長野工業高等専門学校紀要第34号(2000) 155
公開講座『身近な熱と流れの実験からエネルギーを考える』の実施報告
羽 田 喜 昭
A Report of Extension Lecture; Familiar Experiments on the Energy Yoshiaki HANEDA
キーワー ド:ゼーベ ック効果,エネルギー,熱,電池
1.ま え が さ
理工系離れ とい う言葉が聞かれる昨今,青少年に 科学の面白みを伝 えよ うとす るテレビ番組や イベン トが数多 く企画 され,また手軽にで きる科学実験 に 関する書籍(1)も数多 く出版 されている.
ところで,近年地球環境問題の一つである地球温 暖化が問題になっている. この間題を引 き起 こす主 原因は人間活動による二酸化炭素, メタソや フロン といった温室効果 ガスの排出量の増加 に起因す る.
特にエネルギー消費量の増加 とそれに伴 う二酸化炭 素排出量の増加 は,温室効果をもた らす もっとも大
きな要因 となっている(2).
この ような社会情勢を踏 まえ,次の ことを目的 と して公開講座を実施 した.(1)科学の面 白みを小学 生に伝 えること.(2)エネルギーとい う言葉 に興味 を持 ってもらうと同時に地球を汚 さないとい う意識 を小学生に芽生 えさせ ること.(3)身近 なものを用 いた夏休みの自由研究の一例 として参考になるよ う な実験であること.
以下実施 した内容 とその関連事項 について報告す る.
2.実施 日および受講者数 平成12年7月31日附)
午前9時30分〜午後4時30分 受講対象者 :小学校5, 6年生
受講希望者 :10名 (欠席1名)(募集人員10名) 受講生の うち5年生が4名 (男子3名,女子1名),
6年生が5名 (男子5名)であった.
●機械工学科助教授 原稿受付 2000年9月29日
、3.講座での実験内容の選定
小学校5,6年生が退屈せずに,1日講座 を受講 できるようにす るために次の点を考慮 し実験 内容 を 選定 した.
(1) 小学生が興味を持ちそ うな身近 なものを用 い た実験であ り,実験内容が平易であること.
(2)ひとつの実験は,あま り長時間にな らない よ うにす ること.
(3)エネルギーに関係 した実験であ り,実験内容 に不思議 さと面 白みがあること.
小学生にとってエネルギーとい う言葉か らくるイ メージとしてもっとも身近 なものは電気であると考 えられる.そのため,最終的なエネルギー形態 とし ては,電気エネルギーへの変換を実験内容 に選定 し た.また,地球環境問題 に関係のある二酸化炭素 を 発生 させないで発電が可能 な今後のエネルギー(2)と して期待 される温度差発電,各種電池や風力発電 を 受講生にイメージしてもらうために,本年度 は,熱 エネルギーと化学的エネルギーを主 として利用す る ことにした.
熱エネルギーか ら電気エネルギーへの変換実験 と しては,ゼーベ ック効果(脚注)に関係す る実験 内容 に した.ゼーベ ック効果を確認す るには,一般 の家庭 では持ち合わせていない電圧計を使用す る必要があ り,身近なものを用いた実験 とい う点か らは課題 が 残 る. しか し,ゼーベ ック効果を確認す る実験 は簡 単であ り,小学生が不思議 に思 って くれれば, この 実験の目的のほとんどは達成できると思われ る. 漢 脚 注) ドイ ツの物理 学者Seebeck(1770‑1831)が発見 し
た熟電現象である.2種類の金属導線を用いて閉回路を作 り,二つの按点間に温度差を与 えると,両接点間に起電力 が生 じ回路 に電流が流れ る現象である.
156 羽 田 書 昭
た,化学エネルギーか ら電気エネルギーへの変換 に 関 しては身近 なものを利用 して簡単な電池を作 り, その電池を用いた実験を行 った.
4.実験内容 とその結果
講座 において実施 した実験内容 とその際に得 られ た実験結果について報告する.
