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赤崎眞弓 (平成6年10月31日受理)

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(1)

中学校技術・家庭科「家庭生活」領域 における家族関係に関する授業の試み

  一I SM教材構造チャートを利用して一

赤崎眞弓

(平成6年10月31日受理)

A Trial of Teaching Plan and Practice for Family Relationships in Homemaking

using Interpretive Structural Modeling(ISM)Chart in Junior High School

Mayumi AKASAKI

(Received October31,1994)

1 はじめに

 平成5年度から中学校技術・家庭科では「情報基礎」と「家庭生活」の2つの領域が新 設された。この「家庭生活」領域の指導内容となっている家族関係についての学習は,こ れまで,小学校では「住居と家族」,高等学校では「家庭生活の設計・家族」として取り 扱われていたが,中学校では指導内容となっていなかった。このことは,小学校や高等学 校とは異なり,中学校では,家庭科と技術科(古くは職業科)が一緒にまとめられ,「技 術・家庭」という教科名として,それぞれの教科名が並記された一教科として構成されて きたという歴史的な変遷に起因するといえる。1)しかし,今回の改訂により,家族に関 する学習機会が設けられたことは,教科としても望ましいことであり,さらに,小・中・

高と一貫性のある指導が可能になった。

 ところが,知識としての家庭の機能や家庭のルールを指導することはやさしいが,生徒 の実態に即した指導が必要といわれているものの,中学生という身体と精神のアンバラン スな時期であることや,プライバシーの侵害など,家族関係に関する学習指導は難しいと 言われている。

 そこで,本研究では,家族関係に関する学習指導にI SM教材構造化法によって作成し たI SM構造チャートを利用して,授業を行い,その結果を分析することによって,家族

*長崎大学教育学部家庭科教育

(2)

関係に関する学習指導の一方法を提案することを目的とする。

2 1S M教材構造チャートを利用した授業の展開

 I SM教材構造化法のI SMとは,Interpretive Structural Modelingの略であり,

「わかりやすい,理解しやすい構造化法」という意味である。

 一般に,教育や訓練における授業時間は限られており,教える内容や学ばなければなら ない内容が多すぎると,生徒はどの内容をも十分に習得することができなくなってしまう。

つまり,対象となる生徒の実態や学校の実状を考えずに,幹から末端の枝葉に至るまでの 内容を網羅的に教えるべきではない。また,教える内容が多すぎると,生徒が消化不良を おこすからといって,教育内容や教材をただ少なく削減すればよい,というものでもない。

要は生徒の実態や実状をふまえて,生徒に十分学習させなければならない基本的で重要な 教育内容は何かを明確にとらえて,幹となる基本的事項を選び,それらを体系的に編集し た教材を作成しなければならないのである。

 教材の概念や学習内容は,複雑に関係しあった多数の学習要素(素材情報)の集合体で ある。教員が教材構造を分析して把握する時に,頭の中で一度に処理できる情報の量は限

られている。したがって,複雑に込み入った多く

の素材情報を処理して概念を形成しようとすると  表1 1SM構造チャートを用いた授業展開 きには,人間の頭脳の情報処理能力を補ったり拡

大したりする方法が必要である。ひとつの方法は,

人の思考を具象化して外部表現することである。

素材情報間の関係を目でみて分かりやすい概念構 造チャートとして図式化して表して人間の概念把 握や概念形成などの思考を助ける方法を考えて,

教材分析用に開発されたのが,構造モデリングの ひとつであるI S M法を応用したI SM教材構造 化法である。21

 おもに,教員の教材理解のための方法として考 えられてはいるが,この方法は,生徒の学習方法 としても適用できる。すなわち,生徒が学習した 素材情報間の関係を,目でみて分かりやすい概念 構造チャートとして図式化して表して,生徒の概 念把握や概念形成などの思考を助けることができ るわけである。

 そこで,I SM構造チャートを,授業のどの場 面で使うことができるのか,I SM構造チャート

を用いた授業展開を考案した。考案した授業展開

は表1の15種類である。       T:教員    B:授業の最初 1:易

 表中のTはTeacher,SはStudentの略であ  S二生徒   M:授業の途中 31難

る。B,M,Lはそれぞれ,Beginning,Middle,  T S:教員と生徒L:授業の最後

チャート

使用者

チャート作成 キーワード 与え方

種類

だれが

いつ

T 1

TS T B

2

M 3

L 4

S B

1

5

2 6

3

7

M

1 8

2 9

3 10 L 1 ll 2 12 3 13

M 1 14

2 15

(3)

