的文章の教材研究論』明治図書、1973、 p.271そ の後 、渋谷 の他 に も、小 田迪夫5、 長崎伸仁6等、説 明的文章教材指 導 の研 究者 達が、 イ メー ジ化 のはた らきの重要性 を指摘す るよ うになった。 その一方 、研究者等に よつて、イ メー ジ化 のはた らきや イメー ジ化のはた らきの重要性 は明 らかに され て きたが、 どの よ うな表現 を提 え、 どの よ うに扱 うこ とがイ メー ジ化 のは た らきを生かす こ とにな るのか 、 とい う具体的 な点 は明 らか に され ていない。 したがって、説 明的文章教材 の指導 において、イ メー ジ化 のはた らきを具体的 に捉 え、 イ メー ジ化 の どのよ うな力 をはた らかせ ることが可能 なのか とい うことを明 らかにす る必 要が ある。 第2節 研究 の方法 文章 を読 んで理解す る とい うことは、頭 の中に書 いてあ ることのイ メー ジを思 い浮 かベ るこ とである。つ ま り、子 どもた ちが説 明的文章 を読 んで理解 す るこ とがで きない とい う こ とは、書いてあることのイメー ジ化 ができていない とい うことである 7。 したが って、 教師 の支援 の一つ と してイ メー ジ化 させ る ことを重視 し、次 の よ うな方法で研 究 を進 めた。 まず 、先行研 究 を基 に、説 明的文章教材 の学習 にお いて、イ メー ジ化す るために必要 な はた らきを明 らかにす る。 説 明的文章教材 の学習 にお けるイ メー ジ化 のはた らきについては、井 上尚美 、植 山俊宏 、 小 田迪夫 、倉澤栄吉 、渋谷孝、長崎伸仁 、百瀬澄雄 等 が言及 してい る。 これ らの研 究者 の イ メー ジ化 に関す る見解 を整理す ることで、 どのよ うな捉 え方がな されているのか検討す る。 また、説 明的文章教材 では、 どの よ うな表現 に着 目す ることが、イメー ジ化 をはた ら かせ るこ とを可能 にす るのかを明 らかにす る。 説 明的文章教材 は、筆者 の主張が述べ られ た もので ある。 したがつて、説 明的文章教材 の学習 では、「は じめ―中―おわ り」 の論理構 造 を見てい く必要 がある。 それ と同時 に、 イ メー ジをふ くらませ る こ とが可能 な描 写表 現 を見てい く必要 もある。 そ こで 、平成 23 年度版 国語科教科 書 (東京 書籍
)の
説 明的文 章教材 を対象 と し、「は じめ ―中 ―お わ り」 とい う文章構造 の どこにご どの よ うな描写表現 が存在 し、 どの よ うな特徴 的なはた らきを す るのかを明 らかにす る。 そ して、明 らか となつた描写表現 の特徴 的なはた らきを基 に、イ メー ジ化 のはた らきを 生か した授 業づ く りをす るための観 点 を提案す る。 5 6 7 小 田迪 夫 長 崎 伸 仁 倉 澤栄 吉 p.129 『説明的文章教材の授業改革論』明治図書、1986 『新 しく拓 く説明的文章の授業』明治図書、1997 『倉澤栄吉国語教育全集H情
報化社会における読解読書指導』角川書店、1987、第
1章
説明的文章教材の学習におけるイメージ化 本章においては、先行研究 を基に説明的文章教材 におけるイメージ化のはた らきについ て考察す る。そ して、授業実践記録 を基にイメージ化のはた らきに必要な力が、学習過程 の中で、 どのようにはた らいているのかを考察す る。 第1節 説明的文章教材の学習におけるイメージ化の位置づけと必要性 説明的文章教材の学習において、イメージ化は、 どのよ うに位置づけ られてきたのだろ うか。 ここでは、井上尚美、植 山俊宏、小 田迪夫、倉澤栄吉、渋谷孝、長崎伸仁、百瀬澄 雄の説明的文章教材 のイメージ化に関す る見解 を整理す ることで、説明的文章教材 におけ るイ メージ化が、 どのよ うな捉 え方 をなされていたのかを検討す る。(1)説
明的文章教材の学習におけるイメージ化の位置づけ 説明的文章は筆者の主張が述べ られた文章である。そのために、説明的文章教材の学習 では、文章の論理構造を読み とらせ ることに重点が置かれてきた。 しか し、このよ うな論理構造を読み とらせ るような学習は、画一的な指導につながるこ とが多 く、子 どもたちは文章中の言葉 を組み替えることだけに意識が向いて しまい、文章 を一語一語丁寧に読んだ り理解 した りしたことにはな らないのではないか と考える。 植 山俊宏は、このような学習 を 「ことば」 と「ことば」の関係で読みを行わせ よ うとし てい ると指摘 し、以下のよ うに述べている1。 小学校段階を例にとつて考えてみる。低学年の場合は、む しろことばは、事物 とつな げて とらえる、それができない場合(実物が簡単に近 くできない場合)に
は、できる だけかみ砕いて とらえる、類似例で補強(類比)し て とらえる、対比 して とらえる、な どの丁寧なことばの理解の過程が必要であろ う。ついで、事象・ 事実の理解、 さらに それにす じみちや判断が加味 された表現を理解す ることに応用 してい く。す じみち(論 理)の理解は、具体的な事物・ 事象 に支 えられ ることによらて、納得 の判断を経て定 着す るだろ う6低
学年は、この能力の育成 を重視する段階だろ う。 こ うい う言葉の実 感的な理解の経験や習慣の形成抜きに中 0高 学年において、説明的文章の学習を行つ てもことばか らことばへ と渡つてい くことを操作す る、実感の薄い学習の成果 しか得 られな くなるだろ う。 植 山俊宏は、低学年の段階か ら言葉 を実感的に提 えさせ ることが重要であ り、そのよ う な実感 を持った読みを積み重ねることが、中 0高 学年において論理を理解す ることに繋が ると主張 している。1
植山俊宏 「言語論理の教育一説明的文章学習による論理的認識力育成の実説―」田近 洵一『 国語教育の再生 と創造-21世
紀へ発信する17の提言一』教育出版、1996、 pp■ “ - 165同様 に、渋谷孝は説明的文章の学習では、読み手 と無関係な文章内容 をいかに して読み 手の経験 と結びつ けるかが重要であると主張 している
1ま
た、小 田迪夫は、説明的文章 教材の指導に望まれ ることは、読み手学習者の教材文体への感応力を増幅 させ るような読 ませ方 を工夫することだ と述べているtさ
らに、井上尚美は言葉 と経験を結びつ けるこ とにういて次のよ うに指摘 している4。 子 どもは、生活の中で色々経験 したことを言語によつて意識化 し、さらに抽象化・ 一般化することによってそれを知識・ (科学的)概念 として頭 の中に定着 させ る。'そ し て今度は逆にそれを具体的な経験の場に下ろして適用・ 応用するとい う往復作業を活 発 に行 う。その往復作業が思考操作にほかならないのである。 そ してその往復作業は、ほとん どの場合、イ メージを伴つているとい うことを忘れ てはな らない。 上の記述 によると、子 どもは、経験 したことを言語 として意識化 し、抽象化 。一般化す ることによって知識・ 概念 として捉 えている。そ して、理解す るためには、抽象化 。一般 化 された知識 を具体的な経験の場に下ろして考えることが必要であ り、またt経
験 したこ とを言葉によつて抽象化・ 一般化す ることが必要だ とい うことである。 教科書に書いてある文章表現や言葉は、筆者が主張 したいことを抽象化0-般
