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Moffittの犯罪発達類型の妥当性の検証

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Jap. J. Crim. Psychol.,Vol. 58, No. 2 (2021)

Copyright © 2021 Japanese Association of Criminal Psychology

Moffitt

の犯罪発達類型の妥当性の検証

小 板 清 文

*

・立 川 晃 司

**

・河 野 荘 子

***

An examination of the validity of

Moffitt

s developmental taxonomy of antisocial behavior

Kiyofumi Koita, Koji Tachikawa and Shoko Kono

キーワード:少年鑑別所,年齢犯罪曲線,Moffittの犯罪発達類型 問題及び研究史 米国では,1990年頃から年齢犯罪曲線に関す る研究が盛んに行われている。人口当たりの犯罪 発生率が10代の始めから上昇し,10代半ばに急 上昇した後,漸減傾向をたどるカーブについて, 犯罪学では年齢犯罪曲線と呼ばれている。

Hirs-chi & Gottfedson(1983)は,「犯罪の年齢偏在 性は,これまでに犯罪学が扱ってきたどのよう

な変数を組み合わせても説明できない」(Hirschi

& Gottfedson, 1983, p. 554)と言明し,その7年 後には,“A general theory of crime”に著してい る(Gottfedson & Hirschi, 1990)。年齢犯罪曲線 については,「犯罪学における最も重要な秩序」 (Nagin & Land, 1993),「容赦ない事実こそ,犯

罪を行う人たちの年齢分布である」(Gottfedson

& Hirschi, 1990(大渕訳,2018, p. 119))と表現 されている。

Moffitt(1993)は,Robins(1978)の疫学的な

研究とBlumstein, Cohen, Roth, & Visher(1986) の常習犯罪者の研究を端緒にしながら,現在も継 続中のニュージーランドの縦断的コホート研究 (Dunedin Multidisciplinary Health & Develop-ment Study; 1972年から1973年生まれの1,037 人の男子に対して2年おきに面接調査等を実施 する健康と発達に関する学際的研究)の知見等を 基にして,犯罪者は,人生の早期から犯罪に手を 染め,その生涯にわたって犯罪を続ける生涯継続 型(Life-Course-Persistent,以下「LCP」という) と,青年期に非行に走るものの,その後,青年期 の終わりとともに非行・犯罪から離脱していく青 年 期 限 定 型(Adolescence-Limited, 以 下「AL」 という)に分けることができるとしている。そし て,前者は,神経心理学的及び気質的機能障害を 有し,低IQ,多動性,不注意,ネガティブな情 緒性,低衝動抑制の特徴が認められやすい一方 で,後者には,そうした顕著な神経心理学的な問 題や継続的なパーソナリティ機能障害を抱えてい doi: 10.20754/jjcp.58.2_51 資 料

*徳島文理大学 (Tokushima Bunri University) ** 名古屋刑務所 (Nagoya Prison)

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る者は少ないとしている。また,前者のLCPは, 男性人口の約5%にあたるものの,この少数の者 たちが全犯罪の約50%に関与しており,後者の ALは,若者の犯罪者のうちの約85%を占めてい ると考えている。 Moffitt(2018) は,1993年 以 降, こ こ25年 間の自身の犯罪発達類型に関する研究の動向や発 展(100以上の縦断的研究といくつかの最新の研 究成果をレビュー)について評論し,その研究成 果が公共政策に活用されることを求めている。 Table 1は,Moffitt(1993, 2018) に お い て, LCPとALがどのように定義・解説されている Table1Moffitt1993, 2018)の2つの犯罪発達類型の概要 該当論文 LCP(Life-Course-Persistant: 生涯継続型) AL(Adolecence-Limited: 青年期限定型) Moffitt (1993, pp. 694–695) LCPにさらされることによって発現する神経心理学的なは,気難しい幼児が犯因性を有する養育環境 問題を起源としている。幼少期に始まり,しつけの 問題と学業不振が積み重なることで,向社会的な行 動を身につける機会を失う。そして,時間の経過と ともに,問題の回復は,順応性を欠いた本人の性向 によって妨げられ,人生の各時点おける選択肢を狭 め,非行は,成人期の反社会的行動へと向かう。 ALは,本人特有の,又は環境面の負因に基 づくリスクを有していないが,思春期になっ て初めて犯罪へと動機付けられるようにな る。彼らにとって,目の前に見えてきた成人 の特権は,自分たちには,まだ与えられない ことに気付かされる。そして,自分たちの不 良仲間が,現代の若者たちのジレンマである ところの成熟ギャップに対して,効果的な 解決方法を用いていることを見て,若者たち は,不良仲間が用いている方法を真似しよう とする。しかし,その後,若者たちは,犯罪 から離脱して,思春期に入る前までの向社会 的な生活スタイルに戻っていく。 Moffitt (2018, PDF版  pp. 21–22) LCPは,高リスクを有する幼児の気難しい行動が, 高リスクの社会的環境によって悪化させられたとき に,彼らの人生の初期において発現する。この理論 によれば,各幼児が持つリスクは,遺伝的な,又は 獲得された神経心理学的な問題に由来しており,そ れらは,初期の段階においては,気難しい気質,認 知能力の問題,多動性といった行動として表れる。 社会的環境面のリスクとは,家族間の愛着関係の崩 壊,不適切な養育態度,虐待,貧困といったもので ある。そうした環境面のリスク領域は,子どもの年 齢とともに,家庭から遊び仲間や教師といった他者 との貧弱な人間関係へと広がり,向社会的な行動ス キルを身につけることを難しくすることになる。そ して,20歳くらいまで発達段階において,人格と環 境との相互作用の中で,暴力的な身体的攻撃行動を 特徴としているようなパーソナリティ障害の形成に つながり,広い範囲の反社会的行動を,その後の人 生において継続することになる。生涯にわたって継 続される反社会的行動は,違法行為,物質乱用,就 労場面での問題行動,DVや児童虐待として,成人 後の複数の生活領域に浸透する。こうして拡散した 問題は,しだいに改善更生の機会を乏しくさせ,反 社会的行動を継続させる原因ともなる。 ALは,思春期の到来とともに,通常は普通 の健常であるはずの若者が,彼らの生物学的 な成熟とそれに見合うような特権や責任が与 えられないない時期に置かれることに反感を 覚えたときに出現するもので,この時期のこ とを成熟ギャップ(maturity gap)と呼ぶ。 こうした時期に置かれた若者は,子どものよ うな依存的な役割しか与えられないことに不 満を感じ,大人としての特権や権利が与えら れることを切望するのである。こうした成熟 ギャップにいる若者にとって,多少羽目を外 すことは誰でもがしている普通のことのよう に思え,親からの自立を図るためにそうした 不良な行為を見習おうとし,遊び仲間と結託 し,社会的な成熟を図ろうとする。事実,思 春期においては,全く不良行為を行わないと いう若者はまれなのである。しなしながら, 彼らの不良行為の習得は,学力の向上や対人 関係における愛着関係の形成のように健全な 側面を有しているため,ほとんどのALの若 者は,彼らが実際に成人の役割を果たすこと になる年齢に達したとき,それぞれが自身の 事情を加味して,犯罪から離脱しようとする のである。このようにして,ALの若者は, 若年成人として,不良化していた頃よりも伝 統的な生活スタイルに引き返すことができる のである。

