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19世紀末大不況期におけるイギリス本位制論争

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13

19世 紀 末 大 不 況 期 に お け る イ ギ リ ス 本 位 制 論 争

1888年 『金 銀 委 員会 最終 報 告書 』分析

井 上 巽

1序

(1)

イギ リス経 済 史 学 の権 威W.カ ニ ソ ガ ムが 「大 分水 嶺 」GreatDivideと 評 した19世 紀 末 の いわ ゆ る大 不 況 の 過 程 に お い て,イ ギ リス の工 業 独 占 が 崩 壊 の危 機 に直 面 す る と ともに,こ れ を 契 機 と して イギ リス支 配 階 級 内部 の 政 治 的経 済 的 利害 対 立 が 一 挙 に表 面化 し,各 種 の政 策 論争 が世 紀 末 の イギ リス 資 本主 義 社 会 を震 憾 せ しめ るに到 った ことは 研究 史 上 よ く知 られ てい る事実 で あ ろ う。 就 中,関 税 改革 一 帝 国連 合 運 動 を め ぐって展 開 され た 政 策 論争 に つ い ては,大 不 況 期 に おけ る イギ リス支配 階 級 の利 害 相 剋 を 浮 彫 的 に示 す も

くの

の と して研 究 史上 注 目され て きた と思 われ るが,し か しそ の 反 面 に お い て, こ う した 関 税 政策 論 争 と 絡 ま り交 錯 しつ つ,直 接 的 に は19世 紀 末 に お け る 世 界 的 な 銀 価 の低 落=金 銀 比 価 の 変 動 な らび に 大不 況 の 深 刻 化 を 契 機 と し て,イ ギ リス古 典 的 金 融 制 度 の核 心 を なす 金 本 位 制 に対 して熾 烈 な挑 戦 を試 み た 複 本 位 制bimetallismの 運 動 が 高 揚 し,そ の結 果 い わ ゆ る 本 位制 論 争

(1)W.Cunningham,TheRiseandDecJineoftheFreeTradeMovement,1905, P・85・!

(2)19世 紀 末 大 不 況 期 に お け る イ ギ リス の 関 税 改 革=帝 国 連 合 運 動 に つ い て は,高 橋 哲 郎 「「大 不 況 」 下 の イ ギ リス 関 税 改 革 運 動 」 『商 学 論 究 』22,昭 和33年;遠 藤 湘 吉 編r帝 国 主 義 論 』 下,昭 和40年,第3章,第5節;吉 岡 昭 彦 「商 工 業 不 況 調 査 委 員 会 報 告 書 分 析 」 川 島 武 宜 ・松 田 智 雄 編r国 民 経 済 の 諸 類 型 』 昭 和43 年:同 「イ ギ リ ス 自 由 主 義 国 家 の 展 開 」 岩 波 講 座 『世 界 歴 史 』20,昭 和46年;

桑 原 莞 爾 「イ ギ リス に お け る 関 税 政 策 論 争 の 背 景 」 『法 文 論 叢 』28,昭 和46年, 等 を 参 照.

(2)

standardcontroversyと 呼 ば れ る 一 大 論 争 が 展 開 され るに 到 った 事 実 に つ い て は,従 来 わ が 国 の 研 究 史 は も と よ り諸 外 国 に お い て も充 分 な 注 意 が は ら

わ れ て きた とは い い難 く,研 究 史上 い わば 忘 れ られ た 論 争 と して彪 大 な原 史 料 と ともに埋 もれ た ま ま放 置 され て きた とい って も過 言 で は な い。

小稿 で は,上 の 点 に 鑑 み て,さ しあた りイギ リス本 位 制論 争 に関 す る根 本 史 料 の 一 つ で あ る1888年 の 通 称 『金銀 委 員会 最 終報 告 書 』FinalRePortof

(3)」(4)

the(fOlaand5'ilverCommissionと そ の 他 若 干 の 同 時 代 人 に よ る 文 献 を 手 懸 と し つ つ,こ の 忘 れ ら れ た 論 争 の 一 端 を 掘 り 起 し,も っ て 大 不 況 研 究 の た め の 一 つ の ア プ ロ ー チ を 試 み よ う と す る も の で あ る 。 そ の 際 念 頭 に お い た 主 な る 課 題 は,(1)そ の 性 格 に お い て 本 来 的 に 国 際 的 論 争 の 一 環 を 構 成 す る イ ギ リ ス 本 位 制 論 争 の 世 界 史 的 背 景 に 注 目 す る と と も に 論 争 の 特 殊 イ ギ リ ス 的 発 現 形 態 を 明 ら か に す る こ と 。(2)そ れ を 前 提 と し て,前 記 報 告 書 に お い て 提 示 さ れ て い る 諸 論 点 を 整 序 し つ つ 論 争 の 理 論 的 対 決 点 を 別 扶 す る と と も に, そ こ に 反 映 さ れ て い る 支 配 階 級 内 部 の 利 害 相 剋 の あ り 方 を イ ギ リ ス 資 本 主 義 社 会 の 所 得 諸 範 疇 に 即 し て 把 握 す る こ と 。(3)最 後 に,論 争 の 歴 史 的 決 着 点 を 展 望 す る こ と に よ っ て 、 イ ギ リ ス 資 本 主 義 の 帝 国 主 義 的 構 造 推 転 の 特 質 を 見 極 め る と と も に,併 せ て,19世 紀 末 大 不 況 期 を 画 期 と し て 展 開 し た 国 際 金 融 秩 序 の 帝 国 主 義 的 再 編 成 を 展 望 す る こ と 。 以 上 の 諸 点 の 解 明 を 通 し て イ ギ

リ ス 本 位 制 論 争 の 歴 史 的 意 義 を 明 ら か に し た い と 思 う 。

念 の た め,r金 銀 委 員 会 最 終 報 告 書 』 の 原 文 の フ ル ・ タ イ トル を 掲 げ て お く な ら ば 次 の 如 く で あ る.FinalRiZPortoftheRoyalCommissionapPofntedtoinquire

intothelllecentChαngesintheRelatizseValuesofthePrecioorsMetαls,1888.

な お,小 稿 執 筆 に 際 し て 利 用 し た の は,TheM(metaryProblem,(iblaandSilver な る タ イ トル で1936年RRobeyに よ っ て 編 集 さ れ た 版 で あ る.

(4)イ ギ リ ス 本 位 制 論 争 に 関 す る 同 時 代 人 の 文 献,パ ン フ レ ッ トの 類 は 彪 大 な 数 に 達 す る が,当 面 入 手 し え た 主 な 文 献 を 列 挙 す れ ば 次 の 如 く で あ る.S・Smith, TheBimetallicQuestion,1887;G.Howel1,GoldandSilverCommission,A

SγnopsisoftheFinalReport,真889;G.L.Molesworth,SilverandGold,1891;

M.L.Darwin,.Bimetαllism,1897;L.Farrer,StntiesinCurrencツ,1898.そ 他,国 際 貨 幣 会 議 お よ び 各 国 の 本 位 制 論 争 に 関 す る 文 献 と し て,H・B・Russell, lnternationalMonetaryC(mferences,1898:F.A.Walker,rnternational.Bimetal‑

lism,1901;A.B.Hepburn,HistoryofCoinagean4CurrencyintheUnitedStates,

1903;H・P・wiuis,AHTist・ry・ftheLatin・ILIonetaryUni(m・1901等 を 参 照 し た.

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19世 紀 末大 不況期 におけ るイ ギ リス本位 制論争

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fi金 銀委 員会 設 置 の歴 史 的 背景

〔1〕 大 不 況 期 に お け る銀 価 低 落 と国 際 貨 幣 会 議

19世 紀 末 に お け る 大 不 況 の 開 始 と 略 時 を 同 じ く して 始 ま っ た 世 界 的 な 銀 価 の 低 落 を 契 機 と して,世 界 貨 幣 た る 金 銀 両 金 属 間 の 比 価 が 激 し く変 動 し国 際 金 融 秩 序 の 深 刻 な 動 揺 が 招 来 され る と と も に,各 国 に お い て い わ ゆ る銀 問 題silverquestionが そ れ ぞ れ 独 自 の 発 現 形 態 を も っ て 表 面 化 した 。 か か る 事 態 に 直 面 して 欧 米 資 本 主 義 各 国 は 国 際 複 本 位 制internationalbimetallism

の 協 定 に よ っ て 銀 価 の 落 勢 を 人 為 的 に 抑 止 せ ん と して,1878年 以 来 前 後3回 の 国 際 貨 幣 会 議InternationalM・netaryConferenceが 開 催 さ れ る に 到 っ た 。 以 下 で は,行 論 の 都 合 上 さ しあ た り1878年 と1881年 に 開 催 され た 二 つ

の 国 際 貨 幣 会 議 に 焦 点 を 合 せ て,そ の 経 緯 を 簡 単 に 確 認 して お きた い 。

く の

1878年8月,パ リに おい て 開催 され た 第1回 国 際 貨幣 会 議 は,図1に 示 され てい る よ うに70年 代 後半 に到 って 急 潮 を 加 え た 銀価 落 勢 の も とで,各

図1金 銀 比 価 の 趨 勢

〔比 価 〕 14 1615‑1‑

18 20 22 24 26 28 30 32 34 36 38 40

185060708090190010

〔J.LLaugh]in,ANeω 五 厚 》osition()fMoney,creaitα 煽Prices,vol・1,ApP・II り 作 成.〕

1

1 1

ρ 1

1

Il 1

11

1}

1 1

[1[

(5)こ の 点,す で に1867年 に パ リに お い て 類 似 の 国 際 会 議 が 開 催 さ れ て い る故, 正 確 に は 第2回 国 際 貨 幣 会 議 と呼 ぶ べ き で あ ろ うが,前 者 は 銀 価 低 落 開 始 前 の こ

と で あ っ て,そ の 目 的 を 異 に し て い る た め,当 面 の 考 察 対 象 か ら除 外 し た.な 1867年 の 会 議 に つ い て は,Russell・oP・cit・,chap・IIを み よ.

