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桑本 將 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成20年1月

桑本 將 学位論文審査要旨

主 査 豊 島 良 太 副主査 重 政 千 秋

同 渡 邊 達 生

主論文

Effects of sciatic neurectomy on arthritis and bone loss in rats with collagen- induced arthritis

(コラーゲン誘発関節炎ラットの関節炎と骨量減少に対する坐骨神経切除の影響)

(著者:桑本將、岡野徹、深田悟、榎田誠、萩野浩)

平成19年9月 Yonago Acta medica 50巻 57頁~63頁

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学 位 論 文 要 旨

Effects of sciatic neurectomy on arthritis and bone loss in rats with collagen-induced arthritis

(コラーゲン誘発関節炎ラットの関節炎と骨量減少に対する坐骨神経切除の影響)

関節リウマチ(rheumatoid arthritis、 RA)は骨粗鬆症を合併しやすく、骨折の相対危険 度は高いため、RAにおける骨粗鬆症の管理は重要な問題である。RAは中年以降に発症しや すい疾患で、生活習慣病の一つである脳卒中などの麻痺性疾患を合併する可能性がある。

合併した場合、廃用性骨萎縮によって骨粗鬆症が悪化し、骨折の危険性が増加すると予想 される。一方、RAに麻痺性疾患を合併すると、関節炎が抑制されるということも知られて いる。本研究は、神経麻痺がRAの関節炎と骨粗鬆症に及ぼす影響を検証する目的で、RAの 動物モデルであるコラーゲン誘発関節炎(collagen-induced arthritis, CIA)ラットに坐 骨神経麻痺を加え、その関節炎と骨量に及ぼす影響を検討した。

方 法

7カ月齢のSprague-Dawley系雌ラットを以下の4群に分類した。

1. 偽手術施行(n=8):Sham群

2. コラーゲン感作+偽手術施行(n=9):CIA群 3. 両側坐骨神経切除(n=9):NTx群

4. コラーゲン感作+両側坐骨神経切除(n=9):CIA+NTx群

関節炎の評価:キャリパーを用いた後肢腫脹の計測と足部X線像による骨関節破壊の評価

(関節炎スコア)を2週毎に行い、関節炎の推移を評価した。

骨量の評価:peripheral quantitative computed tomography を用いて左脛骨近位骨幹 端部骨密度を4週毎に計測した。さらに初回感作8週後に屠殺し、両側腓腹筋重量を計測し た。

結 果

1. 腓腹筋重量:CIA群、NTx群、CIA+NTx群それぞれの腓腹筋重量はSham群に比べて有意に低 値であった。NTx群とCIA+NTx群の腓腹筋重量はCIA群と比べ有意に低値であった。

2. 関節炎の推移

1) 後肢腫脹:CIA群の後肢腫脹はSham群及びNTx群と比較して、4、6、8週で有意な高値

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であった。CIA+NTx群の後肢腫脹はSham群及びNTx群と比較して、6、8週で有意な高値であ ったが、CIA群と比べると6、8週で有意な低値であった。

2) 足部X線像による関節炎スコア:CIA群とCIA+NTx群の関節炎スコアはSham群及びNTx 群と比較して、4、6、8週で有意な高値であった。CIA+NTx群はCIA群に比べて6、8週で有 意な低値であった。

3. 脛骨近位骨幹端部骨密度の変化

1) 全骨密度:CIA群、NTx群、CIA+NTx群はSham群と比べて、4、8週で有意な低値であっ たが、CIA群、NTx群、CIA+NTx群の3群間に有意差を認めなかった。

2) 海綿骨骨密度:CIA群、NTx群、CIA+NTx群はSham群と比べて、4、8週で有意な低値で あったが、CIA群、NTx群、CIA+NTx群の3群間に有意差を認めなかった。

3) 皮質骨骨密度:NTx群とCIA+NTx群はSham群と比較して4、8週で有意な低値であった。

CIA+NTx群はCIA群と比較して4週で有意な低値であったが、8週では有意差は見られなかっ た。

考 察

CIAラットの後肢腫脹と関節炎スコアは坐骨神経切除によって有意に軽減しており、神経 麻痺が関節炎を抑制することが明らかとなった。これは、神経麻痺による不動化が関節へ の力学的負荷を減少させた結果、関節炎が軽減したためと考えられた。一方、骨量に及ぼ す影響については、関節炎による骨量減少に坐骨神経切除による廃用性骨萎縮が重なり重 症化すると予想していたが、CIA群とCIA+NTx群の全骨密度と海綿骨骨密度に差を認めなか った。これは、CIA+NTx群では関節炎の抑制が生じ、関節炎による骨量減少が抑制された結 果と考えられた。皮質骨については、感作後8週では骨量に差はなかったが、4週でCIA+NTx 群はCIA群に比べて有意な低値であり、関節炎と不動化による皮質骨減少機序が異なる可能 性が示唆された。

結 論

坐骨神経切除はCIAラットにおける関節炎を抑制するが、骨量には影響を及ぼさなかった。

関節炎の抑制は、神経麻痺によって関節への力学的負荷が減少したためと考えられた。

参照

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