Lastの略で,B:授業の最初に使用する,M:授業の途中に使用する,L:授業の最後 に使用するということを表す。数字の1,2,3はキーワードの抽出と与え方を示してお

り,チャートを作成する際に生徒に負担少ないと思われる順序に並べた。数字が大きくな るほど生徒に負担がかかることになる。

1S M構造チャートを用いた授業展開(詳細)

丁  教員がチャート

 を用いて指導

T S 教員と生徒が

M 授業の途中に作成

L 授業の最後に作成

M 授業の途中に毎時間作成

 1 キーワードを全部与える  2 キーワードをいくつか与える  3 キーワードを全部生徒に出させる  1 キーワードを全部与える  2 キーワードをいくつか与える

 3 キーワードを全部生徒に出させる

時 徐毎 え

︐ 与

布 をコし 

を  酉

ト  ワ一  一

ヤ 

チ 

た 

し入つ成記く作がい成が徒間作・貝生時に教間毎々

1  

2

 このI SM構造チャートの作成によって,学習者がこれから学習していく,または学習 した素材情報問の関係が,目でみて分かりやすい概念構造チャートとして図式として表さ れ,生徒の概念把握や概念形成などの思考を助けることができるわけである。

 15種類の授業展開について,詳しく述べると次のようになる。

 Tは,教員だけが教材の構造を理解するということである。教員は限られた時問の中で 基本的で重要な事項を選択し,指導しなければならない。そのためには何よりもまず教材 構造の構成を理解し,全体を体系的によく把握しなければならない。このことは授業を行

う上で最低限の準備であると考える。

 TSは教員と生徒がチャートを用いて学習することであり,TS−Tは,学習する内容

が難しく生徒にチャートを作成させるのが困難な場合に教員が作成することを表す。学習 内容またはキーワードの与え方次第で生徒が作成可能な場合は,T S−Sと表し,生徒に 作成させる。学習要素を関連づけて理解することができるので,時間がとれるならば生徒

に構造化させる方が望ましい。

 Bは,授業の最初にチャートを使用することである。学習内容に入る前に,生徒が概略

を知ることができること,また今後の学習内容を知り,興味・関心を持って授業を受ける

(4)

ことができるという点で効果があると考える。

 T S−S−Bは,小学校で学んだ予備知識を使って生徒にチャートを作成させる。前述 した利点とともに,生徒がどれくらいの知識を持っているのかあらかじめ知ることができ るという利点もある。

 Mは,授業の途中に使用することである。例えば,学習する内容の量が多い場合,毎時 問チャートを見て学習内容を確認したり,いま現在学習している位置が全体の中のどの位 置を占めるかが理解できる。また,ここまでを理解しないと次の学習内容に進めないとい

う場合にも使用できる。

 Lは,授業の最後に利用することである。評価に使える。生徒がどこまで学習要素を関 連付けて理解しているかの成果を見ることができる。どこに興味・関心があるか,どこで つまづいているのかを見ることができる。また,チャートの作成は復習にもなり,わから ないところをチェックし,フィードバックさせることができるという利点もある。題材の 最後の学習ではなく,ある1時問の学習の最後に利用することも可能である。

3 家族関係に関する実践授業

 「家庭生活」領域の家族関係という分野において,先に提案した授業展開の種類番号8 を用いて実践授業を計画,実施した。

 実施した授業は次の通りである。

日 時:平成5年(1993年)IO月25日(1年2組)

      10月28日 (1年3組)

      11月4日 (1年1組)

対 象:長崎県北松浦郡Y中学校1年1組(男子14名,女子16名)

      1年2組(男子15名,女子15名)

      1年3組(男子15名,女子14名) 計89名

題 材:わたしたちと家庭生活 〜わたしたちと家族〜 (1/35時間)

授業者1川上利恵教諭

 図1は,実施した授業の概要を示している。

 クラスによって指導の異なる点は,1組で調査2−2を,2,3組では調査2−1を学

習の流れにいれたことである。それぞれの授業の流れを次に示す。

 まず,導入として,全クラスに対して,家族のことをどの程度知っているか,家族間の マナーはどうかのチェックを行う(調査1)。次に,「サザエさん」のVTRを見せ,サザ エさん一家のいい所を発表させる。そして,家族,家庭とは何かを考えさせる。

