「『桜川』注釈(一)」
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(2) むかし. いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. むかし. 躰. 第十三号. 此. くさ き. 彼. 編 。 ◇ 中 興 し て 「 中 興 」は 再 び 栄え る 様 。第 二 の 准 勅撰 連 歌 集『 新 撰 菟. つくは. 物. 「 花 咲 の翁 」 は 松 永貞 徳 ( 一五 七 一 ~一 六 五 三 )。 貞 徳撰 『 新 増犬. 筑 波あ れど 、 それ は 昔 へ中 昔 へ の ひね たる 風 体に して 、 今の わざ 草木 匂 こと. ・. 玖波 集』 に は「 俳諧 」 の部 立が 削 除さ れた こと か ら。 ◇ 花咲 の翁 が新 増 筑. 又. す. ひは、また異なるべきものなりければ、この集を撰びあつめて、かの あと. なる ほ ど 、. の 隠 居 に よ り 陸 奥 国 磐 城 平 七 万 石 の 藩 主 と なる 。俳 諧 、 和 歌 を 好 み 、 宗. る 。 一八 歳で 従五 位 下、 左京 亮 に叙 任 。寛 文一 〇( 一 六七 〇) 年 、父 忠興. 『 桜 川』 の 編 纂を 命 じ た. 西武 編 。寛 永一 五. 波集. おほむかし. をく. 大 昔 の 跡 を も 忘 れ し め ず 。 当 世 風 の 意 気を も 世 の好 き 人 に 見知 ら し めん 彼. 又. 筑波 集 』は 寛永 二〇 年 (一 六 四三 )刊 行 。◇鷹 筑 波集. 此. 彼. 事を 、 この 集の もと つ 心ば へ にて 、し か も、 かの 花は 梅 に遅 れ、 牡 丹に さ 比. 年( 一 六 三 八) 成 立 。 ◇新 続 犬 筑波 季吟 編 。万 治 三 年 (一 六 六 〇 )序 。. ・. いだ ちて 咲く こ ろあ たか も中 を 得た り 。か の川 は、 ま たか の山 高 く、 かの. ◇ こ の も か の も あ ち ら こち ら 。 ◇ 風 鈴 軒の 君. 美カ. したゝ. おも. すゑ. 水 清き ■景 た ぐひ しな けれ ば 、か れこ れ の余 情 をと り■ して 、 花実 相対 の 成. 内藤 義概 。 元和 五( 一 六一 九) 年九 月 一五 日~ 貞 享二 ( 一六 八五 )年 九 月. ゝ. ゝち. 風 雅 の ま つ た だ 中 を 顕 す 所 の 名 なる べ し 。 誠に 山 滴 り の 細 う 長う 、 末 の つと. 一 日 。 本 名 内 藤 頼 長 、 の ち 義 概 、 晩 年 は 義 泰 。 風 虎 、 風 鈴 軒な ど と 号 し. なが. 流 れ広 う遠 う 伝は ら んと 、髱 の 後の 後の 世々 に も、 うつ か りひ よん な 思ひ かたはら. う. た 。『 桜 川 』 に は 、 岩 城 之 住 ( 匿 名 )・ 風 山 ・ 紫 硯 ・ 紫 苔 な ど と し て も 載. あさ. よは. をな す 事な かれ 。予 に 仰せ て 序を つく らし め 給ふ に、 例 の、 心弱 く 受け ひ ・. き 侍 りし 、浅 で片 腹 いた きに あ らず や 。 寛 文十 二年 正 月三 日 洛下 季吟 書. 因 、 維 舟( 重頼 )、 季吟 、 玖也 ら と 交 わる 。 ◇お い さ りさ り そ うだ 、と い った 納 得の 表現 。◇ 予. 北 村季 吟 。寛 永元 年 (一 六二 四) ~. 【 語釈 】◇ 蘭 を千 草 の香 の上 に. 宝 永 二 年 ( 一 七〇 五 )。 安原 貞 室に 入 門 し た後 、 松 永貞 徳 に 師事 し 、 俳 諧. 蘭 は 全て の植 物の 中 でも 、最 も 香り がよ. い も の 、 の 意 。「 蘭 」 は和 歌 で は 、「 蘭/ 紛 れな き 香 こ そに ほ へ れ 蘭 紐. ・ 和 歌 ・ 古 典 を 学 ぶ 。 自 ら も 、 多 く の 古 典 注 釈 書 を 著 し た 。『 山 井 』『 埋. ふじばかま. と く 野 辺 の 花 の 眺 め も 」( 貞 敦 親王 御 詠 ・五 七 五 ) の例 の よ うに 、 菊 科の. 木 』『 新 続 犬 筑波 集 』 など 多 数 の 俳諧 関 係 書が あ る 。風 虎 と の 交流 は 、 和. 「巨 勢山 の つら つら 椿つ ら. こ せ. 植 物 「 ふ じ ば かま 」 と し て詠 ま れ るこ と が 多い 。「 蘭」 を 詠 んだ 俳 諧 の例. 歌・ 俳諧 の 両面 から 知ら れ る。 ◇つ らつ ら 椿. こ の 言 い 回 し は 季 吟 の 句 にも 見ら れ. しの. は 多 く 、「 蘭 の 香 を 萩 に 薄 が 枝 も が な 」( 時 勢 粧 ・ 六 九 八 九 ・ 維 舟 ) な ど が あ る 。◇ 桜 を 諸 木 の 花 の 王 と す. つらに見つつ偲はな巨勢の春野を」 万 ( 葉集・五四・坂門人足 に ) よる表 現 。「 つら つら 椿 」 は椿 の 並 木 、ま た は 花や 葉 の 連 なっ た 椿 をい う 。 ここ. で は 、「 つ ら 杖 頬 (杖 」 ) を 付 き な が ら 、「 つ ら つ ら 」 思 う に 、 の 意 の 言 葉 遊 び 。 ◇ 犬 鷹 の 名だ た る 筑波 あ れ ど 『 犬筑 波 集 』『 鷹筑 波 集 』な ど 、 名. る 。「 弥 生 に も 庭 の 牡 丹 は か れ 果 て て ( 安 静 ) / 桜 や 花 の 王 と 見 ゆ ら ん. 桜 川の 名前 も花 の 王と さ れる 桜に 依っ て いる 。◇ かの 嶺よ り 落つ ると. ( 季 吟 )」( 紅梅 千 句 ・第 一 百 韻 ・五 七 / 五八 )。◇ か の川 、 そ の名 にお へ り. だた る俳 諧集 は ある が。 ◇ひ ねた る. ひ よん な. ぼ んや りし て 。◇ 予に 仰せ て. 山か. 風 虎が 季吟 に 命じ て。 ◇ 浅で 片. 分 。「髱 」 の 後 で はな い が 後 の世 ま で 、と い っ た 言葉 遊 び か。 ◇う つ か り. 「 髱」 は日 本 髪の 後ろ に 張り 出し た部. 花 は 表現 上の 巧 みさ 、実 は意 味 内容 。 ◇ 山滴 り の. ■は虫. ち ょう ど. 意気 込み 。 ◇牡 丹. 「 筑波 嶺の 嶺 よ り落 つ る 男 女川 恋 ぞ 積も り て 淵 とな り け る 」(後 撰集. 古び た。 ◇意 気. か. に さい だち て. 牡 丹に 先 立っ て桜 は咲 く 、の 意 。◇ 中を 得 たり. ・七七七・陽成院 )。◇濫觴して 源として。◇新治の言の葉. 中間となる。◇清き■景. 『 古事 記 』. 『日 本書 紀 』に 見え る 、酒 折宮 で詠 ま れた 日本 武 尊の 「 新治 筑波 を過 ぎ て. 損 。◇ 花実 相 対. ■ は 虫 損 。「 美 」 か 。 ◇ と り ■ し て. 幾 夜か 寝つ る 」と 火 焼き の老 人 「日 々並 べて 夜 には 九夜 日 には 十 日を 」の. ら滴 る 水の 。◇髱 の 後の 後の 世 々. 天文元年頃に成立した俳諧集。山崎宗鑑(生没年未詳). ■ は 虫 損 。『 菟 玖 波 集 』 に は 「 雑 体 連 歌 」 の 中 に 「 俳 諧 」 の 部 が あ. 問答 の こと 。こ れは 、 後に 連 歌の 嚆矢 と され た。 ◇菟 玖 波集 の部 の 数に 入 ■. る。◇犬筑波. ( 62 ).
