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障害児教育に携わる教師のストレス

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(1)障害児教育に携わる教師のストレス. 1 問題と目的. 専 攻. 障 害 児 教 育. 氏 名. 大藤. 恵 子. 兵庫教育大学大学院生など52名を対象に、. 平成11年度告示噺学習指導要領で・通常. 1999年5,月中旬に実施した。無記名方式の質問. 教育において交流教育が規定されたことは、障. 紙法で、調査内容は下記の7調査である。分析. 害児教育に、とって大きな進歩である。教育現場. については、ストレス度、バーンアウト度、タ. で実践するにあたって、障害児教育に携わる教. イプA傾向度、教職生活意識を集計し、障害児. 師は専門家として、これまで以上に重要な責務. 教育担当者群と通常教育担当者群の比較を行っ. を担うことになると予想される。先行研究で、. た。内容、問い方、量、見やすさなどの問題点. 障害児学級担任のストレスの高いことが示され. が指摘された。. ている(宗像ら、1988;田川ら、1991;岡東ら、. 3 質問紙の作成:予備調査1、Hを経て、以. 1997)が、具体的な内容についてはあまり明ら. 下の7調査(計117項目)の質問紙を作成した。. かになっていない。. 1)基本属性調査. そこで、以下の3点を目的として、本研究を. 2)ストレス度調査. 層3)支援関係調査. 4)バーンアウト調査. 行った。①盲・聾・養護学校の教師(盲聾養)、. 5>性格傾向調査. 6)頴一ビング調査. 小・中学校で障害児教育に携わる教師(障撞)、. 7)教職生活意識調査. そして通常教育に携わる教師(通教)の、スト レス度、バーンアウト状態を明らかにする。②. 皿 本調査. 教師ストレスに影響を与える要因を、教職生活. 1 方法. 意識、性格傾向、コービング、支援関係により. 1)対象:兵庫県内の盲・聾・養護学校39校、. 検討する。③これらの結果から、障害児教育に. 及び小・中学校60校に調査を依頼し、承諾の. 携わる教師を含めた教師ストレスの予防対策に. あった盲・聾・養護学校24校の小・中学部在. ついて検討する。. 籍教師494名、小・中学校46校の教師623 名、障害児学級担任1117名、計2234名。. ∬ 予備調査. 2)時期11999年7月上旬. 1 予備調査1:質問項目の充実と、記入しや. 3)手続き:上記対象に質問紙調査(無記名方. すい項目数、形式、装丁などの検討を目的とし. 式)を行った。調査用紙の配布、回収について. て、質問紙の原案をもとに、研究室生、在籍校. は郵送法によった。. の教師など26名を対象に実施した。 2 予備調査H;作成した予備調査用質問紙が、. 2 結果と考察. 調査目的に適切であるかを検討し、また全体の. 7月末までの回収総数1493件(回収率. 傾向を知ることを貝的として、教職経験のある. 66.8%)のうち、分析対象となった標本は、1327.

(2) 件(有効回答率88.9%)であった。. や教師力量の項目が多く、障担は、職場の人的・. 1)調査対象者の基本属性. 意識的環境が大きな要因であり、生徒の将来へ. 調査対象者1327人の基本属性から、幽幽は. の責任が特徴的であった。盲聾養では、項目「自. 女性が多く、中、高年齢層が多い。盲探養では、. 分の仕事は教育の範囲を超えている」が「学校. 新任3年目までと27年以上の経験者が多い。. の教育方針」に含まれた点に、特徴がみられた。. 「障害児教育免許」の保有率は、障担27.3%、 盲聾養43.0%。「今年魔g)障害児教育の希望」で、 「希望した」のは障担68.4%、盲聾養75.9%。. 4)教師ストレスの調整として ①性格傾向;タイプA傾向として4因子を抽出。 ②支援関係:仕事、及び職場の人間関係の悩み. 2)教師ス.トレスの結果として. を相談する相手があること、管理職や友人と. *「GHQ30」により神経症群を測定し、ストレ. 相談できるこ:とが、バーンアウト軽減に効果。. ス度とした。バーンアウト用尺度「MBI」の3. ③ニーピング=コーピング行動として5因子を. 因子である「情緒的消耗感」(以下、晶晶)、「脱. 抽出。. 人格化」(山人)、「個人的達成感の後退」(個. 5)教師ストレスモデル. 達)により、バーンアウト状態を測定した。. Pear80nの相関係数により、原因、調整、結. 男性より女性教師で神経症、バーンアウト情. 果の相関関係をストレスモデルとして構築した。. 緒的消耗感の高い教師が多い。また、若い教師 よりも、中年齢層教師に高バーンアウト状態が. 3 まとめ. 多い。通常教育教師と障害児学級担任と画論養. 質問紙調査により得た、障害児教育に携わる. 護学校教師のストレス状態は、通常教育教師群. 教師を半数以上含む教師のストレス調査結果か. が最も危機的で、半数以上の教師に高バーンア. ら、教育現場の神経症、バーンアウトの多いこ. ウト状態がみられた。希望して障害児教育に携. とが明らかになった。また、その原因や調整す. わった教師は、希望しなかった教師よりも、神. る因子が抽出された。それらにより、ストレス. 経症や高バーンアウト状態が少なかった。また、. 予防対策として、次の5点があげられる。. 阪神大震災の被害を受けなかった教師群に、個. ①教師は教師としての専門性、力量を高める。. 人的達成感の後退が多くみられた。. ②教師は自分のストレスについて知り、自己変. 3)教師ストレスの原因として. 教職生活意識尺度27項目について、因子分 析(主成分法、プロマックス回転)を行った。. 全調査対象者7因子と、通教6因子、障担8因 子、盲聾養9因子を抽出した。人的・意識的環 境、教師力量、教育困難課題、職務満足、学校. 革が必要である。. ③学校は教師の競争の場ではなく、協調の場と する。. ④管理職が教師ストレスのキー・パーソンであ る。. ⑤教育行政は緊急の教師ストレス対策が必要。. の基本方針、勤務条件、物的環境、などがスト. レス要因としてあげられた。3教師群の職務の. 主任指導教官. 特徴や問題点が、因子や因子得点から読みとる. 指導教官. ことができた。通常教育教師は、教育困難課題. (今塩屋 隼男). (今塩屋 隼男).

(3) 障害児教育に携わる教師のストレス. 兵教育大学大学院 学校教育研究科障害児教育専攻. M98304H. 大藤 恵子.

(4) 目 次 第1章. 序論 ………………………………・…・・………………. 1. …………………・…. 第1節. ストレスの定義. 1. 第2節. 教師をとりまく現状. 2. 第3節. 教師のストレス. 3. 第4節. これまでの「教師ストレス研究」. 6. 第5節. 障害児教育に携わる教師ストレスに関する研究. 7. 第6節. 本研究における問題と目的. 11. 第2章. 予備調査 ……………・…・・…・……………・・………………・………………・…・… 13. 第1節. 予備調査1. 第1項. 目的. 13. 13. 第2項 方法. 13. 第3項 結果. 14. 第4項. 調査用紙作成. 14. 予備調査H. 16. 第2節. 第1項 目的. 16. 第2項 方法. 16. 第3項. 第3章. 結果と修正. 16. 本調査 ・…………・……・……………………・・……………・・………………・・…… 24. 第1節. 方法. 24. 第2節. 結果. 24. 第1項. 調査対象者の基本属性. 24. 第2項. 教師ストレスの結果としてのストレス度とバーンアウト状態. 第3項. 教師ストレスの原因. 第4項. 教師ストレスの調整. 第5項. 教師ストレスモデルの構築. 36. 48 60. 26.

(5) 第3節. 考察. 65. 第1項. 調査対象者の基本属性. 65. 第2項. 属性要因からみたストレス度とバーンアウト状態. 第3項 教師ストレスの原因. 68. 75. 第4項: 教師ストレスの調整. 80. 第5項 教師ストレス予防対策. 84. 第4章 今後の課題 ……・………・…・・………………・・………・……・…・…・…………・…・ 86. 引用・参考文献 謝辞 付録資料. 87.

