世 中 末 期
メ ク レ ン ル ブ ク に お け る 世 帯 の 規 模 構 と 成
︱︱数量的分析の試み︱︱
高 本 正 道
I 史 料 と 本 稿 の課 題 一四 九五 年︑ メク
レン ブ ルク 公 マグ ヌス ニ世
︵一 四七 七︱
一五
〇三
︶も 列席 たし ヴ ルォ ムス の帝 国議 会 おに いて 皇︑ 帝
マク シ ミ リ ア ン 一世
︵一 四 九 三
︱ 一五 一九
︶ は
︑ 同 議 会 で合 意 さ れ た 帝 国 援 助 と 帝 国 最 高 法 院 曾 α oF F 日日 器R ュ多
← の
︵2 ︶ ︵ 3 ︶
費 用 を賄 う た め に︑ 向 こう 四年 間 わに た てっ 一般 帝国 税 をす べ て の帝 国 臣民 から 徴収 す る こと を 承認 され た︒ こ の 一般 帝
・ 国税 は︑ 頭人 税 と 財産 税 結の 合 物 な いし 財は 産 の多 寡 応に じ た 一種 の人 頭税 と いう 性格 をも てっ いた ︒ 一四 九 五年 八月 七 日 の帝 国 決定 によ てっ 規 定 され そた の徴 収基 準を シ ーュ ラ ー
︵り Q鮮
﹄多 彗
●3
∽魯
①二
← に倣 てっ 一覧 表 にま と めれ ば 表︑ 1 のよ う にな ぁ噂 わ われ れが 下以 で問 題 すに 住る 民 すは べ て︑ 一シ リ ング の人 頭税 を納 める 階 層 属に す る︒ 一四 九 六年
︑ メク
レ ンブ ルク でも イカ ザ ーベ ーデ
︵ゲ イマ ナ ー
・プ フ ニェ ヒ︶ が くい つか の地 域 徴で 集 され た︒ そ のと 中世末期メクレンブルクにおける世帯の規模と構成
八 五
表 1 ゲマイナー・ プフェニヒの徴収基準
Ⅱ I士 │
ユ ダ ヤ 人
Ⅵ ユダヤ人
(年齢制限 な し
)
a)人頭税: 各人 年齢制1限な
く l Gulden b)財産税:
五血
Vermёgen und Gele―
genheit''
家族構成員は,自己の財産がないか
ざ り,人頭税を!
法経研究三四巻三号︵一九八六年︶
八六 き作 成さ れた 目録 が︑ フラ ツン エ一 ング ル 八﹃ ヽ著 N
●可 零じ よに てっ 翻刻 され 注た
︵1
︶ の史 料 あで 鶴 そ れ は︑ 都 市 と フォ ー クタ イ
︵さ ら に村 落︶ ご と に︑ くだ ん の帝 国税 を支 払 う義 務 のあ る者 およ び かれ がら 納 めた 額 ま た は納 める べき 額 を記 たし 全︑ 成 人
︵こ こで 十は 五歳 以上 男の 女 を意 す味 る︶ に つい て の いわ ば 住民 台 帳 とも う言 べき 性格 を備 え て いる
︒ この 史料 を利 用 した 重 要な 研 究 と し ては
︑ フリ ード リ ヒ
・シ トュ ーゥ ル η Hおゃ おF
∽言 じゴ の論 文
﹁申 世末 期 メク レ ンブ ルク の人 口 ︵﹂ を挙 げ る こと が でき る︒ 前 世 紀 の末 かに れ は︑ シ ュヴ ーェ リ ンの 文書 館 所に 蔵 さ れ て いた ハン ト シ リュ フト 基に づ いて こ の研 究 を行 たっ ので あ るが
︑ か れ の論 文 の主 た る狙 いは 中 世末 期 の メク レ ンブ ルク にお け る総 人 口を 究 明す る こと にあ たっ 男︒ 女 の比 率 や成 人人 口に 占 める 奉 人公
︵下 男︑ 下 女︶ の割 合 にも 関 心が 向け ら れ て いる が︑ 世 帯 の規 模 と構 成 の問 題 まは たっ く と言 てっ よ いほ ど 視野 外の に置 か れ て るい
