兵庫教育大学 研究紀要 第49巻 2016年 9 月 pp,69 75
古代米粉の製パ ン性に関す る研究 ( 第 1 報)
Study on the Baking Properties of Ancient Rice Flours (No. 1)
前
田 智 子*
M AEDA Tomoko
薄 内 尚 子**
M IZOUCHI Naoko
森 田 尚 文***
M ORITA Naofumi
紫黒米 をは じ め と す る各種古代米 に着目 し , そ れら の生地の特性 と 製パ ン性 を調べ る こ と で , 米の加工食品への最適 な 利用方法の検索 を行 っ た。 古代米へ精白米 を併用 し た場合, 古代米粉はウルチで, 精白米粉はモチの組み合わせが, 安定 性 の良 い , 良好 な生地 と な っ た。 焼成後のパ ンで は, 米粉単独 で は, 市販強力粉の も のよ り も 膨 ら みは低下 し たが, 米粉 パ ン独特のモ チ モ チ感や し っ と り 感が認め ら れた。 組み合わせで は生地物性 と 同様に, 古代米粉はウルチ, 精白米粉はモ チ の組 み合 わせが良好 で あ っ た。 ま た , グル テ ンの併用 に つ い て は, 紫黒米 粉 ウ ルチ は, 米 粉 ウ ルチ よ り も グルテ ン添加 に よ り西発酵特性が大 き く 改善 さ れた。 物性試験では, 数値的には米粉 ウルチ, 紫黒米粉 ウルチ と も に硬 く 弾力 の強いパ ン と な っ た。 両者 と も に小 麦粉 パ ンの よ う な ふ っ く ら と し た製品 には な ら な か っ たが, グル テ ン併用 に よ り 米粉 の性質由来 の し っ と り と し た物性 のパ ンと な っ た。 し か し , 紫黒米粉 ウ ルチ への グルテ ン添加は, 米粉 ウルチ への場合 よ り も パ ンの 保存性改善効果は見 ら れず, 古代米 で あ る紫黒米粉の製パ ンには, グルテ ンは直接的 には改善効果のあ る素材で はな い こ とが分か ったc キ ーワ ー ド : 古代米, 米粉, 小麦粉, パ ン, グルテ ン K ey words : ancient rice, rice flour, wheat fl our, bread, gluten1 . は じ めに
穀類の食料自給率 の中で も米 の自給率は100% と 高い が, 小麦は13% と 低い ' )。 近年, 米の消費量が減少傾向 し て い る 中, 日本 で も 唯一の自給率100% を誇 る米 は, 古来 よ り 主食 と さ れて き た。 そ れは, 主に穀粒の状態で 加水 と 加熱 を行い, 「飯」 と し て食 さ れ, 所言育, 「粒食」 と い う 食べ方 で あ っ た。 近年 で は, 米の消費量 を上げ る と 同時 に , 低 い小 麦の自給率 を カ バ ー, 向上 さ せ る た め に, 米 を粉と し て利用す る米粉加工製品の用途拡大の方 策が と ら れてい る。 そ れに伴 い, 米粉パ ン, 米麺, 米粉 ケ ーキ な どに関す る研 究 も 増え つ つ あ る ' )。 米粉パ ンはモ チ つと し た食感 で歯 ごたえ も 良 く , 小麦 粉パ ンに比べ最終製品の水分含量が多 く , し っ と り 感が あ る と 報告 さ れ て い る 2)。 し か し , 「 米 粉パ ン」 と 表示 さ れ, 市販 さ れて い る も の で あ っ て も , 米粉 が100% 使 用 さ れて い ない も の も多 い。 明確 な配合量の表示 は ない が, 一般的 には グルテ ンが粉全体の約20%前後, あ るい は小麦粉 も 含 ま れて い る のが実情 で あ る。 