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かを示したものである。Moffittは,1993年の研 究以降,その後の25年間に多くの追試や発展的 な研究を行っているが,LCPとALの概念を大 きく変更する必要性を認めておらず,LCPとAL という2つの犯罪発達類型をかなり安定したも のとしている(Moffitt, 2018, p. 4)。 森・津富(2007)は,年齢犯罪曲線を説明で きるという,Hirschiの犯罪–低自己統制理論と Moffittの犯罪発達類型のうち,いずれがより優 れているか,実証的研究によって明らかにしよ うとした論争を紹介し(Uggen, 2000; Bartusch, Lynam, Moffitt, & Silva, 1997; Osgood, McMorris, & Potenza, 2002),いかにその比較研究が困難で あるかを解説した上で,巧みな研究手法と精緻な 統計分析を駆使して,この議論に加わっている。 森・津富(2007)は,591人の少年鑑別所退所少 年の再入所率を比例ハザードモデルの線形予測子 の部分が1次式で構成されるモデルに当てはめ, 両者のモデルが異なったデータを生成するという 想定の下に比較検討した。その結果,Moffittの 犯罪発達類型の方が,Hirschiの犯罪–低自己統 制理論よりもデータへの適合度が高いことが示さ れた。 我が国の場合,非行化して少年院に入院した 経験を持つ非行少年の多くは,Moffittの想定す るところのLCPの犯罪性を持っているのだろう か。法務省法務総合研究所による平成30年版犯 罪白書(法務省法務総合研究所,2018)によれ ば,2004年から2013年までに全国の少年院を出 院した者の5年以内の再入院率が14.5%ないし 16.5%で推移している一方,刑事施設への5年以 内の入所率は,5.8%ないし7.9%となっている。 少年院入院者は,少年鑑別所入所者以上に非行問 題が深まった者(LCPに該当しやすい)と考え られるにもかかわらず,少年院を出院後も犯罪を 重ね,5年以内に受刑にまで至っている者は,1 割弱なのである。ということは,少年院に入院 までした非行少年たちにおいても,MoffittのAL の犯罪性に分類される者が多いと予測できよう。 Moffitt(1993)は,LCPは,遺伝的,脳神経 科学的な負因と社会経済的な負因が複合してお り,早期に社会的な逸脱行動を生起・継続しやす いとしている。また,その特徴として,幼少時か ら見られる攻撃的な行動傾向,いろいろなタイプ の問題行動の早期の発現,学業不振,薬物やアル コールへの依存傾向,児童虐待の被害頻度の高 さ,言語処理能力や実行機能の低さ,家庭の貧し さ,保護者の不適切な養育態度,成育環境の劣悪 さ,暴力事犯や詐欺を引き起こしやすい等が挙げ られている。 一方,ALは,LCPのような生物学的な負因を 持っておらず,むしろ普通の青少年であり,LCP の奔放な行動に憧れて,一時的に非行化したり (Moffittは「模倣」と呼んでいる),軽微な非行 を繰り返したりするものの,10代後半から20代 前半にかけて,非行や問題行動からの離脱を早期 に進め,一般的な社会生活を始めることができる という。 資質鑑別における

LCP

AL

の判別の可能性 Moffitt(1993)の2つのタイプの犯罪性は, その非行化の原因が全く異なっており,このタイ ポロジーがデータに妥当するなら,それぞれへの 対応や処遇は大きく異なり,予後予測もそれに応 じていなければならない。我が国の少年鑑別所で は,資質鑑別の中で予後予測も行っており,担当 したケースが,どのような特性を持つのかを把握 した上で,処遇意見をまとめている。ただし,そ の査定結果の妥当性の検証は,少なくとも数年後 となる。したがって,日常的に使用している調査 項目によって,2つのタイプの犯罪性の分類があ る程度可能になることが分かれば,非行少年の査 定の精度の向上と適切な処遇の実施に資すると考 える。 Moffitt(2018)は,自身の2つのタイプの犯

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罪性に関する理論によって,年齢犯罪曲線を説明 することが可能になったと結論づけている。ただ し,Moffittが長期の縦断的な研究に基づいて理 論を精緻化させているように,Moffittの理論を 実証的に検討するには,対象者の生活状況や問題 行動歴について,幼少期から定期的な面接調査等 を重ねる縦断的な情報の蓄積が必要で,しかもそ れらは,公的な非行・犯罪歴,非行や犯罪に係る 自己報告型の情報,家族等からの情報など,多面 的な情報収集が必要であり,犯罪発達理論を検証 するための縦断的な研究に要する時間と労力,そ の費用は膨大で,実施は容易ではない。その一 方,Gottfedson & Hirschi(1990) は,「犯 罪 傾 向の差異は時間的に十分に安定しているので,持

続的に繰り返し査定される必要はない。」(

Gott-fedson & Hirschi, 1990, p. 228)と縦断的な研究 によって,時間的な変化を分析する必要はないと 主張する。さらに,Moffittの2つのタイプの犯 罪性の分類は,研究のスタート時に行われるので はなく,ある程度の結果を得た上で,どちらかの タイプに分類されている。今現在の診断や処遇の 決定を求められる現場のニーズからすれば,日常 の鑑別業務で使用している情報や変数によって, どの程度,2つの犯罪性の分類や検討が可能か, また,その分析によって,両群間の差異をどの程 度把握することができるかを知っておくことの意 義は大きい。 犯罪発達類型検証のための

MJCA

の活用 法務省矯正局少年矯正課(2013)は,「法務省 式ケースアセスメントツール(MJCA)の開発と 運用開始について」を公表している。その中で, MJCAについて,「少年の生育環境や過去の問題 行動歴・非行歴等これまでの出来事等に関する 項目(5領域(静的領域)24項目)と再非行を 防止するための教育や処遇を行う必要性に関す る項目(4領域(動的領域)28項目)の9領域 計52項目で構成されている。」と説明している。