(3) 腹 いた き. 浅 はか で 笑止 千万 な。 ◇ 寛文 十 二年. 〈 桜川 ・春 一 〉. 一 六七 二 年。. た. 太 平の 天 守も 立つ や御 代 の春. 迎え まし た。. 柏木 万年 子. 世 の中 が よく 治ま っ てい て平 穏 であ るこ と。 句 例に 「太. 〔句 意 〕太 平の 世と な り、 天守 閣 も建 つで しょ う 、あ な た様 の時 代 の春 を 元日. 〔 解釈 〕◇ 太 平. 天 守閣 の こと 。 殿主 とも 。江 戸 城の 天守 閣 は明 暦三. 平 や あ け て 天下 の 春 霞 」(正 保 元 年〈 一 六 四四 〉 歳 旦 発句 集 ・ 四三 四 ・ 季 吟 )が ある 。◇ 天守. 年( 一 六五 七) に焼 失 。大 坂 城の 天守 閣は 寛 文五 年( 一 六六 五) に 焼失 し. た 。 元和 元年 (一 六 一五 )に 完 成し た 磐城 平城 には 天 守閣 は造 ら れて いな. 六 三句 。. 〔 句 意〕い つ か岩 と なる であ り まし ょう 楠の 二 葉を 御覧 な さい 。 盤石 とな. 隆) 。. 一六 七 一年 。霊 元天 皇、 将 軍は 徳 川家 綱。 内 藤義 概. 〔解 釈〕 ◇ 寛文 十一. よ. あ ら 玉や 七宝 将 軍の 御代 の 春. み. 〔 作者 〕柏 木 万年 子( 武蔵 ・ 江戸 ). 朽ち るこ と なく い つま でも 存 在す る物 のた と え。 歌例 に 「わ が. ( 風 虎 ) は 前 年 の 寛 文 一 〇 年 に 内 藤 家 の 家 督 を 継 ぎ 磐城 平 藩藩 主 と な っ た。 ◇岩. 君 は 千 代 に 八 千 代 に 細れ 石 の 巌と な り て苔 の む す まで 」( 古 今集 ・ 三 四三 ・ よ み 人 し ら ず )、 句 例 に 「 盤 石 と な ら ん す な ほ な 御 代 の 春 」( 承 応 元 年 〈一六五二〉歳旦発句集・五九五・友三)がある。江戸時代のことわざ. 〔 句意 〕な に ごと も改 まる 新 年、 七宝 の ごと く光 り 輝く 荘厳 な将 軍 の御 代 が新 春を 迎 えま した 。. 「 石 と な る 楠 も 二 葉 の と き は 摘 ま め る 」( 譬 喩 尽 ) を 参 考 に す れ ば 、 「楠 」は 成 長す れば 「 石と なる 」 と理 解さ れて い た。 ◇ 楠. 〔解釈〕◇あら玉. 世を指す。なお、「御代」は「見よ」の意を掛ける。. 将軍 の御 代と も 取れ るが 、こ こ では 前 年末 に家 督 を継 いだ ばか り の風 虎の. に 繁茂 した 大木 を 連想 させ る 。◇ 二葉. 置す 。七 宝 散う せて 、 珠の 扉風 にや ぶ れ、 金の 柱 霜雪 に 朽て 」と ある 。 ま. 玉 の 意 。『 奥 の 細 道 』「 平 泉 」 に 「 光 堂 は 三 代 の 棺 を 納 め 、 三 尊 の 仏 を 安. 未 詳 〉・ 二四 六 ・ 元 知) が あ る。 ◇七 宝 将 軍. 代 の 春 」 を 結 ん だ 句 に 、「 あ ら 玉 や 光 源 氏 の 御 代 の 春 」( 歳 旦 発 句 集 〈 年. 年 、 月 、日 、 春 な どに か か る枕 詞 。「 あ ら玉 」 と 「御. 「 楠 は 千 枝 な ほ ふ かき 茂 り か な 」( 続 山 井・ 三 〇 九〇 ・ 湖 春) の 句 の よう. 〔備 考〕 本 句は 、寛 文一 〇 (一 六七 〇 )年 一二 月 に磐 城平 藩主 内 藤家 の家. た 、 風虎 の 句 に 「七 夕 や 七宝 の 枕 玉 の床 」( 江 戸通 り 町 ・ 一六 九 )。 「 七宝. 天 皇や. 督 を継 いだ ば かり の 風虎 に対 す る祝 いの 句。. 将軍」は「聖護院の森に、紅葉の見え侍ければ/紅葉せし森や七宝聖護. ま き 柱 」( 生 玉 万 句 ・ 一 二 七 ・ 中 明 ) の よ う に 、「 聖 護 」、「 荘 厳 」 を 掛 け. 「 七宝 」 は 仏語 。 七 種の 宝. 〔 作 者 〕 浜 田 春 倫( 摂 津 ・大 坂 )。 浪花 の 人 。宗 因 門 。維 舟 門 人と も ( 大. 院 」(山 の 井 ・ 九 五八 ・ 季 吟 /崑 山 集 ・六 二 六 一 )及 び 「 松に 藤 七 宝荘 厳. 常緑 の 高木 。. 3. 系図 ) 。六 句。. 吉 田 健 一 ・ 松 本 麻 子 『 桜 川 』 注 釈 ( 一). 草 木な どの 若芽 。 ◇ 御代. 井 口如 貞. い 。 句 例 に 「 霧 の海 に し やち ほ こ ぞぞ た つ 殿 主か な 」( 宝 蔵・ 三 二 九・ 久. 岩と な らん 楠二 葉御 代 の春. 寛文 十一 年亥 正月 上旬 み よ. 浜 田春 倫. 2. る あな た様 の 時代 の春 を迎 え まし た。. 1. ( 63 ).
(4) 第十三号. 「 物 申 す 遠 方 人 や春 の 礼 」( 慶 安二 年 〈 一六 四 九 〉 歳旦 発 句 集・ 五 〇 五・. ( 64 ). いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. て おり 、七 宝 のご とく 光 り輝 き、 聖な る もの を 守護 する 厳 かな 将軍 、の 意. 〔 作 者 〕中 畑 乍 憚 。 陸 奥 ・ 須 賀 川 の 人 。 等 躬 の 号 で 知 ら れ る 。 寛 永 一 五. 重頼 )が あ る。. 〔 備考 〕こ の 句は 『 俳諧 発句 詞林 金玉 集 』 ( 巻之 一・ 春 一) に載 る 。. (一 六 三八 )年 ~正 徳 五( 一 七一 五) 年 一一 月一 九日 。 通称 、相 楽 伊左 衛. 味であろう。なお 、「あら玉」の「玉」と「七宝」は縁語。. 〔 作 者 〕 井 口 如 貞 ( 摂 津 ・ 大 坂 )。 浪 花 の 人 。 連 歌 師 。 令 徳 門 ( 大 系. した 。一 二 句。 此. 晩 年 は 露 沾 に 親 近し た と いう 。『 奥の 細 道 』旅 中 の 芭 蕉を 須 賀 川で も て な. 門。 初号 、乍 憚 。別 号、 一瓜 子 ・乍 憚 斎。 未得 門。 の ち、 調和 に 親し む。 み よ. 図) 。八句 。 (まづ) あ. 江戸 や 先 明 くれ ば 富士 を御 代の 春 風虎. 聖代 や 地を かへ ば この 御代 の 春. 寺 井 道頼. 聖 な る 天 子 の 治 め る 世 。『 歳 旦 発 句 集 』 に は 、「 聖 代 の. 〔句 意〕 聖な る 天子 の世 です 。 風虎 様 が江 戸か ら磐 城 平に 住む 場 所を 替え. 江戸 か ら富 士を 見る 句 に「 八景 も なで う富 士 見る. 〔解釈〕◇聖代. 〔解 釈〕 ◇ 江戸 …富 士. 新. 人 の 心 や 今 日 の 春 」( 万 治 三 年 〈 一 六 六 〇 〉・ 八 三 七 ・ 泰 重 )、「 聖 代 の 例. し る き 年 の 始 か な 」( 寛 文 五 年 〈 一 六 六 五 〉 歳 旦 発 句 集 ・ 一 〇 一 一 ・ 貞. 夜 が 明け れば 。こ こ では 大. 晦 日の 夜が 明け て 、新 年に な れば 、の 意 。. 室) など 「 聖代 」を 詠む 句 が多 い。 ◇か へば. 替え たな ら ば、 の意 か。 ◇. 〔 作 者〕 風 虎 。序 の 【 語釈 】 参 照 。『 桜川 』に は 、 風 鈴軒 な ど の別 号 を 合. 小沢 衆下. 今 、 我々 が 享 受し て い る 御 代、 の こ と 。「 聖代 」 を 言 い換 え た. 小 地震 や 雉お どろ かぬ 御 代の 春. 元日 いさ さか 地 震し けれ ば. 聊. 〔 作者 〕寺 井 道頼 ( 山城 ・京 ) 。 一句 。. もの 。. この御代. か. 夏 の礼 に よる 物 まう や御 代 の春. 〔 句意 〕夏 の時 代 から 伝わ る 由緒 正し い 礼式 で人 々 が挨 拶を 交わ す 、そ の よう なあ な た様 の時 代 の春 を迎 えま し た。 「 夏 」は 中 国 最 初 とさ れ る 王朝 。「 夏 の礼 」 は 夏 の時. 〔句 意 〕小 さい 地震 が 起き たが 、 雉が まっ たく 驚 かず に いる 揺る ぎ ない あ. 〔解釈〕◇夏の礼 代 の 礼 式 。 ◇ 物ま う. なた 様の 世の 春 です 。. 江 戸時 代 の 挨拶 語 。「 頼ま う 」 など と 同 じく 主 に 玄. 関先 で 使 う 。「こ ん にち は 」 とい う ほ ど の意 味 。 転じ て 、 挨 拶に や っ て来. 〔 解釈 〕◇ 元 日…. 元 日に 小さ い 地震 があ った の で詠 む 、の 意。 こ れが 、. る こ と 。 句 例 に 「 物 ま う は ど れ か ら 来 る ぞ け ふ の 春 」( 犬 子 集 ・ 三 七 )。. 7. 中 畑乍 憚. わ せて 三一 三 句が 入 集す る。. 年 に なっ たら まっ さ きに 、の 意 。◇ 明 くれ ば. 朝 こ そ 江 戸 の 花の 春 」( 続山 井 ・一 一 八 九 ・風 虎 ) など が あ る。 ◇ 先. た なら ば、 こ の地 は すば らし い春 を 迎え るこ と でし ょう 。. 6 江 戸 の春 」( 時勢 粧 ・ 二 〇三 四 ・ 維舟 )、「 奥州 に て 元旦 に / 富士 の 雪や 今. 仰 ぎ見 る春 が やっ てき まし た 。. 〔 句 意〕江 戸 で新 年 が明 ける と まっ さき に富 士 を見 るよ う に、 あ なた 様を. 4 5.
