写真による身体運動の分析
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(2) . 第1 7巻 館1号. 第二部C 北海道教育大学紀要 (第二 北海道教育大学紀要( 部C). 1 昭和4 ・年9E. 写 真 に よ る 身 体 運 動 の 分 析 安. 井. 孝. 司. 北海道教育大学旭川分校体育研究室 lys I Movemen KOuj i YAsU工: An Ana i i t s sof phys ca by ~leans of Photogr aphy. 序 今日の世界は科学の時〉代であるとよく言 つれる。 そ して科学の使命は事象を分析して事実を明ら. かにすることであるとも言われている。 体育に関する学問的研究の分野に於ても, 体育は技術であ ion i i l educat i s an art s ence-- と 言 わ れ な が らも, 技 術 が ca c っ て 科 学 で は な い - - Phy , not a s. 真に技術であるためには科学的基礎によらなければならないと して1 , 今日では体育的事象の 事 実. を明らかに しようとする立場から, 体育に関する科学的研究が急速に進められている。 しかも, 体育は 身体運動を重要な手掛かりとすると言うことは 一般に認められているところであ. るが, この研究はこの体育が重要な手掛かりとする人間の身体運動という事象を分析して, 事実を 確めようとする場合の一つの方法として活用される写真が どのような役目をはたすものであるか, と い う こ と に つ い て 考 察 した も の であ る。. 特に, 先に発表した 『スキー回転技術の基礎 に関する研究の第1報に引き続き, 第2報えと研 究を進める過程に於て, その手段と して活用 しようとする写真による方法について, 確めておいた 方 が よ い だ ろ う と 考 え られ る よ う に な っ た の も, こ の 研 究 を 進 め る に い た っ た 一 つ の 理 由 で あ る。. 写 真 の も つ 使 命 今日の科学は数学を使う関係上, 量の科学にいちじる しく傾いている点が指摘され, 「形」 も科 学の対象になり得るものであるが, 今日の科学の中には形の問題はほとん どはいっ ていないと して. 『梅の枝ぶりと桜の枝ぶりとは葉がなくても一目見ればわかる。 しかしその差を量的にあ らわそう とするとなかなかむずかしい。 実際に枝わかれの角度を各種について皆はかり, つぎの枝までの長 さ を み な は か っ て, 統 計 をと っ て も, そ の 差 は 出 て こ な い で あ ろ う。 梅 の 木 に も い ろ い ろ な 梅 の 木. があり, 桜にもいろいろな桜がある。 それで数字の上では同じような分布をしていて, 梅には梅の 形, 桜には桜の形があっても,ちっ ともおか しくはない。 分析 しても差が出なくて,全体と してみた. ときに, 梅の木か桜の木かということが 一日で見分け られる。 そういう性質の問題は今日の科学の 3 と言う中谷 (1 中には採り上げられていない』 95 8) の意見に示唆を与えられ, 体育に関する研究 の一つの方法と し, 身体運動はこの梅の木と桜の木との比較とは多少性質を異にするとは思うが, 現在の科学に於て路傍におかれている問題といわれる, 「形」 についての研究を進めるのも有効な こ と で は な い か と 考 え る に い た っ た。 (30).