MJCAは,Andrews, Bonta, & Wormith(2006) に よ るLS/CMI, Hoge & Andrews(2004) に よ るYLS/CMI, Youth Justice Board(2006)による

Assetといったリスク・ニーズアセスメントツー ルを参考にしながら,RNRの3原則(リスク原 則,ニーズ原則,レスポンシビティ(処遇反応 性)原則)に基づいて,特定の非行類型に限定す ることはせずに,非行全般を対象とするアセス メントツールとして開発されたものである(西 岡,2013)。 MJCAに関する研究には,「法務省式ケースア セスメントツール(MJCA)の基礎的研究」I∼ III(森・東山・西田,2014; 那須・二ノ宮・西 田,2014; 東山・山口・西田,2014)があり,信 頼性及び妥当性,各下位尺度の年齢層別の得点 分布,決定木分析を用いた効果的な処遇方針の 策定等の検証結果が示されている。また,MJCA の予測精度に関する研究(那須・屋内・森・大 江,2015),「法務省式ケースアセスメントツー ル(MJCA)の各属性との関連に関する試行的研 究」I∼III(二ノ宮・渕上・東山・那須,2015; 東山・渕上・二ノ宮・那須,2015; 渕上・東山・ 二ノ宮・那須,2015),振り込め詐欺に関与する 少年の特性にMJCAを活用した研究(相澤・東 山・安藤・野上,2016; 東山・相澤・安藤・野 上,2016)がある。 本研究では,Moffitt(2018)が1993年以後の 調査研究の成果について,男子に限って総括し ていることから,分析対象者を男子のみとした。 LCP群とAL群の分類,及び両群の差異に関す る仮説の検証に用いる変数として,少年鑑別所入 所少年の年齢,本件非行名,少年鑑別所入所回 数(以下,「入所回数」という),IQ値,審判結 果といった基本的な情報に加え,MJCAの項目 得点を用いた。そして,横断的なデータによって 少年鑑別所入所少年をMoffittの2つの犯罪発達 類型に分類可能か,そして,分類された2群の間

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には,質的・量的な差異を確認することができる か,両群の非行化の要因にはMoffittの説明にあ るようなはっきりとした違いが見られるかを確認 することで,Moffittの犯罪発達類型の妥当性の 検証を行うことを目的とする。 ある時点において入手できる横断的なデータ によって,LCPとALの弁別を可能にすること の必要性や重要性について,Moffitt(2018, p. 8) 自身も触れており,LCPとALの識別を簡潔に行 うための資料や知見を得るための試みは,非行少 年に対して適切な処遇選択を行う上で極めて重要 である。 Table 2に は,Moffitt(1993, 2018) の2つ の 犯罪発達類型を比較して,Moffittが主張する両 類型の差異を列挙した。本研究では,これらの差 異のうち,手元の変数で検証可能なものを用い て,仮説を生成する。 Table2Moffitt1993, 2018)の犯罪発達類型と分析対象項目 Moffittの研究対象項目 LCP(生涯継続型) AL(青年期限定型) 参照箇所 1)反社会的行動(非行)が発現する 時期 幼少期 思春期 (a) pp. 694–695 (b) pp. 3–4 2)反社会的行 動が発現す る原因 神経心理学的問題 あり(気難しい気質,認知能 力の問題,多動性) ほとんどなし (a) p. 685 (b) pp. 9–11, pp. 20–21 養育環境上のリスク あり(家族間の愛着関係の崩 壊, 不 適 切 な 養 育 態 度, 虐 待,貧困) ほとんどなし (a) pp. 685 (b) pp. 9–11, pp. 20–21 成熟ギャップと模倣 特に言及なし あり(年齢相応の役割や特権が与え られないことに対する不満を抱くと ともに,不良仲間の行動を模倣) (a) pp. 685 (b) pp. 11–13, pp. 20–21 3)学業成績 不良 特に言及なし (a) p. 695 4)問題行動が発現する場面 家庭,学校,職場,交遊場面 等あらゆる場面において問題 行動を発現しやすい。 特に言及なし (a) pp. 694–695 (b) pp. 4–8 5)思春期の反社会性のレベル 高い 一時的にLCPと同程度に高くなる。 (a) pp. 694–695 (b) pp. 3–4 6)犯罪の特徴 種類 広い 特に言及なし (a) p. 695 共犯関係 単独犯が多い。 特に言及なし (a) p. 695 関与しやすい犯罪 暴力事犯,詐欺 大人の特権を象徴するような,又は 親の統制からの自立といった意味合 いの犯罪 (a) p. 695 7)成 熟 ギ ャ ッ プによるAL の 犯 罪 性 の 変化 年齢効果 犯罪性は生涯を通じて高く, 年齢効果は認められない。 犯罪性が高まるのは,思春期から青 年期に限られ,年齢効果が認められ る。 (a) p. 695 (b) pp. 4–8 社会適応力の高さ 反社会的な問題解決手段に固 執しやすく,社会適応が難し い。 元々一般的な社会生活を送れるだけ の社会適応力を有している。 (a) pp. 694–695 (b) pp. 4–8 (a) : Moffitt(1993),(b):Moffitt (2018)

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方 法 分析対象者 2013年7月初旬から2017年12月末日までの 間にA少年鑑別所に入所し,収容審判鑑別が実 施され,資料の集積の後,鑑別が終了した2,070 人の男子少年(鑑別判定が判定未了の者を除く) を分析対象とした。 分析項目と分析方法 各分析対象者のデータは,少年鑑別所入所日, 退所日,生年月日,本件非行名,入所回数,審 判決定,IQ値の7項目のほかに,MJCAの計52 項目である。 Table 3には,まず,本研究の分析対象者を LCPとALに群分けするための方法を示した。 ここでは,MJCAの項目である,(1)初回の警察 補導時の年齢が14歳未満に該当しているか,(2) 生育環境に関する5つの項目(被虐待経験の有 無,家庭内暴力の有無,近隣からの孤立の有無, 本件時の家出や浮浪の有無,他1項目)のいず れか1つ以上に該当しているかを基準とし,ど ちらにも該当する場合を「LCP判定群」,どちら にも該当しない場合を「AL判定群」,どちらか1 つに該当する場合を「不特定群」とした。なお, Moffitt(2018)が男子の反社会的行動は,2つの タイプに分けられるとしている中で,本研究にお いて「不特定群」を設けたのは,現時点では,横 断的なデータで非行少年を2つのタイプに分け る基準が明確になっていない中,まずは,①と② の基準の重要性に焦点を当てた分析を進めること が適当と考えたためである。 分析対象の男子2,070人のうち,LCP判定群 に分類されたのは265人(12.8%),AL判定群 に分類されたのは971人(46.9%),不特定群と なったのは834人(40.3%)であった。 今回,本研究では,Moffitt(1993, 2018)の研 究項目に近い変数を構成するため,MJCAの項 目を用いて,4つの得点(気難しい気質得点,保 護者の指導力不足得点,不良仲間模倣得点,社会 適応力不足得点)を試算した(それぞれMJCA の4項目ずつの得点(各0点∼3点で評点)を 合計(各0点∼12点で分布),これらの項目は, LCP群とAL群の判定に基づいた項目とは重複 していない)。これは,Moffitt(1993, 2018)の 研究を限られたデータによって検証するためであ る(以下,「試算4得点」という)。気難しい気 質得点から社会適応力不足得点までの各合計得点 の信頼性係数αはそれぞれ.77,.79,.86,.84で, 信頼性には大きな問題はないと考えた。

