自閉症児の「心の理論」獲得に及ぼす下位認知スキル訓練の効果
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(2) する実験者の反応と誤答の例と誤答に対する実. 得の高機能自閉症児者として計7名を選定し. 験者による訓練を示す。訓練課題用の絵本を用い、. た。二次の誤信念課題の訓練に入る前に、プリ. 対象児に訓練が行われた。. テストとして、訓練用課題3課題を用い、対象. 3.結果. 児の未獲得部分を同定してから訓練を始めた。. 1) 対象児者選定のための誤信念課題の結. 果. このような二次の誤信念課題の理解を可能 にした下位認知スキル訓練の研究は見当たら. 7名の対象二者のうち、5名が二次誤信念課題. ず、下位認知スキル訓練を実施したところ、本. および理由付けの3課題を誤答した。対象者3. 研究では以下のことが明らかになった。. は二次誤信念課題3課題は正答をしたが、その. それぞれの対象児者7名に課題によって数. 二次信念の理由付けはできなかった。対象児4. は異なるが、様々な質問の訓練を行い、各課題. は二次誤信念課題のうち、1課題は正答したが、. に正答するようになった。そして、般化用課題. 理由付けができなかった。対象者7においては、. を実施したところ対象児者7名とも般化課題. 自己信念変化課題が3課題とも誤答であった. に正答することができた。. ため、訓練によって自己信念変化課題が正答で. 理由付けの言語化訓練では、個々の対象児の. きるように指導してから、二次誤信念課題を実. 認知発達の水準の違いはあったが理由付けを. 施した。. 言語化できるようになった。理由付けの言語化. 2) 対象児者7名のプリテスト・訓練・般. 訓練は、対象児の思考を促進したのではないか. 化課題の結果. と思われる。. プリテスト1では、対象児者1∼2、4∼7が. それぞれの質問のどの部分を何回訓練すれ. 質問H・N・0・P・Q・R・Sを誤答した。. ばそれぞれの質問に正答できるようになった. また、対象者3は質問Sの理由付けを誤答した。. かは、対象児ごとに異なっていた。誤答をした. プリテスト2では、対象三者1∼2、4∼7が 質問R・S・T・U・V・Wを誤答した。また、. 場合に、絵本を用いて訓練をしたことによって、. 対象者3は質問Wの理由付けを誤答した。プリ. なった。絵本を用いた訓練は、視覚的刺激を強. テスト3では、対象二者1∼2、4∼7が質問. 化することとなり、言語化の訓練に有効であっ. U・V・W・Xを誤答した。また、対象者3は. たと考えられる。また、誤信念課題に正しく答. 質問Xを誤答した。. えられることと、理由付けができることは別で. 訓練では対象三者1∼7が1回の訓練で正 答できるようになった。プリテスト1の質問. あった。理由付けできていなくても、誤信念課. 題が正答できている場合があった。そして、そ. Q・R・S、プリテスト2の質問U・V・W、. れぞれの質問を順々にしていくことによって. プリテスト3の質問W・X・Yにおいては、数. 誤信念課題ができるようになるための練習に. 回の訓練を必要とした。訓練用課題に正答でき. なっていた可能性があると考えられる。. るようになった時点で般下用課題4∼6を実. すなわち、易から難への質問の繰り返しが、記. 施したところ訓練なしで正答することができ. 憶と思考の働きを促進し、誤信念課題に正答す. た。. る認知機能を育てていった可能性がある。. 理由付けの言語化をすることができるように. 4.考察 本研究では、一次の誤信念課題・自己信念変 化課題・二次の誤信念課題を実施し、二次の誤 信念課題を通過できなかった「心の理論」未獲. 主任指導教官 藤田 二道. 指導教官藤田継道.
(3) 自閉症児の「心の理論」獲得に及ぼす. 下位認知スキル訓練の効果. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育専攻 教育臨床コース.
(4) 目 次 第1章. 序論. 第1節. ・・… 1. 「心の理論」についての研究. ・・…. 1. 第2節. 自閉症児におけるコミュニケーション障害. 第3節. 自閉症児における心の理論課題の指導と般化の問題・・…. 第2章 本論. ・・… 8. …. 9. 。11. 第1節. 問題と目的. ・…. @ 11. 第2節. 方法. ・…. @ 16. 1) 実験期間. ・…. @ 16. 2) 実験場所. ・…. @ 18. 3) 対象児者の選定及び対象児者. ・…. @ 18. 4) 実験セッティング. ・…. @ 19. 5) 対象児者選定課題・実験(指導)課題. ・…. @ 20. 6) 手続き. ・…. @ 21. 第3章. 結果. ・…. @ 57. 第4章. 考察. ・…. @ 80. 第5章. 要約. ・…. @ 84. 文献. 謝辞.
(5) 第1章 序論 第1節「心の理論」についての研究 1.チンパンジーの「心の理論」の研究 「心の理論(Theory of Mind)」に関する研究は発達心理学の領域を中. 心に行われているが、その歴史は発達心理学者によるものではなく、チン. パンジーなどの知能研究を行っていたアメリカの動物心理学者Premack& Woodruff(1978)にさかのぼる。彼らは、チンパンジーなどの霊長類が、. 例えば、「あざむき」行動のように、他の仲間の心の状態を推測している かのような行動をとるという事実に着目し、このような行動を「心の理論」 という概念で説明することを提唱した。. Premack(1978)によれば、他者の目的・意図・知識・信念・思考・疑 念・推測・ふり・好みなどの内容が理解できるのであれば、その動物また は人間は「心の理論」を持つと定義したのである。 Premack and Woodruff(1978)のチンパンジーを対象とした実験が彼ら. のいう「心の理論」という概念の基礎となっている。. この実験では、1人の人間が手の届かないところにある物品を取ろうと している場面をチンパンジーにビデオで見せ、問題の解決雪面が写ってい る写真と解決にならない場面が写っている写真を提示した。チンパンジー は解決揚面の写真を選択した。. このことから、チンパンジーはビデオ刺激上の人物が「物品を手に入れ たい」という心的状態を持っていると考え、問題解決をする行動を予測し たと結論づけれらた。. このようなチンパンジーの行動の成立には「他者の心理的状態の理解」. 囎1一.
(6) が不可欠であると考え、他者の目的・意図・信念・推測などが理解可能で あるならば、その個体は「心の理論」を持っていると考えられたのである。. 2.健常児の「心の理論」についての研究 Premack&Woodruff(1978)によるチンパンジーを対象とした研究は人 の幼児を対象とした発達心理学者達に大きな影響を与えた。. Dennett(1978)は、 Premack&Woodruff(1978)の結果を人に応用す る場合、「心の理論」を獲得していると判断できるのは、他者の行動をそ の人の誤った信念(false belief)に基づいて予測したり理解できること. であり、それ以外の場合は、他者の信念を全く理解していなくても現実の 状態や自分自身の正しい知識から人の行動が理解できると述べており、誤 った信念の理解は、「心の理論」の有無を判断するための指標と考えられ ると主張した。. Wimmer&Perner(1983)は、前述のPremackの「心の理論」の定義に 基づき、「心の理論」を構成する要素である他者の信念の理解を確かめる ために、誤った信念課題(false belief task)を考案し、健常幼児を対 象に「心の理論」の能力をテストした。. 他者の信念の理解を確かめる際の問題点は、対象者の言語反応が他者の 視点に立って他者の信念を理解したことによるものか、対象者自身の信念 で答えたことによるものか、外部からの判断が難しいことである。そこで、. 幼児自身が事実から導き出した信念とは異なる信念を他者が持っている ような課題状態で確かめるように、課題に工夫がなされたのである。. 課題の中で幼児が知覚する事実とは異なる信念、すなわち誤った信念. 一2一.