化 して表 したものである。文章の内容 を理解す るためには、書かれている表現や言葉 を具体的な生 活の場面や経験、読み手が過去経験によって持っているイメージに適用 させて考 えること が内容の理解につながるとい うことである。 したがつて、教材 に書かれている言葉や内容 について、それが具体的には どうい うことなのか、子 どもたちが 自分の経験をもとにイメ ージして考えることが重要なのである。 上記の研究者 らの主張か らt説
明的文章教材 の学習では、書かれていることを自らの経 験 と結びつけ、具体的にイメージしなが ら読むことが重要であ り、このよ うな読みが文章 の論理 を理解す ることにつながるとい うことが言えよう。そ して、文章の論理に表れてい る筆者の主張を実感 を持 って理解す ることにより、子 どもたちは 自分な りのものの見方や 考え方 を形成 してい くことができるのである。 このよ うに、説明的文章の学習におけるイメージ化の重要性は指摘 されてきたが、イメ ージ化のはた らきについては、管見の限 りでは十分に分析がなされていない。したがって、 イメージ化するためにはtど
のよ うな力が必要なのか、そ して、説明的文章教材 の指導過 程において、 どのよ うにイメ‐ ジ化 を位置づけることができるのか、先行研究や授業実践 等 を基に明 らかにす る。2
渋谷孝『 説明的文章の指導過程論』明治図書、1973、p.H
3
小田迪夫『説明的文章教材の授業改革論』明治図書、1986、 p.34
井上尚美『 思考力育成への方略―メタ認知・ 自己学習・ 言語論理一』明治図書、2007、 p.26 ‐4‐(2)説
明的文章教材におけるイメニジ化の必要性 文学教材 の読み取 りで必要なイメージ化が、なぜ説明的文章教材でも必要なのか。その 点について百瀬澄雄は、科学的説明文は、書き手が展開 した論理の流れに乗つて読み手で ある児童が論理の筋道をた どり、書 き手の思考過程 を追体験 してみることが大切であると 指摘 してい る。 しか し、概括的、抽象的に捉 えさせ るのではなく、書かれていることをイ メージを思い浮かべなが ら理解 させない と児童はわかるよ うに読めない と指摘 し、特に、 低 。中学年の指導では、この面が大切だ と主張 しているt
また同様 に、小 田迪夫は次のように指摘 している1
読書環境 として存在する説明的文章は、抽象的説明体だけでなく、描写的説明体、物 語的説明体な どさまざまな形態 をとっている。説明 とは、字義的には 「ときあかす」 ことであるが、言語生活上の説明行動は、多 くのばあい説 き明かす相手があ り、相手 にわか らせ ることを行動 目的 としている。一方、説き明かす こと、すなわち、物事の 成 りたち、 しくみ、根拠 な どを明 らかにす るには抽象的思考が必要 となる。「説明」 が、表現対象の とらえ方における 〈具体哺 象)の
面か ら「描写」に対立する表現機 能 を持つゆえんである。そ こで、説明文は抽象的表現を本位 とす るが、説 き明かす相 手によっては抽象表現のみによらず、わか らせ る手段 として描写体、物語体、対話体 な どの表現形態 を利用す ることになる。その結果、さまざまな読物的説明体の文章作 品が存在することになるのである。 小 田が指摘 してい るよ うに、説明的文章を理解す るには、その中に書かれてい るものご との成 り立ち、 しくみ、根拠な どを理解す る抽象的思考が必要 となる。一方、説明的文章 は読み手に分か らせ るために、抽象表現だけでなく、描写体、物語体、対話体な どの表現 形態 を使 つている。 したがつて、説明的文章教材の指導にのぞまれることは、読み手の教 材文体への感応力 を増幅 させ るよ うな読ませ方 を工夫することと小 田は指摘 してい るL
つま り、説明的文章の学習には、色々な表現形態 (文体) にあつた指導が求められてい るとい うことである。 小 日のこのよ うな指摘 に着 日したのが長崎伸仁である。 長崎は、説明的文章の文体に着 目し、右のよ うな観点で 説明的文章教材 を分類 した ヽ 長崎は、平成8年
度版小学 校国語科教科書6社
(光村図書 。日本書籍 0学校図書・ 大 阪書籍 。東京書籍・ 教育出版)の
説明的文章教材 を対象 と した。(読書・ ノンフィクション教材、伝記教材、記録文 として配列 されている教材は、調査の対象外 としている。)A
読み物 的説 明体a
物語的b
説得的c
読者 との対話d
描 写的B
抽象 的説 明体 5 6 7 8 百瀬澄雄『 科学的説明文の特色 と教え方』明治図書、 小 甲迪夫『 説明的文章教材の授業改革論』明治図書、6に
同 じ、p.37 長崎伸仁『 新 しく拓 く説明的文章の授業』明治図書、 1981、 pp.80‐87 1986、 pp.33‐34 1997、 p■14また、それぞれの説明的文章教材 は、これ らが混合 して存在 しているものがあると述ベ てい る。そ して、長崎は、読み物的説明体で 「描写的」文体を有する教材は、全
139教
材中8教
材あったことを指摘 しているL
描写的な表現には、筆者が対象をどのように見ているか、対象 をどのよ うに捉 えている かが表れている。それ らを具体的にイメージ化 しなが ら読むことによって、子 どもたちは、 筆者のものの見方や考え方に触れ、自らのものの見方や考え方 を形成す ることにつながる: そこで、イメージ化の力のはた らきを明 らかにす るにあた り、長崎が選択 した8つ
の教 材の中か ら「ビニバーの大工事」を分析対象 として選択 した。 この教材 は、安全 な巣を作 るためのダム作 りの順序が擬態語・ 擬声語・ 比喩表現等によって描写的に表現 してある説 明的文章である。 つま り、横写的な表現に着 目し、ダム作 りの様子を具体的にイメージ化することによつ て、書き手の思考過程 を追体験す ることができる。同様に長崎 も、この教材は、「A
読 み物的説明体b説
得的 とd描
写的Jに
あた り、説得的な文体 と描写的な文体が混合 した 文章であると分析 している1% 第節 イメージ化 に必要な二つのカ 説 明的文章教材 をイメージ化 しなが ら読むためには、 どのよ うな力が必要なのか。 この 点を考察するに当たつて、井上尚美、小 田迪夫、渋谷孝、倉澤栄吉等の先行研究 を基に、 仮説的に 「五感 を使 つて経験 を想起す る力」「類推・想像の力J「創造す る力」 とい う三 つの力を設定 した。 以下、この二つの力のそれぞれのはた らき と、この三つの力の関係 を説明す る。(1)五
感を使 つて経験を想起するカ イメージ化す るために必要な一つ 目の力は、「五感 を使 つて経験 を想起す る力」である。 「五感 を使 つて経験を想起する力」 とは、子 どもたちが五感 を十分にはた らかせて、あ りあ りと鮮明なイメ‐ジを思い浮かばせなが ら読み とることである。 この際の五感 とは、実物 を見た、食べた、聴いた、触れた、嗅いだ とい う読み手の経験 である。イメージ とい うと視覚的な映像 を頭の中に思い浮かべることが中心であると考え られ るが、稿者は視覚だけでなく、五感全てを使 うものと捉 える。この点に関して、井上 尚美は次のように指摘 している●t また、言語学者大久保忠利氏は、ニ コマー コマのイメージについて、教師はよく「こ:
の様子を頭の中のテ レビに映 してみま しょう。」 とい う言い方 をす るが、それはいけ ない と言つています。っま り、テ レビでは視覚 0聴覚 しか働かせず、 しかも人工的な98に