Table 4は,Table 2にまとめたMoffittの7つ の分野の研究対象項目について,本研究において 採用する調査項目と,検証を目指す11個の研究 仮説を列挙した。 以下の11個の仮説を掲げるが,まず,仮説1 ∼8については,LCP判定群とAL判定群の度数 や得点の比較から,今回の試行的な判定の精度を 確認するためのものである。 仮説1: LCP判定群は,AL判定群よりも,粗 暴事犯者の占める比率が高い。 仮説2: LCP判定群は,AL判定群よりも,単 独事犯の者の占める比率が高い。 仮説3: LCP判定群は,AL判定群よりも,学 Table3 分析対象者(男子2,070人)の群分けの方法 (2)生育環境における5つの調査項目 いずれか1つ以上に該当 いずれにも該当なし (1)初回の警察補導時の年齢 14歳未満 LCP判定群(265)人 不特定群(143)人 14歳以上 不特定群(691)人 AL判定群(971)人

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Table4Moffitt1993, 2018)の研究項目・本研究の分析項目・研究仮説 Moffittの研究項目 本研究での分析項目(「 」内はMJCAの項目) 研究仮説及び原典での表記(※) 2)反社会的行動 (非行)が発 現する原因 神経心理学 的問題 ◎【気難しい気質得点】(MJCAの自己統制力に関する0点∼124点)項目 (1)「欲求不満耐性が低い。」 (2)「攻撃的である。」 (3)「感情統制が悪い。」 (4)「自己中心的である。」 〇IQ値 仮説8: LCP判定群は,AL判定群よりも,気難 しい気質得点が高い。 ※ 気 難 し い 気 質(difficult temperament) が LCPには認められるが,ALでは目立たない (Moffitt, 2018, p. 9, p. 20) 仮説5: LCP判定群は,AL判定群よりも,IQ の平均値が低い。 ※認知機能の障害(cognitive deficits)はLCP には認められるが,ALでは目立たない( Mof-fitt, 2018, p. 20)。 成熟ギャッ プと模倣 ◎【不良仲間模倣得点】(MJCAの逸脱親和性に関する0点∼124点)項目の合計点 (1)「犯罪性のある者に親和的である。」 (2)「反社会的な価値観や態度に親和的であ る。」 (3)「不健全な遊興への志向が強い。」 (4)「法律を軽視している。」) ◎ MJCAの保護者との関係性に関する4項目の 合計点 【保護者の指導力不足得点】(0点∼12点) (1)「保護者への愛着が乏しい」 (2)「保護者に反発している」 (3)「家庭内の交流が乏しい。」 (4)「家庭内に葛藤がある。」 仮説10: LCP群では,不良仲間模倣得点と再非 行の有無は有意に関連してはいないが,AL判 定群では,不良仲間模倣得点と再非行の有無は 有意に関連している。 ※ ALは, 不 良 者 の 生 活 ス タ イ ル(youths mimic that delinquent solution)を模倣するこ とでmaturity gapを乗り越えようとする( Mof-fitt, 1993, p. 695) *保護者の指導力不足得点については,LCPと ALの群分けに用いた養育環境上のリスク(生 育環境に関するMJCAの5つの項目)と相当 に重複していることから,仮説の生成には用い ないが,分析項目には加えている。 3)学業成績(学校適応) □「学業不振があった。」 □「不登校があった。」 □「小学校時に喫煙又は飲酒があった。」 □「学校内で問題行動を頻発していた。」 仮説3: LCP判定群は,AL判定群よりも,学業 不振や学校不適応行動に陥る者の占める比率が 高い。 ※学業不振(academic failure)や規律に関する 問題(discipline problems)がLCPでは認めら れる(Moffitt, 1993, p. 695)。 4)問題行動を発現する場面 □「不良集団に所属する者と付き合いがあった。」 □「文身を入れたことがある。」 □「初回の物質乱用経験の年齢が13歳以下であ る。」 〇発現する問題行動数(3)と4)のうち,「学業不 振があった。」を除く6項目の該当数の合計) 仮説4: LCP判定群は,AL判定群よりも,問題 行動を発現する場面が多い。 ※LCPには広範囲にわたる問題行動(a broad repertoire of antisocial behaviors)が認められる が,ALでは目立たない(Moffitt, 2018, p. 20)。

仮説6: LCP判定群は,AL判定群よりも,発現

する問題行動数が多い。

※ LCPは反社会的行動を高いレベルで継続す る(extreme antisocial behavior sustained at a

high level)が,ALの反社会的行動は思春期

(during the adolescent age period)に限られる (Moffitt, 2018, p. 3)。

5)思春期の反社会性のレベル (該当する分析項目なし)

6)犯罪の特徴 関与しやす

い犯罪 □主な非行名 仮説事犯者の占める比率が高い(1: LCP判定群は,AL判定群よりも,粗暴LCPは暴力犯罪に 関与しやすい。

※ LCP offenders should commit more of the victim-oriented offense, such as violence) が,

ALではそうした傾向は顕著ではない(Moffitt, 1993, p. 695)。

本件の共犯

関係 □「本件は単独で起こしたものである。」 仮説事犯の者の占める比率が高い。2: LCP判定群は,AL判定群よりも,単独 ※ LCPは単独事犯を起こしやすい(LCP of-fenders’ types of crime that are often commit-ted by lone offenders)が,ALではそうした傾 向は顕著ではない(Moffitt, 1993, p. 695)。 種類 〇主な非行名が窃盗又は傷害か,交通非行歴と財

