早期対象関係と自我の発達障害およびその回復 : 養育家庭委託児と施設児のロールシャッハ・テストの結果の分析を通して
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(2) 溝田. 124. close. object. were. observed. to. coming. environments. tant. in. are. that. in. The. of children. parents. each. with mental. the. vitb. their. parents. are. by. object to. more. the. in. reations. important. provide. development. ego. there. close. retardation. objects protective. institutions.. than. absence. of. an. It is impor-. from. still possibilities of recovery. childhood. possible from. separately. because. foster. to. regard. relations. is disturbed. also that. and. subsequent. analy2:ed other,. Presumably. in. lacking. fairly good. with. development. ego. di鮎rences. children. for children's. suitable. retardation. were. of children. infancy. early. scores. of foster. scores. those. 捷之. families. Little. ow・n. the institutions.. therefore,. objcet. the. the. and. which. submitted,. their. between. their early infancy before. in. relations. 華子・小川. psycbotic the. of the. rest. may. object relations. disturbances. inherited being. been. their. compared. subjects,. have. from. affected. by. the. only latent. disorder.. は じめに. 1.. S. Freud. 人間の発達に関する考え方の基盤ほフロイド. (1905,. 1920,. 1923)に見出され. る.彼は家族内対象関係として父我との関係を中心に理論を構成したが,死後に出版され (1940)の中でほ,母親が「両性にとっての人生におけ た最晩年の論文「精神分析概説+ る最初にして最強の愛情対象(丘rst. and. strongest. love-object)であり,また,その後の. すべての愛情関係の原型となるものであって,全生涯を通じて比類のない不変で独自の関 係なのである+と述べている。次に自我発達の点から注目すべき理論ほエリクソソE.H・ Erikson. (1973)の「自我同一性+. (ego identity)の考え方である。彼ほ人間の成長・発達. の予定されたプログラムを想定し(『漸成原理』 (epigenetic principle),各段階に伴う危槻 を克服することによって,一定の自我の資質を獲得すると述べている。彼ほ最初の段階に (basic trust)であるとし,母親を中心. おいて獲得されるべき自我の資質は「基本的信頼+. とした対象関係と自我の資質の発達の関係を明らかにしている。自我と対象との関係での 研究でほ,後に生後1年間にわたる乳幼児の直接観察から,母子関係が子供に有害な精神 Spitz (1963)や,第二次世界大戦中の疎開児や戦災 的影響を与えるとしたスピッツR.A. 孤児の研究から,実証的に母性剥奪(maternal ∫.Bowlby. (1951, 1969,. 1973,. deprivation)\の概念を提唱したボウルビィ. 1980),そして彼の研究を再検討し,母子間の情緒的きず. な(bond)の形成が乳幼児の正常な発達にとって最も重要であるとするラタ(1972,. M.Rutter. 1981)の研究や,また子供と母親の共生関係から子供が分離し,自分自身になっ. ていく過程を乳幼児の観察から細かくとらえたマーラーM.. S. Mabler. (1975)の研究があ. る。. また現実の母親個人を超えた母親イメージを考えるユングC.G.Jung. (1937)の立場か. らほ,母親に投影される母親元型が,母栽に権威を与えるとしながら,そうした幼児的空 想が発達する基盤についてほ,母親の側に障害の原因を見出している。 フロイドの対象関係的側面を受け継いだクライソM.Klein(1957)ほ,乳児の最早期の 発達を,フロイドとほ異なり,乳児自身の内的世界での発達としてとらえる。ガソトリッ.
(3) 早期対象関係と自我の発達障害およびその回復 プH.. 125. Gtlntrip(1971)は,タライソの理論における人間の発達初期の心的生活の本質につ. いて,それは「空想の内的世界の発達であり,この世界は実際に対象関係で,しかも母親 に中心をおく物的環境を形成している,現実の対象の世界と自我の関係ほ対をなしてい る+と述べている。クライソの研究によると,乳児ほ3,4ヵ月ごろに,対象を良い乳房と 悪い乳房という両極端に分裂させる傾向があり,それを促進するものが,被壊的な死の本 能とそれに基づく不安であって,その時期の自我とその対象は分裂(splitting)によって特 徴づけられるのである。. 1歳前後になると,乳児ほ分裂した対象を1人の母親の中で,結. 合し始め,この時期に白我は対象との間に抑うつ不安を経験するという。彼女のこの立場 はフェアパーソW.氏.D.Fairbairn,ウィニコットD.W.Winicott,ガソトリップに継承 され,展開していく。. フェアバーソ(1954)によれば,自我ほ本来対象希求的で,外的対象である母親-の依 存欲求を動機として対象を認識していぐという。彼の考え方によって最早期の対象関係を 考えると,次のようにみることができる。 「乳児ほすぐに不満足な母親体験に出会い,実 生活での悪い対象としての母親が,その母親をコソトロールをしようとする努力の中でま ず内在化される。しかし,母親ほその全体が悪いわけではないので,不満足な母親ほ内在 化された後に,よい母親と悪い母親に分裂する。そして通常は,よい母親ほ実際の外的な 母親に再び投影し返される。. --内的世界でほ悪い対象ほひき起こされた憎しみゆえによ い対象に対する脅威となる。 --悪い対象そのものも,内的対象として興奮させる対象 (exciting objcet)と拒絶する対象(rejecting object)とに分裂する。+この対象が自我を 刺激するため自我の分裂が起こり,興奮させる対象に対応する,渇望し,望み続ける乳児 的なリビドー自我(infantile libidinalego)と,拒絶する対象に同一化する,否定的で敵意 に満ちた乳児的反リビドー自我(antilibidinal ego)に分裂する。しかしこの時期によい体 験を通じて理想的な母親像が形成されると,これに対応する外界順応的な中心自我(central. ego)が,構造的に否定的な自我の上位に確立され,それによって自我の統合がなしと げられる.もし母親像の分裂状態が続き,この統合がなしとげられない場合,自我わ分裂 状態が精神病理的特徴として現れる。すなわち最早期およびそれに続く早期幼児期の数年 間の対象関係もまた満たされない状態が続くときには,のちの人間関係に深刻な障害が起 こるという。換言すれば,早期対象関係が満たされないものであったとしても,その後対 象関係に改善がみられた場合には,中心自我の確立により,人格発達の障害の回復がみら れると言われている。. 小児科医であったウィニコットは,子供の対象関係が内的なものから外的なものに移行 していくプロセスに注目している。彼ほその著書『子供と家庭-その発達と病理』 (1965) の中の「最初の1年目+という論文の中で,. 「母親をしてこの傷つきやすい時期の幼児を守. ってやるように仕向け,母親をして幼児の発達への欲求の役に立たせるようにする+重要 なものの存在に言及し, 「母親は,ふつう安全感をもつことができれば,つまり幼児の父 親や家族との関係で祝福されていると感じ,さらにほ家庭外にいる幅広い人たちに受け容 れられていると感じることができれば,以上のような役割を全うすることができる+と述 べている。また「母親と赤ん坊の最初の関係+の中においてほ,母親の側の乳児に対する.