(5) 「 地 震 」 の読 み方 は 天 正 一 七 ( 一 五 八. の 詞書 に ある よう に、 寛 文一 一年 の こと かは 不 明。 一一 年 前後 の地 震の. 記録は見当たらない。◇小地震 九 ) 年 本 『 節 用 集 』及 び 『 日 葡辞 書 』 には 「 な え 」。 こ れ に「 小 」 を冠 し て 「 こ な え 」 と 読 む 例 と し て 、「 荻 原 を こ な え の ゆ ら ぬ 隙 も な し 」( ゆ め み草 ・ 一 六 六三 ・ 空 存) が あ るが 、 音 数 が合 わ な い 。「地 震 」を 「 な ゐ 」 ゐ. る 。南 都( 大 和国 奈良 ) の人 。卜 養門 ( 大系 図 ) 。 一六 句。 い. つ ひた ち や鞘 に 納る 御代 の春. 中西 弘 孝. 〔 句意 〕元 日を 迎 えま した 。 太刀 や槍 が 鞘に 納ま る平 和 な御 代の 春 です 。. な. と 読 む 例 と し て 、「 長 閑な る い はが ね 枕 かた ぶ き て (暫 酔 ) /地 震 ふ る こ. が 起 き る と 考 え ら れ て い た 。『 桜 川 』 よ り も 後 の 記 述 で あ る が 、 文 政 七. は 「せ うな え 」ま た は「 せう な ゐ」 か。◇ 雉お ど ろか ぬ. 地震 の 前ニ 鳴」. 〔 備 考 〕 こ の 句 は 、『 歳 旦 発 句 集 』( 延 宝 元 年 〈 一 六 七 三 〉・ 一 六 三 六 ). の 年 」( 延 宝 二年 〈 一 六七 四 〉 歳旦 発 句 集 ・一 七 五 四・ 実 信 )は こ の 意 。. 戦 が 無 く 、 刀 や 槍が 鞘 に 納 め られ て い るこ と 。「 鑓 も鞘 に 治 る御 代 や とら. やり. 元旦 。「た ち 」 は「 太 刀」 を 掛 け る 。 ◇鞘 に 納 る. 〔 解 釈 〕 ◇ つひ た ち. ( 一 八二 四) 年刊 の 『武 江産 物 志』 に 「雉 、王 子. に 、作 者を 「 次之 」と して 載 る。. 駒場. の 記 述 が あ り 、 雉が 鳴 く のは 地 震 の前 兆 と さ れる 。 ま た 、「 雪も 子 路 と驚. たくは. 一 六 六九 年。 已 酉。◇ 寛 文や 九 年. の世 の春 が 到来 しま し た。 〔 解釈 〕 ◇寛 文九 年 に. 風 虎 が磐 城平. 〔 句 意 〕 寛 文 の 世 と なっ て 九 年間 、 蓄 えに 励 ん で きた 御 領 内に あ な た様. 寛 文 や九 年の 貯 へ 御代 の 春. 寛文 九年 に. 〔作 者〕 中西 弘 孝( 伊勢 ・山 田 ) 。七 句。. 何 か異 変が あ ると 驚 いた 様子 を見 せ る。 この 句 は小 さい 地 震が あっ た にも. 門 村兼 豊. かか わら ず 雉が 驚か な かっ た こと を、 風虎 の 盤石 な治 世 とし たも の 。. たいら. 〔作者〕小沢衆下(陸奥・二本松)。一一八句。 い. 暦も やみ つ たひ らか な御 代 の春. みつ. 〔 句 意 〕 暦 の 十二 直 に あ る「 満 」や 「 平 」 の よ う に、 満 ち 足り て い て 平. 〔解釈〕◇暦もやみつたひら. 一 一 六 七 ・ 空 存 )、「 寛 文 や 七 つ の こ と し 読 始 」( 時 勢 粧 ・ 一 〇 二 〇 ・ 富. に 、「 寛 文 や 七 年 よ ろ し け ふ の 春 」( 寛 文 七 年 〈 一 六 六 七 〉 歳 旦 発 句 集 ・. 藩 主 内 藤 家 の 家 督 を 継 い だ の は 翌 年 の 寛 文 一 〇 年 。「 寛 文 」 を 詠 ん だ 句. 「 満 」「 平 」 を いう 。 こ れは 日 々 の吉 凶 を 表 した も の で、 い ず れも 吉 日 と. 『礼 記 』 「王制第五」の「国無 二九年之蓄. 、 曰 二不 足 一、 無 二六 年 之 蓄 一曰 レ急 、 無 二三 年之 蓄 一、 曰 三国 非 二其 国 一也 (国. を や 左 に 巻 て 三つ の 春 」( 延宝 元 年 〈一 六 七 三〉 歳 旦 発句 集 ・ 一 五七 四 ・. を、国其の国に非ずと曰ふ )」による。. に九年の蓄無きを不足と曰ひ、六年の蓄無きを急と曰ふ、三年の蓄無き. 一. 隆栄 )が ある 。. 〔 作者 〕塩 川如 白( 陸 奥・ 岩 城 ) 。 一四 九句 。. 吉 田 健 一 ・ 松 本 麻 子 『 桜 川 』 注 釈 ( 一). 〔 作 者 〕 門 村 兼 豊 ( 武 蔵 ・ 江 戸 )。 法 橋 。 江 戸 久 保 町 住 。 晩 年 、 京 に 移. つ た ひ ら か な 」 は「 水 、 平 ら かな 」 を 掛け る か 。「 暦 」を 詠 ん だ句 に 「 暦. 長) など が ある 。◇ 九年 の貯 へ. 穏 なあ なた 様の 世 の春 です 。. 10. す る 。「 た ひ ら 」 と 風 虎 の 知 行 地 で あ る 磐 城 「 平 」 を 掛 け る 。 ま た 、「 み. 「みつたひら」は、暦の十二直にある. 塩 川如 白. き て ふ すか 野辺 の 雉 」(崑 山 集 ・一 六 〇 六・ 亀 丸 )と い う 句 もあ り 、 雉は. 雉 が鳴 く と地 震. ろ の 庭 の 仮 庵 ( 季 吟 )」( 俳 諧 塵 塚 ・ 五 五 三 / 五 五 四 ) が あ る 。 こ の 句 で. 9. 1 8. ( 65 ).
(6) いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. 云. 陸奥 久の 浜 とい ふ所 に て 久 の浜 の 真砂 の 数や 御代 の春. 第十三号. 風鈴 軒. 北 村季 吟. 〔 句意 〕当 主 の座 を お継 ぎに なっ たあ の 殿は 、 庚か ら辛 に 続く よう に、 こ. 風虎は寛文一〇年(一六七〇)一二月に家督を継い. れか ら 千年 も春 を迎 え るこ と にな るで し ょう 。 〔解釈〕◇御家督. あ の殿 、 の意 と「 辛 」を 掛け. 〔 作 者 〕 北 村 季 吟 ( 山城 ・ 京 )。 寛 永元 年 ( 一六 二 四 )~ 宝 永 二 年( 一 七. 寛 文一 〇 年は 庚の 年。 ◇ かの 殿. 現 在 のい わ き 市 久 之浜 町 。 読み 方 は 「ひ さ の は ま 」。. 〇五 ) 六月 一五 日。 近 江国 北 邑の 人。 初め は 京の 山伏 町 に住 し、 後 、新 玉. だ 。◇ 庚. 「 真 砂 」 は 細 か い 砂の こと 。. 〔 句意 〕久 の浜 の 真砂 の数 の よう に尽 き るこ との ない 、 あな た様 の 時代 の. この句では「くのはま」か。◇真砂の数. 津 嶋 社中 に居 す。 晩 年、 江戸 に 移る 。 法印 に叙 す。 幕 府歌 学方 を 務め た。. る。. 「 真 砂の 数」 は『 古 今集 』仮 名 序に 「 山下 水の 絶え ず 、浜 の真 砂 の数 多く. 貞 徳 門 。 風 虎 と 交わ る 。 弟子 に 元 隣、 芭 蕉 が いる ( 大 系 図 )。 序文 ・ 一 三. 〔 解 釈 〕 ◇ 久 の浜. 積 りぬ れば 」 とあ り、 数が 大 きい もの の 喩え 。 ここ では 「久 」の 縁 語。. 陸奥 岩城 に て 天 衣 なで し岩 城 や千 代の 春. 松 山玖 也. 九句 。. て くる 。. のち. 〔作者〕風鈴軒(陸奥・岩城 )。風虎の別号。三一三句、 とせ. 御 代の 春や 千歳 の 後は 後 の事. を迎 えま し た。. は 天 の 羽 衣 ま れに き て な づと も つ きぬ 巌 な らな ん 」( 拾遺 集 ・ 二九 九 ・ よ. 〔句 意〕 あ なた 様の 御代 の 春と なり ま した 。こ の 春が 千年 に 渡っ て続 き、. 〔 解釈 〕◇ 千年 の 後は 後の 事. み人 し らず )、「山 高み 岩 根 の 桜ち る 時 は天 の 羽 衣 なづ る と ぞ見 る 」(新古. 天 女 が 着る 羽 衣 。 全 国各 地 に 羽衣 伝 説 があ る 。「 君 が代. まか せ はて て む 」( 古今 集・ 三 五 五 ・在 原 滋 春 )、「今 より の 千 歳の 後の ち. 今 集・ 一三 一 ・崇 徳院 ) と詠 まれ るよ う に、 天 女が 羽衣 で 岩を 撫で ても 、. 「 鶴亀 も千 年の 後 は知 ら なく に飽 かぬ 心 に. と せ を も 君 ぞ 数 へて あ り 数に せ ん 」( 新 千載 ・ 二 三三 七 ・ 二 条為 世 ) のよ. その 岩は 未 来永 劫な く なら ない とさ れ た。 ◇岩 城. の 関係 が深 く 、磐 城平 を三 度 訪れ た 。 『 桜川』 の 編集 者。 四 五二 句 。. 六七 六) 四月 二 四日 。宗 因門 。 また は 『大 系図 』に よ ると 季吟 門 。風 虎と. 〔 作 者 〕 松 山 玖 也( 摂 津 ・大 坂 )。 元和 九 年 (一 六 二 三) ~ 延 宝四 年 ( 一. 磐城 平 のこ と。 現 在の. うに 、 「千 年の 後」 に 更に 続 く御 代の こと を いう か。. い わき 市。 巌 の意 を 掛け る。. ・. 庚 よ り継 ぐか の殿 や 千代 の春. かのえ. 御家 督を 賀し 奉 りて. 〔作者〕董信(摂津・大坂)。一六句。. 〔解釈〕◇天衣. 〔 句意 〕天 女 が着 る衣 で撫 で ると いう 岩 の名 を持 つ 岩城 も、 長く 栄 える 春. 14 そ の後 も さら に続 い てほ しい も ので す。. 大坂 住董 信. 〔 備 考 〕『 桜川 』 に はこ の 句 の よう に 磐 城平 及 び その 近 隣 の 地名 が 多 く出. 春と なり ま した 。. 11 12 13. ( 66 ).