同 じ、p.123108に
同 じ、p.■8H
井上尚美『思考力育成への方略一メタ認知・自己学習・言語論理―』明治図書、
2007、 p.26 ′ υ像 にしかな らない、だか らテ レビではなく実際の リアルな生の場面を頭の中に描 くよ うに指導すべきだ とい うのです。人間には五つの感覚がある(視・ 聴・ 味・ 臭・ 触覚) のですか ら、それ らをフル に働かせてありありと鮮明なイメージを思い浮かべるよう にさせ ることが重要なのです。 井上 も、視覚や聴覚だけでな く五感 をはた らかせてイメージす ることが重要だ と主張 し ている。説明的文章の内容 を五感 を使 つてあ りあ りと頭の中に思い浮かべることによって、 筆者が どのよ うに してそのような言葉や表現を使 らたのかに触れ ることができ、筆者の主 張をよ り深 く理解す ることができる。 「五感を使つて経験を想起す る力」がはたらく段階 とは、叙述 を読んで五感による過去 の経験を頭の中に思い描 くことである。 例 えば、説明的文章教材 「ビーバーの大工事」であれば、「ちか よってみます と、上あ ごのはを木のみきにあてて きさえに し、下あごのす るどいはで、ぐい ぐい とか じっている のです。す るどくて大きいはは、まるで大工 さんのつか うのみのようです。」な どの描写 的な表現か ら、ビーバーが木を嘱つている様子を、本当にその場 にいるよ うに頭 の中にあ りあ りとイメージす ることである。
(2)類
推・ 想像のカ イメージ化す るために必要な二つ 目の力は、類推・ 想像の力である。 類推・ 想像の力 とは、読み手が 自分の経験 (知っていること)を
手がか りとして書かれ てい ることを「こ うではないか。」 と想像す ることである。 渋谷孝は、類推・ 想像 について次のよ うに述べている11 文章を読んで分かるとい うことは文章中のものごとと実生活上のものごととを対応 さ せて確認することではない。科学読み物 を読み とつて分かるとい うことは、学習者が 既有の体験的知識や考 え方 を基盤 として(文章中のことばに対応す る事実 と現象 につ いて知ってい るものがあるとい うこと)未
知のことを類推でき、想像できるとい うこ とである。1
渋谷 も指摘 しているよ うに、文章を読んで理解す るためには、読み手が経験 したことと 文章中の表現内容 と似たような点があると予想 され る物事 を取 り出して、それ らを組み合 わせて頭の中に新たな物事を思い描 くことが必要だ とい うことである。つま り、読み手が、 自分の経験を基に知 らないことを 「こ うではないか。」:と考 えることが必要だ とい うこと である。 読み手が 自分の経験を基に教科書 に書かれている未知のことを類推す るとい うことは、 筆者のものの見方・ 考え方に触れ、それを自分な りに解釈 して教材に書かれてい る内容を 提え直 し、 自分な りのものの見方や考え方を形成す ることができる。12
渋谷孝『説明的文章の教材本質論』明治図書、
1984、 p.128また、小 田迪夫 は、読み手の経験 と文章内容 をつ なげるこ とについて、以下の よ うに述 べてい る"。 (文字 の大小 は原文のまま) (前略)即ち文章が一つの刺戦になつて自分の過古の経験を喚起 し、その経験によつて、文章からうけた刺載 を類化 し意味づけることが「読む」作用になるのである。(坂本豊著『 読方力の建設の教育』昭和6年4月 刊 。人 文書房・53-54ペーカ 現代の読解力 は、この経験 とことばの間に媒介す る類化・ 意味づ け作用の射程 を大 きくしてい く方向に求められなければな らない。 小 田は、文章の内容 と読み手の経験 とを結び付ける力が類化0意味づけの作用であると 述べている。つま り、読み手が未知の内容 を理解 しよ うとす る時、読み手はこれまでの経 験によつて未知の内容に意味を持たせた り
tこ
れまでの経験 と同化 させた りす るとい うこ とである。そ して、 自分の経験 と未知の内容 とをつなげて想像す ることによって、内容に ついて より深い理解 につながるのである。 「類推・想像の力」がはたらく段階 とは、書かれている内容について、自分の具体的な 経験を基にして、推 し量ることである。 例 えば、説明的文章教材 「ビーバーの大工事」の中に、 ビーバーがダム作 りをす るため に倒 した木 を川の方べ持 つて行 く様子 を「(りIIの方 に)ひ
きずつていきます。」 と表現 し ている箇所がある。 ここで、「類推・ 想像の力」をはた らかせ るとい うのは、「ひきず る」 とい う言葉か ら、重いものを持つた とい う読み手の経験を基礎 に、 ビーバーが 「木をひき ず る」様子を推 し量ることである。(3)創
造するカ イメージ化す るために必要な二つ 目の力は、創造す る力である。 創造する力は、読み手の過去の経験を頭に思い浮かべるだけでなく、これまでイメージ したことのない、未知のイメニジを作 り出す ことである。 イメージの変容について倉澤栄吉は、次のように指摘 しているlt (前略)イメージを置き換 えた り、変容 した りして、頭の中でわれわれは考えてい く。 そ うい うことが新 しい読みです。そ うい うふ うにわれわれは頭の中に作 り上げた とこ ろのイメージをどう変容 し、 どうふ くらませ るか、 どうい うふ うに自分のために うま く役立ててい くか とい うことが、読書 とい うことの究極の問題ですね。 上記の記述から、倉澤 も読み手の過去の経験 によるイメージを変容 させ、新 しいイメー ジをつ くり上げてい くことが情報 を読む上で重要だ と主張 している。 読み手が 「五感 を使 って経験 を想起す る力」「類推・ 想像の力」をはた らかせなが らt13
小田迪夫 「読解力 と経験・ 知識」『 国語科教育学研究』明治図書、第7集
、1981、 p.5714
倉澤栄吉『 国語教育講義』新光閣書店、1974、 p.95 ‐ 8・既有知識を基に書かれている内容 を読み、筆者のものの見方・ 考 え方に触れ ることによっ て、 自分 とは違 うものの見方・ 考 え方をす る他者 と出合 うことになる。その出合いによつ て、読み手が持つ既有のイメージを変容 させ ることが、読み手が 自分な りのものの見方・ 考え方 を形成す ることにつながる。そ して、'自立 した読み手 を育てることになる。 「創造す る力」がはた らく段階 とは、叙述内容について「五感 を使つて経験を想起
Jし
た り、「類推・ 想像の力」 をはた らかせた りして、読み手の頭の中に過去の経験を思い浮 かべなが ら読むことによつて、筆者のものの見方・ 考え方に触れ、文章表面には現れてい ないよ うな自分な りの解釈をす ることである。 説明的文章教材 「ビーバーの大工事」には、「(ビーバーが)木
を しつか りとくわえた まま、上手 におよいでいきます。」 とい う叙述がある。「創造す る力」がはた らくとは、 ビーバーが泳いでい る様子 を、読み手が過去経験によつて、頭の中に思い浮かべ るだけで なく、もし人間だつた ら溺れて しま うくらい大変なことをしてい るとい うことを、実感的 に捉 えることである。(4)イ
メージ化 に必要な二つの力の目係 図1は
、イメージ化に必要な二つの力の関係 を表 してい る。 この図は、一単元の学習 を 想定 している。.
