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ウェブログの運営方法と発展形態

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Academic year: 2021

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ウェブログの運営方法と発展形態

2000MT082 榊原康広 2000MT091 高須和也 指導教員 青山幹雄

1. はじめに

現在,ウェブログ(Weblog)という形態の Web サイトが注 目を集めている.しかしその運営方法や発展形態に関して は現段階ではあまり研究されていない.本研究では,これ らの調査と考察を行うことを目的とし,以下の3 つを研究課 題とする. (1) 人々のウェブログに対する関心度を,既存のウェブロ グの評価,分析を行い,原因を調査する. (2) 実際にスタイルの異なるウェブログを複数作成し,運 営することによって,その運営記録等を分析する. (3) ウェブログを運営する際,従来の Web サイトとの違い を明確にしながらデータを分析して,ウェブログの発 展形態を明らかにする.

2. ウェブログとは

2.1 ウェブログの定義 ウェブログ(略してブログ)は,Web を辿ったログという意 味でウェブログと言う.ウェブログの代表的ツールである Blogger の開発者である Evan Williams は,「多様で幅広 い性格をもつため,ブロッグの明確な定義を定めることは困 難であるが,強いていえば,日づけ順に頻繁に更新され, 特定の記事やウェブサイトへのリンクを掲載している特定の フォーマットである.」と定義している[3]. 2.2 ウェブログの種類 ウェブログのスタイルとして主にフィルタ,日記,コミュニ ティ,エッセイ・レポート,写真ブログ,企業ブログの6種類 がある.その他に携帯電話などのモバイルツールから更新 できるモブログというのもある[1].

3. ウェブログを実現する技術

3.1 RSS(RDF Site Summary) RSS は,サイトの概要をメタデータとして簡潔に記述する XML フォーマットである[2].RDF(Resource Description Framework)は,マシンが処理可能な Web 上の知識を実 現するためのXML フォーマットである.Web サイトは RSS ファイルを公開することによって,他のサイトがそのウェブ サイトの最新エントリのヘッドラインを表示できる. 3.2 ウェブログポータル ウェブログの更新情報をまとめて提供するサイトに ping サイトが存在する.さらにそのping サイトを利用したウェブ ログだけを対象にした検索サービスサイトや分析サイトも存 在している.作成したウェブログをより多くの人に見てもらう ためにも,このようなウェブログポータルサイトに登録,ping を送信することが必要となる.代表的な ping サイトに Weblogs.com や Myblog japan などがある.

なお,更新情報を通知するときにはXML-RPC が使われ ている. 3.3 トラックバック トラックバックとは,独立しているサイト間をリンクするため の仕組みで,HTML タグを使った通常のハイパーリンクと は異なり,リンク先からリンク元への逆リンクを実現する技術 である. 3.4 コメント ウェブログを訪れた人がエントリ(1 つ 1 つの記事)単位で 意見や感想を書き込むことができる「コメント機能」を持つウ ェブログ作成ツールもある.

4. ウェブログの作成

4.1 作成の目的 ウェブログを実際に運営・管理していくことによって,ウ ェブログにどんな魅力があるか,どんな問題点があるか,今 までのWeb サイトと比較してどういった違いがあるかなどを 調査すること. 4.2 作成方法 サーバインストール型ツールである Movable Type Version 2.63 をインストールしてウェブログを作成した. 4.3 作成したウェブログ モブログと写真ブログの 2 つのウェブログを作成した. 4.3.1 モブログ モブログを作成する上でMovable Type にはモブログに 必要なメールでの投稿機能はないため,受け取ったメール をMovable Typeに投稿するサービスであるMoblog Mail Gateway を利用した.

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モブログのタイトルは「raoh(自分のハンドルネーム)のモ ブログ日記」で,日記形式で運営した.カメラ付き携帯電話 を活用し画像を添付して投稿していく. 図1は,トラックバックを受けたエントリである.それ以前に 自分から積極的にトラックバックをしていた.図1 で受けたト ラックバックがその結果というわけではないが,自分がトラッ クバックをしたウェブログからコメントがあり,自分のメインペ ージへのリンクも貼られていた.トラックバックは,ある 1 つ のエントリからコミュニケーションをとりウェブログ全体の繋 がりにまで発展する画期的な機能であると言っても過言で はない. 図1: トラックバック 4.3.2 写真ブログ タイトルは「Summer Dream」で,デジタルカメラで撮影 した夏をテーマにし,写真のサイズを小さくして公開してい る.また,アクセス解析,Blogrolling,RSS,コメント等の機 能を搭載し,更新はおよそ2 日に 1 度のペースで行なって いる.エントリ更新情報は,Weblogs.Com など,計 4 つの Ping サイトに通知されるように設定した.また,blogdex な ど多くのウェブログランキング,集約サイトに登録した. アクセス解析を 行なう際に必要 となるロゴマーク 投稿したエントリー RSSの ヘッドライン表示 Blogrolling 登録用のボタン 図 2: 作成した写真ブログ Summer Dream