(7) たて. ・. ゝ. 立砂 や はこ び置 き つつ 千世 の春 中 堀器 音. 〔句 意〕 客を 迎え る 立砂 を玄 関 に運 び置 き つつ 、岩 蔵山 の 歌の よ うに 長く. くびき. こし. ながえ. 車寄 せ の前 の左 右両 側 に、 編 笠の よう な 形に 、高 く丸 く. 栄 える 春を 寿 いで いま す。 〔解 釈〕 ◇ 立砂 盛 り 上 げた 砂 の こ と 。車 の 軛 や 輿の 轅 な どを もた せ かけ るた めに 盛 られ た も の 。 正 月 や正 式 な 客を 迎 え る ため に 造 られ た 。「 寒け れ ど雪 は 見 事 に 山 と な れ ( 季 吟 ) / 富 士 に 似 た り し 立 砂 の 上 ( 友 光 )」( 新 続 犬 筑 波 集 ・ 二 〇〇 三/ 二 〇〇 四) のよ う に、 富士 山 の形 に 砂を 盛っ た。 風虎 の 句に 、. 「 松の 大 夫 」 を掛 け る 。「松 の 位 」の こ と 。秦. 夫 の う た ひ 初 め 」( 慶 安二 年 〈 一六 四 九 〉 歳旦 発 句 集・ 五 二 八・ 繁 秋 ) な ど が あ る 。 ◇門 松 の 大 夫. の 始 皇 帝 が 雨 宿 り をし た 松 を 大夫 に 任 じた と い うこ と か ら 、「 松 の 位」 は. 大夫 を 指す 。五 位相 当 の者 。 風虎 の官 職 は左 京大 夫、 従 五位 。◇ かは るな. 松の よう に変 わ らな いで い て欲 しい 、 の意 。風 虎に よ る長 きに わ たる 治 世 を寿 ぐ。 〔作 者〕 重元 ( 摂津 ・尼 ヶ崎 ) 。二 句。. 千世 の 春や しら ざ 半分 五百 年. 伊 勢 村意 朔. 世 を こ そ 積 め 」( 拾 遺 集・ 六 〇 〇・ 詠 み 人 しら ず ) があ り 、 本歌 と み な せ. の 表 現 が 出 て くる 和 歌 に 、「 動き な き 岩蔵 山 に 君が 代 を 運 び置 お き つつ 千. 虎 )」( 俳 諧 塵 塚 ・ 一 二 〇 〇 / 一 二 〇 一 ) が あ る 。 ◇ は こ び 置 き つ つ. 半分. の 意 。「 し ら ざ 」は 口 語 表 現 。和 歌 、 俳諧 と も に用 例 は 見 あた ら な い。 ◇. 〔解 釈〕 ◇ 千世 の春 や しら ざ. 十 分お めで た いの で す。. 〔句 意〕 千世 の 春と 言わ れて も よく わ から ない が、 そ の半 分の 五 百年 でも. る。. (正 章千 句 ・五 〇一 /五 〇 二) があ る 。◇五 百年. 「塵すへんやは玄関の前(維舟)/立つ砂に散りまじりたる花の風(風. 〔 作 者 〕 中 堀 器 音 ( 摂 津 ・ 大 坂 )。 柳 和 軒 と 号 す 。 初 め 、 器 音 、 後 、 幾. で は 長 す ぎ て 実 感が 伴 わ ない が 、 五 百 年で も 十 分に め で たい 、 の 意 。「 五. じめ貞徳門、のち季吟に属す(大系図 )。四句。. 一 粒に 千 世の 春 をや こめ ざか な. 〔 句意 〕た った 一粒 に 千世 の 春が こめ ら れて いる ので し ょう か。 米 や魚 が. 谷永 重. ろ。 之次 と号 し 、薙 髪後 、意 朔 と号 す 。招 鳩斎 と 称し 、大 坂鼬 堀 の住 。は. 〔 作 者 〕 伊 勢 村 意朔 ( 摂 津・ 大 坂 )。 寛永 ~ 延 宝 (一 六 二 四~ 八 一 年) ご. 可 浅) が ある 。春 宵 一刻 は値 千 金だ が、 半 時な ので 五百 金 とな る 。. 百 」 と 詠 む 句 に 、「 花 の も と の 半 時 や 価 五 百 金 」( 続 山 井 一 ・ 一 九 〇 八 ・. 「千 世」 の 半分 。千 年. 句 例 に 、「 牛の 爪 の わ れて も あ ふや お 七 夕/ 半 分 見 ゆる 初 秋 の月 」. 千年 の 春な どと 言 って も実 感 が伴 わな い、. 音 。浪 速尾 崎 町に 住 す。 宗因 門( 大系 図 ) 。 一一 句。. 門 松の 大 夫か は るな 千世 の 春 尼 ヶ崎 住重 元. 〔 句意 〕門 松の 緑 が色 を変 え ぬよ うに 、 松の 大夫 で ある あな た様 が お変 わ. 正 月 に門 前に 立 てる 松の こと 。 常緑 樹 の松 は、 変 わら ぬ. りに なり ま せん よう 。 長く 栄え る千 世 の春 がや っ てき ま した 。 〔 解釈 〕◇ 門 松. も の の た と え 。こ こ で は 、「 松の 大 夫 」を 引 き 出 すた め に 「門 松 の 」と し た。 風虎 の官 職 「左 京大 夫」 に 対し て 「右 京」 が対 と なる こと か ら、 松を 左 右 に 立 て る 門 松 が 連 想 さ れ た か 。「 門 松 」 を 詠 む 句 に 、「 門 松 の 声 や 太. 吉 田 健 一 ・ 松 本 麻 子 『 桜 川 』 注 釈 ( 一). 18. こ. 17. 15 16. ( 67 ).
(8) 第十三号. 々 受け 継ぎ 、 千世 の 春を 迎え ら れま した 。. こ れま で の 家風 を 改 め ない こ と か 。「 改め ぬ 」と 詠 ん だ. 御集 ・ 三一 九) など が ある 。. 七 回繰 り返 すこ. ( 68 ). いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. 豊 富な こと で す。. 日 」 を 掛 け る 。 後 世 の 例 で あ る が 、「 一 粒 」 を 「 い ち り う 」 と 読 む 句 例 〔 解 釈 〕 ◇ 独 立ち. 〔句 意〕 藩 主と して 独り 立 ちな さっ て も、 内藤 家 の御 家風 は改 め ない で代. に 、「 内 室 り う 女 は 宿 の 長 尾 兵 左 衛 門 殿 の 姉 に し て 、 あ ま た の 子 持 ち 也. 句に 「 あ り たつ た 独 立つ た る 今年 か な 」(犬 子集 ・ 二 ・ 貞 徳/ 崑 山 集・ 三. 一 粒 の 籾 が 万 倍 に も 実 る 稲 穂 に な る と い う 「一 粒 万倍. と 、〈一 り う の 種 万倍 子 宝 の /な を も 栄へ む 黄 金 ざは う ぢ 〉祝 し け れば こ. 二 七 )、「 竹の 子 や草 木 と く ま す独 立 ち 」( 昆山 集 ・ 三七 〇 三 ・ 玄茂 )が あ. 〔解釈〕◇一粒. と の 外 の 悦 び に て 、 里 の 名 産 数 を 尽 く し て 贈 ら る 。な ほ 古 へ 都 の 松 江 維. る。◇改めぬ代. 独 り立 ち 。 自分 の 力 で 立つ こ と 。「 独立 ち 」 を用 い た. 舟 、 陸 奥 へ 下り し 時 、 この 家 に 宿り て 、 から 紙 の 表 に書 か れ たる 句 」(あ. 歌 例 に 「 改 め ぬ 契り や つ ら き 織女 の た はぶ れ 憎 き中 の 月 日 を 」( 後 水尾 院. 前 を 掛 け た 句 。◇ こ めざ か な. 〔 作 者 〕 小 西似 春 ( 山城 ・ 京 )。 寛 文 ~元 禄 ( 一六 六 一 ~ 一七 〇 四 年) ご. 粒. が たの 三月 よ つき ・ 五三 ・大 江 丸) とあ るが 、 これ は「 り う女 」と い う名. 現 を 使 っ た 句 に 、「 穂 俵 は 蔵 の 内 へ や こ め ざ か な 」( 慶 安 元 年 〈 一 六 四. ろ 。大 坂の 人 。江 戸本 町に 寓 し、 のち 下 総国 行 徳の 社職 とな る。 も と里 村. 米 魚 。「 込め 、 盛ん な 」 を 掛け る 。 この 表. 八 〉歳 旦発 句 集・ 四九 六・ 種 栄) があ る 。. 家の門人にて連歌師。季吟門(大系図 )。六〇句。 とせ. すぐ な 世や 千歳 の 春を 七帰 り. 須 藤 之也. 〔作者〕谷永重(和泉・堺 )。一句。. 天地 や 一二 を生 じ て千 々の 春 西 岡 泰徳. 〔句 意〕 まっ すぐ な 世の 中で ご ざい ま す。 千年 の春 は 七生 のよ う に永 遠に 続 くこ とで し ょう 。. 「 い ち に 」ま た は 「 ひ ふ 」 と 読 む. 〔解釈〕◇天地. 〔解 釈〕 ◇ すぐ な世. 六 六〉 歳旦 発句 集 ・一 一〇 四 ・兼 豊) が ある 。◇ 七帰 り. まっ す ぐな 世、 正 しく よく 治ま っ てい る世 の 中、 の. か 。「 い ち に 」 と 読 む 句 に 「 一 二 と れ 三 芳 野 の 花 月 と 雪 」( 時 勢 粧 ・ 一 六. 意 。「 す ぐ な世 」 の 句に 、「 す ぐ な世 や 棹 姫氏 の 玉 の春 」( 寛 文六 年 〈一六. ひとふたみ. 『 老 子』. と 。『 倶 舍 論 』「 巻 二 十 三 ・ 本 論 第 六 賢 聖 品 第 二 」 に 「 生 極 七 返 。 七 返 レ. 「徳経下・道化第四十二」は道が万物を生成する過程を「道生 レ一、一生 一. 言 、 顕 三七 往 二返 生 一。 是 人天 中 各 七生 義 ( 生 ずる こ と 極に し て 七返 な り 。 二. 七返 の言 は 、七 たび 生 に往 返す るこ と を顕 はす 。 是れ 人 天の 中に 、各 七 生. レ. ず) 」と 説明 する 。. す る の 義 な り )」 と ある よ う に 、人 界 及 び天 界 に 七 度生 を 受 ける こ と 。生. 〔作者〕須藤之也(陸奥・二本松 )。五一句。. る。. は七 生 まで とさ れ、 以 後の 生 はな いと さ れる こと から 、 未来 永劫 の 意と な. 〔 作者 〕西 岡 泰徳 (武 蔵 ・江 戸 ) 。 五句 。 あらた. 立 ち て 改 め ぬ代 や千 々 の春. (ひとりだ). 独. 小 西似 春. 二 、 二 生 三 、 三生 万 物 ( 道 は 一を 生 じ 、一 は 二 を生 じ 、 三 は万 物 を 生. め か な 」( 続 山井 ・ 一 一七 九 ・ 方 竹) が あ る。 ◇ 一 二を 生 じ て. あめつち。◇一二. 21. 一 五 ・ 岡 如 萍 ) が 、「 ひ とふ た 」 と読 む 句 に 「千 々 の 春も 一 二 三代 の は じ. 〔句 意〕 天地 から 一 、二 が始 ま って 千 年に 至る めで た い春 を迎 え まし た。. 19 20.
