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生越智文 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成20年9月

生越智文 学位論文審査要旨

主 査 重 政 千 秋 副主査 井 藤 久 雄 同 豊 島 良 太

主論文

Influence of glucocorticoid on bone in 3-, 6-, and 12-month-old rats as determined by bone mass and histomorphometry

(3、6、12ヵ月齢ラットの骨に及ぼす糖質コルチコイドの影響-骨量測定法と骨形態計測 法を用いた検討-)

(著者:生越智文、萩野浩、深田悟、谷島伸二、岡野徹、豊島良太)

平成20年 Modern Rheumatology 18巻掲載予定

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学 位 論 文 要 旨

Influence of glucocorticoid on bone in 3-, 6-, and 12-month-old rats as determined by bone mass and histomorphometry

(3、6、12ヵ月齢ラットの骨に及ぼす糖質コルチコイドの影響-骨量測定法と骨形態計測 法を用いた検討-)

糖質コルチコイド(glucocorticoid、GC)は様々な疾患の治療に用いられているが、多 彩な副作用を高頻度に惹起する。中でも、ステロイド性骨粗鬆症(glucocorticoid induced osteoporosis、GCOP)は著しい易骨折性をもたらす重篤な合併症である。その発生機序に ついては、GCが骨形成の抑制と骨吸収の亢進をもたらすためと考えられている。しかし、

実験的なGC投与によって発生する骨の変化については、未だ一定の結果は得られていない。

その原因として、動物の月齢やGCの投与量などの違いが考えられる。そこで、本研究では、

月齢の異なるラットにおけるGCの骨に及ぼす影響を骨量測定法と骨形態計測法を用いて検 討した。

方 法

3、6、12ヵ月齢のWistar系雌ラット(各32匹)を以下の4群に分けた:生食投与群(Cont)、

プレドニゾロン(prednisolone、PSL)2 mg/kg投与群(P-L)、PSL 20 mg/kg投与群(P-H)、

0 timeコントロール群(ZT)。それぞれ生食またはPSLを1回/日、4週間皮下投与の後、屠殺 した。実験開始時と開始後2、4週時に脛骨骨幹端部と骨幹部の骨量をperipheral

quantitative computed tomography(XCT960)を用いて、実験開始時と4週時に全身骨の骨量 をdual X-ray absorptiometry(QDR-4500)を用いて評価した。さらに3ヵ月齢と6ヵ月齢では 4週時の脛骨骨幹端海綿骨の骨形態計測を行った。6ヵ月齢では屠殺時に全群の採血・採尿 を行い、骨代謝マーカー(血清カルシウム;Ca、アルカリフォスファターゼ;ALP、オステ オカルシン;OC、副甲状腺ホルモン;PTH、尿中Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド;NTx)

を測定した。

結 果 骨量

海綿骨骨量:3ヵ月齢では、Cont群とPSL群のすべての群で骨幹端部と骨幹部の骨量は経時

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的に有意な増加を示した。群間では2週、4週時のP-H群の骨幹端部骨量がCont群に比べて有 意な高値であった。6ヵ月齢ではすべての群で骨量は経時的な変化を示さなかったが、4週 時のPSL投与群の骨幹端部と骨幹部の骨量はCont群に比べて有意な低値を示した。12ヵ月齢 ではすべての群で経時的変化は無く、群間の差も認めなかった。

皮質骨骨量:3ヵ月齢では、すべての群において経時的に増加したが、群間に差を認めなか った。6ヵ月および12ヵ月齢では、経時的変化も群間の差も認めなかった。

全身骨骨量:3ヵ月齢で経時的に有意な増加を認めたが、6ヵ月齢と12ヵ月齢では変化を認 めなかった。

骨形態計測

骨量・骨梁数は、3ヵ月齢のP-H群でCont群とZT群に比べて有意な高値を示した。6ヵ月齢 では群間に差を認めなかった。骨形成パラメーターについては、3ヵ月齢のP-H群の骨石灰 化速度がCont群とZT群に比べて有意な高値であった。6ヵ月齢ではP-L群の骨石灰化面は他 の3群に比べて、P-L群の骨形成速度はZT群に比べて有意な低値を示した。骨吸収パラメー ターについては、3ヵ月齢ではP-L群の骨吸収面の割合がCont群に比べて増加していた。6 ヵ月齢ではP-H群で骨吸収面の割合と破骨細胞数がCont群に比べて有意に減少していた。

骨代謝マーカー

6ヵ月齢において、血清CaはP-L群でCont群と比べて低値を示し、ALPはPSL投与群で高値 を示し、OCはPSL投与群で低値を示した。PTH、尿中NTxは群間に有意な差を認めなかった。

考 察

GC投与によって3ヵ月齢ラットでは組織レベルの骨形成と骨吸収がともに亢進し、特に骨 形成が優位なため器官レベルで骨幹端の海綿骨骨量が増加していた。これはGCの同化作用 が主に発現したためと考えられた。6ヵ月齢ではGCによって組織レベルで骨形成と骨吸収が ともに抑制され、器官レベルでは骨幹端と骨幹の海綿骨骨量が減少していた。12ヵ月齢で は器官レベルの骨量変化を認めなかった。これらの結果は、GCの骨に及ぼす影響は月齢に よって大きく異なることを示し、6ヵ月齢ラットへのPSL 20 mg/kg投与によって生じた骨の 変化がヒトのGCOPに最も近いと考えられた。皮質骨骨量に変化が見られなかった理由とし ては、ラットはハバース管を欠き、皮質骨リモデリングが欠如するためと考えられた。

結 論

月齢の異なるラットにおけるGCの骨に及ぼす影響を検討した。6ヵ月齢雌ラットに 20 mg/kgのPSLを投与して発生する病態がヒトのGCOPに近似すると考えられた。

参照

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