本研究では、障害児教育に携わる教師と通常教育に携わる教師のスト レス状況を、両者の比較を通して検討した。教師の神経症やバーンアウ
ト状態の危機的状況を、いくらかの部分において明らかにすることがで きた。障害児教育と通常教育間における、教師の異動に伴う諸条件とス
トレスの関係などが、教育現場での活性化に役立つことを期待したい。
しかし、教師ストレスの研究としては、いくつかの課題が残された。
1つ目は、テーマであった障害児教育に携わる教師のストレスを、明 確に抽出し、そのストレスの特性を引き出すことが充分できなかったこ とである。再度、分析に取り組み、障害児学級担任の教師ストレスモデ ル、盲・聾・養護学校教師のストレスモデルの構築まで進めていきたい。
2つ目は、小学校、中学校を分けずに、通常教育担任、障害児学級担 任とのみ分類した。そのため、校種による差をみることができなかった。
盲・聾・養護学校についても、サンプル数が少ないために分けなかった。
しかし、校種の特性を明らかにしていきたい。
3つ目は、性別によるストレスの検討が充分できなかったことである。
教師は、男女で給与も同じ、仕事も同じであるにも関わらず性差がみら れる。このストレスの原因、結果やコーピング、性格特性などからの分 析を進めていきたい。
4つ目は、本研究で性格特性として用いた「タイプA行動パターン」
について、ストレスとの関連、頴一ビングとの関連をより詳しく検討し たい。4因子に分けて分析することで、あらたな関連が明らかになると
思われる。
86
引用・参考文献
安達亜紀代 1998教師のストレスとそのマネージメントに関する研究 山口大 学修士論文
相川勝代 1997教師のストレス 長崎大早教育学部教育科学研究報告,52,1−13.
安藤延男(編) 1985 学校社会のストレス 垣内出版
新井肇 1998教師バーンアウトの心理・社会的要因に関する研究一インシデン ト・プロセスによる援助プログラムの開発一 兵庫教育大学修士論文
荒木紀幸・小原政秀 1990教師ストレスに関する基礎的研究一…教師ストレス検 査の開発 兵庫教育大学学校教育センター 学校教育研究,2,卜18.
土居健郎(監修) 宗像憧次・稲岡文昭・高橋徹・川野雅資 1988燃え尽き症 候群一医師・看護婦・教師のメンタルヘルスー 金剛出版
藤原武広・岡本久美子・湯浅奈々 1997 学校教員のストレスに関する調査 関 西学院大学社会学部 社:会心理学教室
後藤靖宏・田中妙 1996教師の職務の現況とストレスの問題 大分大学教育学
部研究紀要,19,1,215−230.
後藤容子・田川元康 1991 特殊教育担i当教員の精神健康調査(その2)一燃え つき・ストレス・対処行動の3尺度について一 和歌山大学教育学部紀要(教
育科学),40,115−122.
秦政春 1988学校社会の規範状況に関する調査研究(H)一体罰・校則に対す
る教師の意識を中心に一 福岡教育大学紀要,37,4,9−66.
秦政春 1989 学校社会の規範状況に関する調査研究く皿)一教師集団の人閲関 係を中心に一 福岡教育大学紀要,38,4,69−108.
秦政春 1990 学校社会の規範状況に関する調査研究(IV)一教師集団の人間関 係によるインパクトを中心に一 福岡教育大学紀要,39,4,87−134.
秦政春 1991教師のストレスー「教育ストレス」に関する調査研究(1)一 福
岡教育大学紀要,40,4,79−146,
秦政春 1992教師に対する子どもの問題行動一「教育ストレス」に関する調査
研究(H)一福岡教育大学紀要,41,4,127−178.
保坂隆・野村総一郎 1996慢性疲労症候隅一からだが訴える心の歪み一 新星 出版社
稲垣忠彦・久冨善之編 1994 日本の教師文化 東京大学出版会
金子勧榮・針田愛子 1992 小・中学校教師の職場ストレスに関する分析 金沢 大学教育学部紀要,42,1−10.
笠原芳隆 1998 特殊学級担任が抱える学級経営上の諸問題 上越教育大学研究
筆写要,17,2,Mar.687−697.
笠原芳隆・村中智彦・安藤隆男・藤井和子 1999 特殊学級担任教員の職務に関 する分析的研究 日本特殊教育学会第37回大会発表論文集,361.
木島伸彦 1996 教員ストレスの研究動向について ストレス科学,10,4,292−
295.
久保真:人・田尾雅夫 1992 バーンアウトの測定 心理学評論,35,3,361−376.
窪島務 1999 「特別なニーズ教育」の概念とその意義 目本特殊教育学会第37 回大会発表論文集,L3.
黒岩克 1998教師ストレスからみた教師の職業的発達に関する研究 高知大学 修士論文
教員の心の健康等に関する調査研究協力者会議 1993教員の心の健康等に関す る問題について(審議のまとめ)教育委員会月報第45巻第5号15−29.