(7) (false belief)を他者に抱かせることによって、対象者の言語反応が. 他者の視点に立って他者の信念を理解したことを確かめることが可能と なるのである。. このように、他者の信念を確かめる課題は誤った信念課題(false belief task)と呼ばれ、他者の誤った信念を理解する際に必要な過程を、』. 誤った信念の帰属(false belief attribution)と呼ぶようになったので ある。. Premack(1978)の定義に基づいて「心の理論」を有するか否かを確かめ るために考案された課題を総:称して心の理論課題(Theory of Mind tasks). と呼び、その中でも「心の理論」の要素の1っである他者の信念の理解を 調べる課題を誤った信念課題(false belief task)あるいは略して誤信 念課題と呼ぶのである。. このようにして幼児の「心の理論」の心理学的研究は展開した。Premack. &Woodruff(1978)の「チンパンジーには心の理論があるか?」という議 論を出発点とし、このことを調べる実験パラダイムがチンパンジーだけで なく人間の幼児にも有効であるとDennett et a1.(1978)が提唱し、そ. れをWimmer&Perner(1983)が採用したのである。この実験パラダイム が誤った信念課題(false belief task)と呼ばれるのである。. 誤った信念課題を用いて行われた実験には前述のWi㎜er&Perner (1983>の実験をはじめ、丁目までにいくつかの実験が試みられており、以 下にそれを示すことにする。. Wimmer&Perner (1983)が子ども達に適用した課題は、短い人形劇を 子どもに見せるもので、その人形劇の内容は主人公マクシがチョコレート. 一3..
(8) を箱に隠し、遊びに出かけ、その間に母親がチョコレートを戸棚に移し、. マクシが帰ってくるというものである。ここで、「マクシはどこを探す. か?」という質問に対して5歳児は正しく「箱」と答えたが、3,4歳児 は「戸棚」と答えた。さらに「マクシが兄をだまそうとするとどこへっれ ていくか」という質問に、5歳児は「戸棚」と答えたが、3,4歳児は「箱」 と答えることが多かった。. 同様の課題にはPerner, Leekam,&Wimmer(1978)のチョコレート物 語がある。ジョンが居間の机の引き出しにチョロレートを隠し、それを母. 親が台所の戸棚に移した。「ジョンはチョコレートがどこにあると思う. か?」という質問に3歳後半で約5割、4歳前半で約8割が「机の引き出 し」と答え、正答した。また、どこを探すかという質問でも同様の結果が 得られた。. 我が国では木下(1991)の実験で、3歳で約1割、4歳で約5割、5歳 で約7割が正答した結果となっている。. これらの課題の特徴は移し替え課題(transfer task)とも呼ばれるよ うに、主人公のアイテムが、主人公が知らない間に移動させられてしまう. ことであり、子どもが目撃する客観的事実とは異なった主人公の信念を問 うものである。. 以上に示されたように、3,4,5歳児の年齢間の群間比較において有意 差が認められたことから、健常幼児の場合4歳頃から「心の理論」の根本 的概念を獲得し、誤った信念課題を通過できるようになるという知見がえ られたのである(Astington,1983)。. さらに、これまで述べてきた誤った信念の理解の過程を、客観的事実に. 一4・.
(9) ついて他者がどのように思うかを思案する、第1水準の誤った信念の帰属 (first order belief attribution)と呼ぶとすると、 Perner&Wimmer. (1985) は健常児を対象に第2水準の誤った信念の帰属(second order belief attribution)の発達について検討を行っている。. これは「ジョンはアイスクリーム屋のおじさんが公園にいると思ってい る、とメアリーは思っている」というように、第3者が客観的事実につい. て思うことについて、他者がどのように思うかを思案する能力である (Baron−Cohen,1989)。実験の結果、健常児の場合、6歳から7歳にかけ. て、第2水準の誤った信念が獲得されると言う結果が得られた。. 従ってこの第2水準の誤った信念の帰属は第1水準よりもより高い年齢 にならなければ獲得されない能力として位置づけられ、誤った信念の理解 には2つのレベルがあると考えられている。. 3. 自閉症児における「心の理論」研究. 動卿実験を奉礎に、健常幼児へと適用されてきた「心の理論」は、 Baron−Cohen, Leslie,&Frith(1985)によって、自閉症児へと適用され るようになった。. Baron−Cohen et a1.(1985)は、 Wim国er&Perner(1983)によって考. 案されたマクシ課題を改良したサリーアン課題を自閉症児に適用した。. サリーアン課題は、その後、Wimmer&Perner(1983)の課題よりも言 語的な負荷が少なく、課題が単純化されたためにより統制されている課題 として、健常児を対象とした課題にも用いられている。 Baron−Cohen et 31.(1985)の典型的な誤った信念のシナリオには2人. 一5一.
(10) の人物が登場する。その1人であるサリーが場所Aにオブジェクト、例え ばボールを隠す。サリーがいない間に他の登場人物アンがボールを異なっ. た場所Bへ移す。サリーがボールを取りに戻るとき、彼女はその場所に関 して誤った信念を持つであろう。そのとき、子どもは「サリーがボールを. 探すのはどこですか?」と尋ねられる。子どものボールの揚所に関する信 念は、ボールを最初に入れたところである。このように自己と他者が異な る信念を抱くような状況が生じるのである。子どもはボールの場所に関し て、サリーの誤った信念を理解しなければならない。そして、彼女は彼女 の信念に基づいて行動する、つまりボールが本当にある場所Bよりもむし ろ場所Aを探すことを理解しなければならないのである。. この課題を通過するために、子どもは実際ボールが場所Bに隠されてい るのだが、サリーが間違ってボールが場所Aにあると信じるであろうこと を理解しなければならない。. この研究では、自閉症児群20名を実験群とし、健常児群27名、ダウン 症児群14名を統制群とした比較研究であった。. 実験の結果、テストに合格したのは、健常児群では23名、ダウン症児. 群では12名であったが、自閉症児群ではわずか4名であった。健常児群 とダウン症児群の間の合格者数に有意差は見られなかったが、健常児群と. 自閉症児群、およびダウン症児群と自閉症児群との間には有意差が認めら れた。. すなわち、自閉症児は外界の事実についての他者信念の理解に困難を示 したのである。サリーアンチストはその後もさまざまな研究者(Holroyd&. Baron−Cohen,1993;Leekam&Perner,1991)によって追試されたが、自. 一6..
(11) 閉症児の中でこのテストに合格するものは、およそ20%から30%であっ た。. さらに第2水準の誤った信念に関しても、自閉症児を対象に行われてき ている。これは、「もう1人の他者の信念についての他者の信念」を自閉 症児が理解可能かどうか調べるものであった。Baron−Cohen(1989)は、. ダウン症児、健常児、第1水準の「誤った信念」を理解できている自閉症. 児、各10名を対象にWimmer&Pemer(1983)の課題を実施した。その 結果、健常児群の90%、ダウン症平群の60%が第2水準のテストに合格 した。しかし、その一方で、自閉症児群には合格者はいなかった。誤答と しては、「ジョンはアイスクリーム屋のおじさんが公園にいると思ってい. ると、メアリーは思っている」というよりもむしろ「アイスクリーム屋の おじさんが、現在いる教会」を解答したものが多かったのである。. 自閉症児を対象にした、これらの「心の理論」に関する実験では、精神 年齢をマッチングさせた健常児、発達障害児を統制群としている。従って、. 知的なレベルではなく、自閉症に特有な認知的障害がテストに合格できな い原因として推察されている(BarorCohen,1989)。 また、類似した誤信念課題として、「スマーティー課題」というものも作 成された(Hogrefe, Wimmer, and Pemer,1986)。この課題では、子ども. にとって馴染みのあるスマーティーというお菓子の箱を被験児に提示し、 「この中に何が入っていると思いますか?」と質問する。対象児の多くは 「スマーティー」と答えるが、その箱の中には鉛筆が入っていることを示. す。そして、箱を元の状態に戻し、「外で待っている友達はこの中に何が 入っていると思うでしょう?」と質問する。この課題は、被験児自身が持. 一7一.