(6) 第1章. 序. 論. 第1節 ストレスの定義 ストレスとは何かについてさまざまな定義が存在するなかで、大きく 分けて四つの考え方がある。一つ目は通俗的に用いられる、「環境からの. 刺激そのものをストレス」とする考え方、二つ目は、Selye(1956)ら による「ストレスとは生物学的システム内における特定できないあらゆ る刺激に対して生じる身体の非特異性反応」という考え方で、その刺激 をストレス源(ストレッサー)と定義した。三つ目はしazarus&Folkman (1984)らによって定義づけられたもので、ストレスを「人と環境との 特殊な関係」とし、ストレス源としての環境と、本人のそれに対処する 能力や利用できる資源との関係を、本人がどう評価するかという心理的 な過程を含むとした。四つ目は、ストレスを「人と環境との複雑でダイ ナミックな交流システムの部分」と定義し、システムのもつフィードバ ックの考え方をストレス概念に導入したものである。. ここではストレスを、上記の考え方をふまえ、田尾ら(1996)のスト. レスモデルを参考に図1のような三つの要因群に分けてストレス過程を 考えたい。 ストレスの調整. 個 人差. :コーピング. 社会的支持 ’ど. ストレスの結果. ストレスの原因. 個 人的. 疲 労 疾 病 行動異常 など. 組織的 社会的 など. 図1ストレスのモデル(田尾ら.1996)を修正. 1.

(7) 第2節 教師をとりまく現状 昨今、教育をめぐる問題が社会問題として、マスメディアなどで多く 取り上げられる。そのなかで、教育現場のストレスが児童・生徒に不適 応症状を引き起こしていると論じられることも多い。この教育現場のス トレスは、児童生徒にだけでなく、教師の心身にも大きな影響を及ぼし ている。近年の学校を取り巻く環境は急速に変化し、家庭や地域におけ る教育力の低下が学校教育への期待を増大させ、教師の仕事が累積的に 増加する状況は、教師の心身を疲弊させている(後藤ら、1996)。そし てその疲弊状況は、小さな自覚症状からストレス病と呼ばれる疾患、神 経症やヒューマン・サービス特有のバーンアウト症候群にいたるまでさ まざまな形で心身の健康障害を引き起こしている。. 毎年実施されている文部省分限処分調査によると、全国の教職員の病 気休職者の中で躁うつ病、神経症など精神疾患による休職者の割合が、. 1990年代に入ってから増加の一途をたどり、1997年度においては39% に達している(文部省地方課、1998)。また、教職員組合が小学校の学. 級担任を対象に行った意識調査では、回答者1800人のうちの34.8%が 「学級担任をやめたいと思ったことがある」と答え、その原因で最も多 かったのは「子どもたちとの関係がうまくいかない」であったと報告し ている(朝目新聞ほか、1999)。そして、文部省が「学級崩壊」につい て行った調査では、その原因の70%は「教師の力量不足」であると報告 された(産経新聞ほか、1999)。. 教育現場の抱える様々な問題の解決には、教師の子どもに対する適切 な対応が必要である。そのためには、少なくとも、教師の精神衛生的な 安定性が保たれていなければならない。そしてこれらは、教師個々人の 問題としてではなく、抜本的な対応策が求められている(山口、1999)。. 2.

(8) 第3節 教師のストレス 図1のストレスモデルについて、ストレスの結果としてのストレス症 状を考えるとき、斉藤(1987)は、教師における精神疾患の発病率が増 加していること、そのなかでも神経症にその傾向が強いことを指摘して いる。神経症は、不安神経症、強迫神経症、心気症、抑うっ神経症、離 人神経症などで、心因によって生じる機能性精神疾患の総称である。精 神疾患としては他に、うつ病、神経衰弱、自律神経失調症、心身症、心 因反応、分裂病などが含まれる(保坂、1996)。. 対人専門職としての教師のストレスとしては、ストレス症状の一つで あるバーンアウト症候群に陥りやすいと言われている。バーンアウト症 候群は、1970年忌半ばにアメリカで医師、看護婦、教師などにみられる 共通の症状が注目され、Freidenberger(1974)によって名付けられた。 その後、Pinesら(1981)によりバーンアウト・インデックス尺度(BI). が、Maslachらく1981)によりマスラック・バーンアウト尺度(MBI) などが作成された。多くの研究者によって、バーンアウトの定義がなさ れているが、ここでは田尾ら(1996)を参考に、次のように定義する。. バーンアウトとは、ストレスのひとつで、教師には児童・生徒というよ うな、相手との社会的な相互作用のなかで発症し、対人スキルを重要な 予防策とする、進行性のストレスである。. ストレスの原因について考えると、職場ストレスのひとつとしての教 師のストレスは、次の例からいくつかの間題があげられる。1987年の労 働省調査によると、勤務者の55%が仕事や職業生活にストレスを感じて いる。ストレスを感じさせている要因は「仕事の質・量」、次いで「職場 の人間関係」、「仕事の適性」、「昇進・昇給」となっている。かって重要. 問題であった物理的環境の悪さより、心理社会的な職場環境の問題が主. 3.

(9) といえる。しかし、勤務者により、ストレスを感じる要因や感じ方の度 合いが異なるのは、それを自分の力で解消できると思うかどうかに左右 され、勤務者の個人的背景や資源による。例えば、個人の心理社会的要 因(知的・技術的能力、経験、要求水準、行動特性、ストレス対処能力、. 支援ネットワークなど)であり、属性的・身体的要因(性差、年齢、教 育背景、体力、健康、国籍など)によるのである(宗像、1995)。つま りストレスは、誰もが同じストレス原因で同じストレス結果に行き着く のではなく、ストレスを調整する要因が存在する。. ストレスを調整する要因の一つとして、個人差がある。その中で特に ストレスと関連が強いといわれるのが、社会の工業化、都市化の原動力 となった、効率、競争、生産性、合理性などの価値観にとらわれる行動 特性である。自分の目標達成のために、タイムプレッシャーのある仕事 をより多く、より敏捷にこなし、他者との競争を意識して頑張ろうとす. る「タイプA行動特性」の人は、心身のストレスをためやすく、不安障 害や感情障害、虚血性心疾患などを生みやすいといわれる。社会文化の 影響により、「成功を勝ち取るための他者への攻撃性や敵意」を大きな特. 徴とするアメリカでのタイプA行動特性とは違い、目本人のタイプA行 動特性は、「休んでいると他の人に悪い気がする」といった「つきあい」. の中で多くの仕事を求めてワーカホリックに陥りやすい。また、力の強 い者に対する従順さ、徹底性、熱中性、強い義務感といった日本人的行 動特性とタイプA行動特性は有意な関連がみられる(宗像、1995)。 もう一つのストレスの調整要因としてのコーピングとは、ストレスに 対処するための方策である。多くの先行研究において、そのやり方によ りコーピングは、ストレス低減効果をもつことが、明らかにされている。. Folkman&Laza■us(1980)によれば、我々はさまざまなストレス源を. 4.

(10) 抱え、ふだん絶えず何らかのコーピングをとるよう要請されたり、その 実行を余儀なくされている。その要請が自分のコーピング能力と釣り合 いがとれないとわかると、ストレスとして強く認識するようになり、さ まざまなストレス反応が生じる。そこで、:Folkman&Lazarus(1984) はコーピングを、その行動の内容:を機能的に分類して、問題直:視の「問. 題中心型コーピング」と、ストレス反応を和らげる「情動中心型コーピ ング」の二つとした。近沢(1988)は、その「情動中心型コーピング」 から、飲酒、喫煙、間食、ふて寝などを「回避i的コーピング」として区. 別した(田尾ら、1996)。Dewey(1989)は、多くの看護婦を対象とし た調査で、コーピングについて因子分析を行い、「問題指向的行動」、「緊 張の緩和・釣合のとれたものの見方」、「感情・不満の表出」、「我慢」、「回. 避」、「受動的方法」の6つの行動次元を抽出した。. これらのコーピングは、一般にストレスの低減に役立っとされている が、唯一絶対というものはなく、ストレス状況や採用する個人の能力な どの相互的な関係によると考えられる(田尾ら、1996)。:Folkman(1984). は、自らが状況のコントロールが可能だと判断したときは「問題中心コ ーピング」を用い、逆にコントロールが困難だと判断したときは「情動 中心コーピング」を使うことを明らかにした。また、ストレスに対して は、その両方の対処努力の組み合わせが必要であるとした。宗像(1995). は、このコーピングを大きく、問題解決の手立てを得ようとする「手段 的コーピング」と、問題解決に伴う情緒をコントロールしょうとする「情. 緒的コーピング」に分け、また、それらの中に、ストレス軽減や解消に 効果的な良循環過程をつくる「積極的コーピング」と、心身の不健康へ っながる悪循環過程をつくる「消極的、逃避的コーピング」に分けるこ とができるとした。. 5.