読み手がイメー ジ化す るために、イメージを喚起す る言葉に着 目し、「五感 を使 つて経 験を想起す る力」や「類推・ 想像の力」をはた らかせてイメージ化す る。その場合は、「五 感 を使 つて経験を想起す る力Jや
「類推・ 想像の力」が単独ではたらく場合もあるし、相 互に関わ り合つてはた らく場合 もある。そ して、賄J造する力」をはた らかせて、さらに、 深い理解 につなげていく。 次に、「ビ‐バーの大工事」の学習における一例 を示す。 近 よつてみます と、上あごの歯 を木のみきに当てて ささえに し、下あごのす るどい 歯で、 ぐい ぐい とか じってい るのです。す るどくて大きい歯は、まるで大工 さんの つか うのみのようです。 ドシーン、ドシー ン。 あちらでもこちらでも、ポプラやや なぎの木がつ ぎつぎにたお されていきますd ここでの 「五感 を使 つて経験 を想起す る力Jと
は、教科書の ビーバーの挿絵 、「のみ」 の写真 または 「のみ」の実物 を見た りす ることや、子 どもたちが見たことのある木 を想起 することである。 「類推,想像の力」 とは、子 どもたちが見たことのない ビーバーの歯 を「のみ」の写真 と結びつけ、鋭 くて大きい歯をイメージ化することである。 賄り造す る力」 とは、小 さな体の ビ‐バーが小 さな歯でとても大きな木 を倒す、 とい う 教科書には表れていない大変 さや驚異的な力を実感す るとい うことである。 図1で
、矢印⑥は、「五感 を使 つて経験 を想起す る力」や 「類推・想像の力」を使 つて イメージ化 してい ることを表 している。そ して、「五感 を使 つて経験を想起する力」や「類 推0想
像の力」が、それぞれ単独ではた らく場合 もあれば、「五感 を使 つて経験を想起すぅ力」 と「類推・想像の力」が、相互に関わ り合いながらはたらく場合もある。 矢印⑥は、「五感を使つて経験を想起する力」や 「類推・想像の力」をはたらかせてイ メージ化 したことが、晴J造する力
Jへ
変化 していることを表 している。日
1
イメージ化に必要な二つの力の目係
(5)授
業実践記録 に見られるイメージ化に必要な二つの力の目係 イ メージ化 に必要な 「五感 を使 つて経験 を想起す る力」「類推・ 想像の力」 晴J造す る 力」の二つの力が、他には どのような場面ではた らいているのか、上記の 「図1
イメー ジ化に必要な二つの力の関係」 と対応 させなが ら、説明的文章教材 「ビーバーの大工事」 の授業実践記録15を基に考察す る。11)〔
第二次第二時〕 ビーパーが木を『運ぶ」様子から『大工事Jだ
と分かる暉述を子どもたちに発表させ ている学習場面。
「みじかくかみ切り」
9と
ころで、まふ揮部護襲軟像はたと思つた。
15
吉り
II芳貝
J『小学校説
H/1的文章の学習指導過程をつくる一楽しく、力のつく学習活動の
五感を使 つて 経験を想起 するカ』
↓
I
類推0想
像のカ 創造するカ 開発―』明治図書、2002、 pp.58‐71 ‐10‐・「引きずぅ」っていうことが、裏熾れaえ
=議
は製賎か
0人間 には切 り倒 した木 を さらに短 くす ることはね、ムれ乙けど、ビーバーやったら、歯で切つたりする時に大変やから大工事やと思う。
(波線引用者、以下同 じ) 「み じか くかみ切 り」「引きずるJと
いった表現 に着 目してい ることや、「手で折ろ う としても折れない木がある」「もし、人間がやつてみれば、そのままおばれて しま う」 と いつた感想か ら、子 どもたちは、「五感 を使 つて経験を想起する力」をはた らかせ、自分 の経験 したことを基に 「大工事」を提えている。 これは、「五感 を使 つて経験 を想起す る力Jと
「類推・ 想像の力」が相互に関係 しあつ てイメージ化することができている。 したがって、これは、図1の
Oに
あたる62)〔
第二次第二時〕 ビ‐バーの水にもぐる時口について話 し合 う学習場面C
「長い ときには十五分間もJつ
てい うところで、いつぱいもぐるんだなつて。T
ねえ。みんなは どれ ぐらいもぐれ るんだったかなあ。Cヨ
裁 鐘 爆C俺
襲土我
!C覇
泌T
す ごいよ。十五分つていつた らねえ(
ゃろ?十
五分つて言つた らねえ。 これは長いよ。(後略) ここでは、十五分間 とい う時間を子 どもたちの水 に潜つた経験 と照 らし合わせて考えさ せた り、子 どもたちが知つてい る ドラえもんの番組 を想起 させた りすることにより「類推 ・ 想像の力」をはた らかせ、ビーバーが水に潜つている時間について具体的なイメー ジを 子 どもたちが頭の中に思い浮かべることができてい る。 これは、「類推・ 想像 の力」が、晴J造す る力」の方にはた らいてい るので、図1の
O
にあたる。3)〔
第二次第二時〕 ビ…バ…が水 中で木を運ぶ様子について話 し合 う学習場面 「しつか りとくわえたまま」ってい うのは意味が違 うと思 う。あの しっか りく わえたのを、なんで くわえたか とい うと、人間 とか泳 ぐ動物 とかも手 とか使わ ない と絶対におばれて しま うし、手を使 つた らおばれないか ら。手で持つた ら ビーバーは泳げなくなる。沈んで しま う。i
それはビーバーが上手なんや な。 くわえてるのに泳げるもんなあ。人間やつた ら、がぼがぼって、こうなるかもしれへんもんねえ。 「ぐい ぐい体 をお しすす めます」ってい うところで、ぐい ぐい と何かをはこ んでる。 ああ、いい とこ見つけたなあ。「ぐい ぐい と体 をお しすすめる」つてい うのはどうや つてい くんや ろ
?ど
んな感 じ?(子
どもたちは、椅子に座 ったまま体 を 動かす。)T
ねえ、なんかす ごい進んでい る感 じよねえ。C6
T
あ あ、 これ はお も しろい こ と言 つたぞ。 重 い木 を ぐい ぐい と進 めて行 くつて い うんだか ら、これはす ごいってい うわけだな。C7
ャ駄簿賦が減cょぜたと丈象2ぶヽご簿賦応銀c費懇興取氏a曳ゆ郎駄∼淡惑澳ほよ」員なスふぇ鮫難頭兄 教師が 「ぐい ぐい」 とい う擬態語 に着 目させ、動作化 させたことにより、子 どもは、 ビ ーバーが重い木を歯でくわえながらt自
分の経験を基に『類推・想像の力」をはた らかせ てイ メージ化 してい る (C6)。 そ して、C7の