Lazarus, R. S,&F◎lkman, S. 1984 Stress, Appraisa1,and C◎ping 本明寛・春
木豊・織田正美(監訳) 1991 ストレスの心理学一認知的評価と対処の研 究一 実務教育出版
前田聡 1985虚血性心疾患患者の行動パターンー簡易質問紙法による検討一
心身医学,25,4,298−306.
丸野俊一 1990 教育心理学の立揚から教育ストレスを考える 教育と医
学,38,1.
恥ichenbaum, D.1983 Coping With Stress 根継金男・市井雅哉(監訳) 1994 ストレス対処法 講談社現代親書
三澤義一 1993 障害児のための…教師教育 中央法規出版
桃生寛和 1993 タイプA行動パターンはストレス関連疾患全般の危険因子か?
タイプA,4,1,21−23,
文部省 1991 特殊…教育諸学校小学部・中学部学習指導要:領解説一養護学校(精 神薄弱教育)編一 東洋館出版
文部省地方課 1980〜1997 教職員に関する懲戒処分等の状況について 教育委
員会月報,45,5,15−29.
宗像恒次 1995 ストレス解消学一過労死・がん・慢性疾患を超えるために一小 学館ライブラリー
永田毒煙 1999 ストレスマネージメント 毎目ライフ,1,毎日新聞社,76−80.
中川泰彬・大坊郁夫 1985 日本版GHQ精神健康調査票手引 日本文化科学社 中島一憲 1998 教師の「登校拒否」はなぜ増えているのか 児童心理,707 金
88
子書房 118−123.
成田善弘 1993 心身症 講談社現代新書
夏目誠 1993 ライフイベント法とストレス度測定公衆衛生研究,42,3,402−
412.
日本特殊教育学会障害児教育システム研究委員会 1998 障害児教育システム研 究委員会研究成果報告(孤)一特殊学級の教育システムに関する調査一 特
殊教育学研究,36,3,51−62.
日本特殊教育学会障害児教育システム研究委員会 1998 障害児教育システム研 究委員会研究成果報告(団)一特別教育システムの構想と提言一 特殊教育
学研究,36,3,154−163,
野田哲朗 1998学校教師のストレス 大阪府立こころの健康総合センター研究
糸己要,3,9−14.
岡本祐子 1997 中年からのアイデンティティ発達の心理学 ナカニシや出版 岡東壽隆・鈴木邦治 1997教師の勤務構造とメンタルヘルス 多賀出版 岡安孝弘・高山巌 1999 中学校の組織的特性と教師および生徒のストレス 目 本教育心理学会則41回総会発表論文集,7◎6.
大阪教育文化センター 教師の多忙化調査研究会(編)(代表 帰島洋介) 1996 教師の多忙化とバーンアウトー子ども・親との新しい関係づくりをめざして 一 京都・法政出版
産経新聞「じゅく一る」取材班 1997学校って、なんだろう 新潮社
田川元康・後藤容子 1991特殊教育教員の精神健康調査(その1)一調査の概 要、仕事への志気の尺度ついて一 和歌山大学教育学部紀要(教育科
学),40,103−114.
滝坂信一 1999 「交流教育」の課題と展望 日本特殊教育学会第37回大会発表
論文集,S75.
田尾雅夫・久保真人 1996バーンアウトの理論と実際一心理学的アプローチー 誠信書房
TEES研究会(編) 1999 新版 学校と教師 学術図書出版社
山口剛 1999 学校ストレスの臨床 現代のエスプリ別冊一ストレスの臨床一
至文堂 185−197.
謝 辞
本研究論文の作成にあたり、指導教官として終始温かいご指導、ご校閲 を賜りました今塩屋隼男教授に心よりお礼申し上げます。また、障害児教 育講座並びに障害児教育実践センターの諸先生方には、修士論文中間発表 会等を通し、研究を進めていく上での貴重なご指導、ご助言をいただきま したこと、厚くお礼申し上げます。多くのご意見や励ましをいただきつつ、
共同で研究を進めてきました今塩屋研究室修了生の皆様(岩木信善氏、高 橋圭三氏、岡嘉宏氏、中山希恵氏、濱野裕和氏、山田浩司氏)、同研究室の 皆様(渡邉亮太氏、神戸洋子氏、高良秀昭氏、山崎道一氏、浅田栄里子氏、
多田由紀子氏)に、深く感謝いたします。
さらに、本研究の意義をご理解いただき、快く調査にご協力をいただき ました兵庫県下の盲・聾・養護学校、小・中学校の管理職及び教師の皆様、
そして兵庫県障害児教育研究協議会の理事の方々をはじめ、小・中学校の 障害児学級担任の皆様に心よりお礼申し上げます。
最後になりましたが、2年間の貴重な研修の機会を与えてくださいまし た兵庫県教育委員会、:夢前町教育委員会、並びに勤務校の教職員の皆様方 に深く感謝いたします。
今後、この2年間に学んだことを基礎に、日々の教育実践に励みたいと 思っております。ありがとうございました。
なお末筆ながら、大きな理解と支援で励まし続けてくれた両親と家族に 感謝して筆をおきたいと思います。
平成11年12,月20日 大藤恵子