(3) . 安. 井. 孝. 司. また今日体育に関する科学的研究は, 心理学・社会学・生理学な どの分野に関連 して, それぞれ の分野の分化とともに微視的 傾向をたどっ ているように見えるが, 全体と してそ れらの特殊な分野 での研究によっ て明らかに された個々の事実を総合 して, 技術として把握 しようとする分野での研. 究も進められているように見受け る。 身体運動に関しても 同じことが言えると思うが, 言うまでも なく個体としての人体が行なう 身体運動 (動作) は時間的空間的構造をもつものであっ て, 数量的. に解明される要素を多 くもっ ていると考え られる。 しかし更に 主として空間構造の理解のためには 形態に関する研究を進めることが考え られてもよいのではないかと思う。 ここに体育に於ける運動 に関する研究に写真が有効であると見られる 一つの大きな理由があると考えられるものであり, 体 育の科学的研究の 場に於ける写真の使命もここにあ るものと考える。 ただ身体運動に関する場合, 時間構造を無視することのできない場合が多いので, それとの関連 に於ても, 数量との関係に於ける形という立場を必然的によらなければならないとも考えるのであ るo. 8ミリカメラによる方法 人間の動作は厳密な意味では1回限りのものである。 練習がよい効果をあげている場合は, 何回 でも同じように見える動作を繰返えすことができるが, 厳密に言えば同 じではない。. 体育の場に於ては, 多くの場合このような意味での厳密 さを必要と しないこともあるが, この1 回限りの動作を事象と してとらえて研究したり論議をする場合, 写真により再現できるようにする ことが有効な手段であるということは前述の通りであり, 一般に認められているようである。 中で. も連続撮影によっ て再現できる映画形式のものが有効である。 現在では70ミ リフィ ルムと言うのが あ るが 我々 の 研 究 の た め に は 必 要 で は な さ そ う で あ る。 と り あ え ず16ミ リ か 8 ミ リ の フ ィ ル ム を 使. 用する機械と言うこ とになるが, 経済さえゆ るされるならば16ミ リカメラの方がはる かに精密度の 高 い 研 究 をす る こ と が で き る。 しか し我々 は 今 の と こ ろ 8 ミ リ カメ ラ を 使 用 す る 段 階 に 止 ま っ て い る。 した が っ て 8 ミ リ カ メ ラ に よ っ て, どの よ う に した らょ り 効 果 的 本 質 的な 研 究 を す る ごと が で き る かと い うこ と に つ いて 考 察 を 進 め て 来 た の で あ る。. 高度な精密さを必要とする観察のために, 超高速撮影のできる機械が考案されて, すでに使用さ 00サイ クル毎秒と 言うような, 高速撮影を したと しても厳 れている。 しかしどのように, 例えば3 密 に 言 え ば, あ る ゴマ とそ の 次 の ゴマ と の 中 間 に あ た る 1/300 秒 以下 の 瞬 間 に 於 け る 動 作 の こ と は. わ か らな い。 さ らに1000サイ ク ル 毎 秒 の 撮 影 を した と して も 同 じであ る。 しか し人 間 の 動 作 は切 れ. 間なく続いているのである。 我々 が手軽に扱い得る 8 ミ リカメ ラ で は, 最 高64サイ ク ル 毎 秒 ま で し /64秒以下の, ゴマに現われない部分の動作は推測するより仕方がないのであ か撮影できない。 1. る。 現在の我々の段階ではそれで不自由を感ずることはあまりない。. 以前 我々 の 研 究 室 に い た 押 切4 は, 児 童の ス タ ー トか らの 全 力走 の ス ピー ド変 化 を 8 ミ リカ メ ラ で測 定 したこ と が あ る。 2メートル ごとに立てられた測定棒に, 身体の影像のふ れるまでに要した. コマ数によっ て, 所要時間を算出したのであるが, 毎秒32コマで撮影しても, まだ像が測定棒にふ れていないゴマの, その次のゴマではもう 身体の中程以上が測定棒を通過している場合があるが, このような場合には最初に定めた約束に従っ て,推測による算出をするより仕方がないのである。 ス キ ー の 技 術 に 関 して “立 ち上 り 抜 重 ” か, “沈み込み抜重“ かが諭議されたことがあるが, そ のとき我々 は解決の手段と して体重計の上で立ち上り動作や沈み込み動作を行っ て体重計の針の動 き を 8 ミ リ カ メ ラ の48コマ 撮 影 で 調 べ たこ と が あ る5 。 針 の動 き の 早 い 部 分 で は 被 写 体 プ レの ため 針.