(12) っていた誤信念(箱の中身はスマーティー)から正しい信念(実際は鉛筆). へと変化した経験から、他者の誤信念を推測するという課題設定であるた め、サリーとアンの課題よりも通過が容易であると考えられている。しか しながら、このようなスマーティー課題においても、自閉症児は自分自身. が持っていた以前の誤信念を答えることはできるが、一貫して他者の誤信 念を推測できないという結果が示されている(Perner, Frith, Leslie,. and Leekam,1989)。これらの研究の結果から、自閉症児においては「心 の理論」が障害されていることが指摘され(BarorC◎hen,1989a,1989b; Frith, 1989;Astington, 1993;Bar◎rrCohen et al., 1985, 1986;Leekam and Perner, 1991; Happe and Frith, 1995: Perner et a1., 1989)、 こ. のような「心の理論」の障害が自閉症の対人関係を困難にしている原因で あると考えられている。. 第2節 自閉症児におけるコミュニケーション障害 アメリカ精神医学会DSM−IV(AmericanPsychiatric Association,1994),. および世界保健機関のICD−10(World Health Organization,1987)にお いて、自閉症は広汎性発達障害(Pervasive Develo脚ental Disorders). と定義されている。自閉症診断のための必須の症状は、①対人的相互関係. の障害 ②言語発達の異常 ③反復常同行動ないし特定の物事を同じま まにしておこうとする執着的な行動、の3つの領域からとり出された症状 項目が規定された数を満たし、それが、生後3年以内に発現していること である。. このような自閉症の診断基準から、自閉症が他の発達障害(例えば、ダ. 一8一.
(13) ウン症などの染色体異常児)とは異なる臨床像をもつものであることがう かがえる。自閉症は具体的に観察される行動から診断される症候群である. ため、様々な知的水準の自閉症児が存在するρこの知的水準をIQで見た 場合も、自閉症と診断された子どもの中で、平均的な知的発達レベルにあ る子どもから重度精神遅滞の子どもまで、様々なレベルの子どもが存在す る。したがって、自閉症の中でも、このような知的発達レベルによって異 なる症状を呈することがある。また、精神遅滞を併せ持つ自閉症児でも、. あるスキル(例えば、パズルや機械的な記憶)だけは平均の子どもと同等 以上のものを示すことがあり、これも自閉症の特徴であると考えられてい る(Kanner,1943)。しかしながら、知的発達レベルが生活年齢と同等のも. のであっても、自閉症と診断された子どもにおいては認知的障害やコミュ ニケーション上の障害が指i摘されている(Rumsey,1992)。このことから、. 自閉症児への教育アプローチを考える場合、単に知的発達レベルに応じた 教育援助を行うだけでなく、他者とのコミュニケーションを成立させる援 助が重要であると考えられる。. 第3節 自閉症児に対する心の理論課題の指導と般化の問題 健常幼児や白丁症児以外の発達障害児とは対照的に、自閉症児が心の理. 論課題において低いパフォーマンスを示すことが多くの研究によって明 らかにされた。その後、1990年代に入ると、自閉症児に対して心の理論 課題を指導する研究が見られるようになった(Ozonoff and Miller,1995; Hadwin, Baron一・(めhen, Howl in, and Hi11,1996;Swettenham,1996;McGregor, Whiten,. and Blackburn,1998)。 これらの研究においては、心の理論課題を指導によ. 一9一.
(14) って自閉症児においても通過可能になることが示されている。しかしなが ら、直接指導を受けなかった別の課題には指導の効果が般化しないことも. 指摘されている。例えば、サリーアンタイプの誤った信念課題が指導によ って通過可能になっても、事後テストでスマーティー課題に般化しないと いうような結果がしめされている(McGregor et a1.,1998)。そして、. Swettenham(1996)は自閉症児には他の文脈への般化能力に問題があるこ とを指摘している。. 一10・.
(15) 第2章 本論 第1節 問題と目的 Premack&WoQdruff(1978)にはじまる「心の理論」研究は、人間を含 む動物が他のものの心をどのように理解するかについて新たな研究分野 を生み出した。他者の目的・意図・知識・信念・思考・疑念・推測・ふり・. 好みなどの内容が理解できるのであれば、その動物または人間は「心の理 論」(Theory of Mind:TOM)を痔つと定義している。. 従って、「心の理論」を獲得していると判断できるのは、他者の行動を その人の誤った信念(false belief)に基づいて予測したり理解できるこ. とであり、心の有無を判断するための指標と考えられるとした (Dennett,1978)。. そして、この「心の理論」の要因を測定するため(例えば相手がものを どのように見ているのか、あるいは相手の立場に立って物事を判断するこ とができるのかということを測定している。) Wim鵬r & Perner(1983). は、誤信念課題(false belief task)を考案し、健常幼児を対象に誤信. 念課題を実施した。この誤信念課題を通過することにより「心の理論」を 獲得していると考えられている。また、Baron−Cohen, Leslie,and Frith. (1985)は、サリーとアンという課題に改良し、自閉症児に誤信念課題を. 実施した。この課題では、被験児にサリーとアンという2体の人形が提示 され、サリーが自分のビー玉をかごにいれて、部屋から出ていく。サリー がいない間にアンがビー玉を箱の中に移してしまう。そのあとサリーが戻 ってくる。ここで被三児は「サリーがビー玉を見つけるためにどこを探す. か?」と質問される。その結果、精神年齢が4歳以上の自閉症児20名四. 一11一.
(16) 16名(80%)が実際にビー玉のある場所、すなわち箱と答えて誤答した。. このようなWimmer&Perner(1983)の課題のタイプは、一次の信念課題 と呼ばれるもので、4歳以降に発達していくことが示された。これはギA. さんが物Xが場所Yにあると思っている」という関係の理解である。 Perner&Wimmer(1985)はさらに複雑な二次の信念課題というものを作 成した。これは、「ジョンは、メアリーがアイスクリーム屋さんは公園に. いると思っている、と思っている。」つまり、「Aさんは物Xが場所Yに あると思っている、とBさんは思っている」という二次的信念理解の発達 を調べる課題であるが、これを一次の信念課題を通過した自閉症児に対し て行ったが、この課題を通過するものがいないことを明らかにした。(健 常児の場合は、児童期中期9歳から10歳に通過可能)。子安(1998)は、 二次的信念の理解は、三次的信念の理解へ、されにn次の信念の理解へと 発展し、そのことが複雑な人間関係を理解するために必要不可欠のものと なり、複雑な小説やドラマを理解する前提となると述べている。 また、子安(1998)は、Sullivan, Zaitchi:k,& Tager・Flusberg(1994). の最近の研究によるとPemer(1994)らの二次的信念課題が対象児達に 対して課題要求が高すぎると考え、物語の文章を短くし、登場人物の数を 減らし、エピソードをテープレコーダーで聞かせるのではなく、直接演じ. るなどの変更を加えたところ、6歳児でもかなり成績が向上するという結 果が得られたと報告している。さらにこの問題についてはまだデータが少 なく、二次的信念が成立する時期を明らかにする必要があると述べている。. その後の研究において、年齢以外で他者理解の発達を促す要因とは何な のかということについても調べる必要があるとされ、このような視点に立. 一12一.