(9) 君の 春 人う やま つ て臣 下か な 須 藤之 也. 〔 解釈 〕◇ た とへ に. あ なた 様 の御 代の たと え とし て、 の 意。◇ 周. 中国. 武蔵. の古 代王 朝 。最 初の 王 は武 王。 聖 王と して 知ら れ る。 句 例に 「周 の代 の 言. の 葉 草 の も ち い か な 」( 続 山 井・ 一 五 〇〇 ・ 重信 ) が あ る 。◇ 武 州. 国 の 別 称 。「 周の 武 王 」を 掛 け る。 周 の 武王 が 治 め た土 地 に 比肩 す べ き武. 州( 武 蔵 国 )、の 意 。武 州 を 治 める 風 虎 を武 王 に なぞ ら え た もの 。 武 州の. る 。 ま た 、 聖王 を 詠 ん だ句 例 に 「賢 聖 や 肩並 べ 出 ん 御代 の 春 」( 寛文 九 年. 〔句 意〕 あな た様 の 時代 の春 を 寿い でお り ます 。人 が礼 を 知る 人 を敬 うよ. 〔解釈〕◇君の春. 〈 一六 六九 〉 歳旦 発 句集 ・一 二 七三 ・祐 上) が ある 。. 句 例 に 「 早 飛 脚 武州 を さ して 時 津 風 」( 大坂 独 吟 集・ 五 四 七 ・由 平 ) があ. 春 」 を 取 り 上 げ た句 が ま と ま って 出 て くる 。 た とえ ば 、「 盃 や土 も 木 も我. 〔 作 者 〕 石 田 未 琢( 武 蔵 ・江 戸 )。 江戸 の 人。 生 年 未 詳~ 天 和 二年 ( 一 六. 「 御 代 の 春 」 と 同 じ 意 。『 歳 旦 発 句 集 』 に は 「 君 の. が 君の 春 」( 明暦 二 年〈 一 六 五 六〉 歳 旦 発句 集 ・ 七 〇四 ・ 喜 春 )、「道た る (きみ). 「 客 と い へ ば人 う や まつ て 新 酒 かな 」( 時勢 粧 ・ 九六 五 ・ 又笑 ) と 同 文を 左 右に 武州 や君 が春. 辻 自取. 八 二 ) 三 月 二 〇 日 。 未得 の 息 、良 堂 と 号 す。 未 得 門( 大 系 図 )。 一 五 句。. て. じ く 「 人 を 敬 う 」 こ と 。『 孟 子 』「 離 婁 章 句 下 」 に 「 仁 者 愛 レ人 、 有 レ禮 者 敬 レ人 。 愛 レ人 者 、人 恒 愛 レ之 、 敬 レ人 者 人 恒敬 レ之 ( 仁 者は 人 を 愛し 、 礼有 る者 は人 を 敬す 。人 を 愛す る 者は 、人 恒に 之 を愛 し、 人 を敬 する 者 は、 人. 満 千句 ・第 四 ・九 七 /九 八) や「 七夕 の よる に なつ たら 送 らせ ん( 禾刀 ). 「 御 謀 反 を 進 申 せ ば お 盃 ( 宗 恭 ) / す す み 出 た る 臣 下 一 人 ( 梅 翁 )」( 天. る。◇臣下. は 「 勇 敢 な こ と 、 ま た は 、 武 術 」 と の 説 明 が あ る 。 ま た 、『 宝 蔵 』「 巻 之. 体 。 ま た 、 学 問 」 と あ り 、「 文 武 が 二 道 」 と い う 用 例 が 示 さ れ 、「 武 」 に. 〔解釈〕◇文を左右に武. 様 の時 代の 春で す 。. 〔 句 意〕左 手 は学 問 をつ かさ ど り、 右手 では 武 蔵国 で武 名 を馳 せる あ なた. / 役 に 立 つ ま い 臣 下 也 け り 」( 二 葉 集 ・ 一 二 二 八 / 一 二 二 九 ) な ど が あ. 五 」 に あ る 「 鋪 」 の 項 の 例 句 「 花 の 木 を 自 身 植 ゆ る や 好 き 心 」に 並べ て. 恒 に 之 を 敬 す )」 と あ り 、 本 句 は 『 孟 子 』 の 影 響 を 受 け て い る と 思 わ れ. る 。 ま た 、「 臣 」 を 用 い た 句 に 「 君 た れ ば 臣 も 新 春 の 御 慶 か な 」( 承 応 元. 「 右 レ文 左 レ武 万民 和 」( 文を 右 に し武 を 左 にし て 万 民和 す ) が 置か れ る 。. を 参照 。. 橋本 富長. 『 日 葡 辞 書 』 に は 、「 文 」 は 「 書 状 を 書 く 文. 年 〈一 六五 二〉 歳 旦発 句集 ・ 五八 四・ 重 頼) があ る。. 「 右 」・「左 」 を 詠 む 句 に 、「 右 や 筆 左 の 手 樽 花 の か げ 」( 時 勢 粧 ・ 一 一 一 八 ・石 井如 自 )な どが あ る。◇ 武州 〔作 者〕 辻 自取 (因 幡・ 鳥 取 ) 。二 句。. 江戸 の 海や つく と も築 地 君が 春. 23. すき. 〔作者〕須藤之也(陸奥・二本松 )。五一句。. 君が 春 のた とへ に 周の 武州 かな 石 田未 琢. 〔句 意〕 周の 武王 が 治め た「 武 州」 では あ りま せん が、 武 蔵国 を 治め るあ な た様 の治 世 は武 王の 時代 に たと えら れ るこ と です 。. 吉 田 健 一 ・ 松 本 麻 子 『 桜 川 』 注 釈 ( 一). 25. 「 臣 下 」 を 用 い た 和 歌 の 例 は 見 当 たら な い が 、 俳 諧 の 例 に. 24. や 文 武 あ ま ね き 公 の 春 」( 同七 三 六 ・重 以 )な ど が あ る。 ◇ 人 う や まっ. う に家 臣た ち もあ なた 様に 心 服い たし ま す。. 22 23. ( 69 ).
(10) 第十三号. 「 葵」 と. ( 70 ). いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. 『 論 語 』「 里仁 第 四 」に あ る 孔 子の 言 葉 「吾 道 一 以. 〔 解 釈 〕 ◇ 一 も つて. を 貫く 様を い う。◇ く はん と う. 〔 句意 〕江 戸の 海 が尽 きて も 、築 地で は ない です が 、尽 きる こと の ない あ. け る 。「 く は ん と う 」 は 「 御 代 は 万 句 ま づ 巻 頭 の 今 年 か な 」( 宝 蔵 ・ 一 四. 貫 レ之(吾が道は一以て之を貫く ) 」 による 表現 。 一つ の 信念 をも っ て全 体. 七・ 季吟 )の 例 のよ うに 「巻 頭 」の 意 もあ るが 、加 え て「 関東 」 も掛 ける. なた 様の 時 代の 春で す 。. る 江 戸 の 海 」( 江戸 蛇 之 酢・ 八 ・ 泰徳 ) な どが あ る が 、少 な い 。◇ つ くと. 〔 解釈 〕◇ 江 戸の 海. 江戸 湾沿 い の埋 め立. 「 く はん 」は 「 一以 貫之 」の 「 貫」 を掛. も か。. 「 江戸 の 海」 と 詠ん だ句 例は 「 ほら 貝や 春 知り そむ. て 地 。 明 暦 の 大 火 ( 一 六 五 七 年 ) の 後 に 造 成 さ れ た 。「 尽 き じ 」 を 掛 け. 〔 作 者 〕 松 村 吟松 ( 武 蔵・ 江 戸 )。は じ め 正恒 、 の ち吟 松 。 重 頼門 ( 大 系. 尽く とも 。江 戸 の海 が尽 き ても 、 の意 。 ◇築 地. る 。「 つく とも つ き じ」 を 用 いた 歌 例 に 「一 節 に 千世 を こ め たる 杖 な れば. 図) 。 四〇 句。. 御 紋 さへ やあ ふ ひて も猶 君 が春. 御 紋 を 見 る だ け で も 、 の 意 。◇ あ ふ ひ. 〔 句意 〕葵 の 御紋 に逢 った だ けで もな お 一層 お めで たい 、あ な た様 の時 代. 赤 塚資 仲. つ く と も つ き じ 君 が 齢 は 」( 拾 遺 集 ・ 二 七 六 ・ 大 中 臣 頼 基 ) が あ る 。 ま た、 俳 諧の 例に 「つ く とも つ きじ 御賀 の祝 ひ /飾 りぬ る ひげ この 竹 も千 代 こめて(友静 )」 ( 続山 井・ 四 五三 /四 五 四) があ る 。 〔作者〕橋本富長(山城・京 )。二二一句。. 江 戸橋 や 幾代 をか け て君 が春. 春で す。 〔解釈〕◇御紋さへ. 春が やっ て きま した 。. 高 貴 な人 のお 耳 に入 れる 。お 耳 に入 れる こ とを 詠. 〔 句意 〕あ なた 様 のお 耳に も 達し てい る でし ょう か 。立 春を 迎え て 平穏 な. 上 聞に 立 つや の どけ き君 が 春. ・. 〔 作者 〕赤 塚 資仲 (武 蔵・ 江 戸 ) 。 二三 句。. 「 逢 ふ 」 を 掛 ける 。 葵 の 御紋 を 詠 んだ 句 に 、「 御紋 と て こ とに 時 め く葵 か. 江 戸の 町 に架 かっ て いる 橋。 句例 に 「富 士白 し 江戸 橋. 〔 句意 〕江 戸に 架か っ てい る 橋よ 。そ れが 幾 代に もわ た って 架か っ てい る. 〔 解釈 〕◇ 江 戸橋. 山 の 五 月 や み 」( 誹諧 東 日記 ・ 三 五八 ・ 工 迪 )が あ る 。◇ 幾代 を か け て 「 か け て 」 は 「 橋 」の 縁 語 と なる 。「 橋 か けて 」 の 句に 「 泉 水に 七 夕 渡 す 橋 かけ て 」 ( 大坂檀 林 桜千 句 ・二 七七 ・西 鶴) が ある 。 〔作 者〕 矢吹 嘉品 ( 陸奥 ・岩 城 ) 。八 九句 。 (わ). 一 も つ てく は ん とう の 代や 君が 春. 〔 解釈 〕◇ 上 聞に 立 つ. 信) があ る。 一 般的 には 「上 聞 に達 す る」 であ るが 、 ここ では 「 立春 」の. む 句 例 に 、「 上 々 の お 耳 に も 入 る す ず な か な 」( 続 山 井 ・ 一 四 六 二 ・ 正 〔句 意〕 一つ の信 念 をも って 全 体を 貫ぬ き 、関 東を 率い る あな た 様の 時代. 意 味を 響か せ るた め 、 「 立つ 」と した か 。. (いつ). 29. の 春と なり ま した 。. 松 村吟 松. 福 田調 也. な」 (境海 草 ・三 一 四・ 正甫 ) があ る。. 矢吹 嘉品. 28. よう に、 何 代に もわ たっ て 続く あな た 様の 時代 の 春で す。. 26 27.