(4) . 写 真に よる身体運 動 の 分 析 の位置が明瞭でないゴマがあっ たが, これも約束に従って針の位置を推測によっ て定めるより仕方. がないのであるが, それで明らかにしなければならないと予定した目的は充分達せられたのである。 い う ま で も な く こ の よ う に して 明 ら か に さ れ た事 実 を, どの よ う に 意 味 づ け を し, どの よ うに 技. 術に発展させるかは, おのづから別の問題と して採りあげられなければならないことである。 以上の2つの例は, 体育の学問的分野で身体運動に関する研究のために, 8ミ リカメラを使用し たものであるが, これらは明らかに数量的に処理することを初めから目的と したものである。 も し形をと らえようとする目的である場合には, 映画形式では何回繰返 して映写 しても動きの中 の1ゴマの状態をと らえることはできない。 最近の映写機械には1コマを停止映写のできるものが ある が, 次 の ゴマ の 観 察 の 時 に は も う 前 の ゴマ の 像 は無 い の で 比 較 検 討 を す る と い う よ う な こ と は で き な い。 こ の 比 較 が で き て く れ な い と こ ま る こ と が 我々 の 研 究 で は 多 い の で あ る。 従 っ て 必 要 と. するゴマ の像を 1枚の印画紙に焼きつける処理をする必要がでてくるわけである。. 勿論人体は空間の1部を占挙する立体であるのに, 印画紙に焼きつけられた像は平面上の形であ る。 ここに本質的な相違があると思うが, この平面上の形から立体を推測して理解するか, 研究の 目的達成上必要な形をと らえることができるように, 定まっ た方向から撮影を しておけばよいわけ で あ る。. 写真1は我々の研究室で行なっ ている体育科. の授業分析に関する研究の資料とするために, 小学校2年生女児の前転運動を8ミ リカメラの 毎 秒16コ マ で 撮 影 した も の を, 5 コマ 目 ごと に. 1コマづつ拡大して印画紙に焼きつけたもので, 左上から下に順にク リペたものである。 8 ミ リ フ ィ ル ム は 普 通 現像 つ き で 市 販 さ れ て. おり, 現像は返転されて陽画になっ てくる。 こ の 8ミ リ 陽 画 フイ ル ムを35ミ リ 印 画 フイ ル ム に. 写 しかえる作業から始めなけれ ばならない。 こ の 作 業 は 1 眼 レ フ カ メ ラ に 8 ミ リ用 コ ピー チ ュ ー ブを 使 用 して 行 な うこ と が で き る。 我 々 は 次 の よ う な 方 法 で 行な っ て い る。 1. 三 脚 に 取 り つ け た 1 眼 レ フカ メ ラ の レン ズ をは ず して 8ミ リ用 コ ピー チ ュ ー ブを 取 り つ け る。 コ ピ ー チ ュ ー ブに は 専 用 レン ズが あ る 13 mm) で が, 8 ミ リ撮 影 機 の 標 準 レン ズ (. もよい。 その場合距離目盛と絞り を 調 整 す. . \き、. 写 真 I. る。. 2.. コ ピー チ ュ ー ブに 8 ミ リ フイ ル ム (陽 画). o の1 cm 位の長さのものを入れて焦点を合せ画面が斜になっ ていないように調整する。 3. カ メ ラ の 前 方 30cm 位 の 所 に 光 源 電 球 を おく。 我 々 は 1 50W スポッ ト用なす型散光電球を使用 して い る。. 4. 電球とカメラの中間やや電球に近いあたりに遮熱と散光を兼ねて, すり硝子を1枚立てること に して い る。 5,. 8 ミ リ フイ ル ム の ゴミ を よく 拭 きと っ て, 撮 り た い ゴマ を 合 せ て コ ピー チ ュ ー ブに 入 れ る。 こ (32).