(4) 溝田. 126. 同一視「母親の原初的没頭+. (primary. 華子・小川. 捷之. maternal. preoccupation)が,母親に育児の上で誤 りを犯さない能力を与えるとしている。こうした母との一体の状態の中で,子供の自我は. 母から強力な支持を受け,自分自身になる過程を歩むという。早期段階におけるほどよい 母性機能について,彼ほ次のように分類している。 す(handling),. (1)抱っこする(holding),. (2)あや. (3)対象になる(object-presenting)。抱っことほ,彼によれば,その時. 期に必要な母性的養育全体をさすのである。まずい抱っこ(faulty 強い不安を引き起こし,. holding)は幼児の中に. 「バラバラになる感じ,奈落の底におちる感じ,外的現実は何の. 役にも立たない感じ,その他一般に『精神病的』といわれるような不安+の原因となると いう。. 彼はさらに,子供がぬいぐるみや毛布などに愛着を示す現象に着目し,. 「移行対象+. (transitional object)という概念を導入している。この移行現象との関係について,彼ほ. 「その対象ほ,本能的に愛することからも,憎むことからも,草た,もしそれが特質を備え たものであれば,純粋な攻撃からも生き残らなければならない+とし,また「その対象は, 徐々に心的エネルギーの備給が撤去される運命をもっている. ・--つまり健全な発達にお いて,移行対象ほ"内側に入る”こともないし,それに対する感情が抑圧される必要もな い+としている。川上(1984)ほ,移行対象について「こうした対象物とのよい体験ほ, 子どもに全面的な満足を与える。またこうした対象物ほ,もし,子どもが,それを自分に とって悪い存在とみて,思いどおりに攻撃や憎しみをむけようとするならば,それもその 「子どもの内的 まま可能にしてくれるという性質をもっている+とし,そうした経験は, 対象世界を保護する一方で,子どもの心を,外的対象関係ヘスムーズに導いていくことに. なる+と述べている。そして,この「移行対象関係論は,クライソやフェア/i-ソが,関 係する『対象の内容』,つまり対象認識による対象像の形成といった側面を強調したのに. 対し,対象との『関係の内容』,つまり対象をとり扱う際の関係様式の側面を強調したも の+としている。ウィニコットによれば,母親の役割は子供にこうした経験を十分にさせ. るような条件を保証するところにあるといえよう。 2.研究の目的. 自我の発達について,早期の対象関係が重要な意味をもつことば,とらえかたのちがい はあっても,ほぼ一致した見解であるといえよう。不幸にして早期に満たされた対象関係 が形成されなかった場合,あるいは依存対象を喪失した場合,子供の自我発達に重大な障 害が起こることが推定される。本研究でほ,主として,対象関係の形成維持の観点から, これを検討した。また成長の過程における対象関係の改善,依存対象の再獲得が障害から の回復をもたらすか否かを併せて考察する。そのために,早期対象国係の形成について条 件の異なる子供たちを選び,それぞれの群の自我発達の特徴を検討した。 良い対象国係を形成し,それを維持していくためには,まず人間あるいは外界に対する 安心感がなければならず,他の人に対して興味をもち,また共感することができ,広く現 実を把握する力と,コミュニケ-ショソを楽しむことのできる知性と柔軟な態度に恵ま れ,対人関係の中で起こる葛藤を処理する強靭さを備えている必要がある0.
(5) 127. 早期対象関係と自我の発達障害およびその回復 基本的安全盛 (自我境能先達の母体) 一次不安 不. 安. 受動的支配性 自我防衛. と. 情緒の統合性. 現実吟味. 能・動的支配性. 自己寛現. 自我懐能発達の図式(Elopfer). これを自我の機能に即して考えれば. (i)基本的安全感 (並)人間に関する適切な関心と共感性 価. 知的水準の高さ. (iy)事物や事態を的確に把握し,それを全体的に組織化し錬合する力 (Ⅴ)危機に陥ったときに回復する柔軟性 ということができよう。. 3.方法と手段 クロッパーB.Klopfer. (1954)は,自我心理学の観点から,ロールシャツ-反応の仝カ. テゴリーを総合的に検討している。健康な自我機能の発達段階について,河合(1969)が 述べるとこ′ろにしたがい,クロブパーの自我機能の発達の図式を寵明する。自我機能発達 の母体として基本的安全感があり,それほ母親の胎内で安全に保護されているのと同様の 安全感であって,母親またはその代理者(mother substitute)によって与えられる.基本的 安全感がみたされない場合,自我が著しく歪んだものとなり,治療,矯正もほとんど不可 能にちかくなる。新生児は外界の刺激からは保護されているが,空腹感,排便の感じ等か らの「1次不安+を経験する。この不安は外界の働きかけによって解消するが,このこと から次の段階として受動的支配性(passive. mastery)を獲得し,そのことが,外界認知の mastesting)の機能の発達を促し,さらに能動的支配性(active ための現実吟味(reality tery) -と発展する。その現実吟味の過程で経験する不安に対処するためにほ,子供ほ母 萄や家庭の安全感の中に逃げ込むか,防衛の機制を発達させていくo基本的安全感が満た され過ぎているとき,子供は現実吟味や能動的支配性を発展させられない。また安全感が あまりにも欠けている場合にほ,歪んだ自我防衛の機制が強くなって,建設的な自我の発.
(6) 溝田. 128. 華子・小川. 捷之. 準がとめられることになる。 現実吟味の機能の発展とは別に,情緒の統合性(emotional. integration)の問題がある。. これは自我が次第に分化されていくとき,自我が一つの有機体として統合性をもつことで. あり,その中で心的エネルギーがスムーズに流れる状態である。自我機能の発達ほ,ある 一つの統合性が被れ,新しい組織へ再統合されるというプロセスを辿る。この統合が被れ る際に,基本的安全感が不十分であると,自我防衛に頼ることになり,自我の発達は歪ん だものになる.自我防衛に用いるエネルギー量と情緒の統合性のために用いられるそれと. は,逆の関係にあり,一方に多く用いられる場合,他方に用いることのできるエネルギー 量は少なくなるという。そして現実吟味の能力,情緒の統合性もともに高い程度に達した とき,はじめて自己実現の動きが生じてくる。. 2において述べた,対象関係の形成および鮭持に必要と考えられる自我機能を,クロッ パーの考えかたにしたがい,ロールシャツ-反応のカテゴリーに関連させて検討してみる と,それぞれの自我機能の発達を示す指標は以下のように考えることができる。 (i)の基本的安全感についてほ 濃淡反応(Fc)の数と質の高さ (ii)の人間に対する適切な関心と共感性については 人間運動反応(M)の数と質の高さ 人間反応(H)の率と質の高さ (ii)の知的水準の高さについてほ 全反応(TR)の平均形態水準の高さ 伽の事物や事態を的確に把握し,それを全体的に組織化し結合する力については TRの平均形態永準の高さ, M反応の数と質. 全体反応(W)-の数と質の高さ 反応の多様さ(A,. Ad,. 班, Hd以外の反応). (Ⅴ)の危機に陥った′ときに回復する力については 制勧の型 色彩ショック,および濃淡ショックの有無とそれからの回復 これらの自我機能の発達が,それぞれのカテゴリーとどう関連するかについての詳細ほ. 省略するが,必要に即して,. 5-(2)において述べる。. 4.研究の対象. 早期対象関係の形成差を考えて, (i)養育家庭委託児(以下委託児という) (ii)施設児 ㈲. 一般家庭児(以下家庭児という) の3群を対象とする。.