4‑1 鉛筆電池の製作 とその実験結果 時間 午前9時30分〜 10時15分
4‑1‑1 ミニ鉛筆電池の製作 とその電圧測定 本講座 に興味を持つか どうかは,最初が重要であ り r講座 は面 白そ うだ.Eとまず受講生が感 じて くれ れば と思い,細 かい説明をせず に,rみ なさんに こ れか ら鉛筆 を用いて電池を作 って もらいます.』 と 言 って受講生 に,長 さ約30‑ 40mmの鉛筆 (HB)の 芯 を1本, 1辺約40mmのキ ッチンペーパーとアル ミ
ホイルを各1枚ずつ配 った.図1の示す よ うに鉛筆 のまわ りにキ ッチンベーパーを巻 き,7ル ミホイル と鉛筆が接触 しないよ うにベーパーのまわ りにアル ミホイルを受講生 に巻 いてもらった. この電池 はよ く知 られている備長炭電池 と原理 は同 じであるが, 鉛筆にも炭 と同 じ成分が含まれていることを知 って もらうとともに r鉛筆で電池ができるのか』 と疑 い の念を受講生 に持 ってもらうね らいもあ り,あえて 鉛筆を用いた.鉛筆電池については,あま り知 られ ていないと思われ るが,予備実験 をし本講座で実施 した ものである.鉛筆電池 とい う名称 はオ リジナル と思われ る.
公開講座用の説明資料 には,備長炭電池 あるいは 消臭剤を用いた電池の作 り方についても記述 した.
備長炭電池の説明では,飽和食塩水に浸 した紙 を炭 に巻 きそのまわ りにアル ミホイルを巻 くと一般的に は記述 されている(1).しか し,本講座 では各 自で作 った電池の電圧をできるだけ同 じ条件で測定す るた め,乾 いた紙 を鉛筆に巻 き電圧を測定す る直前 に飽 和食塩水 に浸す とい う方法にした.紙 とアル ミホイ
アルミホイル キッチンベーパー 鉛筆
図1 鉛筆電池
ルで巻かれた鉛筆を飽和食塩水 に浸 し約15秒経過 し た後,各 自の電池の電圧 を一人ずつ測定 し,その値 を黒板に書かれた表に一人ずつ記入 してもらった.
小学生にとって電圧の説明は,難 しいためまず乾 電池を用意 し,乾電池の電圧を筆者 らが測定 しその 数字 を目安 にして,各 自の鉛筆電池の電圧値が乾電 池の電圧値 と比べてどの位 になっているか直感で判 断 してもらった.各 自の鉛筆電池の電圧値 の相違を 明確 にす るため,電圧 は少数第2位 まで読み取 るこ とにした.表1は受講生9人が作 った鉛筆電池の電 圧値である.各 自の電圧値 にばらつ きほで るが,約 0.7V位 になることを予想 していたので, 1V前後 の電圧値が得 られた ことは予想外であ り驚 きで もあ った.受講生 自身の鉛筆電池の電圧が,他 の人 の電 池の電圧 と比べ高いかあるいは低 いか とい うことも, 意外 と受講生 には面 白かったよ うである.講座 中は
この電池を ミニ鉛筆電池 と称 した.
表1 鉛筆電池の電圧
受講生 電(Ⅴ)圧 受講生 電(Ⅴ)圧 1 0.59 6 1.05 2 0.75 7 0.69 3 0.64 8 0.65 4 0.68 9 0.96
4‑1‑2 長gl)t筆電池を用いたLEDの点灯実験 次 に,長 さ60mmほどの鉛筆の芯を4本用意 し,図 1と同 じ方法で鉛筆電池を筆者 らが作 った.ただ し, 飽和食塩水の代わ りに塩素系の漂白剤を紙 に直接浸 す点が,受講生の作 った電池 と異なる.漂 白剤 の使 用は危険なため,筆者 らの実演のみにとどめた. こ の電池を4本作 りそれぞれの電圧を測定 した.講座 中は長鉛筆電池 と呼称 した.表2に4本の長鉛筆電 池 の電圧値 を示す.飽和食塩水 を用 いた電池 (表 1)の平均電圧 に比べ, 2倍以上の電圧が得 られて いる.