(5) . 安. 井 ・ 孝. 司. の場合撮影のために使用する35ミリフィル ムは, 特別の場合を除き ASA I OO 程度の SS 級を使 用すると中間調もよく 出るようである。 6. 光源電球を 点燈 してシャ タ ー (レリー ヅ 使 用) を 切 れ ば よ い の で あ る が 8ミ リ フィ ル ム の , 調 子 に よ っ て 我 々 は ≠ ピーチ ュ ー ブ 内 の レン ズを, F4.5 に 調 整 し8 分 の 1 秒 か 4 分 の 1秒 か の どち らか に シャ ッ タ ー 速 度 を 合 せ る こ と に して い る。. この作業を予定して行なう8ミリカメラの撮影は, 露出計を使用 してできるだけ適正な仕上りに. なるように注意 しなければならない。. 以 上 の 順序 で 8 ミ リ フィハ ム か ら撮 影 した35ミ リ フィ ル ム は, 普 通 一 般 の フィ ル ム の 現 像 処 理 と. 同様の方法で処理すれ ばよいのであるが, なるべく他人まかせにすべきでないと考えている。 我々 6 に よ て 処 理 を して い る はコ ダ ッ ク D76 っ 。. 印画紙に焼きつけられた写真の使用目的によっ て, 特に抽出 したい像のゴマを撮影 (いわば複写) することも当然考えられてよいことであると思うが 前述のように 身体運動は切れ間のない連 続動 作である。 従っ て像の形をとらえる場合でも, 多くの場合その切れ間のない連続動作の時間的経過 の中での どの位置における形であるかが理解できるようにする注意が必要である。 そのためには抽. 出して研究の対象と しようとする動作のあるゴマ (多くの場合動き始めのゴマと思う) か ら1定の コマ 数 毎 に 抽 出 して, いく つ か の 像 を と らえ る べ き で あ る と 考 え て い る。 例 え ば48コ マ 毎 秒 の 8ミ. リ フィ ル ム か ら5 コマ目毎に1コマづつ抽出すれば, およそ1 0分の1秒毎の 1連の連続写真が得ら. れ る こ と に な る わ け で あ る。 唯 8ミ リ カメ ラ に よ る 撮 影 の時, 動 き の あ ま り 速く な い 動 作 を64コ マ. 毎秒な どの高速撮影をすると, 動作の開始が どのゴマであるかの判定が困難になるし, 速い動きの 6コマ毎秒の普通速度で撮影すると被写体ぶれが現われて, ただでさえ大比率の拡大のため 動作を1 影像の線が明瞭を失いがちなところに被写体ぶれのため, 益々判断しにくくなる危険があるので, 動作の速さに合せて適当な毎秒のコマ数で撮影することが大切である。. 35ミリカメラによる方 法 こ こ で35ミ リ カ メ ラ を と り あ げ た の は, 我 々 が 平 素 研 究 の た め に 使 用 して い る の が, 35ミ リカ メ. ラ であ る た め で, 要 は 1 回 シャ ッ タ ー を 切 る こ と に よ っ て 1枚 の フィ ル ム撮 影 の で き る カ メ ラ で あ. れば どんな種類のものでも同じこと である。. こ の 種 の カメ ラ で は, 前 述 のよ う に 1回 シャ ッ タ ー を 切 るこ と に よ り, 1 枚 の フィ ル ム に しか 像. をむすばせることができない。 従って使用方法は限定されて来るようである。 その1つは切れ間のない運動の中の, 研究の対象となる1瞬 の像をタイミングよくと らえて, 分 析の手 掛 か り を 得 よ うと す るこ と で あ り, 次 に 考 え られ る こ と は 1 回 シャ ッ タ ーを 切 っ て い る 間 に. 特殊な機械を使用 したり, 特殊な方法を用いたり して, 1枚のフィルムに幾つかの像をおさめるい わゆる重複露出の方法である。 叉現在ではいわゆるロボッ トカメラと言われる映画撮影機と同様な 機能をそなえたものもあるが 我々は現在のところ, 主と して経済的理由によっ てそれを利用する段階にはない。 しかし後述するように, 体育における運動の科学的研究に写真のはたす役割の重要さ か ら 思 え ば, この種の機械の利用も考えなければならないのである。 第1の切れ間のない運動の中の研究の対象となる 1瞬の像を得るこ とを目的と して行 た撮影の っ. 1例を次に示すことにする。 我々が上述の意味で写真を利用するのは主と してスキー回転技術の基礎となる物理 的平衡の解明.
