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屋外スロープを用いた冒崩予防相に関する実験

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Academic year: 2021

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(1)

北海道 の雪氷 No.25(2006)

屋外スロープを用いた冒崩予防相に関する実験

松沢勝 。三好達夫・伊東靖彦 。加治屋安彦 ((独)土木研究所寒地土木研究所)

西村浩― (新潟大学)、 大槻政哉 (雷研スノーイーターズ)

1.は

じめに

多量降雪時 に道路法面で、雪崩予防柵を透過 して道路に達する雪崩が、道内で しば しば発生 して 問題 になっている。「す り抜け雪崩」と称されるこの種の対策 として、既存の雪崩予防柵に鋼製のエ キスバ ン ドメタル等 を取 り付ける試みがなされている。 しか し、対策工法の基本的仕様や基準は定 まったものが無く、また効果の評価 も行われていない。加えて、「す り抜け雪崩」を観測 。目視 した 事例は存在せず、雪崩予防柵の設置されているの り面の上部に雪崩の破断面があるという状況証拠 か ら、雪崩予防柵を雪崩がす り抜けたと判断されている。

す り抜け雪崩の流動形態 として、図 1に 示す

2つ

の形態が考え られる。一つは、斜面上部よ り流 下 してきた雪崩が、新雪を取 り込みなが ら柵をす り抜けるものである (図1・a)。 もう一つは、新雪 雪崩が発生するときに、その

斜 面 に設置 されて いる雪崩 予防柵 をす り抜ける もので ある (図1‐b)。 前者の方が よ りす り抜 けやす い条件で あると考えられるので、本研 究では、す り抜け雪崩の形態 を前者 と仮定 した実験 を実 施 した。

2.実

験の 目的と概要

実験の 目的は、す り抜け雪崩対策 として、雪崩予防柵に鋼 製エキスパ ン ドメタル等 を張ることを前提 とし、使用する部 材 の種類や規格がす り抜け抑制に与える効果を把握 し、す り 抜け雪崩対策工検討の基礎資料 とする ことである。実験 は、

寒地土木研究所石狩吹雪実験場に設置 している雪崩落石実験 スロープで行 った。実験では、雪崩予防柵模型 (7タイプ) に対 し、スロープ上方か ら雪を流 し、雪崩予防柵にかかる荷 重や実験前後の雪の密度および温度等の測定、す り抜け状況 の動画撮影 を行った。

写真1は、実験 に使 ったス ロープで、高 さlom、 斜面長14m、

lm、 斜度45° である。天端か ら斜面下方向1lmの地点に 模型柵 を固定するための

H鋼

で製作 したフレームを設置 した。

流下時の摩擦 を抑えるためスロープ底面にブルーシー トを張 った。また側面には ビデオ撮影可能なように透明のアクリル

態を想定した。

写真

1実

験スロープ

‑17‑

6)

た 劇 = Ⅵ l l

(2)

北海道の雪氷 No 25(2006)

板を設置した。

実験模型のタイプを表 1に 示す。タイプЭは、北海道開発局の標準柵を模したものである。タイ プ③以降は、タイプ①の柵面に網を張ってす り抜け雪崩の対策を図ったものである。用いた部材は、

エキスバンドメタル、溶接金網、樹脂ネットで、エキスパンドメタルは、メッシュの大きさが異な る

3種

の製品を用いた。写真 2に その一例 (タイプЭ)を示す。実験模型は

H鋼

のフレームに、写 真 2の 丸で示す

4箇

所でロー ドセルを介して固定した。

写真

2実

験模型(タイプ③)。丸印 はロードセルの設置箇所。

3.実

験結果

流下実験は、 2006イ 千

2月

28 日と 3月 1日 に、各模型に対 して 1〜2回行った。投雪の際に

1辺

0.9mの

型枠に雪を入れ、金属製の雪切 り板で、雪を十分ほぐした後、試験雪の体積、密度等を計測 した。その後、型枠 をクレー ンでつ り上げスロープ上部か ら雪を流下させた。流下中は、写真2の 丸で示 した4カ所 に設置 したロー ドセルで荷重を測定 した。なお、荷重は4カ所の ロー ドセルの計 測値の合計値で、サ ンプ リング間隔は 1/16秒 である。流下後には、柵背面に残った雪やす り抜けた 雪の密度等の測定を行 った。 これ らの実験雪な どの条件を表2に示す (気温は石狩吹雪実験場構内 の定点観測での値)。 解析に際 しては、荷重の最大値である最大衝撃力、および、雪の密度 と体積か