︒ 本稿 の課 題 は︑ シ トュ ーゥ ルの 研究 を参 考 にし なが ら︑ かれ と同 じ史 料 を用 てい
︑ 当時 の メク レ ンブ ルク にお け る世 帯 の規 模と 構成 を数 量的 に分 析 し︑ 都市 の世 帯 と農 村 の
人 頭 税
15歳以上の 人 々(男も 女 も)24名 で l Gulden 一 人 につ き 1/24
1シリング
そ れと の基 本的 な相 違 を明 ら か すに る こと あに る︒ そ ゆれ え︑ 以下 考で 察 の対 象 にな る のは 世︑ 帯 の規 模 のみ な らず
︑ 世 帯 の構 成 も判 る よう な仕 方 史で 料 に記 載 さ れ て いる 都市 と村 落 に限 ら れ る︒
Ⅱ o∪中 D3
的︻ 市 と同 フ ーォ ク タ イ管 轄 の諸 村 落
イカ ザ ー ベ ーデ レギ ス タ ー
︵ミ ヽ押 9
■ 3 よ り
︑ ouぃ N8 口ぴ 混 市 と
︑ 同 フ ーォ ク タ イ 管 轄 の諸 村 落 のう 世ち 帯 の規 模
8 ︵
︶
構と 成が 明 ら か にな る十 一村 落 の成 人 人 の口 集 計表 を作 す成 ると 表︑ 2 のよ う なに る
︒ 表 2 の
︽ い叫 お0
と
︽﹃ Fg
●︾ は︑ 家長
︵国営 静 Rじ
家と 婦
︵国営 ド魯 じ を意 味 す る ので なは い︒ つま り︑
︽
●μ 8 じ には
︑ 家 長 のほ か に︑ 息 子
︵∽oF
・8 よお び下 男
●︵パ 8澪 8 を 除く 五十 歳 以 上 のす べ て の男 性 が︑ した が てっ 家 長 と家 婦 の父 親 や兄 弟が 含 ま れ る︒ 同 様 に S︽﹃
8●
︾ には
︑ 家 婦 のほ か に︑ 娘 月︵ o針
①じ一
およ び 下女
︵
∬計
︶を 除く 十 五歳 以 上 のす べ て の女 性 が︑ し たが てっ 家 長と 家 婦 の母 親 や姉 妹 が 含 まれ る︒ 下男 と下 女 に つい ても
︑ 注意 を要 す る︒ シ トュ ーゥ ルに よ れ耐
︑︶
﹁下 男と 下女
﹂に は︑
﹁他 人 の世 帯 給で 金 を得 て働 く
﹂
︵富 ヽさ
︶︑ヽミ
営国
∽g F 零零
● oFF
● 偶g 8ぃけ
︶ す べ て の男 女が 含 まれ ると 考 えら れ る︒ つま り︑ 史 料 よに てっ
︱は
︱ 例 えば 一七
〇 三年 と 一七 五 一年 の告 解者 リ スト よの う に︱
︱ 世帯 を 共 にし て いる 自 分 の息 子 や娘 あで てっ も 他︑ 家 の使 用人 と てし 働 いて いる 場 合 は︑ 下男
・下 女 と書 か れる とこ があ たっ
︒ われ われ が 用 いる イカ ザ ーベ ーデ レギ スタ ーで はほ と ん ど 例外 なく
︑ 自分 の子 供 たち は︑ 今o
﹃重 P p8 P中中H 日貯 口︻ も 等 と区 別さ れ て︑
︽露 覇い L︻﹈F
︾と 表 示 さ れ てい る よう あで る が
︑ 表中 の成 人人 口全 体 に占 める 下男 と 下女 の比 率 を読 む さ いに は︑ まい 述 べた 点 をあ る程 度 ま 顧で 慮 す る こと が 必要 か も し なれ い︒ 中世 末期 メク レン ブ ルク にお ける 世帯 の規 模と 構成 八七
表 2 Boizenburg市と同フォークタイ管轄のil村落の成人人 口の構成
嚇一
法経研究三四巻三号︵一九八六年︶ Nosto」
│
︲ 2 ︲
︲
■ 2 ︲
︲
⁚
︲
■
⁝
■ 4 ︲
︲
⁚
︲ 2 ︲
︲ 可 3 ︲
︲
⁚
⁝ 6 ︲
︐ ︲
﹁ 2 ︲
︲
︐
︲
・ 2 ︲
︲﹁
・ 2 ︲
︐・ 3 ︲
.