(7) 早期対象関係と自我の発達障害およびその回復. 129. 《(i)養育家庭委託児について》. 表1養育家庭委託児の委託前の生育状況. 養育家庭制度とは児童福祉法第23. 委託前生育状況t委託時年齢l人 ]遺伝負因. 粂の里親制度にもとづいた東京都の 制度で,養子縁組みを前提とせず, 「養護に欠ける児童に個別的処遇を 与えるため,家庭での養育が望まし. い児童に期間を定めて里親に委託 し,専門性をもった養護施設との協. ア. (-). イ. (十). *. ウ. (-). 乳幼児施設. エ. (+). 乳幼児施設. オ. (-). 家庭環境(士). カ. (-). 家庭環境(士). している。. 被検著として,養育家庭委託後5 **. 年以上を経過した小学5年以上中学 3年までの委託児を選んだ。これら の委託児の生育史を調べ,遺伝負因. 葦董 33:66S***. 働のもとで養育する+ことを目的と *. 数. 委託時4歳末清の場合,乳幼児施設を経験していな い者は2名である。数が少ないため,特にそれまでの 生育環境による分類の必要を認めなかった。. ・現在乳幼児施設の在籍年齢の上限は3歳。最近ほ入 所者数が減少してきたため, 3歳未満で養育家庭に委 託される子供の数ほ極端に少ない。このため人格発達・ 初期の調査としてほ高すぎるが, 4歳という年齢区分 になった。. の想定される者[遺伝負因(+)]と. ***被検者35名中2名は乗児で,遺伝負因の有無が不FB. そうでない者[遺伝負因(-)]とを. のため,除外した。. ****(ウ)-(カ)の児童は,いずれも学齢までに費育家庭 に委託されている。 男女比:男20名 女15名 年齢構成:小5-5名 小6-12名 中1-14名 中2-3名 中3-1名. 区別し,さらに早期対象関係を,坐 育環境から推定し,その緊密さの度 合いにより6常に分けた(表1)。 [遺伝免囚(-)]のもの 委託時4歳未満. c#?. -Aグループー. 委託時4歳以上. ーBグループー. [遺伝負因(十)] Cグループ. Aグループ:. 家庭環境(±). -(9). 同. 上. 乳幼児施設. -(*). 同. 上. 家庭環境(-). のもの. (j),(i) (jj群はごく幼い時に依存対象を失ったが,早い時期に再獲得していると考 えれば,自我の発達障害の回復の可能性は最も高い。帥群ほ家庭環境か らみて,最早期にほ緊密な対象関係の形成が可能であったと考えられる。 依存対象の襲央の影響ほ免れないが,最早期の対象関係障害でほないの・ で,再獲得により,自我障害の影響は対象児童申最も少ないとみることが できる。両群を1グループとして考察する。. Bグループ:. (9)群, (j])群ほともに委託前の生育状況から,緊密な対象関係の形成は困簸 であったと考えられる。厳密には障害の起こった時期を特定できない場合 もあるが,いずれにしてもAグループに比戟して,自我の発達障害が大き. いことが推定される。 Cグループ:遺伝負因の範囲,およびそのあつかいかたについてほ考えの分かれるとこ.
(8) 溝田. 130. 華子・小川. 捷之. ろである。本研究に関してほ,対象関係の成立の可能性および関係の質が 問題になる。子供の側に対象関係の形成を阻む要因が存在する場合を考え 合わせ,記録上遺伝負因の存在が疑われる者ほすべて,このCグループに 1. 含めた.同様の条件の施設児との比戟を行う。 -. 《(註)施設児について》 東京都の養護施設の中から下記の3施設を選び,. (i)の委託児の年. 齢相当の児童40名を被検者として選んだ(表2)0 施設にも個性があり,生育条件として等しいとほ言えないが,家庭生活とは本質的に異 なっており,家庭との対比でほ施設間の差異ほ無視して差し支えないと考える。. 和田の報告(1979)によれば,中卒者の転職率に関して,都立施設と民間施設の間に差 がみられ,前者のそれほ後者の2倍以上にのぼるという。この理由ほ,報告からは明らか でほない。転職ほ,劣悪な労働条件によるところが大きいが,その他に人間関係の脆弱さ に由来する場合も多い。公立の施設と民間の施設では,入所児童の対象関係形成に差を生 む要因が存在する可能性もあるが,本研究でほそれを断定することはできなかったo 表2. 施設名 所在地. 活. 形. 態. l. T学園(私立). 1. 60名. s学園(都立). c学園(私立). 150名. 100名 中 舎 利 15名前後 5歳児一高校生 幼児寮は別. 舎 制 6-8& 幼児一高校生 小. 周辺部に近い. 23区内. 周辺市部. 23区内比戟的*)♭に近いl. 定員l 生. 施設児の生活環境. 舎 利 15名 5歳児一高校生 幼児寮ほ別. 中. 1寮を二つに分け. 通常生活単位7-8名 指 体. 導 制. 食事l. 担当指導員 保 母. 寮単位で用意. 施設児を生育史によって, 表3 遺伝負因. チ. (-). ク. (-)_. ケ. (-). コ. サ. (-) (十). シ. (+). ス. ■(+) (+). セ. 担当指導員. 1名 1名. 保. 母. .乳幼児施設 乳幼児施設. 担当指導員 保. 母. 2名 4名. 寮単位で用意. 朝昼は食堂,. 8群に分けた。結果を表3に示す。. 施設児の入所前の生育状況 入所前生育状況. 2名 4名. ′. 対象関係・ 人数 (-)-. 7(2)*. (土). 3. 家庭 家庭. (-). 8. (土). 9. 乳幼児施設. (-). 3. 乳幼児施設. (土). 3. 家庭. (-). 2(1)*. 家庭. (士). 3・ 38**. *知能永準を(ii)に一致させるためIQ 80未 満は除外する。括弧内ほ除外者数。 **対象児40名中2名ほ置き去り児で,遺伝 負因の有無が不明のため,除外した。 ※対象児の選定ほ画一的なものにしたいと いう施設側の意向が強く,学年を基準に したため,施設生活経験年数には2年か ら13年の開きがある。しかし,生育史を 調べると,家庭生活経験年数と対象関係 形成とは一致していない。家族との関係 は指導員や保母の話から,総合的に判断 した。委託児も同様にした。生育史は, 全員テスト施行後に聞いた。 男女比:男25名 女15名 年齢構成:小5-10名 小6-9名 中3-1名 中1-13名 中2-7名.
