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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,201728

ウシ-マウス間におけるミトコンドリアヘテロプラスミー胚の受胎能

生物資源科学専攻 家畜生産生物学講座 遺伝繁殖学 詫間光

1.はじめに

ミトコンドリアはあらゆる真核細胞に存在し,ミトコンドリアDNA (mtDNA) の構造お よび細胞小器官としての機能は種間で高度に保存されている。しかし,マウス胚にウシミ トコンドリアを混入させたヘテロプラスミー胚 (mtB-M) を母体に移植しても,胎子が 得られないことから,mtB-M胚の受胎能は欠落していると考えられる。本研究では,mtB-M 胚の受胎能を更に詳しく評価すべくアポトーシス関連遺伝子発現および胎盤形成に不可欠 な栄養膜幹細胞 (TS細胞) の樹立能を検証することで,mtB-M胚の着床不全の原因を探り ミトコンドリア機能の攪乱が哺乳類初期胚の受胎能に及ぼす影響を調べた。

2.方法

1) アポトーシス関連遺伝子の発現解析 ICR マウス卵母細胞を体外受精 (IVF) に供し

前核期胚にウシ胚由来ミトコンドリアを導入し,mtB-M胚を作出した。mtB-M胚は体外 培養に供し胚盤胞期まで発生させた。アポトーシス関連遺伝子であるBaxBcl2Caspase3 7および9の発現を定量PCRによって解析した。対象区としてIVF胚およびマウス胚に他 のマウス由来ミトコンドリアを導入したmtM-M胚を用意した。

2) mtB-M胚のTS細胞樹立能の検証 IVF胚およびmtB-M胚について定法に従いTS 細胞樹立を試みた。対象区となるIVF胚由来細胞ではTS細胞樹立の指標となる5回以上 の継代培養と分化誘導による胎盤構成細胞への分化能の検証も実施した。また,mtB-M 由来細胞では,ウシmtDNAの検出を試みた。

3.結果と考察

1) mtB-M胚ではIVF胚と比較してBaxCaspase37および9の発現レベルが有意に 増加していた。先行研究でmtB-M胚ではアポトーシス細胞が増加し,栄養外胚葉 (TE) 胞数が減少することが判明しているため,本研究結果と併せてmtB-M胚ではTEでアポト ーシスが亢進されていると考えられた。

2) mtB-M胚ではTS細胞樹立の指標となる継代5回目までTS細胞コロニーを維持する ことができなかった。継代数5回以前のコロニーからウシmtDNAを検出した。以上より,

mtB-M胚ではTS細胞を保持しておらず胎盤形成能が欠落していることが判明した。

4.まとめ

mtB-M胚では,アポトーシス亢進により生存性が低下し,かつ、TS細胞欠如により胎

盤形成能が欠落していることが示された。本研究により,ウシミトコンドリアの混入はマ ウス胚の栄養外胚葉の発達を妨げ受胎能を著しく低下させることが明らかになった。

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