こ れ ら の理由 と し て米 粉 には製パ ンに必要 な伸展性 や抗張力 を も つ グ ル テ ンが含 ま れて い な い た め , 水 分吸 収 は良 い (多 く の 水分 を必要 と す る ) も のの, 膨 ら みの悪いパ ンが出来上 が る こ と が経験的 ま た学術的 に も 知 ら れて い る 3)。 従 っ て , 米粉パ ン を調製す る た めには グルテ ン添加が一般的 に は必要 と さ れて い る。 し か し なが ら , そ れだけ で は小 麦粉 に見 ら れ る よ う な グル テ ン形成や維持 が困 難で あ る こ と も , よ く 知 ら れてい る。 グル テ ン併用米 粉 には, ミ キ シ ン グ時間 を小麦粉パ ン に比べ長時間 に す る こ と で , パ ン調製に必要 な グル テ ン 形成が可能 で あ る こ と が報告 さ れてい る 4)。 ま た, 米粉 パ ンの場合 は, 小 麦粉パ ン と は異 な り , ガス抜 き が不必 要で , よ り 短時間で 調製出来 る こ と 等 も 報告 さ れてい る 5 ) 0 著者 らは, 米粉の有効利用 を日指 し , 特に古代米に着 日 し , こ れま で に そ れ ら 単独 で の製パ ン性 を調べ て き た 6 )。 本研究 では, 古代米の性質 を よ り 詳細に調べ る た め, 各種精白米 ( ウルチ , モ チ ) と の組み合 わせに よ る 製パ ン を行 い, 米粉の製パ ン性改善に最適 な併用方法に つい て検討 し た。 さ ら に, 一般的 な グルテ ン添加 も行 い , その製パ ン性への影響 を調べ る こ と と し た02 . 実験試料
表 1 に示す よ う に, 各種古代米粉 を使用 し た。 コ ン ト ロ ールには, 精白米 の米粉 ウルチ中目 (約75オm) ・ 細目 ( 約40オm) ・ パ ン用 ( 約100オm) と 米 粉 モ チ を , さ ら に 玄米 粉 と し て, 玄米粉 ウルチ 中目 (約75オm) ・ 細目 (約 40オm) も 用 い た 。 小 麦 粉 に は市 販 強力 粉 キ ュ ー ピ ー ( 三宅製粉㈱) と 1 Cw ( 日清製粉㈱) を使用 した0 * 兵庫教育大学大学院教科教育実践開発専攻生活 ・ 健康 ・ 情報系 教育 コ ース 教授 * * 兵庫教育大学学校教育研究科修了生 * * * ㈱Fu DAI、 東洋食品工業短期大学 平成28年 4 月26 日受理前 田 智 子 溝 表 1 , 内 尚 子 実験試料 森 田 尚 文
試料
種類
品種
生産地
表記法
古代米粉
(粒径約l oo オ m) 紫黒米
赤米
緑米
モチ
ウルチ
モチ
ウルチ
モチ
産
産
産
産
産
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県
県
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庫
良
良
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北
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奈
奈
奈
紫黒米粉モチ
紫黒米粉ウルチ
赤米粉モチ
赤米粉ウルチ
緑米粉モチ
精白米粉
(粒径約100 オ m)
(粒径約75 オ m)
(粒径約40 オ m)
米粉
米粉中目
米粉細目
モチ
ウルチ
ウルチ
香川県産
香川県産
香川県産
米粉モチ
米粉ウルチ中目
米粉ウルチ細目
(粒径約100 オ m) 米粉パン用
ウルチ
香川県産
米粉ウルチパン用
玄米粉
(粒径約75 オ m) 玄米粉中目
ウルチ
香川県産
玄米粉ウルチ中目
/ 粒径約40 m) 玄米粉細目
ウルチ
香川県産
玄米粉ウルチ細目
小麦粉
市販強力粉
キューピー, 1 c w市販強力粉
3 .
3-1 .