(11) 〔 作 者 〕 福 田 調 也 (武 蔵 ・ 江 戸 )。 調 也、 後 に風 琴 子 。 江 戸南 伝 馬 町に 住 む。 始め 調 和門 、後 に 露沾 門と な り、 露言 を称 す (大 系 図 ) 。一 四句 。 年. 松の 葉 や数 に千 歳 の君 が 春 小沢 衆下. 大 村可 全. 口語 表現 。恐 れ 多い こ とで すが 、 の意 。用 例は 少. 〔 句意 〕恐 れ 多い こ とで すが 、酔 って も よい で しょ うか 、 あな た様 の世 の 春を 迎 えた ので 。 〔解 釈〕 ◇恐 れ なが ら. 捧 ぐ る / 心 強 き 鬼 か と 思 ふ 後 朝 に ( 鴎 )」( 六 九 七 / 六 九 八 ) が あ る 。 ◇. な い が 、 同 じ 表 現と し て 『続 山 井 』「 恋 誹諧 連 歌 」の 「 恐 れな が ら も 文を 〔句 意〕 松の 葉 の数 のよ うに い つま で も続 く、 あ なた 様の 時代 の 春な ので. 「 酔 ふ」 は「 恐 れな がら よか れ 」と 「 酔ふ 」を 掛 ける 。. 酔 ふて もよ か れ. 〔 備 考 〕 寛 文 一 〇 年 ( 一 六 七 〇 )『 歳 旦 発 句 集 』 一 三 一 〇 に 同 じ 句 が 載. 「 酔 ふ 」 の 句 例 に 、「 酔 て い は ふ 酒 や 麹 の 花 の 春 」( 歳 旦 発 句 集 〈 年 次 未. 表 現 。 松 の 葉 の 数の よ う に年 を 重 ねる 御 代 、 の意 。 ◇ 千 歳. る。. 〔解 釈 〕◇ 松の 葉や 数 に. 歳」 に松 の 葉の 数を 絡め た 歌例 に「 千 歳を もあ か ず有 るべ き 松の 葉の 数を. 〔 作 者 〕 大 村 可 全 ( 山城 ・ 京 )。 寛永 一 三 年 (一 六 三 六) ~ 元 禄二 年 ( 一. 詳〉 ・ 三二 五 ・著 英) が ある 。. 年 に も な さ む と ぞ思 ふ 」( 清 慎公 集 ・ 六 五) が あ る。 句 例 に「 松 の は かた. 六八 九) 一 月二 〇日 。 家名 を 白木 屋と いう 。 京室 町住 。 寛文 二年 ( 一六 六. 長 い 時 。「 千. 千世 にや 千 代を 重菊 」 (時 勢粧 ・ 一九 二九 ・維 舟 )が ある 。. 楽な 代 や舜 何人 ぞ 君が 春. 寛 文十 二年子 正月 上旬. 句。. 二 )、 二 七 歳 で 江 戸 日 本 橋 に 呉 服 店 白 木 屋 を 創 業 。 季 吟 門 ( 大 系 図 )。 八. よい 事の こ れひ とつ やは 君 が春 阿 形玉 椿. 〔 句意 〕よ い 事は こ れひ とつ だけ で はあ りま せ ん。 よい 事 がた くさ ん 起こ る あな た様 の時 代 の春 なの で す。. 〔句 意〕 安心 して 暮 らす こと の でき る世 の 中で す。 中国 古 代の 聖 王で ある. 「よ い事 」と 詠 んだ 句例 に 「二 つよ い 事や 君が 代 花の. 〔解 釈〕 ◇よ い 事. 平穏 な、 安 心な 、 の意 。句. 〔解 釈〕 ◇ 寛文 一二 年. 一六 七 二年 。 ◇楽 な. ひと つや は. 例 に 「 戸 ざ さ ぬ や 我 が 家 楽 な 御 代 の 春 」( 歳 旦 発 句 集 〈 年 次 未 詳 〉・ 三 一. これ ひ とつ だろ う か、 いや そう で はな い、 の 意。 句例 に 「三. 物 は是 ひと つ やは 君 が春 」 ( 時勢 粧・ 一 九九 〇・ 維 舟) が ある 。. の 意 で あ ろ う 。 句例 に 「 二度 や 尭 と舜 禹 の 御 代 の春 」( 慶 安三 年 〈 一六 五. ふたたび. は、 中国 古代 の 聖王 であ る舜 が 何者 と いう のか 。あ な た様 には 及 ばな い、. 「 舜 」は 中 国 古代 の 聖 王 。「 舜何 人 ぞ 」. 二 ・ 湖 春 ) が ある 。 ◇ 舜何 人 ぞ よ. 吉 田 健 一 ・ 松 本 麻 子 『 桜 川 』 注 釈 ( 一). 恐 れな がら 酔 ふて もよ か れ君 が春. 〔作者〕阿形玉椿(山城・京 )。一句. 舜 でさ えも 及 ばな いあ な た様 の時 代の 春 なの で す。. 33 春 」( 寛 文 四 年〈 一 六 六 四〉 歳 旦 発句 集 ・ 九九 四 ・ 元 隣) が あ る。 ◇ こ れ. 北 村湖 春. 〔作者〕小沢衆下(陸奥・二本松)。一一八句。. の 葉 数 は 少 な か り け り 」( 六 三 三・ 藤 原 孝善 ) と あ り、 こ の 歌を 踏 ま えた. 『 千載 集』 に 「君 が代 に比 べ てい はば 松 山の 松. す。. 30 31 32. ( 71 ).
(12) 第十三号. ( 72 ). いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. し まし た。. 家 」 を 用 い た 句 例 に「 御 当 家 や千 世 を かさ ね て 祝ふ ら ん 」( 大 坂檀 林 桜 千. 〇 〉 歳旦 発 句 集・ 五 四 八 ・重 以 )、「 尭舜 の 御 代に も こ ゆ る今 年 かな 」( 続. 〔 備 考 〕 寛 文 一 二 年 ( 一 六 七 二 )『 歳 旦 発 句 集 』 一 四 八 五 に 同 じ 句 が 載. 句・五〇九・友雪)がある。◇葵祭. 「 御 当 家 」 は 、 こ こ で は 徳 川 将 軍 家 を 指 す 。「 御 当. る。. 月」 に「 葵祭 」 が見 える 。た だ し、 葵 祭( 賀茂 祭) は 応仁 の乱 後 中断 し、. 〔解釈〕◇御当家. 〔作 者 〕 北 村湖 春 ( 山 城・ 京 )。慶 安 元( 一 六 四 八) 年 ~ 元禄 一 〇 (一 六. 復 活し たの は 元禄 七年 (一 六 九四 )の こ とで あ って 、こ の当 時 祭り は行 わ. 山井 ・一 一 六八 ・貞 徳 )が ある 。. 九 七) 年一 月 一五 日。 季吟 の 長男 。名 は 季重 。 薙髪 して 湖春 と 改め る。 二. れ て い な い 。「葵 祭 」 は夏 の 季 でも あ る こ とか ら 、 ここ で は 実際 の 葵 祭 を. 千 句 ・ 一 ) な ど 多数 の 句 があ る 。 特に 、『 歳旦 発 句 集』 に 用 例が 多 く 、 こ. 神 を 迎 え た め で た い 正 月 の こ と 。「 飛 梅 や か ろ が ろ し く も 神 の 春 」( 守 武. や か ざ す お み やの 神 祭 」( 続山 井 ・二 八 三 九 ・重 信 ) があ る 。 ◇ 神 の春. 『毛吹草』の「誹諧四季之詞・四. 〇歳 で宗 匠 とし て独 立 。季 吟に 従っ て 江戸 に移 住 。法 橋 。父 に先 だっ て 死. 指 す の で は な く 、「 葵 を 祭 る 」 の 意 で あ ろ う 。「 葵 」 を 詠 ん だ 句 に 「 小 葵. きみ. 去(大系図 )。五三句。 也. 鹿 は 鹿馬 は馬 な り君 が春 望 月千 之. の時 代に 好 まれ た表 現。. 〔 作 者 〕 高 野 幽 山 ( 山 城 ・ 京 )。 ? ~ 元 禄 一 五 ( 一 七 〇 二 ) 年 九 月 一 四. 〔 句意 〕鶴 ケ 岡八 幡 宮、 これ こそ 源 氏の 守り 神 であ り、 こ こに も春 が 到来. 鶴ケ 岡こ れ ぞ源 氏の 神の 春. 住 。 藤堂 任口 に仕 え る( 大系 図 ) 。 四 四句 。. 〔 句意 〕権 勢 にお もね るこ と なく 、鹿 は 鹿だ と 言い 、馬 は馬 だ と言 う家 来. 『 史 記 』「 秦 始 皇本 紀 」 にあ る 趙 高 が二 世 皇 帝. 日。別号、丁々軒。重頼門か。京都の人。江戸に移住。晩年、伊勢に移. 〔 解 釈 〕 ◇ 鹿 は 鹿 馬 は馬. に 鹿を 馬だ と言 っ て献 上し た 際、 左右 の 臣下 は趙 高 の権 勢を 恐れ 、 その 言 の誤 りを 正 す者 が無 かっ た とい う故 事 によ る。 こ の故 事を 出典 と する 和歌 の 例 に 「 鹿 を み て 馬 と い ひ け る 人 だ に も 猪 を ば う し とや 思は ざ り け ん 」. 鹿毛の駒迎」(続境海草・八〇二・林見)がある。. し まし た。. (散 木奇 歌 集・ 一三 四 六) があ る 。ま た、 俳諧 の 例に 「 鹿を 馬と い ふに や. 〔 作 者 〕 望 月 千 之 ( 山 城 ・ 京 )。 延 宝 ~ 天 和 ご ろ 。 京 都 住 。 は じ め 大 原. 〔解釈〕◇鶴ケ岡. 源 氏を 称 する 徳 川将 軍家 。武 家 とし ての 源 氏を 詠ん. 集 ・一 二〇 六 ・似 空) など が ある 。内 藤 家は 藤 原氏 の分 流。. 貞徳 )、「世 は源 氏 け ふ 立つ 春 や 太郎 君 」(寛 文 八年 〈 一 六六 八 〉歳 旦 発句. だ 句 は 少 な い が 、「 重 代 の 源 氏 の は た を 取 出 だ し 」( 犬 子 集 ・ 三 〇 九 五 ・. の 意も 含む 。◇ 源氏. か ぬ ぞ 鶴 が 岡つ つ じ 」(ゆ め み 草・ 六 八 〇・ 頼 広 ) のよ う に 長寿 を 祝 う鶴. 鶴岡八幡宮のこと。現在の神奈川県鎌倉市にある神. 氏、のち望月氏と改む。重頼門。従弟千春とともに季吟門とも(大系. まつり. 御 当家 や 葵 祭 の 神 の春. 〔 句意 〕将 軍家 の御 紋 であ る 葵の よう に 、仰 いで 神を お 祭り する 春 が到 来. 高野 幽 山. 社 。 鎌 倉 八 幡 宮 とも 呼 ば れる 。 武 家 源氏 、 鎌 倉 武士 の 守 護神 。「 千 年も 飽. 36. 図) 。 五句 。. 岩 城住 露沾. の揃 って い るあ なた 様 の世 に 春が 到来 しま し た。. 34 35.