(6) . 写 真 に よる 身体 運動 の 分 析 の ためである。 我々は現在のところ, スキーの回転技 術は, 単なる物理的平衡だけでなく, もっと 高い次元での平衡--言いかえれば, 1つの動作は明らかに平衡を失う動作であ るのに, 次の動作 ではそこから移行 し得る平衡状態を通り過ぎて, 反対方向の平衡を失っ た体勢まで動作することを, リズミカルにくりかえすことによっ て, 全体と しての時間的経過から見 れば, 平衡を失なわなかっ たと言うような平衡, 動揺を含んだ高次な平衡--以外の何物でもないと考えて いる。 従ってこの 場合, まず物理的平衡の条件と しての, 底面と 重心との関係を研究する場合, 写真が重要な価値を 7 もつも のであると考えている。 これについては名古屋大学松井 の, 写真上の身体の像の重心を合 成する研究の成果が, 我々の研究にも大きな助けとなっ ている。 しか しさらに, 写真上での重心を合成することの信頼度を確かめるために, 我々は次のような方. 法 を と っ て い る。. 写 真 2 は ヘ ル スメ ー タ ー 2 台 の 上 にlcm 間 隔 に 目 盛 り を つ け た 厚 板 を の せ た と こ ろ で あ る。 こ の. cm をlkg 厚板の目盛りは被検者の全重量に合わせてヘルスメーターの距離を調節す るようにし, l に 換 算 しや す い よ う に して い る。. 写 真 3. 写 真 2. 写真3は上述のヘルスメーターの目 盛り板が上向きになっ ているのを, 前方から同時に撮影でき るように反射鏡を置いたもので, 勿論実験ではヘルスメータ ーの目 盛りを両方 0に調整 したところで行う。 写真4は 以上の装置の上に乗っ た被検者がスキーにおける. 斜滑降あ るいは斜前横滑りの場合行なう動 作の姿勢をとっ た ところで撮影したものである。 これはB4判大に引き伸 し松. 井の方法で合成された重心の位 置 と, ヘルスメーターから 算出される重心位置との誤 差を確かめるためのものであり, B 4 判 大 に 引 き伸 した 写 真 で は 明 瞭 に ヘ ル ス メ ー タ ー の 目 盛. りを判別することができる し, 映像上の重心合成も正確に作 業することができる。 写真4はそのB判大の写真 で重心合成. の作業を したものを再び複写 したものであ る。 写真で中央よ. り左方向約 5cm. の 目 盛 り のと こ ろ に ○ 印 を つ け て あ る と こ. ろがヘルスメーター目盛りから算出された重心の鉛直位置で あ り, そ の 右 方 向 約 0.75cn l のところが写真の映像に合成 し 写 真 4. た重心の鉛直位置である。 この写真での誤差は 62cm に対 し て 約 0,75cm であっ た。 これは被検者の全 重量が 62kg であ (34).
(7) . 安. 井. 孝. 司. っ 」」. たため厚板の目盛りで 62cmは な して ヘ ル スメ ー タ ー に 乗 せ た の で あ り,誤 差 は 約 1.2パ ー セ ン ト っと の いう こ と い うこ と に な る。 同 様 の方 法 で作 業 した10枚 の 写 真 中, 誤 差 0 と 認 め られ るも の 3 枚,約 0,25cm も 果の 2 の も の 2 枚, 約 0,5cm の も の 3 枚, 約 0,75cm の も の 1 枚, 約 lcm の も の 1 枚 で あ っ た。 こ の 結 か▲ ら. 結果から写真による重心合成の信頼度の高いことを確認 して, 実際の運動中の写真の重心位置を合 r. 成したのが写真5である。 写真5はスキーにおける斜め前横滑り中の1瞬であり, 別 に 8 ミ リカ メ ラ48コ マ 撮 影 で 約 100 メ. トル前方から, 望遠. レン ズに よ り 50cm 間隔に立てられた測定棒を通過するコマ. 数により, 等速運動であると みなして重心からの鉛真方向に よっ て, やや後傾姿勢であると判断できるものである。. 次に1回 シャ ッ ターを切っ ている間に特殊な機械や方法に. よ っ て 1 枚 の フィ ル ムに 幾 つ か の 像 を 結を せる方法について の 1 例 を 示 す。. 前述した第1の方法では, 撮影から現像焼きつけまで普通. 写 真 の 処 理 と ま っ たく 同 様 に 作 業 して よ い の で あ っ て, で き. 上っ た写真に対する作業に努力の焦点があるのに対し, この 方法では撮影の時から現像焼きつ けの処理にいたるまで写 真 に関する高度な技術を必要とする。 そのことに関して写真6 写 真 5. 及 び7 の 説 明 を も っ て あ て るこ と に す る。. 写真6及び7は我々の研究室で行っている機械運動の跳躍 に関して, 踏み切り時の体勢の変化についての 研究のために撮影した, 多くの写真の中の一部 を 示 し たも の で あ る。. 写真6は水平跳びの踏み切り時のものであり, 写真7は前方空中転回時のものである。 いづれ. ▲. も研究目的から第1踏み切りの足が手前になる 方向から運動させ, その足の先きと, 直立時の. . 一 {. 重心位置の体側と思われる位置に豆電球を装置. して, その移動の軌跡が現われるように工夫 し た。 言うまでもなくこれらは重複露光による撮 影 で あり, い づ れ も 東 芝 ス ト ロ ボ 装 置 SS-4‐B. 写 真 6. 及びストロ ボ用高照度装置を使用 し1 0サイ クル. . - ・. 毎秒で点滅 して撮影したものである。 この撮影. も . での方法と留意点をあげれば次の通りである。 1. 被検者の服装はフィ ルム感度をよくするた め に 白 に し, バ ッ ク は 黒 に す る が, バ ッ ク ま. ノ “ ′ Y 豹鵠. での距離を充分とることが大切である。 2. 実験場をあまり暗くすると危険であり充分 な行動 が で き な い の で, ス ト ロ ボと は 別 に,. ある程度の照明をつけた中で行なわなければ な らな い。 従 っ て シャ ッ タ ー は 必 要な 範 囲 で (35). 炊 r - -鞭 霊験r. 写 真 7. ー -. ご-.
