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学位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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博士 (農 学)沙 塔尓尼 亜孜

学 位 論 文 題 名

中国・新彊における森林資源利用の展開過程及び 森林施業法の構築に関する研究

学位論文内容の要旨

人口増加や過放牧 及び過伐によって森欄威少 が進行している発展途上国に おいて、今日森林資源の維 持 ・造 成技 術を 確 立す るこ とが 極 めて 重要 かっ難し レ髄となっている。本研究 で対象とした中国・新彊 ウイ グル 自治 区( 以 下新 彊と 略繃 は 砂漠地帯であり、森休 資源は薩めて少ないばかり でなく、今後急速 な人口増加と経済発 展のためのさらなる開発が 見込まれている地域であるが 、了方では過去の開発に伴う 森林減づ潦砂漠化の進行が深刻な坩¢瀞ある。

以上 の問題の解決あるいは緩和 を図るためには、過去におけ る資源悪化要因の解明と施業対象林分に 適した施業 法の確立が強く求められる。 しかし、資源悪化の要因に ついての解明はほとんどなさ れていな い。また、施 業に関する研究も天然更: 新や立地環境の把握などに視点をおいたものが中心であり、今後の 森林の取り扱いに関する具 体的な施業法は明確に示さ れていなし丶。さらに最も重要なのは、当地域におけ る森休 の維持・増殖を考える際、 決して軽視することのできな い地喊の社会経済的諸条件 と森林施業の経 過・展 望を関連づけて論じた研究 がほとんどないことである。 本研究ではこのような状況 を踏まえ、新彊 における森林管理の現决と 森林資源利用の展開過程について分析し、資源≠f亅用上の問題点及ぴ資源の悪化 をもた らした要因について明らか にするとともに、施業林分に おける具体的な調査事例を 通じて、新彊に おける今後の森林施業のあ り方について展望を与える ことを目的とした。

    森林 管理 の 現状 及び 森林 資源 利 用の 展開 過程 の分析にあ たっては主としてこれまで の研究文献や施 業基準 及び統計資料などを中心に 行った。その結果、今日にお ける資源の危饑的状況をも たらした要因と して、 木樹需額の急増を背景とし た集中的伐採、法的管理の未 整備、資源量や造林など事 業実陵の過大報 告及び過放牧問題などが考 えられたが、さらに施業に 関する理論的な考察及び過去の伐採の実態からみて、

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その根本的な要因として択伐=天然更新という施業法そのものに起因するところが大きぃことが明らかと なった。

    次に、具体的な施業法を検計尹るために、施業林分の実態調査を行い、その調査データの解析を行う とともに、天然林内における補助造林木の成長状態と放牧家畜による被害状況にっいて調査した。しかし、

森林全喊が放牧に利用されているという特殊な社会条件のもとで、森林資源の維持・増殖について考える 場合、林分構成や更新状況などに基づく施業技術体系を確立するだけでなく、放牧からの被害防1ヒとぃう 社会的条件も合わせて検討する必要がある。そこで、本研究では、施業林分の実態解沂と合わせて、施業 に深く関わる±讎或の社会・経済的条件の側面からの検討を行った。

    施業林分の角箏听にあたってはうっぺぃ度が疎・中・密と判断される施業林分においてそねぞ加複数個 の標準地を設定し、林分構成・成長・更新及び漸内照度などについて分析した。その結果、いずゎの彬チ でも更新が不良で、現行の択伐では後継附を確保できないことが確認された。また現在の疎休は過去の強 度な伐採によって生み出されたことが実証された。これらのことから、今後の施業法としては、新彊の厳 しい自然条件を考慮し、大面積の皆伐施業及び画一的な単木的択伐施業を避け、林分構造及び榊Bの推モ 状況に応じた補助i讐淋を前提とする群状択伐の採用が望ましいことを提起した。しかし、現実の施業に際 しては集約な小面積の皆伐や漸伐施業などをまったく否定すべきではなく、立地環境や彬扣埔前捻决態に 応じて、柔軟に対応すぺきであろう。また、現地調査の結果から、伐採の際林分を極度に疎開させること を避け、一箇所当たりの伐採面積は周囲木の配置状況に配慮しつつ、相対照度が中程度または面積が0. 06 ha程度を目安に設定するのが望ましいと考えられた。

    また、天然林内の補助造林地を対象として成長状態や放牧家畜による被害状況などについての調査検 討を行った結果、補助造林の成功・成林の鍵iま故牧家畜とどのように付き合うかにあることが明らかにな ったすなわち、放牧家畜による食害率は最大66%に達しており、また、その食害率は附高階100crnf‑tfCま で樹高階が高くなるにっれ増加し、100cmを越えると激減する傾向がみられた,これは、主要放牧家畜であ る綿羊の体高(採食可能な範囲)に大きく関係しているものと考えられた。また、家畜の食害による造林 木の成長への影響は、およそ檀栽4年後から現れ、経過年数が多くなるにしたがい健全木との成長差が大 きくなることが判明した。このようなことから、今後補助造林木の完全な育成を図るためには、まず、保