表2 長鉛筆電池の電圧 No.1 NQ2 No.3 Na4
この電池を図2に示す よ うに4本直列に接続 した ところ約5Vの電圧が得 られた.乾電池を直列 に接 続す る場合の全体の電圧は,それぞれの電池の電圧 値のほぼ和 になる. このことを乾電池を使 って実測 し確認 した. しかし,鉛筆電池では乾電池 のよ うに それぞれの電池の電圧値の和 にならないことを受講 生に説明 した.講座終了時のアンケー トに F小 さな
公開講座 r身近 な熱 と流れ の実験 か らエ ネル ギ ーを考える の突施 報告
図 2 4本 つ な い だ 鉛甥悶池 頚 i箱「二面
I
▲ 一iJt;‑ J ・L 奄皇 一 ‑
1‑‑一..'一.JIJ▲.J+「■
図 3 手作 り'EE池で点灯 した LlミD
力で も合わせ ると大 きな力にな るJ と答 えていた受 請 /l三がお り,鉛筆電池 を4本接続す ることと乾'[民地 を何本 か接続す ることとは,原理 的には同 じだ とい うことは理解 した よ うである. この J本 の鉛筆電池 を川 いてly13の7lJ'・色発光 ダ イオ ー ド(LED)を点 灯 させ た. ますiL1‑流''tZ抑装 問 を用 いてLEDを点灯
させ,次 にlミilYfrt‑u池 を川 いて Lll:Dを点 灯 させ た.
長針叩1Lt池 に よる Lll:r)の点灯 災版 では, その明 る さは直流'JLt淋基EI''ltを†山 IlLf・1㍍合 に比べfHる くはな い.長鉛 An:I.L;池 をつ ないでJ.[;I)が 児光 し,Jgft.,Jyl/l:̲ のひ と りが rあ っ つ いll!. と)LIJでTLT7ったか,
この言盛で本尖験のh らいitl・分遜成 さJl,た とJLTJ) れ る.
4‑1‑3 11円電池の電圧測定
次 に,図4に示す よ うな11円7LL池 tt:作 り.1け1,
22円,33円 と催壬み rTl̲ねてその ときの''LiJl'!{州'Jiiした.
鋼 とアル ミニウムをJllいたIiTtZ池 の192作 とJJii理rt'・J.,トIrJ じであ るが, お金 を使 うところに疋[汀ト私が あ ると)LJ. われ る.11円で約0.6Vの電圧 が得 られた.r・備:i(
験 では20段 ほ ども'1み盛ね約1.5Vの屯LEが得 られた.
当 日は55円 (5段) ほ ど酌み重 ね て も0.7Vほ どに しかな らずそれ以上fl'1'み塵ね ることは しなか った.
''EJflがT,想 していたほ ど高 くな らなかった原因 は,
T,仰快 験 にm いた10円を使用 したため硬1,?の表面 が 銚 て しまい,化学反応が しに くい状態 にな っていた ためであ る. 1日TJ氾池 を甘i'み 屯ねLEDを点灯 させ る こ とはで きなか った.「Ll門 '心地 8段 でLEDが
撃 てI‑ ミ
⊂
プ 紙+食塩水義・鍋
157
図4 11円電池
点灯す る」 とか 「ある高校 では最 高36Vの電圧 を得 た」 といった イソクーネ ッ ト情報 もあ るが,硬貨 を 積み遷ね てい くうちに腰間が経過 し化学変化 が弱 ま るため,電圧値 が高 くな らないのが実状 であ り,莱 験方法 に工夫が必要 と思われた.
