有限長陽光柱内での電離波動の分散関係
福重光秀 伊藤洋 中沢章
(昭和58年8月24日受理)
Dispersion Relation of an Ionization Wave in a
Positive Column of a Finite Length
MitsuhideFUKUSHIGE HiroshiITO AkiraNAKAZAWA
SynOP8i8 An ionization wave can be excited in a relatively high pressure gaseous plasma. This paper, at first, describes theoretically the dispersion relation of the ionization wave in an in丘nitely long neon plasma. It has been generally regarded that the effects of ion temperature on the the dispersion relation can be negligible, since it is too low to affect the ionization and the excitation of the gases. This paper shows, on the contrary, that the ion temperature is effective on the dispersion in comparison with the theoretical results and experimental ones. It can be concluded that the ionization and the excitation of the molecules are also closely related to the ions of the plasma. This paper also shows that the frequency and the wavelength of the ionization wave are influenced by the lengh of the plasma column. It is due to the tolerance of the Novak’s constant which is variable to a certain extent with a change of the electric field generated in the plasma.
1.はじめに
比較的圧力の高いガス放電陽光柱プラズマ内には電 離波動(移動縞)が発生することがある。これは,電 離・励起過程とイオン・励起原子の消失過程とを伴う 不安定性に起因していると言われている。その中で自 励振波動は,希ガス内ではしばしば後進波特性を示 し,その種類としては,イオン励振型のr波と準安定 原子励振型のP波等がよく知られている1)。 この電離波動の分散関係は,イナンと電子および準 安定原子に関する連続の式,イオンと電子に関する運 動量およびエネルギー輸送方程式,そしてMaxwel1 の式からなる基礎方程式から線形化操作することによ * 日本電信電話公社,NipPon Telegraph and Telep− hone Public Corporation ** d気工学科,Department of Electrical Engineer−ing
って求まる。従来,この基礎方程式において,イオン 温度は電子温度に比較して小さいとしてア・プリオリ に無視されていた。しかし,本論文ではイオン温度に ついて考慮して得た,分散関係の理論値と実験値とを 比較することにより,その影響について検討した。そ の結果,この電離波動のP,r波ともその位相特性は, イオン温度を考慮することで理論と実験とが良く一致 し,その寄与は無視できないことが明確になった。 ところで,このように理論解析では一般に,自励電 離波動の角周波数および波長は,単にプラXlマの諸量 および管壁における表面再結合のみで決まると考えて いる。しかし,プラズマの軸方向長さや放電電流など に対する自励発振波長の実測値を詳細に調べてみる と,それらは陽光柱の長さにも強く依存していること が初めて明らかになった。これは,波動の分類に用い られるNovak定数(Eとλの積でこれが一定と考え られている。