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博士課程用(甲)

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Academic year: 2021

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(1)

博士課程用(甲)

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(様式 4)

学 位 論 文 の 内 容 の 要 旨

( 中澤 拓郎 ) 印

(学位論文のタイトル)

Wide expression of ZEB1 in sarcomatous component of spindle cell carcinoma of the esophagus

(食道癌肉腫の肉腫様成分におけるZEB1発現の検討)

(学位論文の要旨)2,000 字程度、A4 判

【目的】

上皮間葉移行は、胎生期発生、創傷治癒、線維化等のメカニズムに関して重要な役割を担ってい る。近年、腫瘍浸潤部における芽出、腫瘍細胞の脱分化、また腫瘍における肉腫様変化などにおい ても、その役割が注目されてきている。

一方で食道癌肉腫は食道癌において稀な組織型であり、その病理発生について、充分な検討が 行われていない。本研究では、食道癌肉腫における上皮間葉移行関連転写因子の、肉腫様成分発生 への関与を検討した。

【方法】

群馬大学病院および関連施設において切除された食道癌肉腫症例 14 例に関して、上皮間葉系移 行関連転写因子である、Slug, Twist, ZEB1, ZEB2 の発現を、食道癌肉腫の癌成分及び肉腫様成分 の両成分間において、免疫組織染色の手法を用いて比較、検討した。また、その消失が上皮間葉系 移行の特徴であると考えられている E-cadherin についても免疫染色を行い、その発現を両成分間 で比較、検討した。さらに、癌成分と肉腫成分の monoclonality の検討及び、肉腫様成分と腫瘍浸 潤に伴う線維化との鑑別を目的として、p53 の免疫染色、TP53遺伝子変異解析を両成分間で行い、

検討した。

免疫染色は、強拡大 10 視野を観察し、各成分間で腫瘍における陽性細胞の割合を計測して以下 のようにスコアリングを行い評価した。( 0; 0% , 1; <10% , 2; 11-50% , 3; 51-80 %, 4>80%)

線維肉腫を Slug、Twist、 ZEB1、 ZEB2 の陽性コントロールとして用い、核への染色を陽性と判断 した。E-cadherin に関しては、検体内の正常食道粘膜を陽性コントロールとして用い、細胞膜へ 染色を陽性と判断した。P53 は核への染色を陽性として判断し、染色強度を 1+〜3+で評価し、陽性 細胞の割合を強拡大 10 視野で観察して両成分間での比較を行った。

TP53の遺伝子解析は、検体量の多かった 13 例について、癌及び肉腫様成分を用手的にパラフィ ン切片から採取し、Hot Spot が存在するとされる Exon5-8 について解析を行った。

【結果】

症例は計14例中13例が男性、1例が女性であった。年齢は55〜85歳、平均年齢は68歳であっ た。1例を除く13例で、ポリープ状の形態を呈していた。

Slug, Twist, ZEB1, ZEB2, 及びE-cadherin発現の、14症例の平均スコアはそれぞれ、食道癌肉腫 の癌腫:C、肉腫様:S 成分間において、Slug [C; S=1.64; 2.14] (P = 0.1379)、Twist [C; S = 2.92;

3.78] (P = 0.0303)、ZEB1 [C; S = 0.57; 3.71] (P < 0.0001)、 ZEB2 [C; S = 1.71; 2.42] (P = 0.1513)、E-

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博士課程用(甲)

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cadherin [C; S = 3.14; 0.07] (P < 0.0001)であった。両成分間で発現性に有意差を認めたTwist, ZEB1に おいて、さらに腫瘍浸潤部と肉腫様成分間で同様に免疫染色のスコアリングを行うと、(腫瘍浸潤 部 : F、肉腫:S)Twist [F; S = 3.42; 3.78] (P = 0.3762)、ZEB1 [F; S = 1.21; 3.71] (P < 0.0001) であり、

ZEB1にのみ有意差が認められた。

P53は、5例において癌、肉腫様の両成分間で陽性であり、染色強度及び陽性率はほぼ両成分間 で一致していた。TP53遺伝子変異は、7例において両成分間で完全に一致したパターンの変異が 認められた。また肉腫成分にのみ変異を有する症例が1例認められた。

今回のTP53遺伝子の検討結果では、Exon5における変異は認められなかった。

【考察】

Twist, ZEB1において、肉腫様成分でのより広範な発現が有意差を持って確認された。さらに

Twist, ZEB1の、癌の浸潤部と肉腫様成分での発現を比較、検討すると、ZEB1 は依然として有意

差を持って肉腫様成分に広範に発現していた。以上より、食道癌肉腫の肉腫様成分の発生において、

ZEB1が強く関与している可能性が考えられた。

P53の免疫染色及び遺伝子変異解析は、癌および肉腫様成分のmonoclonalityを強く支持する結 果となった。肉腫様成分にのみTP53変異を有する症例が1例認められ、腫瘍発生の方向として、

まず癌が発生し、腫瘍発育に伴い肉腫様成分が癌成分から分化してくる可能性が示唆された。

食道扁平上皮癌においては、Exon5はTP53遺伝子変異のHot Spotとされているが、我々の解析 では、Exon5に変異は認められなかった。過去の食道癌肉腫におけるTP53遺伝子変異解析でも報 告例はない。さらに解剖学的に隣接する頭頸部の癌肉腫においても、Exon5に変異を認めた報告例 はない。上部気道消化管臓器発生の癌肉腫では、TP53遺伝子変異のExon5の回避が、生物学的特 徴である可能性がある。

【結論】

今回の我々の検討は、食道癌肉腫の肉腫様成分が、上皮間葉系移行関連転写因子のZEB1の発現 を介し、癌成分から発生、発育する可能性を強く示唆している。

参照

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