(9) 131. 早期対象関係と自我の発達障害およびその回復. A', (i)と対比させ,対象関係形成の可能性により,. 8群を遺伝負因の有無により二分し, B',. C',の3グループに分けることができる。. 「遺伝負因(-)]のもの -A'グループ. の, (コ). -B'グループ. (#), (F). [遺伝負因(+)]のもの (”),(.>),t7),(it). C'グループ. A'グループ:珍)ほ乳幼児施設入所以来,. (=)群ほ養護施設入所以来,親ないし肉親の面. 会が続いているので,密接な対象関係を持っている1t考えることができ る。 B'グループ:. (#)秤,(F)群は対象関係の形成が困難であったと考えられる.. C'グループ:遺伝負因(+)の4群を一括してC'グループとする。 《(ii)-般家庭児について》. (i), (ii)の対象関係と自我発達もしくほ発達障害との関係の対 Dグループとした。. 比をさらに明確にするために,家庭児12名を選び,これを統制群とし,. Dグループは,養育家庭認定基準にあてほまる東京都内の家庭の,主として公立小学校5 年以上中学2年までに在学する児童を選んだ。 男女比:男5名. 女7名. 年齢構成:小5-4名. 小6-3名. 中1-1名. 中2-4名. 5.結果および考察 (1)各グループの印象 くAグループ)養育家庭への委託が4歳末滞の児童5名中施設経験者3名,. 4歳以降委. 託の児童4名中施設経験者3名。このグループの子供たちほ,概して里親の家庭になじん. でいる印象が強い。おおむね健康に育っているように見受けた。盗み等の非行が問題にな っている児童が1名あった。. くBグループ)養育家庭-の委託が4歳以降学齢までの12名中,乳幼児施設経験者6毒 負,養護施設経験者(4歳以降入所) が,. 6名。非行,コミュニケ-㍗. 6名の児童にあっ′た.子供の印象は一定しないo. l名を除き,. る被検者であった。防衛手段は多様で,大ほしゃぎ,異様な甘え,. ヨソの発しさ等の問題. 防衛の固させ感じさせ 強い警戒心,情感のな. い話し方,手応えのなさ,冷たい感じ等がみられた。. (A,グループ)乳幼児施設経験者4名,学齢前養護施設入所者4名,車齢後. 名oこのグループには,テスト中の態度から,攻撃性が明らかな被検者6名見 I. 図版を拒否した被検者1名ほ,言語,表情にほ反抗的なところほみられないが,動作でテを ス・ト-の拒否感を表していた.委託児中3名がテストに対して拒否的であったが,いずれi. も拒否を言語で表現することができていi=。このグループ申2名については. が,残りの10名中には手応えの感じられない児草はいない。. くB'グループ)乳幼児施設経験者5名,学齢前入所者3名,学齢後入所者5名。印象は.
(10) 渡田. 132. 捷之. 華子・小川. A'グループの全図版を拒否した. かなりばらばらである。全図版を拒否したものは1名。. 児童と異なり,態度からは攻撃性は感じられない。グループ中3名については印象は不明 である。残り10名中4名ほ関係がとりにくい。宕ほするが,奇妙ななれなれしさ,表情と. Bグループと共通点がみられる。. ほ全く違った感じの若かたなど,. くCグループ)遺伝負因といっても-様ではない。テストに拒否的な児童3名中2名は 非常に衝動的な感じを受ける。つながりをもてない児童1名,ひどく甘える児童1名を除 いて,日常生活にほ適応しているように見受ける。 くC'グループ)分裂病の遺伝負因が5名にある。防衛が今にも被疑しそうなあぶない 感じを受ける児童1名,ひきこもってしまう児童1名の他は,人間関係の距離の取れない 児童が多いという印象である。 (Dグループ)小学校高学年から中学校にかけての年齢相応に,全員礼儀正しく,ある 程度の距離をもっている。関係の取りにくさを感じさせる児童は2名であった。特になれ なれしい児童ほいない。. (2)ロールシャツ-反応の分析 《遺伝負因(-)グループについて》 自我の健康な発達の基準として,全反応の平均形態水準1.00を判定基準とし,それ以上 の平均形態水準値を示した者のみを対象に分析を試みた。 A, A', B, B', Dグループ中でそれぞれのカテゴリーに対し反応を示した被験者の数お よぴカテゴリー別の平均形態水準は表4に示すとおりである。これらについて,委託児群 と施設児群,および早期対象関係(±)群と(-)群の2通りの分類により,反応者数を 表4 A N-9 TR-AFL. Fc反応. M反応. H反応. W反応 Non Non. A反応 H反応. ど-AFL. A' N-12. グループ別反応者数および平均形態永準 B N-12. B' N-13. C N-12. C'. D. N-10. N-12. 8. 6′. 8. 4. 6. 3. 10. (1. 37). (1.05). (1.05). (o.86). (0.94). (o.81). (1.38). 7. 5. 5. 2. 2. 1. 8. (1.50). (1.50). (o.71). (1. 38). (o.44). (o.71). (1.43). i. 5. (2.5..) (1.53). 3. 2. 3. 4. 9. (1.38). (1. 20). (0. 86). (1.23). (2.19). 7. 6. 4. 2. 4. 3. 8. (1. 68). (1.39). (1.35). (1. 34). (1.08). (1.00). (1.74). 7. 5. 5. 3. 4. 3. 9. (1. 37). (1.09). (1.04). (0. 91). (o.91). (o.81). (1.38). 7. 7. 8. 6. 5. 3. 10. (2. 28). (1.94). (1.90). (1.40). (o.92). (o.99). (2.14). 6. 6. 6. 4. 5. 2. 9. (1. 12). (o.90). (0.96). (0.75). (o.91). (o.74). (1.16). 括瓢内は平均形態永準. 判定基準 TR-AどL. ≧1.00. 主反応≧1. 主反応≧1. 主反応≧1. W-AFL. ≧1. 00. 主・付加反応≧1. ど-AFL. ≧1.00.
