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柴田伊津子 論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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柴田伊津子 論文内容の要旨

主 論 文

Administration of the Rho-kinase inhibitor Fasudil before ischemia or just after reperfusion, but not 30 min after reperfusion,

protects the stunned myocardium in swine.

ブタにおいて Rho キナーゼ阻害薬ファスジルの虚血前及び虚血直後投与は スタン心筋の保護効果があるが、虚血後 30 分の投与では保護効果はない

柴田 伊津子、吉富 修、鵜瀬匡佑、嬉野浩行、

趙 成三、前川拓治、原 哲也、澄川耕二

(Cardiovascular Drugs and Therapy,2008,in press)

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科医療科学専攻 (主任指導教員:澄川耕二教授)

[緒 言]

Rho キナーゼ阻害薬は脳血管攣縮の治療を目的として臨床使用されている。最近、Rho キナーゼ阻害薬の心筋虚血前投与が不整脈の出現や梗塞サイズを減少させることが 報告されている。心筋スタニングは短時間虚血によって引き起こされる可逆性の収縮 障害であり、不安定狭心症、労作性の虚血、PTCA、開心術の患者に起こりうる再灌流 障害である。本研究は Rho キナーゼ阻害薬ファスジルが心筋スタニングに対する保護 効果を有するか否かを明らかにし、さらに投与のタイミングの効果への影響について 検討することを目的とした。

[対象と方法]

対象はブタ 40 匹。麻酔後、胸骨正中切開で開胸し、内頚動脈−左前下行枝バイパスモ デルを作成した。バイパス回路を 12 分間遮断し解除することにより心筋スタニング モデルを作成した。対照群(A 群)、虚血前投与群(B 群)、虚血再灌流直後投与群(C 群)、および虚血再灌流 30 分後投与群(D 群)の 4 群に分け、プロトコールに従いフ ァスジル 0.4 mg/kg または生理食塩水を 30 分間で全身投与した。心筋収縮能は局所 心筋短縮率(%SS)で評価した。すべてのブタに再灌流 1 分前にリドカイン 2mg/kg を投 与した。心室細動(VF)や心室頻拍(VT)が持続したブタは対象から除外した。統計学的 検定は分散分析と SNK post hoc test で行い、VF と VT 発生率はχ2検定で行った。p

<0.05 を有意差ありとした。

(2)

[結 果]

ベースラインでは全身および冠血行動態は群間で差を認めなかった。群間で VF と VT 発生率に有意差は認めなかった。A 群の%SS はベースラインで 24.2 ± 6.1%であり虚 血中は-3.0 ± 2.4%に低下した。これらは群間に有意差を認めなかった。再灌流後 60 分、90 分の%SS の改善率は A 群でベースラインの 44±6%、47±10%であった。これに 対し、B 群では 57±11%、68±8%、C 群では 66±5%、75±8%であり、有意の改善を認 めた。一方 D 群は 42±12%、43±8%と A 群と有意差がなかった。

[考 察]

本研究の結果は虚血前および再灌流直後のファスジル投与は心筋スタニングの回復 を促進すること、さらに、再灌流 30 分後の投与ではこの作用はないことを示してい る。本研究では群間で全身血行動態に差を認めなかった。水酸化ファスジルは量依存 性に冠動脈拡張を起こすと報告されているが、本研究では CBF の増加は認めなかった。

ファスジルを虚血前投与した場合、心筋スタニングに対して薬理学的プレコンディシ ョニング作用を発揮するものと考えられる。

Rho キナーゼ活性は再灌流 10 分後に増加し、Rho キナーゼ阻害薬 Y27632 の再灌流早 期の投与は心筋梗塞範囲の縮小効果があると報告されている。心筋スタニングに対し てもファスジルの再灌流早期投与に心保護効果があるといえる。心保護作用は全身や 冠動脈の血行動態に因るものではなく、薬理学的ポストコンディショニング作用と考 えられる。再灌流 30 分後の投与では保護作用は認められず、ポストコンディショニ ング作用を得るには再灌流早期の投与が必要と考えられる。

Rho キナーゼ阻害薬は PI3-kinase-Akt 経路を活性化することが報告されている。ファ スジルの心筋スタニングに対する保護作用は血行動態作用に因るものではなく、この 経路の活性化を介するプレおよびポストコンディショニング作用によるものと考え られる。

参照

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