(17) つた研究は、きょうだいの数(Ruffman, Perner, Naito, Parkin,& Cle搬ents,1998; Jenkins, & Astington,1996; Perner,. Ruffman,. &. Leekman,1994)や家庭での感情や思考についての会話(Brown, Donelan−McCa11, & Dunn,1996; Dunn, Brown, Slomkowski, Tesla, &. Yo脇gblade,1991)が子どもの信念理解を予測することを示した。これら の研究では、家庭での相互利用の重要性が示唆されているが、相互作用す る相手の数と質、どちらの方がより子どもの理解を促すかといった問題に ついて、より詳細に検討する必要があるとされている(園田、1999)。. 柿沼・紺野・黛・石原・森永(1998)は、「心の理論」の理解を判断す るために扱った課題は、課題内容により通過年齢が異なること(子安、. 1997)や自閉症児にとっては難しい内容が含まれていること (Baron・Cohen,1985)などから、社会的認知の発達のレベル及び、ばら. つきを捉えているとし、従って社会的認知の問題に関する臨床的なスクリ ーニングとして使用できるのではないかと述べている。紺野・森永(1997). は、LD児を対象に複数の心の理論課題を実施し、課題を通過できないケ ースの特徴について検討した。その結果、全体的な認知能力は正常範囲で あり、言語能力があるにもかかわらず課題に通過できない者がいることが. わかり、「心の理論」課題を臨床的尺度としてLD児に用いることが可能 であることを示唆した。. 健常幼児の場合には、4歳頃から誤信念課題を通過できるようになる (Perner,1991;Astington,1995)。しかしながら、自閉症児の場合に. は、MAが4歳以上になってもこの誤信念課題を通過できない者が多い。 これは自閉症児には、「心の理論」の障害があるためと説明されている。. 一13・.
(18) 自閉症児の「心の理論」の障害は改善が可能なのであろうか。この疑問 を解くために、奥田(1999)は、他者の知っていることの「推論」の基礎. と考えられている他者の見えと他者の知っていることとの関係を調べる 研究を行った。これらの研究の結果として、指導することにより自閉症児 が「心の理論」課題を通過することが可能であることを実証したが、指導 した課題で用いた実験刺激を少し変更した課題にしか般化しなかった。. 誤信念課題を通過するためには、「他者が見なかった時に起きた事柄は 知らない」ということを学ぶ必要があると思われる。しかし時系列で事柄 が進んでいくことを考えると、信念質問に正答するには単に物品が入れ替 えられる前、他者が入れた箱を記憶しておき、その箱を答えれば正答とな る。これでは、他者の心的状態を推論する必要はない。他者の心を読むこ. と、すなわち誤信課題が通過できるようにするために指導として、「他者 は見なかったから(入れ替えられたことについて)知らない」ということ を理解させなければならない。. 大六(1999)は、「心の理論」発達に障害を示す精神遅滞児に対し、種々. の「心の理論」課題を実施し、訓練によって獲得できることとできないこ とを明らかにした。この研究によると、対象児が他者の知識状態について の理解は獲得できたが、それは極めて限られた課題のみであった。他者の 行動の予測までは般化しなかった。大六(1999)の対象児は、他者の心の. 動きを推定することと他者の行動を考えるという両者が切り離されてい たために、限られた課題のみ通過となったのではないかと思われる。. また、サリヴァンとザイツックら(1994)は、バーナーらの二次的信念 課題が子どもたちに対する課題要求が高すぎると考え、物語の文章を短く. 。14一.
(19) し、登場人物の数を減らし、途中の確認質問の数をふやし、エピソードを. テープレコーダーで聞かせるのではなく直接演じるなどの変更を加えた ξころ6歳児でもかなり成績が向上するという結果が得られた。. 子安ら(1998)は、様々な課題を絵本形式にして、〈心の理解〉が児童 期にどのように発達していくかについての基礎的データを収集し、絵本形. 式の調査が子どものく心の理解〉を調べる方法として適していると述べ ている。. しかしながら、一次の誤信念課題を通過した高機能の自閉症児に、二次 の誤信念課題が解決できない場合、どのような認知スキル訓練を行えば二 次の誤信念が理解可能になるかの研究は見当たらないように思われる。. そこで本研究では、「心の理論」指導研究をベースにして、自閉症児が. 二次の誤信念課題を通過できるようになるために必要な認知条件とは何 かを明らかにする。. 目 的. 本研究の目的は、以下のとおりであった。. 個人が「心の理論」を有しているか否かを調べる誤信念課題において、 一次の誤信念課題は通過できているが、二次の誤信念課題は通過できてい ない自閉症児者に対する下位認知スキル訓練によって、二次の誤信念課題 を通過できるようにすることが可能であることを示す。. また、二次の誤信念課題における理由付けの言語化訓練が他者視点に立 つ認知的判断を促進するのかを検討する。. 一15・.
(20) 第2節 方法 1)実験:期間. 実験は、1人の対象児者につき、1回あたり30分∼1時間程度:行われた。. 実験期間は2001年6月∼11月の平日夕方および土・日に行われた。(対 象児者ごとの目程は表1を参照). 一16・.
(21) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 検査日※1. 選定日※2. 訓練日. 訓練臼. 訓練日. フォローアップ日. 対象者1. 6/17(臼). 7/29(日). 8/16(木). 9/9(日). 9/14(金). 12/9(日). 対象児2. 6/23(土). 7/8(日). 8/25(土). 9/3(月). 9/13(木). 12/2(日). 対象者3. 7/4(水). 7/29(日). 8/17(金). 12/9(日). 対象児4. 7/15(日). 9/11(火). 9/18(火). 12/2(日). 対象児5. 8/28(火). 9/5(水). 9/10(月). 対象児6. 斜/15(木). 11/22(木). 11/29(木). 対象者7. 9/22(土). 10/6(土). 10/20(土). 回数. 9/17(月). 9/25(火). 11/28(水). 11/10(土). ※1検査日には、対象者にはWA笈S−Rを、対象児にはW1SC−Rを実施。また、すべての対象児者に発達絵画語彙検査を実施。. ※2対象児者の選定を行った臼。. 表1指導期間一覧表. 一17一.
(22) 2)実験場所 実験は、対象児者の自宅において実施され、普段勉強をしている机や食:. 事をとるテーブルなどのリラックスできる場所(保護者からの情報)で実 験を行った。. 3)対象児者の選定及び対象児. 本研究の対象児は、A市内およびB市内に在住の高機能自閉症児者(C 学校における学校医による診断に基づく)7名で、一次の誤信念課題を通 過することはできるが、二次の誤信念課題を通過することができなかった. 高機能自閉症児者7名であった。なお、対象児の年齢範囲は8歳から29 歳であった。それぞれの対象児者は、小学生、中学生、大学生、社会人で あった。なお、7名全員がすべての課題に参加をした。. 対象者1は、生活年齢19歳11ヶ月でD大学E回生に在学していた。本 研究開始時、日本語版WAIS−Rを行った結果、 VIQlo7、 PIQ63、 IQ87 であった。. 対象児2は、生活年齢11歳1ヶ月でF小学校に在学していた。本研究 開始時、日本語版wlSC−Rを行った結果、 vlQ111、 PIQ94、 IQlo4で あった。. 対象者3は、生活年齢18歳7ヶ,月でG大学H回生に在学していた。本 研究開始時、日本語版wAIs−Rを行った結果、 vIQ 120、 PIQ 114、 IQ112 であった。. 対象児4は、生活年齢8歳1ヶ月で1小学校に在学していた。本研究開 始時、目下語版wISC−Rを行った結果、 vlQ115、 PIQg6、 IQlo6であ った。. 一18一.
