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地方自治体による森林環境税の制度設計と運用に関する研究

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Academic year: 2021

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長野大学紀要 第42巻第2号 63―64頁(219―220頁)2020 - 63 - 研究実績の概要 地方分権一括法が2000年に施行されて以降、いわ ゆる地方環境税の導入が全国的にすすみ、とくに、 森林に関連する事業の実施に必要な財源を調達する ための税である森林環境税は、その代表例といえる。 森林環境税は2003年に高知県で導入されて以降、 2019年4月1日時点では、37府県1市と、全国的な広が りを見せてきた。 森林環境税の賦課徴収や税収使途の仕組み等は、 2003年度に高知県で導入されたものがモデルとなっ ている。具体的には、住民税均等割の超過課税方式 を採用する点、税収を目的税的に森林整備や森林づ くりの活動の費用に充てる点、課税期間に予め期限 を設け一定の年限で継続の有無を検討する点、住民 説明会の実施や外部有識者による検討会の開催と いったプロセスがある点などを基本としつつ、各地 で名称を含めアレンジされている。 森林は適切に管理されることで、木材生産のみな らず、国土保全や水源涵養、多種多様な生物の生息 環境の保全といった各種の恵み(=生態系サービス) をもたらす。しかしながら、財として市場で評価さ れるのは、森林から搬出される木材が中心である。 木材価格が低迷すると、森林の所有者は木材生産の ための森林管理をする誘因を失い、結果としてその 他の生態系サービスの供給も減少してしまう可能性 がある。日本の場合、木材価格低迷や山村地域の過 疎化・高齢化等により林業が衰退するなかで、森林 管理も厳しい状況にある。 森林環境税は、生態系サービスの受益者である住 民から徴収した財源を用いて、森林保全のための各 種取組をするものであり、日本における「生態系サー

ビスへの支払(Payment for Ecosystem Services、 以下PES)」の例として一定の評価がなされてきた。 他方で、森林環境税は「税」であることから、財政 学分野においても様々な議論がなされてきた。たと えば導入当初においては、自治体が地域の実情に応 じて独自に制度設計をした結果が税率・使途等に反 映されており、地方団体の課税自主権を行使した結 果として一定の評価がみられた。他方で近年は、森 林環境税の課税期間延長が続くなど、そのマンネリ 化の弊害も指摘されている。 本研究は、以上のような評価や課題提起がなされ ている森林環境税について、とくに長野県の森林環 境税を中心に、その導入経緯から成果までを具体的 に明らかにすることで、全国の導入自治体を分析す るための基礎を築くことを目的とした。 研究期間を通じて、主に2000年代の全国の林業費 の動向の一端と、導入団体の一例である長野県の事 例の特徴を、それぞれ明らかにした。全国の動向と して、林業費は減少傾向にあったが、国庫支出金や 積立金を利用した支出が一時的に拡大したことが示 された。しかしながら、森林環境税の税収は小さく、 その効果については明確化できていない。当該点を 克服するために、さらなる分析が求められる。 また長野県の事例については、税の導入過程やそ の導入根拠の整理、県の一般会計予算データ(補正 値を含む)を利用した県全体の森林・林業政策に関 わる財政支出とその財源について、それぞれ明らか にした。前者については、導入に際して必要となる 費用の試算をめぐるプロセス等について、明らかに した。また後者については、森林環境税が間伐関係 の財源に一定の寄与はしているものの、国庫支出金 *環境ツーリズム学部准教授

(準備研究)

地方自治体による森林環境税の制度設計と運用に関する研究

吉 村 武 洋

*

Takehiro YOSHIMURA

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長野大学紀要 第42巻第2号 2020 220 - 64 - を利用した基金等が森林関係の財源として大きな割 合を占めており、森林環境税は県全体の支出内容を 大きく変化させるには至らなかったことを明らかに した。これらの内容は、2019年に開催された日本地 方財政学会(税の導入過程や税導入の根拠に関する 議論の整理)、環境経済・政策学会(県全体の森林・ 林業政策に関わる財政支出とその財源の整理)で報 告している。内容の詳細や参考文献等は、それらを 参照されたい。 当該結果は、他の導入府県を分析する上で基礎と なる分析手法・データである。研究期間中に得られ たデータをもとにしつつ、当該分析手法を他の導入 府県に応用することで、全国的な動向を明らかにす ることが期待できる。そして、最終的には、これら で得られた知見を総括することで、森林環境税の導 入が生態系サービス発揮の強化につながったのか否 か、森林環境税というPESの意義と課題はどのよう なものなのか、明らかにできる。 研究発表(令和元年度の研究成果) 〔学会発表〕 計( 2 )件 発 表 者 名 発 表 標 題 吉村武洋 自治体による森林・林業政策をめぐる費用負担の分析 ――長野県財政を事例に 学 会 等 名 発表年月日 発 表 場 所 環境経済・政策学会2019年大会ポスター報告 2019年9月28日 福島大学 発 表 者 名 発 表 標 題 吉村武洋 森林環境税の使途に関する研究――長野県森林づくり県民税を事例に 学 会 等 名 発表年月日 発 表 場 所 日本地方財政学会第27回大会 2019年6月2日 新潟市朱鷺メッセ

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