美しい兄妹のあやまち、そして、愛憎、欲望、復讐―――
魂を揺さぶるエリザベス朝演劇の衝撃作
新国立劇場では今年6月、イギリスの劇作家、ジョン・フォードが17世紀に執筆した彼の代表作
『あわれ彼女は娼婦』をお贈りします。シェイクスピアやクリストファー・マーロウなど名立たる劇作家
を輩出したエリザベス朝演劇の終盤を代表する名作戯曲です。
舞台は中世イタリアのパルマ。勉学、人格ともに優れ、将来を嘱望されるジョヴァンニは、周囲の制
止を振り切り妹アナベラを女性として愛していることを打ち明ける。アナベラもその愛を受け入れるが
……。混沌の中、二人を取り巻く人間たちの激しい愛憎や欲望が暴かれる―――
演出にあたるのは、新国立劇場でも数々の傑作を創り出してきた栗山民也。兄妹役に浦井健治、
蒼井優を迎え、伊礼彼方、中嶋しゅうら豪華キャスト陣が集結する話題作にご期待ください。
【4月2日(土)チケット前売り開始
☞
新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999】
写真・資料のご請求、取材のお問い合わせ
◎新国立劇場 制作部演劇 広報担当
藤沢 花
TEL: 03-5352-5738 / FAX: 03-5352-5709
◎新国立劇場 制作部演劇 制作担当
三崎 力
新国立劇場 2015/2016 シーズン演劇公演
あ
われ彼女は娼婦
作◎ジョン・フォード
翻訳◎小田島雄志
演出◎栗山民也
2016年6月8日(水)~6月26日(日)
新国立劇場
中劇場
◎作品について
イギリスの劇作家、ジョン・フォードが1620年ごろに執筆した彼の代表作であり、シェ
イクスピアやクリストファー・マーロウなど名立たる劇作家を輩出したエリザベス朝演劇
の終盤を代表する名作戯曲です。
舞台はイタリアのパルマ、純粋にお互いを愛するがゆえにあやまちを犯してしまうジ
ョヴァンニとアナベラ兄妹。この戯曲は、ジョヴァンニとアナベラの物語が中心になりま
すが、二人を取り巻く、家族、貴族、召使、僧侶たちの激しい愛憎や欲望が、身分、性
別、年齢に関係なく、余すところなく描かれており、その様はさながら混沌の様相を呈
しています。それは、まさに現代に生きる私達が忘れかけている人間の本質とも言える
でしょう。戯曲のもつ現代性とエネルギーを体感してください。
◎あらすじ
中世のイタリア、パルマ。勉学に優れ、人格的にも非の打ち所がないと将来を嘱望
されるジョヴァンニは、尊敬する修道士ボナヴェンチュラに、自分の心を長く苦しめてき
た想いを打ち明ける。それは、類まれな美貌の妹アナベラを女性として愛しているとい
う告白だった。ボナヴェンチュラは叱責するが、ジョヴァンニは鎮まらず、アナベラに気
持ちを伝えてしまう。するとアナベラもまた、兄を男性として愛していたことを告白する。
そして兄妹の運命は……。
◎演出 栗山民也からのメッセージ
時代を鏡に映すように、演劇はその主題や手法を、「いま」という鏡に映し出さなけれ
ば、そこに何も生み出されないだろう。エリザベス朝に続く時代に生まれた劇作家ジョ
ン・フォードの作品『あわれ彼女は娼婦』の手触りは、今読み返しても、実にギザギザし
た動物的な感触で、今のわたしたちが忘れてしまった人間のいくつもの感覚によみが
える。人間の愛や欲望や復讐が混ざりあうことで起こる残酷で透明な劇として、今のわ
たしたちの感情を激しく揺さぶる。
自分が傷つくのが怖くて、尖った意見を控え、皆より上に上がることも、また落ちこぼ
れからも逃れることで、一番安全な平均値という評価へ必死に収まろうとしがみつく。こ
れが、現代の日本全体の姿なのか。同じ顔の人ばかりが、同じ価値観で既成の秩序を
守り通すことで、自分の居場所だけを守る。これがまさに、現代の匂いまでも失ったわ
たしたちなのか。
この劇には、秩序を失った人間たちのいろんな欲望が、その不条理性のまま激しく
照らし出される。人間、そしてこの世界が決して、同じ表情ではなく、異質なものがぶ
つかり合うことで、そこに新たな価値が生まれるということを、「いま」という鏡に映す。
◎プロフィール
作◎
ジョン・フォード
(John Ford)
ジョン・フォードの生涯についてわかっている事は少ない。1586年4月17日、デヴォンシャーで受 洗(生後3~5日目)。オックスフォードのエクセター・カレッジに学び、1602年11月にはミドル・テン プル(四法学院の一つ)のメンバーになったが、17年に退会するまで弁護士の資格はとらなかっ た。 20歳の頃から詩や散文を書き始め、1621年以後はジョン・ウェブスターやトマス・デカーと共作して 劇作家としての地歩を固めた。24年以降は独立して戯曲を書いたが、単独作7本の創作年代も順 序も不明である。『あわれ彼女は娼婦』も24年から33年までの間に初演された、ということしか確定 できない。 1576年に初めてロンドンに劇場が建てられてから、1642年ピューリタン革命によって劇場が閉鎖さ れるまでの、いわゆるエリザベス朝演劇において、フォードはその掉尾を飾る劇詩人であり、「エリ ザベス朝演劇の白鳥」と呼ばれるに相応しい作品を歌い上げた。