(23) 対象児5は、生活年齢8歳1ヶ月で」小学校に在学していた。本研究開 始時、日本語版wIsC−Rを行った結果、 vlQ115、 PIQg6、 IQlo6であ った。. 対象児6は、生活年齢8歳6ヶ月で1小学校に在学していた。本研究開 始時、日本語版wlsc−Rを行った結果、 vlQg9、 PIQg9、 IQg8であっ た。. 対象者7は、生活年齢29歳1ヶ月で就職している。本研究開始時、日 本語版wAIS−Rを行った結果、 vIQg8、 PIQ78、 IQ88であった。. 4)実験セッティング 実験は、対象二者の自宅で実施された。いずれの室内にも対象児者の応. 答を記録するためのポータブルMDレコーダー、ビデオ視聴用のビデオデ ッキ(あらかじめ保護者にお願いをして、準備をしていただいているもの. で、テレビに接続されているものや、テレビデオのどちらかが使用され た。)対象三者には見えないようにカバンの中には、ポッキーの箱・クレ. パスの箱・財布と、スケッチブック2冊が用意されていた。実験場面のセ ッティングは図11と示す通りである。. 一19一.
(24) 机上には テレビとビデオ. 実験者. 対象児者. ポータブルMD レコーダー. 図1 実験セッティング. 5)対象三者選定課題・実験(指導)課題 対象児者を選定するために、「心の理論」課題3種が用いられた。第1 は「アン・サリー型の移し替え課題」(3題)で、Wimmer&Perner(1983) 及びBaron・Cohen, Leslie, Frith(1985)の移し替え課題をもとに、中野. (1999)が目本の幼児向けに作成し、志村(2000)が修正した課題「アンパン. マンとウサギさんのお話」(ビデオに録画された人形劇)であった。. 第2は「スマーティ型の自己信念変化課題」(3題)であった。第3は、. 贈20一.
(25) Pemer&Wimm.er(1983)の二次の誤信念課題をもとに筆者がオリジナル に作成した「二次誤信念課題」(6題)であった。. 第1回忌2の課題はすべて通過できていて、第3の課題が通過できてい ない高機能自閉症児者が本研究の対象者として実験に参加した。通過でき ていない第3の課題が実験(指導)に用いられた。 詳細は、以下の手続きの通りである。. 6)手続き (1)対象児者選定. 実験を実施する前に、対象児者と十分なラポートを形成するために、実 験前に一緒にゲームをやったり、絵をかいたり、雑談や世間話をしたりし て、互いに打ち解けた関係になってから実験をはじめるようにした。. ①一次誤信念課題:一次誤信念課題はWimmer & Perner(1983)及 びBaron・Cohen, Leslie,&Frith(1985)による誤信念課題がもとにな. っており、主人公1が見ていないところで主人公2が移し替え、主人 公1は品物がどこに入っているかを問う課題が基本形である。これを 基にして日本の幼児向けに修正した志村(2001)の誤信念課題(「アンパ. ンマンとウサギさんのお話」3題)を用いる。主人公1はアンパンマ ン、主人公2はウサギさんであった。課題の中で使用する品物は、ボ ール(車篇パトカー,イミテーションのバナナ)。課題毎に、アンパン. マンがはじめに品物を入れる箱と位置、及びウサギさんが入れ替える 箱と位置が異なる(位置は対象児から見た位置)。課題1 (ボール):. 左端の水色の立方体→中央の黄色の直方体、課題2(車):中央の黄色 の直方体→右端の赤い円柱、課題3(バナナ):右端の赤の円柱→左端. 一21・.
(26) の水色の直方体。物語の内容は、アンパンマンがボール(車,バナナ). を入れた後、外に出ていく。アンパンマンがいない間にウサギがボー ル(車,バナナ)を別の入れ物に移し替える。そこにアンパンマンが 帰ってくる。そこで実験者は「アンパンマンは、はじめにどの箱を探1 すでしょう?」と質問し、その後で「どうして?」と理由づけを質問 する。課題はビデオで作成されているのでモニターテレビ上に提示さ れることによって行った。(詳細は表2・3参照) ビデオを流す前に、「これからアンパンマンとうさぎさんのお話しを 見せるね。あとでいろいろ聞くからよ一くみておいてね。」と教示し、 ビデオを視聴させた。. まずアンパンマンとうさぎさんが写っている場面で静止画像にし、実 験者が対象児者に「ちょっと教えてね。」といって登場人物や品物を指 さし、同定のための質問をした。. 登場人物に関する統制質問:「これだれかな?」 品物に関する統制質問:「これなにかな?」. 正答の場合は「そうだね」という正のフィードバックが与えられた。 (統制質問が誤答の場合は、正答を教え、正答できるようにするつもり であったが、対象児者が誤答しなかったためにこの必要はなかった。) 実験者が対象三者に「それじゃ、続けるよ。よ一く見てね。」と教示し、. 再びビデオを流した。アンパンマンが品物を箱にいれて、外に遊びに行 き、うさぎさんが品物を入れかえ終わり、アンパンマンが戻ってきた時 点、つまりナレーターが「はいお話しはここまでです。」のところでビ デオを一時停止する。ここで実験者が対象児者に口頭で信念質問をした。. 。22一.
(27) これは中野(1998)の信念質問を参考にしており、対象児者が品物が隠 されている箱を探しだすという誤解をさけるため、「アンパンマンが一 番はじめに∼(物品名)を探すのはどの箱かな?」とした。. 正しい箱の色を言語で答えるか、正しい箱を指させれば正答とした。 その他の反応は誤答とした。そのあと「どうして?」という理由づけの 質問がなされた。対象児者が「わからない」という反応をするか、また は5秒ほどたっても反応しない場合は誤答とした。. 以上を1試行として、残り2つの課題(課題2・課題3)についても 同じ手続きでビデオの視聴が行われた。ただし、アンパンマンとうさぎ さんの主人公はかわらないので、主人公に関する統制質問は省かれた。. 3題の一次誤信念課題の答えは、あらかじめ作成しておいた記録表にそ の場で実験者が記入をした。. 一23一.
(28) 表2 一次誤信念課題で用いられた刺激映像について 課題. 1. 2. うさぎさんが物. 移しかえられた. アンパンマンが. ィ品. ヘじめに物品を iをうつしかえ. ボール. パトカー. ?黷ス容器. スあとの容器. 左端の水色の立. 中央の黄色の直. 羡フ. 羡フ. 中央の黄色の直 右端の赤の円柱. 羡フ 3. バナナ. 右端の赤の円柱. 左端の水色の立. 羡フ ※容器は左から順番に 水色の立方体・黄色の直方体・赤の円柱の順に 並んでいる。. 課題の内容(1,2,3で用いられた刺激映像) 1.アンパンマンがボールを左端の水色の立方体に入れた後、外に出てい く。アンパンマンがいない間にうさぎさんがボールを中央の黄色の直方体 に移し替える。そこにアンパンマンが帰ってくる。. 2.アンパンマンがパトカーを中央の黄色の直方体に入れた後、外に出て いく。アンパンマンがいない間にうさぎさんがパトカーを右端の赤の円柱 に移し替える。そこにアンパンマンが帰ってくる。. 3.アンパンマンがバナナを右端の赤の円柱に入れた後、外に出ていく。. アンパンマンがいない間にうさぎさんがバナナを左端の水色の立方体に 移し替える。そこにアンパンマンが帰ってくる。. 一24一.