5. 従来の Web サイトとの相違分析

5.1 ネットワーク構造の違い トラックバックによる繋がりが加わることによって,従来の Web サイトとネットワーク構造上どのような違いがあるのかを 調査した. 5.1.1 評価方法 (1) リンク(トラックバックも含む)によるネットワーク構造 ランダムにウェブログではないWeb サイトを複数選び被リ ンク数をカウントした.さらにリンク元のサイトも被リンク数を カウントし,被リンク数がどのように変化していくかを調査し た.ウェブログもリンク元がウェブログである被リンク数をカ ウントし,同様に被リンク数の変化の様子を調査した.こうし て従来のWeb サイトとウェブログの被リンク状況を比較する ことによって評価した.なお,被リンク数をカウントする方法 としては,従来のWeb サイトは NAVER Japan リンクサー チ,ウェブログはTechnorati のサイトを用いている[3][4]. (2) トラックバックのみによるネットワーク構造 ある記事が受けたトラックバック トラックバック数の多いウェブログのエントリからトラックバ ックしているエントリを辿り,トラックバックだけでどこまで他 サイトに繋がるのかを調査することによって,ウェブログの ネットワーク構造を評価した. 他サイトへの リンクとなる 1つのエントリのみ が表示される 5.1.2 リンクによるネットワーク構造の分析 (1) ランダムに数サイト選んだ中での比較 まず,従来のWebサイトについて被リンク数が0でないサ イトをランダムに10 サイト選び,被リンク数の変化を調査し た.各サイトのデータを比率に変換し,比較した.ウェブロ グも同様の方法で5 サイトを選び調査した. 以上のデータから平均比率をとり比較した結果,図3 のよ うになった.共に2 回目の被リンク数調査で比率は大きく減 少しているものの,従来のWeb サイトは 6 リンク目以降,比 率が0 となってしまった.一方ウェブログは,2 リンク目以降, 増加減少を繰り返しながら0.02 から 0.05 までをほぼ一定と なった. 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 x = 被リンク数調査の回数 y = 比率 従来のWebサイ ト平均 ウェブログ平均 図3: 被リンク数の比率変化のグラフ (2) 1 サイト同士の比較 従来の Web サイトとウェブログで被リンク数の近いサイト

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を1 サイトずつ例として,比較した(従来の Web サイトの被リ ンク数は917,ウェブログは 825).その結果,ウェブログは (1)の場合とほぼ同じ結果となった.しかし,従来の Web サ イトは917 あった被リンク数が 2 回目の調査で一気に 1 に まで減少し4 リンク目までで被リンクサイトは 0 となった. 5.1.4 解析結果 (1) リンクによるネットワーク構造の解析結果 従来のWeb サイトは,最初の被リンク数が多いサイトでも, そのリンク元の被リンク数は0 に近いサイトばかりであること が判明した.それは,リンク元がサイトのトップページでな いことが原因と考えられる. 5.1.3 トラックバックのみによるネットワーク構造 逆にウェブログにおいては,サイドバーにもエントリ内にも ふんだんにリンクが貼られていることから,被リンク数がラン ダムに増加減少を繰り返していると考えられる. BLOGROLLING.COMのサイトのウェブログ人気ランキ ングの上位50 のウェブログサイトのトラックバック状況を調 査した.調査した 50 サイトのウェブログのうち 20 サイト (40%)にトラックバックの機能が付いていた.この 20 サイト のウェブログ(海外のサイト)のトラックバックのネットワーク構 造を調べたところ,図5-2 のようになった. 以上の結果から,図6のグラフに,従来のWebサイト全体 の被リンク数の比率変化と,同様ウェブログ全体の比率変 化を導いた. 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 x = 被リンク数調査回数 y = 比率 ウェブログ 従来のWebサイ ト 図6: 従来の Web サイト全体とウェブログ全体の被リンク数 の比率変化 0 0 0 1 0 0 0 5 スタート地点を表す の中の数字はその エントリーがトラック バックされた数を表す - トラックバックに対応 していないことを表す トラックバックの向きを表す 図4: トラックバックによるネットワーク構造 1 調査したサイトのほとんどが図4 と似た構造となっており, ネットワークの深さも最大で2 段階までしか繋がっておらず, 単純な形のネットワーク構造となっていた.ところがトラック バ ッ ク に よ る 繋が り が 深い サ イ ト を 発見で き た .dh’s memoranda という日本のウェブログサイトである.このサ イトのトラックバックによるネットワーク構造を図5 に示す. (2) トラックバックのみによるネットワーク構造の解析結果 トラックバックのほとんどは,ネットワーク構造が単純で繋 がりも浅いものとなっている.しかし,ウェブログツールのよ うな,多くの人が興味を持つ内容について取り扱っている dh’s memoranda というウェブログサイトでは,トラックバッ クによる深いネットワークが形成されていた.このことから, 多くの人にとって興味のある話題のサイトは,トラックバック によって繋がりの深いネットワークを形成することが可能だ ということが証明されたと言える. 0 0 0 0 1 11 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 8 0 0 0 0 0 16 0 0 0 0 0 0 0 0 0 4 0 0 0 5 1 0 0 0 0 8 0 0 0 0 0 0 0 3 0 0 5 0 5.2 アクセス解析によるウェブログの特性 5.2.1 評価方法 アクセス解析から得られる情報の中から特にリンク元サイ トに着目してウェブログに対するアクセス解析を行い,従来 のWeb サイトとの相違点を導き出す. 図5: トラックバックによるネットワーク構造 2 5.2.2 解析結果 dh’s memoranda のサイトを起点としたトラックバックによ る小規模なネットワークが形成されていることがわかる.し かも,ほとんどのサイトが「Six Apart」というウェブログのツ ールに関する会議についての話題を扱っていた. 作成した2 つのウェブログサイトと,従来の Web サイトと の,総アクセス数のうち検索エンジンが占める割合を比較し たグラフを図7 に示す.