ただしEは軸方向電界,λは電離波動の波長)にある程度の冗長性があり,プラズマ長や放電 電流が一定量変化し,そのためにプラズマ軸方向電界 が変化しても,発振波長は不変となることのためであ ることが判明した。このような現象は過去の報告には 見当たらない。本論文ではNovak定数の値の幅につ いても実測によって与え,有限長プラズマに特有な電 離波動現象を明らかにしている。 2. 理 論 理論的取り扱いにあたって,その簡略化のために以 下の仮定を行う。 (1)一例としてネオンガスを対象とし,準安定準位と してはNeの1S5準位だけを考慮する。 (2)荷電粒子の消失は,両極性拡散により拡散した粒 子が,放電管壁で表面再結合することによって生ず るものとする。 (3)累積励起は無視する。 (4)エネルギー分布はMaxwel1分布とする。 以上の仮定の正当性は実験的に確認することによっ てのみ説明されることであるが,後述するようにこれ らはほぼ妥当なものであると言うことができる。 2.1基礎方程式 電離波動は,陽光柱内での電離と再結合過程に伴う 不安定性に起因しており,Fig.1のような関係にある と考えられる。ただし,同図でN,はイオン密度,Ne は電子密度,IV.は準安定原子密度, Viはイオンドリ フト速度,V,は電子ドリフト速度, T,は電子温度で あり,またTiはイオン温度である。このような各物 理量が相互に複雑に作用し合うことにより,電離波動 が発生・伝搬しているものと考えられる。この過程に disturbance change ln the plasma density (∫Vt,∧」,,) change ln the metastable density (Nm) おける重要な点は電子温度の変動である。電子温度の 変動に伴って,電子温度の関数である電離周波数も変 動し,そのことが電荷保存則に影響する。また,荷電 粒子の生成・消滅には電子のエネルギーが関与するの で,電子のエネルギー輸送方程式も重要な寄与をす る。そこで,この発生過程を記述する基本式として, イオンと電子および準安定原子に関する連続の式,イ オンと電子に関する運動量およびエネルギー輸送方程 式,そしてMaxwe11の式を用いる。そして各物理量 は,これらの基礎方程式を満足するように,自己無憧 着に決定されなければならない。解析の対象とする波 動が放電管中の管軸方向に伝搬する波動であるから, 簡単のために一次元問題として取り扱う。このとき, 座標軸Xは陽極から陰極へ向かう方向を正とする。基 礎方程式は次のようになる。 誓+☆(N・Vi)−z…N・・−z・ IVe
+[臣一賠F・・N司](・)
芸・+〉}(NeVe)−z・・凡一z・Ne +[臣一Nm・+F一鳳・]](・) [[ ∂2/V肌 ∂、IVm =ZeX∧「e−Zmt」Vm −1)m ∂x2 ∂t −(F−Nm・+F・・珊・]](・) 嘘(N・v・)+M☆(N・v・v,)+☆{Pt} −qNtE=−M(レi十Zl).NiVi (4) 楊(N・Ve)+楊(N・V・v・)+☆れ +qN,E・=−m(レe+Ze)IVeVe−M(Zdi←
↓ space charge fleld (E) ↓ ion drift velocity (Vi) electron drift velocity (Ve) ↓ electron temperature(T,) lion temperature(T、)1 」一一一_一一_一一西●一●⇔一一_一」 disturbance 図一1電離波の発生機構 Fig.1 The mechanism of generation of ionization wave. 十〔〔ZeX十FmeNm〕〕)NeVe (5)G晋+☆(膓凧+∋一・拠E
一昔P・(Vs+z・) (・)
晶れ+☆(9肌+Oe)+・N・V・E
・・ ?o・(・t+Zt)+qV・・Z・・Ne 十〔〔q(Vdi−「Vm)十qV.Z巴x∧r¢〕〕 ・・ セ+ノーJ・, J・q(N・V・−N・Ve) ただし,.鳥=κ2V乞丁乞 Pe=rcNe Te α一一ユ子爵
(7) (8) (9) ao) (11)Qe−一÷=三妥 (・2)