「木 も押 し進めて、体も押 し進めるか ら、 すつごく重い。」 とい う発言か ら、これまでよりも、より鮮明に ビーバーが力強 く泳いで いる様子があ りあ りと頭の中にイメージ化 されてい る。 ここでは、「ぐい ぐい」 とい う表現 を 「類推・ 想像の力」をはた らかせて、自分の経験 か ら「こ うではないか。」 と想像 したことによつて、 さらに 「創造す る力」がはた らき、 より具体化 されたことがわかる。 これは、「類推・ 想像 の力」が 「創造す る力」の方今はた らいているので、図1の
Oに
あたる。4)【
第二次第二時】 ビーバーのダム作 りの順序について話 し合 う場面T
ビーバー さんは水の ところへ泳いで運んできて、それからまず何するの?
C
もぐつてい く。T
うん。まず、もぐるんやねえ。まず、もぐつて…。C
木を差 し込む。 ……。(中略)。"¨
C
石で重 しをする。T
石
?石
で重しをする。な衣遁裏
&ム
まれの
?
C
流 れ ない よ うに !Cぬ
暉 箋 劇 黎 ぬ 選 範 ぬ 餞 あ 減 褻=徴
二 嵐C
それやつた ら立派なダムが出来ないから。C流
れ る!T
びや―つと流れちゃった らいかんか ら、石で重 しす るのか。なあるほど。Cこ
画 饉 盤 ユT
石は流れないもんなあ。石で重 しをして、それからどうすんの?そ
の後。C
どろをぬる。T
C
うん。 どろで、もし石が転がるとした ら泥で固めた らいい。 ‐12‐T
泥 ……・お、書いてあるな。ち ょつと読んでみよ う。 さん、はい。C (一
斉に)「 どろで しつか りかためていきます。」T
おお、次に泥でかためていくわけやなあ。
C
石 を閉 じ込めるつてわけやね。 「なんで重 しをするの?」 「石だけあつた らいい。」等、なぜ、 ビーバーが石や泥を使 うのか とい う理由を教師が子 どもたちに投げかけることによ り、ダム作 りの順序やその順 序でなければならない論理 を「C小
枝や つた らなあ、ふわあふわあふわあつて……・。」「C
石は流れない!」 に見 られるような『五感を使つて経験を想起する力Jや
「類推 0想像 の力」をはたらかせて子 どもたちの経験を基に、具体的にイメージ化することによって理 解 している。 そ して、書かれている内容を子 どもたちの経験を基に、「五感を使つて経験を想起する 力」「類推・想像の力」をはた らかせ、具体的にイメァジ化 しながら読むことにより、次 のような児童の発言に見られるような「創造する力Jの
はたらきによるイメージ化がなさ れている。 ・「小えだをつみ上げていき、上から石でおもしをして、どろでしつか りとかためていき ます」つてい うところで、枝を積み上げていく時、何かす ぐ、褒ょaれQ聴
間でヽぬ徳 ・「流れないようにします」のところで、あの、襲
・ 切_り 倒_した_ら葉 っ_ばがついて差 し込み に くいか ら、大工事。 上記の児童の発言か らも、書かれてい ることを具体的に捉 え、ダム作 りの手順やその順 番でなければな らない必然性 をしつか りとイメージ化 している。そ して、このよ うな読み とりは、次のよ うな児童の感想に繋がつている。(ゴシックは原文のまま) 「なぜ、大工事 としたか、わかったよ。泥で しつか り固めるんだか ら、ちゃんとすご く固くしない とだめだか ら、大工事だ と思いま した。小枝 を積み上げてい くか ら、た くさん小枝 を積み上げてい くんだな と思いま した。石を運ぶだけでも大変だ し、石 も た くさんいるか ら、大工事だ と思いま した。家族の ビーバーたちも運んできた本を次 々に並べて、石 と泥でしつか り固めていきます。だか ら、みんなで一生懸命がんばっ ているんだな と思いました。(後略)(Nes男
)」 この児童の感想か らt叙
述に書かれていることを理解す るだけでな く、 ビーバーにとっ て、 どれほどダム作 りや巣作 りが大変か、そ して、 ビーバーが知恵をはた らかせながら一 生懸命生きてぃる姿を想像 していることがわかる。つま り、児童は、叙述に書かれている 以上のことを「創造する力」をはた らかせなが らイメージ化 したのである。 そ して、このよ うに子 どもたちの経験を基に したイメージ化の力をはた らかせなが ら、具体的にイメージ化 させ ることで筆者のものの見方・ 考え方に触れ、子 どもたちな りのも のの見方・ 考 え方が形成 されている。 これは、「類推 ■想像の力」が 「創造す る力」の方へはた らいているので、図
1の
Oに
あたる。(6)第
1章のまとめ 説明的文章教材 の学習におけるイメージ化のはた らきについて、先行研究を基に検討 し た結果、イメージ化のはた らきと重要性が明 らか となつた。 また、説明的文章教材 の学習において、イメージ化 しなが ら読むためには、具体的な授 業場面か ら「五感 を使 つて経験 を想起す る力」「類推0想
像の力」 賄J造す る力」の二つ の力が必要であることが認 められた。 そ して、「五感 を使つて経験 を想起す る力」 と「類推・ 想像の力」は、相互に関係 し合 つて、イメージ化す ることができ るとい うはた らきが見 られた。また、「類推・ 想像の力」 の力 をはた らかせてイメージ化 した ことを基に、晴J造す る力」をはた らかせて、内容 を 子 どもたちな りに捉 えることができている。 さらに、「五感 を使 つて経験 を想起す る力」 と「類推・ 想像の力」のイメージ化のはた らきを使 つて、部分部分の読みの場面でイメージ化 してい くことによつて、子 どもたちは、 「創造する力」をはたらかせ ることが可能 とな り、子 どもたちな りのものの見方や考え方 を形成す ることが可能 となることが認 められた。 ¨14‐第2章 イメージ化の観点から見た説明的文章教材の分類 第
1章
では、先行研究をもとに、説明的文章教材 の学習におけるイメージ化の位置づけ と必要性を明 らかに し、「イメージ化に必要な二つの力」を位置づけた。 第2章
では、文章構造の観点か ら見た説明的文章教材 に見 られ る描写表現のはた らきに ついて考察 を試み る。 第1節 説明的文章教材 における描写表現 説明的文章教材 には、様々な文体が存在す る。 この点について小 田迪夫は、以下のよ う に述べているt (前略)説