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6.3 写真ブログの運営について 58 22 80 6 1.6 0% 20% 40% 60% 80% 100% raoh のモ ブログ 日記 Summ er D ream 古本 通販 夢の 屋 ふく ちゃ んの ホー ムペ ージ 電気 通信 主任技 術者 総合情 報 リンク 検索エンジ ン 図7: 検索エンジンが占める割合 数種類のウェブログを作成してみたが,その中でも今回 写真ブログであるSummer Dream を中心に運営を行って みようと考えた理由は,最も管理者にとって興味のある内容 だったからである.作成した特に興味のない話題に関する ウェブログサイトは,今ではすっかり更新されなくなってい る.しかし,Summer Dreamの場合,公開する写真は全て 地元で管理者自身が撮ったもので,伝える情報が管理者の 身近なものであるため更新する作業が苦痛ではなかった. 多くのウェブログサイトを見ると,更新が止まっているサイ トも数多く存在する.そのような事態を防ぐためには伝える べき情報の内容をよく考えてから公開するべきである. この作成したウェブログ(左の 2 つ)と,ウェブログ以外の Webサイト(右の3つ)を比較したところ,2つのウェブログサ イトの検索エンジンによるアクセス数が著しく少ないという 相違があった.この調査結果によりウェブログは検索エンジ ンに依存する必要性がないこと,リンクによる繋がりが深い ことが判明した. 6.4 従来の Web サイトとの比較 5 章の解析結果から,ウェブログは従来の Web サイトと 比較してネットワークの繋がりが深く,リンクに依存する傾向 が強いことが明らかになった.ただし,作成した Summer Dream,raoh のモブログ日記どちらとも登録したウェブロ グ集約サイトやランキングサイトによるアクセスに依存する 傾向が強く,個人のウェブログとの繋がりを深めることがで きなかったことは今後の課題として残っている.

6. 考察

6.1 ウェブログコンテンツの社会性 多くのコメントやトラックバックを受けているエントリが載っ ているウェブログを人気のあるウェブログとするならば,そ の多くは社会的なウェブログであると言える.それは,個人 的な内容のエントリばかりを投稿しているウェブログ,すな わち日記サイトのように運営しているウェブログとは異なるも のである.個人的な内容のサイトであれば,その人の身近 な人は頻繁にアクセスするかもしれないが,その人を知ら ない人にとっては全く興味を抱くものではないのである.

7. まとめ

ウェブログの認知度は徐々に高まっているが,まだ一般 レベルまでは普及していない.しかし,便利なツールの登 場,RSS やトラックバックなどの魅力的な技術の登場などに 裏付けられて大きな将来性を持っていることは間違いない. 反面,まだ多くの課題や問題点は残っている. ウェブログにはスタイルらしきスタイルは存在するが,そ の活用法は様々であるため,ウェブログを一言で定義する ことは困難である.しかし,本研究からあえてウェブログを 一言で定義するならば,ウェブログとは,「かつてない繋が りを容易に形成させることのできる新しいWeb スタイルであ る」となる. また,現在ではトラックバックが何か分からない人が多い. ウェブログを運営している人でなければトラックバックをす ることは不可能ではあるが,ウェブログユーザを増加させる にはそのような技術的側面から先に認知させていくことが 必要であると考えられる. 6.2 モブログの運営について

参考文献

今回はモブログを個人の日記サイトとして運営した.運営 を続けてみると,PC のキーボードに比べて文字入力に手 間がかかるため,特に長い文章を入力したい時に不便であ ることがわかった.

[1] 田口和裕ほか: Blogger と Movable Type ではじめる ウェブログ入門 (2003. 7).

[2] The Web KANZAKI – Japan, music and computer,http://www.kanzaki.com/ また,モブログの更新を行うことにより携帯電話の1 ヶ月 あたりの通信料が普段の約1.5 倍かかっていた. [3] NAVER Japan - リ ン ク サ ー チ -, http://linksearch.naver.co.jp/ モブログはいつでもどこでも更新できることが利点ではあ るが,携帯電話の操作に手間がかかることや,毎日の写真 日記のために頻繁に更新しながら運営するのは,金銭的に も問題があると考えられる.

[4] Technorati: Web Sevices for bloggers, http://www.technorati.com/

参照

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