産非行歴の該当数の合計(0点∼3点) 仮説した罪種数が多い。7: LCP判定群は,AL判定群よりも,関与 ※ LCPは,広 い 範 囲 の 犯 罪に関 与しや す い (LCP offenders should spawn a wider variety of

offenses)が,ALではそうした傾向は顕著では

(8)

業不振や学校不適応行動に陥る者の占 める比率が高い。 仮説4: LCP判定群は,AL判定群よりも,問 題行動を発現する場面が多い。 仮説5: LCP判定群は,AL判定群よりも,IQ の平均値が低い。 仮説6: LCP判定群は,AL判定群よりも,発 現する問題行動数が多い。 仮説7: LCP判定群は,AL判定群よりも,関 与した罪種数が多い。 仮説8: LCP判定群は,AL判定群よりも,気 難しい気質得点が高い。 また,仮説9∼11については,少年鑑別所退 所後の再非行の有無との関連性を調べることとし ており,これもまた,Moffittの仮説の妥当性の 検証に資するものと考えられる。 仮説9: LCP判定群では,年齢と再非行の有無 との関連性は有意ではないが,AL判定 群では,年齢と再非行の有無との関連 性は有意である。 仮説10: LCP群では,不良仲間模倣得点と再 非行の有無は有意に関連してはいない が,AL判定群では,不良仲間模倣得 点と再非行の有無は有意に関連してい る。 仮説11: LCP判定群では,社会適応力不足得点 は,再犯の有無との関連性は有意では ないが,AL判定群では,その関連性 は有意である。 本研究では,神経心理学的な問題の所在の指 標として,気難しい気質得点とIQ値を採用して いる。これは,Moffitt(1993, p. 681)の研究に おいて,神経心理学的な欠陥を言語性検査や自己 統制力の低得点傾向によって査定することの限界 について触れていることに依拠している。言うま でもなく神経心理学的欠陥の有無については,既 に,機能的磁気共鳴画像(fMRI)のデータの活 用が盛んに行われており,こうした脳科学のデー タを採用したいところであるが,今回の分析で は,そうした詳細な生理学的な情報を入手する ことはできておらず,代替的な方法として上記2 項目を用いることとした。 以下,分析1から分析3までの手順で分析作 業を進めた。 分析1: LCP判定群とAL判定群の2群につい て,本件非行態様(粗暴犯と単独犯へ Table4Moffitt1993, 2018)の研究項目・本研究の分析項目・研究仮説 Moffittの研究項目 本研究での分析項目(「 」内はMJCAの項目) 研究仮説及び原典での表記(※) 7) 成熟ギャップ によるALの 犯罪性の変化 年齢効果 〇年齢(少年鑑別所退所時の年齢) 仮説9: AL判定群では,年齢と再非行の有無と の関連性は有意であるが,LCP判定群では,そ の関連性は有意ではない。 ※ LCPの反社会性には,本人自身と家庭・養 育環境上の問題が輻輳しているが,年齢とは直 接には関連していない(but not age)。その一 方で,ALの反社会性の発現には,年齢が関連 (and age)している(Moffitt, 1993, p. 695)。 社会適応力 の高さ ◎【社会適応力不足得点】(MJCAの社会適応力に関する0点∼412項目の合計点点) (1)「学校生活又は就労生活に対する意欲が乏 しい。」 (2)「学校生活又は就労生活のための社会的ス キルが身に付いていない。」 (3)「進路又は就労について具体的な目標や計 画を持っていない。 (4)「規則正しい生活習慣が身に付いていな い。」 仮説11: LCP判定群では,社会適応力不足得 点は再犯の有無との関連性は有意ではないが, AL判定群ではその関連性は有意である。 ※ ALは,一般的な社会生活に復帰できるだけ の社会性を有している(AL retain the option of successfully resuming a conventional life-style) が,LCPでは反社会的な問題解決(antisocial style of solving life’s problems)から離脱するこ とが難しい(Moffitt, 2018, p. 3)。

〇:量的変数,□:該当又は非該当のダミー変数,◎: MJCAの各4項目の合計得点

(9)

の該当状況),学校不適応・問題行動(7 項目)の分布状況を調べた(仮説1∼4 の検証のため)。 分析2: LCP判定群・不特定群・AL判定群の3 群を独立変数,IQ値,問題行動歴数, 罪種数,試算4得点のそれぞれを従属 変数とする1要因分散分析を行った (仮説5∼8の検証のため)。 分析3: IQ値,年齢(少年鑑別所退所時の年 齢),試算4得点を説明変数として,少 年鑑別所退所後の再非行(少年鑑別 所への再入所,以下「再入」という) の有無を従属変数とする二項ロジス ティック回帰分析をLCP判定群とAL 判定群のそれぞれについて実施した。 その際の分析対象者は,審判結果が保 護観察,試験観察又は不処分であり, 少年鑑別所退所後180日以上の追跡期 間が確保できた977人(LCP判定群86 人,AL判 定 群550人, 不 特 定 群341 人)を分析対象とした(仮説9∼11の 検証のため) 統計分析には,SPSS Statistics Version 25.0を 使用した。 倫理的配慮 本研究は,2018年2月,A少年鑑別所の施設 長の承認を得て実施に着手した。法務省所管の矯 正施設では,国家公務員として被収容者の処遇や 行政機関の保有する個人情報の取扱いに関する法 令の遵守が強く求められており,本研究について も法令や内規を遵守した。 Table 53群別の年齢,本件非行名,入所回数別の状況 基本属性等 (構成比)全体人数 群別 LCP判定群人数 (比率:行方向) (比率:行方向)AL判定群人数 (比率:行方向)不特定群人数 総 数 2,070(100.0%) 265(12.8%) 971(46.9%) 834(40.3%) ①年齢 13歳以下 24 (1.2%) 16 (66.7%) 3 (12.5%) 5 (20.8%) 14歳 152 (7.3%) 49 (32.2%) 47 (30.9%) 56 (36.8%) 15歳 233 (11.3%) 39 (16.7%) 93 (39.9%) 101 (43.3%) 16歳 423 (20.4%) 43 (10.2%) 213 (50.4%) 167 (39.5%) 17歳 531 (25.7%) 50 (9.4%) 287 (54.0%) 194 (36.5%) 18歳 371 (17.9%) 40 (10.8%) 171 (46.1%) 160 (43.1%) 19歳 336 (16.2%) 28 (8.3%) 157 (46.7%) 151 (44.9%) ②本件非行名 窃盗 685 (33.1%) 101 (14.7%) 283 (41.3%) 301 (43.9%) 傷害 410 (19.8%) 44 (10.7%) 193 (47.1%) 173 (42.2%) 道交法違反 279 (13.5%) 24 (8.6%) 163 (58.4%) 92 (33.0%) 恐喝 110 (5.3%) 15 (13.6%) 53 (48.2%) 42 (38.2%) ぐ犯 55 (2.7%) 19 (34.5%) 10 (18.2%) 26 (47.3%) その他 531 (25.7%) 62 (11.7%) 269 (50.7%) 200 (37.7%) ③入所回数 初回 1,324 (64.0%) 124 (9.4%) 722 (54.5%) 478 (36.1%) 2回目 467 (22.6%) 74 (15.8%) 175 (37.5%) 218 (46.7%) 3回目 176 (8.5%) 42 (23.9%) 50 (28.4%) 84 (47.7%) 4回目以上 70 (3.4%) 15 (21.4%) 19 (27.1%) 36 (51.4%) LCP群とAL群の比率は,各項目ごとの人数に占める各群の人数の比率である。