4‑2 熱電気変換実験
4‑2‑1 サーモカ ップル素子 を用いた実験 午前IO崎3O分〜午後 1時30分 (1時間昼休み)
図5 熱71i気変換実験の概要
rlXl5に′Jモす 熱u 気 変換・if験器 (Nakamura製) 女川いた'LE験 を行 fEった. この黒験諾手を川 いて左右 ビーカーのil.luQ:L7三と;Lf取 舵の起''ほ= の脚係 また プ ロ ペ L?の州 tJ'rTる速 さ̀/PIJ洲'iZした. この実験器 には, サ ーItrカ ッ'/ル許;‑J'・がJtRJIJされ,,lS・l'・hl‑'lvこあ る値以 ヒわt,I"lJ瓜1‑1'モが/I:.じると起TuノJが/I'.じフ ロベ ラがI瑚転 十 /J刺1''WLfcっている ,r.'.tがこの装iLLi.rlのI軒白い点で あ
ら.鰍J・トル ぎーか ら'心気エネルギーを生成す る実 験 と してujf・''i;.I,'に舛味深 い ものであ り,簡 単な温度
L7:脚 LL'R険 であ る. サーモカ ップル索 7‑の詳細 な説 Ey山上せず, この装IrJ'Ifの原理 のみ の説明 に とどめた.
温位 に よって色が変化す る感温液晶 シー トをサ ーモ カ ッフル素 丁付近 の装FE前面側 に貼 り, その付近 で' の払'lJ要点 を脱党でFR解可能 な よ うに̲T.大 した. この シ‑ 卜は, シー ト温度 が約30Cになると'h色 にな り, 約40oC以上 では77色 になる.図6には感弧液晶 シー
158 羽 Ill富 昭
図6 感温液晶シー ト郡拡大図
卜部 の拡大図を示す.向か って左右それぞれの ビー カーに氷水 と湯 を入れた場合 には,感温液晶 シー ト の左上側 が異色 にな り,下側 が背色 に変色す るので, 正確 な温度差 は不明で も直感的 に温度の相違 は認識 可能 である.幅20m長 さ70nm1程度 の感温液 晶 シー ト を受講生全員 に配 り, このシー トを使 った別 の実験
(熱 の伝わ り方) につ いて も紹介 した.氷水や湯 の 中にシー トを入れシー トの色が変色す るのを休み時 間に受講生 の何人 かほ楽 しんでいた.受講 生 の一人 が r温度表示付 き定規 を持 っている』 と言 って見せ て くれた. この温度計 は,温度 を緑色 の数字 で示す よ うにな っていた. rこの温度計 に もこ うい うシー
トが使われてい るのかJ とつぶや いていた.
公開n払座'L川 に行 った′月験 の左才)'L='‑カーの水 温 と犯LE仙 Jo.⊥び フlコベ ラが ‑l!![・l転す るのに賀 した ビ デオの コマ数をR :iに′1‑;す. ゾ tJベ /のlL.川il‑;数を家 庭 で nI確 に洲止す ることは.で きない. ここで はL‖怖こ す るプロペ ラを ビデオカメラで1/1兆にし, その映flfiを テ レビに映 し・&,llIln三全山でLF'的'成 しなが ら, ノPベ ノ が 1回転す るのに何lHⅠコマ送 りす る必 出があ るか教 えることに した. 7'pベラの羽根 1枚 に円い印をつ 汁, 白い印がテ レビの画面上 のほぼ同 じ位 置 に くる まで コマ送 りした. プ ロペ ラが正確 に 1回転 す る コ マ数を調べ ることは不可能 なため,あ くまで大 まか な数 であ る. この コマ数か ら1回転す るの に要す る 時間 を算 出 した.受講生 に単位 時間あた りの回転 数
とい う意味を理解 させ ることはやや難 しか ったため, プ ロペ ラが100回転 す るのに要 す る時間 ほ どの位 に なるかを計算す ることに した. この計算だ とプ ロペ ラが100回転す るのに要す る時 間 が,ほ とん ど並 数 になるため5年生 に も理解 しやす い と思わ れ る.
