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算数科における探究的な学び : 「数学的な見方・考え方」という視点から見直した授業づくり

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Academic year: 2021

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検証した。第4回は、単元全体で獲得するべき歴史像について授業前の打ち合わせとメール での質疑応答を通して確認し、そのうえで寺前が史資料と授業の構成を決定して授業を行 った。指導案で譬えれば、三品の関与は「授業での史資料の扱い方」から「各授業回の目標 に適切な史資料の選定」へ、そして「単元目標の捉え方」へと、いわば「より深い」レベル へと移行していったと言える。 このような三品の関与の変化は、寺前が三品に求める助言の内容の変化に即したもので あった。当初は寺前が完成させた授業へのコメントを求められ、次に授業の主題に適切な史 資料の紹介を求められ、最後には「時代に対する理解」をより深めるための助言を求められ た。これはつまり、授業において史資料を適切かつ効果的に使うためには、その授業回を含 む単元全体に対する理解が不可欠であり、授業者が歴史の大きな流れに対してどのような 認識を持っているのかということが極めて重要であることを改めて示したものである。 このことを第4回の研究授業に即して言えば以下のようになる。事前の打ち合わせとメ ールの交換の中では、西ヨーロッパの中世社会とはどのような特徴を持つ時代であり、中世 の終焉とはどのような歴史的変化をメルクマールとするのか、といったことが議論された。 その結果、西ヨーロッパの中世社会は所領(荘園)を有する領主によって分権化された社会 であり、そうした領主間に結ばれた双務的契約とローマカトリック教会の浸透によって社 会秩序に一定の安定が確保されていた時代であることが確認されたのである。こうした理 解に基づいて、第4回の研究授業では「ムスリムの侵入と抵抗」「領主裁判権の事例」「ロー マ教皇権威の浸透」「領主間の同盟契約」を示す史料群が提示された。この四種類の史料の 提示方法についてはなお改善の余地が大きく残っているように感じられたが、生徒が西ヨ ーロッパ中世社会の息遣いに触れつつ当該社会の構造を考え理解するうえで、極めて適切 な史料群が取り上げられたということは間違いない。 このような側面で歴史研究の専門家の関与が意味を持ったのは、寺前がまだ教歴の浅い 「駆け出し」の教員であることが大きい。しかし、上述のように高等学校の歴史教育におい て史資料の読み取りと考察が大きなウエイトを占める時代の到来は、地歴科に携わる教員 すべてに、歴史の大きな流れをどう捉えるのか、それとの関連でどのような史資料を選択す るべきなのかといったことに対するより深い知見を求めるだろう。そうだとすれば、ここに、 歴史研究者としてより高度な専門性を持った大学の教員が貢献できる領域がある。今回の 授業研究は実質的に半年間しかなかったため、方法を初歩的に模索したところで終わった が、それでも重要な一歩を踏み出すことができたと考えている。今後はこの到達点を踏まえ、 高大連携の枠組みの下で、史資料を用いた授業の開発に寄与していきたい。(文責:三品) 令和2年度 連携事業活動概要報告書

算数科における探究的な学び

-「数学的な見方・考え方」という視点から見直した授業づくり-

伊東 快剛(和歌山市立砂山小学校) 奥河 歩(紀美野町立下神野小学校) 上平 果歩(和歌山市立貴志南小学校) 松原 千夏(和歌山大学附属小学校) 西山 尚志 南垣内 智宏(和歌山大学教育学部)

本研究の目的と概要

本研究は,研究に参加いただく小学校教員と和歌山大学附属小学校・和歌山大学の教員 が連携して,算数科における教育実践および教材研究に取り組み,授業改善や授業内容・ 教材についての新しい試みを行うことを目的としている。特に共同研究者の授業実践の取 り組みや,附属小学校での研究大会における授業実践の取り組みを通して,授業内容の検 討や,授業実施および教材についての協議を行い,貴重な実践の機会と附属学校および大 学教員の専門性を組み合わせ,実践的な授業・教材を構築することを目指している。 本研究は,和歌山大学の教授であった片岡啓教員と附属小学校に在籍していた小谷教員 が始めたもので,これまで課題名と担当教員を変更しながら継続して行われているもので ある。大学側からは西山教員と南垣内が引き継いで担当している。

本研究の活動概要

以下の日程で本研究を行っている。 ・10月14日 2限 授業参観 ・11月27日 放課後 指導案の検討会 ・12月16日 2限 ビデオ撮影 ・ 1月23日 午前 研究協議会 またこれ以外にも,事前の打ち合わせを複数回行った。 10月より附属小学校で,松原教員と研究授業にむけて, 取り組みを進めた。まず,ク ラスの様子や指導に関して課題を明らかにするために授業参観を行い,意見交換を行った。 授業に関する課題が散見され助言を行ったが,算数の学習状況についてはそれまでの取り 組みが有効に働いており,課題は見受けられなかった。 11月の指導案の検討会には,現場校の共同研究者にも参加いた ● ● ● ● だき,指導案の検討を行った。松原教員より指導案に関する提案が ● ● ● ● あり,この際,かけ算を用いて右図●の個数の求め方を題材とする ● ● ● ● 説明があった。それを受けて参加教員との意見交換を行った。特に, ● ● 教材の導入方法と問題を提示した際の児童の反応について,空白部 ● ● 分に●があるのを仮定して,その後引く方法で考えることができる ● ● か,またその方法で,どのくらいの数の児童が考えることができる ─ 193 ─

(2)

