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大豆蛋 白質纎維 に關す る研究 (第11報)
有機溶媒にて處理せ し脱脂大豆並にそれ よ り得 られ
た纎維用蛋 白質中の炭水化 物に就 き
(東洋 レ ー ヨ ン株 式 會 社 研究 部) 三 好 重 雄 ・ 藤 居 新 (昭 和18年7月12日 受理)緒
言
第10報 に て大 豆 蛋 白質 ケーク 中 には 炭 水化 物 が 含 有 せ られ 、そ の 主 成分 は ペ ン トザ ン及 び ガ ラ ク ク ンで あ る事 を明 に した 。蛋 白質 抽 出劑 の相 違 に よ り蛋 白質 ケ ーク中 に含 有 せ られ る ペ ン トザ ン 等 の含 有 量 に差 を認 め た の で 、 同樣 に炭 水 化 物 除 去 の 目的 で 、脱 脂 大 豆 を有 機 溶劑 で 前 處理 して各 炭 水 化 物 の變 化 並 に その 前 處 理 を施 した 脱 脂大 豆 か ら製 取 した 蛋 白質 ケ ー ク 中 の炭 水 化 物 の 變 化 を 測 定 した 。實
驗
1. 脱 脂 大 豆 の有 機 溶 劑 處 理 。 石 油 ベ ン ジ ン抽 油 脱 脂 大 豆100gに250ccの 有 機 溶 劑 を 加 へ5日 間 室 温 に 放 置 し この 期 間 に 時 汝 振 盪 し た 。 後 溶 劑 を 分 離 し室 温 で 乾 燥 し た 。 こ の 處 理 を施 した 脱 脂 大 豆 並 に 原 試 料 及 び 有 機 溶 劑 中 に 溶 解 し て き た炭 水 化 物 の 組 成 を 調 べ た 。 分 析 法 は 第10報 の 場 合 と殆 ん ど 同 樣 で あ る。 今 回 新 た に 測 定 し た ヘ キ ソ・ウ ロ ン酸 はDickson, Otte-rson and Link (J., Am, Chem. Soc., 1930, 52 775) に よ り發 生 す るCo2をN/10 Ba(OH)2に 吸 收 せ しめ て 定 量 し た 。 結 果 は 次 の 樣 で あ る 。 第1表 有機溶 劑處理 した 脱脂大豆中の炭水化物 これ に よれ ば メ タノ ー ル及 び エ タ ノー ル 處理 し た 脱 脂大 豆 中の ペ ン トザ ン及 び ガ ラク タ ン含 有量 が 最 も少 な い 、即 ち この 兩者 は 最 もよ くこれ 等 を 溶解 除 去 す る作 用 あ る もの で あ る。増 野 博士(東 工 試 、昭2, 22回7號 、57)は石油 ベ ン ジ ン・メ タ ノー ル共 沸 混 合 物 處 理 すれ ば 大 豆 か ら炭 水 化 物 が 除 去 され る量 最 大で あ る と報 告 され てい るに一 致 して い る。 原試 料 の石 油 ベ ン ジ ン抽 油 脱 脂 大豆 中 の 炭 水 化 物 よ り も、 そ れ を有 機溶 媒 處 理 した もの は 皆炭 水 化 物含 量 が減 少 して い るが 減 少 率 は僅 少 で あ る。 この處 理 に使 用し た 有機 溶劑 中 には炭 水化 物 を 溶解 して含 有 してい る筈 で あ るの で とれ に つ き ペ ン トザ ンの測 定 を行 つ た。 第1表 と同樣 メ タ ノー ル及 び エ タ ノー ル中 に ペ ン トザ ンの 含 有量 多 く この 兩 者 が溶解 能 力大 で あ大 豆 蛋 白 質 纎 維 の 研 究 (第11報) (269) 第2表 有機 溶 劑 中 に溶 出 した ベ ン トザ ン る こと を示 して い る。 他 の 有 機 溶 劑 は ペ ン トザ ン 等 の 溶 出 作用 は殆 ん ど差 が な い樣 で あ る。 2. 有 機溶 劑 處 理 の脱 脂 大 豆 よ り製 取 せ る蛋 白 質 中 の炭 水 化物 前 記 の處 理 を施 した 脱 脂 大豆 か ら纎 維 製 造 用 の 蛋 白質 を常法 に從 ひ0.2%苛 性 曹 達 で抽 出 し、稀 硫 酸 でph4.5∼4.7と して 蛋 白質 を再 生 、沈 澱 し ぬ 5回 傾斜 に て水 洗 後 濾 過 しエ タ ノー ル に て脱 水 、 乾 燥 した もの を試 料 と した 。 この蛋 白質 に つ き ペ ン トザ ン等 を測 定 した結 果 は次 の樣 で あ る。 第3表 有 機溶 劑 處 理脱 脂大 豆 よ り製 取 せ る蛋 白質 ケ ー ク中 の炭 水 化 物 これ に よれ ば 蛋 白質 中の ペ ン トザ ン等 は有 機 溶 劑 處理 に よ り原試 料 の石 油 ベ ン ジ ン抽 油 脱 脂 大 豆 よめ 皆 減 少 して い る。 