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石坂俊輔 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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石坂俊輔 論文内容の要旨

主 論 文

Intra-arterial Cell Transplantation Provides Timing-Dependent Cell Distribution and Functional Recovery After Stroke

脳梗塞に対するヒト間葉系幹細胞の経動脈的移植

〜投与タイミングが細胞分布、機能回復に与える影響〜

石坂俊輔 堀江信貴 福田雄高 佐藤克也 西田教行 永田泉 Stroke. in press. 2012.

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 (主任指導教員:永田泉教授)

【緒言】

脳梗塞に対する間葉系幹細胞移植は機能回復に向けた新たな治療法として注目されている。

一方、脳卒中の臨床においては血管内治療の発展が目覚ましい。血管内治療のテクニックを 用いれば血管の支配領域に選択的に細胞を移植できるため、より効果的な幹細胞治療が実現 する可能性がある。しかし、その有用性、移植タイミングについては報告が少なく臨床応用 に向けて更なる検証が望まれる。そこで我々は脳梗塞に対する間葉系幹細胞の経動脈的移植 の有用性、移植タイミングについて基礎的検討を行った。

【対象と方法】

suture methodを用いてラット中大脳動脈虚血-再還流モデルを作成した。梗塞作成直後に神 経症状を呈したラットのみをエントリーした。梗塞24時間後(D1群)、4日後(D4群)、

7日後(D7群)に PBS で希釈した約100万個のヒト骨髄由来間葉系幹細胞 (human mesenchymal stem cell: hMSC)を動脈内投与した。投与方法は外頚動脈から内頚動脈に挿入 したカテーテルを用いて、脳血流を遮断することなく脳内に投与する方法を用いた。コント ロール群には梗塞24時間後に同量のPBSを経動脈的に投与した。すべての群でシクロスポ リンによる免疫抑制を行った。移植3日後のhMSCの分布と梗塞21日後の梗塞サイズ、シ リンダーテストによる行動学的改善効果について移植タイミングによる違いを検討した。急 性期炎症反応の評価として、梗塞7日後の活性化ミクログリアを組織学的に解析した。また 移植によるblood brain barrier (BBB)の保護効果を評価するため移植3日後の血清マトリッ クスメタロプロテアーゼ (MMP-9)ELISAで測定した。慢性期回復メカニズムの評価とし て梗塞21日後の血管新生、脳由来神経栄養因子(Brain derived neurotrophic factor:

BDNF)、 hMSCの分化、生着、活性化アストロサイトを免疫組織学的に解析した。

(2)

【結果】

D1 群では梗塞サイズが縮小し行動学的回復がみられた。hMSC は虚血コア、梗塞周囲のい ずれにも生着した。D4群では梗塞サイズは縮小しなかったにも関わらず、行動学的回復がみ られた。hMSC は梗塞周囲に主に生着した。D7 群では梗塞は縮小せず、行動学的回復もみ られず、生着したhMSCはわずかだった。梗塞7日後の活性化ミクログリアはD1群で虚血 コア、梗塞周囲いずれでも抑制されたが、一方、D4 群では梗塞周囲でのみ抑制されており、

MSCの分布と一致した。血清MMP-9D1群においてのみ抑制され、急性期のBBB保護 効果と考えられた。梗塞21日後には D1、D4 群において梗塞周囲の血管新生が亢進し、

BDNF の発現が増加した。免疫二重染色にて BDNF は主に MSC とホストのニューロンに merge した。梗塞21日後には hMSCは主に血管周囲に生着し、一部のhMSCはアストロ サイト、血管内皮のマーカーを発現していた。また移植群においては神経再生を阻害するグ リア瘢痕の形成が抑制され、活性化アストロサイトが増加していた。

【考察】

我々は脳梗塞に対する間葉系幹細胞の経動脈的移植の有効性を示した。これまで報告されて いるMSCの経静脈的移植の報告に比べ、経動脈的移植では脳内に生着するMSCの数が著し く多かった。移植ルートによって最適な移植タイミングや回復メカニズムが異なる可能性が 示唆された。また今回の検討により移植タイミングによって細胞の分布や回復メカニズムに 相違があることも示した。D1群ではhMSCは虚血コア、梗塞周囲に広く生着し、抗炎症効 果やBBBの保護効果を介して神経保護的に作用したことで、梗塞縮小効果と機能回復が見ら れたと考えられる。一方、D4群では移植細胞は梗塞周囲に生着し、梗塞縮小効果を示さなか ったにも関わらず機能回復がみられた。これは血管新生やhMSCによる神経栄養因子の分泌 を介した神経再生効果による可能性がある。細胞の分布の違いはホストの血行動態の変化や 接着因子等の変化の影響によるもとと考えられる。特筆すべきは梗塞4日後の移植で機能回 復がみられたことであり、脳梗塞治療におけるtime windowを大幅に延長する可能性がある。

また一部の MSC はニューロンではなくアストロサイトや血管内皮のマーカーを発現してお りその役割に関しても今後の解析が待たれる。

【結論】

ラット脳梗塞モデルに対するヒト間葉系幹細胞の経動脈的投与は有用であった。移植タイミ ングにより回復メカニズムが異なり、脳梗塞治療のtime windowを延長する可能性が示唆さ れた。 (1899字)

参照

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