︲
・ 3 ︲
︲﹁
・ 1 1
︐1 0 1
︲
Bandekow
Gothmann
Dersenow
Bickhusen
1l Dё
rfer
Ma=Mallner Fr=FraucII s=Sёhne
M=Mttde su=Summe
男=Ma+s+K
51.2 1 48.8
50。9 149.1 T=Tёchter K ttKnechte 女=Fr+T+M
八
八
各欄 の上 段 の数 字 は シ トュ ーゥ のル 算出 し た 数値 であ る︒ 下段 のそ れ は筆 者 が前 述 史の 料 に基 づ いて 得 た 数値 あで る
︵但 し︑ シ トュ ーゥ なの 数 値 に等 し い場 合 は省 略 し てあ
︶︒る
両者 0計 算結 果 には 若 千 の差 異 が見 ら れ る︒ そ の原 因 は︑ シ トュ ーゥ ル の判 読あ る いは 計算 のミ スか
︑ エン グ ル の翻 刻 ミ スか 筆︑ 者
︲の読 み違 いが のど れ か に
︐あ ると 思 われ るが
︑ いず れ にし ても
︑ そ れら の︐違 いは 誤 差 の範 囲 にと まど ると 見 てよ いで あ ろう
︒ すで に シ トュ ーゥ ルが 指摘 し て いる こと で あ るふ
理 都 市 では 女 性人
口の 比率 が男 性人
日の そ れを 上 回 てっ いる のに た い し て︑ 農 村部 で﹁ は 逆に 男性 人 口の 比 率が 女 性人
日の それ を 着 干 上回 てっ るい こと を ︑
まず
.確認 す る こと が でき る ︒
︐これ は︑ 後段 でも 再確 認さ れる よう に︑ 都市 と農 を村 比較 たし 場合 の 一般 的な 特徴 あで る︒ また 表2 見で る限
︲り︑成 人人 全口 体に 占め る使 用人
︵下男 と下 女︶ の割 合は 農︑ 村部 より も都 市に おい て高 い︒ さて 上︑ 記の 都市 と諸 村落 の世 帯を 規模 別に つ︑ まり
・世帯 を構 成し てい る成 人の 数に たし が てっ け一分 ると い表 3
︲ の ︲よ う にな る︑ こ の表 を 一瞥 し て明 らか な よう に︑ 工業 化以 前 の社 会 にお いて は大 家 族が 支 配的 であ たっ と いう 説 は︑ 少 なく とも こ の 地方 に関 す る限 り︑ 到底 成 り立 ち え・な い︒ 都市 と農 村 の いず れ にお いて も 最︑ 大 の割 合 を
︲占め て いる の は二 人 の成 人 から 成
︲る 世帯 で︑ 次が 一人三 の成 人 から 成 る世 帯 であ る︒ 両者 を合 わ せる と︑ 都市 はで 全世 帯 の七
〇
・六 パ ト セ ント
︑ 農村 では 八 一
・四 パ ー セ ント に達 す る︒ てさ ︑ 一・世 帯 あ た り の成 人人 日 の平 均値 は農 村
︵二 七・
︶ よ りも 都 市
︵二 三・ 八︶ おに いて 小さ く な てっ いる が︑ その 主要 な原 因 の 一つ は︑ 都市 では 単 独世 帯 つ比 率が 農村 の推 れ
︵ニ パ ー セ ント
︶ にた いし て十 六 八・ パ ー セ ント と相 対 的 に かな り高 こい とに あ る︒ また 二人 以 上 の成 人 か 成ら る世 帯 の合 計が 全世 帯 に占 ある 割 合 を比 べ てみ ると
︑ 都 市 の三 七 七・ パ ー セ ント
︵こ れ はに
︑ 表 載に
てっ いな い 一つ の七 世人 帯も 含 まれ る︶ たに いし て︑ 農 村 四は 九
・三 パ ー セ
/卜 あで り︑ 申世 末期 メク レン ブ ルク にお ける 世帯 の規 模と 構成 八九
表 3 Boizenburg市と同フ ォークタイ管轄の1:村落の世帯規模 都 市 。農 村 名
Boizenburgl)
I=単独世帯 Ⅱ
=2人
世帯 Ⅲ=3人
世帯 Ⅳ 圭4人世帯V=5人世帯 Ⅳ
=6人
世帯 平均=1世
帯あた りの成人人 由の平均値( )内の数値はパ ーセンテージを表す。
注 1)BOizenburb・ 市には, この表に載 っている以外に, 7人 (夫婦 と3人の 息子 と2人の娘)から成 る世帯が一つある。