 展開では,全クラス同じ内容で指導し,まとめとして,1年2組,1年3組ではISM 構造チャートを作成させ(調査2−1〉,1年1組では「わたしにとっての家族」という

題で作文を書かせる(調査2−2)。最後に全クラスに対して,「わたしが家族のためにで

きること」をノートに書かせる(調査3)。

 調査2−1(チャート)は,I SM構造チャート作成手順3)に従い作成した「新しい技

(5)

術・家庭」(東京書籍〉「1わ たしたちと家族」の構造チャー

トを参考に作成した。上段の

「生活の場」,「愛情」,「血縁」

は本授業のねらいでもある3

本の柱のキーワードである。

中段の「はげまし合い」,「助

け合い」,「いたわり」,「仲良

し」,「相談」,「叱責」,「ケン

カ」は,ねらいの内容である 心のつながりの言葉「はげま

し合い」,「助け合い」,「いた

わり」,「仲良し」に,生徒が 家族のつながりを感じるであ ろう日常生活での出来事「相

談」,「叱責」,「ケンカ」を加

えた。下段の「食事」,「睡眠」,

「レジャー」,「団らん」,「会

話」,「マナー」は,家族がふ れあう場「食事」,「レジャー」,

「団らん」,「会話」に「睡眠」,

「マナー」を加えて並べた。

 I SM構造チャートを用い たのは,1年2,3組であり,

キーワードだけが書いてある プリントを配布し,線引きを することによって,チャート

1年2組,1年3組 1年1組

指導案① 指導案②

 (調査1)

マナーチェック

 VTR(サザエさん)

サザエさん一家のいいところ   家族・家庭とは

 (調査2−1)

I SMチャート作成

(調査2−2)

 作文

   (調査3)

わたしが家族のためにできること

図1 指導の概要

を作成させた。ここでは生徒にキーワードを抽出させずに線引きのみをさせた。その理由 は,対象である生徒が中学1年生であり,構造化の手順をふんだことがないこと,その手 順をふんだことがない生徒がキーワードを抽出し,その構造を作成するのは容易ではなく,

1時間の限られた時間では不可能であることの2つの理由からである。

 授業中に使用したプリントと指導案は,論文末に掲載する。

4 結果と考察

4.1 調査2−1の結果と考察

 ここでは,1年1組を作文クラス(調査2−2),1年2,3組をチャートクラス(調

査2−1)と呼ぶことにする。

 構造チャートの作成は,この授業のねらいである「家庭とは,家族とはどんな集団であ

るか」の学習成果(達成度)を表すものであり,また,与えられたキーワードを用いて家

(6)

族のイメージを広げることができた。

 生徒は,「家族とは血のつながりのある集団である」という認識を既にもっていた。こ の授業を行うことで,生活するための集団であるという認識,愛情,いたわりの気持ちを もたせ,その気持ちを育てたり,助け合い,協力し合うということの大切さを気付かせる ことがこの授業のねらいであった。

 チャートの上段に位置している「生活の場」,「愛      表2 使用頻度 情」,「血縁」の3つのキーワードが,中段または下

段のキーワードと結び付けている人数を示したもの

が表2である。

 表2から,「血縁関係」以外の内容「生活の場」

と「愛情」,合わせて9割の生徒が線を多く引いて おり,ねらいを十分に達成できていると考えられる。

また,学習内容の理解度,定着度を推察することも できたといえる。

 「生活の場」,「愛情」の2つの中で特に理解して

ほしい内容は,「愛情」=心のつながりである。「愛情」から他のどのキーワードにつながっ ているか調べたものが図2である。

生活の場 愛 情 血 縁

44人

62.0%)

20人

28.2%)

7人 9.9%)

50 40 30 20

10

マナー

会話

団らんレジャー

睡眠食事

ケンカ叱責

相談

仲良しいたわり

助け合いはげまし合い

血縁生活の場

図2 「愛情」とのつながり

 図2より,「叱責」に一番多くつながっていることがわかる。

 これは,生徒が12,13歳という精神的発達段階の途中であり,家族間のコミュニケーショ

ンの中では,叱責されたり,したりする場合(両親に叱られたり,弟や妹を叱ること)が

多く,それらの叱責には愛情の裏付けがあることを感じとっていることを表していると思

われる。生徒が自分の家族を振り返り,中学1年生なりに,愛情をとらえ,理解を広げて

(7)