(29) 表3 一次誤信念課題のシナリオ. ナレーター:「アンパンマンとうさぎさんの前には箱があります」. うさぎさんはアンパンマンのしているところを見ている ナレーター:「アンパンマンはボール(パトカー、バナナ)をもっていま す」. ナレーター:「アンパンマンは」. アンパンマン1「あとで遊ぼ一(食べよ一)」. ナレーター:「といってボール(パトカー、バナナ)をこの箱に入れまし た」. ナレーーター:「そしてアンパンマンは」. アンパンマン:「遊びにいってきま一す」. うさぎさんはアンパンマンの去る方向を見ている ナレーター:「といってお外に行ってしまいました」. うさぎさんはとことことアンパンマンがボール(パトカー、バナナ) を入れた箱に近づく うさぎさん:「今のうちにこっちの箱にい一れよ一」. ナレーター:「といってボール(パトカー、バナナ)をこっちの箱に入 れてしまいました」 ナレーター:「アンパンマンが」. アンパンマン:「ボール(パトカー、バナナ)で遊ぼ一(食べよ一)」 ナレーター:「といって帰ってきました」 ナレーター:「はいお話しはここまでです」. 一25一.
(30) ②自己信念変化課題:次に、Pemerら(Hogrefe, Wimmer,&Perner,. 1986;Pemer,:Leekam,&Wimmer,1987)によって考案されたス マーティ課題を実施する。スマーティ課題は、スマーティ(Smarties) という名のチョコレートの箱を子どもに示し、rこの箱の中に何が入っ. ていると思いますか?」と尋ねる。子どもたちの大部分は「スマーテ ィ」と答えるが、実際には鉛筆が箱の中に入っている。その後、箱を 元の状態に戻してから、「ここに何が入っていたと思いましたか?」と. 尋ねる。次に実験を受ける友達の名をあげながら、「Aちゃんは、この 中に何が入っていると思うでしょうか?」と尋ねる。この自己信念変 化課題に関する実験結果から、健常な4歳児がこなせるこの課題でも、 自閉症児は、他者の信念を推測することが困難であることが示された。. 今回は、この課題に含まれる商品名を避け、箱の中に入っていると信 じていたもの(自己信念)が誤りであることを知らせるという手続き に因んで、「自己信念変化課題」と称することにする。手続きとしては、. 対象児者に見られないように、「ポッキー」の外箱に1本の鉛筆を入れ、. 次のように2つの質問を行った。自己信念質問1:「これは何ですか?」 「この箱の中には何が入っていると思いますか?」対象三者が回答後、 「それでは、箱の中を見てみようね。」といいながら、ポッキーの箱の. 中から鉛筆が出てくるところを見せた。「何が入っていましたか?鉛筆 でしたね。」と言って内容を確認させた。表象質問:再び鉛筆をしまい、. ポッキーの箱を示しながら、テスト内容を知らない別室にいる母親を あげて、表象問題1:「それでは、(対象児者の名)くんのお母さんは この箱の中に何が入っていると思うかな」。また、その後で「どうし. 一26・.
(31) て?」と理由づけを質問する。同様の質問を財布やクレパスの箱を使 回して行った。自己信念質問2:「これは何ですか?」「この財布の中 には何が入っていると思いますか?」対象児者が回答後、「それでは、 財布の中を見てみようね。」といいながら、財布の中からボタンが出て くるところを見せた。「何が入っていましたか?ボタンでしたね。」と. 言って内容を確認させた。表象質問2:再びボタンをしまい、財布を 示しながら、テスト内容を知らない別室にいる父親をあげて、表象問 題2:「それでは、(対象児者の名)くんのお父さんはこの財布の中に 何が入っていると思うかな。」また、その後で「どうして?」と理由づ. けの質問をした。自己信念質問3:「これは何ですか?」「このクレパ. スの箱の中には何が入っていると思いますか?」対象児者が回答後、 「それでは、クレパスの箱の中を見てみようね。」といいながら、クレ. パスの箱の中から消しゴムが出てくるところを見せた。「何が入ってい. ましたか?消しゴムでしたね。」と言って内容を確認させた。表象質 問:再び消しゴムをしまい、クレパスの箱を示しながら、テスト内容 を知らない学校の先生(または兄弟)をあげて、表象問題3:「それで は、(対象二者の名)くんの学校の先生(または兄弟)はこのクレパス の箱の中に何が入っていると思うかな。」また、その後で「どうして?」. と理由づけの質問をした。. ③対象二者の抽出:上述の一次誤信念課題・自己信念変化課題を高機能. 自閉症児者に実施し、6課題とも正答した高機能自閉症児者を「心の 理論」獲得群とする。. ④さらに絵本形式の二次信念課題を「心の理論」獲得群である高機能二. 一27一.
(32) 閉症児者に実施し、誤答した高機能自閉症児者が対象となる。. ⑤二次誤信念課題:二次誤信念課題はPemer & Wimmer(1985)の 二次の誤信念課題を参考とする。訓練用課題1∼3を対象児者に実施 する。事前に読み原稿を作成し、話しの提示の仕方を統一した。読み. 原稿は、表4は訓練用課題1、表5は訓練用課題2、表6は訓練用課. 題3、表7は般化用課題1、表8は般化用課題2、表9は般化用課題 3のそれぞれに対応している。また、実験時に使用した絵の写しは付 属資料として巻末に添付している。. 一28一.
(33) 表4 訓練用課題1「アンパンマンとうさぎさんのお話し」の刺激文. ・これからアンパンマンとうさぎさんのお話しをするね。 ・あとからお話のことで○○くんにきくことがあるから、よ一くきいといてね。 いいかな。. ・これは、アンパンマンで、これは、うさぎさんだね。 ・ここは、公園で、公園にはたこやきやさんがいます。 ・うさぎさんはたこやきをたべたかったのですが、お金がなかったので、たこ やきを買うことができません。 ・うさぎさんはお金をとりに家に帰ることにしました。 ・うさぎさんは家に帰っているよね。 ・公園では、たこやきさんがどこかにいこうとしていました。 ・あんばんまんはたこやきやさんにどこにいくのときいたら、「たこやきやさ んは公園はお客さんが少ないから学校にいくよ」といいました。 ・お金をとりにかえったうさぎさんは窓の外をみていました。 ・すると、たこやきやさんが窓の外に見えました。 ・うさぎさんはたこやきやさんに、「たこやきやさん、どこにいくの」ときき ました。. ・たこやきやさんは「学校にいくよ」といいました。 ・お話しはここでおわりです。 ・それでは、今からアンパンマンとうさぎさんのお話のことで、○○くんにき くことがあるから教えてね。 ・アンパンマンは、うさぎさんがたこやきを買いにどこにいくと思っています か。. ・それはどうしてかな。. 上記のように、実験者は「アンパンマンはうさぎさんがたこやきを買いに どこにいくと思いますか?」と質問する。また、その後で「それはどうして かな?」と理由づけを質問する。. 一29一.