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護柵の設置 とともに、設置後の管理を強 化することが重要であると 考えられた。また、補助i!淋を成功さ せ 、成休を確実にす るために、今後放牧家畜の 種類別被奮决況の把握や、原 因不明の消矧くについての 追 跡調査を実 施するなど、樹ど葺の原因を明確化し、具体的な保護対策を考案すぺきことを提示した。

一方、遊牧民によ って放牧tこ利用されている 森林地帯全域における実際の草地の養畜量は適切とされ る 養畜 量の2倍以上に達 しており、過剰放牧による 彼らの生活基盤の喪失さえ危 瞑される状況にあること も判明 した。特に近年の遊牧地帯 における市場経済の進展及び 人口増加に伴って、遊牧民 は、限られた共 同放牧地からより多 くの収益をあげようと放牧 家畜を競争的に増やしてきて おり、過剰放牧は今後一層 加 速化 していく ものと考えられた,しかし 、牧畜庁は放牧家畜の増加を 今後の畜産の発展方向であ ると位置 づけ ており、また、林業庁 においても、伐採可能な資 源が大幅に減少しているにも 関わらず、収益維持の ために、森 材資源を過大に評価する事態が続くなど、森林管理をめぐる行政上の問題点が多しヽ。

以上は本研究により得ら れた結果、結論である。し かし、本研究では過去の施業 に関する基本データ が十分蓄積 されていないなど資料上の制 約から、選木基準、伐採率 、回帰年、伐出技術のあり方 などにつ いての具体 的な検討を加えることはでき なかった。今後、今回の研究で実証、解明された林分構造と成長・

更新 との関係 、補助造林の成長実績など をよりどころとして、さらに 長期的な試験及び実証的研 究を積み 重ね 、 新彊における森林施 業体系の構築を図っていくこ とが重要である。同時に、 造林木に対する放牧家 畜の種類BIJ被害や 造林木の消失要因を究明し 、より具体的な保護対策技術 を確立していくことが必要であ

    ま た、施業の実行に関 わる社会的条件として、遊牧 民の伝統的な土地利用を踏 まえた政府レベルでの 持 続的 土地(草地)利用計 画の考案や、林場の経営体制 についての長期的な視野に たった検討、あるいは 国家 の投資・融資制度の設立及び 他の面からの財源の確保、 などについての検i寸が具体的に進展していく こと も強く望まれる。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

中国・新彊における森林資源利用の展開過程及び 森林施業法の構築に関する研究

  本 論 文 は 、 図28、 表39を 含 む165頁 の 和 文 論 文 で あ り 、 他 に 参 考 論 文9編 が添 え ら れ てい る 。   本研究 で対象 とした 中国・ 新彊ウ イグル 自治区 (以下新 彊と略 希鋪は砂漠地帯であり、森林資源は極 めて少 ないば かりで なく、今後急速な人口増加と経済発展のためのさらなる開発が見込まれている地域で あるが 、一方 では過 去の開発に伴う森材減少や秘璢餅c頓蛍〒が深亥IJな地域である。しかし、資fヒcD要 因や今 後の森 林の取 り扱いに関する具体的な施業法は明確に示されておらず、また、当地域における森林 の維持 ・増殖 を図る 上で軽視することのできない社会経済的条件と関連付けて森林施業の経過と展望を論 じた研 究もほ とんど ないのが現状である。本研究は、新彊における森林管理の現状と森林資源利用の展開 過程について分析し、資派≠U用上の問題点及び資源の悪化をもたらした要因を明らかにするとともに、施 業林分の実態調査をもとに、今後の森林施業の在り方について展望を与えることを目的としたものである。

得られた研究成果は次のように要約される。

  第1章cで は 、 研 究 の 背 景 及 び 目 的 、 研 究 方 法 を 述 ′ 弋 第2章 「 森 林 施 業 側 生 格 と 構 造 」 で 、 森耕施業に関する理論的考察を行っている。

  第三章 「新彊 におけ る森林管理の蒭决と森樹涜派≠iJ用の展開」では、新彊の自然的・社会的条件、森 林資源の既要、森林の管理議隣と施業指針の変遷を整哩した上で、資濠≠|亅用の歴史的展開過程を総合的に 分析し ている 。その 結果、今日における森林資源の危饑的贓兄をもたらした主な要因として、C)1950年代 から始まった土地改革を通じて森林の国有化が確立され、木材生産を目的とする資源利用が本格化したが、