いっていることがわかる。「ケンカ」についても「愛情があるからケンカができる」とい うように自分なりに愛情をとらえていることがわかる。これは,本授業のねらい達成にも つながる。家庭での生徒の立場,考えの傾向を知ることで,これから先の「家庭生活」領 域の授業の展開にも有効である。また学習内容の理解度,定着度を推察することができ,

テストではうまく調べることができないような面をとらえることができたといえる。

 このチャートでいう直接的な「愛情」二心のつながりの言葉は,「はげまし合い」,「助 け合い」,「いたわり」である。この3つのキーワードとはそれぞれ4割以上の生徒がつな がりを認めていることがわかった。

 類似した言葉「仲良し」にも4割弱の生徒が線引きしている。愛情から心のつながりの 言葉に多くつながっているということは,愛情面について再認識したことになる。「叱責」

から愛情を感じていること,直接的に愛情を感じていること,両方から愛情面をとらえた ことになり,ねらい達成にも十分つながる。また学習内容の理解度,定着度を推察するこ とができたといえる。

 チャートのすみに「感想」の欄を設けた。ここでは調査!で○△×式の△×をつけた事 項(例えば家族について知らなかったことや,いままでやっていなかったこと)に,気付 いている生徒が多かった。

 学習場面を1回与えただけでは,生徒全員が理解するとは考えられない。1回よりも2

回学習場面を与えた方が学習効果が高まるのは明確で,チャートを作成することが2回目 の学習場面にあたる。学習場面設定でいえば,今回のチャートはキーワードを教員側から 与えた作文クラスよりも,学習場面を1つ多くしたことになり,「食事」,「睡眠」,「レジャー

」,「団らん」,「会話」,「マナー」など普段あまり関心をもっていない事項について考える 機会をもたせることができ,学習効果が高まったといえる。今回のチャート作成は,1時 間の中で学習した内容の関連を理解し広げていく展開であり,学習した内容を振り返りそ れに自分なりの考えを付き広げていくまとめの役割も果たしたといえる。

 以上から,授業のねらいを十分に達成でき,学習内容の関連を理解し,さらに広げるこ とができ,構造チャートの使用は有効であったといえる。

4.2 調査2−2の結果と考察

 調査2−2(作文)の位置づけは,家族とは血縁関係のある集団であるが,それだけで なく,生活するための集団であり,愛情,思いやりをもって,いたわり,助け合うことが 大切であると知らせるためのものである。作文の題は「わたしにとっての家族」である。

まず,家族の学習で重要なキーワードが作文中でどれくらい使われているか調べたものが,

次の図3である。

 チャートクラスでは「はげまし合い」,「助け合い」,「叱責」に線引きしている生徒が多 かったが,作文クラスでは「食事」を使用している生徒が半数以上と大変多かった。

 「食事」という毎日の行動の中から家族を考えていることがわかる。「食事」とともに使 用されている言葉として,「会話をしながら」,「全員で」があげられる。ただ食事をとる のではなく,食事という家族の交流の場を中学生なりにとらえていると思われる。「団ら ん」という言葉を使用している生徒は,3.3%と少ないが,「食事をしながら会話をする」

(=「団らん」)というように自分の生活の中から家族のつながりをとらえていることが

(8)

50 40 30 20

10

会話団らん

レジャー睡眠

食事ケンカ

叱責

相談うれしい

やさしい楽しい

仲良し心配し合う

協力し合う

助け合いはげまし合い

生活の場

図3 「愛情」とのつながり

わかる。

 「食事」以外に「レジャー」,「会話」,「叱責」,「ケンカ」を使用している生徒が多い。

 チャートクラスと同様に,生徒は精神的発達段階の途中にあるので,「叱責」,「ケンカ」

に,より心のつながりを感じている。「レジャー」を使用している生徒が多いのは,チャー トクラスにない特徴である。作文を書いた生徒は,チャートを使用した生徒と違い,「食 事」,「会話」,「叱責」,「ケンカ」,「レジャー」など実際の行動・活動から家族の愛情をと