明文は抽象的表現を本位 とす るが、説 き明かす相手によつては抽象表現の みによらず、わか らせ る手段 として描写体、物語体、対話体な どの表現形態を利用す ることになる。その結果、 さま ざまな読物的説明体の文章作品が存在す ることになる のである。 上の記述か ら、説明的文章教材 には、読み手に筆者の主張を理解 させ るために様々な文 体が存在す ることが分かる。そこで、本研究では、それぞれの説明的文章教材 の中に表れ てい る描写表現に着 目す る。 物事 を説明す るための抽象的な表現が多 く見 られ るよ うな説明的文章教材だけでな く、 文学作品に見 られ るよ うな描写表現等が多 く見 られ るよ うな説明的文章教材 があるか らで ある。 描写表現に着 日し、イメージ化 しなが ら読む ことにより説明的文章教材 内の論理 をより 実感 を持つて理解す ることができるのである。 では、描写表現 とは何か。大内善一は、以下のよ うに述べている亀 『描写Jの
表現 とは、人物の姿・行動・ 心の動 きや事物・ 情景な どの対象をさなが ら 読者の 目に見えるよ うに、耳に聞こえるよ うに、或いは、人物の内面に入 り込めるよ うに、客観的に叙述す る方法のことである。 上の記述か ら、描写表現は、イメージ化す る際に重要になつて くるものであると言える。 大内は、描写表現 を『色彩語・ 擬声語・ 擬態語、(情動 の)副
詞 、比喩 (直喩・ 隠喩)0
擬人法・類比」 と述べている3. また、井上尚美は、日中榮一氏 (新潟大学)の
叙述 を引用 し、小学校教育においては、 擬声法、擬態法、比喩法 (直喩・ 隠喩)、 擬人法がもつともポピュラーなものであると主1
小田迪夫『説明的文章教材の授業改革論』明治図書、1986、 pp.33-342
大内善一『 国語科教材分析の観点と方法』明治図書、1990、 p.483 2に
同じ張 している
t大
内や井上の主張す る描写表現 とは、物事の様子や状態 を潤色する表現で あると言える。 しか し、大内や井上両氏の主張は、主に文学作品における描写表現のこと である。 では、説明的文章教材 における描写表現 とは何か。そ して、説明的文章教材 において ど のような描写表現に着 目す ると、書かれていることをイメージを思い浮かべなが ら理解す ることができるのだろ うか。 稿者は、星野、丸山が示す「色彩語・ 擬声語・ 擬態語・ 情動の副詞0比喩 (直喩・ 隠喩) ・擬人法 0類比」の他にも物事の性質や状態を表す言葉を加 える必要がある。それは、形 容詞・ 形容動詞・ 副詞である。 形容詞や形容動詞は、物事の性質・ 状態を表す言葉であるt副
詞は、 うごき・ 状態の よ うす、 うごき 。状態・ 性質な どの量・ 程度、さらに、時間的な量・程度などをあらわす 言葉であるt
描写表現 (「色彩語・ 擬声語・ 擬態語 0情動 の副詞・ 比喩 〔直喩 0隠喩〕・ 擬人法・ 類 比」)や
物事の様子や状態を表す言葉 (形容詞・ 形容動詞・ 副詞)に
着 日しなが ら読む こ とによって、読み手は、書かれてい ることをイメージをふ くらませなが ら読んで理解する ことができる。 そ して、読者な りの解釈をした り、読みの世界を創 り上げた りしてい くことできる。換 言すれば、読者な りのものの見方・ 考 え方 を形成 していくことができるのである。 第節 説明的文章教材の描写表現 に着 日したイメ…ジ化のはた らき 小学校国語科教科書における説明的文章教材 にはでそれぞれ どのよ うな描写表現がある のだろ うか。ここでは、説明的文章教材 における描写表現を、井上 と大内の主張する「色 彩語 `擬声語・ 擬態語・ 情動の副詞・ 比喩 (直喩・ 隠喩)・ 擬人法・ 類比Jと
、これ ら以 外の 「形容詞・ 形容動詞・ 副詞」 と捉 えた。 説明的文章教材 における描写表現のはた らさを提えるために、平成23年
度版国語科教 科書 (東京書籍)の
説明的文章教材 を対象 とし、「は じめ一中一おわ り」 とい う文章構造 の三つの部分の どこに、 どのよ うな描写表現が存在 し、どのような特徴的なはた らきをす るのかを基に分類 した結果、表1の
四つの型 となつた。(1)文
章構造ごとに分類 した説明的文章教材に見 られる描写表現 表1は
、説明的文章教材 の 「はじめ一中二おわ り」 とい う意味のまとま りごとに、それ ぞれの教材の筆者の主張を提 える手がか りとなる描写表現を整理 したものである。 「は じめJ、 「中」、「おわ り」 とい う段落群は、筆者の説明や主張の展開、つま り論理 展開の筋道でもある。 したがつて、筆者の主張を提 えるためには、それぞれの段落群の関 係 を提 える必要があるLそ
のために、筆者の論理展開を表す表現 に着 目する必要がある。4
井上尚美『 レトリックを作文指導に活かす』明治図書、
1993、 P,465
星野和子・丸山直子編『 日本語の表現』圭文社、
1993、p.78 1
6
鈴木康之『 日本語文法の基礎』三省堂、
1987、 p.1087
森田信義『説明的文章教育の目標と内容‐何を、なぜ教えるのか―』漢水社、
1998、 p.101 ‐16‐表
1
文章構造ごとに分類 した説明的文章教材 に見 られる描写表現 注1)(形)は
形容詞、(形動)は
形容動詞、幅1)は副詞、(名)は
名詞を表 している。 注2)「中一おわり型」の「※はじめなし」はt教
材に「はじゆJが
ないことを表 している。 注3)下
線は、描写表現に付けている。 注4)「※描写表現なし』は、描写表現がないことを表 している。 晨目0菫 婦 名 はじめ 中 おわり は じ め ︱ 量 「どうやつてみをま もるのかな」 (1■) いろいろなやりか た く形動) ながくて く影)かたいとlf(形)。かたいこう ら く形)。 しつとしています(副)。 くさいし る く形) 『歯がぬけたらどう する0」 (1下) いろいろな国の子 どもたち く移動) ふるい歯(形)・あたらしい歯(移)。全藝由 く形) r人 をつつむ移 ―世 界の軍め ぐり」 (3下) 上K豊生写真に く影動) L2墾ユ上諷をはる車 〈回),雪が二L(影) ・Lお全二塁水 く影) 中 お わ り 型 rたんぼぽ」0上) ※『はじめJなし じょうぶな =(移動)・新しいはを く形)・お おいものも(形)。すくないものも(形)・■ ``《 影)・たかく(静)・かるくて く移)。 ふわふわした く影) いろいろなところに生え (移動) 「 ビーバーの大エ 事」 (2下) ※『はじめ』なし たちまち(田)・ ドシーンと く副)。 