(11) 早期対象関係と自我の発達障害およびその回復 表5. 群別反応者数および平均形態水準. ENA-B21 A'B'AA' N-25N-21. BB' N-25. 161014. TR-AFL. 133. (1.21)(0.96)(1.21). .ND=12判定基準. 12. 10.. (o.96). (1.38). 128T128T8 (1.ll)(1.44)(1.50)(1.05)(1.43). Fc反応. TR-AFL≧1.00. 主反応≧1 9. 主反応≧1. ・反応(1.869)(1.737)l。1チ写8)(1.52,,† (2.19). 主反応:≧1. H反応(1.852)(1.837)-(1チ533)(1.635)*(1.874) 9. w反応(・1チ…1). (1.8.o)†l(1チ…3)。..8,8)千. NonA反応15. 13*. NonH反応(1.51) FIAFL. W-AFL≧1. (1.38). 1414. (1.37). 10. (1.53)(1.34). 12. 10. 12. 10. (1.04). (0.83). (1.01). (o.86). 括孤内ほ平均形態水準. TP. <. 10. 主付加反応≧1. (冒.14) 19. F-AFL≧1.00. (1.16). *P <. 05. 整理した結果,およびそれらの平均形態水準を表5に示す。 委託児群および施設児群間にほ, Fc, W,反応を示した者の数に関して有意差がみられ, Fc, M,. 早期対象関係(±)群及び(-)群間にほ,. 班, W反応を示した者の数について,. 有意差がみられた。 (i) Fc反応. Fc反応ほ,クロッパー(1954)によれば,. 「愛情欲求の認知と受容を示している。その. 愛情欲求は,承認,所属,他人からの反応を求める際に経験したもので,受動的な感じを もっているが,身体接触の欲求を越えた,洗練されたもの+である。河合(1969)は,. 「自. 我機能の健全な発達の基本となる安全感,およびそれと対極をなす不安の問題を,最もよ. く反映するものとして濃淡反応をあげることができる。このことは,濃淡の感じが一種の "淳触感q. をひきおこし,その接触感が人間の基本的な情緒の安全感への欲求を刺激する. という点にある+としている。 表4の示すところによれば, 水準も高い。 ほ,. A',. Fcほ,. Aグループ,. Dグループに多く出現する上に,形態. B'グループでほ形態水準ほ高いが,出現率ほ低い。グループ全体として. Fc反応とは親和性が低い.。またこのスコアほ表8の濃淡ショックとも関係がある。. Fcについて限界検査が徹底していなかったため,. Bグループの濃淡ショック(-)が,シ. ョックに対する防衛か否かを明らかにすることができなかった。表8の示すところから考. えると濃淡ショック(-)ほ防衛の硬さを暗示するといえよう。. Fc反応の数および質から. 考えると,濃淡に対する感受性にほ最早期の対象関係が大きく影響し,. 4歳以降に依存対 象を再獲得しても,基本的安全感を手に入れることほ困難であることが推定される。 (ii) M反応およびH反応.
(12) 溝田. 134. 華子・小川. 捷之. (a) M反応について,河合は「①運動感覚の投影をする点から,自分の内的資質を自由 ③高度の知覚を ②人間像を認める点からは,他人への共感性, に働かせる想像性,また, 必要とする点からは,高い現実吟味の能力,の3点をそなえている反応として,自己実現 「M反応に示 わ動きを反映しているものである+としている。またクロッパーによれば, される想像過程は,内的安定性による適応の助けとなっているo緊張を生じたとき・自己 の内部に退き,無制衛な衝動性をさけることができる内的素質を示している+のであり, 「一種の内的な意識的価値体系を示すoそれによって人は自己の行動を制卸し,満足を導 普,あるいほその充足を延期する+というoさらに「人間像をみる能力ほ,他の人とよい. 共感関係をもつ能力と関係がある+とも述べているo .. M反応数は表6に示すとおりで,形襲水準の平均には付加反応を含んでいるo 表6 A N-9. 主 反 応. 数. A' N-12. TR-AFL. 応. 数. B' N-13. B N-12. C'. C N-12. D N-12. N-10. 18. 30. 10. 1. 14. 8. 8. 6. 4. 4. 1. 3. 4. 2. 付加反応数. 平均形態水準1. 反. M. 1.89. 1.33. 1. 34. 1.16. I 1.23. I 1.34. 38. I 2.08. ≧1.00. M反応ほ人間に対する共感性,内的安定性等の自我の機能の重要な要素と関係が深いた め, TR平均形態水準1.00未満も含めて全被験者について検討するo 5グループ58名中,付加反応も含めてM反応が全くなかった児童の数は次のとおりで ある。 A:1. B:5. A':4. B':7. D:1 A,. DグループがM反応の出現率,形態水準共に高い。平均形態永準からほ,. Dグル. M反応を示した者の数および反応総 Fcと同様に最. ープとその他のグループとの間に大きな差がある. D, A, A'グループにM反応のスコアが高いo 数のいずれから考えても,. 早期の対象関係と深く関係した目標であることがうかがわれるo. A'グループでほ9偶の. M反応を示した被験者が1名あり,グループの反応総数が多くなったoしかしこの被験者 を除いても,グループ全体としてM反応との親和性があるといってさしつかえないoマ イナスの反応ほB'グループに1個見られたのみである。全体にM反応の形態水準は高い ということができる。 (b) H反応は,人間反応であるが,運動を伴わないところから,. M反応にくらべて,戻. 応者の自我関与の程度が低く,対象である人間との距離が大きいといえる。 数,形態水準ともに,. M反応にくらべて,各グループ間の差が少ないo. H反応ほ, M反応,. H反応. をいずれも示さない被験者の数ほ次のとおりである。 A:0. ち:0. A':2. B':1. Bお ̄よぴB,グループの児童にとってほ, がありはしないか。それに比してD,. D:1. H反応ほ,. M反応に代わるものとしての意味. A'グループ中で,外面的には早期に緊密な対象関.
(13) 早期対象関係と自我の発達障害およぴその回復 M反応,. 係の経験が推定される条件下で, 障害を暗示するとも言えよう。. 135. H反応をともに示さないことは,自我の重大な. M反応,. H反応をいずれも示さない被験者についてほ硬. い防衛が疑われる。 Aグループには,このような防衛を示す児童はいない。被験者数が 少ないための偏りとも考えうるが,希望的には養育家庭として委託を受けて子供を育てよ うとする里親の,意識的な子供への関わりのプラスの効果とも考えることも可能であろラ. か。本調査のみでは断定しえないことではあるが。 (in)全反応TRの平均形態水準 自我の健康な発達の基準としての知的機能と現実を手巴擾する適切な態度をみる指標とし て,反応全体および反応の質の高さによって,グループごとの特徴を調べるo TR平均形態水準1.00は,図版の特徴を普通の意味で静的に正確にとらえていることを 示す。本研究ではこれを自我発達の最低基準とした。 TR平均形態水準1. 委託児群: AA'群:. 00以下の児童は. 施設児群: 60.0%. 23.8% 33.3%. BB'群:. 52.0%. 平均形態水準1.00未満の被験者についてほ反応の種類,質ともに貧困な場合が大部分をし めている。. 各グループの形態永準の最低は次のとおりである。 A:0.90. B:0.79. また表4の示すとおり,. B':0.50. A':0.75 D,. D:0.91. Aグループとそれ以外のグループの平均形態水準値にほか. なりの開きがある。形態水準の表す自我機能の発達については,満たされた早期対象関係 の形成とともに,その後の生育環境での対象関係の緊密さという要因が関係していること が示唆される。 Bグループでほ4歳以降の対象関係の経験によって発達障害の回復がみら れたものと考えることができる。 (iv) W反応および反応の多様さ(A,. Ad,. H,. Hd以外の反応). TRの平均永準とM反応については前述のとおりである。 (a)クロッパーほW反応を,イ■ソクプロットの各部分の綻合によってなされるものと 大ざっばな未分化なものとに区別しているが,イソクプロットの構造からの期待値および 標準値として,. W/10-セソトは20-30の範囲であるとしている.高形態水準のW反応ほ. 観織化への関心とその能力の指標であり,. W反応が30パーセント以上で高形態水準であ. る場合, 「自己の経験の比較的分離した面を,互いに関係づけ,全体としてみることに興 味をもち,またそれができる人である+と述べている。. また中塚の報告(1963)によれば,施設児はDdパーセソトが高く,それは身近なことを 処理する能力ほあっても,時間的,空間的広がりをもった部分の統合に欠けるという施設. 児の特徴と一致するという. これに対して,本研究でははるかに高いWパーセソトを得た。施設児のW反応の形態 水準は委託児に比して低いが,同じグループの中ではWパーセゾトの高い被験者の方が 平均形態永準が高い結果が出ている。本研究に関するかぎりでほ,未分化Wな反応ほ少 ないといえよう。.