ブ 料の実験方法
フ ア リ ノ グ ラ フ ラ ベ ン ダー社 製の フ ア リ ノ グ ラ フ に よ り 各種粉体試 ミ キ シ ン グ特性 を AACC 法に よ り 調べ た7 ) ( ) 古代米粉 と 精白米粉併用の組み合 わせに つい ては,比率を 5 : 5 , 6 : 4 ,
3-2. 製パ ン方法 7 : 3 と した(、 な お , 混合 製 パ ン試 験 は AAc c 法 ス ト レ ー ト 法 に よ り 行 な っ た 8 )。 ま た, 表 2 - 1 に示す よ う に, 各種米粉単独 に よ る製パ ンには こ れら の粉体試料 と 塩化 ナ ト リ ウ ム (和光 純薬㈱ ) , 上白糖 ( 三井製糖㈱) , ド ラ イ イ ース ト (JT フ す 合 ーズ㈱) を用い た。 一方, 古代米粉に精白米粉 を併用 る 製パ ンに は, 表 2 - 2 の A, B, C の よ う に 3 種の配 を使用 し , よ り 製パ ン性改善のために上記副材料 と , 表2- 1 . 製パ ン材料配合一
-粉
i粉
力
米
粉
米
粉
粉
強
白
米
黒
米
米
販
精
玄
紫
赤
緑
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上白糖
ドライイースト
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4
1
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表2- 2. 古代米に精白米併用パ ンの材料配合試料
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A
B
B
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紫黒米粉
赤米粉
緑米粉
塩化ナトリウム
上白糖
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ドライイースト
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*
フ ア リ ノ グ ラ フ に よ る最適吸水率 を使用 さ ら に , バ タ ー ( 雪 業㈱) を添加粉150g を加え
し た。 印乳業㈱) , ス キム ミ ルク (雪印乳 即 ち , 各種古代米粉150g に精白米 こ こ で は ウ ルチ , モ チ の組 み合 わせ を 含 み, 計10種類の併用試料 を調製 し た。 加水量は, いず れ も フ アリ ノ グ ラ フ で得 ら れた最適水分 量 と し , に 従 い行 っ た 。3-3. 保存試験
ク リ ー プ メ ー タ ー ク 後 て ち(㈱山電 RE-3305S)
を 用 い ラ ムの保存性の測定 を行 っ た。 破断試験では, のパ ンク ラ ム (厚 さ40mm X 幅25mm X 高 さ 10mm) 測定 率 を サ ン プル厚 みの50% と し 測定 し た。 , プ ラ ン ジ ャ ー No 49 ( く さ び型 ) に よ m1f で 測定速度 1 mm/sec 及 びロ ー ド セ ル20N を 測定 し た 。 テ ク ス チ ヤー試験 で は , ラ ム (厚 さ20mm X 幅20mm X 高 さ 10mm) 前報 9 て ハ°ン 焼成直 を用 い す な わ り 接触面積25 で の最大荷重 焼成直後のパ ン ク を用い て測定歪率 は20% お よ び30% と し , プ ラ ン ジ ャ ー No. 1 (円型) よ り 接 触面 積400m1f で測定速度 1 mm/sec で 最大荷重 , 集性お よ び ガム性 を測定 し 3-4. グル テ ンイ并用 の影響 米粉 と し て表 庫県産) を使用 の米粉 小麦粉 製パ ン た(、 1 に示す2006年産の紫黒米粉 ウルチ に 凝(兵