第1表 に て 示 した 脱 脂 大 豆 を有 機 溶 劑 處 理 した 場 合 は メタ ノー ル及 び エ タ ノ ー ル の樣 な アル コー ル類 處 理 の 場 合 に ペ ン トザ ン 等 の炭 水 化 物 が最 も多 く除 去 され たの で 、 これ よ り製 取 した蛋 白 質 の含 有 す る ペ ン トザ ン及 び ガ ラ ク タ ン等 が最 小で あ らうと豫 想 した 處 、意 外 に も相 當 多い 結 果 を 示 して い る。 この場 合 炭 水 化 物 の 含 量 が 最 も少 な い の は アセ トン處 理 の もの で次 は 二 硫 化炭 素 處 理 の もの で あ る。 これ よ りア ル コ ー ル類 で溶 解 、除 去 され る ペ ン トザ ン及 び ガ ラ ク タ ン等 と蛋 白質 ケー ク中 に 含有 され る もの とは 性 質 が異 な つ て い る もの で な い か と推 定 され る。 ア セ トン處 理 の 脱脂 大 豆 か ら得 られ た 蛋 白質 が炭 水 化 物 を含有 す る こ と最 も少 な い 事 は 面 白 い 事 で あ る。 筆 者 等 の 一 人(本 誌 、昭16, 17, 463)は 石 油 ベ ンジ ン、石 油 ベ ン ジ ン・メ タ ノー ル 及 び ア セ トン抽 油 脱 脂 大 豆 より 大 豆 蛋 白質 纎 維 を製 造 す る場 合 に 同 一條 件 に て纎 維 を製 造 す る と きは ア セ トン抽 油 脱脂 大豆 を原 料 と す る場 合 に 常 に物 理 的 性 質 が 良 好 な る製 品が 得 られ る事 を報 告 した。 この原 因 の 一 つ と して は 蛋 白質 の軸 比 が 大 と な つ て い る事 に 因 る もの で あ ら うと した が 、今 回 の炭 水 化物 の 測 定 結 果 ア セ トン處 理 の 脱脂 大 豆 よ り製 取 した 蛋 白 質 の ペ ン トザ ン等 の 含 有 量 少 ない 事 、即 ち精 製 さ れ た 蛋 白質 を原 料 と して纎 維 を製 造 した 事 も優 良 な製 品を 得 られ た原 因 の 一つ と考 へ られ る。 この 事 よ り纎 維 製 造 用 蛋 白質 は ペ ン ドザ ン等 の 炭 水 化 物 の 含有 量 は可 級 的少 量 の もの を使 用 す る事 を必 要 とす る事 を示 して い るの で は な い で あ らうか。 3. 纎 維 用 蛋 白質 中 の 炭 水 化物 の分 類 に就 き 纎 維 用 蛋 白質 に含 有 せ られ る炭 水 化 物 の 主成 分 の2∼3に 就 い ては 本 文(2)に て 述 べ た が 、 これ
(270) 三 好 重 雄 ・ 藤 居 新 一 は僅 か の試 料 に就 いて の測 定結 果 で あ るの で 少 量 含 有 され てい る炭 水 化 物の 測 定 は 困難 であ つ た の で 多量 の 蛋 白質 ケー クを使 用 し炭 水 化 物 を抽 出 し て測定し た 。 蛋 白質よ り完 全 に炭 水 化物 を抽 出す る方 法 は知 られ てい ない の で 比 較 的 炭 水 化 物 を溶 解 す る能 力 多 い エ タ ノー ル で 抽 出 した 。 即 ち 蛋 白 質 ケー クの 乾 燥 せ る もめ300gを95%エ タ ノー ルで6時 間 煮 沸 して炭 水 化物 を浸 出 し、 この溶 液 を濾 過 し更 に 新 ら しい エ タ ノー ル で 抽 出 を5回 繰 り返 し、抽 出液 を合 せ て エ タ ノー ル を蒸 發 除 去 し て黄 褐 色 粉 末1.5gを 得 た。 これ を 水 に溶 解 して 試 料 と した 。 この 溶 液 につ き定 性 試 驗 を行 つ た處 前 記 の3成 分 の 外 に蔗 糖 の 存 在 を認 め た 、然 し大 豆 中 に存 在 してい る ス タ キオ ー ゼ及 び 澱 粉 は 檢 出 され なか つ た。 定 量 法 は第10報 に よつ た 。結 果 は 次 の 樣 で あ る。 第4表 これ に よれ ば 炭 水化 物 の 中 ペ ン トザ ンの 含有 量 が 飛 び 離れ て高 く、他 の もの は概 ね 同樣 で大 差 を 認 め な い。 ペ ン トザ ンの 含 有 量 の み が 特 に高 いの は 、 これ が 單 に蛋 白質 に 吸著 され易 い性 質 が有 る と いふ よ り も生 綿 蛋 白質 の 場 合 の樣 に蛋 白質 と結 合 して い る もの が そ の 内 に あ る事 を示 して い ると 推 定 され る。