(4)

国 に お け る銀 問 題 の 顕 在 化 と複 本 位 制 運 動 の 始 動 を 背 景 と しつ つ,直 接 的 に は ア メ リカ に お け る 自 由 銀 運 動freesilvermovementの 一 成 果 た る ブ ラ ン

ド ・ア リ ソ ソ 法Bland‑AllisonAct第2条 の 規 定 に 基 づ い て,ア メ リカ 大 統

(6)

領 に よ っ て 提 唱 され た も の で あ っ た 。 こ の 国 際 会 議 に お い て 主 唱 国 ア メ リカ の 代 表 グ ・ 一 ス ベ ヅ クW・S・Groesbeckは,(1)銀 の 自 由鋳 造 な らび に 無 制 限 法 貨 と して の 使 用,(2)国 際 協 定 に よ る 金 銀 比 価 の 確 定 。 以 上 の2点 を 骨 子 とす る 国 際 複 本 位 制 協 定 を 提 唱 した が,こ れ に 対 して,ま ず 伝 統 的 な 金 本 位 制 国 た る イ ギ リス の 首 席 代 表 ゴ ッシ ェンG・J・Goschenは 「〔イ ギ リス 〕 金 本 位 制 に 抵 触 す る い か な る 提 案 に も 賛 成 しえ ず 」 と の 見 解 を 表 明 して これ を 一 蹴 し,ま た1876年 以 来 銀 自 由 鋳 造 の 停 止 を 余 儀 な く され て い わ ゆ る肢 行 本 位 制1impingstandardに 移 行 して い た フ ラ ン ス は,非 公 式 に ア メ リカ

の 提 案 に 賛 意 を 示 しつ つ も,ラ テ ソ 貨 幣 同 盟Uinonmon6tairelatinの 団 結 維 持 の 見 地 か ら 積 極 的 な 態 度 表 明 を 回 避 した 。 他 方,1873年 に 金 本 位 制 を 確 立 した ドイ ツ は こ の 国 際 会 議 へ の 参 加 そ の も の を 拒 否 す る態 度 を と っ て い た 。 か く して ア メ リカ の 国 際 複 本 位 制 提 案 に 賛 意 を 表 明 した 国 は,わ ず か に 幣 制 棄 乱 中 の イ タ リー の み とい う予 想 外 の 結 果 を も っ て,第1回 国 際 貨 幣 会

(7)

議 は 空 し く閉 幕 され た の で あ る。 しか る に そ の 後,1879年 を 画 期 と した 不 況 の 深 刻 化 と 引 き続 く銀 価 低 落 に よ っ て,と りわ け ヨ ー ロ ッパ 主 要 諸 国 は 銀 問 題 の 一 層 の深 刻 化 と 複 本 位 制 運 動 の 本 格 的 高 揚 に 直 面 す る こ と とな っ た 。 ま ず イ ギ リス に お い て は,後 に 詳 論 す る よ うに,銀 問 題 は 銀 本 位 制 を 採 用 す る

イ ン ドと の 間 の 為 替 相 場 問 題 と い う独 自 の 発 現 形 態 を と っ て 現 わ れ た が,銀 価 低 落 に 伴 う為 替 不 利 の 結 果,綿 製 品 輸 出 を 中 心 と した 東 洋 貿 易 が 打 撃 を 受 け る と と も に イ ン ド政 府 の 財 政 的 困 難 が 招 来 され,か く して1879年 以 降 リ

ヴ ァ プ ー ル 商 業 会 議 所LiverpoolChamberofCommerceに 結 集 した 東 洋

ア メ リ カ に お け る 自 由 銀 運 動=複 本 位 制 運 動 と ブ ラ ソ ド ・ ア リ ソ ン 法 に つ い て は,Jbid・,chap・IV;Laughlin,op・cit.,chap・XIV;Hepburn,op・cit・,

chap・XII・ お よ び 斉 藤 利 三 郎r国 際 貨 幣 制 度 の 研 究 』 昭 和15年,.第5章 を 参 照.

(7)第1回 国 際 貨 幣 会 議 の 経 過 に 関 す る 詳 細 は,Russell,・P・cit.,chap・V;Willis, ψ.cit.,pp・176‑192・ お よ び 斉 藤 利 三 郎,前 掲 書,第5章 を 参 照.

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19世 紀末大不況期 におけ るイギ リス本位 制論争

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貿 易資 本 を軸 と して複 本 位 制 運 動 が熾 烈 化 す るに 到 った。 他 方 ドイ ツに お い て も,銀 価 落 勢 下 で強 行 され た 銀 売 却 政策 に よっ て帝 国 財 政 の危 機 が 招致 さ れ,1879年 遂 に銀 売 却 の 中 止 を 余 儀 な くされ る と と もに,農 業 不 況 の重 圧 に直 面 した ユ ン カ ー階 級 を 中 心 に 複本 位 制 運 動 が 漸 次浸 透 しつ つ あ った 。 さ

らに フ ラン ス も また銀 価 下 落 の影 響 を 最 も深 刻 に 蒙 る こ とに な った。 す な わ ち1879年 以降 ラ テ ン同 盟諸 国 の減 価 した 銀貨 の流 入 が 激 増 し,他 方 で は金 の対 米 流 出 の急 潮 化 に よって,フ ラ ンス銀 行 の 正 貨準 備 は銀 の過 剰 と金 準 備 の激 減 とい う危 機 的 状 況 に 直 面す るに到 った。 以上 の如 き ヨ ー ロ ッパ主 要 諸 国 にお け る銀 問題 の未 曾 有 の 深刻 化 と複 本 位 制 運 動 の 国際 的 高 揚 を 背景 と し て,直 接 的 に は フ ラン ス政府 の 呼 びか け に よって新 らた な 国際 貨 幣会 議 の 招 請 に 関す る フ ラ ソス ・ア メ リカ両 国政 府 の 合 意 が 成 立 し,か く して1881年

4月,再 び パ リに おい て両 国政 府 の主 唱 に よ り 『確 定 比 価 に 基 づ き金 銀 両 金 属 を 複本 位 制 通 貨 と して使 用す る こ とを 国 際 協定 に よっ て確 立 す るた め の計 画 な らび に組 織 』 を 協 議 す るた め の 国際 貨 幣会 議 が 開催 され,こ れ を舞 台 と

して各 国間 で 激 しい論 争 と政 治的 駆 引 きが展 開 され る こ と とな った。 紙 幅 の 関 係 上 この国 際 会 議 の経 緯 につ い て詳 し く立 ち 入 る余 裕 は な い が,当 面 注 目

して お きた い 点 は イギ リス お よび ドイ ツの代 表 が ともに 上記 提 案 に基 づ く国 際 複 本 位 制 協定 へ の参 加 を 原 則 的 に 拒否 しつ つ,こ れ に代 って それ ぞれ 自国 の金 本 位 制 に抵 触 せ ざ る限 りで の銀需 要 拡 大 策 を 内容 と した 若 干 の譲 歩 案 を 提 示 した こ とで あ る。 会 議 は この 英 ・独 両 国 の 新 提 案 を め ぐっ て 紛 糾 した が,明 らか に 自か らは金 本 位 制 の原 則 を堅 持 しつ つ,ア メ リカお よび ラテ ン 同 盟 諸 国 の 複本 位 制 へ の復 帰 を促 し,も って銀 問 題 を 他 力的 に解 決 せ ん とす る意 図 を秘 めた この譲 歩 案 は,結 局 ア メ リカ,フ ラ ンス の拒 否 す る と ころ と な り,か くて第2回 国際 貨幣 会 議 も また 何 ら見 るべ き成 果 を生 む こ とな く終

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止 符 が 打 た れ るに 到 った 。

(8)以 上 の 第2回 国 際 貨 幣 会 議 の 開 催 に 到 る経 緯,と りわ け イ ギ リス,ア メ リ カ, ドイ ツ,ラ テ ン貨 幣 同 盟 等 各 主 要 資 本 主 義 国 に お け る銀 問 題 の 発 現 形 態 お よび 会 議 の 経 過 に 関 す る 詳 細 に つ い て は,Russell,oP・cit・ ・chap・VIを 参 照 さ れ た い.