(34) 表5 訓練用課題2「幼稚園のお話し」の刺激文 ・これから幼稚園のお話しをするね。. ・あとからお話のことでOOくんにきくことがあるから、よ一くきいといてね。 ・これは、たろうくんで、これはお母さんです。 ・それとここは幼稚園です。 ・幼稚園の行きも、幼稚園の帰りのお迎えもいつもお母さんがきてくれます。 ・今日もたろうくんはお母さんと一緒に幼稚園までむかって歩いています。 ・たろうくんは幼稚園につきました。 ・お母さんは、「たろうくん。それじゃ帰りむかえにくるからね。」といって家 に帰りました。 ・たろうくんも「バイバイ」っていってるね。 ・お母さんは家に帰ってから、急に頭が痛くなったので、ふとんで寝ることに しました。かわいそうだね。 ・お母さんはしんどいので、幼稚園にたろうくんを迎えにいくことができなく なってしまいました。 ・そこへおばあちゃんがやってきて、これがおばあちゃんだね。たろうくんの お迎えはおばあちゃんがいくよといってくれました。. ・おばあちゃんがお母さんのかわりに幼稚園へ太郎くんを迎えにいくことに なりました。. ・おばあちゃんが幼稚園にむかって歩いています。 ・お母さんは、幼稚園の先生に電話をして、「今日の幼稚園のお迎えはおばあ ちゃんがいきます」とお母さんは幼稚園の先生にいいました。 ・幼稚園の先生は、これが幼稚園の先生です。たろうくんに「今日のお迎えは おばあちゃんがきてくれる」ことをいいました。たろうくんは「は一い」と いってます。 ・お話はここでおわりです。. ・それでは、今から幼稚園のお迎えのお話のことで、○○くんにきくから教え てね。. ・おばあちゃんは、太郎くんがお迎えにくる人のことをどう考えていると思っ ているでしょうか。 ・それはどうしてかな. 上記のように、実験者は「おばあちゃんは、太郎くんがお迎えにくる人のこ とをどう考えていると思っているでしょうか?」と質問する。また、その後で 「それはどうしてかな?」と理由づけを質問する。. 一30一.
(35) 表6 訓練用課題3「おにぎりの中身は何だろう?のお話し」の刺激文 ・今からおにぎりの中にはなにがはいっているんだろうのお話しをします。 ・後からお話について○○くんにきくことがあるのでよ一くきいておいてね。 ・まず、これがお母さんで、これがたくやくんです。 ・お母さんはおにぎりを作ろうとしていました。 ・たくやくんは、お母さんに「何のおにぎりを作るの?」とききました。 ・ お母さんは、たくやくんに「しゃけのおにぎりにしようかなあ。」といいま した。. ・ しゃけはたくやくんの大好物。たくやくんは「わ一い」といって、部屋をで ていきました。 ・でも、お母さんが冷蔵庫をあけると、しゃけはありませんでした。 ・ そこへお父さんがやってきました。. ・お父さんは、お母さんから、おにぎりにはしゃけがないのでうめぼしをいれ ることを聞きました。 ・ お母さんはしゃけのおにぎりのかわりにうめぼしのおにぎりをつくること にしました。 ・できあがったおにぎりは机の上において、お母さんはトイレに行きました。 ・その頃、学校に遅刻しそうになっているたくやくんは、机の上のおにぎりを もって急いで家をでていこうとしていました。 ・お父さんはたくやくんに「今βのおにぎりは、しゃけがなかったので、うめ ぼしが入っているよ」といいました。 ・たくやくんは、「うん、わかった」といって家をでていきました。 ・ ここでお話しはおわりです。. ・それでは、お母さんはたくやくんがおにぎりの中身のことをどう考えている と思っているでしょうか。 ・それはなぜですか。. 上記のように、実験者は「お母さんはたくやくんがおにぎりの中身のことを どう考えていると思っているでしょうか?」と質問する。また、その後で「そ れはどうしてかな?」と理由づけを質問する。. 一31一.
(36) 表7 般化用課題1「びかちゆ一とさとしのお話し」の刺激文 ・ これからびかちゆ一とさとしのお話をするね。. ・ あとからお話のことでOOくんにきくことがあるから、よ一くきいておいて ね。 ・ これは、びかちゆ一で、これは、さとしです。 ・ ここは、スーパーです。これはたいやきやさんです。これがたいやきを売る 車です。. ・びかちゆ一はだいやきをたべたかったのですが、お金がなかったので、たい やきを買うことができません。 ・びかちゆ一はお金をとりにおうちに帰ることにしました。びかちゆ一はおう ちに帰っているよね。 ・ さてそのころスーパーでは、たいやきやさんがどこかにいこうとしていまし た。. ・ さとしはたいやきやさんに「どこにいくの」ときいたら、たいやきやさんは 「スーパーはお客さんが少ないから駅前にいってたいやきをうるよ」といい ました。 ・お金をとりにかえったびかちゆ一は窓の外をみていました。 ・すると、たいやきやさんが窓の外に見えました。 ・びかちゆ一はだいやきやさんに、「たいやきやさん、どこにいくの」ときき ました。 ・ たいやきやさんは「駅前にいくよ。そこでたいやきを売っているからね、買 いにきてね。」といいました。 ・ お話しはここでおわりです。. ・それでは、今からびかちゆ一とさとしのお話のことで、○○くんにきくから 教えてね。 ・ さとしは、びかちゆ一がたいやきを買いにどこにいくと思っていますか。 ・それはどうしてかな。. 上記のように、実験者は「さとしは、びかちゆ一がたいやきを買いにどこに いくと思っていますか?」と質問する。また、その後で「それはどうしてかな?」 と理由づけを質問する。. 一32一.
(37) 表8 般化用課題2「デパートに買い物にいきますのお話し」の刺激文 ・これからデパートに買い物にいきますの話をします。 ・後からお話について○○くんにきくことがあるからよ一くきいておいてね。 ・まず、これがおかあさんでこれがしずかちゃんです。そして、これがおとう さんです。. ・お母さんとしずかちゃんは、デパートに買い物にいこうとしています。 ・お父さんは「6時に車でデパートにむかえにいくからね」といっています。 ・おかあさんとしずかちゃんは、デパートにいっています。 ・デパートについたしずかちゃんは、おもちゃ売り場をみつけていちもくさん に遊びにいきました。 ・しずかちゃんがおもちゃ売り場にいる間に、お母さんの携帯電話に電話がか かりました。 ・それはお父さんからの電話でした。. ・お父さんは吟日会社の仕事が忙しくてむかえにいくことができないんだ、 だからかわりにおじいちゃんにむかえにいってもらうよ」と電話でいいまし た。. ・それからお母さんはトイレにいきたくなったので、しずかちゃんに「携帯電 話をもっておいて」とお願いして、トイレにきました。 ・お母さんがトイレにいっている間に、しずかちゃんの携帯電話に電話がかか ってきました。 ・それはおじいちゃんからの電話でした。これがおじいちゃんです。 ・おじいちゃんは、しずかちゃんに、「デパートへはおじいちゃんが迎えにい くからね」といいました。 ・お話はここでおわりです。 ・それでは、今からデパートに買い物にいきますのお話のことで、○○くんに きくから教えてね。 ・お母さんは、しずかちゃんがデパートに迎えにきてくれる人のことをどう考 えていると思っているでしょうか?。 ・それはどうしてですか?. 上記のように、実験者は「お母さんは、しずかちゃんがデパートに迎えにき てくれる人のことをどう考えていると思っているでしょうか?」と質問する。 また、その後で「それはどうしてかな?」と理由づけを質問する。. 。33一.
