• 検索結果がありません。

ハイブリッドペトリネットを用いたタンク・システムの解析

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ハイブリッドペトリネットを用いたタンク・システムの解析"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ハイブリッドペトリネットを用いたタンク・システムの解析

山城光雄1,古郡友樹1

1創生工学科・情報システムデザイン学系

Analysis of Three Tank Systems by using Hybrid Petri Nets

Mitsuo YAMASHIRO,Yuuki FURUKOORI

1. 緒論 多くのシステムを研究する上での有力なツー ルの1つにペトリネット(Petri net)があり,数学的 な表現を用いてモデル化することができ,1962 年 C. A. Petri によって考案された.モデル化したシ ステムを解析することにより,システムの構造と 動的な挙動の情報を得ることができ,設計,評価, 変更および改良が可能となる1).ペトリネットは, システムの並行的,非同期的,分散的,並列的, 非決定的および確率的な挙動を記述するのに有 用である.従来のペトリネットは,確定的な時間 を考慮した時間ペトリット,時間を確率分布の形 で置き換えた確率ペトリット,連続値とその値を 連続的に変化する事象をもつ連続ペトリネット と拡張されている.また,ハイブリットペトリネ ットは,一般の離散値をもつペトリネットに,状 態が連続的に変化する値をもつ部分を融合した モデルである2).David ら3)と平石4)が報告してい るペトリネット理論の中にタンク・システムがあ る.このシステムは,2 つのタンク(水槽)が直 列に並び(double),1 個のバルブと 1 つのポンプが の各タンクに接続されており,タンクからの水が 次のタンクに流れ,バルブの開閉,ポンプの稼動 と非稼動により汲み上げ,水量を制御する挙動を ハイブリッドペトリネットのモデルとして表現 されている. 本研究ではDavid らと平石が扱ったタンク・シ ステムを拡張して,3 つのタンク(水槽)が直列 に並んだ場合,1 つのタンクから 2 つのタンク,2 つのタンクから1 つのタンクに水が流れる 3 つの タンク・システムを想定する.これらのシステム にバルブとポンプを接続した場合の流量変化を 時間ハイブリッドペトリネットのモデルとして 表現し,数値例を挙げて時間によるタンクにおけ る水量,バルブの開閉とポンプの作動(ON)と 休止(OFF)の経時変化をグラフに表し,展開グ ラフ3)(evolution graph)を作成する. 2.ペトリネットの要素と時間ペトリネット 一般にペトリネットは,プレース(place),ト ランジション(transition),有向アーク(directed arc),トークン(token)の4個の要素から構成さ れるグラフィック言語であり,図1に示す.プレ ースは円(丸),トランジションは縦棒,有向アー クはトランジションとプレースを結んでいる矢 印で表す.プレースの中のトークンは,トランジ ションの発火(firing)によりプレースからプレー スへ移動する.すなわち,トランジションが発火 するには,入力プレースがすべてトークンをもた なければならない.トランジションが発火可能 図1 ペトリネットの構成要素 Abstract

Petri nets are widely used to model discrete event dynamic systems such as computer systems, manufacturing systems etc.. Continuous Petri nets are defined as a continuous system or an approximate discrete system. A hybrid Petri net can be dealed if one part is discrete and another part is continuous.

In this study, the systems consisting of three tanks connected with valves and pumps are treated and model as timed hybrid Petri nets. Numerical examples are given and obtained hybrid Petri net models , timed charts and evolution graph.

Key words ; Petri nets, Continuous Petri nets, Hybrid Petri nets, Tank systems, Analysis,

p1 p1 p2 p2 t1 t1 足利工業大学研究集録 第49号 2015.3 - 7 -

(2)

enable)でトランジションが発火すると,入力 トークンは消滅しその出力プレースにトークン が発生する.ペトリネット全体におけるトークン の配置をマーキング(marking) と呼び,これは プレースにトークンを割り当てることをいう.一 般に,システムの初期状態を表すのに,初期マー キングが割り当てられる. 通常のペトリネットにおけるトランジション の発火は瞬時であるが,これに確定的な時間の概 念を導入したのが時間ペトリネット(timed Petri net)である.すなわち,各トランジションについ て,発火可能になって実際に発火するまでに時間 を要し,時間の導入方法により発火遅延時間,発 火継続時間,プレース時間のモデルに分類されて いる.このとき,トランジションの縦棒は細長い 長方形として内側を黒く塗り,瞬時の発火と区別 している.さらに,発火時間を確率変数として捉 えた確率的な概念を導入して,ある確率分布に従 うと想定したのが確率ペトリネットと呼ばれて いる.特に,確率分布が指数分布の確率変数に従 うものをSPN(Stochastic Petri net, SPN),一般的な 発火遅延を持つものを拡張確率ペトリネット (extended SPN, ESPN)と呼んでいる5) 3.ハイブリッドペトリネット・モデル ここでは3つの水槽から構成される3つのタ ンク・システムを扱う.