演出◎
栗山民也
(くりやま・たみや)
早稲田大学文学部演劇科卒業。主な演出作品に『GHETTO /ゲットー』『きらめく星座』『海をゆく者』『組曲虐殺』『スリル・ミー』 『ピアフ』『藪原検校』『デスノート The Musical』などがある。紀 伊國屋演劇賞、読売演劇大賞最優秀演出家賞、芸術選奨文部 大臣新人賞、毎日芸術賞千田是也賞、朝日舞台芸術賞などを 受賞。新国立劇場では『今宵かぎりは…』『ブッダ』『キーン』『夜 への長い旅路』『欲望という名の電車』『ピカドン・キジムナー』 『夢の裂け目』『ワーニャおじさん』『櫻の園』『浮標』『夢の泪』『涙 の谷、銀河の丘』『世阿彌』『胎内』『喪服の似合うエレクトラ』『箱 根 強 羅 ホ テ ル 』 『 母 ・ 肝 っ 玉 と そ の 子 供 た ち 』 『 夢 の 痂 』 『CLEANSKINS/きれいな肌』『氷屋来たる』『まほろば』『雨』 『マニラ瑞穂記』、オペラ『夕鶴』『蝶々夫人』を演出。著書に『演出家の仕事』。新国立劇場演劇芸 術監督を7シーズン務め、また2005年4月から16年3月まで新国立劇場演劇研修所所長を務める。 13年春、紫綬褒章受賞。
ジョヴァンニ
◇浦井健治
(うらい・けんじ)
東京都出身。ドラマ『仮面ライダークウガ』でデビュー。『エリザベート』 のルドルフ皇太子役に抜擢され、以後、ミュージカル、ストレートプレイ など舞台を中心に活動。最近は映像での活躍もめざましい。 最近の主な舞台に『トロイラスとクレシダ』『デスノート The Musical』 『ボンベイドリームス』『アルジャーノンに花束を』『タイトル・オブ・ショウ』 『THE BIG FELLAH ビッグ・フェラー』『シャーロック・ホームズ~アン ダーソン家の秘密』『MIWA』『二都物語』『ZIPANG PUNK~五右衛 門ロックⅢ』などがある。他にはテレビ『いつかこの恋を思い出してきっと 泣いてしまう』『ニーチェ先生』『MOZUスピンオフ 大杉探偵事務所』な ど。 新国立劇場では『星ノ数ホド』『リチャード三世』『ヘンリー六世』三部作に出演。 2006年第31回菊田一夫演劇賞、2009年第44回紀伊國屋演劇賞個人賞、2010年第17回読売演 劇大賞杉村春子賞、2015年第22回読売演劇大賞最優秀男優賞受賞。アナベラ
◇蒼井 優
(あおい・ゆう)
福岡県出身。ミュージカル『アニー』でデビュー。以後、映画、テレビ、 CMと幅広く活躍。最近は舞台の出演も多い。 最 近 の 主 な 舞 台 に 『 ス ポ ケ ー ン の 左 手 』 『 三 人 姉 妹 』 『 か も め 』 『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』『サド侯爵夫人』『その妹』『南 へ』『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』『オセロー』『シブヤか ら遠く離れて』などがある。他には映画『家族はつらいよ』『東京家族』 『Vampire』『るろうに剣心』『たまたま』『洋菓子店コアンドル』『雷桜』 『FLOWERS』『おとうと』『フラガール』、テレビ『若者たち 2014』『最も 遠い銀河』『ダブルフェイス 偽装警察編』『贖罪』『龍馬伝』『おせん』な ど。 2006年『フラガール』にて、日本アカデミー賞最優秀助演女優賞・新人俳優賞、ブルーリボン賞主 演女優賞、キネマ旬報映画賞助演女優賞など多数受賞。ソランゾ
◇伊礼彼方
(いれい・かなた)
幼少期はアルゼンチンで過ごし、その後横浜へ。これまでに舞台を中心に、ミュージカル、ストレートプレイ、朗読などジャンルや役柄を問わ ず幅広く活躍。
最近の主な舞台に『グランドホテル』(本年4月-5月)『ピアフ』『星の王子 さま』『End of the RAINBOW』『嵐が丘』『ヴェローナの二紳士』『スリ ル・ミー』『朝日のような夕日をつれて2014』『Paco~パコと魔法の絵本 ~fromガマ王子vsザリガニ魔人』『ジャンヌ』『キフシャム国の冒険』『ア ンナ・カレーニナ』『ハムレット』『システィーナ歌舞伎GOEMON』『港町 純情オセロ』『今は亡きヘンリー・モス』『エリザベート』などがある。 新国立劇場では『テンペスト』に出演。