ここで,次の表記法が使われている。孔:イオン圧力 テンソル,Pe:電子圧力テンソル, Q, :イナン熱流 束,Qe:電子熱流束, Vi:イオンと中性粒子の弾性衝 突による衝突周波数,M:イオン質量, q:電子の電 荷,εo:真空中の誘電率,κ:ボルッマン定数,レ、:電 子の弾性衝突によるエネルギー損失,レ、:イオンの弾 性衝突によるエネルギー損失,Vdi:電離電圧, Vm: 準安定準位への励起電圧,Zdi:直接電離周波数, Ze: イオンおよび電子の管壁への消失周波数,Z,X:直接 励起周波数,Fme:準安定原子と電子の衝突による累 積電離係数,Fmm:準安定原子同志の衝突による電離 係数,Z肌‘:準安定原子の管壁への消失周波数,1:電 流密度,J。:定常電流密度,1)m:準安定原子の拡散 係数。 また{}は,見分けやすくするためにイオン温度 を考慮することによる項を,〔〔〕〕は,同様に準安定原 子を考慮することによる項をそれぞれ示す。ここで, 式(1)∼(3)の連続の式は,イオンと電子と準安定原子の 発生項および消失項を含んでいる。また,管壁への消 失は,陽光柱での両極性拡散によって近似的に決定さ れるので,イオンの消失率は電子のそれに等しいと仮 定する。式(4)∼(7)の運動量およびエネルギー輸送方程 式は,上述のようにイオン励振型のr波にとって,イ オンの持つエネルギーは無視できないであろうと考え られることから,イオン温度が考慮されている。そし て,弾性および非弾性衝突と管壁でのそれぞれの損失 についても考慮されている。また,式(8)は空間電荷の 発生過程が重要であることから,Maxwe11の式が用 いられる。 2.2 分散関係 前述したように,管軸方向に伝搬する波動に着目し ているので,各物理量(Ni, Ne, Nm, E, Vi, Ve, Te, T∂を変数Xとして,定常項Xoと摂動項xの二 つの部分に分ける。すなわち, X=Xo十x (13) と表す。ここで,添字0は定常分を表し,各変数の小 文字が摂動分を表すと仮定する。さらに,摂動分につ いては,次のように波数 le,角周波数ωの平面波表示 を行う。 x=lxlθ」(k‘−t°t) a4 次に,プラズマの中性条件と現象を均一定常状態 (∂/∂t=∂/∂x=0)で近似することにより,定常項の間 の関係として次式を得る。 NtO”=Neo=1Vo (IS Zdω」Vo−Z膓02Vo+[[丁㌦ぷ+輪輪刈一・(16>
Zば0∧「o−Zim∧lmO −(Fmm」Vm。2+Fm,。AV.。」V。)=O ao qE・=M(Vi+Ze。)Vi。 as) gEoニー勿(レ¢十Zto十Zdio十ZeXO +Fm,O NmO)V,o ag)qV・・E・一{麺伝+Zl・) rz・)
−qV・・E・−9・・T・・(・,+z・・)+qV、、Zd、 +〔〔q(Vdi−Vm)Fme。IV.。+qVmZ,X。〕〕21) ところで,Zdi, Z,X, Fmeなどは電子温度の関数で あり,これらの諸量は電子温度の摂動に伴い摂動する もの考えられる。したがって,これらの諸量は次のよ うに展開できる。 Zdl−z…+(∂Zdi∂Te)玲ぱ z・X・・z・xo+(∂ZeX∂Te)T,.T,。te F・・−F…+(∂Fme∂Te)T、。T,,te 23) ⑭ これに対し,管壁における単位時間当たりの荷電粒子 の消失数(損失周波数)Z,も電離周波数と同様に電子 温度の摂動に伴い摂動するものと考えられる。また, 管壁への荷電粒子の消失は両極性拡散によると考えら れることから,Zt−z・・+芸ち tzs
のように仮定する。 そこで,式(1)∼⑧に線形化操作を施す。そして,そ の結果を行列表示し,さらに若干の式変形により次の 固有値方程式を得る。 Ax・=ωx ㈱ ここで,行列Aは波数kを含む8行8列の複素行列で あり,ωは複素角周波数である。式㈱から分散式は次 のようになる。レt一ω∬ト0 2n
ここで,行列〔∬〕は単位行列を示す。この分散式⑳ は行列〔A〕の固有値を求める問題であり,計算機を 利用して容易に数値解析できる。なお,数値解析する 際には,波数kを実数値として与えることにより,複 素角周波数ωは次式のように求まる。すなわち, ω=ω。+元ωτ ⑳ である。ここで,Wrは角周波数を表し, tUiは時間的 成長率を表す。分散式26)を用い,次の各場合につし)て分散関係を求 める。 〔1〕 〔皿〕 〔皿〕 イオン温度および準安定原子を考慮しない場合 イオン温度は考慮するが,準安定原子は考慮し ない場合 イオン温度および準安定原子を考慮する場合 前述のとおり,分散式㈱はドリフトプラズマ内を管軸 方向に伝搬するあらゆる波動を含んでいる。そこで, まず希ガス直流放電における陽光柱プラズマ内に発生 可能な波動について,場合〔1〕の数値計算を行う。 計算にあたって,各数値を次に示す。 P=3.55Torr, No =O.665×1018 m−3 Vio=0.637×102 m/s, Veo =−0.366×105 m/s Zdio=0.858×1041/s, E=6.71×102 V/m TeO=0.235×105 K このときの分散関係をFig.2に示す。