し た。 米粉の コ ン ト ロ ール と し て精白米 ウルチ (約100オm 前後) を用い た (片山製粉㈱) c には市販強力粉 1 c w ( 日清製粉㈱) には, こ れ ら の粉体試料 と グル テ ン を使用 し たc ( グリ コ 栄養 食品㈱ ) を含 む副材料 を使用 し た ( 表 2 - 3 ) 。 表 2 - 3 に示す よ う に, 市販強力粉単独 A, 米粉ウルチ単独の B, 紫黒米 ウルチ単独の C, 米粉ウルチ に グルテ ン併用の D, 紫黒米粉 ウルチ に グル テ ン併用 の E と し た。 数回の フ ア リ ノ グ ラ フ に よ る 実験 に よ り 最適 な加水 量 を求 め た 。 な お, グルテ ンの添加量 (配合比率) は, 一般的に米粉パ ンには20% 前後が良い と 報告 さ れてお り 5 ) , 紫黒米粉 ウ ルチ に お い て は本研 究予備実験 に お い て最適 と さ れた25%
も 取 り 上げた。 3-4-1 . ドウの炭酸 ガ ス発生量の測定 表 2 - 3 に示す A-E の 5 種類の生地を使用 し , スミ キ サ ー (大正電気㈱) に よ り , レ デ ィ ー 低速に て15分間混捏表2-3,
古代米粉の製パ ン性に関す る研究 (第 1 報 米粉 に グル テ ン併用パ ンの材料配合_
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では な く , 異 な る品種の組み合わせで顕著に認め ら 0 保存試験結果 古代米に精白米 を併用 し た場合のパ ンの品質結果 を表 4 と 5 に示 す。 い く つかの組み合 わせでは, 焼成当日 の パ ン ク ラ ムが軟 ら かす ぎ, ま た保存 3 日 目に おい ては硬 す ぎた為 に , 各 々測定不能 だ っ た試料 も あ る。 古代米 を含む も のは, 各種精白米粉単独, あ るいは市 販強力粉 に よ るパ ンに比べ て, いずれも 比容積は小 さ く , 有意 にパ ンが硬 く な る も のが多 か っ たが ( 表 4 ) , 外観 や内相か ら 観察 す る と , 焼成直後の紫黒米粉 ウルチ と 米 し 調 製 し た。 生 地 を20g/ 瓶 と し 10個の フ アー モ グ ラ フ ( ア ト ー㈱ AF-1101W) 付属 の試料瓶 に充填後, 盖 を し て, 30°Cの恒温水糟に設置 し た。 本体と試料瓶を ゴムチ ュ ー ブで つ な ぎ, 生地中の ト ー タ ル及 び内蔵 ガス発生量 を 5 分毎 に120分間 ま で操作 マ ニ ュ アルに従い測定 し3-4-2.
ミ キ シ ン グ後の生地の SEM の画像観察 た0 表 2 - 3 の グル テ ン を含 む試料 A と D に つい て , 3-4-1 の方法 で調製 し た ミ キ シ ン グ後の各種生地 を各約 2 g 程 度取 り , ラ ッ プで包 んだ状態の も の を液体窒素の中で急 速冷凍 し た。 こ の試料 を , 前報 9) に従い, SEM 観察用 試料 と し た。 その後, SEM (JEOL JSM6380LA) に よ り 低真空 モ ー ド (Lv ) , 加速電圧20kv , 真空度30Pa, ス ポ ッ ト サイ ズ60に て 観察 を行 っ た。 な お , 観察倍率 は500倍, 1000倍と した。
3-4-3. パ ンの比容積の測定 と 保存試験 得 ら れ た パ ンに つ い て菜 種法 に よ り 比 容積 を 測 定 し た 9)。 ま た , ク リ ー プ メ ー タ ー ( ㈱山 電 RE-3305S) に よ るパ ン ク ラ ムの保存性の測定 を3-3 と 同様に行 っ た。 3-5. SPSS に よ る解析 以上の実験 には基本的 に 3 回以上の測定 を行 っ た。 試 料間の平均値比較には多重比較の一元配置分散分析 を行 い Duncan (P < 0.05) によ り 有意差検定 を行 っ た。 デー タ ー の 集 計 お よ び 解 析 に は 統 計 処 理 ソ フ ト sPss (Version 11.0; SPSS Inc., Chicago, IL) を使用 し た。4 .
4-1 .