ビデオカメラは1秒間に30枚映像を取 り込むので, 1枚取 り込 む には,l÷30≒0.033で 1コマ分 は約 日.U.'1秒 と説lリ=ノたが, これ も受講生 にとってやや難 しい よ うで あ った. そ こで,rむず か しい ことは抜 きに して, lコマ分は0.03秒 と して くだ さい J と話 L約手‑.=ノて もらった.
次u).)..・t)に川板に.7L!述 した.表3のNolの場合
417,lriと 0.日:i抄メl ・().12秒
1li柵 ;‑T‑るのに(I.12什 だから1()OL‖聴け るには
表3 熱唱 気変換 実験 器 の特 性
Na 左側 右側 温度差 昭 圧 プロペラ
(V) するのにガ日rTl転
ヒ‑カー
水温 ○C ヒ‑カー水温 ○C (ロト(1)
(j) (ロ) 要するビデオのコマ数 1 33 80 47 0.63 4 回
2 5 73 68 0.72 3.5lill
3 5 56 51 0.48 6 l可
4 4 48 44 0.37 9 l可 5 5 42 37 0.28 17戸ー
0.12秒×100‑12秒
横 軸に左右 ビーカーの温度差 を と り,縦軸 に実験 樵の電圧 あ るいは プ ロペ ラが100In魔王す るの に要す る時間を と り, グラフを各 自手書 きで作成 した. コ ソピューターで図を作成す ることも考 えたが,座標 軸 の取 り方や実験点 の プ ロッ トした位置の確認 をす ることも受講生 には重要 な ことと思 い,手習 きで図 は作成す ることに した. コソピューターに頼 りす ぎ ると,図の体裁だけ整 えるよ うにな り実験結果 の本 質 よ り別 の ところに興味 が移 る恐れがあると思われ る.当 Llの実験結果 を もとに作成 した左右 ビーカー の温度差 と'Jg験 器の電LEとの関係 お よびプ ロペ ラが 10OIt小浜す る時日''Jとの牒日系を図 7お よび図 8にそれ ぞれ示す.llX17中の,JILJLは, メーカ‑が示 した電圧 とfl"'L雌/,‑tの快Jl系であ る.本実験 での表3のN0.Iの桔 火 は, メーカーの挺供 した結姫 と比べ ると大 きな差
‑
ilEはないが,本実験 で得た他の実験伯 か ら考 え られ る電LE特性 とは大 き くその傾 向が異 な るため,Nol の結果 は無視 し,他 の5点 の実験値 を直線 で結 んだ.
Nol以外 の左側 ビーカーには氷水が入 ってお りほ と ん どが4oCであるがNolの場合 にはその温度 が33oC であ り,低湿度側 の温度 の違 いが電圧特性 に大 きな 差異 を もた らしている可能性 があ る. また,実験 日 の室温 は,36oC以上 であ り, メーカーの行 な った実
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20 30 40 50 60 70 80 温度差 (oc)
図7 氾雌/T=‑̲・と'l正圧 の快日系
公開講座 r身近な熟と流れの実験からエネルギーを考えるJの実施報普
0000000くV54321(金)匡皆やi避E)00L
●
\ o \
0○
●20 30 40 50 60 70 温度差 く℃ )
図8 温度差 とプロペラが100回転する時間の関係 600
500
̀盲 400 2 義 300
1# 200 匝1
100 0
●
●
●
20 30 40 50 60 70 温度差 (℃ )
図9 温度差 とプロペラの回転数の関係 験 における室温22oCとは大 き く異 なる. こ うした室 温の違い もサーモカ ップル素子の起電圧 の違 いにな っていると考 えられ る.
ビーカーの温度差が大 き くなるにつれて電圧 もほ ぼ直線的 に増加す ることを説明 した.ただ し,比例 とい う用語 は使用 しなか った.