(11) コーピングをヒューマン・サービスの特徴的なストレスであるバーン アウトについて考えると、人間関係において、職場のなかの人間関係で 悩み、患者(児童・生徒)との人間関係でも悩むという二面性がある。. 人間関係からの離脱ということで、バーンアウトそのものがコーピング という考え(Cherniss,1980)もある。バーンアウトとコーピングとは 有意な相関はないとした先行研究(Jackson&Maslach,1982)もあるが、 他の多くの研究は、両者の相関関係を支持している。ただし、いくつか. のコーピングを組み合わせて対応することが必要であろう(田尾ら、 1996)。例えば、Kahn(1978)は、バーンアウトへのコーピングについ て、「個人レベル」、「組織レベル」、「組織を超えたレベル」に分けている。. 第4節 これまでの「教師ストレス研究」 「教師ストレス」を考えるにあたり、まず、「ストレス」、「教育ストレ. ス」、そして「教師ストレス」の定義をする。「ストレス」を「何らかの 原因(ストレッサー)によって人間の精神的・身体的なバランスが崩れ、 一種の病的現象が生じている状態」(丸野、1990)、「教育ストレス」を. 「教育という営みに関与している人々が、それぞれのレベルで、その営 みを介して主観的に感じとっているストレス」(丸野、1990)と捉える。 そして、「教師ストレス」は「教師として働くことによって、教師が主観 的に感じとっているストレス」と定義する。 教育は、子どもと教師の相互作用を軸として成り立ち、展開するため、. 教師の生活実態と心身の健康問題は、子どもにとって最も重要な環境要 因である。しかし、子どもの心身の健康問題には高い関心が払われてき たが、教師のそれには広く関心が持たれるまでに至っていない(相川、. 6.

(12) 1997)。このように、教師ストレス研究は、目本ではほとんどなされて いないが、教師自身の福祉のためにも、児童・生徒のためにも、教師の 精神的健康を高めるための研究が望まれる(木島、1996)。. そんな中で、教育社会学の分野では、教師の「多忙問題」として研究 されており、久冨(1988)は、「教師の多忙:」は単なる物理的多忙にと どまらず、日本の教師の行動様式が密接に関わっていると報告している。. また、荒木ら(1990)は、ウィルソン教師ストレス検査をわが国の教師 用に開発し、教師間の軋礫、不信・不満感、多忙感、疲労感などをスト レッサーとして抽出している。秦(1989,1990,1991,1992)は多忙感や. 自分自身の力量、管理職の力量、子どもの問題行動、同僚教師との人間 関係などをストレッサーとし、男性より女性の教師が、中学校より小学 校の教師がストレスを感じていると報告している。一方、金子ら(1993). は中学校教師の方が小学校教師よりも強いストレスを感じており、その 差は女性教師によってもたらされていることを明らかにしている。. 近年、ヒューマンサービスの職種において重大な問題となってきてい るバーンアウトの研究は、教師ストレス研究とともに欧米では盛んであ るが、日本では少ない(木島、1996)。その中で宗像ら(1986)は中学 校教師の精神健康度に関する調査を実施し、次のことを報告している。 (1) 中学校教師のバーンアウト状態は、医師や看護婦に比べて高い。. (2)バーンアウト状態の高い教師は大きく三つの層にわかれる。. ①進路指導主任、非行傾向(長欠を含む)児を2人以上もつ担任、 特殊学級の担任といった、学校での責任の重い教師層。 ②教員経験年数2年未満、健康安全指導(非主任)、文化系クラ. ブにかかわっている教師にみられるような、経験が浅く、責 任や負担のあまりない役割を担当している教師層。. 7.

(13) ③女性、二人以上の乳幼児のいる者といった、仕事と家事・育 児との両立の負担がある教師層。 (3)神経症群は、主として経験が浅く、責任や負担のあまりない役割 しか希望しない、あるいは任せられない教師層に多くみられる。 宗像(1986)は、心の不健康にある教師は二つのタイプに大別できると. し、ひとつは真面目で熱心な典型的な燃えつき型の教師で、もうひとつ はあまり教職に向いていない、かといって転職するほどの意欲をもって いない、気質的に神経症や抑うっ症に陥りやすいタイプの教師であると 述べている。. これらの先行研究では、経験の浅い教師がリアリティショックからバ ーンアウトする比率が高いという指摘が多いが、最近の研究(安達、. 1998;黒岩、1998;新井、1998)では、30代から40代の中年齢層の教 師がバーンアウトに陥りやすいと報告している。. 1980年代、すでに教育をめぐる諸問題が噴出し、教師の心身にも深刻 な影響が生じていたことが、上記の調査報告からわかる。その後、文部 省がf教員の心の健康等に関する調査研究−協力者会議」を発足(1991). させ、1993年に発表した審議のまとめで3点を指摘した。. (1)調査した59すべての県・市で、心の不健康状態にある教師や適 格性を欠く教師が存在している。. (2)精神疾患を理由とする病気休職者数は全体として増加傾向にあ り、その比率は全国の病気休職者の29.7%(1991年度)を占め過 去最高である。. (3)依願退職者の中にも精神疾患や適格性の欠如を理由とするもの が相当数いると考えられる。. そして、「心の不健康状態に陥ることを未然に防止するための対応策」. 8.

(14) として次の3点を挙げている。. (1)養成・採用・研修を通じての教員の資質向上についての適切な配 慮. (2)学校運営の改善・充実. (3)メンタルヘルスに関する意識啓発のための取り組みや教員のた めのカウンセリング体制の整備・充実 岡東ら(1997)は、教師のメンタルヘルスについての調査で、ストレ. ッサーとして5つの個人的要因と5つの制度的・組織的要因を明らかに した。そしてそれらを、個人に、組織としての学校に、教育行政にどう 対応させるべきかを教育学の立場から考察し、提案している。その最後 の「教育風土の改善」は、前述「教師をとりまく現状の抜本的対応策」 の最も基本の具体策を示唆する提案であると考える。. 第5節 障害児教育に携わる教師ストレスに関する研究. 障害児教育においては、昭和54年の「養護学校教育の義務制」によ り、教育の本来あるべき姿として、すべての子どもたちを教育の場に受. け入れるようになった。昭和54年度版学習指導要領では、義務制に伴 う対象児の障害の重度化、重複化に対応した規定がなされた。また、対. 象児の社会性を養うことを目的に交流教育に関する規定が設けられた (文部省、1991)。それらは、現在も重要な課題であり、交流教育につ. いては盲・聾・養護学校と同時に幼稚園、小・中学校、高等学校の新学 習指導要領(1999)においても位置づけることになったく滝坂、1999)。. 障害の重度化、重複化に加え多様化もみられるようになり、通常学級に 在籍する障害児の問題も明らかになってきた(窪島、1999)。. 9.

(15) そのような状況のなかで職務を遂行するために、障害児教育に携わる 教師は、情熱や豊かな感性といった教師自身の資質や、障害の特性、養i. 護・訓練等の障害児の指導に関する総合的な知識・技術をもっことが必 要である(三澤、1993)。そして、教科指導だけでなく生命や健康の維 持促進から、身辺介助、そして職業指導まで多岐にわたる指導が要求さ れる。そのため多くのストレッサーが存在し、多様なストレス症状が見 られると推測されるが、先行研究も少なく、その実態の多くは明らかで ない。. 障害児教育に携わる教師のストレスについての報告として、前述の宗 像ら(1988)の調査では、医師や看護婦らを上回るバーンアウト状態にあ. る中学校教師の中でも、特殊学級担任はさらに高い割合を示した。この 結果を受けて、田川ら(1991)は、特殊教育担当教員を対象に14尺度の. 調査を実施し、134名の回答を得た。その結果、対象者全体のバーンア ウト状態出現率が宗像らの調査よりも高い36.5%と、特殊教育担当教員. のバーンアウト問題が深刻であることを示唆した。そして、中学校で特. 殊教育に携わる教員のストレスが特に高い一方、養護学校教員のストレ スが非常に低いことから、特殊教育を行う場の在り方が教員の精神状態 と関連しているのではないかと述べている。また、バーンアウト尺度の 因子分析により3因子が抽出され、「心理的な不全・無力・拒否・絶望感」、. 「満足感」、「疲弊・疲労感」とした。その結果、小学校男子教員で満足. 感が低く、養護学校女子教員で疲労感が低い傾向がみられた。また、田 川ら(1991)は特殊教育担当教員のストレッサーとして、「心理的・身体的. 過負荷」、教師という「職業」、「対人関係」の3因子を見出している。こ. れを学年差と性差で比較したところ、養護学校教員は人間関係からくる ストレスが低かった。一方、特殊学級担当教員の人間関係によるストレ. 10.