(14) 136. 華子・小川. 溝田. 捷之. ≧50の被検者数は次のとおりである。. W% A:8. B:5. A':7. B':8. D:11. 計39名(73.6%). (被検者総数58名中5名ほ拒否図版数が多いためスコアの計算ができなかった。) またこれを形態永準からみると, A:4. B:1. A':1. W-AどL. ≧1.50の被検者数ほ次のとおりである。. B':0. D:4. 計10名. このうちWパーセントが50%未満の群に属する者ほBグループの1名のみであり,高形 態水準の者の90%が高いWパーセソトを示している。 各グループ別の平均形態水準ほ表4のとおりである. プが低い.. A',. D,. Bグループ間にほほとんど差ほみられないo. Aグループが高く,. B'グルー. BグループはAグル∴プと社. 会生活上の経験の差ほほとんどないはずであるが,時間的,空間的広がりをもった部分の 統合力にほ差が見られる。この原因としてほ,. B特有の防衛である「ひきこもり+を疑う. ことができる。この「ひきこもり+は乳幼児期の満たされない対象関係からの防衛手段と A'グループほ防衛として「ひきこもり+を用いる して,用いられたものと推測される。 ことほないが,施設という環境から生じる経験の限界や視野の狭さが影響しているものと 考えられる。 ㈹. 経験の分化,統合の能力ほ,反応内容の豊かさを前提にしている。反応内容の豊か. さの桔梗として,本調査ではH,Hd,A,Ad以外の反応をとり上げた。これらの反応の反. 応数と平均形態水準ほ,表4に示すとおりである。反応内容の豊かさば主反応の種類の数 ではなく,一つの反応に多くの内容を盛り込むことである。従って主反応と付加反応の合. 計により比戟をおこなった。反応数においてほ,. Dグループをのぞき,それほど差はみら. れないが,平均形態水準値を考慮に入れると,予想どおり,. D,. Aグループが最も反応が. 豊かである。実際のテスト場面でほ,スコアの数字以上に,経験の内容のちがいおよび経 験を主体的にとらえていく能力の差を感じさせられた。 反応内容の豊かさについても,. D,. A,. B'グループはW反応と同傾向を示しているが,. A'グループとBグループでほ順位が入れ替わっている。これほ反応内容が物事を個別的 に把握する能力を反映するのにひきかえ,. W反応は全体を統合するという,より高次の自. 我機能と関係していることを示しているためであろう。. に把擾することば可能であるが,統合していく力に欠け, しい。. Bグループは経験内容を個別的. A'グループほ経験そのものが乏. B'グループほ経験の乏しさに加えて統合力が育っていないため,. A'グループと等. しい経験をしても,同じレベルまで,これらを自我に統合し自分のものにしていくことが 難しいことを示している。 (Ⅴ)制卸の型,色彩ショックおよび濃淡ショックの有無およびその回復 (a)クロッパーは, とし,. 「制御の概念ほ,生活場面-の一般的な適応の効果の基準である+. 「現実場面のさまざまな危険を避け,また自分の要求を満足させるための有効な方. 法を発見するためにほ,彼の行動そのものも,またその衝動を行動に表すときの表し方も 十分に制御しなければならない+と述べている。しかし「制御力の強すぎる人ほ,過制止. のために基本的欲求を満足させることができず,潜在的創造力を発揮できない+のであ り,適切な制御の可能性をみることが必要となる。.
(15) 137. 早期対象関係と自我の発達障害およぴその回復. 河合(1957)にしたがえば,制衛の型は次のように分類される。 基準: FC>(CF+C)およびSumC>1 ① 社会的制御 この関係を満足するときほ,社会に受け入れられるような感じかたや行動がで き,しかも情緒的な接触が可能である。 ② 内的制御 基準: M≧FM+mおよびM≧2 この関係を満足するときほ,情緒的な刺激に対して,反射的に反応せず,自分を 適応させていくのに十分な内省力をもつ。. ③. 孤立的制衛. 基準:. Fc+c+C'≧FC十CF+C. この関係を満足するときは,情緒的な刺激から自分を瓢立させ,外界との情緒的 な接触をさせることにより,無制勧な行動をおこすことをさける。. ④. 収縮的制御. 基準:. A%≧65およぴF%≧65. この関係を満足するとき,感情や,情緒そのものの収縮により,無制御な行動を おこすことをさける。 ⑨,. ①, ②ほ望ましい制徹の型であるが,. ④ほあまり望ましくない型である。この基準に. より,各グループの制卸の型を検討した結果が表7である。 表7 A N-9. 内的制御. A' N-12 1. 孤立的制御. (33.3). C' N-10. D N-12 2. 5. (38. 5). 3. (25.0). 1. (7. 7). 3. 4. (33.3). (7. 7). 4. (33.3). 2. 1. 1. 2. (16.7). 3. (25.0) (16.7). (ll.2). C N-12. (16. 7). 2. (16.7). 3. 収縮的制御. B' N-13. 1. 4. (44.4). B N-12. (8. 3). (ll.1). 社会的制御. 制御型不明. 制御の型別の反応者数. (25. 0). 6. (46.1). 1. (8. 3). 1. (10.0) 1. 5. (41.7). (10.0). 1. (8. 3). 4. (33.3). 2. (20.0). 5. (41.7). 4. (33.3). 6. (60.0). 2. (16.7). 括孤内ほパーセソト. 制細の型にも,これまでに明らかになった傾向が見出される。すなわち,. D,. Aグルー. プにほ望ましいとされる内的制御ないし社会的制御が多くみられる。両グループとも孤立 的制御はみられるが,収縮的利和はみられない。. A'グループとBグループの差ほ,内的. 制勧の有無と,孤立的制御,収縮的制御の出現率のちがいに現れている。これを差がある. とみるか,ほとんど差がないとみるか,判定が発しいが,利和型不明の被験者もかなりの 数に上っているため,この両グループの差ほ,この資料からは判定困難と言わねばならな B'グループに関しては制御の型が不明の被験者が半数をしめている。これらの者ほ制. い。. 勧の破綻を示していると考えられる。. (b)濃淡ショック,色彩ショックの有無および回復. 濃淡ショック,色彩ショックについてほ,結果を表8,泰9に示す..