(10)

結 果 Table 5には,3群(LCP判定群,AL判定群, 不特定群)別に分析対象者の年齢,本件非行名, 入所回数別の状況を示した。分析対象者の平均年 齢は,16.8歳,年齢の最頻値は17歳であった。 本件非行名は,窃盗33.1%が最も多く,次いで 傷害19.8%,道路交通法違反13.5%の順であっ た。 年齢の平均値は,LCP判定群16.1歳,AL判 定 群16.9歳, 不 特 定 群16.9歳 で,LCP判 定 群の方がAL判定群よりも有意に低かった(t (355.12)=−6.96, p<.001)。 本 件 非 行 名 が 窃 盗 の 比 率 は,LCP判 定 群 38.1%,AL判定群29.1%,不特定群36.1%で, LCP判 定 群 の 方 がAL判 定 群 よ り も 有 意 に 高 かった(χ2 1)=7.82, p.01)。また,本件非行 名がぐ犯の比率は,LCP判定群7.2%,AL判定 群1.0%,不特定群3.1%で,LCP判定群の方が AL判定群よりも有意に高かった(χ2 1)=34.25, p<.001)。一方,本件非行名が道交法違反の比率 は,LCP判定群9.1%,AL判定群16.8%,不特 定群11.0%で,LCP判定群の方がAL判定群よ りも有意に低かった(χ2 1)=9.69, p.001)。 平均入所回数は,LCP判定群1.92回,AL判 定 群1.36回, 不 特 定 群1.70回 で,LCP判 定 群の方がAL判定群よりも有意に多かった(t (325.73)=7.68, p<.001)。 分析

1

の結果 Table 6のように,本件非行態様では,(1)粗暴 犯には有意差が見られなかったが,(2)「本件は単 独で起こしたものである。」には有意差が認めら れた。(仮説1:不支持,仮説2:支持)。 学校不適応・問題行動歴の7項目では,全て の項目において有意差が見られ,LCP判定群は 全ての学校不適応や問題行動歴において,AL判 定群よりも該当者率が高かった(仮説3, 4: 支 持)。特に,その差異が20%以上と大きかったの は,(2)「不登校があった。」30.2%,(4)「学校内 で問題行動を頻発していた。」27.7%,(3)「小学 校時に喫煙又は飲酒があった。」24.6%,(1)「学 業不振があった。」21.4%であった。 分析

2

の結果 Table 7には,3つの分析項目と試算4得点を Table 6LCP判定群とAL判定群の分析項目別の該当者率 分析項目(「 」内はMJCAの項目) LCP該当者率(判定群(265A人) AL該当者率(判定群(971B人)差(A)−(B) ALLCP判定群別の判定群・χ2値 有意水準 (本件非行態様) (1)粗暴犯 26.4% 28.5% −2.1% 0.460 (2)「本件は単独で起こしたもので ある。」 46.4% 38.0% 8.4% 6.150 * (学校不適応・問題行動歴) (1)「学業不振があった。」 92.5% 71.1% 21.4% 51.714 *** (2)「不登校があった。」 67.5% 37.4% 30.2% 76.926 *** (3)「小学校時に喫煙又は飲酒が あった。」 28.3% 3.7% 24.6% 154.056 *** (4)「学校内で問題行動を頻発して いた。」 57.4% 29.7% 27.7% 69.667 *** (5)「不良集団に所属する者と付き 合いがあった。」 54.3% 39.0% 15.3% 19.985 *** (6)「文身を入れたことがある。」 35.8% 22.9% 13.0% 18.410 *** (7)「初回の物質乱用経験の年齢が 13歳以下である。」 6.4% 0.4% 6.0% 44.921 *** 「有意水準」は,χ2値による独立性の検定による(***: p.001, **: p.01, *: p.05)。

(11)

従属変数に,3群(LCP判定群・不特定群・AL 判定群)を独立変数にした一元配置分散分析の結 果を示した。分散分析の結果,すべての従属変数 において有意差が見られた(p<.001)。また,効 果量は,問題行動歴数,保護者の指導力不足得 点において,中程度以上(η2.06)の効果量を 示していた。さらに,多重比較を行ったところ, LCP判定群とAL判定群との比較では,すべての 従属変数において有意差が見られた(p<.05)(仮 説5∼8:支持)。 なお,7つの従属変数の平均値は,いずれも LCP判定群,不特定群,AL判定群の順となって おり,不特定群はLCP判定群とAL判定群の中 間に位置していた。 分析

3

の結果 3群(LCP判 定 群・AL判 定 群・ 不 特 定 群 ) の 再 犯 者 数(再 犯 率 ) は,LCP判 定 群26人 (30.2%),AL判定群77人(14.0%),不特定群 73人(21.4%)であった。Table 8は,3群別に, 再入の有無を従属変数,試算4得点,年齢,IQ 値を説明変数にした二項ロジスティック回帰分析 (尤度比を用いた変数減少法により変数選択を実 施)の結果である。 LCP判定群(86人)では,④社会適応力不足 得点は選択されず(仮説11:不支持),保護者の 指導力不足得点のみが選択された。しかも,OR は0.85と1を下回っており,同得点が高いほど, 再入の確率が低くなる傾向を示していた。 AL判定群(550人)では,年齢,気難しい気 質得点,②不良仲間模倣得点の3つの説明変数 が選択された。LCP判定群では認められなかっ た年齢と再入の有無との関連性は,AL判定群で は強く認められ,年齢が高くなるにつれて再入す る確率が低くなっており,Moffittの仮説のとお り年齢に伴って犯罪からの離脱が進んでいると 見られる(仮説10:支持)。また,③不良仲間模 倣得点と再入の有無とは有意な関連性が見られ, Moffittの仮説と一致していた(仮説11:支持)。 不特定群(341人)では,年齢,気難しい気質 得点,社会適応力不足得点の3つの説明変数が 選択された。 仮説検証結果のまとめ 分析1∼4の結果から,Table 4に掲げた11個 の研究仮説のうち9個の研究仮説が支持され,支 持されなかったのは仮説1と仮説11であった。 考 察

1.

