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雪崩予防柵の野外模型予備実験 Model experiment of supporting fence for avalanche

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北海道の雪氷 No.31(2012)

雪崩予防柵の野外模型予備実験

Model experiment of supporting fence for avalanche

佐々木勝男(北海道工業大学)、 竹内政夫(雪氷ネットワーク)

Katsuo Sasaki and Masao Takeuchi

1.はじめに

日本の道路に設置される雪崩予防柵(以後、雪崩柵)は、これまでスイスの仕方書(1955、

1966 翻訳)に準拠した、設計法が防雪工学ハンドブック(1968)に掲載されて以来、内容 が改められることなく、新(1977)、新編(1988)と版を重ねて、最新の除雪・防雪ハン

ドブック(2005)に引き継がれてきた(道路設計要領)。しかし、柵間や隙間をすり抜けて雪

崩柵が機能しない事例や最下段の柵下から発生する全層雪崩に対しては、柵高が積雪深よ り大きく柵を挟んだ上下の雪の繋がりを切ることで支持力を弱め雪崩の発生を助長する 1),

2)。これまでの工法そのままでは、これらの雪崩を防ぐことは出来ないので、新しい工法 の開発も提案されている 3)。表層雪崩への備えを保ちながら最下段から発生する全層雪崩 を防ぐ工法について模型実験を行った。

2.最下段から発生する雪崩を防ぐ工法開発

雪崩柵の最下段から発生する雪崩が多いことから、事前防止のための維持作業は経 費だけでなく交通規制が必要であり経済的、時間的な損失をもたらす。全層雪崩をも たらすグライドを防ぐためには、屋根の雪止めのように、柵高 50cm 程度で十分であ る。雪に埋まることで柵上下の雪が繋がり大きな支持力を得るからであるが、低い柵 の弱点である表層雪崩のことも考える必要がある。表層と全層雪崩を兼ねた新しい雪 崩予防柵が提案されているが、設計要領がある中での供用道路で行う新しい実験は非 常に難しい。道路で実施できる環境を整えるために、先ず模型実験を行うことによっ て効果を確認することにした。

3.雪崩柵模型実験 3-1.模型柵

雪崩柵は基本的に上の雪を下から支えるものであるから、最下段の柵下の雪を柵で 支えることはできない。そこで積雪より低い柵にしてグライドを防ぐと同時に、柵を 挟む上下の雪を繋ぐことで雪の引っ張り支持力を雪崩防止に利用することを考えた。

実物では 20~50cm 程度の高さを想定しているが、模型では滑り面より少しでも高け れば良いとし、高さ 2×5cm の角材とした。模型斜面の基本はこの角材で全層雪崩を 防ぐこととして、写真-1のように 3 種類の柵と一つの無対策の斜面で比較した。写 真-1左から右へ A,B,C,D と4斜面に分割。A :左端、2×5cm の角材でグライド防 止、43cmの隙間で上下の雪を繋げ支持力を得る、幅 3cm 5cm間隔の 2枚の張り材は 表層雪崩防止用に.B:斜面に2×5cm の角材、C:既設柵の模型 , D :無対策とした。

2011 年 12月から 3 月まで模型柵に雪を積もらし、特に 2×5cm の角材のグライド防 止効果と A の柵上下の雪の繋がりによる全層雪崩防止効果の有無を既設柵の模型との 比較で観察した。

Copyright c 2012 公益社団法人日本雪氷学会北海道支部

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北海道の雪氷 No.31(2012)

Copyright c 2012 公益社団法人日本雪氷学会北海道支部

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写真-1.模型実験斜面と模型柵(2011/12/5)

尚、雪の付着力などの物理的性質は縮尺の大小に拠らないことから、模型実験にお ける相似則は考慮しなかった。

3-2.実験状況と結果

実験状況を写真-2.に示す。A の隙間により雪は、C の既成柵より繋がりは初期 には大きいが隙間(43cm)は不十分と考えられるが、融雪期には Aの柵上下の雪に段差 が見られる。B と D を比べると、ごく低い抵抗でもグライド防止に十分働くことが分 かる。

写真-2. 左は 2012 年 1 月 10 日、右は融雪期の 3 月 10 日の状況

C.の模型柵では柵上下の雪が分断され、実物の柵が雪層を切ることで雪崩を誘発す ることが再現できた。模型実験は実柵に生ずる柵下のクラックを再現したが滑る前に、

雪は融けてしまった。自然の雪下の地表面はプラスになるが、実験では融解凍結を繰 り返して厚く凍結したために全層雪崩にはならなかった。

4.あとがき

雪崩柵の問題を定性的に再現できたが、柵下の隙間の開け方は実柵でも問題になる ので、さらに模型でも実柵でも大きな違いがなさそうなので実験を継続し確かめたい。

実際に全層雪崩の発生までを模型で再現できなかったが、そのための工夫をしたいと 考えている。

5.文献

1)竹内、及川、武田、川村、2006:積雪の支持力を生かした低柵高全層雪崩予防柵、

北海道の雪氷、21-24.

2)武田、川村、及川,2006:全層雪崩対策のための低柵高雪崩予防柵の試みについて、

49回北海道開発局技術研究発表会

3)金田安弘、竹内政夫、2008:新しい雪崩予防柵の提案、北海道の雪氷,25-28

参照

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