実験結果
フ ア リ ノ グ ラ フ 結果 古代米 に精白米 を併用 し た場合 では, 比率 に 吸水率はほぼ同程度であ っ た。 精白米粉単独の 関係 な 組み合 せで はウルチ 7 : モ チ 3 の組み合 わせが, 紫黒米粉の み合 わせ で は , ウ ル チ 7 1 ・ モ チ 3 と ウルチ 6 : ウルチ の組み合 わせが, 赤米粉の組み合 わせで は, モ チ 5 1 ・ ルチ 5 と ウルチ 6 : モ チ 4 組み合 わせが安定性 も 良 く く わ 組 4 ウ , 弱化 度 も 低 く 安定 し た生地形成 と な っ た ( 表 3 ) 。 各種 数値か ら , 上, 安定性 特 古代米粉 に よ る生地は精白米粉 よ り も 見かけ に優れかつ生地の力 も 強い こ と が推察 さ れた。 に そ の傾向 は, 互い に同 じ品種 ( ウルチ同士, モ チ同 粉 モ チ , 赤米粉 ウルチ と 米粉 モ チのパ ン た生地のパ ンに な り , 且つ も つち り と 好 で あ っ た。 こ の傾向は, 表 5 に見 ら し れ では し っ と り し た感触 も あ り 良 る凝集性の高 さ か ら も 推察 さ れ る。 し か し , 表 4 に示す保存試験 では紫黒米粉モ チ と 米粉 ウルチ, 赤米粉モ チ と 米粉 ウルチ, 緑米粉モ チ と 米粉 ウ ルチ では, 0 日目の最大荷重の値が1.48~ 2.89 と 軟 ら か く 3 日目 も4.07~ 5.68 と な り , 軟 ら か く 凝集性に優れて お り 保存性に優れてい た。 紫黒米粉ウルチ と 米粉 ウルチ, 赤米粉 ウルチ と 米粉 ウルチ では 0 日目の最大イ荷重は1.56~ 4.74 と 硬いパンと なり , 更に 3 日目では9.28~ 14.21 と
非 常 に 硬いパ ン と な り あ ま り 良好 で は な か っ た。 パ ンの 膨ら みは緑米粉モチ と 米粉モチが最 も大き い膨 ら みと な っ た(表4 )。
4-3. グル テ ン添加の影響 4-3-1 . ド ウの炭酸 ガ ス発生量の測定結果市販強力粉100% ,
紫黒米粉 ウルチ75 % 米粉 ウ ルチ80% と グルテ ン20%
と グルテ ン25 % の各種生地か ら の ス発生量 を フ アーモ グ ラ フ に よ り 測定 し た ( 表 6 ) 。 販強力 粉は他試料 と 比べ ガス発生量, 内蔵 ガス量 と も ガ 市 に・
有意 に多 い結 果 と な っ た。 測定開始120分後の ガス発生 量 で は紫黒米粉 ウル チ に グル テ ン を添加 し た も のは, 紫 黒米 ウルチ単独の も の よ り 有意 に 2 倍以上の ガス発生量 で あ っ た が, 米 粉 ウルチ に グル テ ン を添加 し た も の と 米 粉 ウルチ単独では, 総 ガス発生量, 内蔵 ガス量 と も に有 意差は な く ほぼ同程度であ っ た。 米粉 と 小麦粉混合生地 では米粉単独や小麦粉単独での生地よ り ガス発生量は多 い と 報告 さ れて い る も の も あ る が'°), 本研究の結果では 異 な っ て い た 。 従 っ て , 生 地の西発酵特性 に おけ る グル テ ンの添加効果は, 精白米粉よ り も古代米粉であ る紫黒 粉 に お い て有意 に良好 で あ る こ と がわか っ た。 米 4-3-2. ミ キ シ ン グ後の生地の SEM の画像観察結果 市販強力 粉100% と 米粉ウルチ80% と グルテ ン20%併 用 に つ い て , ミ キ シ ン グ後の各 々の生地の SEM 観察結 果で あ る (写真 1 ) 。 市販強力粉100% では, 生地中の澱 粉粒子はイ申展性 のあ る グル テ ン組織に囲 ま れてい たが,6c L 0 ) LC (=Y) (Y) ・ ・ l
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表4 .