(16) 溝田. 138. 表8. 華子・小川. 捷之. 濃淡ショックの型別の反応者数. AA'BB'CC'D,. ショック回復N-9・N-12N-1.2N-13N主12N-10N-12 9. (-)731712. (-)ill 1. (士)ll. (十)Ellll 不叫ll・L131. ・l■1. (.-). l4・1ll. (土) (+). 2. 1.-l2 2. (十)llI2212 不明 lllll l. 不明. 2 1. (十) 全図版 拒■香 TR-AどL. 回. 復. (-). A N-9. 2. 2. 色彩ショックの型別の反応者数 B. A N 5. (-). 1■1. plll. ≧1.00. 表9 ショック. 2. 1. ・Ll. ノ亡. 1. 1. B' N-13. N-12. 12 1. 1. 3. 1. C N-1. 2 4. C' N-10 2. 2 1. (士). 1. (士) (十) 不. 1. 明. (-). 1. 1. 1. 2. 2. 2. 3. 2. 3. 1. 2. 1. 1. 1. 2. 2. 2. 1. 1. (士). 1 5. (+) (+) 不 不. 明. 叫. 硬い防衛. 2. (+). 2. 全図版. 1. 拒 TR-AFL. 2. 否. ≧1.00. 1. 2. 2. D N-12.
(17) 139. 早期対象関係と自我の発達障害およびその回復. ショック(-). ①. ショックを示さないもの:. ②. 多少のショックがあったとみられるもの. ショック(±)のもののうち. ショックからの回復がみられないもの:回復(-) 多少の回復がみられるもの:回復(±) 回復がみられるもの: 回復(+) 不明. 回復の有無が不明なもの:回復 ③. ショックが明らかにみられるもの. ショック(+)のもののうち. ショックからの回復がみられないもの:回復(-) 多少の回復がみられるもの:回復(±) 回復がみられ ̄るもの: 回復(+) 回復の有無が不明なもめ.・回復 ④ ⑨. 不明. ショックがあったかどうかが不明なもの. 掛、防衛を示すも?のうち. 不明. 態度等から判断できるもの:. (十). 全図版拒否 以上の12のグループに分かれた。ここにおいて顕著な特徴は,濃淡ショック,色彩ショ ックのいずれも示さない者が,. Dグループに続き,. Aグループ,. Bグループの委託児群に. 多かったことである。情緒的経験の機会が多いことが推定される。 (3)全体的考察 ロールシャツ-テストのスコアによる分析の結果ほ以上のとおりであるが,全体的にみ. た,それぞれのグループの自我発達もしくはその発達障害およびその回復の状態について 再度まと■めてみる。 Aグループ:. ①. 最早期に母親の死,あるいは親から養育を拒否されるという乳幼児にとっては致命. 的な体験をしているが,その後比較的早期に家庭環境を得て,依存対象を獲得したグルー プと,. ②. 最早期の対象関係(±)で,その環境喪失後,. 4歳以後6歳までに養育家庭に. 委託され,依存対象を再獲得したグループである。ロールシャツ-テストのスコアから ほ,自我の健康さを示す良質の豊かな反応がみられる。本研究でとり上げた指標(TRの Fc, M, W, NonA, NonH, Fの平均形態水準,制卸の型,濃淡,色彩シ 平均形態水準, ョック)のすベてにわたり,家庭児にかなり近い反応を示し,他の被検者グループとは大 きな差を示した。. 最早期の対象関係が自我の発達に最も大きく影響することば,. AA'群とBB'群との比較. から明らかである。さらに最早期に続く数年間の対象関係の質の影響ち,AグループとA' グループの比較から明らかになったといえよう。フェアパーンの説にしたがって解釈すれ. ば,依存対象との良好な関係の経験から,理想化された母親像が形成され,これに対応す る中心自我が形成されたと考えられる。このことからも養育家庭での対象関係の経験の意 味ほ大きい。 A'グループ:.
(18) 140. 渡田. 華子・小川. 捷之. 最早期対象関係に関してほAグループの②と同じ条件であるが,施設で成長したグル ープであるo. 自我の根底に欠落があるわけではないが,. AグループよりはBグループの. 水準に近いo基本的安定感を示すFc反応の数でほ,. Aグループよりも少ないが,平均形 Dグループを上回る高い億であった.しかし明 細化,組織化でほAグループとの差が大きいoこのグループの被検老中にはテスト中の 態水準値はAグループのそれと同値で,. 態度から,対象にはっきり向けられた攻撃性を感じさせるものがあった。満たされた対象 関係の経験が子供たちに,相手を攻撃するだけの健康さを与えたものと考えられる。. M反. 応の反応数・平均形態水準の高さからも,人間に対する関心(たとえ警戒心の形をとるに せよ)を表しているといえよう。 AグループとA'グループの差をもたらす家庭と養護施設のちがいほ,依存対象の恒存 性と,杏親の子供への同一化の程度のちがいによって生じるとみることができよう.ウィ ニコットにしたがえば,子供がほじめて外界と接触するにあたってほ,母親による自我の. 強化がなければならないo強化された自我をもって,子供ほぼじめて外界に立ち向かうこ とが可能になるo河合(1969)によれば,これは最早期においてのみでなく,子供が新た な発達段階にさしかかったとき・常に必要な支持であるo最早期に必要とされる自我の強 化はきわめて密度の濃いものであって,ウィニコット(1965)の述べるように,原初的没 頭状態の母親にして始めて可能であるといえるoその後新たな発達段階にさしかかったと きのことを考えてみると,養護施設でほ,小舎制をとったとしても,自我の強化という点 で子供が必要としているだけの同一化を,職員側から与えることほ,現在の勤務体制のも とでほ,心理的に不可能に近いことであろう。 B. グループ:. 最早期対象関係(-)の委託児グループであるが,. 4歳以後6歳未満で養育家庭に委託. されたことで,ほぼA'グループに近いスコアを示すことができている。しかしFc反応の. 平均形態水準が低いことから推定しても,基本的安定感の獲得が問題になることは必然的 であるo思春期に,自我の根底の欠落をとり戻すためにほ絶対的依存体験が必要になる が,この経験に里親が耐えられるかどうかば大きな問題となる。 Aグループでも家庭生活上問題がない子供ほ少ない。里親から子供に対する不満や希 望の形でさまざまな問題が捷起されているo. Bグループでほ4名について,. 「盗み+が問. 題になっている。 B'グループ:. 最早期対象関係(-)で,その後も施設で生活しており,緊密な対象関係の経験をもた ないままに成長してきたグループである。このグループの反応の結果は,フェアバ-/の いう中心自我の形成が行われるような対象関係の経験がなかった例といえよう。そういう 例の中でほ重症でほないとしても,自我が自分を表現できなくなってしまった状態といえ ようoこの子供たちが表現することのできないこころの深層にほ,分裂状態に特徴的な不 毛の感覚が根をおろしているように思われるoスコアの上でほ, Fc, M, H反応の反応数 の低さによって表現されるo平均形態永準億の高さほ反応者数の少なさに由来する。早期 対象関係からのおそるべき体験を考えると,みたされた対象国係を必要とする度合いほそ.