ぐいぐい と く口)。 しつかりとくわえたまま(副)。 ど ろでしつかりかためて(口) あんせんなす(静助) は じ め ■ 甲 上 0 わ り 壺 各 部 分 に 轟 写 表 現 「いるいろな鞄 (lT) ー (1妥 ,1lb) 上i豊40人を く移動)。上 `豊 ■0人とじど う車を く影助) … ねが く静助) 『虫は道具をもつて いるJ C2下) 立登二」大あご く影) つよくて く影)・ かたい前足で く形)。 するど 壼前足(移)。二壼口 《影)・ じゆうに(影 動) 主主壺 =豊燿所に分かれ てすんできました。 く静助) 『 自然のか くし織 』 (3上) ふと(口)見うし なう あぎやかな く移動)・量色のもの く移)。かつ 二oもの く形)。E20(影)・■色く 〈形) 。するどい日(形) ずいぶん役だつて く■) 「勁中の体と気慟 “ 上) … 侑た ち く影勁) 塞壼地方 〈形)・まるくて く影)・■豊塾耳 く影)。去豊ム耳 く形)・体格が大きい く形) ・体格が小さい く影)・ りつぱ く影勁) 最富の けつさく く形動) 「森林のおくりも の」6下) 綸ぃっぱぃ く日) 利用して『木のく らしJを集しヽてき ました。 生2立К室スキやヒノキの林は(移動)・塁 ` て く形)じようぶ く移動)。少しずつ て影)o ゆっくりと く日)・ しつかりと(副) … 産 〈形) 「 イース ター 島にな ぜ森林 はない0か」 (6上) …られない く翻) きまざまな目的 〈移動)。ひそかに(移動) 目国主食りょう不足 《移動) 去惨なくらし く影勁) r未来 に生かす 自然 のエネルギ‐」 (6下) 畦 麹 薗 墜 社 会J(移動) きまざまなところ 〈移動)。二酸化炭素の議産 が憲くなった く移)。 そう遠 くない将来 〈影) 。環境にやさしい く形) 『盤盤ユ盤左社会」の実 現(形動)・自然の豊墾 盆凛み(移動) ﹁お わ り 「もうどう犬0ロ 繊J(3下) かしこく 《紛 活発で く形勁) なかよく(口) つらい く形)・がまん強 く(形)・ ふきわ しい 0(形) ※描写表現なし に 描 写 rヤドカリとインギ ンチヤク」 (4上) 重 〈影)そう 気持ちよきそうに く影)・墜う堕登空場所に移 動 "動 ) ※描写表現なし 表 現 な し 「 くらしの中の和と 洋」 (4下) 伝鐘艶左日本の文 化 く移動) 。いるいろなしせい(影動)・豊■ ― (口)。盤 しければ く影)。 いろいろな種類 (形動)。いろいろな目的 〈影鋤) ※鶴写表現なし加 えて、描写表現 も重要である。描写表現 とは、一語一語にイメージ化の力をはた らか せ ることができるため、筆者の意図を読み とることができる。つま り、文章構造 と描写表 現 との関わ りを見ることは重要なのである。 特 に、「は じめ―中一おわ り」の うち、「中
Jに
は、描写表現が多い ことか ら、描写表 現に着 目す ることで筆者の主張や論理 を読み とることができる要素が多 く含 まれていると 想定す ることができる ` 論理的認識の構造 を提 えるために、何故、描写表現 に着 目させ る必要があるか とい うと、 「は じめ」「中」「おわ り」の意味のま とま りの関係 を、筆者の説明の仕方、筆者の発想 の個性 と捉 えたか らである。つま り、筆者の個性が表れているもの とい うことである。 したがって、筆者の発想の個性が表れている描写表現に着 目す ることで、筆者の論理的 認識の構造を提 えることができる。 森 田は、このよ うな段落の関係 を、筆者の発想の個性 と見る立場 は、筆者の主張に対 し て、読者 として反応するために、重要な意味を持つ と指摘 してい るヽ さらに、説明的文章教材 を学習することの価値は、筆者の論理展開や論理的認識 を提 え ることと同時に、教材の内容に触れ、子 どもたちが、対象へのものの見方や考え方を見つ め直 した り捉え直 した りして、認識 を広げることにある:こ
の点について、河野順子 も同 様 に指摘 しているtし
たがつて、筆者の主張が表れてい る描写表現に着 日し、子 どもた ちの既有知識 を基にイメージ化す ることで、筆者の主張を捉 え直す ことにな り、子 どもた ちが認識 を広げることが可能になる。 表1は
、展開の型 によつて、説明的文章教材 を大きく四つに分 けた。つま り、『 は じめ ―中』型、『 中一おわ り』型、『 は じめ一中一おわ り:各部分に描写表現』型、『 は じめ― 中一おわ り:「おわ り」に描写表現な し』型である。 次に、表1の四つの型の特徴 について説明す る。 『 はじめ―中』型 この型は、「おわ り」がない説明的文章教材 である。 「は じめ」には、題名 と関わ りのある多義的な描写表現が多い とい う特徴が見 られる: また、「中」は、題名 と事例 との関係 を捉えることが可能な描写表現が認 められ る。 「イメージ化に必要な二つの力」のはた らきの観点から見ると、多義的な描写表現に着 目す ることで、様々な子 どもの経験や知識 を想起す ることができる。そ して、その既有知 識 を基 に、本論のそれぞれの事例を表す描写表現に着 目しなが ら読み取つてい くことで、 筆者が示 した事例に対 して、子 どもたちな りの考えを持 つて読む こととな り、この説明的 文章の事例の続きを創作す ることができる。 『 中―おわ り』型 この型は、「は じめ」がない説明的文章教材である。87に
同じ、p.1069
河野順子『入門期の説明的文章の授業改革』明治図書、2008、 p.22 ‐18‐「中」には、説明の対象 となつている「ものごと」 と、題名 との関係 を捉えることがで きる描写表現が認 められ る。そ して、「おわ り
Jに
は、これまでの部分 と部分 との読み と を関係づけることが可能な描写表現がある。 「イメージ化に必要な二つの力Jの
はた らきの観点か ら見 ると、この説明的文章には、 「は じめ」がないことか ら、この説明的文章の描写表現に着 日し、イメージ化の力を発揮 させなが ら、内容 を しつか りと読み取 ることに重点を置 くことによつて、筆者の主張を提 えることができる。 『 は じめ―中―おわ り:各部分に描写表現』型 この型は、「は じめ」「中」「おわ り」がそろつてお り、各部分に描写表現がある説明的 文章である。 「は じめJに