 横断的な資料による

Moffitt

の犯罪発達類型 への分類の可能性について 本研究では,少年鑑別所の鑑別作業の中で得 Table 73群を独立変数,IQ値・問題行動歴数・罪種数・試算4得点を従属変数にした分散分析結果 分析項目・作成した尺度項目 LCP判定群 不特定群 AL判定群 F η2 M SD n M SD n M SD n (分析項目) IQ 90.10 14.35 262 91.70 14.38 820 93.82 14.47 951 8.88 *** 0.01 問題行動歴数 2.50 1.37 265 1.76 1.26 834 1.33 1.14 971 100.69 *** 0.09 罪種数 1.99 0.65 265 1.77 0.75 834 1.62 0.83 971 25.69 *** 0.02 (試算4得点) 気難しい気質得点 7.18 2.38 265 6.82 2.67 834 6.01 2.58 971 33.00 *** 0.03 保護者の指導力不足得点 6.27 2.85 265 6.15 3.01 834 4.43 2.81 971 93.98 *** 0.08 不良仲間模倣得点 7.30 2.72 265 6.35 2.95 834 5.54 3.05 971 41.66 *** 0.04 社会適応力不足得点 7.35 3.00 265 6.25 3.08 834 5.25 3.07 971 56.63 *** 0.05 ***: p<.001

(12)

られた資料を用いてMoffittの犯罪発達類型への 分類の可能性を検討するため,Moffitt(1993) の仮説を調べた上で,LCPとALの発現の機序 の差異を強く示していると思われた,①反社会 的行動(非行)が発現する時期(「初回の警察補 導等の措置を受けた年齢が13歳以下である。」) と,②養育環境におけるいずれかの負因の有無 (MJCAの生育環境に関する5項目のうちのどれ かに該当した場合)という2つの基準に着目して LCP判定群とAL判定群を作成した。そして,2 群間に,家庭や成育環境における問題,学校生活 での不適応歴,問題行動歴,処分歴において,有 意差があるか確認したところ,Moffittの仮説の とおり,多くの分析項目において有意差が認めら れ,Moffittの犯罪発達理論の2タイプに近い分 類が可能と判断した。 Moffitt(2018)は,ある時点における対象者 に対する調査によって,LCPとALを識別する 必要性や重要性に触れた上で,そのいくつかの研 究(攻撃性特定,冷淡で非情緒的な特徴,素行障 害の徴候,多動性・衝動性の高さを用いての分 類)を紹介している。また,同時に決め手となる 査定方法が見つけられていないとも述べている (Moffitt, 2018, p. 8)。本研究で用いた2つの分類 基準は,ほとんどの少年司法機関において把握可 能な基本的な情報であり,こうした情報だけで も,膨大な時間と労力を必要とする縦断的研究の 結果と同方向の分析結果が得られている。このこ とは,青少年の問題行動の発現時期に十分留意す ること(13歳以下の早発非行か,14歳以上に非 行化したか),幼少期の養育環境の精査の重要性 を再確認させる。ただし,本研究は,限られた資 料に基づいて,その範囲内で可能と思われた分析 を行ったことによる結果を示しており,分析結果 の適用には自ずと限界がある。 本研究では,2群(LCP判定群とAL判定群) の比較を2つの分類基準によってしやすくする ため,2群の中間に位置すると思われる対象者を 「不特定群」として仮説検証の対象からは除外し ている。Moffitt(1993)の仮説は明快で,中間 群等といった曖昧な領域や群分けを想定しておら ず,「不特定群」を組み入れた非行・犯罪の分析 は避けるか,より少ないまとまり(本研究の構成 比は40.3%)にすべきと思われる。

2.

LCP

判定群と

AL

判定群間の質的・量的な 差異が確認できたことについて 分析1から4までの結果のとおり,LCP判定 群とAL判定群との間には,Moffittの仮説に沿 う方向で,多くの顕著な質的・量的な差異が認め られた。特に,ALの中核的な発現機序とも言え Table 83群別に再入の有無を従属変数としたロジスティクス回帰分析の結果 説明変数 LCP判定群(86人) AL判定群(550人) 不特定群(341人) OR [95%CI] OR [95%CI] OR [95%CI] IQ 年齢 0.49*** 0.39–0.61 0.75* 0.60–0.94 気難しい気質得点 1.13* 1.00–1.27 1.13* 1.01–1.27 保護者の指導力不足得点 0.85† 0.71–1.03 不良仲間模倣得点 1.11* 1.01–1.22 社会適応力不足得点 1.16** 1.04–1.29 Nagelkerke's R2 0.05 0.20*** 0.15*** N 86 550 341 †p.1, *p.05, **p.01, ***p.001

(13)

る,年齢ギャップに伴う不良仲間の行動様式の模 倣(仮説4で検証)と,年齢効果(仮説9で検 証)がAL判定群においてのみ有意に認められ, LCP判定群では有意差が見られなかったことは, Moffitt(1993)の理論のうちの重要な部分が確 認できたと考えられる。 Moffitt(2018)が述べているとおり,犯罪発 達類型はかなり安定した類型であって,今回の分 析結果もその証左に加えることができるかもしれ ない。ただし,今回の分析は,限られたサンプル と変数によって行っており,同様な分析結果を明 確かつ確実に得られるか,今後は,異なる,より 大規模なサンプルを用いた,交差妥当性検証を必 要としている。 Moffitt(2018) は, 自 己 の 理 論 や 見 解 が 少 年司法システムに定着することを期待している (Moffitt, 2018, pp. 13–14)。確かに,非行臨床の 現場では,改善可能性の高低をどのように把握す るかは,古くて新しい難解な課題と思われる。犯 罪発達類型は,大きく異なる発達の機序に基づい て,2つのタイプをはっきりと示しており,我が 国においても,本格的な実証研究の実施が待たれ るところである。

3.