(16) スは大きく、このことについての詳しい検討が必要であることを指摘し ている。. 安達(1998)は、ストレスに影響を及ぼす要因として、普通学級・特殊. 学級・盲聾養護学校の学校種別、教職経験年数、タイプA行動特性が明 らかになったと報告している。通常学級の教師は学校システム上の問題、. 特殊学級では学校内の孤立感、盲聾養護学校では同僚教師との人間関係 に強くストレスを感じていた。教職経験年数では年数が長くなるほど自 身の指導力不足に不安を感じ、一方、経験が浅い教師はストレス・マネ ジメントの面で他者への相談や聞題に直面しない方法をとる傾向がみら. れた。ワーカホリックを生じさせやすいとされるタイプA行動特性の傾 向が強い教師はソーシャルサポートを得にくく、人間関係に強くストレ スを感じることが示されたと報告している。. 第6節 本研究における問題と目的 前述の新学習指導要領で、通常教育において交流教育が規定されたこ とは、障害児教育にとって大きな進歩である。教育現場で実践するにあ. たって、障害児教育に携わる教師は専門家として、これまで以上に重要 な責務を担うことになると予想される。そして、いっそう多くの仕事、. 困難な仕事をこなすことが要求されるであろう。先行研究で、障害児学 級担任のストレスの高いことが示されている(宗像ら、1988;田川ら、. 1991;岡東ら、1997)が、その内容についての多くが明らかになってい ない。. そこで本研究では、障害児教育に携わる教師のストレスを取り上げる。 障害児教育に携わる教師のストレスを明確にするには、田川ら(1991)が. 11.

(17) 指摘するように、盲・聾・養護学校の教師、小・中学校で障害児教育に携. わる教師、そして小・中学校で通常教育に携わる教師のそれぞれの実態 とその比較検討が必要であると考える。本研究では、その3教師群に、 同じ質問紙を用いて、それらの校種間、職種聞の比較が可能な標本を収 集する。それらによって、次の3点を本研究の目的とする。 ①障害児教育に携わる教師を中心とした調査対象者の、ストレス 度、バーンアウト状態を明らかにする。. ②教師ストレスに影響を与える要因を、教職生活意識、性格傾向 特性、コーピング行動特性、支援関係により検討する。 ③これらの結果から、障害児教育に携わる教師を含めた教師スト レスの予防対策について検討する。. 12.

(18) 第2章. 予 備 調 査. 第1節 予備調査1 第1項 目的 教師のストレッサー測定尺度の項目を作成するための資料と、尺度、 項目、量などを検討するための基礎資料の収集。. 第2項 方法 (1)尺度の選定 先行研究(宗像ら、1988;岡東ら、1997;安達、1998)に基づいて、 調査目的から必要と判断される尺度を収集し、検討資料とした。. ①ストレス度尺度:岡東ら(1997)使用の「健康度調査」「ストレス 調査票」. ②バーンアウト尺度:宗像ら(1988)、岡東ら(1997)使用の「The Burnout Measure」(Pines,A.M、1981)を邦訳、修正(宗像ら、1988) されたもの. ③性格傾向尺度:安達(1998)使用の「タイプA行動パターンの判定 法」(前田、1984). ④人間関係尺度:岡東ら(1997)による、職場の雰囲気・関係の良好 さ・相談相手の有無・教育活動に対する支持の有無を問う測定尺度. ⑤コーピング尺度:岡東ら(1997)の「コーピング行動調査票」. ⑥ストレッサー尺度:岡東ら(1997)による「教職生活意識調査21 項目」、及び、自由記述によるストレッサー調査. (2)調査対象、時期及び調査の手続き. 13.

(19) 研究室生、在籍校の教師など26名を対象に行った。 調査時期は、1999年3,月∼4月であった。. 調査の手続きは、研究室および在籍校において、質問紙試案によるア ンケートと面接により意見の収集を行った。. 第3項 結果 自由記述、面接により、尺度の選定、及び、項目の選定についての指 摘が得られた。また、教師ストレスのストレッサーを収集した。 ①ストレス度尺度として「健康度調査」「ストレス調査票」は、心理的. ストレスの測定として適切でない。質問数も多く、バーンアウト尺度と の併用で効果的な尺度の選定が必要。. ②自由記述及び面接により、教職生活意識尺度の項目とするための、 教師ストレスのストレッサーを、40項目を収集した。. 第4項 調査用紙作成 予備調査用の調査用紙の作成にあたり、上記の指摘などを参考に検討 した。先行研究(宗像ら、1988;田川ら、1991;岡東ら、1997;安達、. 1998)に基づいて、調査目的から必要と判断し、検討した尺度を組み合 わせて、質問冊子を作成し、使用した。内容は次の通りである。なお、 各尺度の最後に問題点指摘の欄を設けた。 ①基本属性:調査目的にそって、「性別」「年齢」「教職経験:年数」「教. 職以外の経験年数」「今年度の所属」「障害児との関わり」「障害児教育 経験の有無」「障害児教育に関する免許の有無」「現在と将来の障害児教. 育に携わる意志の有無」の9項目を設定した。. ②ストレス度尺度;「General Health Questionnaire」 14.

(20) (Goldberg,D.P)の邦訳である「精神健康尺度日本版GHQ30」〈中川ら、. 1987)を使用。4件法にて回答を選択する。 ③バーンアウト尺度:「The Burnout Measure」(Pines,A.M、1981). を邦訳、修正(宗像ら、1988)されたものを使用。7件法にて回答を選 択する。. ④性格傾向尺度:「タイプA行動パターンの判定法」(前田、1984)12 項目の評定表記を修正して使用。3件法にて回答を選択する。 ⑤人間関係尺度:先行研究で作成、使用された測定尺度(岡東ら、1997). を修正して使用。職場の雰囲気・関係の良好さ・相談相手の有無・教育 活動に対する支持の有無など。5件法で回答を選択する。 ⑥コーピング尺度:先行研究で使用された測定尺度「対処行動尺度」. 17項目(宗像ら、1988)と「対処能力尺度」(岡東ら、1997)6項目を 使用。5件法で回答を選択する。. ⑦教職生活意識尺度:教師が日常、どんな思いを抱いて教育活動を営 んでいるのかを明らかにし、それらの心理的負担がストレス反応にどの ようなパターンで現れているのかをみることを目的に項目を設定した。. 項目の内容については、「教職生活意識調査21項目」と、自由記述及び. 面接により収集した40項目と、安達(1998)の収集による特殊教育担 当教員のストレッサー項目26項目の計87項目を選定した。次に、これ. らを9名の研究者で、KJ法による分類や、同じ意味内容のものを1項 目とするなどの検討を行い、31項目にまとめた。また、ストレスと感じ ることを自由に記述する欄を最後に置いた。4件法で回答を選択する。. 15.

(21) 第2節 予備調査■ 第1項. 目的. 修正した質問紙を再度検討するための資料収集、及び、その調査結果 により全体の傾向を知る。. 第2項 方法 (1)尺度の選定. 予備調査1の結果により、作成した調査用紙を使用した(付録資料1 参照)。. (2)調査対象、時期、及び調査手続き. 教職経験のある兵庫教育大学大学院生52名を対象とした。 時期は1999年5,月中旬に行った。. 手続きとして、上記対象に質問紙調査を直接依頼し、無記名方式で行 った。回収は、回答者の回収箱への投函によった。. 第3項 結果と修正 回収数42、有効回答数30であった。 (1)結果. 各尺度の後に設けた意見記述欄と最後の全体的意見記述欄により、次 のような指摘を受けた。. ①文章表記上の問題として3点の指摘を受けた。バーンアウト尺度と、 ストレッサー抽出を目的とする教職生活意識尺度において、ネガティブ な表現が多くなり、印象が重苦しい。誘導的になりやすい。また、外国 語的な表現は回答しにくい。. ②評定法については、3件法から7件法と差が大きい。また、昇順、. 16.