交通手 段や森 林の管 理・保全のための法的規制が未整備であったため、生産可能な地域を対象として、森 林の再生カを越えた集中t魅番や計画量の2.5倍に達するi圃耕伐採が近年まで進行したこと、◎また、施業 法とし て、択 伐=天 然更新 という 方針が採 用され 、t避釉紕は基本的に放置されたため、育林事業が進展

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雄 寛

孝  

  勝

   

   

井 鹿

和 石

授 授

   

   

教 教

査 査

主 副

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せず、しかも育林事 業実績が過大報告され7とこ とにより、森林資源悪化の実態が表面化しないままに推移 したこと、さらに◎ 集中・過栗膨諺瀚ホ地の放置 により森林内の草t&f匕が進み、茄形瀦の林内侵入を増加 さ せ 、 人 工 造 林 地 な ど の 幼 齢 木 に 大 き な 被 害 を 与 え て い る こ と 、 な ど に つ い て 論 じ て い る 。     第4章r言周査対 象地域の概要」では、森林施 業の実態を分析するために 選定したウルムチ南山林場を 取り巻く自然的・社会的条件について検討している。そのなかで土地チ|J用の実態、人口及び職業溝成及び 産業別生産額の推移 を整理した上で、特に牧畜業 に関する資ilJ用の実態を 分析し、1960年代から喬淋全 域における虧形暘‐を畜が急増し、その数は、適切とされる草地の養畜量の2倍以上に達する過乗眈殳牧の彩祝 とな って い るこ とを 明ら か にし 、そ のこ とが 森 林資 源に 深刻 な影 響 を与えている ことを論じている。

    第5章「南山林場 における森林施業の実態分 析」では、まず当林場の管理組織の状況、木お抬ミ産及び 造林事業の動向、多 角経営の展開、伐出・育林技 術の実態及び森林施業方針 を明らかにした上で、施業林 分の 具体 的 な解 听を 行って いる。すなわち、天然納に うっぺし渡が疎・中・密と判 断される標準地をそ れぞ加荷激値殻定し て、林分構成・成長・更新.林TAl照度などを調査・分析し、いす'a1の分も更:新が不 良で、現行方式の択 伐では後継附は確保できない こと、また、現在の疎林は 過去の強度の伐採によって生 み出されたことを伐 眼調査によって検証し、今後 の施業法としては、厳しい 自然条件を踏まえ、大面瞶の 皆伐 施業 及 て靜 的な 単木的 択依施業を避け、林分構造 及び潮相の推移状況に応じた 補助造林を前提とす る誚ルミ択伐の採用が望ましいことを提起している。また、現瑚彁を査の結う勘ゝら、一箇所当たりのt戈採面積 は周囲木の配置tkbに 配慮しつつ、相対照度が中 程度または面瞶がO.06ha程 度を目安に設定するのが望ま しぃヽとしている。

    また、天然材内 における補助造林地を対象と して、成長状態や放牧家畜 による被害状況について調査 検討した結果、放牧 家畜による食害率は最大66% に達していること、またそ の食害率は耐高階が高くなる にっれ噌加し、100cmを越えると激減する傾向を 明らかにしている。これは、 主要放牧家畜である綿羊の 体高(採食司能な範 囲)に大きく関係していると し、また家畜の食害による造材沐の廊謹p\の影響は、お よそ植栽4年後から現 われ、経過年数が多くなる にしたがい健全木との成長差 が大きくなっていくことを 明らかにしている。 このことから補助造林木の完 全な育成を図るためには、 保護柵を設置し、少なくとも i告 材沐 の樹 高が100cm程度 に達するまでの期間の雀 理を強イけることが重要であ ると指摘している。

  第6章 で は 、 新 彊 の囀 瑚施 業に 関 する 総合 的考 察」 を 行い 、ま た第7章 「結 言」 で は、 森林 資源 の 維持・i馘を図るため の社会的条件を中心に論述 している。すなわち、新彊に おける森耕資源に関する客 観的で正しいき平価 に基づく施業がまず行われなければならないとし、その上にたって、遊牧民の伝統的な 土地(草地)禾lJ用を踏まえた政府レベルでの持続的土±断IJ用計画の考案や、林易の経営体制についての長 期的視野にたった検討、財政の確保などの必要陸について論じている。

  以 上 、 本 研 究 は 、 森 林 資 源 の 劣 化 が 危 倶 さ れ な が ら も そ の 実 態 が 明 ら か で な か っ た 新 彊 に お け る 資 源 利 用 に つ い て 歴 史 的 ・ 総 合 的 に 考 察 し 、 今 後 の 森 林 資 源 の 維 持・ 増殖 を 図る 上で の重 要     ‑1048ー

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な基礎を与えたものであり、学術的に高く評価される。よって審査員一同は、

博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。

参照

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