古代米粉の製パ ン性に関す る研究 (第 1 報 古代米に精白米粉併用パンの比容積および破断試験結果 米粉 ウル チ に グル テ ン を添加 し た も のは , 試料 米粉モチ 米粉ウルチ中目 米粉ウルチ細目 米粉パン用 0日 0.54 1.16 0,65 0.57 最大荷重 (N) a ab a a 3日 1,22 1 ,82 0.93 0,97 a ab a a 比容積 (cm°/ 1.48 1.78 2,18 2.93 玄米粉ウルチ中目 玄米粉ウルチ細目 0,69 1.16 a ab 0.49 1,75 a ab 2,27 2.05 紫黒米粉モチ+米粉ウルチ 紫黒米粉モチ+米粉モチ 2.89 d 測定不能* 4,07 0,90 bed a 1.09 1.16 同 じ で あ っ たので , し か し なが ら , あ っ た。 こ の結果は, 生地 紫黒米粉ウルチ+米粉モチ 1.88 紫黒米粉ウルチ+米粉ウルチ 4,74 0 e 測定不能** 14,21 f 1.03 1 .00 赤米粉モチ 十米粉ウルチ 赤米粉モチ+米粉モチ 1,56 be 測 定不能* 5.68 d 2,87 abc 0,93 1.26 赤米粉ウルチ+米粉モチ 赤米粉ウルチ+米粉ウルチ 1.85 1.56 o ho 測定不能** 9 ,28 e 0.99 1 .05 に分画 し , 再度, こ れら し た場合に , も と の オ リ を集 め て再構成粉 に よ り 脂質等 製パ ン ジナ ル な小 麦 粉 に よ る 製パ ン 緑米粉モチ+米粉ウルチ 1.48 be 5,41 cd 1.11 緑米粉モチ+米粉モチ 測 不能* 1 ,01 a 1 .53 市販強力粉 0.99 a 1,08 a 3.88 は全 く 同 じ 結果 を示 さ な い と い う こ れま で の報告 '') も 繋が る も の と 考え ら れた。 Duncan で有意差検定 を行 っ た。 同列 で異 な る文字 を持つ値は互いに有意差 があ る * 0 日 で はパ ン が軟 ら か過 ぎ た為 に測定不能 で あ つ** 3
配合 日 で はパ ン が硬過 ぎ た為に測定不能 で あ つ は表2- 2 の通 り た (古代米粉150g : 米粉150g)。 表 5 , c (P<0. 05) 。 たc なお, 紫黒米粉 を含む生地の形態につい ては観察 を行 っ たが, 精白米粉に よ る生地形態よ り も , さ ら に不十分 な グル テ ン形成 で あ っ た た め , こ こ には載 せ て い な い 。 精 白米 よ り 生地形成 も古代米には外皮の分散の多 い こ と が不十分 な に 素 が っ た と 思 わ れ る が, 古代米 に精白米粉併用 パ ンの テ ク ス チ ヤ一試験結果 既 述 の グル テ ン と の試料
最大荷重 (N)
凝集性
ガム性荷重 (N)
0日
3日
0日
3日
0日
3日
米粉モチ 米粉ウルチ中目 米粉ウルチ細目 米粉パン用1
,27
0
,63
1
,80
0
,59
b
b
a
a
a
a
1
,17
3
,78
1
,36
2_12a
a
a
a
0
,85
0
,86
0
,86
0
,87
d
d
d
d
C C C Cb
b
b
b
0
,86 ab
0
,87 ab
0
,87 ab
0
,44 a
1
,08
0
,55
1 .54
0
,51
b
a
a
a
a
1
,00
3
,30
1.19
1
,05
b
a
a
a
a
玄米粉ウルチ中目 玄米粉ウルチ細目1
,24 ab
2
,35 abc1
,18 a
4
,23 a
0
,84
0
,86
ab bcd0
,57 ab
0
,86 ab1
,04 a
2
,00 ab0
,75 a
3.61 ab 紫黒米粉モチ+米粉ウルチ 紫黒米粉モチ+米粉モチ6
,78 e
測定不能*14
,41 b
4
,24 a
0
,78
a
測定不能*0
,54 ab
0
,84 ab5.30 d
測定不能*7.04 be
3.38 ab 紫黒米粉ウルチ+米粉モチ 紫黒米粉ウルチ+米粉ウルチ5
,06 do
5
,48 de 測定不能**0
,91
0
,86
d
bed 測定不能**4.65 d
4.74 d
測定不能** 赤米粉モチ 十米粉ウルチ 赤米粉モチ+米粉モチ3
,41 bed
測定不能*14
,15 b
14
,75 b
0
,85