ら算出 した雪の質量によ り、式(1)で定義 したす り抜け率 を求めた。

柵背面の積雪の質量※

す り抜け率

=

×100(%) (1)

投雪前の試験雪の質量

 

柵の背面に残 った雪の体積 を流下後の画像か ら推定 し、雪密度 を掛 けて算出。

写真3にタイブ①とタイプ③の模型に対する実験状況を示す。左が、雪崩が柵を通過していると きの写真で、右が、雪崩流下後の写真である。写真より、タイプЭは柵の下部を雪崩が通過し、ほ とんどすり抜けたのに対して、タイプЭは柵に雪崩が衝突した後、一部が上部に越流したものの、

1実

験模 型のタイプ タイプ 母 材 対策用部材 備 考

丸 管 な し

開発局標準φ 891mm

② 角 柱 な し 90mm×90mm

③ 丸 管 エキスパンド メタルーXS62

④ エキスパンド メタルーXS42

(SW)22mm×(LW)50 8mm

⑤ エキスパンド メタルーXS32

(SW)12mm X(LW)30 5mm

⑥ 溶接金網 50mm×50mm

⑦ 樹1旨ネット 50mm x 50mm

2実

験 に用 いた雪の条件 実験 日時 気温(℃)

一則

流 下 後

投雪体積

(m3)

雪密度

(kg/m3) 雪温(℃) 硬度(kPa) 柵下雪温 (℃)

柵下雪密度 (kg/m3)

柵背面雪密 度(kg/m3) 2006/2/28

13:09‑15:54 ‑17〜 10 032 260‑400 ‑24‑‑16 4812〜

6369 ‑23‑‑03 300‑380 380‑500 2006/3/1

11:13‑14:05 ‑27‑‑16 031‑036 380‑470 ‑27‑‑03 5662‑

7219 ‑22‑‑03 400‑520 420‑540

‑18‑

(3)

北 海 道 の 雪 氷 No.25(2006)

雪崩 は、ほ とん ど柵 を透過せず 、背面 に堆 積 した状 況がみ られ る。 なお 、流 下雪 は 、 ほぼ流動化 した1犬態 で流れ て きたが、2月 28日 のタイプЭ(溶接金網)の 実験では塊 状で衝突した。また、同じ日の、タイプ③

(エキスバンドメタルXS62)およびタイ プ④ (エキスバンドメタルXS42)の

2回

目の実験では、流下雪に50cm程度の雪塊 が含まれていた。

2は

3月 1日の実験でのタイプ①とタ イプЭの荷重の計測値を示す。タイプ

①の丸管(網なし)で は、雪はほぼ完 全にすり抜けたが、タイプ③のエキス

パ ン ドメタルXS62では雪崩予防柵の 背面に雪が残った。

3は

す り抜け率と、流下前の雪密 度の関係である。流下実験前の雪の密 度が 260〜 470kg/m3と 幅が広 いため、

す り抜 け現象に及 ぼす影響が想定 さ れたが、両者には明瞭な関係は見 られ

写真

3模

型柵 への流下雪の衝突状況と実験後の 状況

2:淵 =三

二 l 丁 11̲=覆

≡董壷墨量≡ゴ

1

V15∞

――― ― ― ――――一 一 ―――

――一 ―――――一――¬

F弩

00   05    :0   15    20   25   30   35   40

時間(s)

0

00   05

  殴 m

時 間(s)

荷重の計測データ なかった。また、図4は、流

下 中の平均速度 とす り抜 け 率 との関係である。流下中の 平 均 速 度 は 、 走 路 距 離

(=nm)を

流下開始か ら模 型柵 に荷重がかか り始める までの時間で除 した値で あ る。図よ り、今回の実験で 観測 された速度 の範囲で

80%―      │● 丸 管(網な し)i

攣 ∞%―   +:驚 網 な い

       +   ̲  X XS42   :

: Li漁

0%   よ ――‑0●――― ― 200    300    400    500

■密度(kg/m3)

3流

下前の雪密度とすり抜け 率との関係。

4    6     8    10 平 均 速 度(m/s)