(19) 早期対象関係と自我の発達障害およびその回復. 141. れだけ高いということができよう。 D. グループ:. テスト施行にあたって,選定の基準をはっきりさせることが困難であったため,地域附. な偏りを避けることができなかった。しかし,養育家庭を訪問してえた印象に比較してD グループの生育環境には,統制群としての機能にマイナスの影響をもたらすような大きな 欠陥ほないと考える。ロールシャツ-テストのスコア上, を示したのは,. Aグループのみであった。. Dグループと比較が可能な結果 Dグループの. Aグループ以外の児童たちは,. 児童たちとは,全く異なった内的世界に生きているような印象すら受ける。 家庭を襲失した子供をウィニコァト(1965)は,剥奪児(deprived 剥奪児の援助について,. child)とよぷo彼は. 「まず,どのくらいの量の正常な情緒発達が人生の始めにほどよ. い環境によってなされているかを,はからねばならない+としている。剥奪児ほ,彼によ れば,一種の病気であり,環境をととのえなおすことで,多少とも健康な方向への変換を 子供の内部に引き起こすことさえも,決して容易なことではない。彼はつぎのように述べ ている。. 「病気が多少とも,軽くなる方向への変化が起こると,子供はかつて体験した剥. 奪に対する怒りを強めてきます。どこかで世界に対する憎しみ(bate. of the. vorld)があ. るのです。そして,この憎しみが,実感されないことにほ,健康ほやって来+ないのであ る。子供にとっての対象関係の体験の重要性は,必ずしも肯定的な場面ばかりでほなく, 攻撃性に対しても生き残るところにあるということができよう。. (4)遺伝負因(+)グループについて CおよぴC'グループでほ,全体反応TRの平均形態水準が1.00以上の被検者の数は, 表4に示すとおりである。反応ほ非常に貧困と言わねばならない。 C,. C'間の比戟をするにあたり,. 表10. 遺伝負因の想定されるグループの反応者数. これらの被検者についてほ,示され. C N-12. た反応からできるだけ,情報を得る ために,他の5グループとは異なっ. TR-AFL. C' N-10. 判定基準. 6. 3. I TR-AFL. FC反応. 6. 3. 1主付加反応≧1. 被検者の数を表10に掲げた。この数. M反応. 9. 7. 1主・付加反応≧1. により両グループを比較したが,有. H反応. 8. 6. 1主・付加反応≧1. W反応. 6. 3. 1W-AFL≧1.00. て,それぞれのカテゴリーで,主反 応ないし付加反応を1個以上示した. 意差のみられた反応はない。 AFL. TR-. ≧1.00の者の数およびH反応. の平均形態水準でほ,委託児グルー プがまさっている。両グループの全 被験者中でほC'グループの2名が. Non Non. A反応 H反応. F-AFL. ‡. 1. 8. 4. 6. 2I. ≧1.00. ≧1・00 器3芸HA)-AFL F-AどL. ≧1.00. 高い平均形態水準を示している。うち1名ほ,母親がIQ60のちえおくれであるが,現在 でもこの母親と良好な関係をもっている。またCグループ中で比戟的高い平均形態水準 を示す被検者ほ,うつ病の遺伝負因をもっている。分裂病の遺伝負因をもつ被検者のT氏.
(20) 142. 渡田. 華子・小川. 捷之. の平均形態水準値をくらべると, Cグループ:. 0.87. 6名. C'グループ:. 0.66 5名 となる。分裂病の場合のみをとり出して考えると,遺伝免囚(-)のものと同様の傾向が. みうけられる。. 遺伝負因として何を考えるかについてほ,少数の例のみから一般化するのほ危険であ り,さらに多くのデータが必要であろう。しかし,本研究中において,対象関係の緊密さ と考え併せるとき,. A,. A',. B,. 文. B'グループの傾向と矛盾するところほない。. 献. ∫. (1951) Maternal Care And Mental Health 黒田実郎訳(1967)乳幼児の精神衛生.岩崎学術出版社. 2) Erikson, E・ H. (1959) Identity And The Life Cycle 小此木啓吾訳編(1973)自我同-・陸.誠信書房. zur 3) Freud, S. (1905) Drei Abhandlung Sexualtheorie 懸田克窮訳 (1969) 性欲論.日本教文社. 4) ibid. (1920) Jenseits des LustprinzIPS 井村恒郎訳 (1970) 快感原則の彼岸.日本教文社. ibid. (1923) Das lch und das Es 5) 井村恒郎訳 (1970) 自我とエス.日本教文社. Theory, Therapy, 6) Guntrip, 冗. (1971) Psychoanalytic and the Self 小此木啓吾・柏瀬宏隆訳(1981)対象関係論の展開.誠信書房. Analysis一施設児を対象として 7) 池田・河合(1957)ロールシャツ-テストのPattern 教育心理研究4巻3号 8) Jung. C. G. (1952) Arclletype and the Collective Unconscious 林道義訳(1973)元型論.紀伊国屋書店. 9) 河合隼雄(1969)臆床場面におけるロールシャツ-法.岩崎学術出版社. 10) 0) 川上範夫(1984)母親の深層.有斐閣. 1〕 Elein, M. (1921) The Development ll) of a Child 西園昌久・牛島定借編訳(1983)子どもの心的発達.誠信書房. Developments in the Rorschach : Technique. Yonkers 12) Klopfer, B・, etal(1954). 1). Bovlby,. Book. 13). Mahler,. 15). Rutter,. Company. M., et al (1975) The Infant Psychological Birth of the Human 高橋雅士他訳(1981)乳幼児の心理的誕生.寮明書房. 14)中塚博勝(1963)施設児の鏡床的研究一特にその知能の発達について,小児の精神と神経3. 巻3号 M. Deprirvation Reassesed (1972) Maternal 北見芳雄他訳(1979)母親剥奪理論の功罪.誠信書房.. ・16)和田ミトリ(1979)養護施設児童の中卒後の進路問題とアフタ-ケア問題.アフターケア研 J究'791(1)青少年福祉セソクー. D. W. Development 17) Winicott, (1958) The Family and Individual 牛島定信監訳 子供と家庭.誠信書房. 18) ibid. (1971) Playing and Reality 橋本雅雄訳(1979)遊ぶことと現実.岩崎学術出社.. World.
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