(6)

以上 の如 く,1878年 と1881年 の二 度 に わ た る国 際 貨幣 会 議 が各 国 の 利害 相 剋 に よ って空 し く失 敗 に 帰 し,国 際 複 本 位 制 協定 へ の試 み が 事 実上 最 後 的 に 挫 折 した 後,欧 米諸 列 強 は 高 率 保護 関 税=カ ル テル 関 税 政策 と金 に対 す る

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打 歩 政策 の強 化 を積 杵 と して 熾烈 な 金獲 得 競 争struggleforgoldを 展 開 す る と ともに,他 方 逆 に各 国 の 複 本 位 制 運 動 は1880年 代 中 葉 に到 ってむ しろ 拍 車 が か け られ る こ と とな り,か く して 国際 的 対 抗 と国 内 的 矛盾 の一 層 の尖 鋭 化 が招 来 され るに 到 った。 しか も ここで特 筆 す べ き点 は,上 の如 き諸 矛 盾 の激 化 が,関 税 改 革一 帝 国連 合 運動 の高 揚 に もかか わ らず,あ くまで も伝 統 的 自由貿 易 政策 を 固 持す る イギ リス に おい て と りわ け 鋭 い 形 を と って現 わ れ,い まや イ ギ リスに おけ る複 本 位 制 運 動 とこれ を め ぐる本 位 制論 争 の動 向 が 国際 的 な 本 位 制 問題 の一 つ の焦 点 と して浮 彫 りに され た こ とで あ る。 以 上 の点 に鑑 み て,以 下 で は や や視 角 を 限定 し,こ の段 階 に おけ る イギ リス複 本 位 制 運 動 の動 向に 注 目 しつつ,1886年 の イ ギ リス上 院 に おけ る 金 銀委 員会 設 置 に到 る経 緯 を 概 観 す る こ とに した い。

〔2〕 イギ リス複 本 位 制 運 動 の 高揚 と金 銀 委 員会 の設 置

1880年 代 に 入 って イギ リス 国民 経 済 は 同年 代 初頭 に おけ る 微 弱 な 好 況 局 面 を経 過 した 後,図2に 示 され て い る よ うに,1882年 恐 慌 か ら86年 の不 況 の底 に 到 る累 進 的 な物 価 下 落 とそ の 後 の低 迷 に 象 徴 され て い る深 刻 な 永続 的 不 況 局 面 に直 面 す る こ と とな った。 こ う した 乱雲 低 迷 の80年 代 に お い て,

一 方 で は 周 知 の よ うに 国民 公 正 貿 易連 盟NationalFairTradeLeagueの 結 成(81年)と これ と連 繋 した 帝 国 連 合 同盟ImperialFederationLeagueの

成 立(84年),さ らに また イ ギ リス上 院 に おけ る 「商 工 業 不 況調 査 勅 命委 員 会 」 の設 置(85年)等 に象 徴 され る イギ リス関 税 改 革=帝 国 連合 運 動 の一 大

(10)

躍 進 が 現 出 し た が,他 方 こ れ と 略 並 行 し て80年 代 中 葉 に お け る 銀 価 の 一 層 の 崩 落(図1参 照)と 如 上 の 物 価 急 落 を 契 機 と しつ つ,イ ギ リス 複 本 位 制 運 動 も ま た 再 び 本 格 的 な 高 揚 期 を 迎 え る と と も に,こ の 段 階 に お い て さ らに 新 ら

(g)Ibid.,pp.333‑334.

(10)こ の点につい ては,吉 岡昭彦 前掲,「 イギ リス 自由主 義国家 の展 開」33‑36頁

を み よ.

(7)

19世 紀末大不況期 におけ るイギ リス本位 制論争 19

図2イ ギ リス の 綿 布 輸 出 価 格 ・小 麦 価 格 の 動 向(1850年=100) 200

180

160

140

120

100

80

60

小麦価格指数

,

/

乙 〈〉 〈!

綿布輸出

価格指数

1850607080901900

〔エ リ・ア ・メ ンデ リソンr恐 慌 の理 論 と歴史』 飯 田貫一他訳,第1分 冊,付 録統計 第13表 より作成 。 〕

た な 質 的 飛 躍 を 遂 げ る に 到 っ た 。 す な わ ち ま ず 第1に,さ き に 指 摘 せ る 如 き イ ン ド為 替 問 題 が 銀 価 の 急 落 に よ っ て そ の 深 刻 さ の 度 合 い を 加 え る に つ れ て,イ ン ドを 中 心 とす る 東 洋 市 場 へ の 依 存 度 を 強 め つ つ あ った マ ンチ ェス タ ー の 綿 業 資 本 家 の な か に も 複 本 位 制 運 動 が 急 速 に 浸 透 して ,東 洋 貿 易 資 本 と

(11)

綿 業 資 本 の緊 密 な連 繋 が成 立す る と と もに,他 方 外 国穀 物 の流 入 に よって穀 物 価 格が 惨 落 し(図2参 照),地 代 範疇 の危 機 に 直 面 しつ つ あ った 地 主 階 級 が

(12)

農 業 不 況 の打 開策 を 求 め て複 本 位 制 陣 営 に 合 流 し,運 動 の強 力 な 一 翼 を構 成 す るに到 った こ とで あ る。'次に第2に,こ う した イギ リス複 本 位 制 運 動 の 質 的 飛 躍 に伴 っ て 運 動 組 織 体 の 独 自的 本格 的 整 備 が 進 行 した 事 実 が 注 目され よ う。 す なわ ち まず1885年 マ ンチ ェス ター に お い て 国際 貨 幣 本 位制 協会

ωRusse11,0p.cit.,pp.332,362.

⑫19世 紀 末 に お け る イ ギ リス の 農 業 不 況 の 実 態 に つ い て は,当 面,常 盤 政 治r農 業 恐 慌 の 研 究 』 昭 和41年,第2篇,お よ び 椎 名 重 明 「「農 業 大 不 況 」 一 そ の 実 態 分 析 一1r土 地 制 度 史 学 』50,昭 和46年;同 「農 業 不 況 と 農 業 恐 慌 」r土 地 制 度 史 学 』51,昭 和46年 を 参 照.

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InternationalMonetaryStandardAssociationと 呼 ば れ る 運 動 組 織 が 結 成 さ れ る に 到 った が,こ の 組 織 は 翌86年1月 の 年 次 総 会 に お け る 改 組 決 議 に よ っ て 発 展 的 に 解 消 され,同 年 新 らた に 前 イ ン グ ラ ソ ド銀 行 総 裁 ギ ッ ブ ス H.H.'Gibbsを 会 長 とす る 複 本 位 制 同 盟BimetallicLeagueが 発 足 した 。 マ ン チ ェス タ ー に 本 部 を 置 き 議 会 対 策 委 員 会ParliamentaryCommitteeと シ テ ィ対 策 委 員 会CityofLondonCommitteeを 配 置 した 全 国 的 組 織 と して 改 組 され た こ の 複 本 位 制 同 盟 はr一 定 の 比 価 に よ る金 銀 の 自 由 鋳 造 を 国 際 協 定 に よ っ て 確 立 す る た め,他 の 主 要 諸 国 と の 協 力 の 必 要 性 を イ ギ リス 政 府 に 要 請 す る』 と の 綱 領 を 掲 げ て,各 種 の パ ン フ レ ッ トを 発 行 しつ つ 一 大 キ ャ ン ペ ー ンを繰 り広 げ た。 以上,か く  く して イ ギ リス複 本位 制 運 動 は,リ ヴ ァプー ル商 業 会 議 所 を拠 点 と した 東 洋 貿易 資 本 中心 の局 限 され た運 動 か ら,い まや イギ リス 最大 の産 業 部 門 た る綿 業 の資 本 家 層 とイ ギ リス支 配 階級 の伝 統 的 牙 城 た る土地 貴 族 とを そ の 陣 営 の うち に抱 摂 す る と ともに,全 国組 織 た る複 本 位 制 同 盟 の統 一 的 な指導 を 受 け る一 大 国民 運 動 へ と飛 躍 を遂 げ,ま た議 会 に おい て は 保守 党 の支 持 を 受 け て 強力 な政 治的 影 響 ガ を発 揮す るに到 った ので あ る。

80年 代 中葉 に おけ る 以 上 の如 き複 本位 制 運 動 の画期 的 高揚 を 背景 と して, 1886年7月 の総 選 挙 で 勝 利 を え て 成 立 した 保 守党 第2次 ソ ール ズベ リ内閣 の も とで新 らた に大蔵 大 臣 に 就 任 した チ ャ ーチル卿Ld.RChurchiUeは,

複 本位 制 運 動 に対 す る好 意 的 見 地 か ら同年9月,一 般 に 金 銀 委 員会 と略 称 さ れ る 「貴 金 属 比価 の 最近 の 変 動 に 関す る 調 査 勅 命 委員 会 」 の 任 命 を宣 言 し

ロの

た 。 当 初 こ の 委 員 会 は 著 名 な 複 本 位 制 論 者 で あ っ た 保 守 党 の バ ル フ ォ ァA・J・

Balfour(第2次 ソー ル ズ ベ リ内 閣 の ス コ ッ トラ ン ド担 当 大 臣)を 委 員 長 と し て 構 成

さ れ た が,後 に1887年5月 改 組 を 受 け て,金 本 位 制 論 者 で あ っ た 自 由 党 の

イ ギ リス に お け る 複 本 位 制 同 盟 の 結 成 経 過 な らび に そ の 組 織 ・綱 領 ・運 動 の 実 態 を 詳 細 に 究 明 す る こ と は,史 料 的 に 極 め て 困 難 で あ っ た と い わ ね ば な ら な い が,さ し あ た り 手 懸 り と な りえ た 史 料 は,Molesworth,・P.cit・,PP.49,117‑

123;Th8BanhersMagagine,Vo1.XLVI,1886,pp,176‑177.