図 8の場合 も表 3のNalの結果 か ら求めた値を無 視す ると,左右 ビーカーの温度差が大 きいほどプ ロ ペ ラが100回転す るのに要す る時間 は短 くなる.す なわち温度差が大 き くなるとプロペ ラが速 く回るよ うになることを説明 した. しか し,図8ではグラフ が直線的 にならないため,図7と対応 させ て説明す ると受講生 にはかえって混乱を与 えて しま う気が し たため,詳 しい説明 はしなかった.
ところで,当 日は説明 していないが左右 ビーカー の温度差 とプロペ ラの1分間当 りの回転数 の関係 を 図 9に示す.表 3のNnlの結果か ら求めた値を無視 す ると,それ らの温度差 とプロペ ラの回転数には, 良好 な直線性が認め られ る. ビデオカメラを使用 し た実験で もかな り精度の よい測定が可能 と思われ る.
4‑2‑2 2種類の金属線 を用いた実験 午後1時30分〜 2時15分
ここでの実験 は,熱電対 の起電力の実験 と同 じで ある.前節で行 なった熱電気変換実験 と関連がある ため本実験を行 なった.熱電対 には,銅 ・コソスタ
159 ソタソ緑や クロメル ・アルメル線 などを用 い るが, 一般 にはな じみがないため実験で は針金 (鉄線) と
ニクロム線 を用 いた.針金はよく目にす るため特 に 説明 は不要であった. また, ニクロム線 につ いては, 半田 ごてやホ ッ トプレー トな どの ヒーターの中に使 用 されていると説明 した.そのあ と, ニク ロム線 に 数Ⅴの電圧 をかけ, その熟で紙 を切 ることに した.
赤 くなった ニクロム線 と煙 を出 しなが ら紙 が切 れ る のを見 てニクロム線 とは どうい うものかわ か った よ
うである.
鉄 とニクロム線 の2本 の先端 をまとめて よじ り, その先端部 を ビーカー中の水 につ け, も う一 方の線 の端 は,電圧計 の端子 にそれぞれ接続 した.その先 端部が入 っている水温 とその ときの電圧計 の値 を読 み取 る ことに した.起 電圧 がmVのた め,単 位 の 説明を一応 したが, ここでは数字 の変化 に注 目して
もら うことにした.
公開講座用の説明資料 中の表 に数字 を記入 し表4 のよ うにまとめた.次 に表4のNal〜Na5の関係 を 各 自でグラフに した.鉄 ・ニクロム線 の先端部 を入 れた水温 と起電圧 との関係 を図10に示す.直線性 は 非常 によく温度が上昇すれば電圧 も高 くな ることが わかる. しか し,負の電圧値 を小学生 に説明す るこ とは難 しいため,水温が4oCの ときの電圧値 が負 に なって しまった ことは反省点である.最初 に氷水 に おける起電圧をOVになるよ うに電圧計 の値 を調整
表4 鉄線とニクロム線の起電圧表 Nn ビーカー水温 の○C 電圧計の値(mV)
1 60 0.35 2 57 0.25 3 49 0.15 4 40 0.05 5 4 ‑0.42
432101つ一34Lhoooo00000ll■ll(>∈)出脚
●
A .‑
0 10 20 30 40 50 60 70 温度 く℃ )
図10 ビーカーの水温 と起電圧の関係
160 羽 U] 営 ‡1円 しておけば,す べ て電圧値 は正 にな り水温 と電圧 と
の関係 は もっ と説明 し易 くな った もの と考 え られ る.
4‑3 モー ター を用 いた発電実験 午後2時15分〜 2時45分
直流電源装置 を用 いてまず モ ー ターを回転 させ る.
次 にモ ーターに接続 された導線 を電圧計 に接続 し, 手 で モ ーターを阿転 させた. その ときの'fEi圧計 の数 字 の変化 を見 て もらった. そ ‑ メ‑を手 で匝魔 させ る と電圧値 が大 き くな ることを理解 して も らった.