らえている。これは作文クラスの最大の特徴である。

 他に作文クラスの特徴として,家族のことを「楽しい」,「やさしい」,「うれしい」とい う言葉を使って表現している生徒がいることがあげられる。

 表現力を十分にもたない中学1年生らしい言葉で「家族」の愛情をとらえ,本授業のね らいの達成につながっていると解釈できる。

 この授業のねらいの中心は,「愛情」=心のつながりの面である。上記したように,実 際の行動・活動から理解していることはわかった。直接的な意味をもつ言葉「はげまし合 い」,「助け合い」,「いたわり」の使用頻度はどうだろうか。チャートクラスでは,使用頻 度は高かったが,作文クラスでは,類似した言葉「心配し合う」を含めて,「はげまし合 い」10%,「助け合い」16.7%,「いたわり」0%,「心配し合う」16.7%と使用頻度は低

いo

 またチャートクラスと違うもうひとつの特徴は,ほとんどの生徒が,「血縁」,「愛情」,

「生活の場」のいずれかのひとつのことについてだけ書いているということである。いず

れかの視点から「愛情」というものを理解しているが,多くの視点から見ていないために

内容の関連に気付いていない。そのことが「はげまし合い」,「助け合い」,「いたわり」ま

たは類似した言葉の使用頻度の低さにもつながったと考えられる。

(9)

4.3 調査1と調査3の比較

 調査1と調査3は全クラス共通の

調査である。

 まず調査1(マナーチェック〉に

あって,調査2−1(I SMチャー

ト)にもあるキーワード「会話」,

「いたわり」,「マナー(言葉使い)」,

「助け合い(協力し合う)」の4つに 注目した。授業の最後に行った調査

3「わたしが家族のためにできるこ と」の中に,その4つのキーワード が使用されている頻度を示したもの

が図4である。

 「会話」,「いたわり」,については,

チャートクラスの生徒がかなり多く 用いていることがわかる。これは,

調査2の構造チャートを作成するこ とによって,確実に習得されたもの

50

40

30

20

10

□ 1組

盈2,3組

会話  いたわり  マナー  助け合い

図4 4つのキーワードの使用頻度(調査3)

と考えられる。「マナー」については,調査1(マナーチェック)によって気付いた事柄 であって,両クラスには違いはなかった。残念なのは,「助け合い」を使用した生徒が少 ないことである。授業の展開もしくは授業者の発言に問題があったのかもしれない。

 次にこの4つのキーワードで,各個人の授業の前後差を見ていく。調査1において,×

(いままで気付かなかったり,行っていなかったこと)と記入したキーワードが,調査3 には記入されているものを+2とし,調査1において△(気付いていたけど行っていなかっ

たことなど〉と記入したキーワードが,調査3で記入されたものを+1とし,調査1にお

いて○(いままで気付いていたり,行っていたこと)だったものが調査3で記入されたも

のを0と評定した。また調査1において×だったキーワードが調査3で記入されてないも のを一2とし,調査1において△だったキーワードが,調査3で記入されてないものを一 1とし,調査1において○だったキーワードが,調査3で記入されていないものを0と評

定し,表3にあげた。

 「会話」,「いたわり」については,マイナス評価が一番多いのは1組である。プラス評 価は,「会話」については,1組0%に対し,2組3.3%,3組13.8%であり,「いたわり」

については,1組3。3%に対し,2組20%,3組17.2%であった。I S Mチャートを用い たクラスに効果があったことがわかる。「助け合い(協力し合う)」については,マイナス

評価が1組50%に対し,2組3.3%,3組41.4%であり,チャートを使った2組に効果が

みられた。これはキーワードがチャートに与えられていたこともあるが,そのキーワード

を与えたことが,2回目の学習場面を設定したこととなり,その場を与えることにより

「家族」の重要な内容を習得できたと考えられる。3組については,その効果は見られな

かったQ

(10)

表3 調査1から調査3への変化比較

一2 一1

0

十1 十2

会話 1組 3(10.0) 15(50.0) 12(40.0) 0(0) 0(0)

2組

3(10.0) ll(36.7) 15(50.0)

1(3.3)

0(0)

3組

2(6.9)

7(24.1) 17(58.6) 4(13.8〉 0(0)

いたわり

1組

O( 0)

!5(50.0〉 7(23.3)

1(3.3〉 0( O〉

2組 4(13.3) 9(30.0) 11(36.7) 6(20.0) O(0)