グラフ中のω。、, ω。,,tOrs,ω,、,ωr、は上述のように各波動モードの複 素角周波数の実部を示す。下添字ゴは虚数部,すなわ ち,ノ條ヤ的成長率を示すので,tUiが負であることは減 衰率を意味する。グラフ中には五つの曲線が示されて いるが,高周波のωr,とω。、は電子プラズマ波に相当 し,値の正,負は異なる伝搬方向を意味する。また低 周波のω。、はイオン音波と考えられる。一方,ω。、は 波数の1.5∼7.0(rad/cm)程度の範囲で後進波特性 を示しており,これが電離波動に相当すると考えられ る。ところで,電離波動以外の四つの波動は数Torr
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\(「コ 切 由\ 』 − k A s s −1.0 Neon P=3.55 Torr .0 ωr1 .5 ωγ3 ωτ2 丘(rad/cm) 0 ・一一一一 ⇔、ユ0 20_._.一二二こ・、艶㍑㌔一 、、、 ω‘5 、、、 、 ωr4 5 ’一一 tご∼一一一一一一?一一一 一 一一一一..一一一一 ノ 、、 ω潤 ’ 、 ’ 、 ’ 、 ωr5 f 、, 、ω口 0 図一2 ドリフトプラズマ中の分散関係 Fig.2 Dispersion relations in drift plasma of infinit61ength.ωrl and wil shows an iOniZatiOn WaVe. § 1.o .,三顯
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{ミ ごs ミ・.−o・5≡
s s 一1.0 Neon P=・3.55Torr ω7・3 ωア2 ん(rad/cm) 一 一 一 一 :こご∼∼10 ミ \、 1、、、、 ω、3,ω、4 −一一一一、ぐ一一一“一Aご一一一一一一 、 、、 20 、 、 、 、 ωL5 、 、 、 、 、 、 ωτ4 一 一 一 一 一一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 “一 ω‘2 、 、 、ω言1 、 ωf5 ’ ヨr1 図一3 電離周波数および消失周波数の摂動のない場 合の分散関係(Z記=ZIL=0) Fig.3 Dispersion relations without the per− turbation of ionization and loss frequ^ ency(Zdit=Zl「=0). の圧力では励振されず,電離波動のみが励振される。 このことは,この分散曲線で電離波以外の波動の減衰 率の高いことから理解できる。 つぎに,電離波動とイオン音波の関係について論じ る。まず次の仮定を行う。(1)電離周波数Zdiは電子温 度と無関係で摂動はない。すなわち, Zdi =O ⑳ である。また(2)管壁へ荷電粒子の消失周波数も電子温 度とは無関係で摂動はない。すなわち, Zt’=0 (3① であるとする。 この二つの仮定に基づく分散関係をFig.3に示す。 Fig.2と比較すると分散曲線のω。、’以外のものはこの 仮定がない場合と全く同じであることがわかる。この ことにより,後進波特性の波動ωr、が前進波のω,、’に モード変換してるということができる。このω。、’は低 周波波動のイオン音波であり,陰極から極陽方向へ進 む波動である。このことから,電離波動とは,電子温 度の摂動に伴う電離周波数の摂動のために,陰極から 陽極へ向うイオン音波がモード変換したものであると 結論することができる。 3. 実 験 3.1 実験の方法 実験回路図をFig.4に示す。実験で使用した放電管K°
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\,伍誕 DoubI Audio Osc. Amp. Single Probe Double Probe C.R.T.図一4実験装 置