︲Ⅳ ︲︲一
・ 8 ︲
< 9. 4 > ︲
Ⅲ 一48 25.︒
︱
︲︲ 上
⁝ Ж
Ⅱ 一 87 45.5 I 一 32
・6
. 8
法経研究三四巻三号︵一九八六年︶
九
〇
これ も農 村に おけ る 一世 帯あ たり の成 人人 の口 平均 値を め高 る でも 二人 世帯 が最 も優 勢な 世帯 模規 あで るが そ︑ の比 率は 都市 にお いて 高い
︒ 続 てい
︑ 単 独世 帯と 二人 世 帯 の構 成 の内 訳 を見 て みる と︑ 表 4 のよ う にな る︒ 都 市 にお け る単 独世 帯 に つい て注 目す べき は︑ 女 性 の単 独世 帯 の割 合が 六 二 五・ パ ー セ ント 男と 性 のそ れ
︵三 七
・五 パ ー セ ント
︶ を かな り上 回 てっ いる と いう 点 あで る︒ も ちろ
︑ カイ ザ ーベ ーデ レギ スタ ーは 十 五歳 以下 の未 成 年者 に つい ては ま たっ くな にも 語 てっ いな いの で︑ これ らの 女性 まが だ成 年に 達し てい ない 子供 たち と 一緒 暮に らし てい たと いう 可 能性 を否 定す るこ とは でき ない が︑ おそ くら 彼女 たち の大 多数 は寡 婦で あ たっ 考と えて 間違 いな いで あろ う︒ とも かく
︑ 農 村 よ りも 都市 のほ うが ︑ 女 性が 一人 暮で すら のに 相対 的 に恵 まれ た環 境 であ たっ ょう に 思 われ る︒ と いう より も む し ろ︑ 農村 にお いて 女 性が 一人 で生 活 す る のは 極 めて 困難 であ たっ と言 たっ ほう が
︑ おそ くら 実 情 即に し て いる にち が いな 次
二に 世人 帯 日に を向 け ると
︑ 都市 と農 村 のい ず れ にお いて も 夫︑ 婦 から 成 る世 帯が
︑ 二人 世 帯全 体 の圧 倒的 多 数 を占 め てい る
︵都 市 八で 六
・ニ パ ー セ ント
︑ 農村 九で 五
・九 パー セ ント
︶︒
む ろん こ の場 合 ︑ 大 抵 の夫 婦 には 十 五歳 以下 の子 供 あ る いは 子供 た ちが いた と 推測 さ れる ので
︑ これ ら の世 帯 の大 部 分 は夫 婦と そ の子 供 た ち によ てっ 構 成 され て いた と考 え れら る
︵一 般 に成 人 と未 成年 者 の比 率 はお よ竹 三対 一︑ す な わ ち総 人 口の 約 二五 パー セ ント が 未成 年者 あで たっ と見 積 もら てれ いる
︶︒そ して この よう な世 帯の 割合 は︑ 都 市で
一九 の一 総世 帯 の三 九
・二 七パ ーセ ント
︑ 農村 では 一五
〇の 総 世帯 の四 六
◆六 七パ ーセ ツト にの ぼ てっ おり そ︑ ゆれ えわ われ れは 夫︑ 婦と その 未成 年の 子供 たち から 成る 世帯 が中 世末 期の この 地方 にお ける 最も 一般 的な 形態 の世 帯構 成で あ たっ とい う結 論に 達せ ざる をえ ない ので ある ち︒ なみ に︑
﹁そ の
九 一 中 世末 期 メク レ ンブ ルク にお ける 世帯 の規 模と 構成
一要 因 と な てっ い る
︒ す で に 触 れ た よ う に
︑ 都 市 で も 農 村
︵四 五
・五 パ ー セ ツ ト
︶ ょ り も 農 村 四︵ 八 七・ パ ー セ ン ト
︶
I
一 Hf+ S Hh
十 M
m+ K 恥+ T
Hh
+ S Hh
+ Hf
蝶
Ⅱ
都市・村落名
合
計
Boizenburg
1Zweedorf
Nostorf
11
Bandekow G
Gilze
Bahlen
1 1
11
Gothmann
Steder 111111
Dersenow
11 1
Bickhusen
Rensdorf Gehrum
ll Dё
rfer
1 01 1
﹁ 0︲1 1 可 2.︲
0 一 0 一 3
一 3
一 73
表
4
単独世帯および2人世帯の構成類型Hh=Httsherr Hf=Hausfr狙 その他の略記号は表