(IORussell,op.cit.,pp.343‑344.

(9)

19世 紀 末大不況期 におけ るイギ リス本位制論争

21

ハ ー シ ェル卿Ld・Herschel1(第3次 グラ ドス トン内閣の大 法官)が 委 員 長 に 就 任 す る と と も に 本 格 的 な 証 人 喚 問 と 調 査 作 業 を 開 始 し,略2年 後 の1888年

(15)

,10月,全3部 か らな る最 終報 告書 を提 出す るに 到 った。 い ま,こ の最 終報 告 書 の構 成 と そ の概 要 につ い て あ らか じめ や や 立 ち 入 って 確 認 して お くな ら ば,ま ず 第1部PartIは12名 の全 委 員 の 署名 に な る 共 通 報 告 書 で,そ の 性格 上 比 較 的 一 致 点 の 多 い銀 価 低 落 に関 す る客 観 的 事実 の解 明に 力 点 を 置 き つ つ,対 立 意 見 に つ い て は各 論 点 を 整 理 して これ を併 記 してい る。 他方 第2 部PartIIは,表1か ら判 断 され る よ うに 自由党 政 治家,経 済 官 僚,シ テ ィ の銀 行 家 等 を 含 む6名 の委 員 に よ る報 告 書 で あ るが,委 員 長 ハ ー シ ェル卿 の 署名 を 含 む 故 一 般 に多 数 意 見 報 告 書 と看 倣 され て お り,内 容 的 に は銀 価 低 落 の 『諸 影 響 』effectsに 関 す る 批 判 的 検討 と 国際 複 本 位 制 に 対す る詳 細 な反 論 部 分 か ら構 成 され て い る。 これ に対 して 第3部PartIIIは,表2か ら確

壌1多 数意見報告書署名委員

LordHerschell C.W.Fremantle

J.Lubbock T.H.Farrer J.W.Birch L.H.Cour七ney

第3次 グ ラ ドス トン内閣大法 官(委 員長) 造 幣局 副長官

シテ ィの銀行家

商 務院事務次官,後 金本位制擁護連 盟創立者 イ ングラ ン ド銀行 前総裁

ロン ドン大 学教授,後 自由党議 員

〔Robey,op.cit.,intrQduction,pp.xxiv‑xxv,そ の 他 よ り 作 成 。〕

表2少 数 意 見 報 告 書 署 名 委 員

L.Mallet A.J.Balfour H・Chaplin D.Barbour

W.H.Houldswor七h S.Montagu

イ ソ ド省事務次官

第2次 ソールズベ リ内閣 ス コ ッ トラン ド担 当大 臣,保 守 党 指導者

第2次 ソールズベ リ内閣農務 院長 官 前 イ ン ド政府財務長 官

保守 党 議 員,マ ンチ ェ ス タ ー の綿 業 資 本 家 保守党議 員,銀 行家(詳 細不 明)

〔Robey,Opcit.,introduction,pp.xxiv‑xxv,そ の 他 よ り 作 成 。〕

以 上 の 点 に つ い て は.Robey,oP.cit.,introduction,pp.xxiv‑xxvi;Howe11, o少.cit・,PP・1‑3.

(10)

認 され る よ うに 保 守 党 政 治 家(地 主的 利害 の代表者を含 む),イ ン ド政 府 関 係 者,綿 業 資 本 家,銀 行 家 等6名 の 委 員 に よ る少 数 意 見 報 告 書 で あ り,銀 価 低 落 に よ っ て 招 致 され たr諸 害 悪 』evilsを 克 明 に 検 証 す る と と も に,そ の 救 済 策 と して 国 際 複 本 位 制 協 定 の 締 結 を 勧 告 して い る 。 以 下 で は,こ う した 点 に 留 意 しつ つ 多 数 意 見 お よび 少 数 意 見 の 立 論 の 特 徴 と両 者 の 理 論 的 対 決 点 を 整 理,紹 介 して ゆ く こ と と した い 〔 な お,以 下 の 叙述 の 典拠 につ いては,各 部別 (1,II,III)の パ ラグラフ番号を もって指示 す る〕 。

皿 報 告 書 の 分 析

〔1〕 銀 価 低 落 の 原 因 把 握 に つ い て

銀 価 す な わ ち 金 に よ っ て 度 量 され た 銀 の 価 格goldpriceofsilverの 変 動 と低 落 の 諸 原 因 に 関 して は,主 と して 共 通 報 告 書 に お い て 克 明 な 事 実 分 析 と 論 点 の 整 理 が 行 わ れ て い る 。 そ れ に よれ ば,銀 価 低 落 の 原 因 に つ い て は,(1)

『銀 に 影 響 す る 諸 要 因 』,(2)r金 に 影 響 す る 諸 要 因 』,(3)r両 金 属 に 影 響 す る 諸 要 因 』 とい う3つ の 側 面 か ら検 討 が 加 え られ て い る が,以 下 で は 主 と して (1),② に お い て 提 示 さ れ て い る 主 要 論 点 を 中 心 と して 簡 単 に 紹 介 して お き た い 。

まず,銀 価 低 落 の 原 因 と して 注 目 され たr銀 に 影 響 す る 諸 要 因 』 と は,こ れ を 一 言 に す れ ば1870年 代 以 降 に お け る 銀 の 需 給 関 係 に お け る 変 化 を 意 味

して い た 。 す な わ ち ま ず 少 数 意 見 に よれ ば,(1)ア メ リカ の 銀 鉱 山 の 開 発 に よ っ て 世 界 の 銀 産 出 量 が 一 挙 に 増 大 す る と と も に,1873年 以 降 に お け る ド イ ツ の 銀 売 却 政 策 に よ っ て,世 界 の 銀 供 給 量 は 激 増 した に も か か わ らず 〔1‑

12,13〕,(2)他 方,ド イ ツ,オ ラ ン ダ,ラ テ ン 同 盟 諸 国 に お け る銀 の 自 由鋳 造 の 停 止 な ら び に イ ン ド省 手 形CouncilBillsに よ っ て 代 置 さ れ た イ ン ド向 銀 輸 出 の 減 少 に よ り,1873年 以 降 各 国 の 銀 需 要 は 累 減 す る に 到 っ た こ と 〔1‑

14〜16〕。(3)以 上 の 如 き 銀 の 需 給 関 係 の 変 動 に よ っ て 招 来 され た 世 界 的 な 銀

過 剰 は,ラ テ ン 同 盟 諸 国 に お け る 両 金 属 の 法 定 比 価(15S:1)の 廃 絶 に 追 い

込 む と と も に,ま た こ の 廃 止 に よ っ て 市 場 比 価 の 安 定 機 構 が 最 終 的 に 失 わ

(11)

19世 紀 末大不 況期 にお け るイギ リス本 位制論争 23

れ,か く して両 両 相 侯 って 銀価 の低 落 に拍 車 が か け られ るに 到 った 〔1‑18〜

21〕。 以 上 の よ うな少 数 意 見 に よ る原 因把 握 に対 して,多 数 意 見 の側 か らは, (1)指 摘 され て い る如 き 銀産 出量 の増 加 分 は 現 存 す る世 界 の 銀 総 量 か らみ て 僅 少 に す ぎず,銀 の需 給 関 係 に 影 響 を お よぼす 決 定 的 な要 因 とは 認 め が た い こ と。 ② また銀 需 要 の 減 少 につ い ては,ブ ラ ン ド ・ア リソ ン法 の制 定 以降 に おけ るア メ リカの 銀需 要 増 大 とい う反対 要 因 が存 す る こ と。 従 っ て少数 意 見 の指 摘 す る如 き諸要 因 のみ か らは 現 下 の25〜30%に 達 す る銀 価 低 落 を説 明 しつ くす こ とは 困難 で あ る旨 の 部 分 的 な 反 論 が 示 され て い る 〔1‑22〜26〕

が1し か しこれ に 代 り うる積 極 的 な原 因把 握 に 関 す る論 点 提 示 は な く,総 じ て 以上 の問 題 点 に 関 す る限 りでは 少 数 意 見 と多数 意 見 の間 に は本 質 的 な 見解 の対 立 は なか った も の と看倣 され る。

これ に対 して,『 金 に影 響 す る諸要 因』 に よ って 銀価 の低 落 を 説 明せ ん と す る論 点 につ い ては 意 見 の 鋭 い対 立 が看 取 され る。 まず,こ の点 に関 す る少 数 意 見 の基 本 的 見 地 は,『 金 は そ の果 す べ き 役割 に比 して 相 対 的 か つ 絶対 的 に不 足 して お り,従 って商 品 と銀 一 銀 も商 品 と考 え られ る限 り一 に対 し て それ 〔 金 〕 の比価 は 往 時 よ りも 高騰 す る 傾 向 に あ る』 〔1‑32〕 とい う貨 幣