(13) 〔 作 者 〕 内 藤 露 沾 (陸 奥 ・ 岩 城 )。 明 暦元 ( 一六 五 五 ) 年 五月 一 日 ~享 保. 〔備 考〕 前 句で 大国 主命 が 登場 した の で、 大国 主 命と 同一 視さ れ るこ との. せ ない 。. あ る大 黒天 の 句を 持 って 来た の であ ろう 。以 下 、し ばら く 神の 句 が続 く。. 一八 (一 七 三三 )年 九 月一 四日 。 本名 、内 藤義 英 、の ち 政栄 。磐 城平 藩 主 風 虎の 次男 。 嗣子 に 立て られ る が、 家中 の内 紛 によ り廃 嫡 。宗 因 門。 門人. 吉 田聞 也. 〔 作 者 〕 水 野 林 元( 陸 奥 ・二 本 松 )。 奥州 二 本 松丹 羽 家 中 (大 系 図 )二 〇 一句 。. 注連 縄 やた かみ むす び の神 の春. た か み む す び. に露 言 、沾 徳、 露月 、 沾圃 、 沾涼 らが い る( 大系 図 ) 。 四五 句。 おさ. 治 まる や 大国 御魂 の神 の 春 野間 政安. を 迎え るこ と にな りま した 。. 〔 句 意〕注 連 縄を 誰 が結 んだ の でし ょう か。 高 御産 巣日 を 祭る め でた い春. 〔 解釈 〕◇ 治 るや. 注連 縄を 詠 んだ 句は 多く 、 例え ば「 し め縄 は 去年 と今. 年 の 境 い 目 か な 」( 犬 子集 ・ 二 五 ・常 勝 / 崑山 集 ・ 一九 ) な ど があ る 。 ◇. さ. 国御魂. たか みむ す び. あめのみなかぬし. 意) 」に掛 け る 。 「む すび 」は 縄 の縁 語。. 〔 作者 〕吉 田 聞也 (陸 奥・ 岩 城 ) 。 八七 句。. 門 松や 久 しき し るし 神の 春. か む む す び. 岡 部任 幸. 高御 産 巣日 の こと 。高 御産 巣 日は 記紀 に 見え る神 で 、造 化. た か み む す び. 國魂 神社 を 言う か。 大 國魂 神 社は 正保 三年 ( 一六 四六 ) の火 事で 社 殿が 焼. 三 神 の一 つ。 天地 開 闢の 時、 天 之御 中主 に つい で、 神産 巣 日と と もに 現わ. た か み む す び. け 、 寛文 七年 (一 六 六七 ) 、 将 軍家 綱の 命に より 再 建さ れ た。. れ た 。 な お 、「 た か み む す び 」 は 「 誰 が み 結 び ( 誰 が 結 ん だ の か 、 の. こく. 大 黒や 手 なづ ち祝 ふ 神の 春. 七福 神の 一 つ大 黒天 の こと 。大 国 主命 を本 地と す る説 が. 〔 句意 〕門 前に 立 って いる 松 はい つま で も続 くこ と のし るし であ り 、霊 験 もあ らた か な神 を祭 る 春を 迎え まし た 。. あしなづち. 五四 ・伊 人 )が ある 。 ◇手 な づち. 〔 解釈 〕◇ 門 松. 久し いこ との し るし 、長 く. 松 は 常緑 樹で あ り、 変化 のな い こと か ら永 続性 を 寿ぐ 。. 天照の弟である須佐之男が出雲で八岐大蛇を退治した後結婚した. 「 門 松 や 御 代 長久 の か がみ 草 」( ゆめ み 草 ・一 ・ 空 存) の よ うに い つ ま で. く し な だ ひ め. 櫛名 田 比売 の母 。大 国 主、 須 佐之 男の 六 世の 孫と され る 。右 手に 打 ち出 の. も続 く世 のめ で たさ を表 す。 ◇久 しき しる し. て な づ ち. 小槌 を も つ 大黒 天 の 姿か ら 手 名椎 を 登 場 させ た の であ ろ う 。「手 な づち 」. 続 く こ と の 象 徴 、の 意 。 歌例 に 、「 天 の下 の 久し き 御 代 のし る し に は三 笠. 吉 田 健 一 ・ 松 本 麻 子 『 桜 川 』 注 釈 ( 一). て な づ ち. 手 名椎 は出 雲の 国 つ神 。足 名 椎の 妻。. 40 に 「小 槌」 の 「つ ち」 を掛 け る。 手名 椎 を詠 ん だ和 歌や 俳諧 の 例は 見い だ. て な づ ち. あ る 。「 大 黒 」 を 詠 ん だ 句 例 に 「 元 三 や ゑ び す 大 黒 福 の 神 」( 崑 山 集 ・ 二. 〔解 釈〕 ◇大 黒. 〔 句意 〕大 黒天 が自 ら 小づ ち を握 って 祝う 神の 春 が到 来 しま した 。. 水野 林元. 〔作者〕野間政安(伊勢・朝熊岳 )。五六句。. 「 大 国 」 は 日本 の こ と 。「 大 国御 魂 」 は 大国 主 命 を祭 っ て いる 大. 〔注 釈〕 ◇ 注連 縄. た。. 39. る や ゆ るり 関東 の 御 代の 春 」(貞 徳 誹 諧記 ・ 五五 二 ・ 一 貞) が あ る 。◇大. 世 の中 が平 穏 無事 で、 治ま っ てい る こと 。句 例 に「 治. 〔 句 意 〕 世 の 中 が よ く 治 ま っ て い ま す 。 大 国 主 命 を 寿 ぐ 春 が 到来 しま し. 37 38. ( 73 ).
(14) 第十三号. で 「 棹 」 と し た 。句 例 に 「真 す ぐ な 御代 の は じ めや 佐 保 姫御 」( 貞 徳誹 諧. 斎宮 は 伊勢 神宮 に 奉仕 した 未婚 の. と し がみ 、 年 神 とも 。「 歳徳 神 」 に同 じ 。 その 年 度 に お. 二八 五・ 宗 雅) があ る 。◇斎 宮 なら し. 佐 保姫 と斎. 内 親 王 。「 な ら し 」 は 「 な る ら し 」 で 、「 き っ と … で あ る は ず だ 」 の 意 。. 「 斎宮 なら し」 は 「斎 宮で あ るの だろ う 」の 意。 ◇ 佐保 姫御. ( 74 ). いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. の山のさか木をぞさす 」(新勅撰集・四四六・藤原行家)がある。. 記・五五〇・常友)がある。◇竹. 「等 し 」 を 用い た 句 例に 「 う きし づ む 平 家は 夢 に 等し く て 」(西 山 宗因 千. 松 と 竹 と は 久 し き も の を 」( 散 木 奇 歌 集 ・ 一 三 一 二 ) が あ る 。 ◇ 等 し. く 、永 続す る もの の たと え。 歌 例に 「ほ どな く も取 りい だ せと や 思ふ べき. 色が変わらないことから、松と同じ. 〔作 者〕 岡 部任 幸( 参河 ・ 吉田 ) 。三 三句 。 さ ほ. 佐保 姫 や出 る太 刀 輪の 神 の春 釈加 友. 〔 作 者 〕 水 野 雀巣 軒 贇 軒( 尾 張 ・ 名古 屋 )。刈 谷 城 主、 水 野 下野 守 忠 正 の. 句 ・五 二七 ・ 宗因 )が ある 。 〔句 意〕 佐保 姫 がま っす ぐに お 立ち に なっ たこ と で、 めで たい 神 の春 がや. 春を つ かさ どる 女 神。 正月 を 祝う 句に よく 使 われ る。 さ ほ. 〔句 意〕 歳 神の 中で も 美し い佐 保姫 さ まは 、伊 勢 の斎 宮 のよ うな もの なの. 歳 神の 斎宮 な らし 佐保 姫 御. 寛 文七 年未 正月 中旬. 五 代孫 。一 一 句。. 〔注 釈 〕◇ 佐保 姫. 文 意 不明 。 こ の 句は 『 歳 旦発 句 集 』( 寛文 七 年 〈一. 句 例 に 「 佐 保 姫 や 北 の御 か た 神の 春 」( 時 勢粧 ・ 七 四 七二 ・ 時 次) な ど が あ る 。 ◇ 出 る 太 刀輪. 六 六 七 〉・ 一一 八 三 )に 「 佐 保 姫や 出 立 から は の 神の 春 / 加 友」 の 形 で収. た 。「 佐保 姫 」に 「 棹 」 を掛 け 、「 竿立 ち 」と し た か 。「 竿立 ち 」と は、 馬. で し ょう 。. 録 さ れ て い る 。「 出 る太 刀 輪 」 は「 出 立 から は の 」の 誤 記 と 見な し 解 釈し. が 前 足を 上げ 、ま っ すぐ に立 ち 上が るさ ま 。. 〔解釈〕◇歳神. とし とく じん. 〔 作 者 〕 釈 加 友 (伊 勢 ・ 山田 )。 寛文 ( 一 六六 一 ~ 七三 ) ご ろ に六 〇 ~ 七. かみ. ける 福徳 や 五穀 豊穣 をつ か さど る神 。 この 神の い る方 角を 恵方 と いう 。句. ひと. 〇歳 で没 か 。別 号、 般舟 庵 、春 陽軒 。 はじ め望 一 門、 のち 貞徳 門 。伊 勢国. 八 幡奉 納 たけ. 棹 姫御 竹と や等 し 神の 春. 宮 を用 い た 句に 「 佐 保姫 や 斎 宮に た て ん 伊勢 桜 」(続 山井 ・ 二 三 一 五・ 重. 〔 備 考 〕 こ の 句は 『 時 勢粧 』 一 〇 〇六 に も 所収 さ れ る 。『ゆ め み草 』 四 一. 以 )が ある 。 〔句 意〕 春 の女 神で ある 棹 姫さ まは 、 棹の 竹と い うわ けで はな い が、 竹と. に 「年 徳の 斎 の宮 か 佐保 姫御 」 ( 休安 )と い う句 があ る。. あ. 神 の岩 戸伊 勢 海老 錠や 明 けの 春. 鎖. 同 じよ うに 変 わる こ とが あり ま せん 。そ の神 が お出 でに な る春 が 到来 しま. 佐 保 姫 の こ と 。「 た け ( 竹 )」 と の 縁. 現在 のい わ き市 平に あ る飯 野八 幡 宮を 指す か。 飯 野八 幡. 〔作 者 〕小 谷常 明( 因 幡・ 鳥取 ) 。四 句 。. 〔解 釈〕 ◇八 幡. は 平 城 の 城 内 に あ っ た 。◇ 棹 姫 御. 44. した 。. 水野 贇賢. 例 に「 年徳 の 神木 な らし はな の春 (寛 文 九年 〈 一六 六九 〉 歳旦 発句 集・ 一. 43. 松 坂樹 敬寺 の 塔頭 法 樹院 の住 職( 大系 図 ) 。 一六 句。. 小谷 常明. っ てき まし た 。. 41 42.