bo
測定不能*0.83 ab
0.78 ab2.89 bed
測定不能*11.73 d
11.31 ed
赤米粉ウルチ+米粉モチ 赤米粉ウルチ+米粉ウルチ4.53 ode
14
,40 f 測定不能**0.82
0,90 ab ed 測定不能**3
,71 ed
13.13 e 測定不能** 緑米粉モチ+米粉ウルチ 緑米粉モチ+米粉モチ4.46 cde
測定不能*11.81 b
2,41 a
0.87
bcd
測定不能*0
,84 ab
0,95 b3
,85 cd
測定不能*9
,95 cd
2.30 a Duncan で有意差検定 を行 っ た。 同列 で異 な る文字 を持つ値は互いに有意差 があ る * 0 日 で はパ ン が軟 ら か過 ぎ た為 に測定 不能 で あ つ * * 3 日 で はパ ン が硬過 ぎ た為 に測定不能 で あ っ た。 配合は表2- 2の通 り (古代米粉150g : 米粉150g) 。 トー (P<0. 05)。 た0 表 6 . 米粉に グルテ ン併用生地の フ ア ー モ グラ フ 結果ル ス (mi) ス (mi) スi ・ (mi) 加水率 (%)
試料 40 80 120 40 80 120 40 80 120 ル テ ンに 巻 き 込 ま れ て い る と い う よ り は , リ ッ ク ス に埋没 し てい る形態 が観察 さ れ, 澱粉粒子が グ グル テ ンマ ト 良好 な生地形 成がみ ら れな か っ た。 米粉は ミ キ シ ン グ時間 を長 く す る こ と に よ っ て グル テ ン形 成 が増 す こ と が報告 さ れ て い る が 4), 本研 究 で は小 麦粉 お よ び米粉の ミ キ シ ン グ時間は 小麦粉成分 を炭水化物, ミ キ シ ン グ時間の影響は わか ら ない。 の形態 と し て両者はま っ た く 別物で 蛋白質, と に 米粉ウルチ 米粉ウルチ+グルテン 紫黒米粉ウルチ 紫黒米粉ウルチ+グルテン 市販強力粉 24.3 23,6 b b 10,3 a 45,2 70,9 G d 1 1 5 2 5 6 7 9 1 1 4 4 2 0 5 1 1 b 67.9 b 70.0 a 49.2 c 162.8 d 230,7 b b a c d 2 7 0 7 5 3 2 0 0 8 2 2 1 4 6 b b a e d 4 7 4 4 9 2 4 9 5 4 4 4 2 8 4 1 b 59.5 b 64.3 a 46.8 c 127.6 d 214,7 b b a e d 1 9 3 5 4 1 0 0 4 2 a 3.8 a 2.4 a 0.1 b l 5.8 a 6,6 a 8,4 a 5,7 a 2.4 c 35.2 b l 5,9 a a a c b 0 4 0 8 9 8 7 8 6 6 Duncan で有意差検定 を行 っ た。 同列 配合 で異な る文字 を持つ値 は互いに有意差 があ る (P<0. 05) 。 は表2- 3の通 り (米粉ウルチ80%+ グルテ ン20% 、 紫黒米粉ウルチ75%+グルテ ン25% ) c
表 7 , 米粉 に グル テ ンイ并用 パ ンの破断試験結果 試料 米粉ウルチ+グルテン 紫黒米粉ウルチ+グルテン Duncan で有意差検定 を行 っ た。 同列で異な る文字 を持つ値は互いに有意差 があ る (P<0. 05) 。 配合は表2- 3の通 り (米粉ウルチ80% +グルテ ン20% 、 紫黒米粉 ウルチ75%+グルテン25%) 。
試料
前 田 智 子 構-
.・i ◆-
,
i-
-
1日 1.933 1 ,238 b a 2日 2.733 5,943 a b (cm°/ g 1.63 1 ,46 b a 内 表 8 . 米粉に グルテ ン併用パ:取
E(N)
尚 子 森 田 尚 文 を添加 し たパ ンでは1.46 グ ル テ ン 結果 と な ( cm3/g)
に対 し , を添加 し たパ ンで は1.63 (cm3/g)
米 粉 ウ ル と 若干大 り 有意差がみ ら れた。 い ず れ も グル テ ン し た場合の結果 で あ るが, 凝集性につい ては保存 関わ ら ず両者に有意差は見 ら れなか っ た。 し か し , テ ク ス チ ヤー試験 のい ず れに お い て は紫黒米粉 ウルチ で , 米粉 ウルチ よ ンの テ ク ス チ ヤ一試 験結果 も , 焼成後 1 を 日 チ に き い 添加 数に 破断, 日 目 で り も 有意 に軟 ら かいム