かを,これまでの経験を基に検討した。 今回の研究協議会は,コロナウイルス感染防止の観点からオンラインでの協議会であっ たため,あらかじめ授業の様子をビデオで撮影・公開し,参加者は協議会までに視聴の上 協議に参加いただく形式を取っている。 12月の研究授業撮影では,松原教員より「箱に詰めたミカンの ● ● ● ● ● 個数を求めるにはどうすればいいだろう。」(右図参照)という課 ● ● ● ● ● 題に児童が取り組む授業が実践された。授業を通して,対象を分割 ● ● ● ● ● して個々にかけ算を用いて個数を求め,その結果を足して答えを出 ● ● す方法と箱全体にミカンが入っていることを仮定して,空白部分を ● ● 引く方法の二通りに気づかせる授業が行われた。分割して足す児童 が多数を占めると考えていたが,全体から部分を引いて考える児童も予想以上に多く,ま た,説明に関してもつなぎ言葉を有効に使い,小学2年生として十分な表現をしている児 童を見ることができた。 写真 附属小学校における授業の様子(12月16日)「かけ算」 写真 ワークシートの記入例(12月16日)「かけ算」 1月に行われた協議会では,授業の流れと導入を中心に協議が進められた。授業の流れ に関しては,足す方法から引く方法への流れが自然であるとともに,ないものをあると仮 定することの難しさについて共通理解を図ることができた。 導入については,授業では箱のふたをずらしながら少しずつ見せてまとまりを意識させ していたが,横に2列ずらした後,縦にずらして予想とズレを生じさせ,それを利用して はという具体的な案が出されていた。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● → ● ● ● ● ● → ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 最後に助言として,問題解決の過程として, ・問題を1つの方法で解ける。 ・問題を複数の方法で解ける。 ・問題を適切な方法を選んで解ける。 があることと,全体から部分を引く考え方は中学校の数学にまでつながることを例に挙げ, 系統性を大切にしていくことの有用性を示した。 なお,今年度の2月または3月に,研究参加者たちと協議を持ち,今年度の総括を行い, 来年度どのように実施していくかについて意見交換を行いたいと考えている。

成果と課題

今年度は附属小学校と大学側の主担当者がいずれも変更したため,共同研究の概要がつ かめずスタートが遅くなってしまった。ただその分,前述したように打ち合わせも含めて これまで以上の回数の交流を持つことができた。今後研究を継続し,質的に向上させてい く上での下地ができたものと考える。ただ,附属小学校以外の先生方の教育実践に大学教 員も参加し, 授業改善や授業についての情報交換を行う取り組みは,日程調整などの関係 から, ほとんど実施できなかった。今年の研究を広げていく観点から,参加教員の負担を 大きくしないように大学教員の取り組み方などを改善しつつ,それぞれの学校における算 数教育の課題等を明らかにしながら円滑な支援を進めていきたい。そのため来年度以降も 本研究を継続し,今回の反省を生かして改善していきたいと考える。 ─ 194 ─ ─ 195 ─

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かを,これまでの経験を基に検討した。 今回の研究協議会は,コロナウイルス感染防止の観点からオンラインでの協議会であっ たため,あらかじめ授業の様子をビデオで撮影・公開し,参加者は協議会までに視聴の上 協議に参加いただく形式を取っている。 12月の研究授業撮影では,松原教員より「箱に詰めたミカンの ● ● ● ● ● 個数を求めるにはどうすればいいだろう。」(右図参照)という課 ● ● ● ● ● 題に児童が取り組む授業が実践された。授業を通して,対象を分割 ● ● ● ● ● して個々にかけ算を用いて個数を求め,その結果を足して答えを出 ● ● す方法と箱全体にミカンが入っていることを仮定して,空白部分を ● ● 引く方法の二通りに気づかせる授業が行われた。分割して足す児童 が多数を占めると考えていたが,全体から部分を引いて考える児童も予想以上に多く,ま た,説明に関してもつなぎ言葉を有効に使い,小学2年生として十分な表現をしている児 童を見ることができた。 写真 附属小学校における授業の様子(12月16日)「かけ算」 写真 ワークシートの記入例(12月16日)「かけ算」 1月に行われた協議会では,授業の流れと導入を中心に協議が進められた。授業の流れ に関しては,足す方法から引く方法への流れが自然であるとともに,ないものをあると仮 定することの難しさについて共通理解を図ることができた。 導入については,授業では箱のふたをずらしながら少しずつ見せてまとまりを意識させ していたが,横に2列ずらした後,縦にずらして予想とズレを生じさせ,それを利用して はという具体的な案が出されていた。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● → ● ● ● ● ● → ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 最後に助言として,問題解決の過程として, ・問題を1つの方法で解ける。 ・問題を複数の方法で解ける。 ・問題を適切な方法を選んで解ける。 があることと,全体から部分を引く考え方は中学校の数学にまでつながることを例に挙げ, 系統性を大切にしていくことの有用性を示した。 なお,今年度の2月または3月に,研究参加者たちと協議を持ち,今年度の総括を行い, 来年度どのように実施していくかについて意見交換を行いたいと考えている。

成果と課題

今年度は附属小学校と大学側の主担当者がいずれも変更したため,共同研究の概要がつ かめずスタートが遅くなってしまった。ただその分,前述したように打ち合わせも含めて これまで以上の回数の交流を持つことができた。今後研究を継続し,質的に向上させてい く上での下地ができたものと考える。ただ,附属小学校以外の先生方の教育実践に大学教 員も参加し, 授業改善や授業についての情報交換を行う取り組みは,日程調整などの関係 から, ほとんど実施できなかった。今年の研究を広げていく観点から,参加教員の負担を 大きくしないように大学教員の取り組み方などを改善しつつ,それぞれの学校における算 数教育の課題等を明らかにしながら円滑な支援を進めていきたい。そのため来年度以降も 本研究を継続し,今回の反省を生かして改善していきたいと考える。 ─ 195 ─

参照

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