は、全体の構造 を探 る手がか りとなる描写表現が見 られ る。また、「中」 は、説明の対象 となつている「ものごと」 と、題名 との関係 を提 えることができる描写表 現が認 められ る。そ して、「おわ り」には、これまでの部分 と部分 との読み とを関係づ け ることが可能な描写表現がある。 「イ メージ化に必要な二つの力」のはた らきの観点か ら見ると、「はじめ」の意味のま とま りにある全体の構造 を探 る手がか りとなる描写表現に着 目し、イメ‐ジ化す ることで、 子 どもたちは、説明の対象 となつている「ものごと」に対 して、 自分な りの考えを持つ こ とが可能である。 そ して、「中」の意味のま とま りの読みでは、 自分な りの考えを持ちなが ら、筆者の主 張を吟味す ることができる。 さらに、「おわ り」の意味のま とま りでは、これまで 自分の考 えを持 ち、筆者の主張を 吟味 しなが ら読んだことを基に、筆者の主張に対 しての自分の意見を持つ ことができる。 『 は じめ―中一おわ り:『おわ り」に描写表現な し』型 この型は、「は じめ」「中」「おわ り」がそろつているが、「おわ りJに
はt題
名 と直接 関係 のある描写表現がない とい う特徴がある。 「は じめ」には、全体の構造を探 る手がか りとなる描写表現が見 られる。また、「中」 の意味のま とま りは、説明の対象 となつている「ものごと」 と、題名 との関係 を提 えるこ とができる描写表現が認 められる。 「イメージ化に必要な二つの力」のはた らきの観点か ら見ると、「おわ り」には、題名 と直接関係 のある描写表現がないことか ら、次のようなはた らきを想定す ることができる。 まず、「は じめ」 を読む段階で、説明の対象 となつている題名 と、「ものごと」の関係 を提 えることが可能な描写表現に着 日して、イメージ化の力をはた らかせ る。 そ うすることで、子 どもたちは、 自分な りの考えを持つて説明の対象 となつている題名 と、「ものごと」の関係 を読み とることが可能である。 そ して、「中Jの
読みでは、 自分な りの考えを持 ちなが ら、筆者の主張を吟味す ること ができる。 この型の教材 は、「はじめ」 と「中」 とを読む段階で、イメージ化の力をはた らかせなが ら説明の対象 となつてい る題名 と、「ものごと」の関係 を提 えることが、筆者 の主張を捉 えることにつながる。(2)説
明的文章教材の描写表現に着 目したイメ…ジ化のはた らきの検討 次に、四つの型それぞれに見 られ る描写表現のはた らきについて、実例 を基に述べ る。: また、それぞれの型の教材 において、 どのよ うな描写表現に着 目させ、第1章
で考察 した 「イメージ化に必要な二つの力」の「五感 を使 つて経験を想起する力」「類推・想像の力」 「創造する力」を、 どのように使つてイメージ化 させ るのか、具体的に論 じる。1)『
はじめ一中』型 この型は、「どうやつてみをまもるのかな」(1上
)、「歯がぬけた らどうするの」(1下
)、 「人をつつむ家一世界の家めぐり」(3下
)の
二つの教材が該当した。 この型の教材は、以下のような種類がある。 ①題名 と関わ りのある多義的な描写表現があること ②題名 と事例 との関係 を提えることが可能な描写表現が認め られ ること ③事例の続 きを創作す る可能性が認 められ ること 次に、低学年 と中学年の実例 を基に、上記の特徴 を述べ ることとす る。 ①題名 と目わ りのある多義的な描写表現T『
はじめJ―
この型の教材は、「はじめ」の意味のまとま りに、「いゑいうな」「&丸
姦た2」 (波線 は描写表現にあたる箇所に引いている、以下同じ。)等
のような、子 どもたちの様々な既 有知識 を喚起することが可能な多義的な描写表現が認められる。「どうやつてみをまもるのかな」では、「はじめ」にある「いろいうおやりかたで」が
多義的な描写表現に該当する。 題名 「どうや つてみをまもるのかな」は、本文が、「色々な動物が、 ム£、身 を守つているのだろ うか。」 とい う観点を持つ ものにならてい ることを示 してい る。つま り、動物の身の守 り方 を問 うもの と捉 えることができる。そ して、「中Jは
、3 種類 の動物の具体的な身の守 り方の事例 になつてい る。 したがって、「いぅいうとや りかたで」は、動物の身の守 り方について子 どもたちに 日 を向けさせ ることが可能な、題名 と深 くつなが りのある描写表現であることが認 め られ る。 同様 に森 田も、「い ろいろな」 とい う表現にっいて、様 々な知識 を想起す ることが可能な 表現 と述べ、この表現を取 り扱 うことによって、一人の説明者 としての筆者の存在 を浮き ば りに し、教材を吟味 し、評価す ることにつながると叙述 してい るt
『イメージ化に必要な二つの力」のはた らきの観点か ら見ると、「いゑいうおや りかた で」 とい う多義的な描写表現に着 日し、「類推・ 想像の力」 をはた らかせ ることで、子 ど もたちが、これまでに見た り、本 を読んだ りして知つた りした様 々な動物の身の守 り方 を 想起す ることができる。具体的には、ライオンの鋭い牙や うさぎの長い耳な どを想起す る ことである。 そ うすることで、一人ひ とりの子 どもたちが、これまでに見た り自分の知った りしてい る動物たちの身の守 り方 のイメージを しつか り持つ とぃ うことにな り、「中」の段落で、 それぞれの事例を読んでい くときに、筆者 と対峙 しなが ら読むことが可能になる。 例 えば、「ぼくは、ウサギの長い耳は、敵が近づいてきた ら音 を聞き分けてヽ逃げるこ10
森田信義『「評価読み」による説明的文章の教育』漢水社
(2013、 p.60 …20¨とができることを知っている。では、筆者は、 どんな動物をとりあげているのだろ う。そ して、 どんな風に身 を守 る方法を説明 しているのだろ うか。」等である。 このように、子 どもたちが、内発的・ 主体的に読むことにようて、読み手 としての自分 の考えを持ちなが ら読む ことができる。 井上尚美は、子 どもたちが自分の生活体験や既有知識 を使 って、主体的・ 内発的に読む ことにより、問題意識 を持つこととが可能 とな り、それが論理的思考の基盤 となると主張 してい るn。 っま り、子 どもたちは、既有知識 を基に、教材の内容を提 えることによって、 論理的思考力を育む ことができるのである。