E(N)
1日
2日
1日
2日
1日
2日
米粉ウルチ+グルテン
紫黒米粉ウルチ+グルテン
4
,367 b
1
_705
a6.167
a11
,953 b
0.835
0
,969
a a0.830
0
,895
a a3.645 b
1
,637
a5.113
a10
_452 b
Duncan で有意差検定 を行 っ た。 同列で 配合 は 異な る文字 を持つ値は互いに有意差があ る (P<0. 05) 。 表2- 3の通 り (米粉ウルチ80%+グルテ ン20% 、 紫黒米粉ウルチ75%+ グルテ ン25% ) 。グルテン
澱粉粒子
市販強力粉100%使用
(表2- 3, A)
米粉ウルチ80%+グルテン20%使用
(表2- 3, D)
写真 1 . グルテ ン併用生地の ミ キ シ ン グ直後に おけ る SEM 写真 不十分 な混合状態につい ては精白米, 古代米の種類に関 係 な く 考 え ら れ る も の と 思 われ る。 4-3-3. パ ンの比容積 と 保存試験結果 米粉 ウルチ80% と グルテ ン20% パ ン, 紫黒米粉 ウルチ 75% と グルテ ン25% パ ンの比容積 と 保存試験の結果で あ る ( 表 7 , 8 ) 。 比容積で は紫黒米粉 ウルチ に グル テ ン澱
粉粒子
グルテン
パ ンで あ っ た。 2 日日 に な る と , 両者は逆転 し , 紫黒米 粉 ウルチ で , 米粉 ウルチ よ り も 有意 に硬いパ ンと な っ た。 従 っ て, 紫黒米粉への グルテ ン併用は精白米粉よ り も保 存性改善 には効果が低い こ と がわか っ た。 米粉 を混合 し たパ ンの テ ク ス チ ヤーは保存 中に硬化 し やす い こ と が報告 さ れてい る が'°) , 特 に外皮成分 を多 く古代米粉の製パ ン性に関す る研究 (第 1 報 含む紫黒米粉ではその傾向が強い こ と がわか っ た。 本研 究 に よ り , グル テ ン添加 に よ る 良好 な 製パ ン性 は得 ら れ なか っ た。 一方, 米粉単独で のパ ンはべ つた り と し た品 質 で あ っ た のに対 し , 小麦粉パ ンま で には至 ら なか っ た が, グル テ ン添加 に よ り 若干 膨 ら み も あ る , し っ と り と し たパ ン と な っ た事 が特徴 と し て見 ら れた。 し か し なが ら , その特性 を物性試験の測定値 と し て明確に得 る こ と はで き なか っ た。
5 . 結論 と 考察
古代米粉単独で は小麦粉パ ンのよ う にふ っ く ら と 弾力 のあ るパ ンは調製出来ず, こ の結果は, 精白米粉で も 同 様で あ っ た。 し か し , 米粉パ ン独特のモ チ モ チ感や し っ と り 感 が認 め ら れた。 組 み合 わせ で は フ ア リ ノ グ ラ フ の 生地特性か ら も , 古代米はウルチ で , 精白米はモ チの組 み合わせが各々良好 で あ っ た。 ま た, 米 粉に グルテ ン を添加 し た場合 に も , 生地形態 は市販強力 粉 よ り も 良好 と は な ら ず, 単 に グル テ ン添加 だけ では米粉の製パ ン性改善は望めなか っ た。 一方, 西発 酵特性は, 紫黒米粉 ウルチ が米粉 ウルチ よ り も グル テ ン 添加に よ り 大 き く 改善 さ れた。 物性試験では, 数値的に は米粉 ウルチ , 紫黒米粉 ウルチ と も に硬 く 弾力 の強いパ ンと な り , 両者 と も に小麦粉パ ンよ り も品質は低下 し た が, グルテ ン併用に よ り 米粉独自の し っ と り と し た物性 のパ ン と な っ た。 し か し , 紫黒米粉 ウルチへの グル テ ン 添加は米粉 ウルチへの場合 よ り も , パ ンの保存性改善効 果 は認 め ら れ な か っ た。 従 っ て , 古代米 で あ る紫黒米 粉の製パ ンには グル テ ン は直接的 に改善効果のあ る素材ではない こ と がわか っ たc文献
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