数 量 説 的 見 地 か らす る 金 騰 貴 説 で あ っ た こ とが 注 目 さ れ よ う。 さ らに,如 上 の 命 題 を 立 証 す るた め に 少 数 意 見 は,(1)1870年 代 以 降 に お け る 金 産 出 量 の 世 界 的 な 減 少 傾 向 を 統 計 的 に 確 認 す る と と も に 〔1‑34,35〕,(2)他 方,金 需 要 増 大 の 諸 要 因 と して,(a)1878年 を 画 期 とす る ア メ リカ の 金 輸 出 国 か ら輸 入 国 へ の 転 換,(b)ド イ ツ,ス カ ン デ ィナ ビ ア諸 国,オ ラ ン ダ,イ タ リー へ と つ ぎつ ぎに 波 及 す る に 到 っ た 金 本 位 制 採 用 国 の 増 加,(c)工 業 用 金 需 要 の 増 大,(d)各 国 政 府 お よ び 諸 個 人 に よ る 金 蓄 蔵 の増 大,等 の 諸 事 実 を 列 挙 して 詳 細 な 説 明 を 加 え て い る 〔1‑35〜42〕 。 こ う して 少 数 意 見 に よ れ ば,銀 の 需 給 関 係 に お け る 変 化 と は 正 に 逆 に 金 の 供 給 減 少 と需 要 累 増 とに よ っ て 金 価 格 が 騰 貴 す る と と も に,こ れ に 逆 比 例 して 金 を 尺 度 とす る銀 価(な らびに物価一 般)の 下 落 が 招 来 され る こ と とな っ た 。 他 方,こ れ に 対 して 多 数 意 見 は 如 上

の 少 数 意 見 に よ る 金 騰 貴 説 を 真 向 うか ら否 定 しつ つ,そ の 根 拠 を 大 要 次 の 如

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く説 明す る。(1)金 産 出量 の 世 界 的 減 少 は,そ れ が仮 りに事 実 であ る と して も,現 存 す る世 界 の 薦大 な金 総 量 に 比 較 して そ の減 少 分 は 微 微 た る もの にす ぎな い。(2)イ ン グ ラン ド銀 行 支 店 の 増 設,小 切 手,郵 便 為替,電 信 為 替 等 の普 及 あ るい は また 大 陸 諸 国に お け る銀 行 業 務 と手 形 交 換制 度 の発 達 等 等 に み られ る信 用 制 度 の飛 躍 的 な整 備発 展 に よ って金 は よ り迅 速か つ 効 率的 に機 能 す るが 故 に,世 界 の商 業 的 取 引 きに必 要 と され る金 量 は む しろ減 少 す る傾 向 に あ る。(3)金 は各 国間 で 相 互 に 流 出 入 を繰 り返す が 故 に,金 に対 す る 『真 の需 要 』 は予 想 され る よ りもは るか に 僅 少 に す ぎず,従 って少 数 意 見 に よ っ て 指摘 され て い るが如 き金 に対 す る新 需要 は 著 しく誇 張 され た も ので あ る。

(4)最 後 に,『 通 貨 的 用 途に 対 す る 金 の供 給 度 を示 す 確 実 な指 標 』 と看 倣 され る利 子 率 は 低 位 か つ 安 定 的 で あ って,こ の点 か らも金 の供 給 不 足 とい う主 張 は否 定 され る 〔以上,1‑‑44〕。 か く して,金 の需 給 関 係 を め ぐる事 実 認識 は 真 向 うか ら対 立 し,少 数 意 見 の主 張 す る金 騰 貴 説 は論 争 の1焦 点 とな るに 到 っ た が,か か る対 決 は また,次 節 で紹 介 す る よ うに物 価 問題 をめ ぐる論 争 の序 曲 を なす もので あ った 。

〔2〕 銀価 低 落 の 諸影 響 につ い て

銀価 の低 落 に 伴 う諸影 響 また は 諸 害 悪 に つ い ては,共 通報 告書 に お い て詳 細 な論 点 整理 が な され て い る と同 時 に,少 数 意 見 と多数 意 見 の両 報 告 書 で も そ れ ぞ れ 鋭 い論 点 提 示 と相 互 批 判 が展 開 され て い る。 提示 され て い る問 題 は 広 範多 岐 に わ た り,か つ 相 互 に複 雑 に 交錯 して い るが,便 宜 上,(1)為 替 変 1動 問題 ,(2)イ ン ド為 替=貿 易 問 題,③ 物価 下落 問題,(4)イ ン ド政府 の財 政

問題,に 分 割 整 序 して 順 次 考 察 して ゆ くこ と と した い。

(i)為 替 変 動 問題 各 報 告 書 で は 銀価 の慢 性 的低 落 に よ って招 来 され た

金 銀 比価 の不 断 の変動 が,銀 価 の低 落 そ の もの とは ひ と まず 区 別 され て 独 自

の論 点 を構 成 して い る。 い うま で もな く,こ う した金 銀 比 価 の不 断 の 動揺 は

金 本 位 制 国 と銀 本 位制 国 との間 の為 替 相場 の絶 え ざ る変 動 と為 替不 安 を惹 き

起 し,こ れ ら両 国 間 に お け る貿 易 決 済 上 また は資 本輸 出入 に関 して一 定 の障

害 を生 み 出す で あ ろ う。 と ころで 特 徴 的 な 点 は,こ う した 為 替 不 安 問題 に関

(13)

19世 紀 末大不 況期 にお け るイギ リス本 位制論争

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す る限 りで は少数 意見 と多 数 意 見 との間 に は本 質 的 な見 解 の相違 が な い こ と で あ って,従 って以 下 で は よ り詳 細 な説 明 を加 え てい る多数 意 見 の立 論 に 即

して紹 介 して お きた い。 それ に よれ ば,(1)本 位 制 度 を 異 に す る2国 間 の貿 易 に 関与 す る貿 易商 な らびに 為 替銀 行 は,金 銀 比価 の動揺 に伴 う為 替 相 場 変 動 に よ って リス クが 増 大 し,そ の結 果,か か る2国 間 の貿 易 は輸 出 と輸 入 が 同時 に契 約 され る バ ー ター 一的 取 引 に 限 定 され る傾 向が生 ず る 〔II‑5,6〕。 な お,以 上 の点 に 関 連 して共 通 報 告 書 で は さ らに次 の如 き指摘 が あ る。 す なわ ち,如 上 の貿 易上 の リス クは 輸 出入 の流 れ が 不 均 衡 な場 合 に と りわ け 顕 著 で あ るが 故 に,例 えば イ ギ リスの対 イ ン ド貿 易 よ りはむ しろ,中 国 向輸 出 な い し中南 米 へ の輸 出が よ り深刻 な影 響 を蒙 る と と もに,対 脈 的 に 銀 本位 制 国相 互 間 の貿 易,例 えば イ ン ドの対 中 国 ・日本 向輸 出が 促 進 され,そ の結 果,こ れ ら諸 国 に対 す る イギ リス の輸 出 の停 滞 に一 層 の重 圧 を 加 え る こ とに な る と

〔1‑69,72〕。(2)次 に,上 の如 き為 替 不 安 は また,金 本 位制 国か ら銀 本 位制 国 へ の資 本 輸 出に対 す る重 大 な制 約 条 件 を なす もので あ り,こ のた め イギ リス の イ ソ ド・中 国 向海 外 投 資 は 停滞 し,イ ギ リス国 内 で は資 本 の過 剰 が 招致 さ れ るに到 った 〔II‑13〕 。 以 上,少 数 意見 は も と よ り多数 意 見 に よっ て も,金 銀 比 価 の動 揺 に伴 う為 替 相 場 変 動 が イギ リス の貿 易 と資 本 輸 出上 の障害 と し て認 識 され,そ の 問題 性 が 強 調 され て い る点 に 止 目 して お きた い。

(ii)イ ン ド為 替=貿 易 問 題 前 章 で も示 唆 した よ うに,イ ギ リス本 位制 論 争 を 惹 き起す に到 った 直接 的 契 機 とな った のは,銀 価 低 落 に伴 っ て招来 さ れ た イ ン ド為替=貿 易問 題 で あ った。 金 本 位 制 国 イ ギ リス と銀 本 位 制 を 採 る 植 民 地 イ ソ ドとの間 の為 替 相場 は 「両 金属 の相 対 的 な価 値 変動 に依 存 」(マ ル クス)し,銀 価 の落 勢 は 直 ち に イ ギ リスに お け るイ ン ド為 替 相場 の低 落,逆 に表 現 す れ ば イ ン ドに お け る ポ ン ド為 替相 場 の騰 貴 を恒 常 化 す るで あ ろ う。

こ う した イ ギ リス側 の為 替 不 利 に よつ て イギ リス の東 洋 向輸 出産 業,と りわ

け東 洋 市 場 へ の依 存 度 を強 めつ つ あ った ラ ン カ シ ャ ー綿 業 は 深 刻 な影 響 を蒙

る こ と とな った 。 この 点 に関 して少 数 意見 報 告 書 は次 の如 き実例 を挙 げ て説

明 を加 え て い る。 例 え ば,イ ギ リス の輸 出商 が10,000ポ ン ドの 綿 製 品 を イ

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ン ドに 輸 出 しか つ1ル ピ ー が2s・ とす れ ば,イ ン ド側 の 輸 入 価 格 は100,000 ル ピ ー と な る が,い ま 銀 価 が25%下 落 した と 仮 定 す れ ば ル ピ ー相 場 はls・