(38) 表9 般化用課題3「すいとうの中身は何だろう?のお話し」の刺激文 ・今からすいとうの中には何が入っているんだろうのお話しをします。. ・後からお話しについてOOくんにきくことがあるのでよ一くきいておいて ね。. ・まず、これがお母さんでこれがあゆみちゃんです。 ・机のうえに、水筒があります。 ・ あゆみちゃんは、お母さんに「水筒には何をいれてくれるの?」とききまし た。 ・ お母さんはあゆみちゃんに「オレンジジュースよ。」といいました。. ・あゆみちゃんはオレンジジュースが大好き。「やった一」と喜び部屋をでて いきました。 ・ でも、お母さんが冷蔵庫をあけると、オレンジジュースはありませんでした。 ・ それで、お母さんは水筒には、オレンジジュースのかわりにりんごジュース をいれることにしました。. ・そこへ電話がかかってきたので、お母さんは電話にでました。 ・ りんごジュースの入っている水筒は机の上にあります。 ・友達が迎えにきたので、あゆみちゃんは机の上の水筒をもって急いで家をで ました。 ・ ここでお話しはおわりです。. ・それでは、お母さんはあゆみちゃんが水筒の中身のことをどう考えていると 思っているでしょうか? ・それはどうしてかな?. 上記のように、実験者は「お母さんはあゆみちゃんが水筒の中身のことをど う考えていると思っているでしょうか?」と質問する。また、その後で「それ はどうしてかな?」と理由づけを質問する。. 一34一.
(39) (2)下位認知スキル訓練. 下位認知スキルの訓練は、対象児者選定の後、訓練課題用絵本を用いて 個別に実施した。訓練に入る前に訓練課題用絵本を用いたプリテストが行 われ、対象児者の未獲得部分を同定し、その部分から訓練を開始した。正 答の場合は、言語賞賛をし、誤答の場合は正答を提示し、絵本のページを 戻して、ストーリーをもう一度話しながら、対象児者に再度同じ質問をす るという方法で正答できるまでこの手続きを繰り返した。. 訓練用の質問については、対象児者に訓練課題用絵本を提示し、実験者 が質問を行った。絵本を見せる前に、「あとから○○くんに聞くことがあ るからよ一く絵本を見て、話しを聞いておいてね。」と対象門下に教示し た。また質問をする際には、「はい、じゃあちょっと教えてね。」といって 質問をした。. 訓練課題における質問の一覧は、表10∼表12のとおりであった。 訓練課題:における質問は、訓練用課題1はA∼S(Sは理由付けの質問). まで、訓練用課題2はA∼W(Wは理由付けの質問)まで、訓練用課題3 はA∼X(Xは理由付けの質問)まであった。それぞれの質問一覧の後に、. 正答の例と正答に対する実験者の反応および誤答の例と誤答に対する実 験者による訓練を示す。それぞれの訓練は訓練課題用の絵本を用い、対象 丁丁に訓練が行われた。. 一35一.
(40) 表10 訓練用課題1で用いられた訓練用質問一覧. A.アンパンマンは一番はじめにどこでたこやきやさんを見ましたか? B.うさぎさんは一番はじめにどこでたこやきやさんを見ましたか? C.うさぎさんはお金を取りに行くためにどこに帰りましたか? D.うさぎさんは家の窓から何をみましたか? E.うさぎさんはたこやきやさんがどこかへいくのを見ていましか? F.うさぎさんはたこやきやさんからどんなこと(どこへいくと)をききまし か?. G.うさぎさんはたこやきやさんが今どこにいると思いますか? H.うさぎさんはたこやきやさんがどこにいったかアンパンマンは知っている と思いますか? 1.アンパンマンはたこやきを売る車がうごくのを見ていましたか? J.アンパンマンはたこやきやさんがどこへいくのかききましたか? K.アンパンマンはたこやきやさんがどこへいくか知っていますか? L.アンパンマンはたこやきやさんが今どこにいると思っていますか? M,アンパンマンはうさぎさんがたこやきやさんが学校へいくのを見たと思い ますか? N,アンパンマンはうさぎさんがたこやきやさんにあったことを知っています か?. 0.アンパンマンはうさぎさんがたこやきやさんにどこへいくかきいたことを 知っていますか? P.アンパンマンはうさぎさんがたこやきやさんはどこにいるか知っていると 思いますか? Q.アンパンマンはうさぎさんがたこやきやさんはどこにいると思っていると 思いますか R.アンパンマンは、うさぎさんがたこやきを買いにどこにいくと思っていま すか。. S.それはどうしてかな. 次に正答の例と正答に対する実験者の対応および誤答の例と誤答に対 する実験者による訓練を示す。訓練用課題の絵本を用い、対象児者に以下 のような訓練が行われた。. A.アンパンマンが一番はじめにたこやきやさんを見た場所を答える。 実験者が対象児者に「アンパンマンは一番はじめにどこでたこやきやさん を見ましたか?」と質問する。. 正答:「公園」実験者:「そうだね。アンパンマンは一番はじめに公園でた. 一36一.
(41) こやきやさんを見たよね。j. B.うさぎさんが一番はじめにたこやきやさんを見た場所を答える。 実験者が対象児者に「うさぎさんは一番はじめにどこでたこやきやさんを 見ましたか?」と質問する。. 正答:「公園」実験者:「そうだね。うさぎさんは一番はじめに公園でたこ やきやさんを見たよね。」. C.うさぎさんがお金を取りに帰った場所を答える。. 実験者が対象児者に「うさぎさんはお金を取りに行くためにどこに帰りま したか?」と質問する。. 正答:「うさぎさんの家」実験者=「そうだね。うさぎさんの家だね。」. D.うさぎさんが家の窓から見たものを答える。 実験者が対象児者に「うさぎさんは家の窓から何をみましたか?」と質問 する。. 正答:「たこやきやさん」実験者:「そうだね。たこやきやさんだね。」. E.うさぎさんがたこやきやさんがどこかへいくかを見ていたかどうかを 答える。. 実験者が対象児者に「うさぎさんはたこやきやさんがどこかへいくのを見 ていましか?」と質問する。. 正答:「見ていた」実験者:「そうだね。たこやきやんがどこかへいくのを 見ていたよね。j. F.うさぎさんがたこやきやさんから聞いたことを答える。 実験者が対象児者に「うさぎさんはたこやきやさんからどんなこと(どこ へいくと)をききましか?」と質問する。. 一37..
(42) 正答:「学校へ行くことを聞いた」実験者:「そうだね。たこやきやんは学 校へ行くということを聞いたよね。」. G.うさぎさんが思っている場所を答える。. 実験者が対象二者に「うさぎさんはたこやきやさんが今どこにいると思い ますか?」と質問する。 正答:「学校」実験者:「そうだね。学校と思っているよね。」. H.アンパンマンが知っているかどうかをうさぎさんの立場になって答え る。. 実験者が対象児者に「うさぎさんはたこやきやさんがどこにいったかアン パンマンは知っていると思いますか?」. 正答:「知っているかも知れないし、知らないかも知れない。どちらかは わからない」実験者:「そうだね。知っているか知らないかはわからない よね。」. 誤答:「知っている」「知らない」実験者:「うさぎさんが知っているか、 知らないかはわからないよね。」. 「うさぎさんは、うさぎさんの家にお金をとりに帰ったよね。その間にた. こやきやさんが学校へ行くことになったけれど、アンパンマンとたこやき やさんが話をしているのを、うさぎさんは聞いていないので、アンパンマ ンが、たこやきやさんがどこへいったかを、うさぎさんが知っているか知 らないかはわからないよね。」と言い、うさぎさんが家に帰ってる絵とア ンパンマンとたこやきやさんが話をしている絵を対象児に見せて、もう一 度質問をし、正答を引き出す。. 1.たこやきを売る車がうごくのをアンパンマンが見ていたかどうかを答. 一38一.
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● 生徒のキリスト教に関する理解の向上を目的とした活動を今年度も引き続き