発電 は, この原理 を もっと大掛 りで行 な うもの で あ り,発電機 を回転 させ る力 としては,水力や風力 あ るいは人力 で もよい ことを説 F)TJした. 自転 車 の ライ トは人力 の発電 に よって点灯 してい るこ とを則解 し た よ うであ る.水 に よる大 きな力 は ど うす れ ば得 ら れ るか,水力発電所 にある/(イ ブはなぜ 高 い ところ にあ るかな どを説 明 した.
水力や風 力 に関す る手 ごろな実験装置 につ いては, 今後 の課題 であ る.
4‑4 レモ ン電池の製作 牛後2時15分〜 4時 材料
レ It‑ソ IJ.・J/), くだ もの
r
lE池 川 モ ー タ ー (Na・kamuraW H 158,0.I〜 1.5V,22‑仙 11^), フ ロ ベ ラ, モ ーター収 り付 け(.I, リー ト線 :2本,17*U)
山 ク l)ッブ :2佃, 12mmY50lMll I)..‑州lnの 亜 釘†似, 鋼 板 , 7 ル ミ ウ ム 触,鉄 触 :終 1枚,A L M2.6×5:2本.
受講生 の うちJff,・?川 には, 与.tんだHけ な外紙 して もらった.や け どを しない よ ・')に171:,ttL, リー ド線 のモ ーターへ の取 りイ・Jlサ部分 と.lJAの山 ク 1)ッフを リ ー ド線 に取 り付 け る部分 のはん だ付 け な行 な った.
み の虫 ク リップの ゴムの部分 を放 り外 Lた状 態 を初 め て見た人 が ほ とん どであ り, EFIJJIu)「で作 る こと は楽 しそ うで あ った. モーター取 り付けfHこモー タ ーをね じ止 め し, プ ロペ ラを装邪 すれ ば'}'i戒 で あ る.
4枚 の金属板 の うち亜鉛板 と鋼板 を レモ ンに挿 入 し プ ロペ ラが回庭 す るか検討 した. しか し,受講′iミ今 日の プ ロペ ラは匝臆 しなか った.銅板 を熟 して懐化 させ た ものを使 用 した り, レモ ンにオキ シ ドールを た らして もプ ロペ ラは回転 しなか った. レモ ン将 池 の'ILZJl三は,()7Vほ どで あ りこの値 は モ ー ターの規 楢 !(満 足 して い る. そのため, プ ロペ ラが回転 しな いhkr州 .t,Tu流 lL(IIが小 さ過 ぎた ため と考 え られ る.
何日は.絶 Il^lJこな った実験 で, レモソに亜鉛板 と
gLJIJ損な粧人 したIiけで′jfF実に プ ロペ ラがl州 玩した堤
合叫誠J.・であ ろ.ゾ =ヘ ラは, 日脚の レモ ソで20秒 I I分EIJ.ど t,かい小18':L/Cい ことがわか った.L桐ll仮
i「iiil 【iiiiiiJ
図11 レモソfE池でプロペラが回る様子
と鋼板 を別 の2種類 の金属 に変 え,加鉛版 と銅板 が 挿入 され ていた位 閏 とは別 の位置 に2種類 の金属板 を挿入 して もほ とん どl司転 しない こともわ か った.
i/モ ソ'F即し如こ関す る詳細 な説 明 は, ほ とん どないた め, L,モ ソに2種類 の金属板 を挿入す れ ば,簡 単に 電池 がで きるよ うに思 っていた. しか し, レモ ン電 池 を用 いて モーターに装着 した プ ロペ ラを回転 させ るには, ち ょっ とした工 夫 が必要 であ ることがわ か った.筆 者らが工夫 したI^J容 は以下 の3点 で あ る.