(8) . 写 真に よる 身体運動 の 分 析 なる べく短時間で切 らなければならない。 3. ストロボの点滅はある程度長い時間続けて置く。 6な ど) で30分程度の増感現像をする必要があるが, 我々は 4, フィルムの現象は普通現像液 (D7 8 に よ る15分 間 の 増 感 現 像 で 目 的 を 達 して い る。 DI1. 5. 引き伸 しでは床な どの感光の強す ぎた部分を長く露 光するように, おおい焼きをする必要が生 ずる場合がある。 6,. 写 真 6 及 び 7 の デ ー タ ー を 示 せ ば 次 の 通 り で あ る。. カ. メ. ラ … … … キャ ノ ンFP絞 り 5.6. シ ャ ッ タ ー … … … … B (約 1 秒 半) フ イ ル ム … …… … … 富 士 ネ オ パ ソ SS. 東芝ストロボ装置 S 4-B 及びストロボ用高照度装置使用………出力8,5KW 1oc/s 現 像 … … … DI1 , 15分 間タ ン ク 現 像 印画 紙 … … … 富 士 ベロ ナ F2. む. す. び. 写真による運動分析では, どのような運動の, どのような部分を, どのような目的で, どのよう に分析するかというね らいを明瞭に把握し, その目的達成のために最も有効な写真の活用方法を工 夫 しなければならない。 さらに加えて, 写真そのものが技術を要するものであるから, それに熟達 することが必要である。 このような意味で, 今後もこの研究は続け られなけれ ばならないものと考 え て い る。. しかし, 写真によって分析され, 解明された様々な要素はあく までも事実を明らかに したと言う 立場をとるものであり, それに どのような意味を与え, どのようにそれぞれの運動技術に発展させ るか, と言うことは目から別の問題である。. 中谷は 『写真というものは科学では非常に重大な役割を果している。 ある瞬間的に起 っ た 状 態 を, 写真では固定することができる。 それであとでゆっくり時間をかけて, これを調 べることがで. 0万分の1秒く らいの間に完了する速い現象でも, それを捉えることが で き る の きるのである。 1 で, 観察の武器と しては非常に有力なものである』9と言っ ている。 切れ間なく続く身体運動の1瞬 の状態を捉えて固定させ, それを時間をかけて調 べるということは, 体育に関する学問的立場での. 身体運動の科学的研究においても重要な意義をもつものであると考える。 しかも, ある意味で再び まっ たく同 じにくりかえすことのできない身体運動を1目見て, それを理解し得るような能力は, 体育における指導者にとっ て大切なことの1つであり, それを身につけた, いわゆる専門家になる. ために写真による研究は叉大切なものであると考えている。. 文. 献. 1966 )(体育の科学社) 東京 1) 河村 英樹;”体育原理”p ,3~5(. 1963 ) 2 ) 安井 孝司:北海道学芸大学紀要, 第二部C, 第14巻, 第2号, p .40( 1 3 1 9 6( 1 9 5 8 岩波 3 3 )( ) 東京 ) 中谷宇吉郎:”科学の方法”p . 196 0 1巻, 第1・2号, p ) 4 ) 押切 由夫:北海道学芸大学紀要・第二部C, 第1 ,28(. ) 安井 孝司:前掲書 5. ・ ( 36).
(9) . 安. 井. ・孝. 司. ’1 明:”プロフェッ ショナル写真処方蝉き ) ,6(写真工業出版社) 東京 “ ” 7) 松井 秀治: 運動と身体重心 p ,50・53(体育の科学社) 東京. 6) 笹井. 0 明:前掲書 1 8) 笹井 ) .2 : i谷宇吉郎 蒲封掲書 p f 9)」F 1 . 28~129. (37).
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