(15) 松 山玖 也. り ませ んが 、 白々 と 明け て正 月 を迎 えま した 。. 〔 句 意 〕「 人は い さ 心 も知 ら ず 」と い う 和歌 の よ う に、 人 の 心は さ あ わか 〔 句意 〕神 代 の昔 に 海老 錠で 閉ざ され て いた 天 の岩 戸を 開 けた よう に、 伊. [ 解 釈 ] ◇ 人 はい さ. 花ぞ 昔 の 香 にに ほ ひ ける 」(古 今 集・ 四 二 ・ 紀貫 之 ) が本 歌 。 ◇し ら り. 人 はさ あ 、 の意 。「 人は い さ 心も 知 ら ずふ る さ とは. 勢海 老 を飾 る新 春を 迎 えま し た。 〔解 釈〕 ◇神 の 岩戸. 貫 之歌 の「 知 ら」 と、 夜が 明 けて 空が 「 白」 む を掛 ける 。句 例 に「 野は し. 「伊 勢」 は 「神 の岩. 戸 」 か ら 導 か れ る 。「 伊勢 海 老 錠」 は 「 伊 勢海 老 」 と海 老 の 形を し た 錠 前. らり しら り と明 る五 月 闇 」 (正 章千 句 ・九 四三 ) があ る。. 天の 岩戸 の意 。 ◇伊 勢海 老錠. であ る「 海 老錠 」と を 掛け る。 新春 に 「伊 勢海 老 」を 飾 るこ とを 詠ん だ 句. とし. 四句。. 〔 作者 〕佐 々 惟友 (大 和 ・郡 山). うちと. をそ. と. 立 春 遅き 元旦 に 取 る年 や先 片 隙を 明け の 春. あ. 例 に 「 伊 勢 海 老 も内 外 に か ざ れ門 の 松 」( 時 勢粧 ・ 一 〇一 四 ・ 日野 好 元 ) ぢやう. が あ る 。 ま た 、「 海 老 錠 」 の 句 例 に 「 天 の 戸 の 海 老 錠 な れ や 三 日 の 月 」. こ こで は「 神 の岩 戸を 開 ける 」. (ゆめみ草・一九〇四・隼之介 )、 「伊勢海老は岩戸の 鎖 や秋の海 」(崑山 集 ・六 五〇 三 ・舎 次) があ る 。◇ 明の 春. 柏木 万年 子. 〔句 意〕 ま たひ とつ 年 を取 りま す。 元 旦の 後に 立 春に な るの で、 余裕 をも. 元 旦が 立春 より 遅 い年 に、 の 意。 ◇ 取る 年や. っ て 正月 を迎 える こ とに いた し ます 。 〔 解釈 〕◇ 立春 遅 き元 旦に. 「まづかたひま」と読む. 新年 を迎 え て年 をと るこ と 。句 例に 「 年を と るゆ へか 若や ぐ今 日 の春 」. (ゆめみ草・五三・有次)がある。◇先片隙. か 。「 片 」 は 「 少 し 」 の 意 で 、「 片 隙 」 は 少 し の ひ ま を い う 。 仕 事 な ど の. 「 明け 」 は「 隙」 に 続け て 「ひ まに なる 」 の. 意 の 「 ひ ま を 明く 」 を 掛 ける 。 句 例に 「 朝 氷ひ ま の あ いた る 詠 か な 」( 毛. あ いま の こと 。◇ 明 けの 春. 〔解釈〕◇寅の時. 六三 句。. 塩 川如 白. 吹 草 ・ 六 五 五 ・ 一 正 ) が あ る 。「 片 ひ ま を 明 け 」 は 「(少 し 暇 が で き た の で )余 裕を も って 」と 解 する 。. 江 戸城 の 虎の 門の こ と。 虎の 門 の近 くに 内 藤家. 六 )が ある 。◇ 虎の 御 門. あ. 遁世 やこ とぞ と もな く明 け の春. 遁世 の 身な れば. 〔作 者〕 柏 木万 年子 (武 蔵 ・江 戸). ・. 48. 〔 作者 〕稲 垣 久儔 (陸 奥 ・岩 城 ) 。 一〇 句。 こゝろ. 人は いさ 心 は し らり 明け の春. 吉 田 健 一 ・ 松 本 麻 子 『 桜 川 』 注 釈 ( 一). 佐 々惟 友. 上屋敷があった 。「虎の門」を詠む和歌、俳諧の用例は見当たらない。. 寅 の 刻 の こ と 。 午 前 四 時 頃 。 七 つ と も いう 。 句 例 に. 47. 「 大磯 の 松 風寒 し 寅 の時 」( 犬子 集・ 一 五 三 二・ 徳 元 /塵 塚 誹 諧集 ・ 七 八. 稲 垣久 儔. の 意 を 掛け る。 句 例 に「 天 の 戸 や明 の 春 たつ 日 花 門 」( 延宝 二 年〈 一 六 七. 参照 。 四五 二句 。. 四 〉歳 旦発 句 集・ 一 六八 六・ 国信 ) があ る。. あ. 〔作 者〕 松 山玖 也( 摂 津・ 大坂 ) 。. 江 戸に て とら. 寅の 時虎 の 御門 や明 けの 春. 14. 〔 句意 〕寅 の 刻に 虎 の御 門が 開け ら れ、 新春 を 迎え まし た 。. 45 46. ( 75 ).
(16) 第十三号. 磐城 平 城の こ. 〔句 意〕 新 春が 明け て、 磐 城平 城の 太 鼓が 鳴り 響 いて いま す。 明 け六 つの 時 刻に 陸奥 国 で。. 年が 明 けて 新春 を 迎え た こと 。◇ 城 よく. り も 時 の 太 鼓 の 音は 能 て 」( 誹 諧独 吟 集 ・二 八 八 ・立 圃 ) が ある 。 ◇ 陸 奥. 一 二 〇句 。. 参 照。 四五 二句 。. ※(まつもと・あさこ/日本文学). ※ (よ しだ・ けんいち /いわ き明星大 学大学院 人文学研 究科日 本文学専 攻). 14. ( 76 ). いわき明星大学大学院人文学研究科紀要. 〔句 意〕 俗 世間 との 交わ り を立 って い る身 なの で 、特 にな んと い うこ とも な く新 春が 明 けま し た。. 〔解 釈 〕◇ 明け て春. 俗 世 間 と の 関 係 を 絶 つ こ と 。「 遁 世 」 を 用 い た 句 例 に. 〔解釈〕◇遁世 と。 ◇太 鼓. 「た い」 と「 平 」を 掛け る 。時 を 告げ る太 鼓の 句例 に 「鐘 よ. 「奥 山 に 遁 世し た か 郭公 」(犬 子 集・ 六 九 五 ・休 音 / 崑山 集 ・ 二九 三 九 ) な どが ある 。◇ こと ぞ とも なく の国. と くに な んと いう こと も なく 、 の意 。こ. とぞ とも な く明 けた 、 と続 く。 歌例 に 「秋 の夜 も 名の み なり けり 逢ふ と い. つ 」を 掛け る 。. 色 は様 子 、景 色。 春 の様 子。 句例 に 「春 の色 や 霞に な. 現 在の いわ き 市平 にあ る いわ き. 「 東 方 」を 用 い た 句例 に 「 春は け ふ 東 方よ り や 九千 歳 」( 崑. つ. 現 在 の 東 北 地 方 。 磐 城 平 藩 は 陸 奥 国 の 南 部 に 位 置 す る 。「 明 け 六. へ ば こ と ぞ と も なく 明 け ぬ る もの を 」( 古 今集 ・ 六 三五 ・ 小 野小 町 ) が あ. 〔作 者 〕松 山玖 也( 摂 津・ 大坂 ) 。. 浅香 研思. り、 本 発句 の本 歌と 見 なせ る 。. ・. 〔 作 者〕塩 川 如白 ( 陸奥 ・岩 城 ) 。 一 四九 句。 め. あか め. 陸奥 岩城 赤 目崎 と云 ふ所 に て 春 の色 や 東方 まさ に 赤目 崎. もい う。. む. 〔 作者 〕浅 香 研思 (陸 奥 ・岩 城) ・. 明け て春 城の 太 鼓や 陸奥 の 国 松 山玖 也. と も ) と 呼 ば れ てい た 。「 赤 目」 は 夜 が明 け て 空 が明 る く なっ て き たこ と. 駅 の 北 側 を い う 。 磐 城 平 城 が あ っ た 場 所 は 「 赤 目 崎 見 物 岡 」(「物 見 岡 」. 山 集・ 三二 九・ 貞 徳) があ る 。◇ 赤目 崎. る。◇東方. び く 松 飾 」( 寛文 一 一年 〈 一 六七 一 〉 歳 旦発 句 集 ・一 四 三 六 ・理 善 ) があ. 〔 解釈 〕◇ 春 の色. 名の 通り に 明る くな って 参 りま した 。. 〔 句意 〕新 春の 様子 が 見え ま す。 東の 空が 磐 城平 城の あ る赤 目崎 と いう 地. 49 50.
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