Fig.4 Experimental arrangement は,ガスの純度を保つために製作の際に1×10−6Torr 以下の真空に排気した後,ガス出しのため約340°Cの 電気炉で数時間焼きなましを行った。さらに,この作 業を数回繰り返し,ガスを封入した。陽光柱内の電界, 電荷密度および電子温度を測定するために,シングル プローブを2本,およびダブルプローブを1本それ ぞれ放電管に挿入した。圧力の計測はピラニーゲージ で行い,その他のプラズマ諸量は文献(1)∼(3)によっ た。分散特性の測定では,まず放電回路に相互インダ クタンスを介して電磁結合した発振器で,定常電流を 変化しない範囲で電流変調を行い,自励電離波動の励 振周波数近傍で強制的に周波数を制御する。この状態 で,波長の測定は光電子増倍管出力をロックインアン プに導き,管軸方向に沿ってこれを移動しながら信号 レベルを計りその周期から求める。また空間的成長率 彪も同時にその振幅の包絡線の変化から求めている。 そして,次の式で空間的成長率吃から時間的成長率 に換算した。 ∂ω. kz (31) ω乞=一 ∂le 3.2 実験結果 実験はイオン励振型のr波と準安定原子励振型のP 波について行った。r波についての分散曲線はFig.5, 6,p波についてはFig.7に示した。図中の1,llは, それぞれイオン温度を無視した場合と考慮した場合に 相当し,皿は,さらに準安定原子を考慮した場合に相 当する。実験データの中で黒く塗り潰した点は電離波 動の自励点を表す。r波の場合,曲線1は位相特性に ついて実験結果と理論結果とを比較すると,共に後進 波特性を示しているものの定量的にはかけはなれた結 果となっている。これに対して,新たにイオン温度を 考慮した曲線llについてみると,定性的にも定量的に も良く一致していることがわかる。また,同様にヵ波 についての位相特性も良く一致している。一方,時間 的成長率について理論曲線と実験結果とを比較する と,理論では負の値であるのに対し,実験では正の値 ×105 1.0 室 冒 ∼( 0.5 § Neon P=3.55 Torr E=4.31V/cm 2V=1.42×1018m−3 工 ム1“AA 室 モ soトー一
u一一一す一一一一
一〇.5, 一1.0 k(rad/cm) !メジー一 プ プ ,ニニケ’ 丑ノク,〃 ω。・c。L−
Exp. o //工 / ω、:Cal.一一一一 Exp. △ 図一5 r波に関する分散特性 Fig.5 Dispersion relations of r−wave. Case II takes ion temperature into account. I does not. 舌 嗜 ぎ ×105 1.0 0.5 0 宅一〇・5 竺 s 一1.O Neon l)=1.55 Torr E=4.97V/cmv N==1.287×1018m−3 ムβム▲ムムム Fig.6 k(rad/cm) 旦一づ二ニニニニ==二’エ ω。:C、L_
Exp. o ω‘:Cal. t−一一一 Exp. △ 図一6 r波に関する分散特性 Dispersion relations of r−wave. であることが示されており,この点に関しては良好な 結果を得るには至っていない。このことは,基礎方程 式(1)∼(8)に線形化操作を施したこの理論の限界を示し ており,非線形理論へ拡張する必要があることを示し ているように思われる。しかし,図をみると電離波動 が存在している付近の波数では,時間的減衰率の理論 値は小さな値であり,また実験データのピークと理論 曲線のピークは比較的近い値を示している。 このようにイオン温度を考慮することにより,位相×105 1.0 ミ 苫 .o.5 ぎ 室 ㌣ s 0 一〇.5 一1.0 Neon P=1.65 Torr E=・ 5.63 V/cm N=O.660×1018m−3 3 4 k(rad/cm) ωr:Cal.− Exp. o ω,:Cal.__ Exp.△ 〆五「一’” ’’”\\ 、、、、 図一7p波に関する分散特性 Fig.7 Dispersion relations of P−wave・ 特性および時間的成長率は実験結果に,よりよく一致 することが判明した。この結果,イナン励振型のr波 にとってイオンのもつ熱エネルギーが無視しえない物 理量であることが明確になり,従来電子温度に比べて イオン温度は十分低いとして無視していることが妥当 性を欠いたものであることがわかる。 4.有限長プラズマの電離波動に及ぼす影響 ここでは放電電流1に対する自励電離波動の波長λ および角周波数ω.の依存性について,理論的および 実験的に検討を行う。 まず,放電電流を変化させたときの分散曲線の理論 値をFig.8に示す。ところで自励電離波動の伝搬特性 は時間的成長率のピーク値に対応して決まると考える ことができるので,放電電流に対する伝搬特性はFig. 8の図中の点に示すように推移する。