(
1 )
1'a翫佃 を大 き くす るため には,金属板 と L/モ ソ果 汁 との接触 面桝 を増 人 させ る必 Jaiが あ る.そ のため にu, 1佃 の レIt‑ソの先端 部 をblJり,金属板 を深 く レ1 ソに抑 人で きるよ うにす る こと.(2)2番巨塀 の金 山収 の爪離 をで きるだけ小 さ くす るため,金属 の間 に紙 を人 Jt, それ らが倭触 しない よ うにす る ととも に, それ らの金属 の全体 を包 む よ うに紙 を巻 き,紙 を巻 いた金属 を レモ ソに挿入 す る. こ うす る こ とで, 金成板 の レモ ンに挿入 されていない部 分 で も,紙 がレモ ン果汁 に混 され て い るた め化学反応 をfEじさせ る金属 の表面積 を大 き くす ることが可能 にな る.(3) 金属板 を レモ ンに挿入 した ときに もっとも大 きな起
'Lti力 が得 られ るので,2種輝 の金属板 を レモ ソに挿 入 した後 にその金属板 とモー ターを接続 させ るので はな く,金属板 とモ ーターをあ らか じめ接続 してお き, いつ で も電 流が流れ る状 態 に してか ら レモ ソに 金属板 を挿入す る.
T,僻実験 で は, i/モ ソ半分 で作 った レモ ソ′tと三池 を 用 いて もプ ロペ ラは回転 した が, 当 日は受誹生 が楽 しみ に していた レモ ソ'n池 の'LZ験 は,成功 しなか っ た. レモ ソ電池 の代 )っりに,漂 LLl刑申に2椀薪 の金 属板 を入 れ,全員 の プ ロペ ラを回転 させ た.漂 ∩剤
を用 い ると鋼板 と.Higr?板,糾板 と7ル ミニ ウム坂 , 鋼板 と鉄板 の いず れ の場 合で もフ ロベ ラは阿転 した.
受Ely;生の 7 ソケート中のl仙 '佃、った こととつ ま ら なか った ことのJ'I.J'ノJに くた もの′心地 が あ った. レモ
公開講座 r身近な熟と流れの実験からエネルギーを考える」の実施報告 ソ電池を用 いてプロペ ラは回転 しなか ったが, レモ
ン電池を作 った ことあるいは別の方法でプ ロペ ラが 回転 した ことに興味を持 って くれた よ うである.
4‑5講座の まとめ と終了式 午後4時〜 4時30分
二酸化炭素 と地球温暖化の関係や タ リーソエネル ギーにつ いてOHPを用 いて平易 に説明 した.二酸 化炭素を排出 しないで電気を作 る方法 (温度差発電, 風力発電,水力発電,電池,太陽光発電,地熱発電 な ど) について も講座で行なった実験 を参考 に して 簡単 に説明 した.
5.あ と が き
実験 では,予想外 の結果が い くつかあ り必 ず しも すべてが成功 したわ けではない. しか し, さまざま な方法で電池が作れた ことに対 してはほ とん どの受 講生が楽 しかった よ うである. また講座 の進み方 は 全員がち ょうどよい と回答 した.
161 本講座 で難 しい と思 った内容 のひ とつ にI 4‑5節 で の説明をあげた人が二人 いた. また, グラフの書 き 方が難 しいあるいはつ まらない と答 えた人 が二人 い
た .
科学の面 白みを伝 えるとい う目的の一つ は, ある 程度達成 で きた と思われ る. また, アソケ‑ ト中に rこれか らの地球 は ど うな るのか』『二酸化炭素 を 減 らす』 と書いた人 もお り環境問題 に対 し,受講生 が若干関心を示 して くれた と思われ る.
最後に,実験 の準備お よび講座 に協力 していただ いた本校機械工学科5年の石 田徹吾君,島川聡君, 高橋元君 ならびに瀧本勲君に心 よ り感謝 します.
参 考 文 献
(1)左巻健男 :「理科おもしろ実験 ・ものづ くり完全マ ニュアル」,東京書籍
(2)柏木孝夫 :「エネルギー活用辞典」pp.28‑87,㈱産 業調査会事典出版セソクー