(22) 降順の統一が必要。. ③コーピング尺度の下位尺度である能力尺度について、質問項目によ り多様な解釈が可能なため、回答に迷う。. ④教職生活意識尺度の項目だけでは、教職生活における問題点を充分 網羅していないため、自由記述欄が必要。. ⑤尺度間で類似の質問項目がある。特に、人間関係尺度と教職生活意 識尺度で類似の内容を扱っている。. ⑥全体量が多く、回答に苦痛を感じる。. ⑦教職生活意識尺度の、「24 障害児と健常児の交流教育は両者に必 要である」は唐突な印象を受けるため、問い方に検討が必要である。 また、データとして分析し、次の結果を得た。. ⑧ストレス度尺度の度数分布図から、カットオフポイントは6点と7 点の間にするのが妥当であると考えられた。. ⑨ストレス度尺度とバーンアウト尺度はかなり相関が高かった。. ⑩教職生活意識尺度の項目によって、障害児教育教師と通常教育教師 の特徴が現れた。. (2)尺度の修正. 予備調査Hの結果の自由記述や分析により、指摘されたこと、参考に すべきことをふまえ、再度、検討のうえ、次の点について尺度の修正を 行った。. ①人間関係尺度の内容については、教職生活意識尺度の項目として、. 見直しの資料とした。また、人間関係尺度で相談相手を選ぶ質問につい ては、宰援関係尺度として、3場面を設定し対象を選択する形式にした。. ② コーピング尺度の中の、能力尺度6項目については、省略した。. 17.

(23) ③バーンアウト尺度について、再度検討し、Maslachら(1981)に よるマスラック・バーンアウト尺度(MBIと略す)を、邦訳、短縮した (田尾ら、1991)ものを使用した。. (2)尺度項目の修正. 教職生活意識尺度の項目について、予備調査1での自由記述と人間関 係尺度の項目を加えて、再度、検討を行い、27項目を選定したものを、 本調査で使用することとした。. (3)調査内容. 調査内容として選定した尺度、評定法については以下の通りである。 また、項目については、「予備調査Hで採用した質問紙」(資料1)と、 ともに「本調査で採用した質問紙」(資料2)として、付録資料を参照さ れたい。. 1)フェース・シート部 a.性別. b.年齢. c.経験年数. d.教職以外の就職経験の有無とその年数e。今年度の所属 f.教師としての障害児との関わり. g.障害児教育経験の有無とその年数. h.障害児教育に関する教員免許所有の有無 i.今年度及び今後の障害児教育に携わる希望の有無 j.阪神大震災の被害状況. 2)精神健康度尺度. 精神健康度を測定する尺度としては、「TH:E GENERAL H:EALTH. 18.

(24) QUESTIONAIRE」:GHQ、を邦訳(中川ら、1985)した「目本版GHQ」 の短縮版30項目(G1∼G30)を採用した。評定については、4件法で頻度 を問う評定の表現を、一部修正して使用した。また、質問項目の表現を ∼部修正した。この尺度から「神経症圏内にある者」を判断するのには、. GHQ得点法で、回答者が良好な健康状態を示す回答(評定の1と2) を選択した場合を0点とし、そうでない場合(評定の3と4)を1点と して加算することとした。「神経症圏内にある者」と判断するカットオフ. ポイントについては、6点と7点の問を境界とするのが妥当とされてい る(中川ら、1985)。本調査においても、それにしたがって処理を行う ことにした。(具体的な質問項目については、付録資料2−2を参照). 3)支援関係尺度 今回の調査では、支援者を「悩んでいるとき相談する相手」として、 以下の3場面について問うた。 S1:仕事のことで悩んでいるとき S2:職場の人間関係で悩んでいるとき S3:家族や家庭のことで悩んでいるとき. S1∼S3とも、選択肢は次の7つで、複数回答可とした。 〈管理職・同僚・カウンセラーなど・友人・家族・その他( )・いない〉. 4)バーンアウト尺度 バーンアウト状態を測定する尺度としてマスラック・バーンアウト測 定尺度(Maslach’s Burnout Inventory,MBIと略称する)の看護婦の自. 己診断用に作成された「短縮版MBI」17項目(田尾ら、1996)を教師 用に表記を修正して尺度とした。. 19.

(25) 評定において、「短縮版MBIjでは5∼1となっているところを、他の 尺度の評定との関連から、1∼5に置き換えた。「いつもある」を1に、「し. ばしばある」を2、「時々ある」を3、「まれにある」を4、「全くない」. を5とした。得点化については、1点∼5点を5点∼1点に置き換え、「情 緒的消耗感」5項目、「脱人格化」6項目、「個人的達成感の後退」6項目. の合計得点をそれぞれの得点としたr3因子に分類した具体的な質問項 目は次の通りである。(質問紙形式としては、付録資料2−4参照) ①情緒的消耗感(5項目) M1:「こんな仕事、もうやめたい」と思うことがあった. M7:一日の仕事が終わると「やっと終わった」と感じることがあった M8:出勤前、職場に出るのが嫌になって、家にいたいと思うことがあった M12:仕事のために心にゆとり力弐なくなったと感じることがあった. M16:体も気持ちも疲れ果てたと思うことがあった. ②脱人格化(6項目) M3:こまごまと気配りすることが面倒に感じることがあった M5:同僚や児童・生徒の顔を見るのも嫌になることがあった M6:自分の仕事がつまらなく思えて仕方のないことがあった M10:同僚や児童・生徒と、何も話したくなくなることがあった M11:仕事の結果はどうでもよいと思うことがあった M14:今の仕事は、私にとってあまり意味がないと思うことがあった. ③個人的達成感の後退(6項目) M2:我を忘れるほど仕事に熱中することがあった M4:この仕事は私の性分に合っていると思うことがあった M9:仕事を終えて、今日は気持ちのよい日だったと思うことがあった M13:今の仕事に、心から喜びを感じることがあった. 20.

(26) M15:仕事が楽しくて、知らないうちに時間がすぎることがあった M17:我ながら、仕事をうまくやり終えたと思うことがあった. 5)性格傾向特性尺度 本研究では、教師のストレスに大きな影響を及ぼす性格傾向特性とし. て「タイプA行動特性」を取り上げた。「タイプA行動特性」尺度とし て、「タイプA行動パターンの判定法」(前田、1989)12項目の質問表 を、評定の表記を1∼3と変えて用いた。籍点化にあたっては、「タイプA 行動パターンの判定法」による得点法に従って、「いつもそう感じる」を. 2点、「しばしばそう感じる」を1点、「そんなことはない」を0点とし、. 質問5,6,9のみ2倍の配点で最高得点30点となる。合計得点17点以上. を「タイプA傾向」とした。2倍得点の3項目は次の通りである。(具 体的な質問項目は付録資料2−5参照) A5:やる以上はかなり徹底的にやらないと気がすまない方ですか A6:自分の仕事や行動に自信が持てますか. A9:三品面な方ですか. 6)コーピング行動特性尺度 本研究では、ストレッサーに対するコーピング行動特性を調査するた めに、一般的に対処行動として考えられる17項目を先行研究(宗像ら、 1988,岡東ら、1997)を参考に設定した。「いつもそうする」を1点、「だ. いたいそうする」を2点、「どちらともいえない」を3点、「あまりしな. い」を4点、「まったくしない」を5点の5件法によって回答を求めた。 得点化については、評定の数値をその項目の得点とした。(具体的な質問. 項目は付録資料2−6参照). 21.