第1のタンク・システム(triple tank system)を

2 に示す.このシステムは3つの水槽 A,B,C が 直列に縦に並んでおり,水槽A からバルブ 1 によ り水が調整されて水槽B に流れ,同様に水槽 B か らバルブ2 により調節されて水が水槽 C に流れる. 水槽C から流れる水はポンプにより水槽 Aに汲み 上げられる.図2 のタンク・システムをハイブリ ッドペトリネットのモデルとして表現すると,図 3 が得られる. 図2 タンク・システム-13 ハイブリッドペトリネット・モデル2 のタンク・システムを数値例で時間による 水量の制御を説明する.初期状態として,水槽 A,B,C には

1 [ ]

0

0

l

8 [ ]

0

l

3 [ ]

2

0

l

の水が入って いる(TA,TB,TC).時間による水槽 A,B,C における水 量,

Q

A , B , C , バルブ 1,2 の開閉と ポンプの作動(ON)と休止(OFF)の経時変化を 図4~6 に示す.すなわち,初期状態からバルブ 1 は20 分開き(図 5 の縦軸 1 で示す),10 分閉じて(図 5 の縦軸 0 で示す),20 分開き,10 分閉じる.こ れを繰り返す.同様に,初期状態から,バルブ 2 は10 分開き,その間ポンプは休止し(図 6 の縦軸 0 で示す),つぎにポンプが 10 分作動し(図 6 の縦 軸1 で示す),その間バルブ 2 は閉じている.これ を繰り返す.水槽A と B からの流出速度をそれぞ れ, 1

2[ /

m

i

n

]

2

3[ /

l

m

i

n

]

とする.ま た,ポンプが作動した場合,水槽C から水をくみ 上げ,水槽A に流す流出速度を 3

4[ /

l

m

i

n

]

と する.この場合,水槽A,B,C は空になることもな く,溢れることもない. (a) TA t [min] QA[l] 水槽A 水槽B 水槽C Valve1 Valve2

=

=

=

[ ]

l

Q

[ ]

l

Q

[ ]

l

v

v

v

ハイブリッドペトリネットを用いたタンク・システムの解析 -8-

(3)

(b) TB (c) TC 図 4 時間と水量との関係 (a) Valve 1 (b) Valve 2 図 5 時間とバルブとの関係 図 6 時間とポンプとの関係 バルブの開(1)と閉(0),ポンプの作動(1) と休止(0)のトランジションの発火とそのとき の水槽 A,B,C の水量の初期状態からの経時的変化 を展開グラフとして図 7 に示す.

)

Q

,

Q

,

Q

(

)

,

(

)

,

(

v

1

v

1

v

2

p

1 A B C

0

t

)

320

80,

,

100

(

)

0

,

1

(

)

0

,

1

(

10

t

)

350

0,

7

,

80

(

)

1

,

0

(

)

0

,

1

(

20

t

)

310

0,

9

,

100

(

)

0

,

1

(

)

1

,

0

(

30

t

)

340

0,

6

,

100

(

)

1

,

0

(

)

0

,

1

(

40

t

)

300

80,

,

120

(

)

0

,

1

(

)

0

,

1

(

50

t

)

330

0,

7

,

100

(

)

1

,

0

(

)

1

,

0

(

60

t

)

0

29

0,

7

,

140

(

)

0

,

1

(

)

0

,

1

(

70

t

)

320

0,

6

,

120

(

)

1

,

0

(

)

0

,

1

(

80

t

)

0

28

80,

,

140

(

)

0

,

1

(

)

1

,

0

(

90

t

)

310

0,

5

,

140

(

)

1

,

0

(

)

0

,

1

(

100

t

)

0

27

0,

7

,

160

(

)

0

,

1

(

)

0

,

1

(

110

t

)

300

0,

6

,

140

(

)

1

,

0

(

)

1

,

0

(

120

t

)

0

26

0,

6

,

180

(

)

0

,

1

(

)

0

,

1

(

130

t

)

0

29

0,

5

,

160

(

)

1

,

0

(

)

0

,

1

(

140

t

)

