電気工学計測実験教育のCMI化への試み
(昭和58年5月30日 原稿受付)
電気工学教室稲永征司
〃 安 藤 喜代美
二部電気工学教室吉永有道
情報処理教育センター中山泰雄
An Approach by CMI System for Education of the Experiment of Electrical Measurement.
by Shoji INANAGA Kiyomi ANDO
Arimichi YOSHINAGA Yasuo NAKAYAMA
Abstract
Now we are developing a CMI system for the experiment of electrical measurement fol.
10wing to the practical physics in our Institute. On the experiment of electrical measurement,
students have to submit their experiment reports with a computer mark cards for the CMI system. In addition to experiment date, submission date of a report, self−evaluation and others showed on the computer mark.card for the practical physics, some investigation of the exper・
iment report submitted are made for the experiment of electrical measurment in order to estimate its report with a computer.
1.まえがき 2.電気工学計測実験の実施状況
近年教育の最適化を目的とする教育工学において,学 現在,電気工学計測実験は電気工学科2年生と二部電 習方法,教育機材,評価について多くの研究開発や実践 気3年生の2クラス70余名が,前半期間に1週間に1回 が進められている。学習プログラムとコンピュータの持 (2.5時間),3〜4人1組で1テーマを行い,全部で11 っデータ整理・蓄積機能との機能的結合から生まれた指 テーマの実験をしている。電気工学計測実験は,後半期 導システムCMI1)(Computer Managed Instruction)が 間の電気基礎実験(物性関係)と合わせて,電気系専門 普及しつつある。筆者らはすでに物理学実験教育のCMI 実験の入門的役割を果たしており,この実験での実験技 化2}を試みて・レポートの管理を手作業からマークカー 術や創造性の習得が,その後の専門実験に与える影響が
ドによる処理に省力化を行ったことがある。更に・学生 大きいと考えられている。そのために実験題目は十分に の実験にたいする興味・理解度,実験時間の適否等を定 精選されている。
量的に把握し・物理学実験教育の改善に一応の成果を上 表一1に実験題目を示している。
げた。今回,電気工学計測実験教育においても,前回よ りも調査項目を多くし,実験レポートの採点のCMI化
も試みた。
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表一1実験題目 c・調査項目
図寸のマークカードに次の項目について書き込む。学 生番号,実験回数,実験題目の番号,実験日時,レポー ト提出日,更に次の項目について調査し,該当する番号 をマークカードに書き込む。
(1)レポートの提出期限について 提出期日に提出…・・………・…1 1週間遅れて提出………2 2週間以上遅れて提出………3 (2)実験への関心
興味がある……・・…………・・℃1 少し興味がある………2 興味がない………3 (3)実験内容について
よく理解できた………1 少し理解できた………2 理解しがたい………3 (4)実験時間について 3.方法
a.利用計算機 時間があまる………・・………・1 MELCON−COSMO 7001n(九州工業大学情報処理セ 時間がちょうど良い…………2
ンター設置) 時間が足りない………3 b.マークカード (5)実験の目的,理論について 入力は図一1に示すように80欄マークカードとする。こ 簡単に書いた………・…・・1 れはプログラミング教育用に使用されているマークカー ほぼテキストと同じ…………2
ドを使用した。学生はこのマークカードを実験を終えた 他の実験書等も参考にした…3 次週に実験レポートに添えて提出する。毎週提出された (6)実験結果について
マークカードは,ただちにマスタファイルに書き込まれ 簡単に書いた………1 管理される。各種のデータは,必要なときは各人,各題 普通程度書いた……… 2 目等任意の形で出力できる。 詳細に書いた…・………・……・3
実験
?ヤ 、実 験 題 目
1 ケルビン ダブル ブリッジ
2 検 流 計
3 弾 動 検 流 計
4 直 流 電 位 差 計
5 絶 縁 抵 抗
6 コーラウシュブリッジ
7 交 流 ブ リ ッ ジ
8 相回転方向の決定
9 鉄 損 の 測 定
10 ブラウン管オシログラフ
11 単相交流回路の電力測定
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図一1 マークカード
書いていない…・・………・0 例えば,考察・検討事項の指示の多い実験題目では詳し 簡単に書いた………・・…・1 く十分に書き,指示の少ない実験題目では簡単に書いて 普通程度書いた………2 いる。これら自己評価の項目からコンピュータによる採 詳細に書いた…………・・……・3 点を試みた。前述の名項目ごとに適当な荷重係数をとっ (8)参考文献数 て数量化し,これに基礎点を加えてそのレポートの点数 とした。この自己評価による採点結果と教官による採点
4.実験内容と提出レポートの自主評価
結果の1部を図一8に,横軸を5点幅の点数,縦軸にそれに 本実験のCMI化の目的は二つある。一つは現在の実 対応する学生数の割合で示している。これらを比較する
験題目の消化状況を把握し,合わせて計測実験として課 と,自己評価による結果の方が点数の分布は広いが,両 せられている実験題目を,学生がどの程度理解し,興味 者はかなり一致していることがわかる。
をもち,また決められた時間内に終えているかを検討す
5.結果 ることである。図才,図一3,図一4は実験内容(実験への
興味,理解度,実験時間の適否)について横軸に実験題 今回の調査結果から現在の電気計測実験教育は興味,
目,縦軸に各々の解答に対する学生の割合をとっている。 内容の理解,実験時間に関しては概ね妥当であることが これらの図を検討してみると,大多数の学生が大部分の わかったが,いくつかの実験については改善を検討する 実験題目について興味を示し,理解し,規定の時間内に 必要がある。レポートの採点のCMI化については自己 実験を終えているが,いくつかの調査項目で2〜3の実 評価させることで,ある程度の客観的結果を示し得るこ 験題目に20%〜40%の学生が不満足を示しており,今後 とがわかったが,まだ評価の項目が少ないので各実験題 検討する必要がある。 目ごとに評価項目を追加し,採点の基準を明瞭にする必 もう一つの目的はレポートの採点のCMI化である。 要がある。更に知識工学的手法を取り入れて各教官のレ
レポートの採点は点数差をつけるという意識を持って採 ポートに対する評価の方法や基準を分析し,より客観的 点した場合,第一印象の字や図のきたなさ等が過大に影 で合理的な評価が期待できるように自己評価の基準を改 響を与え,客観性を欠きがちである。従って採点の基準 めれば,実験教育のCMI化の進展に大きな力となるで を明瞭にし,何らかの方法で数量化する必要がある日今 あろう。今後の課題である。
回は実験の目的・理論のまとめ方,データ処理の仕方(結 謝 辞
果),考察・検討の3項目について,前章で述べた方法で 本研究について助言と御指導を賜った大重力教授並び 数量化し,学生自身に自己の提出レポートを評価させた。 にマークシートのデータを取るのに協力していただいた 図一5,図一6,図一7にそれぞれ上述の3項目についての評 大久保末広技官に心から謝意を表します。
価の割合を示している。これらレポートの自己評価は実
験内容の評価ほど一定の傾向を示しておらず,詳細に書 参 考 文 献
いた学生の割合が多い実験題目もあれば,簡単に書いた 1)CMIシステム教育におけるコンピュータ利用佐藤隆博編著
2)安藤,中山;九州工業大学研究報告(工学)第40号,昭和55年3月
学生の割合の多い実験題目もある。これは学生が計測実
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図一2 実験への興味
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図一3 実験内容の理解
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図一4 実験時間
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図一5 目的・理論
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図一6実験結果
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