3組

2(6.9)

ll(38.0) 9(31。0) 4(13.8)

1(3.4)

マナー 言葉づか

い)

1組 5(16.7) 13(43.3) 4(13.3) 8(26。7) 0(0)

2組 4(13.3) 9(30.0) 6(20.0) 5(16.7) 6(20.0)

3組

3(10.3) 16(55。2) 4(13.8) 4(13.8) 3(10.3)

助け合い 協力し合

う)

1組 3(10.0) 12(40.0) 12(40.0) 3(10.0)

0( 0)

2組

0( 0) 1(3.3)

15(50.0) 11(36.7) 3(10.0)

3組 0( O) 1(3.3)

17(58.6) lO(34.5)

2(6.9)

単位:人 ()%

 調査3「わたしが家族のためにできること」において,内容の重複に関係なく何項目あ

げているかみたのが,図5,6,7である。

 図5から,1組ではあげた項目数が,1以下の生徒が16人と半数以上である。一方,図 6,7より,2組ではあげた項目が1以下の生徒は4人,3組では5人である。この差は,

I SM構造チャートを使用したクラスの方が,多くの視点から家族を捉えることができた ことを示している。一方,作文クラスの方は,1つの視点からの内容把握は充分できたが,

多くの言葉が関連しているという関連性を見つけることはできず,多数の視点から項目を あげることができなかったといえる。したがって,この差はI SMチャートを使用した過 程と作文を使用した授業過程の差によるものと考えられる。I SMチャートを使用したク

ラスは,学習した内容をもう一度チャートにより学習することができ,内容の関連を理解

(11)

することができた。作文を使用したク ラスは,作文を書くことにより,学習 内容をもう一度振り返り学習すること はできたが,内容の関連を理解する手 段がなかったために理解の質に差があっ

たと考えられる。

(人)

16 12

8 4

   0  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10以上

      (項目)

図5 わたしが家族のためにできること(1組)

(人)

16 12

8 4

(人)

16 12

8 4

   0  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10以上         0  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10以上

       (項目)      (項目)

図6 わたしが家族のためにできること(2組)  図7 わたしが家族のためにできること(3組)

5 おわりに

 中学校技術・家庭科「家庭生活」領域で,I SM教材構造チャートを利用した授業を行 い,その結果を分析した。I SM構造チャートは,家族関係を形成する複雑にからみあっ た事項についての相互の関連性を把握,理解させるためのひとつの方法として有効である ことが認められた。題材全体に利用できるわけではないが,先に提示した15個のI SM構 造チャートを利用した授業展開を,学習内容や目標に照らし併せて,設計できることも示 唆された。今後は,どの領域のどんな題材において有用であるか,授業実践を続けて明ら かにしていくことが課題である。

       引用文献

1)日本家庭科教育学会中国地区会,小・中・高等学校で「家族・家庭生活」をどう教えるか,家政  教育社,1992,pp.21〜34

2)佐藤隆博,I S M構造学習法,明治図書,1987,pp.7〜13 3)同上,pp.23〜32

(12)

調査 l

l。わたしたちと家庭生活

       1年()組〔      〕

 家庭とは,どんなところだろうか。あなたは自分の家族,家庭についてどのくらい知っていますか。

○△×をつけよう。

①家族全員の年齢や誕生日を知っている。

②家族全員の名前が正しく書ける。

③家族全員の働いているところや学校を知っている。

④家族のくせや趣味,好きなものを知っている。

⑤家族はよく話をし,協力し合っている。

⑥家庭の生活のための収入源がわかっている。

家族間マナーチェック!ノ

①生活時間にけじめをつけていますか。

②友人と長電話していませんか。

③自分の部屋はかたづけていますか。

④あいさつはきちんとしていますか。

⑤トイレ・洗面所・風呂場などは清潔に使っていますか。

⑥外出の場合,行き先や帰る時間を家の人に告げていますか。

⑦弟・妹・老人をいたわっていますか。

⑧手伝いは進んでしていますか。

⑨テレビはゆずり合っていますか。

⑩乱暴な言葉を使っていませんか。

チェックしてみた感想をまとめよう

調査2−1 (I SM構造図)

家族

囲〔亜〕匝⊃〔亘〕圃圏∈互〕

國〔璽⊃∈ヨ〔巫〕〔垂〕F∋

感  想

1年()組()番(

(13)