 本研究で検証されなかった仮説について 本研究では,11個の研究仮説のうち,9個が 支持されたものの,2個(仮説1と仮説11)に ついては支持されなかった。仮説1については, 粗暴事犯者(主な本件非行が傷害,暴行,恐喝, 脅迫であった者)の比率によって,LCPが暴力 事犯に関与しやすい点を確認しようとしたが,有 意差は認められなかった。本件における粗暴犯の 該当者はLCP判定群77人,AL判定群277人で あり,分析対象者数の少なさの影響は小さいもの と考えられ,LCPに粗暴犯が多いというMoffitt の仮説は,我が国の非行少年においては当てはま らないのかもしれない。ただし,粗暴犯といって も,単独犯か集団犯かでその態様はかなり異なっ ている。このことから,少なくとも単独粗暴犯に は,LCPが多い可能性があるが,詳細は,今後 の検討課題としたい。 仮説11が支持されなかったことについては, 本研究で用いた変数が限られていたことや採用し た分析方法(ロジスティック回帰分析による変数 選択)の影響が大きかったと考えられる。ただ, 社会適応力不足得点と再非行との関連性について 見てみると,LCP判定群の再入の有無とは有意 に関連していないものの,AL判定群550人につ いて,「再入なし」(473人)で4.79,「再入あり」 (77人)で6.12と,両者の間には有意差がある ((t 548)=3.62, p.001, d=0.45)。これは,非行 からの離脱を図ろうとしているAL判定群では, Moffitt(2018, p. 4)が指摘しているように,社 会適応力を回復させつつあると見ることもできよ う。仮説11のとおり,AL判定群では,社会適 応力の変化と再非行とは有意に関連していると考 えることができるかもしれない。

4.

LCP

判定群と保護者の指導力不足得点との 関係について 分析3の結果,LCP判定群においては,保護 者の指導力不足得点のみが再入の有無に有意に関 連していた。これを再入の有無別に見てみると, LCP判定群の「再入なし」(60人)では,「再入 あり」(26人)よりも保護者の指導力不足得点が 高い傾向が見られた((t 84)=1.70, p<.1)。これ については,該当得点を試算する際に生じた誤差 の範囲と見るべきかもしれない。ただ,もしも 意味のある逆転現象としてとらえるとした場合, LCP判定群のように養育環境に負因を抱えてい る者では,10代の後半においても,保護者との 関係が希薄化・消滅してしまうことなく,対立・ 葛藤関係を継続させている者ほど再非行から離脱 する可能性が高いことを示していると解釈するこ とも可能ではないかと思われる。

(14)

5.

 本研究の限界と今後の課題について 本研究は,少年鑑別所入所少年の資質鑑別の 中で収集されたデータの一部を用いて,Moffitt の犯罪発達類型の検証の可能性を探っており,研 究方法や使用されたデータの制約が大きく,その 結果を解釈する上で,考慮すべき事項が少なくな い。 Moffitt(2018)は,ある時点の横断的な調査 によって,LCPとALを分類する基準や方法が いまだ確立されていないと述べている(Moffitt, 2018, p. 8)。そのため,いずれかの犯罪発達類型 への分類は,数年あるいは数十年間,生活史や犯 罪行動歴を追跡する縦断的な追跡結果を必要とし ている。 一方,Moffitt(2018)は,両群の特徴につい てはっきりと記述しており,例えば,LCPに分 類される者の家庭環境の特徴として,「母親の精 神衛生上の問題(7∼11歳),家族間の葛藤(7∼ 11歳)」を,同じく,人格査定における特徴とし て,「他者への衝動的,敵対的,冷ややかな,疑 り深い,冷笑的,人情味のない,冷たい態度」 を,同じく,問題行動歴における特徴として, 「両親や教師によるけんかの現認(5∼11歳),両 親や教師による過活動性の評定(5∼11歳)」な どを挙げている(Moffitt, 2018, p. 7)。こうした 生活史,人格特性,問題行動歴は,通常の非行臨 床の中で把握可能な事項であり,このような情報 を踏まえた上で,査定を行えば,Moffittの犯罪 発達類型に近い分類は,それほど困難な作業で はないと思われる。横断的なデータ収集による Moffittの犯罪発達類型の妥当性の検証の可能性 を肯定的に考えたい。 謝 辞 本研究の実施においては,研究の趣旨や必要 性に理解を示し,資質鑑別作業の中で得られた資 料を本研究の分析に使用することを許可してくだ さったA少年鑑別所長をはじめ,関係機関,関 係各位の皆様に厚く感謝申し上げます。また,本 研究で分析対象となった少年たちの1日でも早 い立ち直り,社会復帰を願ってやみません。 引 用 文 献 相 澤  優・ 東 山 哲 也・ 安 藤 友 祐・ 野 上 智 行 2016  「振り込め詐欺」に関与する少年の特徴について(2)  犯罪心理学研究,54(特別号),66–67.

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(15)

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Abstract

In this study, classification into two types of antisocial behavior (Adolescence-Limited and Life-Course-Persistent) by Moffitt (1993) that had the purpose to explain the age-crime curve was attempted by using the data collected upon differentiating the quality of 1,440 juvenile delinquents who entered a Juve-nile Classification Home, to examine consistency with her theory. As a result, a significant difference was recognized in the situation of school maladaptation, initial misbehavior in the early years, etc. between the two groups classified, and some differentiation materials were also indicating possible classification into two groups close to Moffitt’s theory. From the comparison of both groups, it was confirmed that the degree of the problem was more significant for Life-Course-Persistent than Adolescence-Limited: however there was no clear difference in the number and content of delinquency factors for both groups, and the struc-tural difference in the explanatory model of delinquency was not successfully confirmed either.

Key words

: Juvenile Classification Home, age-crime curve, Moffitt’s developmental taxonomy

Table 4 は, Table 2 にまとめた Moffitt の 7 つ の分野の研究対象項目について,本研究において 採用する調査項目と,検証を目指す 11 個の研究 仮説を列挙した。 以下の 11 個の仮説を掲げるが,まず,仮説 1 〜 8 については, LCP 判定群と AL 判定群の度数 や得点の比較から,今回の試行的な判定の精度を 確認するためのものである。 仮説 1:   LCP 判定群は, AL 判定群よりも,粗 暴事犯者の占める比率が高い。 仮説 2:   LCP 判定群は, AL 判定
Table   4   Moffitt ( 1993, 2018 )の研究項目・本研究の分析項目・研究仮説 Moffitt の研究項目 本研究での分析項目(「 」内は MJCA の項目) 研究仮説及び原典での表記(※) 2 ) 反社会的行動 (非行)が発 現する原因 神経心理学的問題 ◎ MJCA の自己統制力に関する 4 項目【気難しい気質得点】(0点〜12点)( 1 ) 「欲求不満耐性が低い。」 ( 2 ) 「攻撃的である。」 ( 3 ) 「感情統制が悪い。」 ( 4 ) 「自己中心的である。」 〇 I
Table   4   Continued

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