6d・ に 低 落 し,そ の 結 果,イ ソ ドの 輸 入 価 格 は133,333ル ピ ー に 騰 貴 す る で あ ろ う。 か く して 少 数 意 見 に よれ ば,ラ ン カ シ ャ ー の 製 造 業 者 が 従 来 通 り イ

ン ド市 場 を 確 保 し続 け るた め に は 綿 製 品 輸 出 価 格 を25%す な わ ち7,500ポ ソ ド=100,000ル ピ ー に ま で 引 き下 げ る こ とを 甘 受 せ ね ば な らず,さ も な け れ ば イ ソ ド現 地 に お け る綿 業 の 発 達 を 洪 手 傍 観 せ ね ば な らぬ こ と とな る,と 強 調 して い る 〔III‑9〕。 現 に 少 数 意 見 に よれ ば,近 年 イ ン ド綿 業 と りわ け 紡 績 業 の 躍 進 は め ざ ま し く,そ の 結 果 イ ギ リス の 中 国 ・日本 向 綿 糸 輸 出 の減 退

と は 対 踪 的 な イ ン ドの 綿 糸 輸 出 の 驚 異 的 増 加 が 進 行 して い た 〔図3,図4参 照〕。 い まや,ラ ン カ シ ャ ー の

綿 業 資 本 に と っ て 植 民 地 イ ン ド の綿 業 を 双 葉 の うち に 刈 取 っ て ア ジ ア 市 場 を 自己 の 輸 出 市 場 と

して 掌 握 す るた め に,イ ン ド為 替 問 題 を 解 決 す る こ と が,正 に 焦 眉 の 現 実 的 課 題 と して 認 識 さ れ るに 到 っ た の で あ る。 〔 以 上 の 点 に関連 して,同 時 代史家T.エ リ

ソンの 次の 如 き 指摘を 掲げ てお き た い。 「ア メ リカ お よび ヨー ロッパ 大陸 に おけ る 〔綿業 の〕競争 に よ っ て,わ が国 の 貿易 は 制 限を 受けた が,そ れ以外 の広大な 世 界市 場 にお け るわれわれ の 顧 客が うばわ れ る こ とはなか った 。 この点でわれ われ の 最 も 恐 るべ き 競争者 は イ ソ ドで あ る。 … …最近 では,イ ン ドの綿 糸 と 綿布 と りわけ綿糸 は 中国,日 本 その

図3イ ソ ドに お け る 木 綿 工 場 数 ・紡 錘 数 ・力 織 機 数 の 増 加

/OOO,OOO) nltPい

rtW..‑

2.4 2.2 2.0

1.8 1.6 L4 1.2

18

16

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12108

つ 方 垂 女 ー ウ 叩 3 来 女

1.

数1gy778798081828384858687

〔1‑76の 表 に 基 づ い て 作 成 。〕

,

(15)

19世 紀末大不況期 におけ るイ ギ リス本位 制論争

図4イ ン ドお よ び イ ギ リス の 極 東 向 綿 糸 輸 出 の 動 向 (OOOLbs)

100

90

80

70

0

疏)色

50

40

30

20

10

187778798081828384858687

〔1‑77の 表 に 基 づ い て 作 成 。〕

27

他 の極東市場 で 大量 に 販 売 されて い る。

従 って マ ンチ ェスターに とって,ヨ ー ロ ッパ大陸 や ニ ューイ ング ラソ ドの 競争者 よりも イ ン ドの 競 争 のほ うが よ り 一層 脅威 的で あ ることは 疑 問の 余地がな い」

と。T.Ellison,TheCottonTracleof(;reat Britain,1886,p.105.〕

如 上 の 主 張 に 対 す る 多 数 意 見 の 反 論 は,そ の 基 調 を 著 し く異 に して い た 。 多 数 意 見 の 立 論 の特 徴 は 少 数 意 見 に よ っ て 提 起 さ れ た 諸 論 点 を す べ て 綿 製 品 の 価 格 下 落 問 題 に 還 元 しつ つ,こ れ を 一 般 的 な 物 価 下 落 の 原 因 究 明 の 一 環 と して 位 置 づ け 説 明 す る 点 に あ っ た 。 そ の 詳 細 は 次 項 に 譲 る が,さ しあ た り綿 製 品 の 価 格 低 落 に つ い て 次 の 如 き 指 摘 に 注 目 して お き た い 。 多 数 意 見 は ま ず,『 為 替 相 場 の 変 動 が あ る程 度 貿 易 上 の 障 害 に な っ て い る こ とは 否 定 しな い 』 と述 べ つ つ も,『 ラ ン カ シ ャ ー に お け る 価 格 下 落 の す べ て ま た は 大 半 を 上 の 要 因 に 帰 す る こ とは 誤 りで あ る』 と 断 定 し 〔II‑90,91〕,そ の うえ で 綿 製 品 価 格 下 落 の 主 た る要 因 と して は,(a)原 棉 価 格 の 低 落,(b)輸 送 費 の低 下,(c)機 械 の 改 良 に よ る 生 産 費 の 低 落,(d)労 働 生 産 性 の 向 上,以 上 の 諸 要 因 に 求 め られ るべ き こ と を 力 説 しつ つ,し か も 『こ れ ら す べ て の 変 化 に よ っ て,製 造 業 者 は 自 己 の 状 態 〔=利 潤 〕 は 不 変 の ま ま で イ ン ドの 購 買 老 に は 大 幅 な 価 格 の 引 き 下 げ を も っ て 販 売 す る こ と が 可 能 と な っ た 』 と い う極 め て 楽 観 的 な 見 解 を 表 明

して い る の で あ る 〔II‑一 一91〕 。

(iii)物 価 下 落 問 題19世 紀 末 の イ ギ リス に お け る 慢 性 的 な 物 価 下 落 は

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大 不 況期 を特 徴 づ け る最 も深 刻 か つ 顕 著 な現 象 で あ り,そ の 原 因把 握 を め ぐ る問題 は当 該 金銀 委 員会 に おけ る最大 の論 争 点 で あ った とい え よ う。 こ の物 価 問 題 に つ い て共 通 報 告 書 は,ま ず 少 数 意 見 の基 本 的見 地 を次 の如 く要 約 し

て い る。 い わ く,r諸 商 品 の価 格 は 金 を 尺 度 と した これ ら商 品 の価 値 に他 な らず,ま た価 格 は さ しあた り金 と諸 商 品 の関 連 を標 示 し,か つ そ の 関 連 は各 時 点 に お け る商 品 量 と金 の量 とに よ って決 定 され る。 そ れ 故 に 物 価 下落 は金 の不 足 と同義 で あ る』 と 〔1‑46〕。 す でに 前 節 に お い て も 示 唆 せ る如 く,少

数 意 見 の物 価 問題 把 握 の基 本 線 は上 の如 き貨 幣 数 量 説 的 見地 か らの金 騰 貴=

物 価 下 落 説 で あ り,こ の点 で 後 述 す る多 数 意 見 の理 論 的 観点 とは決 定 的 に対 立 す る もので あ った こ とに止 目 して お きた い。 と ころで,少 数 意 見 報 告 書 で は,如 上 の金騰 貴=物 価 下 落 説 を 再確 認 した うえで,就 中,深 刻 化 しつ つ あ った 物 価 下落 の社 会 的 影 響 に重 大 な関 心 を 寄 せ つ つ,こ れ に関 す る克 明 な分 析 を展 開 して い るが,そ の主 な 論 点 は大 要 次 の 如 くで あ る。(1)所 得 税報 告 書 に よれ ば,過 去15年 間 に イギ リスの 人 口は 急増 しまた 商 品 生 産量 は ほぼ 全 分野 に お い て飛 躍 的 な 増 大を 遂 げ た に もか か わ らず,所 得総 額 は ほ とん ど 増 加 を示 して い ない。(2)イ ギ リスの工 業 お よび 農 業 地 帯 に お い て,賃 金 率

の圧 下,雇 用 の不 規 則 性 に よる賃 金 の絶 対 額 減 少,完 全 失 業 の増 大 等 が 進 行 しつつ あ る。 ③ 利 潤 と賃 金 の低 落 に よ り イ ギ リスに お け る 購 買 力 は 縮 減 し つ つ あ る。(4)金 騰 貴 に よって 国 家 と産 業 が 負担 す べ き国債,社 債 等 の固 定 的 経 費 が 増大 す るが,他 方 これ に よ って利 益 を享 受す る確 定 所 得者 は イギ リ

ス全 人 口の極 小部 分 にす ぎない。(5)最 後 に,世 界 的 な規 模 の 物 価 下落 に よ っ て各 国 は 自由貿 易 政 策 を放 棄 し,保 護 主 義 へ の志 向 を強 化 す る こ と とな る

〔III‑27〕 。 以 上,少 数 意見 は物 価 低 落 に よって招 致 され た社 会 的,経 済 的 禍 害 に つ い て注 意 を 喚 起 して い るが,就 中,工 業 ・農 業 地 帯 に お け る賃 金 圧 下 と失業 増 大 お よび利 潤 の減 少 等 の指摘 に み られ る深 刻 な不 況 認識,な らび に 確 定 所 得 者=金 利 生 活 者 に対 す る鋭 い 非難 が 印象 的 で あ ろ う。

他 方,こ れ に対 して多 数 意 見 の立 論 は,上 来 示 唆 して きた よ うに そ の理 論 的 見 地 を 著 し く異 に し,問 題 把 握 の鋭 い対 照 性 を示 して い る。 共 通報 告 書 の