● 丸 管(網な し)

● 角 柱(網な し)

XS62     1 X XS42     1

:鵬

+漕接 金 網 │

4流

下 中の 平 均速 度 とす り抜 け率との関係 。

は、両者に明瞭な関係は見 られなかった。

は、解析上は無視できるものとした。

5は

、す り抜け率 と最大衝撃力の関係を示 した ものである。図よ り、す り抜け率が大きくなるほど、

最大衝撃力が小さくなる傾向にある ことがわかる。

この様に、エキスパ ン ドメタル等を取 り付けた雪崩 予防柵は、取 り付けていない柵に比べ相対的に大き な荷重が測定 された。なお、図

5で

、実験時に雪塊 が観察 された事例を破線で囲んだ。塊状で衝突する ことで、最大衝撃力が大きくなる傾向はあるが、す り抜け率には関係が見 られなかった。

以上よ り、各実験での流下前の雪密度や衝突速度の違 い

・ 丸管(網なし)

・ 角柱(網なし)

XS62 x XS42

XS32

‐樹 脂 ネ ット

+溶接金網 │

: 0      ‑― ―

50%      100%

すり抜 け率

5す

り抜け率と最大衝撃力。破線で囲 まれた3デ ータは、雪塊が衝突した事例。

2000。

15005

1000

500 ‑

‑19‑

L

2500

--

(4)

北海 道 の雪氷 No.25(2006)

6は

、空気力学的抵抗係数 とす り抜け率 との関係を表 した ものである。抵抗係数は、北海道立 北方建築総合研究所の風洞 に、雪崩予防柵模型を入れて空気力学的な抵抗力を測定 し式(2)より求め た。角柱の抵抗係数が大きいのを除 くと、ほぼ同じ抵抗係数 となってお り、す り抜け率 と空気力学 的抵抗係数 との間には有意な関係は見 られなかった。

「―

      ̲̲̲̲―

一¬

CD〓

;戸 ヮ       …②

ここで、の:抵抗係数,D:抵抗力,ρ :流体密度,″

流体速度

,4投

影面積である。

次 に、著者 らは、メッシュの大きさと格子の部材 の太 さも、す り抜けに影響のある要因と考えた。そ

こで、式(3)によ り、メッシュ面積に対する格子部材

 │

各 ← L一 一 一 ―

       │

掛む蝉いト

の投影面積 (図

7)比

をメッシュ係数 と定義 し、

メッシュ係数 とす り抜け率の関係 を調べた。図 8

7格

子部材投影面積と、メッシュ面積。濃い

    L

網掛け部分がそれぞれの面積に該 当する。

L   ■ ̲壺 立係数

(cd値

)̲二 ̲ ̲̲l

6空

気力学的な抵抗係数とすり抜け率

はその結果である。図8よ り、メッシュ係数とす り抜け率には相関が見 られ、メッシュ係数の大き いエキスバ ンドメタルの方が、樹脂ネ ットや溶接金網よ り、す り抜け率が小さい傾向が見 られた。

格子部材 投影 面積 1  100%

1   80%

1饉60%

│ミ 40%

メッシュ係数

=

¨。(3)

メッシュ面積

0

05       1

メッシュ係数

図 8メ ッシュ係数とすり抜け率

4。 まとめと今後の課題

本研究 をまとめると次のよ うになる。

す り抜け対策として、エキスパ ン ドメタル等のす り抜け対策 を施 した場合、柵単体の場合よ りも す り抜け率が小さく、対策効果が期待できる。また、メッシュ係数は、す り抜け率との相関が良く、

す り抜け雪崩対策工の効果 を示す指標 として活用できる可能性がある。そ して、メッシュ係数の大 きいエキスバ ン ドメタルの方が、溶接金網や樹脂ネッ トに比べす り抜け率が小さい傾向があること が分かつた。

本研究の今後の課題 として、まず、現地観測によって実際に雪崩が雪崩予防柵をす り抜ける現象 を把握すること。次に、現地条件と雪崩実態をできるだけ再現 した実験を行 うこと。そ して対策工 の効果について定量的に評価できる実験手法を採用することが必要と考えられる。 これ らの課題 を ク リア しつつ、す り抜け雪崩の対策手法の確立にむけて、今後の研究を進める予定である。

暉 剛 │

‑20‑

参照

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