(27) 7)教職生活意識尺度 評定は4件法によって回答を求めた。得点化については、「まったくそ う感じる」を1点、「少しそう感じる」を2点、「あまりそう感じない」. を3点、「まったくそう感じない」を4点とし、評定の数値をその項目の 数値とした。具体的な質問項目は次の通りである。(質問紙形式は付録資. 料2−7参照) T1:仕事の量は適当である T2:自分の仕事に対する給与は適当である T3:自分の教育・指導の効果はあカ§っている. T4=自分の仕事についての専門的知識がある. T5:新しい機器や設備を活用している T6;今の職場は授業活動のための施設・設備が充実している. T7:児童・生徒の親から信頼を得ている T8:児童・生徒とのコミュニケーションがとれている. T9:今の仕事は体力的に負担が大きい T10:一部の児童・生徒が気になり学級全体に目が届かない. T11:体調が悪くても休暇がとりにくい T12=児童・生徒の進路や将来が心配である .T13=自分の仕事はマンネリ化している「. T14:児童・生徒に対する教育的責任が重い T15:自分の仕事は学校教育の範囲を超えている T16:教師という仕事はやりがいがある T17:今の仕事は自分にとって適職である T18:自分の仕事に対して職場の同僚の支持がある T19:教師間で教育や指導について自由に話し合える. 22.

(28) T20:自分の仕事について管理職の理解がある T21=家族は自分の仕事に対して応援してくれている T22・今の職場では・障害児と健削見の交流がうまくいっている T23:今の職場は男女の教師が平等にその地位を認め合っている T24:教育現場の実状から自分の教育的信念に混乱をきたしている T25:自分と学校の教育方針に違いがある T26:教師以外の職業への転職や離職を考えている T27:今の職場は積極的な研究態度に満ちている. 23.

(29) 第3章. 本 調 査. 第1節 方法 1 調査対象. 兵庫県内の盲・聾・養護学校39校、及び小・中学校60校に調査を依 頼し、承諾のあった盲・聾・養護学校24校の小・中学部在籍教師494名、. 小・中学校46校の教師623名、障害児学級担任1117名、計2234名を 調査対象とした。. 2 調査の手続き 学校単位の場合は学校長宛、障害児学級担任へは職名宛で、調査用紙 の配布、回収とも郵送法により、上記対象に質問紙調査(無記名方式) で行った。. 3 調査時期. 1999年7月上旬. 第2節 結果 7,月末までに回収されたのは1493名(66.8%)、うち、有効回答数は 1327名(59.4%)であった。. 第1項 調査対象者の基本属性 調査対象者の基本属性については、表1に示す通りであった。. 調査対象者は、小・中学校において主として通常教育に携わる教師群 (以下、通常教育とする)、小・中学校において主として障害児教育に携. 24.

(30) 表¶.調査対象者の基本属性 全調査者. 通常教育. N(瓢). N(%). カテゴリ. N=1327. 障害児学 盲撃養護. w校. N=527. N(%). N=509. N(%). N寓291. 854(64.4). 293(55.6). 376(73.9). 185(63.6). S73(35.6). Q34(44.4). P33(26.D. P06(36,4). 38(2.9). 18(3.4). P15(8.6) P26(9.5). V3(13,8). P1(2.2). R1(10,7). U3(12.0). R5(6,9). Q8(9.6). Q09(15.7). P06(20.1). S9(9.6). T4(18.6). R17(23.9). P30(24.7). P30(25.5). T7(19.6). R06(23.1). X1(17.3). P50(29.5). U5(22.3). Q16(16.3). S6(8.7). P32(25.9). R8(13,0). 69(5.2). 33(6.3). 3(0.6). 33(11.3). S∼10年目. P82(13.7). P03(19.5). R7(7.3). S2(14.4). K∼17年目. Q97(22.4). P44(27.3). V4(薯4.5). V9(27」). P8∼26年目 Q7年目以上. T39(40.6). P96(37.2). Q52(49.5). X1(31.3). Q40(18」). T1(9.7). P43〈28.1). S6(15.8). 教職以外の就職. ある. 211(15.9). 91(17.3). 60(斜.8). 60(20.9). o験. ネい 小学校通常教育 ?w校通常教育 ャ学校障害児教育 ?w校障害児教育. P116(84.1). S36(82.7). S49(88.2). Q31(79.4). 性別 年齢. 教職経験年数. 今年度の所属. 女男. 24歳以下 Q5∼29歳 R0∼34歳 R5∼39歳 S0∼44歳 S5∼49歳 T0歳以上. 1∼3年目. 296(22.3). 18(6.2). 527. Q31(17.4). 509. 356(26。9). P53(1L5). モ学校 W学校. 291. 32(2.4) R7(2.8). m的障害養護学校 ?フ不自由養護学校 a弱養護学校 障害児との関わ. 2(0.4). U8(5」) P43(10.8) P1(0.8). 障害児教育. 0( 0). 流学級担任 搓㈲ウ育担任 流教科担当 業の担当や補助. U9(13.0). 509(100.0). 291(100.0). Q0(3.8) T8(11.0) U6(12.6). サの他 ネい. U6(12.6). Q47(47.0). 昨年度まで障害. ある. 708(53.3). 94(17.8). 371(72.9). 243(83.5). 刹ウ育の経験. ネい. U19(46,7). S33(82,2). P38(2τ1). S8(16,5). 125(43.0) P66(57.0). 障害児教育免許. 持っている. 今年度の障害児. 揩チていない 希望した. ウ育の希望. ヌちらでもよかった 望はしなかった一 一 餉 幽 q 一 , 幽 卿 幽 一 一 曜 鱒 國 藺 髄 一 一 P 一 一 一 一 一 一 曹 曽 曹 曽 帽 一 冒 層 曽 一. 28(5.3). 139(27,3). P035(88.O). S99(94.7). R70(72.7). 590(44.4). 23(4.4). 348(68.4). 219(75.3). @244(18.4). m0(20.9). W0(15.7). @54(18,6). 292(22.0). @493(37.2)層. 需. 曹. 帽. 一. 廟. 鞠. 闇. ,. F. 胃. ,. 一. ,. 噌. r. 需. 略. 申. R94(74.7)一 一 ■ 甲 一 一 ■ 璽 一 ρ 謄 一 一 ロ 一 騨 一 圃 需. @18(6。1)璽 璽 一 一 「 塵 一 一 臼 一 一 一 幽 一 ■ 撃 辱 一 一 ’. ?騨 胃 顧 } 一 一 一 ■ 冒 一 騨 顧 } 願 一 謄 謄 冒 葡 喩 , 噛 喩 騨 ■ 脾 , 一. 。後の障害児教 轤ヨの希望. 望をもっている ヌちらともいえない. 望はもっていない. 阪神大震災の被. Q. 大きな被害を受けた. けた ュし受けた けなかった. @629(47,4) @405(30.5). @293(22.D. X5(18.0). R13(61.5). Q21(75.9). Q06(39.1) Q26(42.9). P42(27.9). @57(19.6). T4(10.6). @13(4.5). 88(6.6). 25(4.7). 38(7.5). Q19q6.5). T5(10.4). P01(19.8). U3(21.6). S11(31.0). P51(28.7). P48(29.1). P12(38.5). U09(45.9). Q96(56.2). Q22(43.6). X1(31.3). 25. 25(8.6).

(31) わる教師群(以下、障害児学級とする)、盲・聾・養護学校において障害. 児教育に携わる教師群(以下、盲聾養護学校とする)の3群に分けた。. それぞれのカテゴリにおける、3群の人数比に違いがみられた。性別 では、障害児学級担任の73.9%を女性が占め、通常教育教師の55.6%、盲. 聾養護学校教師の63.6%を上まわった。また、年齢別では、障害児学級. 担任の80.9%が40歳以上で、これは、通常教育教師の50.7%、盲聾養 護学校教師の54.9%よりも多かった。教職経験年数においても、同様iの 傾向であった。. 「昨年度までの障害児教育経験の有無」では、通常教育教師の17.8% が「ある」と答えた。障害児学級担任の27。1%、荒野養護学校教師の6.1%. が「ない」と答え、今年度初めて障害児教育に携わったことがわかった。 また、「障害児教育に関する免許」の保有率については、障害児学級担任 の27,3%、盲聾養護学校教師の43.0%であった。次に、「今年度の障害児. 教育の希望」で、今年度の所属決定に際して障害児教育を希望したかど うかをみた。障害児学級担任の68.4%が、盲聾養i護学校教師の75.9%が「希. 望した」と答え、障害児学級担任の3L6%、盲聾養護学校教師の24.7% が、「希望しなかった」障害児教育に携わっていた。一方、「今後、障害. 児教育への希望」をもっているかどうかでは、通常教育教師の18.0%が 「希望をもっている」と答え、39.1%が「どちらともいえない」と答えた。 現在、障害児学級担任の38.5%が、盲聾養護学校教師の24.1%が、障害児 教育に対して、「どちらともいえない」、「希望はもっていない」と答えた。. 第2項 教師ストレスの結果としてのストレス度とバーンアウト状態 ここでは、教師の精神健康状態をその属性要因とストレス度、バーン アウト状態との関連からみた。 26.