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19世 紀 末大 不況期 におけ るイギ リス本位 制論争

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克 明 な論 点 整理 に よれ ば,多 数 意 見 は まず,価 格低 落 は全 商 品 に 共通 す る普 遍 的 現 象 で は な く商 品 別 に顕 著 な差 異 が 存 す る故 に,か か る部 分 的 な物 価 下 落 を 貨 幣 的要 因 に よっ て一 元 的 に説 明せ ん とす る こ とは 明 らか に 誤謬 で あ る

と断 じ,物 価 下 落 の原 因は 個 個 の商 品に つ い て個 別 的か つ 具 体 的 に 分析 され るべ き 旨を 力説 しつ つ,同 時 に そ の際 考 慮 され るべ き一 般 的 な分 析 視角 と し て次 の如 き諸 項 目を 総 括 的 に 列 挙 して い る。(a)物 価 下 落 期 に 尖 鋭 化す る諸 資 本 間 の競 争 戦,(b)商 品生 産 量 の急 増 と生 産 費 の低 下,(c)運 輸 ・通 信 手 段 の発 達 と費 用 の軽 減,(d)欧 米 諸 国 に お け る 生 産 力 の発展 と 国 際 的 競争 戦 の 激 化,(e)信 用 制度 の発 展 と資 本 の効 率化,(f)銀 価 低 落 に 伴 う銀 本 位制 国か らの輸 入 品 の価 格 低 下 〔1‑61〕。 以上,み られ る よ うに 貨 幣 的要 因 が一 部 加 味 され て い る とは い え,明 らか に そ の核心 的部 分 は生 産 力 的 発 展 と競 争 戦 の

激 化 とい う認 識 で あ り,そ の基 調 は端 的 に い って生 産 力 説 と規 定 し うる ので は あ る まいか 。 と ころ で さ らに,以 上 の如 き理 論 的 見 地 に 立 脚 す る限 り,物 価 下 落 の社 会 的 影 響 に つ い て も少 数 意 見 とは 著 し く異 な る認 識 が表 明 され た こ とは 当然 とい え よ う。 この点 に 関 して,再 び共 通 報 告書 の 整理 に よれ ば, 多 数 意 見 の見解 は 次 の 如 くで あ った 。(1)物 価 下 落 は 消 費者 の利 益 で あ り,

また 特 に労 働者 階 級 に とっ ては 実 質 賃 金 の 上 昇 を もた らす。(2)物 価 下 落期 に お い ては 商業 活 動 は慎 重 とな りまた需 給 関 係 は 安 定 的 で あ るが故 に,商 業 恐 慌 と貿 易上 の 撹 乱 は 防 止 され る。 ③ さ らに 物価 下落 期 に は 生 産 費 引 き下 げ のた め の 創意 工 夫 と資 本 の 節 約 が促 され,社 会 に対 す る物 質 的 寄 与 を生 み 出す 。(4)ま た,物 価 高騰 期 に 海 外 へ 投 資 され た イギ リス の資 本 は物 価 下落 期 に お い て 『真 の報 酬』realreturnを 獲 得 す るが 故 に,物 価 下 落 は イギ リ

スの 国 家 的利 益 とな る。(5)利 潤 の減 少 は 借 入 資本 の 利 子 率 低 下 に よ って あ る程度 相 殺 され うる 〔1‑95〕。 以 上,少 数 意 見 とは 正 に対 踪 的 な楽 観 的認 識 が 開 陳 され て い るが,と りわ け物 価 下 落 との関 連 で イギ リス の海 外 投 資利 害

の一端 が あ ざや か に 露 呈 され て い る点 に併 せ 留 意 して お きた い。

(iv)イ ン ド政府 の財 政 問題 銀 価 低 落 の影 響 に関 して論ぜ られ た最 後 の

問題 点 は,イ ン ド政府 が 直面 して いた 深 刻 な 財政 的 困難 に 関 す る もの で あ っ

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た。 まず,こ の点 に つ い て の 共 通 報 告 書 の 説 明 に よれ ば,① イ ン ド政 府 財 政 は,銀 に よる租 税収 入を 歳 入 の基礎 と して い るに もか か わ らず,歳 出 の多 くは本 国経 費homecharge等 の金 に よる対 外 支 払 い に よって 占 め られ る と い う特 殊構 造 を もち 〔1‑103〕,(2)従 って イ ソ ド政 府 は,か か る蒐大 か つ 固定 的 な金 債 務 の支 払 い の た め ロ ソ ドン市場 に お い て銀 を 金 に 換 え る必 要 に迫 ら れ た が,既 述 の 如 き銀 価 低 落 の急潮 化 に伴 い イ ン ド政府 財 政 は甚 大 な損 失 を 蒙 る と と もに,そ の結 果,歳 出額 が累 増 しイ ン ド納 税者 の負 担増 大 が招 致 さ れ るに 到 った とい う 〔1‑104〕。 以 上 の如 き共通 報 告 書 の問 題 指摘 に対 して, 少 数 意 見 報 告 書 は 全面 的 な賛 意 を 表 明 しつ つ,イ ン ドに おけ る増 税 問 題 を 中 心 に 若 干 の補 足 を 加 え てい るが 〔III‑13〜16参照〕,こ こで就 中注 目され る事 実 は,多 数 意 見報 告 書 に お け る 次 の如 き見 解表 明で あ ろ う。 す なわ ち,r銀 価 の慢 性 的 な低 落 が イ ン ド政 府 財 政 に あ た えた 憂 慮 す べ き影 響 につ い ては 意 見 の対 立 は あ りえ な い。 も しも歳 出上 の節 約 が な く,ま た 財政 赤 字 が 回 避 さ れ るべ き とす れば,ル ピー相場 の低 落 に応 じて追 加 的課 税 が必要 とな ろ う』

〔II‑101〕 。 また い う,rわ れ わ れ は イン ド政府 が直 面 してい る 〔 財 政 的 〕 困 難 につ い て も,さ らに追 加 課 税 が惹 起す 深 刻 な問 題 に つ い て も充 分 な る認 識 を 有 す る もの で あ る』 と 〔II‑102〕 。 か く して,多 数 意 見 もまた イ ン ド政 府 財 政 に対 す る何 らか の救 済 措 置 の必 要 性 を 承 認 してい るが,但 しか か る救 済 措 置 が 『他 の利 害 に対 す る不 公正 を伴 って は な らず,ま た 別 の 同程 度 の禍 害 と不 都 合 を 招致 す る もので あ っては な らな い 』〔II‑102〕との厳 しい限 定 条 件 が 附 され,問 題 の解 決 策 に 関 して少 数 意 見 との 間 に厳 然 た る一 線 が 画 され て

い る点 に 留 意 すべ きで あ る。

〔3〕 救 済策 につ い て

以上 に紹 介 して きた 銀 価低 落 の諸 原 因,諸 影響 に関 す る少 数 意 見 と多数 意

見 の間 の理 論 的見 地 な らび に事 実 認 識 に おけ る対 立 は,究 極 的 には,救 済策

と して提 起 され た 国 際 複 本 位制 協 定 の是 非 を め ぐる鋭 い政 策 論 的対 決 へ と収

敏す る もので あ った 。 以 下 で は まず,少 数 意 見報 告 書 に お い て勧告 され て い

る救 済 策 の概要 を確 認 し,続 い て これ に対 す る多 数 意 見報 告 書 の批 判 論 点 な

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19世 紀 末大不 況期 にお け るイギ リス本 位制論争

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らび に 若 干 の提 言 に つ い て紹 介 して ゆ くこ と とす る。

まず,少 数意 見 が救 済 策 と して 国際 複本 位 制協 定 の締 結 を 勧 告 す るに 到 っ た論 理 的 前 提 につ い て は,す で に上 来 の分 析 か ら明 白で あ ろ うが,念 の た め こ こで 再 度,や や 悲壮 味 を帯 びた 次 の如 き指 摘 を 挙 げ て お こ う。 いわ く,

『〔金 銀 〕 両 金属 間 の 連繋 を再確 立 せ ん とす る試 み が 失敗 に終 る な らば,恐 ら く世 界 の商 業 諸 国 家 は一 斉 に 金 単 本 位制 へ の傾 斜 を 強 め るで あ ろ う。 か か る 方 向へ の第1歩 が踏 み 出 され る な らば,勿 論 現 存 す るす べ て の害 悪 は累 加 さ れ,必 ず や 世 界 の進 歩 に とって最 悪 の 結果 が招 致 され るに違 い な い。 これ 以 上 の銀 価 の低 落 は 一瞬 の うちに イ ン ドに おけ る重 大 か つ 計 り知れ ぬ禍 害 を 惹 起 し,他 方 一 層 の 金騰 貴 〔一 物 価 下 落 〕 は 国 内 に お い て致 命 的 な結 果 を生 み 出す で あ ろ う』〔III‑83〕 。 この よ うな認 識 に基 づ い て 少 数 意 見報 告書 が勧 告 した 国際 複 本 位 制 の 大 要 は,(1)両 金 属 の 自由鋳 造 と法 貨 認 定 お よび 金 銀 比 価 を 国際 協 定 に 基 づ い て確 立 す る。(2)国 際 的 に採 用 され るべ き 比価 とそ の 他 詳 細 にわ た る事項 は,今 後 各 利 害 団 体 の 間 で の 検討 と折 衝 に 委 ね られ る べ きで あ る。(3)こ のた めに,イ ギ リス政 府 は 国際 貨 幣 会議 の 開催 な らび に 国際 複 本 位 制 協 定 の 締 結 に 関す る 欧 米 主 要 各 国 の 意 向を 打診 す べ きで あ る