指導案①

題材「わたしたちと家庭生活」

ねらい:家庭とは,家族とは,

どんな集団であるか考えさせ,イメージを広げさせる。

学習過程

Ti 予想される生徒の活動

教員の主たる活動

指導上の意図溜意、点

教材・教具

導   入       展       開      ま  と  め

  START

族に対する理解度 ナーチェック

 感想・発表

8

・知っていると思ったが案 わからなかった。

マナーが守られていない きちんとやれている。

隊族=血縁集剛

サザエさん一家のよさ」

会話が多い 明るい 全員で食事をする 近隣の人との交流

題と思われる、点 家族が女性のみ 干渉しすぎ

生活するための集団

(食事・休養)

愛情、思いやり、いたわ り、助け合い、楽しさを 有ISM学習構造化法により

族・家庭に対する考えを 造化する。

手伝い 勉強

たわりの言葉 心配をかけない

出欠確認

間指導をし、感想が具体 になるようにする。

「家族とはどんな集団だ うか。」

「血のつながりだけが家

か。」

会の実状とあわないとこ もあると指摘する。

きく分類し、まとめる。

婁鶴篇

解はないことを、知らせ

一番身近な存在である 族についてあまり知 ないことに気付かせ

。家族とは血縁関係のあ

集団であるが、それ けだろうかという問 提起をする。

んがをただ楽しまな ように「サザエさん 家のいいところに気 いたらメモをとるよ に」とあらかじめ注 をする。

族の形態や立場はさ ざまであることを付 加える。

族・家庭のイメーシ 図式化させる。

調査11家族のこと、家   族間のマナーに   ついて○△×式   で答えるテスト

TR「サザエさん」

族全員が食事する場 面・父波平が疲れ気味で残

りの家族が相言飢て元 になるように試みる 面・近隣の人(いささかさ

)との交流の場面が

る。

査2−1(ISM構造

):家族嫁庭に関す   るキーワードが並   べてある。関係の   あると思われるも   のに線を引かせる

査3(ノート)

本時のめあて確認

15 家族とは…

例をもとに考える

家族・家庭とはどんな 団か

27 YES

     NO

H

自分が家族のためにで ること

END

(14)

案 ②

巳日

導 才 題材「わたしたちと家庭生活」

ねらい:家庭とは,家族とは,

どんな集団であるか考えさせ,イメージを広げさせる。

学習過程

Ti 予想される生徒の活動

教員の主たる活動

指導上の意図溜意,点

教材・教具

  START

族に対する理解度 マナーチェック

感想・発表

8

・知っていると思ったが案 わからなかった。

マナーが守られていない ちんとやれている。

「家族=血縁集剛

サザエさん一家のよさ」

会話が多い 明るい 全員で食事をする 近隣の人との交流

題と、悪われる,点 家族が女性のみ 干渉しすぎ

生活するための集団

(食事・休養)

愛情、思いやり、いたわ り、助け合い、楽しさを 有家族・家庭について作文で

章化する。

手伝い 勉強 いたわりの言葉 心配をかけない

出欠確認

問指導をし、感想が具体 になるようにする。

「家族とはどんな集団だ うか。」

「血のっながりだけが家

か。」

会の実状とあわないとこ もあると指摘する。

 、

きく分類し、まとめる。

郷錨,

一番身近な存在である 族にっいてあまり知 ないことに気付かせ

。家族とは血縁関係のあ

集団であるが、それ けだろうかという問 提起をする。

んがをただ楽しまな ように「サザエさん 家のいいところに気 いたらメモをとるよ に」とあらかじめ注 をする。

族の形態や立場はさ ざまであることを付 加える。

族・家庭のイメージ 文章を使って広げさ

る。

調査l l家族のこと、家   族問のマナーに   ついて○△×式   で答えるテスト

TR「サザエさん」

家族全員が食事する場 面・父波平が疲れ気味で残

りの家族が相談して元 になるように試みる 面・近隣の人(いささかさ

)との交流の場面が ある。

査2−2(作文):

「わたしにとっての家

」という題の作文

査3(ノート)

本時のめあて確認

15 家族とは…

例をもとに考える

家族嫁庭とはどんな 団か

27 YES

    NO

H

自分が家族のためにで ること

END

参照

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