このようにして 放電電流を変えながら分散曲線を求めて,自励電離波 動の波長λおよび角周波数ω.の放電電流1依存性を 図示するとFig.9,10のようにまとめることができ る。グラフ中の破線はP波を表し,実線がr波を表し ている。このように1−a特性についてみると理論で はp波およびr波ともそれぞれ放電電流の変化につれ て連続的に変化している。また1一ω,特性についても 理論はp波,r波を問わずそれぞれのモードの間では 連続的に変化している。 つぎに,実験結果の1−2特性および1一ω.特性を それぞれFig.11とFig.12に示す。また,波動の種 類について調べるために,電流に対するNovak定数 EλをFig.13に示しておいた。1一λ特性の実測値に ミ § ぎ ミ 三 § ×105 1.0 Neon P・=1.55 Torr 佐/㎜,眠 3 k(rad/cm) 4 ωr:一 ωi:一一一一 三三苦三ミミミ・㍉ ’・Lk 図一8 分散曲線の電流依存性 Fig.8 The theoretical dependence of discharge current on dispersion curve. ・designates experimental value. 3.0 盲 二 富 至2.o § 1.0 O ls lO l5 20 Discharge Current工(mA) 図一9電離波波長の電流依存性 Fig. g The dependence of discharge current on wavelength of ionization wave(theore− tica1). ×10」 ミ
里06
§ 旨 1α4 : 』“2 Neon P=1.55 Torr ”h’’”一・・…....一......一....一一.. 0 5 10 15 1)ischarge Current∫(mA) 図一10 角周波数の電流依存性 20 Fig.10 The theoretical dependence of discharge current on angluar frequency. ついて理論計算と比較してみると,電流の減少と共に 波長が減少している点では両者は一致しているもの盲2・o ¥ 富 』 §1・o Neon P・= 1.55 Torr ● ● ●● n=27 n・=29 ● ● ● ● ●●● ■ η=20 n=21 Positive Cqlumn Length L==44.5cm λ=L/n 12.0 ε 篇100 8.0 Neon P =1.55Torr ゜一一一一堰│”’ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 0 5.0 10.0 15.0 20.O Discharge Current I(mA) 図一11実験結果の電流に対する波長の依存性 Fig.11 The results of experiments on the dependence of discharge currents on wavelength. 0 5.0 10.0 15.O D三scharge Current∫(mA) 20.0 ×105 コ∼o.6 冒 ぎ bo.4 § il− k。.2 亘 昼 く Neon P=1.55 Torr 一,t−・,e−x.x −’‘−1,一,FX− ● ● ● ● ● ● ●
a・”Ft−°
@::㌫:::㌫ O.Pwave:exp. ▲.Pwave:caL 図一13放電電流に対するNovak定数の依存性 Fig.13 The dependence of discharge current on Novak,s constant. 6.0 盲 )1) Eif 量5・5 ね ・ξ 8 M 5.0 ○ ● ● ● ● ● Neon P==1.55Torr ● ● ● ● ● ● 0 5.0 10.0 15.0 20.O Discharge Current 1(mA) 図一12 実験結果の電流に対する角周波数の依存性 Fig.12 The results of experiments on the dependence of discharge currents on angular frequency・ の,その変化の様子は,理論曲線の示すように連続的 な変化ではなく,放電電流のある範囲内では波長はほ ぼ一定値を示し,放電電流がその範囲を過ぎると急激 に変化し,また再び一定値をとるように振舞う。そこ で,陽光柱の長さLに対する波長の関係を調べてみる と次式の関係を満たす整数μが存在することがわか る。 