(32) 本研究で用いたストレス尺度「GHQ」は、神経判者および不安や社 会的な機能の不全さをも反映するものであり、神経症のみならず、緊張 やうつを伴う疾患性を判別するのに優れている。6因子構造からなり、 それらは、「一般的疾患傾向」「身体的諸症状」「睡眠障害」「社会的活動. 障害」「不安と気分変調」「希死念慮とうつ傾向」である。GH:Q得点の. 高かったストレス高群はその尺度の特性から、神経症圏内にあると推定 された者、つまり神経症群であると言い得る(中川ら、1987)。本研究で は、そのカテゴリ中のストレス高群の割合をストレス度と定義する。. また、本研究ではバーンアウト尺度として、Maslach.ら(1981)によ. る尺度「MBI」の邦訳「短縮版MBI」(田尾ら、1991)を用いた。 Maslachは、バーンアウトを、「i援助対象者がいるがゆえの、援助者と 援助対象者との関係から生じる、進行性のストレス」とし、「MBI」にお いて、バーンアウトを構成する要素として、次の3つの因子を抽出した。 そして、3因子について次のように定義した。. ①情緒的消耗感:仕事によって疲れ果てた、力尽きたという感覚。. ②脱人格化:児童や生徒に対して否定的で、人間性を欠くような対 応をとってしまう。. ③個人的達成感の後退:仕事の達成感あるいは有意味性の知覚がも てない状態。. 本研究ではバーンアウト状態について、MBIの3因子「情緒的消耗 感」「脱人格化」「個人的達成感の後退」が、要:注意域とされる上位40% (田尾ら、1995)を含む得点以上の者をそれぞれの高群とした。そして、. そのカテゴリ中での高群の割合を「情緒的消耗感度」「脱人格化度」「個. 人的達成感の後退度」とした。3因子のうち2因子以上高群であるもの を「バーンアウト重度群」とし、カテゴリ中のその割合を「バーンアウ 27.

(33) ト度」とした(表2を参照)。. 表2バーンアウト状態の層別分類(N=1327). 情緒的消耗. エ. 個人的達成. 脱人格化. エの後退. 高群. 高群 低群. 高群. 低群 低群. バーンアウト全. フ. 本調査での人 煤i%). 高群. 最重度群. 263(19.8%). 低群. 重度群. 177(13.4%). 高群. 重度群. 96(7.2%). 低群. 軽度群. 100(7.5%). 高群. 重度群. 85(6.4%). 低群. 軽度群. 81(6」%). 高群. 軽度群. 207(15.6%). 低群. 最軽度群. 318(24,0%). *調査対象者1327人について、バーンアウト3因子の得点から高群と低 群に分類し、教師全体のなかでの相対的位置を推定したものである。. (1) 性別. 女性教師と男性教師の、高ストレス群の割合であるストレス度と、M. BI3因子の高群の割合からなるバーンアウト状態は表3の通りであっ た。. 表3性別にみるストレス度とバーンアウト状態 神経症群 ストレス度 (高ストレス 群の割合). 女. 性. (N=854). 男. 性. (N=473). 318 (37.2%). 121. バーンアウト状態. 情緒的消耗 感度(高群. 脱人格化度 (高群の割. の割合). 合). 446. 361. (52,2%). (42.3%). 245. 凄90. (25.6%). (40.2%). (51,8%). κ2=18.68. κ2ニ17.73. κ2=11.1. df=1. df=1. df=1. p〈.001. p〈.001. Pぐ001. 28. 個人的達成 感の後退度. バーンアウト 度(バーンア. (高群の割. ウト重度群. 合). の割合). 429 (50.2%). 222 (46.9%). ns. 406 (47.5%). 215 (45.5%). ns.

(34) 表3の結果より、ストレス度では、女性の37,2%、男性の25.6%が高ス. トレス群であった。女性の方が男性より高ストレス群の割合が、有意に 多かった。バーンアウト状態では、女性の52.2%、男性の40.2%が、情緒. 的消耗感の要:注意域にあり、女性の方が男性よりも、情緒的消耗感の高. 群が有意に多かった。脱人格化においては反対の傾向がみられた。女性 の42.3%、男性の51.8%が脱人格化の高群で、男性の方が女性より有意に 多いことがわかった。. また、ストレス度について、GHQ30の標準化データにおける健常者 群55回目15%にあたる8名と、教師1327名中33.1%の439名との比較 を行った。その結果、教師は一般健常者と比較して有意に神経症圏内に ある者が多かった(Z・=8.29,df=1,p〈.Ol)。. (2) 教職経験年数:. 全調査者の、高ストレス群の割合であるストレス度と、3因子の高 群の割合からなるバーンアウト状態を、教職経験年数別にみた。結果. 表4教職経験年数別にみるストレス度とバーンアウト状態 神経症群 ストレス度. 1∼3 年目 m=69. 4∼10年目 m=182. 11∼17年目 m=297. 18∼26年目 m=539. 27年目以上 m=240. 22 i31.9%). 72 i39.6%). 97 i32.7%). 168 i3t2%). 80 i33.3%) n$. κ2. バーンアウト状態. 情緒的消耗. エ度. a. 26. 脱人格化度 a. 29. 個人的達成. バーンアウト. エの後退度. x. a. 17. a. 25. @(37.7%). @(42.0%). @(24,6%). @(36.2%). b. b. b. b. 96. 85. 86. 91. @(52.7%). @(46.7%). @(47.3%). @(50.0%). c 144. c. c. c. 126. 149. 132. @(48,5%). @(42.4%). @(50.2%). @(44.4%). d 266. d. d 286. d 277. @(49.4%). @(50.3%). @(53.1%). e 104. e. @(43.3%). @(39.6%). e 瞬3 @(47』%). @(5t4%) e 96. a−blpく.05. c−d:P〈.05. a−b:P〈.01. п│elPぐ01. =│CIP〈.01. a│e:p〈.05. =│d=P〈.01. п│e:pく.01. 29. 271 95. @(40.0%). a−d:pぐ05.

(35) は表4の通りであった。表4の結果より、高ストレス群の割合において、 4∼1◎年目に多い傾向がみられたが、他との有意な差はみられなかった。. バーンアウト状態の情緒的消耗感度においては、1∼3年目の教師は4∼ 10年目の教師に比べて、情緒的消耗感高群が有意に少なかった。脱人格 化については、18∼26年目の教師が50.3%と高く、11∼17年目の教師よ. りも脱人格化高群が有意に多かった。そして、18∼26年目の教師に比べ て、27年目以上の教師は、脱人格化高群が有意に少なかった。個人的達. 成感の後退度について、1∼3年目の教師は、4年目以上のすべての教師 層と比べてその高群が有意に少なく、つまり個人的達成感が高いことが わかった。バーンアウト度については、18∼26年目の教師の51.4%が重 度群で、1∼3年目の教師よりも、また、27年目以上の教師よりも有意に. 多かった。また、27年目以上の教師は4∼10年目の教師よりも、バーン アウト重度群が、有意に少ないことがわかった。. (3)所属別 全調査者について、高ストレス群の割合であるストレス度と、3因子 の高群の割合からなるバーンアウト状態を、所属別にみた。結果は、表 5の通りである。. ストレス度から、いずれも教師の30%前後に神経症群がみられた。 バーンアウト状態の情緒的消耗感度で、通常教育教師の54.5%に情緒 的消耗感高群がみられ、障害児学級担任、盲聾養護学校教師と比べて、. 有意に多かった。脱人格化度でも同様の傾向がみられ、通常教育教師 は障害児学級担任、盲聾養護学校教師よりも、脱人格化高群が有意に. 多かった。個人的達成感の後退度については、通常教育教師、障害児 学級担任が盲聾養i護学校教師より高い傾向にあるが、有意な差ではな 30.