0

25

0,

7

,

180

(

)

0

,

1

(

)

1

,

0

(

150

t

)

0

28

0,

4

,

180

(

)

1

,

0

(

)

0

,

1

(

160

t

)

0

24

0,

6

,

200

(

)

0

,

1

(

)

0

,

1

(

図 7 展開グラフ Valve Valve Pump QB[l] QC[l ] t [min] t [min] t [min] t [min] t [min] 山城光雄・古都友樹 - 9 -

(4)

2 のタンク・システムを図 8 に示す.このシ ステムは2つの水槽A,B が横に並んで,バルブ 1 と 2 から水槽 C に流れる.水槽 C から流れる水 はポンプ1 と 2 により水槽 A と B に汲み上げられ る.図8 のタンク・システムをハイブリッドペト リネットのモデルとして表現すると,図9 が得ら れる.初期状態として,水槽A,B,C には

800 l

[

]

]

[

600 l

,

700 l

[

]

の水が入っているとする(TA,TB, TC).時間による水槽 A,B,C における水量,

]

[l

Q

A ,

Q

B

[l

]

,

Q

C

[l

]

, バルブ 1,2 の開閉とポン プ1,2 の作動(ON)と休止(OFF)の経時変化 を第1 のタンク・システムと同様に扱うことがで き,図4~7 に相当する図が得られる. 図8 タンク・システム-2 図9 ハイブリッドペトリネット・モデル 第3 のタンク・システムを図 10 に示す.この システムは水槽A からバルブ 1 と 2 により水が調 整されて水槽B と C に流れる.水槽 B から流れ る水はポンプ1 と 2 より水槽 A に汲み上げられる. 図 10 のタンク・システムをハイブリッドペトリ ネットのモデルとして表現すると,図 11 が得ら れる.この図も図3 と図 9 と同様に,水量の経時 変化を図7 の展開グラフまで求めることができる. 4. 結論 本研究では David らと平石が扱ったタンク・シ ステムを拡張して,3 つのタンクから構成される 3 つのタンク・システムを扱った.これらのシス 図10 タンク・システム-311 ハイブリッドペトリネット・モデル テムにバルブとポンプを接続した場合の各水槽 の流量変化を時間ハイブリッドペトリネットの モデルとして表現した.数値例を挙げて時間によ るタンクにおける水量,バルブの開閉とポンプの 作動と休止の経時変化をグラフに表し,展開グラ フ を作成した.今後,実際に存在する水槽から水 が溢れる場合や水槽が空になる場合を扱う必要 がある.また,これらのタンク・システムの応用 についても検討することが課題として残される. 参考文献 1) J. L.ピーターソン(市川惇信・小林重信訳),ぺ トリネット入門,共立出版(1984)p.1. 2) 村田忠夫,ペトリネットの解析と応用,近代科 学社,(1992)pp.1-3.

3) David, R, Alla H.,On Hybrid Petri Nets, Discrete event dynamic systems : theory and applications, 11(2001)pp.9-40. 4)

www.jaist.ac.jp/is/labs/hira-lab/

平石邦彦,生体系シミュレーションのためのモ デル(2008) 5)奥川峻史,ペトリネットの基礎,共立出版 (1995) p.93. 原稿受付 平成 27 年 2 月 20 日 Valve1 Valve2 水槽A 水槽C 水槽B 水槽A 水槽B 水槽C Valve2 Valve1 - 10 - ハイブリッドペトリネットを用いたタンク・システムの解析

参照

関連したドキュメント

緒  梅毒患者の血液に関する研究は非常に多く,血液像

 介護問題研究は、介護者の負担軽減を目的とし、負担 に影響する要因やストレスを追究するが、普遍的結論を

以上,本研究で対象とする比較的空気を多く 含む湿り蒸気の熱・物質移動の促進において,こ

作品研究についてであるが、小林の死後の一時期、特に彼が文筆活動の主な拠点としていた雑誌『新

などに名を残す数学者であるが、「ガロア理論 (Galois theory)」の教科書を

実際, クラス C の多様体については, ここでは 詳細には述べないが, 代数 reduction をはじめ類似のいくつかの方法を 組み合わせてその構造を組織的に研究することができる

Instagram 等 Flickr 以外にも多くの画像共有サイトがあるにも 関わらず, Flickr を利用する研究が多いことには, 大きく分けて 2

これはつまり十進法ではなく、一進法を用いて自然数を表記するということである。とは いえ数が大きくなると見にくくなるので、.. 0, 1,