L=n2 (33) 各波長に対するnの値をFig.11には示してある。こ のことから,有限長陽光柱内に発生する電離波動では, 陽光柱の陽極側の終端と陰極側の終端とで位相が一定 の関係に固定されていることがわかる。これは,実験 回路図から明らかなように,交流的に閉回路であるた め,放電管の陽極端と陰極端とで電気振動が一致しな ければならないためと思われる。このように理論計算 と実験結果の異なる理由は,理論解析では無限長プラ ズマが仮定されているのに対し,実際のプラズマは電 極間で放電路を形成しなければならず,両者は原理的 0 5.0 10.0 15.0 20.O Discharge Current I(mA) 図一14 電流に対する電界の依存性 Fig.14 The dependence of discharge current on electric field generated in plasma (theoretica1). に異なるためである。このことから,さらに詳細な解 析を行うには,現象を軸方向での境界値問題としても 取扱わなければならないことを示唆している。 つぎに,電離波動の波長とNovak定数の関係につ いて論じる。Novak定数は,電離波動の種類により 固有の値をとることが,Novak5)により実験的に,そ してRuzikaら1)により理論的に明らかにされた。本 研究によるとこのNovak定数は一定の値をとらず, Fig.13から分かるようにある有限の幅を持っている。 前述のように,波長は,放電電流の減少と共に一定値 をとりながら不連続的に減少しているが,ここで興味 深いことは,この波長の不連続点とNovak定数の不 連続点とが一致していることである。このときの電流 に対する電界の依存性がFig.14に示されている。こ れをみると,電界は電流の減少と共に単調に増加して いる。このために,Novak定数は電流の減少に伴い 増加する。そして,この増加に伴いNovak定数の許 容範囲の上銀にくると,波長は式倒を満たすように不 連続的に変化する。換言すれば,この過程を経ること 一61−←によりNovak定数は有限範囲内に収まっているので あると言える。 つぎに,1一ω。特性についても考察しておこう。前 述の理論計算によると,r波とp波のそれぞれのモー ドとも,放電電流の減少に伴い,角周波数は連続的に 増加している。これに対して実験結果の角周波数は, 電流の減少に伴い部分的には増加しているが,広い範 囲では減少しており,理論結果とは異なるように思わ れるが,以下のように考えると理論と実験は良く一致 していると言うことができる。波長一定の部分におけ る角周波数の増加は,Fig.8の電流に対する分散曲線 から,電流の減少に伴い角周波数が高くなるように変 化している。また,実測の1一ω.特性の不連続性は, 上述の1一λ特性の不連続性に起因している。すなわ ち,このように波長が不連続的に式(33)を満たしながら 変化するため,放電電流の減少に伴い角周波数が不連 続的に減少するようになるのである。なお,実験で得 られた波長に対する角周波数を,分散曲線から読みと ったものをFig.12に併記した。このように,理論と 実験結果は良く一致していることがわかる。 つぎに,プラズマの長さLに対する波長λの依存性 盲4・oo ¥ 急 』 § Negn P=1.6らTorr J =37.61nA E=3.45V/cm ●..●°° .°°° e e n=12 ● ● n==13 〇 42.0 44.0 46.0 48.0 ]≡)ositive Column Length L(cm) 図一15陽光柱の長さに対する波長の依存性 Fig.15 The dependence of positive column length on wavelength. Neon P==1.65Torr E=3.45V/cm ∫=37.6mA を明確にするため,可動式電極放電管により実験を行 った。同一電流,同一電界の下で,陽光柱の長さLに 対する波長Rの依存性,およびNovak定数の依存性 をそれぞれFig.15とFig.16に示す。 Fig.15から明 らかなように,陽光柱の長さを除く他のプラズマ諸量 がほぼ一定であるにもかかわらず,波長が変化してい る。また,このときもNovak定数はある範囲内に収 まっている。すなわち,Novak定数が陽光柱の長さ の減少に伴って減少するために許容範囲内に収まらな くなると,式(33)を満たすように,波長が不連続的に増 加しているのがよくわかる。 14.0