(36) かった。バーンアウト度については、通常教育教師の52.4%がバーン アウト状態にあり、これは障害児学級担任の44.6%,盲聾養護学校教. 表5所属別にみるストレス度とバーンアウト状態 神経症群 ストレス度. 通常教育 m=527. 障害児学級 m=509. 盲聾養護学 ZN=291. 179 i34.0%). 176 i34.6%). 84 i28.9%). ns κ2. バーンアウト状態. 情緒的消耗. エ度. 脱人格化度. a 287. a. @(54.5%). @(5L2%). b 233. b. @(45.8%). @(42.4%). 0 116. c. @(39,9%). @(41.2%). a−b:P〈.01 =│c=P〈.01. a−b:P〈.01 =│c:Pく.01. 270 2雲6. 120. 個人的達成. エの後退度 266. i50.5%). 257 i50.5%). 128 i44.0%). ns. バーンアウト. x. a. 276. @(52.4%). b. 227. @(44.6%). c. 117. @(40,2%). a−b:p〈.05 =│c:P〈.01. 師の40.2%と比較して、バーンアウト重度群の教師が有意に多かった。. また、神経症圏内の割合においても、高バーンアウト状態の割合におい. ても、障害児学級担任と盲聾養護学校教師との問で、有意な差はみられ なかった。. (4)今年度の障害児教育への希望の有無 所属別の3教師群に分け、高ストレス群の割合であるストレス度と、 3因子の高群からなるバーンアウト状態を、今年度の所属決定にあたり 障害児教育を希望したかどうかによって、みた。その結果は表6に示し た。. 通常教育教師においては、高ストレス群、情緒的消耗感高群、脱人格 化高群、バーンアウト重度群とも、障害児教育を「希望した」教師群に 多い傾向がみられたが、他と比べて、いずれも有意な多さではなかった。. 個人的達成感の後退度においては、障害児教育を「希望しなかった」教. 31.

(37) 師群が53.8%と、「どちらでもよかった」教師群や「希望した」教師群よ. りも個人的達成感の後退した教師が有意に多かった。 障害児学級担任においては、いずれの項目でも、「希望した」教師群が 「希望しなかった」教師群よりも、高群の教師が少ない傾向であった。 その中で、「希望した」教師群は、「希望しなかった」教師群よりも、神 経症圏内の教師が有意に少ないことが明らかになった。. 表6今年度の障害児教育への希望の有無にみるストレス度とバーンアウト状態 神経症群 ストレス度. 9. 希望した. i39」%). m=23. 32. どちらでもよか. チたN=瞬0. i29」%). 138. 希望しなかった m=394. x2. バーンアウト状態. 情緒的消耗. 脱人格化度. エ度. 15. 14. i65.2%). i60.9%). 50. 61 i55.5%). i45,5%). 205. 212. 個人的達成. エの後退度 a. 8. バーンアウト. x. 14. @(34.8%) b 46. i60.9%〉. @(41.8%). i45,5%〉. c. 212. 50 212. i35.0%). i53.8%). i52.O%). @(53.8%). i53.8%). hS. ns. ns. a−c=Pぐ05. ns. a│c:P〈.01. 塵. 希望した m=348 どちらでもよか. a 109. チたN=80. @(36.3%). 希望しなかった. c. m=81. @(46.9%) κ2. 目. @(31.3%). b. 29 38. a−c:P〈.01. 希望した m=219 どちらでもよか. a. 61. @(27.9%). b. 14. チたN=54. @(25.9%). 希望しなかった. c. m=18. @(50.0%) κ2. 9. a−c:P〈.05. 150. 152. i43」%). i43.7%). 38. 30 i37.5%). i47.5%). 36. 43. 164 i47.1%). 46 i57.5%). 47. 149 i42.8%). 36 i45.0%). 42. i53.1%). i44.4%). i58、0%). i51.9%). ns. ns. ns. ns. 84. 94. @(37.0%) b 28. i42.9%). @(51.9%) C 11. i46.3%). i55.6%). @(61」%). i50.0%). a 82 @(37.4%) b 24 @(44.4%) c 12 @(66.7%). ns. a−b:p〈.05 =│c:P〈,05. ns. a−c:P〈.05. a. i38.5%). 22 i40.7%). 10. 81. 25. 9. 盲聾養護学校教師において、ストレス度で「希望した」教師群は「希 望しなかった」教師群よりも、高ストレス群の人が有意に少ないことが. 32.

(38) わかった。脱人格化度から、「希望した」教師群は、「どちらでもよかっ た」教師群、「希望しなかった」教師群よりも、脱人格化高群が有意に少 なかった。バーンアウト度から、ストレス度と同様、「希望した」教師群. が「希望しなかった」教師群よりも、バーンアウトしている教師が有意 に少なかった。他の項目も類似の傾向であったが、有意な差はみられな かった。. (5)今後の障害児教育への希望. 所属別の3教師群に分け、高ストレス群の割合であるストレス度と、. 表7今後の障害児教育への希望の有無にみるストレス度とバーンアウト状態 神経症群 ストレス度. バーンアウト状態. 情緒的消耗. 脱人格化度. エ度 希望をもってい 通常教育. 驍m認95 どちらともいえ. i41」%). ネいNニ206 希望はもって 「ないN=226. i31.6%). κ2. 障害児学級. 39. 希望をもってい 驍m=313 どちらともいえ. ネいN皿142 希望はもって 「ないN=54 κ2. エの後退度 i58.9%). i60.0%). 75. 52 i54.7%). 109. 104. i51.9%). i50.5%). 107. 119. x. i46,3%). 107. 111 i53.9%). バーンアウト. 44. 56. 57. 65. 個人的達成. i52.9%). 115. 118. i33.2%). i52.7%). i47.3%). i52.2%). i50.9%). ns. ns. 臨S. ns. ns. 98 i31.3%). 57 i40.1%). 21 i38.9%). ns. a. 130. 130. @(41.5%). b. i41.5%). 63. 76. a. 130. a. 125. @(41.5%) b 89. @(39.9%) b 75. @(62.7%) c 38. @(52.8%) c 27. @(53.5%) c 27. i44.4%). @(50,0%). i42.6%). @(70.4%). @(50.0%). a−blPぐ05. ns. a−b:P〈.01. a−b:p〈.05. 23. =│c=Pぐ01 盲聾養護学校. 希望をもってい 驍m=221 どちらともいえ. ネいN=57 希望はもって. 61 i27.6%). 18 i31.6%). 5. a. 81. a. 81. 92. @(36、7%) b 25. @(36、7%〉 b 30. i41.6%). @(43,9%) c 10. @(52,6%). i49.1%). c. 9. 28. 8. a 80 @(36、2%) b 27 @(47,4%) C 11. 「ないN=13. i38.5%). @(76,9%). @(69,2%). i6L5%). @(84。6%). κ2. ns. a−c:P〈.01. a−b:pぐ05 =│c:Pぐ05. n$. a−c:Pぐ01. a│c:pぐ05. 33. a│c=p〈.05.

(39) 3因子の高群からなるバーンアウト状態を、今後の障害児教育への希望 の有無別にみた。結果を表7の通りであった。 通常教育教師においては、個人的達成感の後退度を除く4つの指標で、 障害児教育への「希望をもっている」教師群に、高群の教師が多い傾向 を示したが、いずれも有意な差ではなかった。 障害児学級担任についてみると、情緒的消耗感度において、「どちらと もいえない」と考える教師群よりも、「希望をもっている」教師群の方が、. 情緒的消耗感の高群の教師が有意に少なかった。個人的達成感の後退度 においても、「どちらともいえない」、「希望はもっていない」教師群より、. 「希望をもっている」教師群の方が、個人的達成感の後退した教師が有 意に少なかった。バーンアウト度においては、「どちらともいえない」教 師群よりも、「希望をもっている」教師群の方が、バーンアウト重度群の 教師が少なかった。. 盲断養護学校では、情緒的消耗感度とバーンアウト度において、「希望. をもっていない」教師群が「希望をもっている」教師群や「どちらとも いえない」教師群よりも、注意域にある教師の数:が、有意に多かった。. また、脱人格化度においては、「希望をもっている」教師群が、「どちら. ともいえない」教師群や「希望をもっていない」教師群よりも、脱人格 化注意域にある教師の数が、有意に少ない結果であった。. (6) 阪神大震災の被害意識. 1995年・1月の阪神大震災での被害意識別に、高ストレス群の割合であ. るストレス度と、3因子の高群からなるバーンアウト状況をみた。結果 は表8の通りであった。. この項目は、本研究が兵庫県の教師を対象とした調査によるものであ 34.

参照

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