〔III‑34,35〕。 以 上,こ の勧 告 の 内 容 につ い ては,も 早 や 贅 言 を 要す る まで もあ る まいが,一 点 留 意 して お きた い こ とは,勧 告 され て い る救 済 策 に お い て は採 用 され るべ き金銀 比 価 の具 体 案 は 留保 され て い る事実 で あ って,こ の 点で は少 数 意 見 の内部 に お い て も意 見 の相異 が あ った こ とを示 唆 して い る よ

うに 思 わ れ る。

これ に対 して多数 意 見報 告 書 は,少 数 意見 に よ る勧 告 で は上 記 の如 く採 用

され るべ き 金 銀 比 価 の 具体 案 が 留 保 され て い る点 に 鑑 み て,国 際 複 本 位 制

協 定 を(1)市 場 比 価marke七ratioを 基 礎 とす る案,(2)15S:1の 旧比価old

ratioに 基 づ く案,の2種 類 に大 別 し,そ れ ぞ れ に つ い て 検討 を 加 えつ つ 徹

底 的 な 批判 を展 開 して い る。 まず 第1に,市 場 比価 に基 づ く国 際 複本 位 制 協

定 案 に対 す る多 数 意 見 の評価 は大 要 次 の如 くで あ る。(1)国 際 協 定 が 成 立 し,

か つ各 国 が 複本 位 制 の根 本 主 旨を厳 格 に遵 守 す るな らば,市 場 比 価 は新 法 定

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比 価 に 収敏 す る こ とに よって 為替 相 場 安 定 が 達成 され る 可 能 性 が あ る 〔II‑

109〕 。(2)し か し如 上 の メ リッ トに もか か わ らず,幣 制 の改 革 は従 来 と同等 ま た は よ り深 刻 な禍 害 を 惹 起 す 危 険 性が あ る。 就 中,『 世 界 の 金融 的 中心 地 た る イギ リス の地 位 は,イ ギ リスが 金 本 位制 国で あ りか つ 長年 これ を堅 持 して きた事 実 に依 存 して い る』 ので あ り,rわ が 国が 享 受 して い る 金 融 的 地 位 …

… に抵 触 す る如 何 な る危 険 性 も軽 軽 し く遇 され て は な らな い 』〔II‑113〕 。(3) さ らに,一 層 現 実 的 な可 能 性 は,仮 りに 国際 複 本 位制 協 定 が 締 結 され た と し て も,参 加 国が か か る国 際協 定 を恒 久的 に遵 守す る確 た る保 証 はな く,従 っ て 協 定 か らの離 脱 を 見 越 して各 国 の金 融 業 者 は 金獲 得 競 争 に か りた て られ, 一 層 の金融 的混 乱 が 招 致 され るで あ ろ う 〔II‑115〕

。(4)最 後 に,以 上 の如 き 国際 複 本 位制 協 定 の利 害 得 失 を 比較 考量 した うえで 多数 意見 報 告 書 は 結 論 的 に,『 提 案 され て い る 〔 幣 制〕 改 革 は 大 規 模 な もの で あ り,著 し く向 う見ず な 冒険 で あ る と 言 わ ざ るを え な い 』 との 断 を 下 してい る 〔II‑126〕 。 続 い て 第2に,旧 比価 へ の復 帰 に 基 づ く国 際 複本 位 制 協 定 に対 して は,多 数 意 見 の 批 判 論 調 は と りわ け 鋭 い もので あ った。(1)ま ず,旧 比 価 へ の強 制 的 復 帰 は

必 然 的 に通 貨膨 脹 と物 価 騰 貴 を惹 起 し,そ の結果,債 務者 と債 権者 との関係

に おい て 後者 が 明 らか に不 利益 を蒙 る とい う不 公 正 を 招 くこ と とな る。 徒 っ て 『か か る 目的 を 秘 め た 通 貨 に 対 す る 国 家 的 干 渉 に は 弾 固 と して 反 対 し,ま た か か る改 変 が 如 何 な る 口実 に よ っ て 粉 飾 され て い よ う と も,物 価 の 人 為 的 引 き上 げ は 害 悪 で あ る と信 ず る 』〔1』123〜125〕 。(2)ま た,国 際 複 本 位 制 協 定 へ の 参 加 国 が 協 定 を 破 棄 す る 可 能 性,な らび に これ に 伴 う 金 融 的 混 乱 と い う 葦1述の 如 き 危 険 性 が,こ の 場 合 に も 同 様 に 指 摘 され うる 〔II‑127〕。(3)最

後 に,イ ギ リス は世 界 の大 債権 国す なわ ち最大 の資本 輸 出 国で あ るが 故 に, r物 価 騰 貴,換 言す れ ば 金 の購 買 力 の縮 減 を 招 くが 如 き 〔幣 制 〕 改 革 は わ が

国に とって不 利 益 で あ る』〔II‑128〕 。 以 上,2つ の 案に 対 す る 批判 論 調 の う ちに イギ リス金 融 資 本一 投 資 家 階級 の 経 済 的 利 害 が 赤 裸 裸 に 表 明 され て お

り,多 数 意 見 の全 論理 の 集約 点 は畢 尭 こ こに存 す る もの と看 倣 され るが,と

りわ け 旧比 価 へ の復 帰 に よる 国際 複 本 位 制 案 が通 貨 膨 脹 と イ ンフ レー シ ョン

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19世 紀末大不況期 におけ るイギ リス本位制論争

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を 招致 す る もの と して 激 しい 批判 対 象 とされ て い る点 が注 目され よ う。

最 後 に,多 数 意 見 報 告 書 は イ ン ド政 府 の財 政 問 題 に論 及 し,r〔 イ ン ド政 府 の 〕 困難 を軽 減 し,現 状 を 改 善 す るた めに 案 出 され た あ らゆ る提 言 は注 意 深 く検討 され る価 値 が あ る』〔II‑132〕 との 主 旨の も とに,国 際 複本 位 制 協 定 以 外 の救 済策 につ い て検討 を 加 え つ つ若 干 の勧 告 を 行 な って い る。 まず,イ ン ドの金 本 位制 採 用 案 を と りあ げ て,『 イン ドに お い て 金 本 位 制 を確 立 す る提 案 は 重大 な考 慮 に価 す るが,し か しこの選 択 に は 大 な る 困難 性 が 存す る こ と も疑 い な い』〔1』133〕との 慎 重 な態 度 を 表 明 して 問 題 の 抜 本 的 解決 を遷 延 しつ つ,当 面 の糊 塗 策 と して,(1)銀 食器 税 を撤 廃 して 工 業 用 銀 需要 を拡 大 せ しめ る こ と 〔II‑134〕 。(2)各 国 に お け る 銀需 要 拡大 の た め の 国 際的 協 議 の 必 要 性 を承 認 しつ つ,こ の 国際 的 協 議 に おい て イギ リス政府 が と り うる譲 歩 案 と して,(a)イ ソ ドの銀 自 由鋳 造 の停 止 を 一 定 期 間延 期 す る こ と,(b)イ ン

グ ラ ン ド銀 行発 券部 の銀 保 有額 を現 行法 の許 容 範 囲 内(金 保有額の%)で 増 額 す る こ と,以 上 の2点 を提 言 して,特 に ラテ ン同盟 諸 国 に おけ る銀 鋳 造 の再 開 に期 待 を か け 〔II‑136〕,(3)最 後 に,銀 を基 礎 と した 小 額 紙 幣 の 発 行 に よ

って 国内 的 な銀 需 要 を 拡 大す る こ と 〔II‑137〕等 を勧 告 して い る。

IV総 括 と 展 望

最 後 に,上 来 の 分析 結 果 に 基 づ き,金 銀 委 員会 に おけ る少数 意 見 と多数 意 見 の うちに 反映 され て い る イ ギ リス支配 階 級 内部 の経 済 的利 害 対 抗 のあ り方 を総 括 す る と ともに,併 せ て この 本 位制 論 争 の歴 史 的 帰着 点 を展 望 しつ つ, 小 稿 の結 論 と した い。

まず 第1に,複 本 位 制 論者 か らな る小 数 意 見 は,イ ン ド政 府 関 係 者,ラ ソ

カシ ャー綿 業 資 本=商 業 資本 な らびに 地 主 階 級(近 代的土地所有者階級)の 経

済 的 利 害 を反 映 し,ま た 保 守党 を 政 治的 代 弁 者 と して い た。 そ の立 論 の基 調

は イギ リス に お け る慢 性 的 不 況 の原 因 を貨 幣 的 諸 要 因 に よ って説 明せ ん とす

る点 に あ り,銀 価 低 落 に よっ て招 致 され た イ ン ド為 替 問題,他 方 で は 貨幣 数

量 説 的 見地 に 基 づ く 金騰 貴=物 価 下 落説 とい う2つ の 主 要 論 点 を 含 ん で い

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